(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
流体医薬品の用量が、駆動ラック(20)を近位方向(12)に動かすことによって設定でき、そうすることによって駆動ギヤ(22)がピストンギヤ(32)に対して回転する、請求項1に記載の再設定可能な駆動機構。
第一の状態において、駆動ラック(20)を遠位方向(14)に動かすことによって、遠位方向(14)へのピストンラック(30)の動きが引き起こされ、そうすることによ
って、流体医薬品が、組み立て薬剤カートリッジ(40)から投与される、請求項1又は2に記載の再設定可能な駆動機構。
連結手段(50)が、駆動ギヤ(22)に位置する第一の連結手段(52)、及びピストンギヤ(32)に位置する第二の連結手段(54)を含む、請求項1〜4の何れかに記載の再設定可能な駆動機構。
連結手段(50)によって、流体医薬品の用量が設定される間、一方向への互いに対する回転運動が可能にされ、そして流体医薬品の用量が投与される間、連結手段(50)によって互いに対する回転運動が防止される、請求項5に記載の再設定可能な駆動機構。
ピストンギヤ(32)の第一の(34)及び第二の部分(36)の両者が、歯(64)を含むピストンラック(30)と係合されるように構成された歯部(60、62)を含む、請求項1〜8の何れかに記載の再設定可能な駆動機構。
駆動機構を再設定するために、係合手段(19、56)は、ピストンギヤ(32)が駆動ギヤ(22)から係合を解除されること、そして駆動ギヤ(22)及び逆止機能(58)に対して自由に回転することを可能にするように構成され、そして、ピストンギヤ(32)の自由回転によってピストンラック(30)が近位方向(12)に移動することが可能になる、係合手段(19、56)を含んでなる請求項1〜11のいずれか1項に記載の再設定可能な駆動機構。
係合手段(19、56)が、薬剤カートリッジ(40)の取り外し中に、駆動ギヤ(22)とピストンギヤ(32)の連結を解除するように、そして薬剤カートリッジ(40)の交換中に、駆動ギヤ(22)とピストンギヤ(32)を連結するように構成される、請求項13に記載の再設定可能な駆動機構。
駆動ギヤ(22)とピストンギヤ(32)の間の係合解除が、近位方向(12)に対して垂直な駆動ギヤ(22)とピストンギヤ(32)の相対的な動きによって達成される、請求項13又は14に記載の再設定可能な駆動機構。
【発明の概要】
【0003】
本開示の目的は、利便性を改善するために役立つ薬物送達デバイスを供することである。
【0004】
本開示の第一の態様によれば、薬物送達デバイスにおいて使用するための再設定可能な駆動機構が供される。薬物送達デバイスは遠位方向及び近位方向を有する。駆動機構は、駆動ギヤと係合された駆動ラック、ピストンギヤと係合されたピストンラック、及び駆動ギヤをピストンギヤと連結するための連結手段を含む。駆動機構の第一の状態において、駆動ギヤとピストンギヤは連結され、そして駆動ラックが遠位方向に動かされるとき、ピストンラックが遠位方向に動く。駆動機構の第二の状態において、駆動ギヤとピストンギヤは連結を解除され、そして駆動機構を再設定するためにピストンラックが近位方向に可動である。
【0005】
薬物送達デバイスは、組み立てられた薬剤カートリッジから医薬品が投与され得る遠位端を含む。近位端は遠位端の反対側の端を表す。
【0006】
アセンブリの第一の状態において、駆動ラックが遠位方向に動かされるとき、駆動ギヤとピストンギヤが回転するように、駆動ギヤとピストンギヤは連結される。駆動ギヤ並びにピストンギヤの回転によってピストンラックの遠位への動きが引き起こされる。ピストンラックの動きを用いて、組み立てられた薬剤カートリッジ中で栓が前方に駆動され得て、そうすることによって流体医薬品が投与される。
【0007】
アセンブリの第二の状態において、駆動ギヤとピストンギヤは連結解除される。駆動ギヤとピストンギヤの連結解除のせいで、ピストンラックは近位方向に可動である。ピストンラックを近位方向に動かすことによって、薬物送達デバイスは再設定され得る。
【0008】
好ましい実施態様において、液体医薬品の用量が、駆動ラックを近位方向に動かすことによって設定できて、そうすることによって駆動ギヤがピストンギヤに対して回転する。
【0009】
駆動ラックは、ピストンラックと同一平面上の薬物送達デバイスの縦軸に沿って位置し得る。駆動ラックは、それが薬物送達デバイスの軸に平行に直線的に動くことのみが許されるように支持され得る。
【0010】
駆動ギヤは、その回転軸が薬物送達デバイスの主軸に対して直角であるように配置され得る。駆動ギヤは、駆動ラックに位置する歯と恒久的に係合され得るその周囲の周りに配置される歯を特徴とする。この係合は、駆動ラックの軸方向の動きによって、その回転アクセルの周りの駆動ギヤの回転がもたらされるように、そしてその逆でもあり得る。
【0011】
アクセルは駆動ギヤの第一の側に配置される。アクセルは駆動ギヤの中心から突き出る
。駆動ギヤは、本体に対する駆動ギヤの回転運動が許されるが軸方向の動きは許されないように、薬物送達デバイスの本体の内側に位置し得る。駆動ギヤの第二の側は、ピストンギヤのアクセルの挿入のための開口部を含み得る。駆動ギヤとピストンギヤを連結するための連結手段が供され得る。連結手段はラチェット歯であり得る。
【0012】
流体医薬品の用量を設定するために、駆動ラック又は駆動ラック自身の部分に組み込まれ得るボタン部材が本体に対して近位方向に引かれる。これによって、駆動ラックに位置する歯と駆動ギヤの歯の間の噛み合い係合のせいで、駆動ギヤがそのアクセルの周りに回転されることになる。
【0013】
駆動ギヤが回転するとき、駆動ギヤとピストンギヤの間に配置され得るラチェット歯を含み得る連結手段は互いに亘って滑る。一方向へのピストンギヤの回転運動を防ぐ逆止機構のせいでピストンギヤが回転できない故に、ラチェット歯は互いに亘って滑り得る。従って、ピストンギヤは、駆動ギヤが回転する間、静止状態に留まる。
【0014】
更に、ラチェット歯は、一方向への回転運動が、ラチェット歯を乗り越え得るように形成され得る傾斜を含み得る。反対方向には、ラチェット歯の傾斜によって相対的な回転が防がれ得る。
【0015】
駆動ギヤは、ギヤの回転軸に沿って一つの方向にラチェット歯が乗り越え得るように、係合手段の作用に抗してその回転軸に沿って可動である。
【0016】
また、薬物送達デバイスの本体に位置する逆止め機構とピストンギヤの間の係合によって、ピストンギヤが駆動ギヤと同じ方向に回転できないことが確保される。駆動ギヤによってピストンギヤに移される如何なるトルクもピストンギヤの回転を生じさせ得ない。
【0017】
一旦、駆動ラックが近位方向に完全に動かされると、駆動ギヤとピストンギヤの間のラチェット歯は係合位置に落ち込み得て、流体医薬品の用量が完全に設定されたというフィードバックを使用者に供する。
【0018】
別の好ましい実施態様において、第一の状態において、駆動ラックを遠位方向に動かすことによって、遠位方向へのピストンラックの動きが引き起こされ、そうすることによって液体医薬品が薬剤カートリッジから投与される。
【0019】
ピストンギヤは、その回転軸が駆動ギヤのそれに沿って横たわるように、一つの側上の駆動ギヤの開口部内を通るアクセルを特徴とする。その周囲の周りで、ピストンギヤは複数の歯を特長付け得る。歯の第一のセットは、本体上に取り付けられた逆止機能と係合可能であり得る。歯の第二のセットは第一の歯のセットよりも低い歯高を特徴とする。これによって、歯の第二のセットが逆止機能と係合し得ないことが確保される。歯の両方のセットは、そこでピストンギヤの歯の第一のセットが、歯の第二のセットよりも高い歯高を有するピストンラックと恒久的に係合状態にあり得る。
【0020】
ピストンギヤは、ピストンギヤの軸方向の動きによって逆止機能と係合され得て及びそれから係合を解除され得る。この軸方向の動きはピストンラックとの係合を失うことなく起こり得る。
【0021】
一旦、流体医薬品の用量が設定されると、使用者は、液体医薬品を組み立てられた薬剤カートリッジから投与するために、遠位方向にボタン部材上を軸方向に押す。これによって、用量の設定時とは反対方向への駆動ギヤの回転が引き起こされる。そうすることによって、駆動ラックは遠位方向に動く。
【0022】
駆動ラックの動きのせいで、駆動ギヤが回転するとき、駆動ギヤとピストンギヤの間の連結手段はインターロックし、そしてピストンギヤが駆動ギヤを用いて回転することを引き起こし、複合ギヤを効果的に創り出す。
【0023】
逆止機能によって、ボタン部材が遠位方向に動かされる間、駆動ギヤと同じ方向へのピストンギヤの回転が可能になる。ピストンギヤに亘るこの機構のラチェッティングによって幾つかのカチッという音が生み出され得て、流体医薬品が投与されたというフィードバックを使用者に供する。
【0024】
ピストンギヤの回転及びピストンラックとのその係合によって、薬物送達デバイスの軸に沿って遠位方向へのピストンラックの走行が引き起こされ得る。ピストンラックの動きによって、組み立てられた薬剤カートリッジ内の栓が無理やり遠位方向に動かされ得て、そして流体医薬品の用量が薬剤カートリッジから排出され得る。
【0025】
複語ギヤとして作用する駆動ギヤとピストンギヤの直径における相違によって、使用者によってボタン部材上に入力される力と、ピストンラックの遠位部分によってカートリッジの栓上にかけられるその後の力の間で、システムにおける機械的利点が生み出される。
【0026】
好ましい実施態様において、連結手段は一方向性連結を含む。
【0027】
連結手段は、第一の連結部材及び第二の連結部材を含み得る。ピストンギヤに位置する第一の連結部材が第二の連結部材と係合されるとき、第一の連結部材及び第二の連結部材によって一方向への駆動ギヤの回転がピストンギヤに移されることが確保される。
【0028】
連結手段は、一つの方向のみへの相対的な回転を可能にするラチェット歯を含み得る。用語「一方向性の」は、二つの部品の間の一つの方向への相対的な回転を可能にし、そして反対方向への互いに対する回転を防ぐ連結を意味し得る。また、それは必ずしも回転運動である必要はない相対的な動きが、一つの方向へのみ可能であり、そして別の方向には不可能であることを意味し得る。逆止機能及びギヤの動きも一方向性の連結に寄与する。
【0029】
別の好ましい実施態様において、連結手段は、駆動ギヤに位置する第一の連結手段、及びピストンギヤに位置する第二の連結手段を含む。
【0030】
連結手段は、駆動ギヤ上に位置し得る第一の連結部材、及びピストンギヤ上に位置し得る対応する第二の連結部材を含み得る。
【0031】
好ましい実施態様において、連結手段によって、流体医薬品の用量が設定される間、一方向への互いに対する回転運動が可能になり、ここで、流体医薬品の用量が投与される間、連結手段によって互いに対する回転運動が防がれる。
【0032】
用量設定のために、駆動ギヤとピストンギヤの間に位置するラチェット歯であり得る連結手段は互いに亘って滑る。一方向への回転を防ぎ、そしてピストンギヤと係合している逆止機能のせいで、ピストンギヤは静止状態に留まる。駆動ギヤは回転し得て、そしてラチェット歯が乗り越え得るように、その回転軸に沿って軸方向に、例えば、ギヤスプリングの作用に抗して可動である。
【0033】
駆動ラックの動きのせいで、用量投与のために駆動ギヤが回転する。駆動ギヤとピストンギヤの間の連結手段はインターロックされ、そして駆動ギヤと共にピストンギヤが回転することを引き起こし得て、複合ギヤを効果的に創り出す。
【0034】
別の好ましい実施態様において、駆動機構は、駆動ギヤとピストンギヤが連結されている間、一方向へのピストンギヤの回転を防ぐための逆止機能を含む。
【0035】
逆止機能は薬物送達デバイスの本体と一体的に形成され得る。逆止機能は薬物送達デバイスの本体の部分であり得るか又は本体に剛直に連結され得る。逆止機能は、ピストンギヤの一方向への回転運動を防ぐべきであり、一方、流体医薬品の用量は設定されて、そして薬剤カートリッジが交換されている間、ピストンギヤが両方向に回転され得るべきである。
【0036】
逆止機能は一方向にのみ乗り越え得る弾性部材を含み得る。
【0037】
別の好ましい実施態様によれば、ピストンギヤは、第一の状態において、逆止機能がピストンギヤの第一の部分に位置し、そして第二の状態において、逆止機能がピストンギヤの第一の部分に位置するように構成された第一の部分及び第二の部分を含む。
【0038】
ピストンギヤの第一の部分は第一の直径及び歯の第一のセットを含み得る。ピストンギヤの第二の部分は第二の直径及び歯の第二のセットを含み得る。
【0039】
ピストンギヤの特別な形状故に、逆止機能が、もはやピストンギヤの第一の部分と係合状態に無いように、ピストンギヤを、組み立てられた逆止機能に対して移動することが可能であり得る。そうすることによって、ピストンラックは近位方向に押し戻され得る。
【0040】
別の好ましい実施態様において、駆動機構の第一の状態において、逆止機能はピストンギヤの第一の部分と係合される。
【0041】
第一の部分は、ピストンギヤの第二の部分に位置する歯の第二のセットより大きな直径を有する歯のセットを含む。逆止機能との係合によって、一方向へのピストンギヤの回転運動が防がれ、そして他の方向へのピストンギヤの回転運動が可能になる。
【0042】
別の好ましい実施態様によれば、駆動機構の第二の状態において、逆止機能はピストンギヤの第一の部分から係合を解除される。
【0043】
逆止機能をピストンギヤの第一の部分から係合を解除することによって、ピストンギヤを両方向に回転することが可能である。
【0044】
別の好ましい実施態様において、ピストンギヤの第一の部分及び第二の部分の両者は、歯を含むピストンラックと係合されるように構成された歯を含む。
【0045】
ピストンギヤに位置する歯の両方のセットを有するピストンラックの歯の間の恒久的な係合によって、ピストンラックの再設定の際に駆動ギヤとピストンギヤの間の相対的な位置が同じであること可能になる。逆止機能は、ピストンギヤの回転運動の軸に沿った移動によってピストンギヤの第一の部分から係合を解除される。
【0046】
別の好ましい実施態様において、駆動ラックは遠位方向及び近位方向に可動である。
【0047】
駆動ラックは、流体医薬品の用量を設定するために一方向に動かされ得る。流体医薬品の用量を投与するために、駆動ラックは反対方向に動かされ得る。
【0048】
別の好ましい実施態様によれば、駆動ラック及び駆動ギヤは、互いに係合するための歯
を含む。
【0049】
好ましくは、駆動ラックは、駆動ラックの遠位端での歯のセットを特徴とする。歯のセットは駆動ラックの長さに沿って幾らかの距離で延びる。これらの歯は駆動ギヤ上のはめ込み歯と係合するように設計される。
【0050】
別の好ましい実施態様によれば、駆動機構を再設定するために、係合手段は、ピストンギヤが駆動ギヤから係合を解除されること、そして駆動ギヤ及び逆止機能に対して自由に回転することを可能にするように構成され、そしてここで、ピストンギヤの自由回転によってピストンラックが近位方向に動かされことが可能になる。
【0051】
一つ又はそれ以上の係合手段が供され得る。第一の係合手段は駆動ギヤとピストンギヤが係合するように作用し、そして第二の係合手段は駆動ギヤとピストンギヤが係合解除するように作用する。
【0052】
第一の係合手段は、例えば、ピストンギヤを駆動ギヤに向かって押すようにピストンギヤの一部の上に作用するカートリッジホルダの延ばされた部分であり得る。
【0053】
第二の係合手段は、ピストンギヤのアクセル内部に位置し得て、そしてピストンギヤを押して駆動ギヤから離すことによって、ピストンギヤ及び駆動ギヤに分離する力をかける、例えば、ばねであり得る。別の可能な第二の係合手段は、駆動ギヤの周りに配置され、そして駆動ギヤとピストンギヤを分離するように作用するギヤスプリングであり得る。
【0054】
別の好ましい実施態様によれば、係合手段は、駆動ギヤとピストンギヤの間の連結手段と連結するように、そして連結解除するように構成される。
【0055】
係合手段のせいで、駆動ギヤ上に位置する第一の連結手段及びピストンギヤに位置する第二の連結手段は連結され得てそして連結を解除され得る。係合手段を用いて、ピストンギヤは駆動ギヤに向かって動かされる。そうすることによって、ラチェット歯を含み得る連結部材は連結する。
【0056】
別の実施態様において、係合手段は、薬剤カートリッジの取り外し中に駆動ギヤとピストンギヤを連結解除するように、そして薬剤カートリッジの交換中に駆動ギヤとピストンギヤを連結するように構成される。
【0057】
薬剤カートリッジが薬物送達デバイスから取り外された後、駆動ギヤとピストンギヤは、駆動ギヤ及び駆動ラックを駆動することなく、ピストンラックが近位方向に押し戻されることを可能にするように連結を解除され得る。係合手段は、ピストンギヤに力がかけられ得るように、駆動ギヤとピストンギヤの間に組み込まれ得て、それによってピストンギヤが押されて駆動ギヤから離れる。
【0058】
他方、係合手段は、薬剤カートリッジが存在するとき、薬物送達デバイスが流体医薬品の用量を設定して、組み立てられた薬剤カートリッジから投与することを可能にするように、駆動ギヤをピストンギヤと連結すべきである。
【0059】
別の好ましい実施態様によれば、駆動ギヤとピストンギヤの間の係合解除は、近位方向に直角な駆動ギヤとピストンギヤの相対的な動きによって達成される。
【0060】
例えば、ばねを用いて力をかけることによって、ピストンギヤは駆動ギヤに対して、及び逆止機能に対して動かされ得る。この力によって、ピストンギヤは、ピストンギヤが逆
止機能から係合を解除されるように、その回転軸に沿って移動させられる。この係合解除によってピストンギヤの自由回転が可能になり、そしてデバイスの再設定が開始され得る。
【0061】
本開示の第二の態様によれば、述べられた再設定可能な駆動機構を含む薬物送達デバイスが供される。
【0062】
本開示による再設定可能な駆動機構を含む薬物送達デバイスは、そのような薬物送達デバイスの使用者に対して多くの利点を有し得る。
【0063】
特に、薬剤カートリッジは交換可能であり、そして使用者は薬剤カートリッジを迅速にそして自力で交換し得る。従って、薬物送達デバイスは薬物送達デバイスの使用者にとって再使用できそしてコスト効率的である。
【0064】
本開示の第三の態様によれば、駆動機構の再設定方法が供される。駆動機構は、係合手段、駆動ギヤ、駆動ギヤに係合しているピストンギヤ、及びピストンギヤと係合しているピストンラックを含む。駆動機構の再設定方法は、係合手段によって駆動ギヤからピストンギヤを係合解除し、このようにしてピストンギヤが自由に回転することを可能にする工程;及びピストンラックを近位方向に動かす工程;を含む。
【0065】
好ましくは、一旦、薬剤カートリッジが空になると、それは交換され得て、そして駆動機構は、カートリッジホルダを薬物送達デバイスの本体から軸方向に連結を解除することによって再設定され得る。カートリッジホルダの延ばされた部分は、駆動ギヤとピストンギヤの間に位置するギヤスプリングによってかけられる分離力に対抗する。このように、カートリッジホルダが取り外されるとき、ピストンギヤは、ギヤスプリングの作用の下で、駆動ギヤから離れてその回転軸に沿って軸方向に動く。
【0066】
ピストンギヤの軸方向の動きによって、ピストンギヤの第一の部分が、本体に位置する逆止機能から係合を解除されることになる。また、ピストンギヤの軸方向の動きによって、駆動ギヤとピストンギヤの間のラチェット歯が連結解除され得る。しかしながら、ピストンギヤはピストンラックと歯で係合されたまま留まる。
【0067】
一旦、カートリッジホルダが完全に取り外されると、ピストンラックは、ピストンラックの遠位端に近位方向に軸方向の力をかける使用者によって、出発位置に戻され得る。ピストンラックが軸方向に動くとき、ピストンギヤは、ピストンラックとの歯での係合下で自由に回転する。
【0068】
一旦、ピストンラックがその出発位置に戻されると、新しいカートリッジを有するカートリッジホルダはデバイス内に軸方向に再度はめ込まれる。カートリッジホルダ上の延びによってピストンギヤのアクセルが妨害され、そしてそれがギヤスプリングの力に抗して駆動ギヤに向かって軸方向に無理やり動かされる。
【0069】
本開示の第四の態様によれば、ギヤの使用が供される。ギヤは第一の部分及び第二の部分を含み、そして投与ギヤとして及び再設定ギヤとして使用される。第一の部分は第一の直径及び第一の歯部を含む。第二の部分は第二の直径及び第二の歯部を含む。第一の直径が第二の直径より大きい。ギヤが、投与ギヤとして第一の工程において使用されるとき、ギヤの第一の歯部は、ある方向への逆止機能に対するギヤの回転を防ぎ、そして反対方向へのギヤの回転を可能にする逆止機能と係合される。ギヤが再設定ギヤとして第二の工程において使用されるとき、ギヤの第一の歯部は逆止機能から係合解除され、一方向へのギヤの回転が可能になる。
【0070】
ギヤの形のせいで、ピストンラックの再設定は非常に容易である。そのような薬物送達デバイスは、別個の再設定機構を有するための追加の部品が全く必要とされ得ない故、コスト効率的である。ギヤは駆動ギヤとして、そして再設定ギヤとして使用され得る。
【0071】
別の好ましい実施態様によれば、再設定ギヤとして使用されるとき、ギヤは逆止機能に対して両方向に回転できる。ギヤの二つの部分の第一の歯部及び第二の歯部は、ラックと係合するように構成される。
【0072】
ピストンギヤの第二の部分で周囲に配置され得る歯のセットは、逆止機能が歯と係合できず、そうすることによって、再設定ギヤとして使用されたとき、ピストンギヤの回転を阻止するように形成され得るであろう。ピストンギヤの両方の部分はピストンラックと係合され得るべきである。
【0073】
本明細書で使用する用語「医薬品」、「薬物」及び「流体医薬品」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む薬学的処方品を意味し、
ここで一実施態様において、薬学的に活性な化合物は、高々1500Daの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、蛋白質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモン、若しくはオリゴヌクレオチド、又は上記の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈又は肺血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症、及び/又は、関節リウマチなどの血栓塞栓症の治療、及び/又は、予防に有用であり、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、又は糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の治療、及び/又は、予防のため、少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで更なる実施態様において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン、又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)、又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン3又はエキセンジン4、若しくはエキセンジン3又はエキセンジン4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0074】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;ヒトインスリンであり、ここで、B28位におけるプロリンは、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B28位において、Lysは、Proで代替されてもよく;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0075】
ヒトインスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイル ヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン; B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル) ヒトインス
リンである。
【0076】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、HHis−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH
2配列のペプチドを意味する。
【0077】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下の化合物リスト:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
【0078】
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28] エキセンジン−4(1−39);
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);
ここで、基−Lys6−NH
2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0079】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(
1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH
2;
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH
2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH
2;
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38 [Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH
2;
又は前述のいずれかのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容可能な塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0080】
ホルモンは、例えば、ゴナドトロピン(ホリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン (ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレッシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどのRote Liste、2008年版、50章に表示されている脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は規制活性ペプチド及びそれらの拮抗剤である。
【0081】
多糖類としては、例えば、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、又は超低分子量ヘパリン、若しくはその誘導体などのグルコアミノグリカン、又はスルホン化された、例えば、上記多糖類のポリスルホン化形体、及び/又は、薬学的に許容可能なその塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0082】
薬学的に許容可能な塩は、例えば、酸付加塩及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na
+、又は、K
+、又は、Ca
2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN
+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素;場合により置換されるC1C6アルキル基;場合により置換されるC2C6アルケニル基;場合により置換されるC6C10アリール基、又は場合により置換されるC6C10ヘテロアリール基である。薬学的に許容される塩の更なる例は、‘Remington's Pharmaceutical Sciences' 17編、Alfonso R.Gennaro(編集),Mark Publishing Company,Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0083】
薬学的に許容可能な溶媒和としては、例えば、水和物がある。
以下に、添付図面を参照してより詳細に本発明を説明する、ここで、
【図面の簡単な説明】
【0084】
【
図1】ギヤの配置の三次元切断(cut-away)図を示す。
【
図2a】流体医薬品の用量を設定する前の薬物送達デバイスの断面図を示す。
【
図2b】流体医薬品の用量の設定の際の薬物送達デバイスの断面図を示す。
【
図2c】流体医薬品の用量を投与中の薬物送達デバイスの断面図を示す。
【
図3a】カートリッジが空であるときの薬物送達デバイスの断面図を示す。
【
図3b】カートリッジホルダが取り外された後の薬物送達デバイスの断面図を示す。
【
図3c】ピストンラックが戻される際の薬物送達デバイスの断面図を示す。
【
図3d】カートリッジホルダが再度はめ込まれる際の薬物送達デバイスの断面図を示す。
【
図4a】連結手段が連結される際の駆動ギヤ及びピストンギヤの断面図を示す。
【
図4b】連結手段が連結解除される際の駆動ギヤ及びピストンギヤの断面図を示す。
【0085】
図1、
図2a、2b、2c、
図3a、3b、3c及び3d、
図4a及び4b、並びに
図5及び6を参照して、本開示による薬物送達デバイスの幾つかの好ましい実施態様を以下
に論じる。同じ参照符号は同じ又は相当する部品を表す。
【0086】
図1は、本開示の一つの実施態様によるギヤの薬物送達デバイスの三次元切断図を示す。
【0087】
薬物送達デバイス10は、明確には示されていない組み立てられた薬剤カートリッジから液体医薬品が投与され得る遠位端14、及び遠位端14の反対側の端部を表す近位端12を含む。
【0088】
薬物送達デバイス10のハウジングは二つの部分、本体16及びカートリッジホルダ18を含む。カートリッジホルダ18は使用者によって取り外され得て、そして再度はめ込まれ得る。また、カートリッジホルダ18は、連結が薬物送達デバイス10によって見られる操作負荷を受け取り得るように本体16に連結される。
【0089】
使用中に、カートリッジホルダ18は本体16に恒久的に取り付けられる。ねじ又はバヨネットロックによって本体16とカートリッジホルダ18が連結され得る。
【0090】
本体16は、ギヤスプリング56に対する及び駆動ギヤ22に対する駆動ギヤ32のための取り付け位置を含む。取り付け位置によって、それらの回転軸の周りの両方のギヤの回転、その回転軸に沿ったピストンギヤの軸方向の動き、及びギヤスプリング56の固定された位置が可能になる。本明細書において、駆動ギヤは、ギヤスプリング56、及び一方の側上の本体における、及び他の側上のピストンギヤにおける軸の係合によって、しかるべき位置に保持される。
【0091】
示された薬物送達デバイス10は、ペン型注射器である。カートリッジホルダ18内に、示されていない薬剤カートリッジが置かれ、それは流体医薬品の多数の用量を含有している。流体医薬品は、明確には示されていない、そしてカートリッジホルダ18の遠位端に取り付けられ得る針を用いて注射され得る。
【0092】
駆動機構は、なかでも、歯66を有する駆動ギヤ22、ピストンギヤ32、ピストンラック30、逆止機能58及び係合手段を含む。逆止機能58は本体16に対して固定された位置を有する。逆止機能58は薬物送達デバイス10の本体16に取り付けられ得る。本体16と逆止機能58の間の係合は、逆止機能58がデバイスの軸に沿って一方向にのみゆがみ得るようなものであり、そうであることによって、ピストンギヤ32の第一の歯部60から係合を解除して、その結果ピストンギヤ32が回転することが可能になる。他の方向への動きは阻止され、そうすることによってピストンギヤ32の回転運動が阻止される。
【0093】
明確には示されていないボタン部材は、やはり明確には示されていない駆動ラックの近位端12に位置する。ボタン部材によって使用者は薬物送達デバイス10を操作することが可能になる。
【0094】
ピストンギヤ32は二つの部分、つまり、第一の歯部60及び第一の直径を有する第一の部分34、並びに第二の歯部62及び第二の直径を有する第二の部分36を含む。
【0095】
係合手段は第一の係合手段及び第二の係合手段を含む。明確には示されていない第一の係合手段は、ピストンギヤ32及び駆動ギヤ22を係合するように作用する。第二の係合手段は、駆動ギヤ22及びピストンギヤ32を軸方向に分離するように作用する。
【0096】
第一の係合手段はカートリッジホルダの延長部であり得る。ギヤスプリング56を含む
第二の係合手段は、駆動ギヤ22とピストンギヤ32の間に配置され得る。本体16の内側へのギヤスプリング56の一つの側の取り付けによってばね力が作用される。ピストンギヤ32と駆動ギヤ22は、ピストンギヤ32とカートリッジホルダ18の延長部19の間の軸方向の妨害によって、ギヤスプリング56の作用に抗して一緒に保持され得る。
【0097】
ピストンラック30は薬物送達デバイス10の主軸に沿って置かれる。ピストンラック30の遠位端31は組み立てられた薬剤カートリッジの栓と隣接するが、ここで栓及び薬剤カートリッジは明確には示されていない。
【0098】
ピストンラック30は、ピストンラック30の表面の長さに沿って軸方向に延びる歯64のセットを特徴とする。ピストンラック30は、薬物送達デバイス10の縦軸に平行に直線的にのみ動くことが可能なように、薬物送達デバイス10中に支持される。ピストンラック30の歯64とピストンギヤ32の第一の歯部60、62の噛み合いによって、トルクは直線的な力に、又はその逆に変換され得る。
【0099】
図2aは、流体医薬品の用量を設定する前の薬物送達デバイスの断面図を示す。
図2aにおいて示された薬物送達デバイスは、
図1におけるものと実質的に等しい。
【0100】
薬物送達デバイス10の遠位端で、ボタン部材24は駆動ラックの遠位端に取り付けられ得る。流体医薬品は明確には示されていない、そして薬物送達デバイス10の遠位端14に取り付けられ得る針ユニットを用いて注射され得る。
【0101】
係合手段は、第一の係合手段及び第二の係合手段を含む。第一の係合手段はピストンギヤ32と駆動ギヤ22を係合するように作用する。第二の係合手段は駆動ギヤ22とピストンギヤ32を係合解除するように作用する。
【0102】
第一の係合手段は、ピストンギヤ32の一部51上に作用するカートリッジホルダの延ばされた部分であり、それによって、ピストンギヤ32を駆動ギヤ22に向かって押す。第二の係合手段は、駆動ギヤ22及びピストンギヤ22を分離するように作用するギヤスプリング56を含む。
【0103】
ピストンギヤ32は二つの部分、つまり、第一の歯部60及び第一の直径を有する第一の部分34、並びに第二の歯部62及び第二の直径を有する第二の部分36を含む。駆動ギヤ22とピストンギヤ32の間に、連結手段50が置かれ、それは駆動ギヤ22とピストンギヤ32を連結する。ピストンラック30は遠位端31を含み、それは薬剤カートリッジ40の栓と隣接するが、ここで、栓は明確には示されていない。
【0104】
図2bは、流体医薬品の用量の設定の際の薬物送達デバイスの断面図を示す。
示された薬物送達デバイス10は、主として
図2aにおけるものと同じであるが、
図2bは薬物送達デバイス10を示し、一方、流体医薬品の用量が設定されることが異なる。
【0105】
流体医薬品の用量を設定するために、使用者は近位方向12にボタン部材24を引く。ボタン部材24と駆動ラック20の間の連結のために、駆動ラック20は近位方向12に動かされる。
【0106】
駆動ギヤ22上の歯66及び駆動ラック20上の歯68が互いに係合されるため、ボタン部材24の動きによって方向72への駆動ギヤ22の回転が引き起こされる。
【0107】
駆動ギヤ22は、明確には示されていないラチェット歯を含む一方向性連結手段50を用いてピストンギヤ32に連結される。駆動ギヤ22を回転運動の第一の方向に回転する
ことによって、駆動ギヤ2とピストンギヤ32の間のラチェット歯は互いに亘って滑る。明確には示されていない逆止機能のせいで、駆動ギヤ22がピストンギヤに対して回転する間、ピストンギヤ32は静止状態に留まる。駆動ギヤ22は、連結手段のラチェット歯が乗り越え得るように、ギヤスプリング56に抗してその回転軸に沿って軸方向に可動である。
【0108】
図2cは、流体医薬品の用量を投与中の薬物送達デバイスの断面図を示す。
示された薬物送達デバイス10は、主として
図2a及び2bにおけるものと同じであるが、
図2cは薬物送達デバイス10を示し、一方、流体医薬品の用量が投与されていることが異なる。
【0109】
流体医薬品の用量を投与するために、使用者は遠位方向14にボタン部材24を押す。ボタン部材24と駆動ラック20の間の連結のために、駆動ラック20は遠位方向14に動かされる。
【0110】
駆動ギヤ22上の歯66及び駆動ラック20上の歯68が互いに係合されるため、ボタン部材24の動きによって方向74への駆動ギヤ22の回転が引き起こされる。
【0111】
駆動ギヤ22は、明確には示されていないラチェット歯を含む一方向性連結手段50を用いてピストンギヤ32に連結される。
【0112】
駆動ギヤ22は遠位方向14に回転し、そして駆動ギヤ22とピストンギヤ32の間のラチェット歯が連結されるとき、ピストンギヤ32は、逆止機能並びに駆動ギヤ22によって許される方向に回転し、効果的に複合ギヤを創り出す。
【0113】
ピストンギヤ32上の歯部60、62及びピストンラック30上の歯64が互いに係合されるため、ピストンギヤ32の方向76への回転によって、方向78へのピストンラック30の動きが引き起こされる。
【0114】
そうすることによって、ピストンラック30の遠位端31は遠位方向14に動かされ、そして薬剤カートリッジ40中の明確には示されていない栓と隣接する。そうすることによって、栓は遠位方向14に動かされる。栓の遠位での動きのせいで、流体医薬品の用量が薬剤カートリッジ40から投与される。
【0115】
図3aは、カートリッジが空であるときの薬物送達デバイスの断面図を示す。
図3aにおいて示された薬物送達デバイス10は、主として
図2cにおけるものと同じであるが、薬剤カートリッジ40が空であることが異なる。
【0116】
薬物送達デバイス10は、使用者が、空の薬剤カートリッジ40を取り外し、そして新しい薬剤カートリッジを組み込むことができるように、形成される。如何にして薬剤カートリッジを交換し、そして駆動機構を再設定するかの工程を、
図3b、3c及び3dを参照してここで述べる。
【0117】
図3bは、カートリッジホルダが取り外された後の
図3aによる薬物送達デバイスの断面図を示す。
【0118】
カートリッジホルダ18が取り外された後、駆動ギヤ22はピストンギヤ32から係合を解除される。この係合解除によって連結手段50が分離され、そしてピストンギヤ32が、駆動ギヤ22とピストンギヤ32を係合解除するために働くギヤスプリング56の作用下で、駆動ギヤ22から離れて軸方向80にその回転軸へと動かされる。
【0119】
その回転軸に沿って軸方向80へのピストンギヤ32の動きによって、ピストンギヤ32が本体16上の逆止機構から係合を解除されることになるが、ここで逆止機構は明確には示されていない。ピストンギヤ32はピストンラック30とその歯による係合状態を保持する。
【0120】
図3cは、ピストンラックが戻される際の薬物送達デバイスの断面図を示す。
示された薬物送達デバイス10は、主として
図3bにおけるものと同じであるが、
図3cは、
図2aにおいて見ることができる、ピストンラック30がその出発位置に戻されるよう動かされる際の薬物送達デバイス10を示すことが異なる。
【0121】
使用者はピストンラック30の遠位端31に近位方向12に軸方向の力をかけ、そうすることによって方向82へのピストンラック30の動きを引き起こす。ピストンラック30が軸方向に動くので、ピストンギヤ32は、ピストンラック30との歯による係合の下で自由に回転する。
【0122】
図3dは、カートリッジホルダが再度はめ込まれる際の薬物送達デバイスの断面図を示す。
示された薬物送達デバイス10は、主として
図3cにおけるものと同じであるが、
図3cは、ピストンラック30がその出発位置に戻されるよう動かされた後の、そしてカートリッジホルダ18が再度嵌め込まれる際の薬物送達デバイス10を示すことが異なる。
【0123】
軸方向84への動きによってここで、新しい薬剤カートリッジ40を含むカートリッジホルダ18が薬物送達デバイス10に再度はめ込まれる(refit)。明確には示されていない、そしてカートリッジホルダ18に位置する延長部は、ピストンギヤ32のアクセルの一部51を妨害する。そうすることによって、ピストンギヤは駆動ギヤ22に向かって、その回転運動の軸に沿ってそしてギヤスプリング56の力に抗して軸方向86に動く。ピストンギヤの動きのせいで、駆動ギヤ22とピストンギヤ32は再連結される。
【0124】
図4aは、連結手段が連結される際の駆動ギヤ及びピストンギヤの断面図を示す。
【0125】
連結手段50は、第一の連結手段52及び第二の連結手段54を含む。連結手段52、54の両者はラチェット歯を含む。
【0126】
係合手段は二つの部分、つまり、駆動ギヤ22とピストンギヤ32を係合するように作用する第一の部分、及び駆動ギヤ22とピストンギヤ32を係合解除するように作用する第二の部分を含む。
【0127】
カートリッジホルダ18の延長部19を用いて、駆動ギヤ22とピストンギヤ32は互いに係合される。駆動ギヤ22は、連結手段50が乗り越え得るように、ばね55である係合手段の第二の部分の一部の作用に抗して、その回転軸に沿って動くことができる。
【0128】
薬物送達デバイスの本体16の内部に位置する逆止機能(
図1を参照)は、ピストンギヤ32の第一の部分34と係合され、そうすることによりピストンギヤ32の回転を阻止し、そして一方向へのピストンラック30の動きを阻止する。
【0129】
図4bは、連結手段50が連結を解除される際の駆動ギヤ22及びピストンギヤ32の断面図を示す。
示された駆動ギヤとピストンギヤは、実質的に
図4aに示されたものと同じであるが、カートリッジホルダの延ばされた部分19が取り外されたことが異なる。
【0130】
回転運動の第一の方向においては、ラチェット歯は、それらが乗り越え得て、そしてギヤ22、32が互いに対して回転することを可能にするように傾いている。他の方向においては、ラチェット歯の傾斜は、それらが乗り越え得ないようなものであり、そうすることによってギヤ22、32の相対的な回転を阻止する。
【0131】
図1を組合せて見ることができるように、薬物送達デバイスの本体16内部に位置するピストンギヤ32の第一の部分34は逆止機能58から係合を解除され、そうすることによってピストンギヤ32は両方向に自由に回転することができる。ピストンギヤが、ギヤスプリング56の作用によって逆止機能58に対してこの位置に保持される間、使用者はピストンラック30をその出発位置へと押し戻すことができる。代替実施態様では、可動部品として逆止機能58を有し得るであろうが、一方、ピストンギヤ32は逆止機能58と係合を解除するように軸方向に動かない。
【0132】
図5は、ピストンギヤ32の断面図を示す。
ピストンギヤ32は二つの部分を有する。ピストンギヤ32の第一の部分34は第一の直径35を有し、そしてピストンギヤ32の第二の部分36は第二の直径37を有する。第一の直径35は第二の直径37より大きい。
【0133】
図6は、第一の部分34及び第二の部分36を有するピストンギヤを示し、ここで両部分は歯を特徴とする。第一の部分の歯は第二の部分の歯より大きい。第一の部分並びに第二の部分の歯は両方共、ピストンラックと係合するために適している。歯のサイズの違いは、第一の部分の歯が、それと芯合せされるとき逆止機能と係合するように、一方、第二の部分の歯が、芯合せされるか否かに拘わらず、逆止機能と係合しないように選択される。第二の連結部材54はギヤの一方の側上に供され、ここで第二の連結部材は、駆動ギヤの一致した(according)第一の連結手段と係合するように形成される。第二の連結部材54は連結ラチェット歯38を含み、ここで歯38の各々は、一つの方向に回転されるとき、駆動ギヤの第一の連結手段の一致した相手部品と隣接するように配置される前面39を特徴とする。第二の連結部材は傾斜面39aも含み、反対方向に回転されるとき、第二の連結手段に対する第一の連結手段の滑り運動を可能にする。傾斜面39aはピストンギヤのアクセル33に対して傾斜している。
【0134】
実施態様において、駆動ギヤの第一の連結部材は、
図6において示されたものと実質的に同じ形、つまり、ラチェット歯の形態を有し得るが、一つの方向に回転されるとき、連結部材のぴったりした(form fitting)係合を可能にするように、アクセル33に直角な面に対して鏡映が作られる。
【0135】
本実施例は説明的であり限定的ではないと考えられるべきであり、そして本発明は本明細書に与えられた詳細事項に限定されるべきではなく、範囲内及び添付された請求項の同等物の内で修正され得る。