特許第5756384号(P5756384)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756384
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】電動式ハンディカート
(51)【国際特許分類】
   A61H 3/04 20060101AFI20150709BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   A61H3/04
   B62B3/00 G
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2011-211736(P2011-211736)
(22)【出願日】2011年9月28日
(65)【公開番号】特開2013-70824(P2013-70824A)
(43)【公開日】2013年4月22日
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】榎本 孝史
(72)【発明者】
【氏名】小暮 和重
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−290302(JP,A)
【文献】 特開平10−338143(JP,A)
【文献】 特開2003−079685(JP,A)
【文献】 特開平09−202235(JP,A)
【文献】 特開2007−090019(JP,A)
【文献】 国際公開第98/041182(WO,A1)
【文献】 特開2002−002488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 3/04
B62B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者が保持する操作桿と、前記操作桿に設けられ、歩行者が前記操作桿に与える操作力を検出する操作力検出装置と、第1および第2の電動モータと、前記第1および第2の電動モータの回転速度をそれぞれ検出する第1および第2の速度検出手段と、前記第1および第2の電動モータによりそれぞれ回転駆動する第1および第2の駆動輪と、前記操作力検出装置からの信号に基づき前記第1および第2の電動モータに制御電流を供給する制御装置と、ハンディカートの前方における対象物の画像を検出する画像検出手段と、前記ハンディカートの傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、を備える電動式ハンディカートにおいて、
前記制御装置は、
前記操作力検出装置からの力信号を積分処理することにより、第1の目標速度信号を演算する目標速度演算手段と、
前記第1および第2の速度検出手段からの前記第1および第2の検出速度信号を平均化して平均速度信号を出力する平均化手段と、
前記平均化手段からの平均速度信号と、前記目標速度演算手段からの第1の目標速度信号との偏差信号に基づき、前記電動モータに供給する目標電流信号を演算する目標電流演算手段と、
前記目標電流演算手段からの目標電流信号に対応し、前記第1および第2の電動モータに制御電流をそれぞれ供給する第1および第2の電流出力手段と、
前記画像検出手段からの画像信号に基づき前記画像検出手段から前記前方の対象物までの距離を演算する距離演算手段と、
前記距離演算手段からの距離信号に基づき上限速度を演算する上限速度演算手段と、
前記上限速度演算手段からの上限速度信号と、前記目標速度演算手段からの第1の目標速度信号を比較し、小さいほうの信号を第2の目標速度信号とする比較手段と、
前記傾斜角検出手段からの角度信号に基づき前記ハンディカートの姿勢を補償するための補償角速度信号を演算する姿勢補償手段を備え、
前記目標電流演算手段は、前記平均化手段からの平均速度信号と前記比較手段からの第2の目標速度信号との偏差信号に、前記補償角速度信号を合算した合算信号に基づき、前記電動モータに供給する目標電流信号を演算することを特徴とする電動式ハンディカート。
【請求項2】
歩行者が保持する操作桿と、前記操作桿に設けられ、歩行者が前記操作桿に与える操作力を検出する操作力検出装置と、電動モータと、前記電動モータの回転速度をそれぞれ検出する速度検出手段と、前記電動モータにより回転駆動する駆動輪と、前記操作力検出装置からの信号に基づき前記電動モータに制御電流を供給する制御装置と、ハンディカートの前方における対象物の画像を検出する画像検出手段と、前記ハンディカートの傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、を備える電動式ハンディカートにおいて、
前記制御装置は、
前記操作力検出装置からの力信号を積分処理することにより、第1の目標速度信号を演算する目標速度演算手段と、
前記速度検出手段からの前記検出速度信号と、前記目標速度演算手段からの第1の目標速度信号との偏差信号に基づき、前記電動モータに供給する目標電流信号を演算する目標電流演算手段と、
前記目標電流演算手段からの目標電流信号に対応し、前記電動モータに制御電流をそれぞれ供給する電流出力手段と、
前記画像検出手段からの画像信号に基づき前記画像検出手段から前記前方の対象物までの距離を演算する距離演算手段と、
前記距離演算手段からの距離信号に基づき上限速度を演算する上限速度演算手段と、
前記上限速度演算手段からの上限速度信号と、前記目標速度演算手段からの第1の目標速度信号を比較し、小さいほうの信号を第2の目標速度信号とする比較手段と、
前記傾斜角検出手段からの角度信号に基づき前記ハンディカートの姿勢を補償するための補償角速度信号を演算する姿勢補償手段を備え、
前記目標電流演算手段は、前記速度検出手段からの前記検出速度信号と前記比較手段からの第2の目標速度信号との偏差信号に、前記補償角速度信号を合算した合算信号に基づき、前記電動モータに供給する目標電流信号を演算することを特徴とする電動式ハンディカート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動式ハンディカートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
高齢者などの足腰の弱くなった歩行者の歩行をアシストする装置として、特許文献1または特許文献2に示される電動式ハンディカートが提案されている。
【0003】
上記の電動式ハンディカートは、電動モータにより独立して回転駆動することができる左右の駆動輪と、歩行者者が把持する操作桿(杖部)と、を備える。操作桿には、操作力検出装置が設けられており、この操作力検出装置により操作桿に作用する歩行者の操作力が検出される。そして、ハンディカートの左右の駆動輪を駆動する電動モータは、操作力検出装置にて検出される歩行者の操作力の値に基づいて、制御方式としてトルク制御により作動させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−125221号公報
【特許文献2】特開2011−068239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の電動式ハンディカートにあっては、制御方式としてトルク制御が用いられていたため、ハンディカートを所望の速度で走行させること、およびハンディカートを所定のときに停止させることが困難という課題があった。ここで、ハンディカートを所望の速度で走行させること、およびハンディカートを所定のときに停止させるためには、制御量として速度を用いる速度制御を用いることが有効であるといえる。
【0006】
そこで、この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、駆動輪を駆動する電動モータの制御方式として速度制御が用いられる電動式ハンディカートを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の電動式ハンディカートは、歩行者が保持する操作桿と、この操作桿に設けられ、歩行者が前記操作桿に与える操作力を検出する操作力検出装置と、第1および第2の電動モータと、これらの第1および第2の電動モータの回転速度をそれぞれ検出する第1および第2の速度検出手段と、第1および第2の電動モータによりそれぞれ回転駆動する第1および第2の駆動輪と、操作力検出装置からの力信号に基づき第1および第2の電動モータに制御電流を供給する制御装置と、ハンディカートの前方における対象物の画像を検出する画像検出手段と、前記ハンディカートの傾斜角を検出する傾斜角検出手段と、を備える電動式ハンディカートにおいて、制御装置は、操作力検出装置からの力信号を積分処理することにより、第1の目標速度信号を演算する目標速度演算手段と、第1および第2の速度検出手段からの前記第1および第2の検出速度信号を平均化して平均速度信号を出力する平均化手段と、平均化手段からの平均速度信号と、前記目標速度演算手段からの第1の目標速度信号との偏差信号に基づき、前記電動モータに供給する目標電流信号を演算する目標電流演算手段と、目標電流演算手段からの目標電流信号に対応し、前記第1および第2の電動モータに制御電流をそれぞれ供給する第1および第2の電流出力手段と、前記画像検出手段からの画像信号に基づき前記画像検出手段から前記前方の対象物までの距離を演算する距離演算手段と、前記距離演算手段からの距離信号に基づき上限速度を演算する上限速度演算手段と、前記上限速度演算手段からの上限速度信号と、前記目標速度演算手段からの第1の目標速度信号を比較し、小さいほうの信号を第2の目標速度信号とする比較手段と、前記傾斜角検出手段からの角度信号に基づき前記ハンディカートの姿勢を補償するための補償角速度信号を演算する姿勢補償手段を備え、前記目標電流演算手段は、前記平均化手段からの平均速度信号と前記比較手段からの第2の目標速度信号との偏差信号に、前記補償角速度信号を合算した合算信号に基づき、前記電動モータに供給する目標電流信号を演算することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電動式ハンディカートによれば、駆動輪を駆動する電動モータの制御方式を速度制御とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態の制御装置のシステムブロック図である。
図3】本発明の第2の実施形態の制御装置のシステムブロック図である。
図4】本発明の第3の実施形態の制御装置のシステムブロック図である。
図5】本発明の第4の実施形態の制御装置のシステムブロック図である。
図6】本発明の他の実施形態を示す斜視図である。
図7】本発明の第5の実施形態の制御装置のシステムブロック図である。
図8】本発明の第6の実施形態の制御装置のシステムブロック図である。
図9】本発明の第7の実施形態の制御装置のシステムブロック図である。
図10】本発明の第8の実施形態の制御装置のシステムブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(電動式ハンディカートの実施形態)
次に、本発明の電動式ハンディカートの実施形態について、図1に基づいて説明する。図1は本実施形態における電動式ハンディカートの斜視図である。
【0011】
図1に示すように、電動式ハンディカート1は、パイプ部材より形成された本体フレーム2と、本体フレーム2の端部に取り付けられ、歩行者が保持する棒状の操作桿3と、本体フレーム2に設けられたケースCと、本体フレーム2の両側に取り付けられた第1および第2の電動モータ(4,5)と、第1および第2の電動モータ(4,5)によりそれぞれ回転駆動する第1および第2の駆動輪(6,7)と、を備える。そして、ケースC内には、制御装置10(110,120,130)と、電動モータ(4,5)に電流を供給するバッテリ30と、ハンディカート1の傾斜角を検出する傾斜角検出手段としてのジャイロセンサ50と、が設けられている。また、ハンディカート1は、電動モータ(4,5)の回転速度をそれぞれ検出する第1および第2の速度検出手段(4a,5a)を備えている。
【0012】
また、操作桿3の上端部にはハンドグリップ8が取り付けられており、ハンドグリップ8には画像検出手段としてのステレオカメラ40が設けられているとともに、ハンドグリップ8内には操作力検出装置9が設けられている。ここで、ステレオカメラ40は、上下方向(操作桿の軸方向)に縦型に配置された2つのCCDカメラ(41,42)を備え、ハンディカート1の前方における対象物の画像を検出する。操作力検出装置9は、歩行者が操作桿3に与える操作力を検出する。ここで、操作力は、歩行者がハンディカート1を押し引きする力である。なお、操作桿3の中央部には、買い物かご等を懸架することができるかご用フック60が取り付けられている。
【0013】
(第1の実施形態の制御装置)
次に、図2に基づきハンディカート1に備わる第1の実施形態の制御装置10について説明する。図2は電動式ハンディカート1における第1の実施形態の制御装置を示すシステムブロック図である。
【0014】
制御装置10は、計測手段11と、目標速度演算手段12と、距離演算手段13と、上限速度演算手段14と、比較手段15と、リセット手段16と、計測手段17と、姿勢補償手段18と、減算器19と、加算器20と、目標電流演算手段21と、第1および第2の電流出力手段(22,23)と、加算器24と、平均化手段25と、を備える。
【0015】
計測手段11は、操作力検出手段9からの信号をサンプリングし、この信号に対応する力信号を出力する。目標速度演算手段12は、力信号を積分処理することにより、第1の目標速度信号(Vr1)を演算する。
【0016】
距離演算手段13は、ステレオカメラ(画像検出手段)40からの画像信号に基づきステレオカメラ40から前方の対象物までの距離を演算する。そして、上限速度演算手段14は、距離演算手段13からの距離信号に基づき上限速度信号(Vr2)を演算する。そして、比較手段15は、目標速度演算手段12からの第1の目標速度信号(Vr1)と、上限速度演算手段14からの上限速度信号(Vr2)とを比較し、第1の目標速度信号(Vr1)と上限速度信号(Vr2)とのうち小さいほうの信号を第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)として選択する。なお、本実施形態では、上限速度信号(Vr2)を演算する手段するため検出手段として、ステレオカメラ(画像検出手段)40を用いているが、レーザレンジファイダ(LRF)を用いて、前方の対象物までの距離を演算し、演算した距離信号に基づき上限速度信号(Vr2)を演算してもよい。
【0017】
ここで、第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)として上限速度信号(Vr2)が選択されている場合には、リセット手段16により目標速度演算手段12での積分処理はリセットされ続け、上限速度信号(Vr2)が選択されなくなった場合には、再度、積分処理が再開される。
【0018】
また、第1および第2の速度検出手段(4a,5a)で検出された電動モータ(4,5)の回転速度に対応する第1および第2の検出速度信号(Va1,Va2)は、加算器24で加算されるとともに、平均化手段25にて平均化され平均速度信号(Vave)として出力される。そして、減算器19により第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)から平均速度信号(Vave)が減じられ、第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)と平均速度信号(Vave)との偏差信号(Vε1)が減算器19より出力される。
【0019】
計測手段17は、ジャイロセンサ(傾斜角検出手段)50からの信号をサンプリングし、この信号に対応する角速度信号を出力する。姿勢補償手段18は、角速度信号を処理することによりハンディカート1の傾斜量を補償する補償角速度信号(Vθ)を演算する。そして、減算器19から出力された偏差信号(Vε1)と補償角速度信号(Vθ)とが加算器20にて合算され、合算された合算信号(Vε2)が加算器20より出力される。
【0020】
目標電流演算手段21は、加算器20からの合算信号(Vε2)に基づき、電動モータ(4,5)に供給する目標電流信号を演算する。そして、第1および第2の電流出力手段(22,23)は、目標電流信号に基づきバッテリ30から供給された電流を制御し、制御された制御電流を、それぞれ第1および第2の電動モータ(4,5)に供給する。
【0021】
(第2の実施形態における制御装置)
次に、図3に基づきハンディカート1に備わる第2の実施形態の制御装置110について説明する。図3は電動式ハンディカート1における第2の実施形態の制御装置を示すシステムブロック図である。なお、図2の制御装置10と同一の手段については、同一の符号が付されている。
【0022】
制御装置110は、計測手段11と、目標速度演算手段12と、距離演算手段13と、上限速度演算手段14と、比較手段15と、リセット手段16と、減算器19と、目標電流演算手段21と、第1および第2の電流出力手段(22,23)と、加算器24と、平均化手段25と、を備える。
【0023】
計測手段11は、操作力検出手段9からの信号をサンプリングし、この信号に対応する力信号を出力する。目標速度演算手段12は、力信号を積分処理することにより、第1の目標速度信号(Vr1)を演算する。
【0024】
距離演算手段13は、ステレオカメラ(画像検出手段)40からの画像信号に基づきステレオカメラ40から前方の対象物までの距離を演算する。そして、上限速度演算手段14は、距離演算手段13からの距離信号に基づき上限速度信号(Vr2)を演算する。そして、比較手段15は、目標速度演算手段12からの第1の目標速度信号(Vr1)と、上限速度演算手段14からの上限速度信号(Vr2)とを比較し、第1の目標速度信号(Vr1)と上限速度信号(Vr2)とのうち小さいほうの信号を第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)として選択する。なお、本実施形態では、上限速度信号(Vr2)を演算する手段するため検出手段として、ステレオカメラ(画像検出手段)40を用いているが、レーザレンジファイダ(LRF)を用いて、前方の対象物までの距離を演算し、演算した距離信号に基づき上限速度信号(Vr2)を演算してもよい。
【0025】
ここで、第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)として上限速度信号(Vr2)が選択されている場合には、リセット手段16により目標速度演算手段12での積分処理はリセットされ続け、上限速度信号(Vr2)が選択されなくなった場合には、再度、積分処理が再開される。
【0026】
また、第1および第2の速度検出手段(4a,5a)で検出された電動モータ(4,5)の回転速度に対応する第1および第2の検出速度信号(Va1,Va2)は、加算器24で加算されるとともに、平均化手段25にて平均化され平均速度信号(Vave)として出力される。そして、減算器19により第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)から平均速度信号(Vave)が減じられ、第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)と平均速度信号(Vave)との偏差信号(Vε1)が減算器19より出力される。
【0027】
目標電流演算手段21は、減算器19からの偏差信号(Vε1)に基づき、電動モータ(4,5)に供給する目標電流信号を演算する。そして、第1および第2の電流出力手段(22,23)は、目標電流信号に基づきバッテリ30から供給された電流を制御し、制御された制御電流を、それぞれ第1および第2の電動モータ(4,5)に供給する。
【0028】
(第3の実施形態における制御装置)
次に、図4に基づきハンディカート1に備わる第3の実施形態の制御装置120について説明する。図4は電動式ハンディカート1における第3の実施形態の制御装置を示すシステムブロック図である。なお、図2の制御装置10と同一の手段については、同一の符号が付されている。
【0029】
制御装置10は、計測手段11と、目標速度演算手段12と、計測手段17と、姿勢補償手段18と、減算器19と、加算器20と、目標電流演算手段21と、第1および第2の電流出力手段(22,23)と、加算器24と、平均化手段25と、を備える。
【0030】
計測手段11は、操作力検出手段9からの信号をサンプリングし、この信号に対応する力信号を出力する。目標速度演算手段12は、力信号を積分処理することにより、第1の目標速度信号(Vr1)を演算する。
【0031】
また、第1および第2の速度検出手段(4a,5a)で検出された電動モータ(4,5)の回転速度に対応する第1および第2の検出速度信号(Va1,Va2)は、加算器24で加算されるとともに、平均化手段25にて平均化され平均速度信号(Vave)として出力される。そして、減算器19により第1の目標速度信号(Vr1)から平均速度信
号(Vave)が減じられ、第1の目標速度信号(Vr1)と平均速度信号(Vave)との偏差信号(Vε1)が減算器19より出力される。
【0032】
計測手段17は、ジャイロセンサ(傾斜角検出手段)50からの信号をサンプリングし、この信号に対応する角速度信号を出力する。姿勢補償手段18は、角速度信号を処理することによりハンディカート1の傾斜量を補償する補償角速度信号(Vθ)を演算する。そして、減算器19から出力された偏差信号(Vε1)と補償角速度信号(Vθ)とが加算器20にて合算され、合算された合算信号(Vε2)が加算器20より出力される。
【0033】
目標電流演算手段21は、加算器20からの合算信号(Vε2)に基づき、電動モータ(4,5)に供給する目標電流信号を演算する。そして、第1および第2の電流出力手段(22,23)は、目標電流信号に基づきバッテリ30から供給された電流を制御し、制御された制御電流を、それぞれ第1および第2の電動モータ(4,5)に供給する。
【0034】
(第4の実施形態における制御装置)
次に、図5に基づきハンディカート1に備わる第4の実施形態の制御装置130について説明する。図5は電動式ハンディカート1における第4の実施形態の制御装置を示すシステムブロック図である。なお、図2の制御装置10と同一の手段については、同一の符号が付されている。
【0035】
制御装置10は、計測手段11と、目標速度演算手段12と、減算器19と、目標電流演算手段21と、第1および第2の電流出力手段(22,23)と、加算器24と、平均化手段25と、を備える。
【0036】
計測手段11は、操作力検出手段9からの信号をサンプリングし、この信号に対応する力信号を出力する。目標速度演算手段12は、力信号を積分処理することにより、第1の目標速度信号(Vr1)を演算する。
【0037】
また、第1および第2の速度検出手段(4a,5a)で検出された電動モータ(4,5)の回転速度に対応する第1および第2の検出速度信号(Va1,Va2)は、加算器24で加算されるとともに、平均化手段25にて平均化され平均速度信号(Vave)として出力される。そして、減算器19により第1の目標速度信号(Vr1)から平均速度信号(Vave)が減じられ、第1の目標速度信号(Vr1)と平均速度信号(Vave)との偏差信号(Vε1)が減算器19より出力される。
【0038】
目標電流演算手段21は、減算器19からの偏差信号(Vε1)に基づき、電動モータ(4,5)に供給する目標電流信号を演算する。そして、第1および第2の電流出力手段(22,23)は、目標電流信号に基づきバッテリ30から供給された電流を制御し、制御された制御電流を、それぞれ第1および第2の電動モータ(4,5)に供給する。
【0039】
(電動式ハンディカートの他の実施形態)
次に、本発明の電動式ハンディカートの他の実施形態について、図6に基づいて説明する。図6は本実施形態における電動式ハンディカート1000の斜視図である。なお、図1に示すハンディカート1と同一の部品については同一の符号が付されている。
【0040】
図6に示すように、電動式ハンディカート1000は、パイプ部材より形成された本体フレーム2と、本体フレーム2の端部に取り付けられ、歩行者が保持する棒状の操作桿3と、本体フレーム2に設けられたケースCと、本体フレーム2の両側に取り付けられた電動モータ400と、電動モータ400によりそれぞれ回転駆動する駆動輪600と、を備える。そして、ケースC内には、制御装置300(310,320,330)と、電動モ
ータ400に電流を供給するバッテリ30と、ハンディカート1000の傾斜角を検出する傾斜角検出手段としてのジャイロセンサ50と、が設けられている。また、ハンディカート1000は、電動モータ400の回転速度をそれぞれ検出する速度検出手段400aを備えている。
【0041】
また、操作桿3の上端部にはハンドグリップ8が取り付けられており、ハンドグリップ8には画像検出手段としてのステレオカメラ40が設けられているとともに、ハンドグリップ8内には操作力検出装置9が設けられている。ここで、ステレオカメラ40は、上下方向(操作桿の軸方向)に縦型に配置された2つのCCDカメラ(41,42)を備え、ハンディカート1000の前方における対象物の画像を検出する。操作力検出装置9は、歩行者が操作桿3に与える操作力を検出する。ここで、操作力は、歩行者がハンディカート1000を押し引きする力である。なお、操作桿3の中央部には、買い物かご等を懸架することができるかご用フック60が取り付けられている。
【0042】
(第5の実施形態の制御装置)
次に、図7に基づきハンディカート1000に備わる第5の実施形態の制御装置300について説明する。図7は電動式ハンディカート1000における第5の実施形態の制御装置を示すシステムブロック図である。なお、図2に示す制御装置10と同一の手段については同一の符号が付されている。
【0043】
制御装置10は、計測手段11と、目標速度演算手段12と、距離演算手段13と、上限速度演算手段14と、比較手段15と、リセット手段16と、計測手段17と、姿勢補償手段18と、減算器19と、加算器20と、目標電流演算手段21と、電流出力手段220と、を備える。
【0044】
計測手段11は、操作力検出手段9からの信号をサンプリングし、この信号に対応する力信号を出力する。目標速度演算手段12は、力信号を積分処理することにより、第1の目標速度信号(Vr1)を演算する。
【0045】
距離演算手段13は、ステレオカメラ(画像検出手段)40からの画像信号に基づきステレオカメラ40から前方の対象物までの距離を演算する。そして、上限速度演算手段14は、距離演算手段13からの距離信号に基づき上限速度信号(Vr2)を演算する。そして、比較手段15は、目標速度演算手段12からの第1の目標速度信号(Vr1)と、上限速度演算手段14からの上限速度信号(Vr2)とを比較し、第1の目標速度信号(Vr1)と上限速度信号(Vr2)とのうち小さいほうの信号を第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)として選択する。なお、本実施形態では、上限速度信号(Vr2)を演算する手段するため検出手段として、ステレオカメラ(画像検出手段)40を用いているが、レーザレンジファイダ(LRF)を用いて、前方の対象物までの距離を演算し、演算した距離信号に基づき上限速度信号(Vr2)を演算してもよい。
【0046】
ここで、第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)として上限速度信号(Vr2)が選択されている場合には、リセット手段16により目標速度演算手段12での積分処理はリセットされ続け、上限速度信号(Vr2)が選択されなくなった場合には、再度、積分処理が再開される。
【0047】
また、速度検出手段400aで検出された電動モータ400の回転速度に対応する検出速度信号(Va)は速度検出手段400aから出力される。そして、減算器19により第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)から検出速度信号(Va)が減じられ、第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)と検出速度信号(Va)との偏差信号(Vε1)が減算器19より出力される。
【0048】
計測手段17は、ジャイロセンサ(傾斜角検出手段)50からの信号をサンプリングし、この信号に対応する角速度信号を出力する。姿勢補償手段18は、角速度信号を処理することによりハンディカート1000の傾斜量を補償する補償角速度信号(Vθ)を演算する。そして、減算器19から出力された偏差信号(Vε1)と補償角速度信号(Vθ)とが加算器20にて合算され、合算された合算信号(Vε2)が加算器20より出力される。
【0049】
目標電流演算手段21は、加算器20からの合算信号(Vε2)に基づき、電動モータ400に供給する目標電流信号を演算する。そして、電流出力手段220は、目標電流信号に基づきバッテリ30から供給された電流を制御し、制御された制御電流を、電動モータ400に供給する。
【0050】
(第6の実施形態における制御装置)
次に、図8に基づきハンディカート1000に備わる第6の実施形態の制御装置310について説明する。図8は電動式ハンディカート1000における第6の実施形態の制御装置を示すシステムブロック図である。なお、図2の制御装置10と同一の手段については、同一の符号が付されている。
【0051】
制御装置310は、計測手段11と、目標速度演算手段12と、距離演算手段13と、上限速度演算手段14と、比較手段15と、リセット手段16と、減算器19と、目標電流演算手段21と、電流出力手段220と、を備える。
【0052】
計測手段11は、操作力検出手段9からの信号をサンプリングし、この信号に対応する力信号を出力する。目標速度演算手段12は、力信号を積分処理することにより、第1の目標速度信号(Vr1)を演算する。
【0053】
距離演算手段13は、ステレオカメラ(画像検出手段)40からの画像信号に基づきステレオカメラ40から前方の対象物までの距離を演算する。そして、上限速度演算手段14は、距離演算手段13からの距離信号に基づき上限速度信号(Vr2)を演算する。そして、比較手段15は、目標速度演算手段12からの第1の目標速度信号(Vr1)と、上限速度演算手段14からの上限速度信号(Vr2)とを比較し、第1の目標速度信号(Vr1)と上限速度信号(Vr2)とのうち小さいほうの信号を第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)として選択する。なお、本実施形態では、上限速度信号(Vr2)を演算する手段するため検出手段として、ステレオカメラ(画像検出手段)40を用いているが、レーザレンジファイダ(LRF)を用いて、前方の対象物までの距離を演算し、演算した距離信号に基づき上限速度信号(Vr2)を演算してもよい。
【0054】
ここで、第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)として上限速度信号(Vr2)が選択されている場合には、リセット手段16により目標速度演算手段12での積分処理はリセットされ続け、上限速度信号(Vr2)が選択されなくなった場合には、再度、積分処理が再開される。
【0055】
また、速度検出手段400aで検出された電動モータ400の回転速度に対応する検出速度信号(Va)は速度検出手段400aから出力される。そして、減算器19により第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)から検出速度信号(Va)が減じられ、第2の目標速度信号(Vr1 or Vr2)と検出速度信号(Va)との偏差信号(Vε1)が減算器19より出力される。
【0056】
目標電流演算手段21は、減算器19からの偏差信号(Vε1)に基づき、電動モータ
400に供給する目標電流信号を演算する。そして、電流出力手段220は、目標電流信号に基づきバッテリ30から供給された電流を制御し、制御された制御電流を、電動モータ400に供給する。
【0057】
(第7の実施形態における制御装置)
次に、図9に基づきハンディカート1000に備わる第7の実施形態の制御装置320について説明する。図9は電動式ハンディカート1000における第7の実施形態の制御装置を示すシステムブロック図である。なお、図2の制御装置10と同一の手段については、同一の符号が付されている。
【0058】
制御装置10は、計測手段11と、目標速度演算手段12と、計測手段17と、姿勢補償手段18と、減算器19と、加算器20と、目標電流演算手段21と、電流出力手段220と、を備える。
【0059】
計測手段11は、操作力検出手段9からの信号をサンプリングし、この信号に対応する力信号を出力する。目標速度演算手段12は、力信号を積分処理することにより、第1の目標速度信号(Vr1)を演算する。
【0060】
また、速度検出手段400aで検出された電動モータ400の回転速度に対応する検出速度信号(Va)は、速度検出手段400から出力される。そして、減算器19により第1の目標速度信号(Vr1)から検出速度信号(Va)が減じられ、第1の目標速度信号(Vr1)と検出速度信号(Va)との偏差信号(Vε1)が減算器19より出力される。
【0061】
計測手段17は、ジャイロセンサ(傾斜角検出手段)50からの信号をサンプリングし、この信号に対応する角速度信号を出力する。姿勢補償手段18は、角速度信号を処理することによりハンディカート1000の傾斜量を補償する補償角速度信号(Vθ)を演算する。そして、減算器19から出力された偏差信号(Vε1)と補償角速度信号(Vθ)とが加算器20にて合算され、合算された合算信号(Vε2)が加算器20より出力される。
【0062】
目標電流演算手段21は、加算器20からの合算信号(Vε2)に基づき、電動モータ400に供給する目標電流信号を演算する。そして、電流出力手段220は、目標電流信号に基づきバッテリ30から供給された電流を制御し、制御された制御電流を、電動モータ400に供給する。
【0063】
(第8の実施形態における制御装置)
次に、図10に基づきハンディカート1000に備わる第8の実施形態の制御装置330について説明する。図10は電動式ハンディカート1000における第8の実施形態の制御装置を示すシステムブロック図である。なお、図2の制御装置10と同一の手段については、同一の符号が付されている。
【0064】
制御装置330は、計測手段11と、目標速度演算手段12と、減算器19と、目標電流演算手段21と、電流出力手段220と、を備える。
【0065】
計測手段11は、操作力検出手段9からの信号をサンプリングし、この信号に対応する力信号を出力する。目標速度演算手段12は、力信号を積分処理することにより、第1の目標速度信号(Vr1)を演算する。
【0066】
また、速度検出手段400aで検出された電動モータ400の回転速度に対応する検出
速度信号(Va)は速度検出手段400aから出力される。そして、減算器19により第1の目標速度信号(Vr1)から検出速度信号(Va)が減じられ、第1の目標速度信号(Vr1)と検出速度信号(Va)との偏差信号(Vε1)が減算器19より出力される。
【0067】
目標電流演算手段21は、減算器19からの偏差信号(Vε1)に基づき、電動モータ400に供給する目標電流信号を演算する。そして、電流出力手段220は、目標電流信号に基づきバッテリ30から供給された電流を制御し、制御された制御電流を、電動モータ400に供給する。
【符号の説明】
【0068】
1、1000 電動推進式ハンディカート
2 本体フレーム
3 操作桿
4、400 電動モータ(第1の電動モータ)
4a、400a 速度検出手段
5 電動モータ(第2の電動モータ)
5a 速度検出手段
6、600 駆動輪
7 駆動輪
8 ハンドグリップ
9 操作力検出装置
10、110、120、130、300、310、320、330 制御装置
11 計測手段
12 目標速度演算手段
13 距離演算手段
14 上限速度演算手段
15 比較手段
16 リセット手段
17 計測手段
18 姿勢補償手段
19 減算器
20 加算器
21 目標電流演算手段
22、220 第1の電流出力手段
23 第2の電流出力手段
24 加算器
25 平均化手段
30 バッテリ
40 画像検出手段(ステレオカメラ)
41 CCDカメラ
42 CCDカメラ
50 傾斜角検出手段(ジャイロセンサ)
60 かご用フック
C ケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10