特許第5756481号(P5756481)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756481
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】用紙収納装置およびプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/04 20060101AFI20150709BHJP
   B65H 19/12 20060101ALI20150709BHJP
   B65H 16/04 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   B41J15/04
   B65H19/12 B
   B65H16/04
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-13281(P2013-13281)
(22)【出願日】2013年1月28日
(65)【公開番号】特開2014-144556(P2014-144556A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2013年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】土田 健吾
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−079914(JP,A)
【文献】 実開昭59−059351(JP,U)
【文献】 実開昭57−179765(JP,U)
【文献】 特開平02−086476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/00−15/24
B65H 16/00−16/10
B65H 19/00−19/30
B65H 21/00−21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻回された用紙を投入口を介して収納する収納部と、
前記収納部に設けられ、一端に開放端部を有して前記用紙を軸支する軸と、
前記投入口を開放する開放位置と閉止する閉止位置との間で移動可能に設けられた蓋体と、
前記蓋体に設けられ、前記蓋体を前記閉止位置に閉止することで前記収納部に収納された前記用紙の前記開放端側の側面部に当接して前記用紙を前記軸方向の所定位置に位置決めし、前記蓋体を前記開放位置に開放することで前記用紙への当接を解除する位置決め機構と、
前記蓋体前記開放位置に開放した場合に前記軸の前記開放端部を前記投入口に向けて上方に傾斜させる軸傾斜機構と、
を備えた用紙収納装置。
【請求項2】
前記軸傾斜機構は、前記軸を傾斜位置方向に付勢する付勢機構である、
請求項1に記載の用紙収納装置。
【請求項3】
前記軸傾斜機構は、前記蓋体が前記収納部を開放する位置に移動する動作に応動して前記軸側に突出することで前記軸を前記傾斜位置方向に傾斜させる突出機構である、
請求項1に記載の用紙収納装置。
【請求項4】
請求項1〜に記載の用紙収納装置と、
前記蓋体が前記閉止位置にある状態で前記用紙収納装置に収納された前記用紙を繰り出して印字処理を実行する印字部と、
を備えたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、用紙収納装置およびプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
レジスタやPOS(Point of Sales)端末に内蔵されたり、これらの装置に接続し、買物をした顧客に購入商品の商品名や価格を印字したレシートを発行するレシートプリンタが広く普及している。また、商品に貼付するラベルを印字して発行するラベルプリンタも普及している。これらのプリンタは、ロール状に巻回されたレシート用紙やラベル用紙やその他のロール状の用紙(以降総称して「ロール紙」という)を印字部で印字する。
【0003】
これらのロール紙をプリンタにセットする方式として、プリンタに設けられた軸にロール紙の軸芯をはめ込んで軸芯を支えるようにセットする軸芯方式と、ロール紙をプリンタの用紙収納部に上から投げ込んで、用紙収納部の内周面でロール紙の外周面を支えるようにセットする、いわゆる投げ込み方式と呼ばれる方式の2種類が存在する。
【0004】
軸芯方式は、軸にロール紙をはめ込む構造から、プリンタの筐体を軸方向に開放する複雑な構造とすることが必要である。また、軸にロール紙の軸芯をはめ込んでセットする煩雑な作業が必要となる。このようなことから、最近は、特にロール径が小さい、比較的軽量のロール紙を中心に、セットの操作の容易性に優れた投げ込み方式を採用することが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、投げ込み方式は、ロール紙が用紙収納部の内周面と接触しながら回転するため、摩擦によってロール紙の外周面に傷が生じ易い。また、ロール紙の回転時にロール紙が躍ることによっても外周面に傷が生じ易い。さらに、用紙収納部の内周面に付着していた粉塵等の異物がロール紙の外周面に付着する可能性が高い。したがって、このような投げ込み方式のプリンタでは、ロール紙との摩擦や外周面の傷により印字品質が低下することがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の用紙収納装置は、ロール状に巻回された用紙を投入口を介して収納する収納部と、前記収納部に設けられ、一端に開放端部を有して前記用紙を軸支する軸と、前記投入口を開放する開放位置と閉止する閉止位置との間で移動可能に設けられた蓋体と、前記蓋体に設けられ、前記蓋体を前記閉止位置に閉止することで前記収納部に収納された前記用紙の前記開放端側の側面部に当接して前記用紙を前記軸方向の所定位置に位置決めし、前記蓋体を前記開放位置に開放することで前記用紙への当接を解除する位置決め機構と、前記蓋体前記開放位置に開放した場合に前記軸の前記開放端部を前記投入口に向けて上方に傾斜させる軸傾斜機構と、を備える。
【0007】
実施形態のプリンタは、ロール状に巻回された用紙を投入口を介して収納する収納部と、前記収納部に設けられ、一端に開放端部を有して前記用紙を軸支する軸と、前記投入口を開放する開放位置と閉止する閉止位置との間で移動可能に設けられた蓋体と、前記蓋体に設けられ、前記蓋体を前記閉止位置に閉止することで前記収納部に収納された前記用紙の前記開放端側の側面部に当接して前記用紙を前記軸方向の所定位置に位置決めし、前記蓋体を前記開放位置に開放することで前記用紙への当接を解除する位置決め機構と、前記蓋体前記開放位置に開放した場合に前記軸の前記開放端部を前記投入口に向けて上方に傾斜させる軸傾斜機構と、前記蓋体が前記閉止位置にある状態で前記用紙収納装置に収納された前記用紙を繰り出して印字処理を実行する印字部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係るプリンタを示す斜視図である。
図2図2は、上部ケースを開放した状態を示す斜視図である。
図3図3は、側断面図である。
図4図4は、操作説明図である。
図5図5は、第2の実施形態の操作説明図である。
図6図6は、操作説明図である。
図7図7は、詳細説明図である。
図8図8は、詳細説明図である。
図9図9は、詳細説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本実施形態に係る用紙収納装置およびプリンタを詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態により、この発明が限定されるものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る用紙収納装置およびプリンタを示す斜視図、図2は、レシートプリンタの上部ケースを開放した状態を示す斜視図、図3は、レシートプリンタの構成を概略的に示す断面図である。本実施形態に係る用紙収納装置およびプリンタは、レシートプリンタ(以降「プリンタ」という)に適用されている。プリンタ1は店舗等でレシートに印字をするサーマルプリンタであり、プリンタケース2と、用紙収納部12と、印字部21とを具備している。
【0011】
プリンタケース2は、図2に示すように、ヒンジ3により連結された下部ケース4と上部ケース5とを備える。このプリンタケース2の後部(図1および図2の紙面側から見て奥側)に用紙収納部12が内蔵されており、プリンタケース2の前部(図1および図2の紙面側から見て手前側)には印字部21および用紙出口6が設けられている。下部ケース4は、上部フレーム31aを固定的に内蔵している。上部ケース5は、下部フレーム31bを固定的に内蔵している。上部フレーム31aと下部フレーム31bは上記ヒンジ3で連結されている。
【0012】
上部ケース5は、ヒンジ3を支点に回転されることにより下部ケース4に対して開閉可能である。上部フレーム31aは、ヒンジ3を支点に回動することにより下部フレーム31bに対して開閉可能である。上部フレーム31aは、上部ケース5とともに開くことにより、用紙収納部12(用紙収納装置)の上部の開口部25を開放する。開放された開口部25からロール紙13を用紙収納部12にセットする。
【0013】
下部フレーム31bには、用紙出口6に至る下部用紙ガイド4aが設けられている。上部フレーム31aにも用紙出口6に至る上部用紙ガイド5aが設けられている。上部用紙ガイド5aの後端部は円弧状をなしており、この後端部は、上部ケース5が閉じられた状態で用紙収納部12の開口部25を上方から覆うように設けられている。上部用紙ガイド5aに設けられた上部フレーム31aにはアイドルローラ5cが、下部フレーム31bにはアイドルローラ5bが取り付けられている。
【0014】
図4は、用紙収納部12を概略的に示す説明図である。用紙収納部12は、図3および図4に示すように、前壁部14、底板部15、後壁部16、右側壁17、左側壁18を有している。用紙収納部12は、前壁部14、底板部15と、後壁部16、右側壁17、左側壁18で囲まれた空間領域にロール紙13を収納する。用紙収納部12に収納されたロール紙13の外周側から、レシート用紙13aが引き出され、上部用紙ガイド5a、アイドルローラ5b、5cに沿って案内され、印字部24とプラテン23で狭持される。印字部24は、狭持されたレシート用紙13aに商品情報等の印字を行う。印字されたレシート用紙13aは、モータ22によって回転するプラテン23によって搬送され、用紙出口6から外部に排出される。
【0015】
図4(a)は、上部フレーム31aが下部フレーム31bに対して開放された状態(図2の状態)を示す概略説明図である。図4において、用紙収納部12は、ロール紙13を保持する保持部材33を備えている。保持部材33は、ロール紙13の側面を受ける側面部34と、側面部34の中心部から直角に延出した円柱状の支軸35とを有する。側面部34は、ロール紙13の側面部に当接する。支軸35は、ロール紙13の軸孔32に挿入され、ロール紙13を軸支する。保持部材33は、側面部34の一端部が前壁部14と後壁部16に、ヒンジ36によって回動自在に保持されている。
【0016】
また、保持部材33と左側壁18との間には、コイル状のスプリング37が設けられている。このスプリング37は、保持部材33を矢印39方向に付勢する。保持部材33は、ロール紙13が装着されていない場合は、スプリング37の付勢力によってヒンジ36を中心に矢印39方向(実線の位置)に回動している。支軸35は、用紙収納部12から開口部25上に向けて上方に傾斜している。本実施形態では、支軸35の開放端26は、開口部25から上方に多少突出している。しかしながら、支軸35の開放端26は、開口部25から上方に突出していなくてもよい。
【0017】
また、上部フレーム31aは、ロール紙13を位置決めする位置決め部材41を備えている。位置決め部材41は、上部フレーム31aを下部フレーム31bに閉止した状態で上部フレーム31aから下方に延出して設けられている。位置決め部材41は、下部先端部45が、セットされたロール紙13から離れる方向に僅かに屈曲している。位置決め部材41は、上部フレーム31aに対して移動自在(図4(a)では左右方向)に保持されており、スプリング42によってロール紙13方向(図4(a)では左方向)に付勢されている。また、上部フレーム31aは、位置決め部材41の移動(図4(a)では右方向)を規制するストッパ43を備えている。
【0018】
このような状態で、ロール紙13の軸孔32に支軸35の開放端26を挿入して、ロール紙13を矢印38の方向からプリンタ1にセットする。図4(b)は、ロール紙13をプリンタ1にセットした状態を示している。傾斜していた保持部材33は、セットされたロール紙13の重量によって、スプリング37の付勢力に抗してヒンジ36を中心に矢印39と反対方向に回動して、略水平位置(点線の位置)に位置する。保持部材33は、ストッパ40に当接して、ロール紙13を略水平位置に保持する。
【0019】
ロール紙13からレシート用紙13aを引き出してセットし、上部フレーム31aを閉止した状態を図4(c)に示す。上部フレーム31aを閉止していく途中段階で、位置決め部材41の下部先端部45がロール紙13の側面部46に当接する。さらに上部フレーム31aを閉止していくと、下部先端部45が当接した位置決め部材41は、スプリング42の付勢力に抗してロール紙13の幅の長さの位置まで矢印44の方向に移動する(図4(c)において、点線の位置から実線の位置まで移動する)。完全に下部フレーム31bに対して閉止した状態が図4(c)の状態である。この状態で、位置決め部材41は、スプリング42の付勢力によってロール紙13の側面部46に当接し、かつ位置決め部材41は、ロール紙13を保持部材33の側面部34(図4(c)では左方向)に向けて押圧している。したがって、ロール紙13が正確な位置に位置決めされるとともに、ロール紙13が使用中に保持部材33から外れることがない。
【0020】
なお、ロール紙13は、両側部が側面部34と位置決め部材41とで狭持された状態で保持される。そのため、ロール紙13と側面部34および位置決め部材41との摩擦が小さいことが望ましい。したがって、少なくとも側面部34および位置決め部材41のロール紙13と接触する部分は、摩擦係数が小さい素材で形成されている。あるいは摩擦係数が小さくなるような加工が施してある。
【0021】
この状態でモータ22を駆動させてプラテン23を回転させると、ロール紙13は、支軸35で軸支されながら回転してレシート用紙13aを供給する。印字部24がレシート用紙13aに対して商品情報等の印字を行って、レシートを用紙出口6から外部に排出することでレシートを発行する。
【0022】
このような第1の実施形態では、ロール紙13を用紙収納部12にセットする場合は、上部フレーム31aを上方に開放することで保持部材33の支軸35を用紙収納部12内で上方に傾斜させる。そして、上方に傾斜している保持部材33の支軸35に、開口部25からロール紙13の軸孔32を挿入する。すると、ロール紙13が、挿入されたロール紙13の重量によって用紙収納部12内に軸支した形でセットされる。そして、次に上部フレーム31aを閉止することにより、ロール紙13が用紙収納部12にセットされる。したがって、開口部25からロール紙13を投げ込むという投げ込み方式とほぼ同一の簡単な動作でロール紙13を用紙収納部12にセットできるにも係わらず、用紙収納部12との摩擦によってロール紙13の外周面に傷が生じることがない。ロール紙13の回転時にロール紙13が躍ることがなく、外周面に傷が生じない。用紙収納部12の異物がロール紙の外周面に付着する可能性は低い。また、本実施形態のプリンタは、用紙収納部12との摩擦でロール紙13の外周面の傷が付くことがなく、また、異物がロール紙13の外周面に付着する可能性は低いため、印字品質が向上する。また、本実施形態のプリンタは、ロール紙13と用紙収納部12との間の摩擦がないため、印字品質が向上する。
【0023】
また、上部フレーム31aを閉止した状態で、位置決め部材41によってロール紙13を正確な位置に位置決めできる。
【0024】
また、軸傾斜機構としてスプリング37を用いたため、用紙収納部12を簡単な構造で安価にすることができる。
【0025】
(第2の実施形態)
次に、図5図9を用いて第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0026】
図5(a)と図5(b)は、上部フレーム31aを下部フレーム31bから開放した説明図である。図5(a)は側面図であり、図5(b)は正面図である。下部フレーム31bは、一定の間隔を空けた一対の支壁81を備えている。この支壁81の間には、カム部材51が支軸52によって回動自在に支壁81に取り付けられている。この支軸52には、トグルバネ82が取り付けられている。トグルバネ82は、カム部材51を支軸52を中心に回動させるように付勢している。
【0027】
また、下部フレーム31bは、内部にピニオンギア63と67、ラックギア61と65を備えている。ラックギア61は、下部フレーム31b内に取り付けられ、上下方向に移動可能である。ピニオンギア63と67は、下部フレーム31b内に取り付けられ、その場で回転可能である。ラックギア65は、下部フレーム31b内に取り付けられ、水平方向に移動可能である。ラックギア61の歯62とピニオンギア63の歯64が歯合しており、ラックギア61の上下方向の移動に伴ってピニオンギア63が回転する。
【0028】
図7は、上部フレーム31aが開放された状態で、カム部材51とラックギア61とピニオンギア63の関係を詳細に示す説明図である。図7において、カム部材51は、部分楕円状の曲部83を備えている。曲部83は、支軸52の中心から短径部84までの長さL1が、支軸52の中心から長径部85までの長さL2より短く形成されている。
【0029】
ラックギア61には、細孔86が形成されており、細孔86の内部にはガイドピン92が形成されている。細孔86は、ガイドピン92に動きを規制されながら、細孔86の長さL3の距離だけ上下方向に移動可能である。また、スプリング87が下部フレーム31bとラックギア61に形成された係止部91とに掛け渡されており、ラックギア61はスプリング87によって、図7において上向きに付勢されている。
【0030】
上部フレーム31aが開放されると、カム部材51は、トグルバネ82の付勢力によって支軸52を中心に回転し、ほぼ垂直状態に立ち上がる。この状態において、ラックギア61にはカム部材51の長径部85が当接する。このため、カム部材51は、スプリング87の付勢力に抗して、ラックギア61を下方に押し下げる。すると、ラックギア61の歯62とピニオンギア63の歯64とが歯合しているため、ピニオンギア63は時計方向に回転する。
【0031】
図5に戻って説明する。ピニオンギア63の歯64とラックギア65の歯66が歯合しているため、ピニオンギア63が回転すると、ラックギア65が水平方向(図5(a)の左右方向)に移動する。ラックギア65の歯66とピニオンギア67の雄ネジ部68が歯合しているため、ラックギア65の水平方向の移動に伴ってピニオンギア67が回転する。
【0032】
また、ピニオンギア67は、雄ネジ部68を、ピニオンギア67に固定的に備えている。雄ネジ部68は、ピニオンギア67から突出して形成され、ピニオンギア67の回転軸と同軸で回転する。
【0033】
下部フレーム31bは、内部壁72を備えている。内部壁72は、下部フレーム31bの底板部15から上方に立設している。内部壁72には、移動部材69が、内部壁72に対して水平方向に移動可能にはめ込まれている。移動部材69は回転はしない。
【0034】
図9を用いて詳細に説明する。移動部材69は、雌ネジ部70を備えている。ピニオンギア67の雄ネジ部68が移動部材69の雌ネジ部70に挿入され、互いのネジ歯が螺合している。ピニオンギア67が回転すると、螺合している雄ネジ部68と雌ネジ部70の働きにより、移動部材69は、内部壁72に支えられたまま、回転することなく水平方向(図5(b)の矢印74方向または矢印74と反対方向)に移動する。
【0035】
移動部材69は、押圧部71を備えている。本実施形態では、押圧部71は円錐台形に形成されているが、半球形や角錐台形等であってもよい。
【0036】
図5は、移動部材69が右方向に移動した状態を示す。移動部材69が右方向に移動すると、移動部材69の押圧部71に押された保持部材33は、ヒンジ36を中心に反時計方向に回動し、支軸35は、用紙収納部12から開口部25上に向けて上方に傾斜する。
【0037】
図6(a)と図6(b)は、上部フレーム31aを下部フレーム31bに閉止した状態を示す説明図である。図6(a)は側面図であり、図6(b)は正面図である。上部フレーム31aが閉止されると、上部フレーム31aに押されたカム部材51は、トグルバネ82の付勢力に抗して支軸52を中心に反時計方向に回動し、ほぼ水平状態に位置する。
【0038】
図8は、上部フレーム31aが閉止された状態で、カム部材51とラックギア61とピニオンギア63の関係を詳細に示す説明図である。上部フレーム31aが閉止されるに伴い、カム部材51は、閉止されつつある上部フレーム31aに押されて、トグルバネ82の付勢力に抗して支軸52を中心に反時計方向に回転し、ほぼ水平状態になる。この状態において、ラックギア61には、カム部材51の短径部84が当接する。短径部84は、カム部材51の支軸52からの距離がL1であり、支軸52と長径部85の距離L2より短い。このため、ラックギア61は、スプリング87の付勢力によって上方に上がる。すると、ラックギア61の歯62とピニオンギア63の歯64とが歯合しているため、ピニオンギア63は反時計方向に回転する。
【0039】
図6に戻って説明する。ピニオンギア63が反時計方向に回転すると、ピニオンギア67も反時計方向に回転する。ピニオンギア67が反時計方向に回転すると、ピニオンギア67の雄ネジ部68と回転しない移動部材69の雌ネジ部70とが螺合しているため、移動部材69が左方向に移動する。
【0040】
図6は、移動部材69が左方向に移動した状態を示す。移動部材69が左方向に移動すると、保持部材33はヒンジ36を中心に時計方向に回動し、支軸35は、用紙収納部12内でほぼ水平状態となる。
【0041】
このような第2の実施形態では、ロール紙13をプリンタ1にセットする場合は、上部フレーム31aを上方に開放する動作に伴って保持部材33の支軸35を用紙収納部12内で上方に傾斜させる。そして、上方に傾斜している保持部材33の支軸35に、開口部25からロール紙13の軸孔32を挿入する。その後、上部フレーム31aを閉止する。上部フレーム31aが閉止することに伴い、ロール紙13が挿入された保持部材33が用紙収納部12内に戻り、ロール紙13が支軸35に軸支した形で用紙収納部12にセットされる。したがって、開口部25からロール紙13を投げ込むという投げ込み方式とほぼ同一の簡単な動作でロール紙13を用紙収納部12にセットできるにも係わらず、摩擦によってロール紙13の外周面に傷が生じることがない。ロール紙13の回転時にロール紙が躍ることがなく、外周面に傷が生じない。用紙収納部12の異物がロール紙13の外周面に付着する可能性は低い。また、本実施形態のプリンタは、用紙収納部12との摩擦でロール紙13の外周面の傷が付くことがなく、また、異物がロール紙13の外周面に付着する可能性は低いため、印字品質が向上する。また、本実施形態のプリンタは、ロール紙13と用紙収納部12との間の摩擦がないため、印字品質が向上する。
【0042】
また、上部フレーム31aを閉止した状態で、位置決め部材41によってロール紙13を正確な位置に位置決めできる。
【0043】
また、軸傾斜機構としてカム部材51、ラックギア61、65、ピニオンギア63、67、移動部材69等の突出機構を用いたため、セットするロール紙13の重量に関係なく、ロール紙13を確実に用紙収納部12にセットすることができる。
【0044】
なお、第2の実施形態では、ピニオンギア67と同軸に移動部材69を設け、ピニオンギア67の回転によって移動部材69が移動するようにしたが、ピニオンギア63と同軸に移動部材69を設け、ピニオンギア63の回転によって移動部材69が移動するようにしてもよい。
【0045】
なお、本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0046】
例えば、スプリング37、スプリング42、トグルバネ82、スプリング87は、コイルバネに限らず、可能な他のバネでもよい。
【0047】
また、支軸35の形状は、円柱状でなくてもよい。例えば、円筒状、角柱状、楕円形でもよい。要は、ロール紙13を回転可能に支持できればよい。支軸35の長さも、ロール紙13より長くても短くてもよい。支軸35の材質も特に問わない。
【0048】
また、本実施形態では、レシートプリンタを一例として説明したが、ラベルプリンタやその他のロール紙を使用するプリンタでも適用ができる。
【符号の説明】
【0049】
1 プリンタ
12 用紙収納部
31a 上部フレーム
31b 下部フレーム
37 スプリング
41 位置決め部材
69 移動部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2004−306356号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9