特許第5756445号(P5756445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756445
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】リニアモータの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 25/06 20060101AFI20150709BHJP
【FI】
   H02P5/00 101B
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-223520(P2012-223520)
(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公開番号】特開2013-176280(P2013-176280A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2014年8月28日
(31)【優先権主張番号】特願2012-13669(P2012-13669)
(32)【優先日】2012年1月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山岡 史樹
(72)【発明者】
【氏名】川井 庸市
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−141140(JP,A)
【文献】 特開2011−120442(JP,A)
【文献】 特開2002−223587(JP,A)
【文献】 特開2003−244929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
延設されたステータと、ステータに沿って移動するスライダとを有するリニアモータの制御方法であって、
ステータ延設方向に沿って移動するスライダのストローク位置を検出するステップと、 予めステータ延設方向の複数ストローク位置のそれぞれに対応付けて記憶された、ステータ延設方向におけるステータの突極の位置ずれを補正するための極位置補正値に基づき、検出されたスライダのストローク位置における極位置補正値を導出するステップと、
検出されたスライダのストローク位置と導出された極位置補正値とに基づき、ステータの突極に対するスライダの極の相対位置であるスライダの極位置を算出するステップと、
算出されたスライダの極位置に基づきステータまたはスライダに備えられたコイルに電力を供給して、当該リニアモータを駆動するステップと、
を有するリニアモータの制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載のリニアモータの制御方法であって、
前記ステータは、ステータ延設方向に複数のステータセグメントを並べて構成され、
前記極位置補正値は、ステータセグメントごとに少なくとも一つが予め記憶されている、
リニアモータの制御方法。
【請求項3】
請求項2に記載のリニアモータの制御方法であって、前記複数のステータセグメントは、それぞれ別体である、リニアモータの制御方法。
【請求項4】
請求項2に記載のリニアモータの制御方法であって、前記複数のステータセグメントは、単一の素材を、打ち抜き加工を行う一つのパンチに対してステータ延設方向に沿って順次ずらして複数回打ち抜き加工した際の、1回の打ち抜き加工により形成される部分である、
リニアモータの制御方法。
【請求項5】
請求項1に記載のリニアモータの制御方法であって、極位置補正値は、間隔が空いたストローク位置における値が記憶されており、値が記憶されたストローク位置の間の区間の極位置補正値は、当該区間の一端の極位置補正値と等しい値として導出される、リニアモータの制御方法。
【請求項6】
請求項1に記載のリニアモータの制御方法であって、極位置補正値は、間隔が空いたストローク位置における値が記憶されており、値が記憶されたストローク位置の間の区間の極位置補正値は、当該区間の両端の極位置補正値の平均値として導出される、リニアモータの制御方法。
【請求項7】
請求項1に記載のリニアモータの制御方法であって、極位置補正値は、間隔が空いたストローク位置における値が記憶されており、値が記憶されたストローク位置の間の区間の極位置補正値は、当該区間の両端の極位置補正値を直線補間した値として導出される、リニアモータの制御方法。
【請求項8】
延設されたステータと、ステータに沿って移動するスライダとを有するリニアモータの、ステータの突極に対するスライダの極の相対位置であるスライダの極位置を算出する方法であって、
ステータ延設方向におけるステータの突極の位置ずれを補正するための極位置補正値を、ステータ延設方向の複数のストローク位置において取得し、ステータ延設方向のストローク位置に対応付けて記憶するステップと、
ステータ延設方向に沿って移動するスライダのストローク位置を検出するステップと、
検出されたスライダのストローク位置に対応した極位置補正値を読み出し、検出されたスライダのストローク位置における極位置補正値を算出するステップと、
検出されたスライダのストローク位置と算出された極位置補正値とに基づき、スライダの極位置を算出するステップと、
を有する、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記ステータは、ステータの延設方向に複数のステータセグメントを並べて構成され、
前記極位置補正値は、ステータセグメントごとに少なくとも一つを取得し、記憶する、
方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記複数のステータセグメントは、それぞれ別体である、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記複数のステータセグメントは、単一の素材を、打ち抜き加工を行うパンチに対してステータ延設方向に沿って順次ずらして複数回打ち抜き加工した際の、1回の打ち抜き加工により形成される部分である、方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法であって、
前記ステータは、打ち抜きにより生成されるステータセグメントをステータの長手方向に連続的に並べて構成される1つのステータであり、
前記極位置補正値は、ステータセグメントごとに少なくとも一つを取得し、記憶する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工作機械の軸駆動において、ボールネジを用いず、電気モータ(以下では、電気モータを単にモータと記す。)で直接テーブルを駆動する方式が実用化されている。この方式の工作機械においては、リニアモータが用いられる。
【0003】
リニアモータによる駆動方式は、ボールネジのような減速要素がないため、モータのスライダに関する位置決め精度が直接、駆動軸の位置決め精度となる。よって、リニアモータには高い位置決め精度が要求される。通常、リニアモータを使用する場合には、高分解能な位置検出器を取り付けて駆動対象の位置を検出している。
【0004】
リニアモータは、テーブル等の移動体に取り付けられるスライダと、ベッド等の固定体に取り付けられるステータを含む。なお、リニアモータには原理的に様々な種類があるが、例えば、下記特許文献1のように、互いに対向する面に所定間隔で配列される突極を備えた固定子(ステータ)を使用するものがある。直線状に延びて設けられたステータには、ステータの延びる方向に沿って突極が配列されている。延設されたステータに沿って移動可能なスライダには、ステータの突極に対向するように磁極が設けられている。磁極は、コイルと永久磁石によって形成されている。コイルに所定の電力を供給することにより、ステータの延びる方向に移動磁界が形成され、この移動磁界と突極の相互作用によりスライダがステータの延びる方向に移動する。
【0005】
続いて、一般的なリニア同期モータの制御方法について説明する。図1は、リニアモータの制御装置の構成を示すブロック図である。リニアモータの制御装置は、位置検出器12、比例増幅器21,22、電流分配器23、積分増幅器24、電流制御部25、微分器26、3相PWMインバータ28、および電流検出器29を含む。この制御装置において、位置指令Xが入力されると、この位置指令値と、スライダの位置である位置検出器12による検出値との差分が比例増幅器21によって増幅されて、リニアモータのスライダの速度指令V*として出力される。そして、この速度指令V*と、位置検出器12の検出値を微分器26で微分して得られるスライダの速度との差分が、比例増幅器22および積分増幅器24によってPI演算されて推力指令F*が生成される。この推力指令F*の入力を受けて電流分配器23は、3相電流指令Iu*,Iv*,Iw*のうち2相分の電流指令値Iu*,Iv*を生成して電流制御部25へ出力する。このとき、電流指令を生成する際に、位置検出器12による検出値が考慮される。
【0006】
電流制御部25は、電流分配器23から入力された電流指令Iu*およびIv*と、Iu*+Iv*+Iw*=0の関係式から導出される電流指令Iw*とに基づいて、3相電圧指令eu*,ev*,ew*を生成して3相PWMインバータ28へ出力する。リニアモータは、直流電源27から供給される直流電圧をインバータ28が前記3相電圧指令eu*,ev*,ew*に基づいて変換した3相交流電圧を印加して駆動される。実際にリニアモータに印加する電圧は、電流制御部25において、電流検出器29によって検出された電流検出値iu,iv,iwとの偏差から求めた3相電圧指令eu*,ev*,ew*である。
【0007】
上述した制御方法において、同一電流で、リニアモータの推力を最大にするためには、スライダの位置、特にステータの突極に対するスライダの磁極の位置に応じた最適な電流位相角で電流を印加する必要がある。
【0008】
最適な電流位相角がどのような位相角であるか説明する。図2は、電流一定で、ステータに対してスライダをスライドさせた場合に、リニアモータが発生する推力を示した図である。図2から、このリニアモータの推力は電流位相角が90°となった時に最大となることがわかる。
【0009】
実際には、リニアモータの制御装置は、位置検出器より得られるスライダの位置、すなわちスライダの磁極位置を監視しながら、電流位相角90°となるように磁極のコイルに電流を印加する。この時、制御装置が正確な電流位相角に電流を印加するためには、位置検出器、スライダ、及びステータが所定の位置に取り付けられている必要がある。もし、取付け位置がずれていると、位置検出器がスライダの磁極位置を正確に検出できず、電流が最適位相角からずれ、推力が低下してしまう。
【0010】
しかし、現実的には、リニアモータや位置検出器は、部品の寸法公差や、取付けボルトとボルト穴のがたがあり、所定の位置に正確に取り付けることができず、電流を最適位相角に印加することは困難である。
【0011】
具体的に説明する。図2に示した特性のリニアモータの電流位相360°を機械位相(ピッチ)12mmと想定する。この条件で、スライダとステータと位置検出器の取付け位置が所定の位置から30°(機械位相で1mm)ずれたとすると、図2に示すように、推力は最適位相角に電流を印加した時に得られる最大推力に対して19%も低下してしまう。このような推力低下を防ぐため、下記特許文献2に開示されるように、制御装置に磁極位置補正値を記憶し、位置検出器の磁極位置を電気的に補正する磁極位置補正方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−318839号公報
【特許文献2】特開2008−178237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
リニアモータの駆動ストロークが非常に長い大型工作機械においては、複数の部分に分割されたステータを用いることがある。すなわち、分割された部分であるステータセグメントをストロークの長さに合わせて複数個並べてステータを構成する場合がある。各ステータセグメントの長さ寸法誤差や、取付け誤差により、ステータの突極のピッチがステータの前端と後端でずれてくる。従来の磁極位置補正方法では、磁極位置補正値は1つしかないため、ステータ上の位置により、推力が低下する箇所が発生する。
【0014】
具体的に説明する。図2に示したリニアモータの、電流位相360°を機械位相(ピッチ)12mm、ステータのストロークを9000mmとし、600mmのリニアモータのステータセグメントを15個並べて配置したと想定する。この条件で、ステータの長さ寸法誤差が0.1mm、取付け誤差が0.1mmであった場合、ストローク中央に対するストローク端でのステータの突極のピッチずれは、最大で42°(機械位相で1.4mm)となる。よって、ストロークの中央で求めた磁極位置補正値を用いてストローク全域を制御した場合、図2より、ストローク端で得られる推力は、ストローク中央で得られる推力に対して26%も低下してしまう。
【0015】
複数の部分に分割されたステータは、物理的に分割されたものの他、製造過程において、部分ごとに形成されたものも含む。ステータは、一辺に凹凸が形成された鋼板を積層して形成され、凸部分が突極となる。凹凸形状を有する鋼板は、対応する凹凸形状を有するパンチによる打ち抜き加工により作製される。この打ち抜き加工においては、単一の素材に対し、パンチを相対的に送って複数回の加工を行う。一般的には、パンチを固定し、素材を順次送って複数回の加工を行う。1回打ち抜き加工をした後、パンチの寸法分だけ素材を送り、その位置で2回目の打ち抜き加工を行う。これを繰り返すことで、パンチの寸法より長い、凹凸形状を有する鋼板が作製される。以降においては、ステータの物理的に分割された部分だけでなく、ステータの、1回の打ち抜き加工により凹凸が形成された部分も「ステータセグメント」として説明する。
【0016】
単一の素材に、複数回打ち抜き加工を行って形成されたステータは、1回の打ち抜き加工に対応したステータセグメントがステータの延びる方向に複数並べられた構成を有する。このように、仮想的なステータセグメントを配列した場合においても、ステータセグメントの間の位置ずれ等によりステータの突極のピッチがずれる場合がある。例えば、素材の移動方向におけるパンチの寸法誤差、加工ごとの素材の移動量の誤差により、突極の位置がずれる場合がある。
【0017】
本発明の目的は、ステータの全長にわたって、推力低下の少ない制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係るリニアモータの制御方法は、スライダのストローク位置に応じてステータ突極の位置ずれを補正し、補正された突極の位置に基づき駆動制御を行う。ステータは、所定の形状に延びて設置される。ステータは、直線状に延びて設置されるのが一般的であるが、水平面内で曲線区間を有してもよく、上下に勾配のある区間を有してもよい。ステータは、ステータの設置された方向、つまり延設方向に沿って凹凸が形成されている。この凹凸の凸部は突極と呼ばれている。スライダは、ステータの延設方向に沿って移動可能である。ステータの凹凸に対向して、スライダにも凹凸が形成され、磁極が形成されている。例えば、スライダの凸部に巻回されたコイルと凸部の表面に配置された永久磁石によって磁極が形成されている。コイルに所定の電力を供給することで、スライダ上に、ステータ延設方向に移動する磁界が形成される。この移動磁界とステータの突極との相互作用により、スライダが移動する。なお、ステータに磁極を、スライダに突極を設けることも可能である。以下では、磁極、突極を総称して極と記す。
【0019】
リニアモータにおけるスライダの位置は、二つの側面を有する。一つは、駆動対象をステータに沿って往復移動(ストローク)するときの往復移動に係る位置である。もう一つは、磁極と突極の相対位置である。前者は回転モータの機械角に相当し、後者は電気角に相当する。以下では、ステータに沿った往復移動に係る位置を「ストローク位置」と記し、磁極と突極の相対位置を意味する場合には「極位置」と記す。
【0020】
上述のように、電力は、スライダの極位置に応じた位相で供給される必要がある。このためにスライダのストローク位置を検出するための位置検出器が備えられている。極位置は、理想的には、スライダのストローク位置の変化に対して、一定の周期で変化するので、スライダのストローク位置を検出することで、スライダの極位置を容易に算出することができる。位置検出器は、例えば、ステータに沿って配置されるスケールと、スライダと一体に移動するよう設けられた検出ヘッドを有する。スケールに対して、ステータの位置、特に突極の位置がずれると、位置検出器により検出されたスライダのストローク位置と、実際のステータの位置(突極の位置)に対するスライダの位置(磁極の位置)との間にずれが生じる。つまり、スライダのストローク位置と極位置の関係にずれが生じる。本発明においては、このずれを補正するための補正値を、ステータ延設方向における複数の位置ごとに予め取得し、記憶しておくことで、検出されたスライダのストローク位置から求められるスライダの極位置を補正し、より現実に近いスライダの位相に基づき電力の供給を行う。
【0021】
本発明のリニアモータの制御方法の具体的な態様を以下に記す。まず、ステータ延設方向におけるスライダのストローク位置を検出する。次に、予めステータ延設方向のストローク位置に対応付けて記憶された、ステータ延設方向におけるステータの極位置のずれを補正するための極位置補正値に基づき、検出されたスライダのストローク位置における極位置補正値を導出する。そして、検出されたスライダのストローク位置と導出された極位置補正値とに基づき、スライダの極位置を算出する。この算出された極の相対位置に基づきステータまたはスライダに備えられたコイルに電力を供給して、リニアモータを駆動する。
【0022】
ステータは、ステータの延設方向に複数のステータセグメントを並べて構成されたものとすることができ、極位置補正値は、ステータセグメントごとに少なくとも一つが予め記憶されるようにできる。
【0023】
複数のステータセグメントは、物理的に分割されたものであってよい。また、仮想的なステータセグメントであってよい。ステータの凹凸形状は、単一の素材に対してパンチによる複数回の打ち抜き加工を行って形成されてよい。1回目のパンチによる打ち抜き加工の後、パンチに対して、素材をステータの延設方向にパンチの寸法分相対移動させ2回目の加工を行う。これを繰り返すことにより、長尺のステータを形成することができる。1回の打ち抜き加工によって形成された部分が仮想的なステータセグメントとなる。
【0024】
極位置補正値は、間隔が空いたストローク位置における値を記憶するようにでき、値が記憶されたストローク位置の間の区間の極位置補正値は、当該区間の一端の極位置補正値と等しい値として導出するようにできる。
【0025】
極位置補正値は、間隔が空いたストローク位置における値を記憶するようにでき、値が記憶されたストローク位置の間の区間の極位置補正値は、当該区間の両端の極位置補正値の平均値として導出するようにできる。
【0026】
極位置補正値は、間隔が空いたストローク位置における値を記憶するようにでき、値が記憶されたストローク位置の間の区間の極位置補正値は、当該区間の両端の極位置補正値を直線補間した値として導出するようにできる。
【0027】
本発明の他の態様であるリニアモータのステータの突極に対するスライダの磁極の位置であるスライダの極位置を算出する方法は、まずステータ延設方向におけるステータの突極の位置ずれを補正するための極位置補正値を、ステータ延設方向の複数の位置において取得し、この取得した値をステータ延設方向の位置に対応付けて記憶する。次に、リニアモータの稼働中において、ステータ延設方向におけるスライダのストローク位置を検出する。さらに、検出されたストローク位置に対応した極位置補正値を読み出し、検出されたストローク位置における極位置補正値を算出する。そして、検出されたストローク位置と算出された極位置補正値とに基づき、スライダの極位置を算出する。
【0028】
ステータは、ステータの延設方向に複数のステータセグメントを並べて構成されたものとすることができ、極位置補正値は、ステータセグメントごとに少なくとも一つを取得し、記憶するようにできる。複数のステータセグメントは、物理的に分割されたものであってよく、また仮想的なステータセグメントを構成するものであってもよい。
【発明の効果】
【0029】
スライダのストローク位置に応じた極位置補正値を用いることで、ステータの位置ずれに伴う推力低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】リニアモータの制御装置の構成を示すブロック図である。
図2】リニアモータにおける電流位相角と推力との関係を示した図である。
図3】本発明の実施形態のモータ制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】複数のステータセグメントを並べて構成されたステータを有するリニアモータの一例を示す図である。
図5】本発明における極位置補正値と推力指令値の関係を説明する図である。
図6】本発明におけるリニアモータの極位置補正値の取得から駆動までを表したフローチャートである。
図7(a)】ストローク位置と極位置補正値の関係の一例を示す図である。
図7(b)】ストローク位置と極位置補正値の関係の一例を示す図である。
図7(c)】ストローク位置と極位置補正値の関係の一例を示す図である。
図8】ステータセグメントを並べたリニアモータの他の例を示す図である。
図9】極位置補正値を取得したストローク位置の間の区間での、極位置補正値の補間方法の一例を表した図である。
図10】極位置補正値を取得したストローク位置の間の区間での、極位置補正値の補間方法の他の例を表した図である。
図11】極位置補正値を取得したストローク位置の間の区間での、極位置補正値の補間方法の更に他の例を表した図である。
図12】極位置補正値をステータセグメントごとに一つ取得した場合の当該ステータセグメントの範囲における補間方法の一例を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に従って本発明の実施形態について説明する。図3は、本発明の実施形態に係るモータ制御装置の概略構成を示すブロック図である。図6は、発明の実施形態であるリニアモータの極位置補正値の取得から駆動までを表したフローチャートである。図9−12は、発明の実施形態におけるモータの極位置補正値の補間方法を表した図である。
【0032】
図3において、モータ制御装置は、中央演算処理装置(CPU)42、メモリ44および位置指令設定部46を含む制御部40を備える。中央演算処理装置42は、メモリ44から極位置補正プログラムを読み出して実行する機能を有する。メモリ44は、極位置補正プログラムを予め記憶したROMや、検出データ等を書換え可能に記憶するRAMなどから構成されている。位置指令設定部46は、自動的に又はオペレータによる手動操作に応じて、リニアモータのスライダの位置指令である位置指令Xを設定して比例増幅器21へ入力する機能を有する。位置指令設定部46は、手動操作用のためのスイッチ、キーボード、ダイヤルなどの入力手段を含んでもよい。モータ制御装置1の他の構成は、図1のモータ制御装置と同様であるため、同じ構成要素に同じ符号を付して説明を省略する。
【0033】
前述のように、リニアモータのスライダに供給される電力は、突極に対する磁極の位置(極位置)に応じた位相角で供給される必要があり、このためにスライダのストローク位置を検出するための位置検出器が備えられている。位置検出器は、例えば、ステータに沿って配置されるスケールと、スライダと一体に移動するよう設けられた検出ヘッドを有する。位置検出器の検出原点とスライダの磁極位置の位置関係は、スライダに対する検出ヘッドの取り付け位置により決定されるが、これは誤差を含む。この誤差を補正するために、電気角オフセット値を指定可能としている。予めメモリ44に記憶された電気角オフセット値を指定することで、誤差の補正を行い、位置検出器の検出原点とスライダの磁極位置の関係を検出ヘッドの取付け誤差等によることなく一定とすることができる。さらに、本実施形態においては、ステータの突極とスケールの位置ずれを極位置補正値を用いて補正している。電気角オフセット値に極位置補正値を加算することで、位置検出器のスケールに対するスライダの磁極の位置と、ステータの突極に対するスライダの磁極の位置とが整合される。
【0034】
図4は、リニアモータ11の要部の構成を示す図である。ステータ100は、長さLにわたって延設されている。対をなすステータ100a,100bが並行して配置される。それぞれのステータ100a,100bは帯形状を有し、一辺に凹凸形状が形成され、凹凸形状を有する辺が対向するように配置されている。2本のステータ100a,100bの間にスライダ101が配置され、ステータ100の延設方向に移動する。
【0035】
ステータ100a,100bの構成について説明する。以下、一方のステータ100aについて説明し、他方のステータ100bの説明は省略する。ステータ100aは、物理的に分離した3個のステータセグメント102A,102B,102Cを、ステータの延設方向に並べて形成される。個々のステータセグメントを区別する必要がない場合は、A,B,Cを省略し、ステータセグメントに符号「102」を付して説明する。3個のステータセグメントの長さはL0 (=L/3)である。1本のステータを構成するステータセグメントの数は、3個以外であってもよい。複数のステータセグメントのそれぞれの長さが互いに異なっていてもよい。
【0036】
別体のステータセグメント102を複数配列してステータを形成した場合、個々のステータセグメントの寸法精度、ステータセグメントを固定する際の取り付け精度などにより、ステータセグメントごとに、スライダ位置と極位置のずれ量が異なる場合がある。
【0037】
ステータ100a,100bは、長さLの帯形状の素材(例えば、電磁鋼板)を、複数回のパンチによる打ち抜き加工により凹凸を形成して、作製されてもよい。打ち抜き加工された電磁鋼板を積層して、ステータが形成される。パンチは、長さL0 の範囲を加工できるように作製される。ステータの作製において、まず長さLの帯形状の素材の図4中の左端のステータセグメント102Aの位置に対応した範囲をパンチにより打ち抜き加工する。次に、素材をパンチに対して、左に長さL0 移動させて(素材を固定し、パンチを右に移動してもよい)、ステータセグメント102Bの位置に加工を行う。これを繰り返すことにより、長さLの素材の全長にわたって凹凸形状を形成する。1回の打ち抜き加工で形成された部分を、ステータセグメントとみなすことができる。
【0038】
このように、素材を移動して複数回の打ち抜き加工で形成されたステータにおいても、素材の移動距離の精度などにより、ステータセグメントごとに、スライダ位置と極位置のずれ量が異なる。
【0039】
本実施形態による極位置補正値の取得に用いる推力指令値と極位置補正値との関係について説明する。
【0040】
図5は、極位置補正値を変化させたときの推力指令値F*を示す図である。図5によれば、極位置補正値が図示した最適補正値であれば推力指令値は最小となり、最適補正値から離れる程、同一電流で発生可能な推力が低下するために推力指令は大きくなる。このことから、推力指令値F*の大きさを検出することで最適な極位置補正値を取得することができる。この関係を利用するためには、リニアモータを一定推力状態にする必要がある。
【0041】
次に、極位置補正方法の調整手順を説明する。この極位置補正方法は、制御部40に含まれる中央演算処理装置42によるソフトウェア制御によって実行されてもよいし、または、その手順の一部がハードウェア要素によって実現されてもよい。
【0042】
図6において、まず、ステップS8でスライダ101を第1のステータセグメント102Aに対向する所定のストローク位置に位置決めする。次に、ステップS9でスライダ101を固定する。なお、固定する方法は、機械式ブレーキで拘束してもよいし、電気式ブレーキで拘束してもよいし、固定治具等で拘束してもよい。
【0043】
次に、ステップS10で位置指令を現在の位置と離れた位置に指令する。すなわち、位置指令設定部46により自動または手動操作で設定された位置指令Xを比例増幅器21に入力する。これにより、リニアモータを一定推力状態にする。
【0044】
一方、制御部40のメモリ44には、位置検出器12の検出原点とスライダの極位置との位相差を指定する電気角オフセット値と、前記電気角オフセット値を補正する極位置補正値とがあらかじめ記憶されている。前記極位置補正値は、手動または自動で変更可能に設定されている。
【0045】
次に、ステップS12において、リニアモータの推力指令値F*を検出し、続くステップS14において推力指令値F*と予め設定した閾値を比較する。この閾値として、位置指令Xに関連付けてメモリ44に予め記憶されているものを用いることができる。また、閾値を、例えば図5の推力指令値F*最低値に対して5%というように設定してもよい。推力指令値F*が閾値以上であればステップS16において極位置補正値を変化させ、再度、ステップS12およびS14で推力指令値F*を検出し閾値との比較を行う。この動作を推力指令値F*が閾値未満になるまで繰り返す。
【0046】
そして、推力指令値F*が閾値未満となる極位置補正値が見つかれば、ステップS18において、その極位置補正値と位置検出器の検出位置を、第1のステータセグメント102Aの極位置補正値および検出位置としてメモリ44に記憶する。
【0047】
なお、S8からS19までのステップは、工作機械等にリニアモータと位置検出器を取り付けたらリニアモータを駆動する前に一度行えばよく、その後は、リニアモータや位置検出器を交換したり、着脱したりして、リニアモータと位置検出器の相対位置が変わった場合に行う。
【0048】
次に、ステップS19において、ステータの全ストローク長に関して極位置補正値を記憶したか判断し、全ストローク長に関して極位置補正値を記憶していない場合はステップS8〜S18を繰り返す。すなわち、スライダ101をステータセグメントの長さL0 だけ移動させ第2のステータセグメント102Bに対向するストローク位置に位置決めし、ステップS9以降の処理を実行し、第2のステータセグメント102Bの極位置補正値および検出位置をメモリ44に記憶する。同様な処理により、第3のステータセグメント102Cの極位置補正値および検出位置をメモリ44に記憶する。
【0049】
ステップS8〜S18をストローク長に対して繰り返し、全ストロークにおける位置検出器(またはスライダ)の検出位置すなわちストローク位置と、その位置での極位置補正値をメモリ44に記憶する。ストローク位置と極位置補正値の対応関係が図7(a)に示されている。
【0050】
上記の説明では、各ステータセグメントにおける検出位置をできるだけ同じ箇所にすることが望ましいため、スライダ101をステータセグメントの長さL0 だけ移動させたが、ステータセグメントごとに位置補正値および検出位置が求められれば良く、必ずしも長さL0 だけ移動させる必要はない。また、求める位置補正値および検出位置は、ステータセグメントごとに1箇所とは限らず、複数箇所でも差し支えなく、また、ステータセグメントごとに検出位置の数を変えてもかまわない。この例を、図7(b)に示す。
【0051】
さらに、各ステータセグメントは同一のパンチにより打ち抜かれるため、ステータセグメントの長さのバラツキは小さく、また、各ステータセグメントの取付け誤差も小さいと判断される場合は、必ずしも全てのステータセグメントの位置補正値および検出位置を求める必要がない。この場合は、両端のステータセグメントの位置補正値および検出位置を求めればよい。この例を、図7(c)に示す。
【0052】
図8には、ステータの他の構成例が示されている。2本のステータ110a,110bは、それぞれに属するステータセグメント112が、相互にステータセグメント112の配列ピッチに対し、1/2ピッチずれて配置されている。ステータ110aは、ステータセグメント112A,112B,112Cを並べて構成される。ステータ110bは、ステータセグメント112A’,112B’,112C’,112D’を並べて構成される。図示するように、各ステータセグメント112の境界は、2本のステータ110a,110bの間で1/2ピッチずれている。
【0053】
このような場合には、2本のステータ110a,110bのそれぞれのステータセグメント112の境界で区切った仮想的なステータセグメントを想定する。つまり、ステータセグメント112Aは、二つの仮想ステータセグメント112A-1,112A-2からなるとする。ステータセグメント112B,112Cについても、それぞれ仮想ステータセグメント112B-1,112B-2、112C-1,112C-2からなるとする。そして、ステータ110を、6個のステータセグメント112A-1,112A-2,112B-1,112B-2,112C-1,112C-2を並べて構成されたものと見なし、図4に示したステータ100の場合と同様に、6個のステータセグメントに対応した位置補正値を求めるようにできる。
【0054】
図6に戻って、説明を続ける。メモリ44に記憶された検出位置であるストローク位置と極位置補正値から、電気角オフセット値を補正しモータ制御するステップを説明する。制御部40は、ステップS20においてスライダ101の現在のストローク位置を検出し、ステップS21において現在のストローク位置で使用する極位置補正値δを決定する。
【0055】
ステップS21について、具体的に図9を用いて説明する。
【0056】
図9において、メモリ44に記憶されたストローク位置とその位置での極位置補正値が図7(a)に示すように、ストローク位置Aでの極位置補正値がδ1、ストローク位置Bでの極位置補正値がδ2、ストローク位置Cでの極位置補正値がδ3であったとする。この場合、ストローク位置A〜B間で使用する極位置補正値はδ1、ストローク位置B〜C間で使用する極位置補正値はδ2・・・のように、ストローク位置によって極位置補正値を変更する。この方法では、検出されたスライダ101の現在のストローク位置がメモリ44に記憶されたストローク位置のどこに位置するかに応じ極位置補正値が決定される。
【0057】
ステップS22において、ステップS21において決定された極位置補正値によって補正した、つまり当初の電気角オフセット値に極位置補正値を加算し、ステップS23において、極位置補正値を加算した電気角オフセット値を制御部40から電流分配器23へ入力してモータ制御に用いる。
【0058】
上述したように本実施形態によれば、ストローク端でのステータの長さ寸法誤差や、取付け誤差による推力低下を低減させることができる。なお、極位置補正値の検出間隔を狭くすることで、よりストローク位置間での推力低下を低減させることができる。
【0059】
図10は、極位置補正値を間隔が空いたストローク位置で取得した場合の、その間の区間における補間方法の一例を表した図である。図10に示す補間方法では、図9に示す方法より精度良く極位置補正値の最適値を求めることができる。
【0060】
図10に示す極位置補正値の補間方法が、図9に示すものと異なる点は、所定のストローク位置間で使用する極位置補正値を、隣り合う補正値との平均値とする点である。具体的に図10を用いて説明する。
【0061】
図10において、メモリ44に記憶されたストローク位置Aでの極位置補正値がδ1、ストローク位置Bでの極位置補正値がδ2、ストローク位置Cでの極位置補正値がδ3であったとする。この場合、ストローク位置A〜B間で使用する極位置補正値はδ1とδ2の平均値、ストローク位置B〜C間で使用する極位置補正値はδ2とδ3の平均値・・・のように、ストローク位置によって使用する極位置補正値を、隣り合う補正値との平均値を算出し、ストローク位置に対応して変化させる。この方法では、検出されたスライダ101の現在のストローク位置がメモリ44に記憶されたストローク位置のどこに位置するか判断し、その隣り合うストローク位置での極位置補正値から極位置補正値が決定される。この極位置補正値によって補正した電気角オフセット値を制御部40から電流分配器23へ入力してモータ制御に用いる。
【0062】
上述したように本実施形態によれば、ストローク端でのステータの長さ寸法誤差や、取付け誤差による推力低下を低減させることができる。なお、極位置補正値の検出間隔を狭くすることで、よりストローク位置間での推力低下を低減させることができる。
【0063】
図11は、極位置補正値を間隔が空いたストローク位置で取得した場合の、その間の区間における補間方法の他の例を表した図である。図11に示す方法では、図9に示す方法に比べて、より精度良く極位置補正値の最適値を求めることができる。
【0064】
図11に示す補間方法が図9に示す方法と異なる点は、所定のストローク位置間で使用する極位置補正値を、隣り合う補正値との直線補間値とする点である。具体的に図11を用いて説明する。
【0065】
図11において、メモリ44に記憶されたストローク位置Aでの極位置補正値がδ1、ストローク位置Bでの極位置補正値がδ2、ストローク位置Cでの極位置補正値がδ3であったとする。この場合、ストローク位置A〜B間で使用する極位置補正値はδ1とδ2を直線補間した値、ストローク位置B〜C間で使用する極位置補正値はδ2とδ3を直線補間した値・・・のように、ストローク位置によって使用する極位置補正値を、隣り合う補正値と直線補間した値を算出し、ストローク位置に対応して変化させる。この方法では、検出されたスライダ101の現在のストローク位置がメモリ44に記憶されたストローク位置のどこに位置するか判断し、その隣り合うストローク位置での極位置補正値を直線補間した値から極位置補正値が決定される。この極位置補正値によって補正した電気角オフセット値を制御部40から電流分配器23へ入力してモータ制御に用いる。
【0066】
上述したように本実施形態によれば、ストローク端でのステータの長さ寸法誤差や、取付け誤差による推力低下を低減させることができる。なお、極位置補正値の検出間隔を狭くすることで、よりストローク位置間での推力低下を低減させることができる。
【0067】
なお、図9から図11に示す補間方法において、前記リニアモータのステータが所定のストローク長に合わせて複数個のステータセグメントを並べて配置して構成された場合、ストローク端での各ステータの長さ寸法誤差や、取付け誤差による推力低下を低減させることができる。この場合、ステータセグメントごとに少なくとも1箇所で極位置補正値を測定することが望ましい。あるステータセグメントに関し取得された極位置補正値は、そのステータセグメントの範囲でこの極位置補正値と同一の値を用い、他のステータセグメントでは用いないようにすることができる。
【0068】
図9から図11に示す補間方法の他にも、図12に示すような補間方法がある。図12は、極位置補正値をステータセグメントごとに一つ取得した場合の当該ステータセグメントの範囲における補間方法の一例を表した図である。図12において、ステータセグメントAでの極位置補正値がδ1、ステータセグメントBでの極位置補正値がδ2、ステータセグメントCでの極位置補正値がδ3であったとする。この場合、ステータセグメントAの範囲で使用する極位置補正値はδ1、ステータセグメントBの範囲で使用する極位置補正値はδ2・・・のように、ステータセグメントによって極位置補正値を変化させる。この補正値によって補正した電気角オフセット値を制御部40から電流分配器23へ入力してモータ制御に用いる。
【0069】
また、極位置補正値をステータセグメントごとに複数個取得する場合は、図10から図11に示す補間方法をステータセグメントごとに行い、当該ステータセグメントの範囲での推力低下を防ぐことができる。
【0070】
なお、本発明はスライダをステータ延設方向すなわちストローク方向に複数個配置した場合も同様にリニアモータの推力低下を低減させることが出来る。
【0071】
詳しく説明すると、スライダを複数個配置する場合は、全てのスライダに同じ極位置補正値を持たせる場合と、スライダを複数の組に分けて、それぞれ異なる極位置補正値を持たせる場合と、全てのスライダに異なる極位置補正値を持たせる場合がある。ただし、全てのスライダに同じ磁極位置補正値を持たせると、各スライダがステータ延設方向に距離を置いて設置されるため、各スライダの最適極位置補正値が異なり、極位置補正値が最適値からずれたスライダは推力が低下してしまう。よって、通常は、スライダを複数の組に分けて、それぞれ異なる極位置補正値を持たせるようにするか、全てのスライダに異なる極位置補正値を持たせるようにする。このように異なる極位置補正値を持つ場合、図3のモータ制御部50は、各極位置補正値に対して個別に持つ必要がある。モータ制御部を例えば図示しないモータのドライブ装置に内蔵している場合は、各スライダの組数、または、スライダの数だけ、ドライブ装置を設置して対応する。その場合、図3の位置検出器12は、他のスライダと共用可能である。以上のことから、複数個スライダを配置した場合でも、本発明と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0072】
12 位置検出器、21,22 比例増幅器、23 電流分配器、24 積分増幅器、25 電流制御部、26 微分器、27 直流電流、28 3相PWMインバータ、29 電流検出器、40 制御部、42 中央演算処理装置、44 メモリ、46 位置指令設定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図8
図9
図10
図11
図12