(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756369
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】排気弁
(51)【国際特許分類】
F16K 24/00 20060101AFI20150709BHJP
F16K 31/18 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
F16K24/00 M
F16K31/18 D
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2011-179038(P2011-179038)
(22)【出願日】2011年8月18日
(65)【公開番号】特開2013-40660(P2013-40660A)
(43)【公開日】2013年2月28日
【審査請求日】2014年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】浅田 哲夫
【審査官】
関 義彦
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−300103(JP,A)
【文献】
米国特許第4489744(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 24/00
F16K 31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングで内部に弁室を形成し、弁室の下部に弁室の中心軸上から偏心させて入口を形成し、弁室の中心軸上から入口とは反対側の弁室の上部側方に出口に通じる弁口を形成し、弁口を外表面で直接開閉する球形のフロートを弁室内に自由状態で配置し、フロートの外周の側部を入口の一部の上方に位置せしめる傾斜面を弁室内に形成したものにおいて、入口の上方に弁室上部をフロートが配置された側である右弁室上部とその反対側である左弁室上部に隔てる仕切部材を配置したことを特徴とする排気弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷水や温水等の水配管に取り付けて、水配管内の空気を排出する排気弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排気弁は、例えば特許文献1に開示されている。これは、ケーシングで内部に弁室を形成し、弁室の下部に弁室の中心軸上から偏心させて入口を形成し、弁室の中心軸上から入口とは反対側の弁室の上部側方に出口に通じる弁口を形成し、弁口を外表面で直接開閉する球形のフロートを弁室内に自由状態で配置し、降下位置にあるフロートが空気流で押し上げられないようにフロート外周の側部を入口の一部の上方に位置せしめる傾斜面を弁室内に形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開特開2005−61523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の排気弁は、降下位置にあるフロートが空気流で押し上げられないようにフロート外周の側部を入口の上方に位置せしめたものであるが、空気の排出完了後、水の殆どが入口から弁室内を上方に直進し、弁室の天井壁に衝突して跳ね返りフロートを下方に押し下げるために、フロートの浮上が遅れ、水漏れを生じる問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、水が流入してくればフロートが迅速に浮上して弁口を閉じ、水漏れを生じないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の排気弁は、ケーシングで内部に弁室を形成し、弁室の下部に弁室の中心軸上から偏心させて入口を形成し、弁室の中心軸上から入口とは反対側の弁室の上部側方に出口に通じる弁口を形成し、弁口を外表面で直接開閉する球形のフロートを弁室内に自由状態で配置し、フロートの外周の側部を入口の一部の上方に位置せしめる傾斜面を弁室内に形成したものにおいて、入口の上方に弁室上部をフロートが配置された側である右弁室上部とその反対側である左弁室上部に隔てる仕切部材を配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、入口の上方に弁室上部をフロートが配置された側である右弁室上部とその反対側である左弁室上部に隔てる仕切部材を配置したものであるので、入口から左弁室上部を直進して弁室の天井壁に衝突して跳ね返る水を仕切部材に衝突させることにより、フロートを下方に付勢する水を少なくすることができる。そのため、空気の排出を完了して入口から弁室内に水が流入してくると、フロートが迅速に浮上して弁口を閉じることができ、水漏れを生じることがないという優れた効果を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係わる排気弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、
図1を参照して説明する。本体1に蓋2をボルトで締結してケーシングを形成し、内部に弁室4を形成する。弁室4の下部に入口5を上部に出口6を形成する。蓋2に弁座7をねじ結合する。弁座7は弁室4の上部側方に位置している。弁座7に出口通路3を介して弁室4と出口6を連通する弁口8を開ける。入口5と出口6は弁室4の中心軸上から左側に偏心し、弁口8は弁室4の中心軸上から右側に偏心している。
【0010】
弁室4内に中空球形のフロート9を自由状態で配置する。フロート9はその外表面で弁口8を直接開閉する。浮上して弁口8を閉じたフロート9を保持する二条のフロート座10を弁座7に溶接して取り付ける。降下位置にあるフロート9が空気流で押し上げられないようにフロート9外周の側部を入口5の一部の上方に位置せしめる傾斜面11を弁室4の底壁に形成する。入口5の上方に弁室4上部をフロート9が配置された側である右弁室上部4aとその反対側である左弁室上部4bに隔てる仕切部材12を配置する。仕切部材12の下端は降下位置にあるフロート9の中心と概略同じ高さに形成する。入口5から左弁室上部4bを直進して弁室の天井壁に衝突して跳ね返る水を仕切部材12に衝突させることにより、フロート9を下方に付勢する水を少なくする。
【0011】
上記実施例の作動を説明する。入口5から弁室4内に空気が流入する場合、フロート9は
図1に示すように、傾斜面11によりその外周の側部が入口5の一部の上方に位置した降下位置にある。入口5から流入し弁室4を上昇する空気は、入口5の右部から流入した空気がフロート9に当たる。空気は水よりも比重量が小さいので、フロート9を吹き上げることがなく、弁口8から出口通路3を介して出口に排出される。
【0012】
空気の排出を完了すると入口5から弁室4内に水が流入してくる。入口5から流入し弁室4を上昇する水は、入口5の右部から流入した水がフロート9に当たり、フロート9を弁口8方向に押圧し、入口5の左部から流入し左弁室上部4bを直進して弁室の天井壁に衝突して跳ね返る水が仕切部材12に衝突することにより、フロート9を下方に殆ど付勢しない。水は空気よりも比重量が大きいので、フロート9は迅速に浮上して弁口8を閉じる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、冷水や温水等の水配管に取り付けて、水配管内の空気を排出する排気弁に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 本体
2 蓋
3 出口通路
4 弁室
4a 右弁室上部
4b 左弁室上部
5 入口
6 出口
7 弁座
8 弁口
9 フロート
10 フロート座
11 傾斜面
12 仕切部材