特許第5756294号(P5756294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756294
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】手押し床面掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 11/24 20060101AFI20150709BHJP
   A47L 11/40 20060101ALI20150709BHJP
   A47L 11/282 20060101ALI20150709BHJP
   A47L 11/202 20060101ALI20150709BHJP
   A47L 11/33 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   A47L11/24
   A47L11/40
   A47L11/282
   A47L11/202
   A47L11/33
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-4513(P2011-4513)
(22)【出願日】2011年1月13日
(65)【公開番号】特開2012-143422(P2012-143422A)
(43)【公開日】2012年8月2日
【審査請求日】2013年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】591267143
【氏名又は名称】株式会社カシワバラ・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】石津 剛
(72)【発明者】
【氏名】徳田 智昭
【審査官】 平田 慎二
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−086952(JP,U)
【文献】 米国特許第04366593(US,A)
【文献】 特開2006−005666(JP,A)
【文献】 特開2005−052279(JP,A)
【文献】 米国特許第01668357(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 11/24
A47L 11/202
A47L 11/282
A47L 11/33
A47L 11/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ハンドルを手で押すことにより本体下面に設けた左右一対の走行車輪を回転させ、該回転に連動して1基の横軸縦回転ブラシからなる掃き込み用のメインブラシと1基の縦軸水平回転ブラシからなる掃き集め用のサイドブラシをそれぞれ回転駆動し、本体内に設けたダストコンテナに塵埃その他の被清掃処理物を回収する手押し床面掃除機において、動力源を有する外部吸引機器とともにブラスト作業の施工現場に搬入され、床面に飛散又は堆積した金属系研削材を含む粉粒体からなる被清掃処理物を吸引回収するための手押し床面掃除機であって、
外部吸引機器と可撓管を介して接続され、本体内に、走行車輪の正逆回転変更に応動して伝動要素を切替接続し、メインブラシの一方向回転を駆動維持するための連軸伝動切替機構と、ダストコンテナに基端を開口接続し、かつ、他端を前記外部吸引機器に可撓管接続するためのジョイントノズルを具備してなり、
前記連軸伝動切替機構が、一方向クラッチ及びギヤからなる伝動要素とスプロケット及びチェーンからなる伝動要素を併有し、該一方向クラッチの断続によりメインブラシの駆動と空転を切り替えるものであり、
前記メインブラシの一方向回転を維持して前後進可能に走行し、かつ、前記外部吸引機器との連係接続により強制吸引機能を増補するようにしたことを特徴とする手押し床面掃除機。
【請求項2】
外部吸引機器が、被清掃処理物分離装置、集塵装置又は電動掃除機の1又は複数を選択配置してその機能を連係するものであり、
ダストコンテナが、内部空間の清掃幅方向に手回し可能なパドル付き攪拌軸を内設したものである請求項1記載の手押し床面掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ハンドルを手で押すことにより左右一対の走行車輪を回転させ、該回転
に連動して掃き込み用のメインブラシと掃き集め用のサイドブラシをそれぞれ回転させ、
本体内に設けたダストコンテナに塵埃その他の被清掃処理物を回収する手押し床面掃除機
の改善に係り、詳しくは、金属系研削材、金属系切削屑その他の高比重の粉粒体を含む被
清掃処理物を回収可能とする汎用的な手押し床面掃除機に関する。
【0002】
ここで、メインブラシは横軸縦回転ブラシ、サイドブラシは縦軸水平回転ブラシとそれ
ぞれ指称される場合がある。また、ダストコンテナは集塵ボックス又はダストホッパと同義である。さらに、金属系研削材とは、ブラスト装置のスチールグリッドやスチールショ
ットをいうものである。
【背景技術】
【0003】
従来より、走行車輪の回転に連動して掃き込み用のメインブラシと掃き集め用のサイド
ブラシをそれぞれ回転させ、本体内に設けたダストコンテナに塵埃その他の被清掃処理物
を回収する手押し式(手動式)の床面掃除機が知られている(例えば、特許文献1を参照
)。
【0004】
この種のものには、本体に原動機を搭載して塵埃を吸引するためのファンを装備したも
のが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0005】
また、メインブラシの磨耗や変形を防止するためにブラシ高さを調整可能とするものが
知られている(例えば、特許文献3を参照)。
【0006】
また、フォークリフトへの装着を可能として使用形態を変更可能とするものが知られて
いる(例えば、特許文献4を参照)。
【0007】
ところで、コンビナートに設備される石油タンクに代表されるタンク内底板のような鋼
製床面に飛散した金属系研削材を被清掃処理物とする場合は、既存機器のブラシ回転によ
る掃き込みだけでは清掃回収効果(能力)が不十分であり、何往復も同じところを走行さ
せる必要があった。
【0008】
こうしたなかで、鉄粉などの磁性体粉粒を回収するために、本体にロール状の永久磁石
を組み込んだ装置構成が知られている(例えば、特許文献5を参照)。ただし、この種の
装置は、コンクリートなどの床面で前記磁性体粉粒を被清掃処理物としている場合には使
用可能であるが、タンク内底板のような鋼製床面では使用できないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−267449号公報
【特許文献2】特開2000−197600号公報
【特許文献3】特開2010−296号公報
【特許文献4】特開平10−139394号公報
【特許文献5】特開平9−103395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする問題点は、床面の素材を問わず、とりわけタンク内底板のよ
うな鋼製床面に飛散した金属系研削材を被清掃処理物として清掃回収効率を向上し、かつ
、回収後に塵埃と研削材とを選別容易とする点にある。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、機体を前後進走行可能で強制吸
引機能を増補可能として上記課題を解消し、金属系研削材、金属系切削屑その他の高比重
の粉粒体を含む被清掃処理物を回収可能とする汎用的な手押し床面掃除機を提供するもの
である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
課題を解決するために本発明は、操作ハンドルを手で押すことにより左右一対の走行車
輪を回転させ、該回転に連動して掃き込み用のメインブラシと掃き集め用のサイドブラシ
をそれぞれ回転させ、本体内に設けたダストコンテナに塵埃その他の被清掃処理物を回収
する手押し床面掃除機の改善において、
金属系研削材、金属系切削屑その他の高比重の粉粒体を含む被清掃処理物を回収可能とす
る汎用的な手押し床面掃除機であって、
本体内に、走行車輪の正逆回転変更に応動して伝動要素を切替接続しメインブラシの一方
向回転を駆動維持するための連軸伝動切替機構と、ダストコンテナに基端を開口接続し、
かつ、他端を集塵機を含む外部吸引機器に接続可能なジョイントノズルを具備してなり、
前記メインブラシの一方向回転を維持して前後進可能に走行し、かつ、前記外部吸引機器
との接続により強制吸引機能を増補するようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上の構成よりなるものであり、これによれば機体を前後進走行可能とし、既
存の集塵機を含む外部吸引機器(例えば、電動掃除機)と連携接続して強制吸引機能を増
補可能としているので、金属系研削材、金属系切削屑その他の高比重の粉粒体を含む被清
掃処理物をより効率的に清掃回収することができる。
【0014】
また、集塵機の前段に重力、風力又は磁力を利用して被清掃処理物の選別を可能とする
被清掃処理物分離装置を介在させて外部接続することにより、選別回収した被清掃処理物
を直ちに再使用に供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施例掃除機の斜視説明図である。
図2】第1実施例掃除機の正面視説明図である。
図3】第1実施例掃除機の平面視説明図である。
図4】第1実施例掃除機の右側面視説明図である。
図5】第1実施例掃除機の使用状態を示す模式説明図である。
図6】第2実施例掃除機の斜視説明図である。
図7】第2実施例掃除機の正面視説明図である。
図8】第2実施例掃除機の平面視説明図である。
図9】第2実施例掃除機の右側面視説明図である。
図10】第2実施例掃除機の使用状態を示す模式説明図である。
図11】連軸伝動切替機構(第1、第2実施例共通)の伝動要素を示す構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態は、上記構成の手押し床面掃除機において、連軸伝動切替
機構は、一方向クラッチ及びギヤからなる伝動要素とスプロケット及びチェーンからなる
伝動要素を併有し、走行車輪の正逆回転変更に応動して駆動接続を切り替えるものとして
いる。
【0017】
また、ダストコンテナは、内部空間の清掃幅方向に手回し可能なパドル付き攪拌軸を内
設したものとしている。
【0018】
ここで、パドル付き攪拌軸は、軸方向の少なくとも2箇所に離隔設置され、それぞれの
設置間で非対称形状の攪拌パドルを軸装したものとしている。
【実施例】
【0019】
本発明の一実施例を添付図面を参照して以下説明する。
【0020】
(実施例1)
図1図4に機器構成を示すとおり、第1実施例掃除機Xは、本体1内に、走行車輪11
の正逆回転変更に応動して伝動要素(51;52)を切替接続しメインブラシ2の一方向回転
を駆動維持するための連軸伝動切替機構5と、ダストコンテナ7に基端を開口接続し、か
つ、他端を集塵機を含む外部吸引機器(9)に接続可能なジョイントノズル6を設けてい
る。ここで、ジョイントノズル6は外部吸引機器9と可撓管接続可能な吸引導管と解され
てよい。なお、ダストコンテナ7が本体1に脱着可能に収設されるものであることはいう
までもない。天面に脱着操作用の取手71を有している。
【0021】
図示した操作ハンドル4は折り畳み可能又は脱着可能に取り付けられている。また、前
輪位置に設けた自在キャスタ12により方向転換は容易である〔図3参照〕。
【0022】
好適な寸法構成は、石油タンクの出入口がφ610〜760mmであるために、タンク
内清掃を考慮して本体寸法を幅610mm以下とし、コンパクト化している。
【0023】
ここで、連軸伝動切替機構5は、一方向クラッチ511 及びギヤ512 からなる伝動要素51
とスプロケット521 及びチェーン522 からなる伝動要素52を併有し、走行車輪の正逆回転
変更に応動して駆動接続を切り替えるものとしている。これによりメインブラシ2の一方
向回転を維持しながら機体1を前後進走行可能とする。伝動要素51;52の具体的構成例を
図11に示す。
【0024】
図5に使用状態を示すとおり、第1実施例掃除機Xは回収専用タイプである。
【0025】
図示のように、ジョイントノズル6を外部吸引機器9(詳しくは後述の被清掃処理物分
離装置91)に可撓管接続して強制吸引機能を増補する。ここでは、ダストコンテナ7に被
清掃処理物を貯留することなく外部吸引機器9(91) へ吸引する。外部吸引機器9への好
適な接続形態は、電動掃除機93の前段に集塵機92を配し、集塵機92の前段に被清掃処理物
分離装置91を介在させ、被清掃処理物を吸引導入し、スチールグリッドを効率的に選別回
収するものとしている。
【0026】
具体的用途は、オープンブラストによる施工中又は施工後に、床面にスチールグリッド
が比較的多量に飛散又は堆積した場合の回収に適用される。
【0027】
そして、掃除機運転中に回収した被清掃処理物はダストコンテナ7内に停まることなく
速やかに被清掃処理物分離装置91に導入され、そこでスチールグリッドを選別回収し、再
使用に供するようにしている。
【0028】
(実施例2)
図6図9に機器構成を示すとおり、第2実施例掃除機Yは、本体1内に、走行車輪11
の正逆回転変更に応動して伝動要素(51;52)を切替接続しメインブラシ2の一方向回転
を駆動維持するための連軸伝動切替機構5と、ダストコンテナ7に基端を開口接続し、か
つ、他端を集塵機(92)を含む外部吸引機器(9)に接続可能なジョイントノズル6を設
けている。なお、連軸伝動切替機構5に変更はなく第1実施例掃除機Xと同様の構成であ
る〔図11参照〕。
【0029】
ここで、ダストコンテナ7は、内部空間の清掃幅方向に手回し可能なパドル付き攪拌軸
8を架設したものとされる。このパドル付き攪拌軸8は、軸方向の少なくとも2箇所に離
隔設置され、それぞれの設置間で非対称形状の攪拌パドル81を軸装している。
【0030】
ダストコンテナ7に回収した被清掃処理物は、パドル付き攪拌軸8(攪拌パドル81)を
軸方向機体外側に延設した手回しハンドル82を介して手回し操作して塵埃を振り落とすと
ともに外部吸引機器(9)〔詳しくは図示の集塵機(92)〕に吸引回収し、コンテナ7内
にはブラスト装置の金属系研削材(後述のスチールグリッド)や高比重の粉粒体を溜める
〔選別回収〕。
【0031】
図10に使用状態を示すとおり、第2実施例掃除機Yは攪拌パドル付タイプである。
【0032】
図示のように、ジョイントノズル6を外部吸引機器9(詳しくは図示の集塵機92)に可
撓管接続して強制吸引機能を増補する。
【0033】
具体的用途は、ブラスト装置〔図示省略〕による施工中又は施工後に、床面にスチール
グリッドが飛散した場合、塵埃とともにダストコンテナ7に清掃回収する場合に適用され
る。
【0034】
そして、回収量に応じた適宜なタイミングで、パドル付き攪拌軸8(攪拌パドル81)を
を手回し操作することにより被清掃処理物を選別する。そして、塵埃は外部吸引機器9(
集塵機92)へ吸引回収し、スチールグリッドはコンテナ7内に貯留する。このダストコン
テナ7に溜まったスチールグリッドはブラスト装置のホッパータンク〔図示省略〕へ投入
し、再使用に供する。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、手押し床面掃除機を前後進走行可能で強制吸引機能を増補可能に構成し、既
存の外部吸引機器と連携(接続)することにより汎用的に使用可能なものとしており、と
りわけブラスト装置の金属系研削材を被清掃処理物として清掃回収する際に有用であり、
斯界において貢献が期待できる。
【符号の説明】
【0036】
1 本体(機体)
11 走行車輪
12 自在キャスタ
2 メインブラシ
3 サイドブラシ
4 操作ハンドル
5 連軸伝動切替機構
51 伝動要素
511 一方向クラッチ(伝動要素)
512 ギヤ(伝動要素)
52 伝動要素
521 スプロケット(伝動要素)
522 チェーン(伝動要素)
6 ジョイントノズル
7 ダストコンテナ
71 取手
8 パドル付き攪拌軸
81 攪拌パドル
82 手回しハンドル
9 外部吸引機器
91 被清掃処理物分離装置
92 集塵機
93 電動掃除機
X 手押し床面掃除機(第1実施例掃除機)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11