(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光学伝播領域内において内部全反射によって光をガイドするように構成された光学伝播領域であって、該光学伝播領域の外に光を向け直すように構成された偏向特徴部を含む光学伝播領域と、
前記光学伝播領域の外に向け直された光を受けるように配置された複数の反射性ディスプレイ素子であって、光を反射して画像を生成するように構成された複数の反射性ディスプレイ素子と、
前記光学伝播領域と前記複数の反射性ディスプレイ素子との間の光学分離層であって、前記光学伝播領域に直接隣接して配置され且つ前記光学伝播領域内における光の内部全反射を生じさせるように構成された非ガス材料を有する光学分離層であって、前記複数の反射性ディスプレイ素子から反射された光が該光学分離層を通過するように更に構成された光学分離層と、
前記光学分離層と前記複数の反射性ディスプレイ素子との間に配置された光学損失層であって、前記複数の反射性ディスプレイ素子から反射された光を拡散するように構成された表面拡散特徴部を有する光学損失層と
を備え、
前記光学損失層が、前記光学分離層と前記光学損失層との間の界面が前記表面拡散特徴部を含んで光を拡散するよう構成されるように前記光学分離層に隣接して配置されている、ディスプレイ装置。
光学伝播領域内において内部全反射によって光をガイドするように構成された光学伝播領域を提供する段階であって、前記光学伝播領域が、前記光学伝播領域の外に光を向け直すように構成された偏向特徴部を含む、段階と、
前記光学伝播領域の外に向け直された光を受けるように複数の反射性ディスプレイ素子を配置する段階であって、前記複数の反射性ディスプレイ素子が光を反射して画像を生成するように構成される、段階と、
前記光学伝播領域と前記複数の反射性ディスプレイ素子との間に光学分離層を配置する段階であって、前記光学分離層が、前記光学伝播領域に直接隣接して配置され且つ前記光学伝播領域内における光の内部全反射を生じさせるように構成された非ガス材料を有し、前記複数の反射性ディスプレイ素子から反射された光が前記光学分離層を通過するように更に構成される、段階と、
前記光学分離層と前記複数の反射性ディスプレイ素子との間に光学損失層を配置する段階であって、前記光学損失層が、前記複数の反射性ディスプレイ素子から反射された光を拡散するように構成された表面拡散特徴部を有する、段階と
を備え、
前記光学損失層が、前記光学分離層と前記光学損失層との間の界面が前記表面拡散特徴部を含んで光を拡散するよう構成されるように前記光学分離層に隣接して配置される、ディスプレイを形成する方法。
前記光学伝播領域を提供する段階が、基板及び光ガイドを提供して、光が前記基板及び前記光ガイドを通ってガイドされるようにすることを含み、前記基板が前記複数の反射性ディスプレイ素子を支持する、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
光学伝播領域が前記基板を備え、前記光学伝播領域が、前記複数の反射性ディスプレイ素子に向けて前記光学伝播領域の外に光を向け直すように構成された偏向特徴部を更に備える、請求項18又は19に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な説明は、発明の特定の実施形態を対象としている。しかし、本発明は多数の異なる方法で実施することができる。この明細書では、図面に対する参照符号が、同様の部材が全体を通して同様の番号で示すようにして、図面に対して付される。以下の説明から明らかなように、実施形態は、移動(例えば、ビデオ)または固定(例えば、静止画)であるかに関わらず、テキストまたは画像であるかに関わらず、画像を表示するように構成されたあらゆる装置で実施することができる。特に、実施形態はこれに限らないが、携帯電話、無線装置、携帯情報端末(PDA)、手持ち式または持ち運び可能コンピュータ、GPS受信機/ナビゲータ、カメラ、MP3プレーヤ、ビデオカメラ、ゲームコンソール、腕時計、置時計、計算機、テレビモニタ、平面パネルディスプレイ、コンピュータモニタ、自動ディスプレイ(例えば、走行距離計ディスプレイなど)、コックピット制御および/またはディスプレイ、カメラビューのディスプレイ(例えば、車両の後方視野カメラのディスプレイ)、電子写真、電光掲示板またはサイン、投影機、アーキテクチャ構造物、パッケージ、および審美構造物(例えば、1片の宝石上の画像のディスプレイ)などの様々な電子装置内で実施することができ、またはこれに関連させることができると考えられる。ここで記載したのと同様の構造のMEMS装置はまた、電子切換装置などの非ディスプレイ用途で使用することもできる。
【0012】
ディスプレイ装置の照明アセンプリ(組立体)において有用な光学分離層が提供される。光学分離層は、照明のために使われる光ガイドの光学伝播領域と、光学損失構造または層との間に配置される。ここで使用されるように、「光学損失層」または「光学損失構造」という用語は、光を吸収する特性、または光学伝播領域内で光を伝播させる目的のために所望しない方向に光の伝播を向け直す特性を含むが、それらに限定されないような、その最も広い可能性のある意味を与えられるべきである。例えば、光学損失構造は、それに対して直接隣接して配置される場合に、光学伝播領域内部でガイドされた少なくともいくらかの光の内部全反射を崩壊させうる。光学損失構造または層は、それらに限定しないが、ディフューザ、偏光子、カラーフィルタなどを含む。光学伝播領域は、光学伝播領域に沿って光の伝播をサポートする上下の界面を持つ。光学分離層なしに、下の界面は、光学伝播領域と光学損失層によって形成されうる。このような形状において、光学損失層は、グレージング入射(grazing incidence)で下の界面に入射する光の反射を崩壊させることができる。光学分離層は、光学伝播領域と、光学損失構造または層とを分離するために使われ、それによってグレージング入射での反射を促進する。ある特定の実施形態では、例えば、光学分離層は、グレージング入射(例えば、約40°より大きい角度)で光学伝播領域の下の界面に方向付けられた光を、そこから反射されるようにする。従って、光は、基本的に光学損失構造または層によって崩壊することなく、光学伝播領域に沿ってガイドされる。光学分離層はまた、低い角度(例えば約40°より大きい角度)で光学伝播領域の下の界面に方向付けられた光を、ほとんど反射しない状態から全く反射しない状態(例えば4%未満、2%未満、1%未満)で通過するようにする。ここで使用されるように、「光学伝播領域」という用語は、光ガイド薄膜またはプレート、光ガイド薄膜スタック、上部に形成された光ガイド薄膜または光ガイド薄膜スタックを持つ基板など、を記述するために使われうる。ここで使用されるように、「薄膜」という用語は、厚さを有する材料または複数の材料を含むが、それらに限定されないような、その最も広い可能性のある意味を与えられるべきである。いくつかの実施形態では、光学分離層が光学伝播領域と異なる屈折率を持つ材料を有しうるが、光学分離層は光学伝播領域より低い屈折率を持った材料を有する。いくつかの実施形態では、光学分離層は多層の干渉スタックを有する。いくつかの実施形態では、光学損失構造と光学分離層は、一つの層に統合化される。ある特定の実施形態では、層は、内部に複数の粒子またはミクロ構造を含む材料を有する。上記ミクロ構造は、選択された光学特徴(例えば、ディフューザ、カラーフィルタ、偏光子など)を達成するように設計されうる。
【0013】
干渉MEMSディスプレイ素子を備えた1つの干渉変調器ディスプレイの実施形態が、
図1に示されている。これらの装置では、ピクセルは明るい状態または暗い状態のいずれかである。明るい(「オン」または「開」)状態では、ディスプレイ素子は入射する可視光の大部分をユーザに反射させる。暗い(「オフ」または「閉」)状態では、ディスプレイ素子は入射する可視光をユーザにほとんど反射させない。実施形態に応じて、「オン」および「オフ」状態の光反射特性を逆転させることができる。MEMSピクセルは、選択した色で優先的に反射するように構成することができ、白黒に加えてカラー表示を可能にする。
【0014】
図1は、画像ディスプレイの一連のピクセルの2つの隣接するピクセルを示す等角図であり、各ピクセルはMEMS干渉変調器を含んでいる。いくつかの実施形態では、干渉変調器ディスプレイは、行/列アレイのこれらの干渉変調器を備えている。各干渉変調器は、少なくとも1つの可変寸法の共鳴光学ギャップを形成するように、互いに可変および制御可能距離に位置決めされた1対の反射層を備えている。一実施形態では、反射層の一方は2つの位置の間で移動させることができる。本明細書では緩和位置と呼ばれる第1の位置では、可動反射層は、固定部分反射層から比較的大きな距離に位置決めされている。本明細書では作動位置と呼ばれる第2の位置では、可動反射層は部分反射層により密接して位置決めされている。2層から反射する入射光は、可動反射層の位置によって強めあうように、または弱めあうように干渉して、各ピクセルに対して全反射状態または非反射状態のいずれかを作り出す。
【0015】
図1に示したピクセルアレイの部分は、2つの隣接する干渉変調器12aおよび12bを備えている。左側の干渉変調器12aでは、可動反射層14aは部分反射層を含む光学スタック16aから所定の距離の緩和位置にあるように示されている。右側の干渉変調器12bでは、可動反射層14bは光学スタック16bに隣接した作動位置にあるように示されている。
【0016】
本明細書で言及するような、光学スタック16aおよび16b(集合的に、光学スタック16と呼ぶ)は典型的には、インジウム錫酸化物(ITO)などの電極層、クロムなどの部分反射層、および透明誘電体を含むことができるいくつかの溶融層からなっている。したがって、光学スタック16は導電性であり、部分的に透明であり、部分的に反射性であり、例えば透明基板20の上に上記層の1つまたは複数を蒸着させることによって製造することができる。部分的に反射性の層は、種々の金属、半導体、誘電体のような種々の材料から形成できる。部分的に反射性の層は、1つ以上の材料の層から形成でき、それぞれの層は、一つの材料または複数材料の組み合わせから形成できる。
【0017】
いくつかの実施形態では、光学スタック16の層は平行ストリップにパターン化され、以下にさらに説明するようなディスプレイ装置内に行電極を形成することができる。可動反射層14a、14bは、ポスト18の上部に蒸着された1つまたは複数の蒸着金属層(16a、16bの行電極と垂直である)およびポスト18の間に蒸着された介在犠牲材料の一連の平行ストリップとして形成することができる。犠牲材料がエッチングされると、可動反射層14a、14bは規定の間隙19によって光学スタック16a、16bから離される。アルミニウムなどの高い導電性および反射性材料は、反射層14に使用することができ、これらのストリップはディスプレイ装置内に列電極を形成することができる。
【0018】
電圧が加えられない状態では、ギャップ19は可動反射層14aと光学スタック16aの間にあるままであり、可動反射層14aは
図1のピクセル12aで示すように、機械的に緩和状態にある。しかし、電位差が選択した行列に加えられると、対応するピクセルでの行および列電極の交点に形成されたコンデンサは充電され、静電力が電極を互いに引っ張る。電圧が十分高い場合、可動反射層14は変形され、光学スタック16に対して押される。光学スタック16内の誘電層(この図には図示せず)は、
図1の右側のピクセル12bで示すように、短絡を防ぎ、層14と16の間の分離距離を制御することができる。この挙動は、加えられた電位差の極性に関わらず同じである。このように、反射性対非反射性ピクセル状態を制御することができる行/列作動は、従来のLCDおよび他の表示技術で使用されるものと多くの方法で同様である。
【0019】
図2から5Bは、ディスプレイ用途での一列の干渉変調器を使用する1つの例示的な過程およびシステムを示している。
【0020】
図2は、本発明の態様を組み込むことができる電子装置の一実施形態を示すシステムブロック図である。例示的な実施形態では、電子装置は、ARM、Pentium(登録商標)、Pentium(登録商標) II、Pentium(登録商標) III、Pentium(登録商標) IV、Pentium(登録商標)Pro、8051、MIPS(登録商標)、Power PC(登録商標)、ALPHA(登録商標)などのあらゆる汎用単一チップまたは多チップマイクロプロセッサ、またはデジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、またはプログラム可能ゲートアレイなどのあらゆる専用マイクロプロセッサであってもよいプロセッサ21を含んでいる。当技術分野では、従来にあるように、プロセッサ21は1つまたは複数のソフトウェアモジュールを実行するように構成することができる。オペレーティングシステムを実行するのに加えて、プロセッサは、ウェブブラウザ、電話アプリケーション、eメールプログラム、またはあらゆる他のソフトウェアアプリケーションを含む1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成することができる。
【0021】
一実施形態では、プロセッサ21はまた、アレイドライバ22と通信するように構成することができる。一実施形態では、アレイドライバ22は、ディスプレイアレイまたはパネル30に信号を提供する、行ドライバ回路24および列ドライバ回路26を備えている。
図1に示すアレイの断面は、
図2の線1−1で示されている。MEMS干渉変調器では、行/列作動プロトコルは、
図3に示すこれらの装置のヒステリシス特性を利用することができる。例えば、可動層を緩和状態から作動状態に変形させるには、10ボルトの電位差が必要である可能性がある。しかし、電圧がその値から小さくなると、可動層は電圧が10ボルトより下に低下したときにその状態を維持する。
図3の例示的な実施形態では、可動層は電圧が2ボルトより下に低下するまで完全には緩和しない。したがって、
図3に示す例では約3から7Vまでの印加電圧のウィンドウがあり、そこでは、装置が緩和または作動状態のいずれかにある。これは本明細書では、「ヒステリシスウィンドウ」または「安定性ウィンドウ」と呼ばれる。
図3のヒステリシス特徴を有するディスプレイアレイでは、行/列作動プロトコルは、行ストローブ(strobe)中に、作動されるストローブ行内のピクセルは約10ボルトの電圧差に曝され、緩和されるピクセルはゼロボルトに近い電圧差に曝される。ストローブの後に、ピクセルは行ストローブが置かれるどんな状態にも留まるように、約5ボルトの定常電圧差に曝される。書き込まれた後に、各ピクセルは、この例では、3〜7ボルトの「安定性ウィンドウ」内の電位差を経験する。この特性は、
図1に示すピクセル設計を作動または緩和された既存の状態のいずれかで同じ印加電圧状態で安定させる。干渉変調器の各ピクセルは作動または緩和状態であるかどうかに関わらず、基本的に固定および移動反射層によって形成されたコンデンサであるので、この安定状態はほぼ電力損失がない状態でヒステリシスウィンドウ内にある電圧で保持することができる。基本的に、印加電位が固定されている場合、電流はピクセル内に流れない。
【0022】
典型的な用途では、ディスプレイフレームは、第1の行内の所望の設定の作動ピクセルにより列電極の設定をアサート(assert)することによって作り出すことができる。行パルスはその後、行1電極に加えられて、アサートされた列ラインに対応するピクセルを作動させる。アサートされた設定の列電極は、第2の行内の所望の設定の作動ピクセルに対応するように変更される。パルスはその後、行2電極に加えられて、アサートされた列電極内の行2内の適切なピクセルを作動させる。行1ピクセルは、行2パルスによって影響を受けず、行1パルス中に設定された状態に留まる。これは、フレームを作り出すように連続した方法で一連の行全体に対して繰り返すことができる。普通、フレームは、この過程をいくつかの所望の数のフレーム毎秒で断続的に繰り返すことによって、新しい表示データによってリフレッシュかつ/または更新される。表示フレームを作り出すようにピクセルアレイの行および列電極を駆動する幅広いプロトコルもまた、よく知られており、本発明と合わせて使用することができる。
【0023】
図4、5Aおよび5Bは、
図2の3×3アレイ上に表示フレームを作り出す1つの可能な作動プロトコルを示している。
図4は、
図3のヒステリシス曲線を示すピクセルに使用することができる可能な設定の列および行電圧レベルを示している。
図4の実施形態では、ピクセルを作動させることは、それぞれ−5ボルトおよび+5ボルトに対応しうる、−V
biasに対する適切な列および+ΔVに対する適切な行を設定することが必要である。ピクセルを緩和することは、+V
biasに対する適切な列および同じ+ΔVに対する適切な行を設定することによって達成され、ピクセルにわたってゼロボルトの電位差を作り出す。行電圧がゼロボルトに保持されたこれらの行では、ピクセルは列が+V
biasまたは−V
biasであるかどうかに関わらず、元にあったあらゆる状態で安定している。また、
図4に示すように、上記以外の反対の極性の電圧を使用できること、例えばピクセルを作動させることが、+V
biasに対する適切な列および−ΔVに対する適切な行を設定することを含みうること、が評価されるべきである。この実施形態では、ピクセルを解放することは、−V
biasに対する適切な列および同じ−ΔVに対する適切な行を設定することによって達成され、ピクセルにわたってゼロボルトの電位差を作り出す。
【0024】
図5Bは、作動ピクセルが非反射性である、
図5Aに示すディスプレイ配置につながる、
図2の3×3アレイに加えられた一連の行および列信号を示すタイミング図である。
図5Aに示すフレームに書き込む前に、ピクセルをあらゆる状態にすることができ、この例では、行は全て0ボルトであり、列は全て+5ボルトである。これらの印加電圧では、全てのピクセルはその既存の作動または緩和状態で安定している。
【0025】
図5Aのフレームでは、ピクセル(1,1)、(1,2)、(2,2)、(3,2)および(3,3)が作動される。これを達成するために、行1に対する「ライン時間」中に、列1および2は−5ボルトに設定され、列3は+5ボルトに設定される。これは、いかなるピクセルの状態も変更しない。というのは、ピクセルは全て3〜7ボルト安定性ウィンドウ内に留まっているからである。行1はその後、0から、最大5ボルトに達し、ゼロに戻るパルスでストローブされる。これは、(1,1)および(1,2)ピクセルを作動させ、(1,3)ピクセルを緩和する。アレイ内の他のピクセルは影響を受けない。行2を所望の通り設定するためには、列2は−5ボルトに設定され、列1および3は+5ボルトに設定される。行2に加えられた同じストローブがその後、ピクセル(2,2)を作動させ、ピクセル(2,1)および(2,3)を緩和する。また、アレイの他のピクセルは影響を受けない。行3も同様に列2および3を−5ボルト、列1を+5ボルトに設定することにより設定される。行3ストローブは、
図5Aに示すように行3ピクセルを設定する。フレームに書き込んだ後に、行電位はゼロであり、列電位は+5または−5ボルトのいずれかに留まることができ、ディスプレイはその後、
図5Aの配置で安定している。同じ手順を、数十または数百の行および列のアレイに利用できることが分かるだろう。また、行および列作動を行うのに使用されるタイミング、シーケンス、および電圧のレベルは、上に概略を説明した原則内で幅広く変えることができ、上の例は単に例示的なものであり、あらゆる作動電圧方法が本明細書に記載したシステムおよび方法で使用できることが分かるだろう。
【0026】
図6Aおよび6Bは、ディスプレイ装置40の一実施形態を示すシステムブロック図である。ディスプレイ装置40は例えば、携帯電話であってもよい。しかし、ディスプレイ装置40の同じ構成部品、またはその僅かな変更はまた、テレビおよび携帯メディアプレーヤなどの様々なタイプのディスプレイ装置を示すものである。
【0027】
ディスプレイ装置40は、ハウジング41、ディスプレイ30、アンテナ43、スピーカ45、入力装置48、およびマイク46を備えている。ハウジング41は普通、射出成形、および真空成形を含む、当業者によく知られている様々な製造過程のいずれかで形成されている。加えて、ハウジング41はこれに限らないが、プラスチック、金属、ガラス、ゴムおよびセラミックを含む様々な材料のいずれか、またはその組み合わせで作ることができる。一実施形態では、ハウジング41は、異なる色の、または異なるロゴ、図柄、または記号を含む他の除去可能部分と交換することができる除去可能部分(図示せず)を含んでいる。
【0028】
例示的なディスプレイ装置40のディスプレイ30は、本明細書に記載するように、双安定ディスプレイを含む、様々なディスプレイのいずれかであってもよい。他の実施形態では、ディスプレイ30は、上に記載するようなプラズマ、EL、OLED、STN LCD、またはTFT LCDなどの平面パネルディスプレイ、または当業者によく知られているようなCRTまたは他の管装置などの非平面パネルディスプレイを備えている。しかし、本実施形態を説明する目的で、ディスプレイ30は本明細書に記載するように、干渉変調器ディスプレイを備えている。
【0029】
例示的なディスプレイ装置40の一実施形態の構成部品が、
図6Bに略図的に示されている。図示した例示的なディスプレイ装置40は、ハウジング41を備えており、少なくとも部分的に中に囲まれた追加の構成部品を備えることができる。例えば、一実施形態では、例示的なディスプレイ装置40は、トランシーバ47に結合されたアンテナ43を備えたネットワークインターフェイス27を備えている。トランシーバ47は、調整ハードウェア52に接続された、プロセッサ21に接続されている。調整ハードウェア52は、信号を調整する(例えば、信号をフィルタリングする)ように構成することができる。調整ハードウェア52は、スピーカ45およびマイク46に接続されている。プロセッサ21はまた、入力装置48およびドライバコントローラ29に接続されている。ドライバコントローラ29は、フレームバッファ28、およびその後ディスプレイアレイ30に結合されるアレイドライバ22に結合されている。電力供給装置50は、特定の例示的なディスプレイ装置40の設計が必要とするような構成部品全てに電力を与える。
【0030】
ネットワークインターフェイス27は、アンテナ43およびトランシーバ47を備えており、それによって例示的なディスプレイ装置40はネットワーク上の1つまたは複数の装置と通信することができる。一実施形態では、ネットワークインターフェイス27はまた、プロセッサ21の要件を緩和するいくつかの処理能力を有することができる。アンテナ43は、信号を送受信するための、当業者に知られている何らかのアンテナである。一実施形態では、アンテナは、IEEE 802.11(a)、(b)または(g)を含む、IEEE 802.11標準によりRF信号を送受信する。別の実施形態では、アンテナは、BLUETOOTH(登録商標)標準によりRF信号を送受信する。携帯電話の場合、アンテナは、無線携帯電話ネットワーク内で通信するのに使用される、CDMA、GSM(登録商標)、AMPSまたは他の知られている信号を受信するように設計されている。トランシーバ47は、アンテナ43から受信した信号を予め処理し、それによってプロセッサ21によって受信することができ、さらに操作することができる。トランシーバ47はまた、プロセッサ21から受信された信号を処理し、それによってアンテナ43を介して例示的なディスプレイ装置40から伝達することができる。
【0031】
代替実施形態では、トランシーバ47は受信機に置き換えることができる。さらに別の代替実施形態では、ネットワークインターフェイス27は、プロセッサ21に送信する画像データを記憶または生成することができる、画像源に置き換えることができる。例えば、画像源は、画像データを収容するデジタルビデオディスク(DVD)またはハードディスクドライブ、または画像データを生成するソフトウェアモジュールであってもよい。
【0032】
プロセッサ21は普通、例示的なディスプレイ装置40の全体動作を制御する。プロセッサ21は、ネットワークインターフェイス27または画像源から圧縮画像データなどのデータを受信し、データを生画像データ、または生画像データに簡単に処理されるフォーマットに処理する。プロセッサ21はその後、ドライバコントローラ29、または記憶のためにフレームバッファ28に処理データを送信する。生データは普通、画像内の各位置で画像特徴を特定する情報のことを言う。例えば、このような画像特徴は、色、彩度、およびグレースケールレベルを含むことができる。
【0033】
一実施形態では、プロセッサ21は、例示的なディスプレイ装置40の動作を制御するマイクロコントローラ、CPU、または論理ユニットを備えている。調整ハードウェア52は普通、信号をスピーカ45に伝達し、信号をマイク46から受信する増幅器およびフィルタを備えている。調整ハードウェア52は、例示的なディスプレイ装置40内の別個の構成部品であってもよい。あるいは、プロセッサ21または他の構成部品内に組み込むことができる。
【0034】
ドライバコントローラ29は、プロセッサ21またはフレームバッファ28のいずれかから直接プロセッサ21によって生成された生画像データを取り、アレイドライバ22への高速伝達のために適切に生画像データを再フォーマット化する。特に、ドライバコントローラ29は、ディスプレイアレイ30にわたる走査に適切な時間順序を有するように、生画像データをラスター状フォーマットを有するデータフローに再フォーマット化する。その後、ドライバコントローラ29はフォーマット化した情報をアレイドライバ22に送信する。LCDコントローラなどのドライバコントローラ29はしばしば、独立型集積回路(IC)としてシステムプロセッサ21に結合されるが、このようなコントローラは多くの方法で実施することができる。これらは、ハードウェアとしてプロセッサ21内に埋め込むことができ、ソフトウェアとしてプロセッサ21に埋め込むことができ、または、アレイドライバ22とハードウェア内で完全に一体化させることができる。
【0035】
普通、アレイドライバ22はドライバコントローラ29からフォーマット化した情報を受信し、ディスプレイのx−y行列のピクセルから来る数百および時に数千のリードに多数回毎秒加えられる並列設定の波形に映像データを再フォーマット化する。
【0036】
一実施形態では、ドライバコントローラ29、アレイドライバ22、およびディスプレイアレイ30は、本明細書で記載するディスプレイのタイプのいずれかに適している。例えば、一実施形態では、ドライバコントローラ29は、従来のディスプレイコントローラまたは双安定ディスプレイコントローラ(例えば、干渉変調器コントローラ)である。別の実施形態では、アレイドライバ22は、従来のドライバまたは双安定ディスプレイドライバ(例えば、干渉変調器ディスプレイ)である。一実施形態では、ドライバコントローラ29はアレイドライバ22と一体化される。このような実施形態は、携帯電話、腕時計、および他の小面積ディスプレイなどの高集積システムにおいて一般的である。さらに別の実施形態では、ディスプレイアレイ30は、典型的なディスプレイアレイまたは双安定ディスプレイアレイ(例えば、干渉変調器のアレイを含むディスプレイ)である。
【0037】
入力装置48は、ユーザが例示的なディスプレイ装置40の動作を制御することを可能にする。一実施形態では、入力装置48は、QWERTYキーボードまたは電話機キーパッドなどのキーパッド、ボタン、スイッチ、タッチセンサ画面、あるいは、感圧または感熱膜を備えている。一実施形態では、マイク46は例示的なディスプレイ装置40用の入力装置である。マイク46を装置にデータを入力するのに使用する場合、例示的なディスプレイ装置40の動作を制御するために、音声コマンドをユーザによって与えることができる。
【0038】
電力供給装置50は、当技術分野でよく知られているように、様々なエネルギー貯蔵装置を備えることができる。例えば、一実施形態では、電力供給装置50は、ニッケルカドミウム電池またはリチウムイオン電池などの充電式電池である。別の実施形態では、電力供給装置50は、再生可能エネルギー源、コンデンサ、またはプラスチック太陽電池および太陽電池ペイントを含む太陽電池である。別の実施形態では、電力供給装置50は壁コンセントから電力を受けるように構成されている。
【0039】
いくつかの実施形態においては、制御プログラムの可能性が、上に記載するように、電子ディスプレイシステム内のいくつかの位置に配置することができるドライバコントローラ内にある。いくつかの実施形態では、制御プログラムの可能性が、アレイドライバ22内にある。当業者ならば、上記最適化をいくつかの数のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成部品内、および様々な構成内で実施することができることが分かるだろう。
【0040】
上に記載した原理により動作する干渉変調器の構造の詳細は、幅広く変更することができる。例えば、
図7A〜7Eは、可動反射層14およびその支持構造の5つの様々な実施形態を示している。
図7Aは、
図1の実施形態の断面図であり、金属材料14のストリップが垂直に延びる支持体18上に蒸着されている。
図7Bでは、可動反射層14は、テザー32上で隅部だけの支持体に取り付けられている。
図7Cでは、可動反射層14は、可撓性金属を含むことができる変形可能層34から懸架されている。変形可能層34は、変形可能層34の周面周りで基板20に直接的または間接的に連結している。これらの連結部は、本明細書では支持ポストと呼ぶ。
図7Dに示す実施形態は、変形可能層34が上に載る支持ポストプラグ42を有する。可動反射層14は、
図7A〜7Cと同様に、ギャップの上に懸架されたままであるが、変形可能層34は変形可能層34と光学スタック16の間の孔を充填することによって支持ポストを形成しない。むしろ、支持ポストは、支持ポストプラグ42を形成するのに使用される、平坦化材料でできている。
図7Eに示す実施形態は、
図7Dに示す実施形態に基づいているが、
図7A〜7Cに図示する実施形態のいずれかと、図示しない追加の実施形態と協働するようにすることもできる。
図7Eに示す実施形態では、金属または他の導電性材料の余分な層が、バス構造44を形成するのに使用されていた。これにより、干渉変調器の背面に沿った信号ルーティングが可能になり、別の方式では基板20上に形成しなければならなかったような、多くの電極を取り除くことができる。
【0041】
図7に示すもののような実施形態では、干渉変調器は直視型装置として機能し、画像は変調器が配置される側とは反対側の透明基板20の正面側から見られる。これらの実施形態では、反射層14は、変形可能層34を含む、基板20と反対側の反射層の側において干渉変調器の部分を光学的に遮蔽する。これにより、画質に悪影響を与えることなく、遮蔽領域を構成および作動させることが可能になる。このような遮蔽は、変調器の光学特性を、アドレッシング、およびアドレッシングに起因する動きのような変調器の電気機械特性から分離する能力を提供する、
図7Eのバス構造44を可能にする。このような分離可能な変調器アーキテクチャは、変調器の電気機械態様および光学態様に使用される構造設計および材料を互いに独立して選択し、機能することが可能になる。さらに、
図7C〜7Eに示す実施形態は、変形可能層34によって行われる、反射層14の光学性状のその機械性状との分離に由来する追加の利点を有する。これにより、反射層14に使用される構造的設計および材料を光学性状に関して最適化することが可能になり、変形可能層34で使用される構造的設計および材料を所望の機械的性状に関して最適化することが可能になる。
【0042】
内部の照明源が、暗い周囲環境における反射性のディスプレイ装置の照明のために提供できる。ある特定の実施形態では、複数のディスプレイ素子(例えば干渉変調器)を有するディスプレイ装置の照明源の統合化は、基板への光学作用のいくつか、またはすべてを提供する薄膜または薄膜スタックをラミネートすることを含む。光をこの薄膜または薄膜スタックに注入することができ、ディスプレイ装置の表面を通してその内部に伝播することができる。ある特定の実施形態では、例えば、光ガイド薄膜または薄膜スタックを、光拡散性の感圧性接着剤(PSA)を使って基板にラミネートすることができる。光ガイド薄膜または薄膜スタックは、光が注入され、光ガイドの長手方向に沿って光が伝播する「光学伝播領域」を持った「光ガイド」を形成する。ある特定の実施形態では、光学伝播領域は光ガイド薄膜または薄膜スタックを有し、そして基板を含まない。他の実施形態では、光学伝播領域は光ガイド薄膜または薄膜スタック、並びに基板を有する。特定の形態にかかわらず、光学伝播領域は、グレージング入射でその上に入射する光を反射して、光ガイドの長手方向に沿って光の伝播をサポートする上下の界面を含む。いくつかの実施形態では、光ガイドは、ディスプレイ素子の方に光ガイド内を伝播する光線を反射する(または「偏向する」)よう構成された、ディスプレイ素子より遠い上の界面を形成する「偏向薄膜」(例えば「プリズム薄膜」を含む。
【0043】
光学伝播領域がディスプレイ装置のディスプレイ素子にすぐに隣接する場合、光学伝播領域とディスプレイ素子との間の下の界面上にグレージング入射で方向付けられた光線の反射は、不都合なほどに減少させられうる。このような減少した反射は、ディスプレイ装置の減少した照明、色、コントラスト、および/または明るさ一様性をもたらしうる。従って、いくつかの実施形態では、光学分離層が、グレージング入射で光の反射を増やすために光学伝播領域とディスプレイ素子との間に導入される。上下の界面は光ガイドを、光学伝播領域を有する素子の最小の屈折率より低い屈折率を有する2つの材料から分離する。この適用では、2つの界面のそれぞれにおいて内部全反射(「TIR」)と記述する2つの角度の最も大きいものよりも大きな角度で、光学伝播領域内で伝播する光線に対するグレージング入射が定義され、グレージング入射で光学伝播領域の上下の界面の両方で内部全反射を光線が経験する。
【0044】
種々の実施形態では、光学分離層は、光学伝播領域の下の界面の垂線に対して約40°、約50°、約55°、約60°、約65°、約70°、約75°、約80°、約85°を超えて、またはそれ以上の入射角で光学伝播領域内において光学分離層上に入射する光の、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約85%、約90%、約95%を超えて、またはそれ以上反射するよう構成される。「高い」入射角は、いくつかの実施形態では、2つの界面に対応する最も大きなTIR角(例えば2つのTIR角が約39°および68°の場合、約68°)にあるか、またはそれ以上にあり、その界面上で入射光の反射が100%に近づく。「低い」角度における光は部分的に反射され、光学伝播領域の界面の1つと相互作用する時に部分的に屈折させられる。ここで、入射角は前記界面の内部全反射角より小さい角度である。光学分離層の反射と入射角の他の組み合わせも可能である。
【0045】
いくつかの実施形態では、グレージング入射で光線に対する比較的高い反射率を提供することに加えて、光学分離層は、(例えば、上および/または下の界面において)低い入射角で光線の高い透過率を提供するように適合させられる。従って、例えば偏向薄膜によって向け直された、あるいは周囲から起こった光は、光学分離層を通って、そして光学分離層の表面から減少した反射でディスプレイ素子内に、自由に通過しうる。特定のこのような実施形態では、ディスプレイ素子からの(例えば干渉変調器によって反射された)光は、実質的なフレネル反射なしで(例えば約4%、3%、2%、1%、0.5%、0.3%、0.1%などを下回るように)光学分離層を通って、そしてその表面を通って、自由に通過することができる。
【0046】
干渉変調器は普通、本質的に反射鏡のようであり、従って干渉変調器を有するディスプレイ装置のある特定の実施形態は、好ましくは、光拡散素子(または「ディフューザ」)を有する。ディフューザまたは他の光学損失構造が光学光ガイドに隣接する時、グレージング入射、例えば内部全反射によって光ガイド内で反射されるべき、40°(「光ガイドモード」)より大きな角度で光ガイドを通って伝播する光は、代わりに1回または多数回散乱されて、非光ガイドモードに向け直されるか、あるいは光が共に相互作用しうる光学システム内の、ある特定の素子の本質的な材料吸収に起因して吸収されうる。
図8Aは、ディスプレイ素子81(例えば干渉変調器)のアレイ、基板82(例えばガラス、プラスチックなどで構成される)、光学損失層または構造83(例えばディフューザ、吸収体、偏光子、カラーフィルタなどを有する)、および光ガイド84を有するディスプレイ装置80の断面部分を概略的に示す。光ガイド84は、光学損失層83にすぐに隣接するので、光ガイド84と光学損失層83との間の光学伝播領域の下の界面上のグレージング入射での光線の反射は、不都合なほどに減少し得る。隣接する光学損失層83によって起こりうる望ましくない効果の例は、光ガイド84内で伝播する光が、散乱特性を持った光学損失層83と相互作用しうることであり、それは光ガイドによって運ばれた有用な光の全体量を減らしうる。さらに、ディスプレイ装置80のある特定の構成部材(例えばディスプレイ素子81)により一層強く吸収される角度で光線が散乱されうる。そして、それはディスプレイ装置の照明、明るさ一様性、色、および/またはコントラストを減らしうる。ディスプレイ素子81が干渉変調器を有する場合、干渉キャビティ内に散乱される光の部分は、干渉変調器の状態にかかわらず吸収されうる。そして、それはディスプレイ装置の明るさ、一様性、色、および/またはコントラストを減らす光の損失をもたらしうる。これにより、光ガイド84に直接隣接する光学損失層83の存在は、所望しない散乱を起こしうる。そして、それは光伝播を崩壊させるか、あるいは所望しない吸収を起こしうる。そして、それは一様性および/または明るさを減らしうる。
【0047】
グレージング入射角で伝播する光の内部反射を増やす1つの方法は、光学損失層83と光ガイド84との間に空気ギャップを提供することである。
図8Bは、ディスプレイ装置86の一部を示し、そこでは、光学損失層83が空気ギャップ85によって光ガイド84から分離される。空気の屈折率は1.0であり、それは光ガイド84の屈折率より低い。従って、グレージング入射で光ガイド84を通って伝播する光は内部全反射を経験し、そして隣接した光学損失層83と相互作用しない。これにより、光は光ガイド84に戻るように反射し、それを通って伝播し、それによって一層照明されたディスプレイ装置86を提供する。しかしながら、空気ギャップ85はディスプレイ装置86の厚さを(例えば数百ミクロン(μm)だけ)増やしうる。そしてディスプレイ装置86のコントラストを減らしうる。空気ギャップ85を形成することは複雑さの増加を伴いうる。さらに、(例えばコントラストレベルを達成するために)空気ギャップ85の1つ以上の側面上に1つ以上の耐反射コーティングが必要となるかもしれない。それによって、製造コストを著しく増加しうる。
【0048】
それゆえ、いくつかの実施形態では、薄膜または材料を有する光学分離層(または「光学分離領域」)が、グレージング入射での光線の反射率を増やすために、光学伝播領域と光学損失層(例えばディフューザ)との間に導入される。光学分離層の材料の屈折率が光学伝播領域の屈折率と異なっている(例えば低い)ような種々の実施形態では、光学伝播領域と光学損失層との間の界面がグレージング角(例えば臨界角より大きな角)でその上に入射する光を内部全反射する。
【0049】
ある特定の実施形態では、光学伝播領域は、平面または実質的に平坦な光ガイドを有し、そして光学分離層は、光ガイドにすぐに隣接する。種々の実施形態では、光学分離層は、光学伝播領域の下の界面の垂線に対して約40°、約50°、約55°、約60°、約65°、約70°、約75°、約80°、約85°を超えて、またはそれ以上の角で光学伝播領域内から光学分離層上に入射する光の、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約85%、約90%、約95%を超えて、またはそれ以上反射するように適合させられる。ある特定の実施形態では、光学分離層は、光学伝播領域の下の界面の垂線に対して約70°を超える角度で、下の界面の上に入射する光の約40%を超えて反射するように適合させられる。種々の実施形態では、光学分離層は、好ましくはおよそ数100ナノメートル(nm)から100μmの間であり、さらに好ましくは、約100nmから10μmの間であり、あるいはさらに一層好ましくは約100nmから3μmの間である。他の厚さも可能である。
【0050】
いくつかの実施形態では、グレージング入射での光線にとって比較的高い反射性を提供することに加えて、光学分離層は、下の界面における低い入射角で光線の高い透過率を提供するように適合させられる。光学分離層の材料の屈折率が光学伝播領域の屈折率に実質的に近いが、低いような実施形態では、光学伝播領域と光学損失層との間の界面は、低い角度(例えば偏向薄膜によって界面に方に偏向されるような、または周囲からの、界面の垂線に近い角)でその上に入射する光に対して本質的に透明であり、そして減少したフレネル(Fresnel)反射を有する。従って、例えば上の界面で偏向薄膜によって向け直された、または上の界面を通した周囲の伝播からの光は、下の界面を通って自由に通過しうる。ある特定の実施形態では、例えば上の界面上の偏向薄膜によって向け直された、または上の界面を通した周囲の伝播からの光は、光学分離層の下の界面を通って、下の界面の側面に近いディスプレイ素子に自由に通過しうる。特定のこのような実施形態では、ディスプレイ素子からの光(例えば干渉変調器によって反射された)は、光学分離層を通って、また上の界面を通って自由に通過しうる。
【0051】
ある特定の実施形態では、空気ギャップを利用せずに(その代わりに、例えば光学分離層を使って)光学損失層(例えば拡散層または吸収層)を光学伝播領域から分離することは、実質的に厚さを増やしたり、または製造コストを著しく増やすことなく、光学伝播領域を通って伝播する光の量を好都合に増やすことができる。隣接した光学損失層に起因した損失なしに光学伝播領域を通して光が伝播することを可能にすることによって、光学伝播領域の性能は、光学損失層が光学伝播領域に直接光学的に結合された照明装置と比較して驚くほどに増加し得る。さらに、このような実施形態は、ディフューザと光ガイドとの効率的な統合を可能にし、それによって下部のディスプレイ素子および/または光学機器の状態とは無関係に能力を発揮する光ガイドの向上を可能にする。光ガイドの性能に影響を与えないで変更されうる光学パラメータの他の例は、例えば、干渉変調器を光学バッファリング(optical buffering、光学緩衝)すること、様々な構造の干渉変調器の反射の違い、様々なディスプレイ容量および明るさレベル、などを含む。従って、上部にラミネートまたは追加されるディスプレイ素子のアレイの状態から光ガイドの光学機能が分離されるので、光ガイドは、「立ち寄り」(drop−in)モジュールとして扱われうる。干渉変調器と光ガイドを有するディスプレイ装置のためのディフューザに関してここで主に記載したが、光学損失領域(例えば、偏光子、ディフューザ、カラーフィルタ、吸収体などを含む)から分離された光学伝播領域を有する照明装置が、多種多様なディスプレイ技術(例えば反射型液晶、透過型液晶、半透過型液晶、電気泳動など)に適用することができる、ということが評価されよう。
【0052】
ディフューザは、光学伝播領域から光学的に分離されない時、光学伝播領域における光学エネルギーの喪失に関与しうる(ディスプレイ装置の長さ、ディフューザの厚さ、光学伝播領域の厚さ、および光拡散強度(すなわち、Hazeレベル)に応じて、例えば約25%超、約50%超、約75超、など)。しかしながら、光学伝播領域を光学損失層から光学的に分離する実際的な利益は、さらに高い。なぜなら、光ガイドモードを光学損失層(例えばディフューザ、吸収層)のみならずディスプレイ素子(例えば干渉変調器)の双方に結合した光学損失が、非常に深刻であるからであり、光学伝播領域(例えば光ガイドまたは薄膜スタック、光ガイドと基板、など)を光学分離層から分離することは、同様に、ディスプレイ素子から光学伝播領域を明確に分離することであるからである。
【0053】
図9Aは、ディスプレイ素子91のアレイ(例えば干渉変調器)、基板92(例えばガラス、プラスチックなどで構成される)、および光学損失層93を有する照明装置(例えばディフューザ、吸収体、偏光子、カラーフィルタなどを有する)、並びに光ガイド94を有する光学伝播領域97を備えたディスプレイ装置90の一部を示す。ある特定の実施形態では、基板92は、ディスプレイ素子91および/またはディスプレイ素子91の製造の際の他のある特定の層をサポート(支持)するための手段を提供する。ディスプレイ装置90の照明装置は、光学伝播領域97と光学損失層93との間に光学分離層95をさらに有する。光学分離層95はある材料を有する。いくつかの実施形態では、その材料は固体である。いくつかの実施形態では、その材料は液体(例えば粘性液体)である。いくつかの実施形態では、その材料はゲル状である。光学分離層95は、グレージング入射で光学伝播領域97を通って伝播する光が光学損失層93と相互作用しないよう構成される。それだけでなく、低い角度で光学伝播領域97を通って伝播する光(例えば、光ガイド94の偏向薄膜によってディスプレイ素子91のアレイの方に偏向されることに起因した、または周囲からの)は、光学損失層93、基板92、およびディスプレイ素子91のアレイと相互作用しうる。
【0054】
ディスプレイ装置90内に光学分離層95を統合することは、基板92上へのディスプレイ素子91の製造の前、その最中、および/またはその後に、形成することを可能にする。例えば、干渉変調器ディスプレイの製造において、光学損失層93は、製造の第一段階として基板92上に堆積することができる。基板92がディスプレイ素子91および/またはこのような実施形態による製造の際の他のある特定の層をサポートするための手段として役割を果たすことができる、ということが評価されよう。スピンコーティング、ブレードコーティング、スプレーコーティング、液体ディスペンシング(fluid dispensing)、薄膜コーティングなどを含むコーティングプロセスを使用することができる。堆積は、化学気相蒸着(CVD)および/または物理気相蒸着(PVD)を含むが、それらに限定されないような、適切な堆積技法によることができる。光学損失層93はまた、ある特定の実施形態において基板92にラミネートすることができる。いくつかの実施形態では、光学分離層95は、光ガイド94上に貼り付けられ、その次に光学分離層95と光ガイド94を含むスタックが基板92上に貼り付けられる。感圧性接着剤を使うことができる。光学損失層93がディフューザを有するいくつかの実施形態では、内部に含ませた散乱粒子を持った粘着性のマトリクスを有する。
【0055】
光学分離層95は光学損失層93の上に形成することができる。例えば、干渉変調器ディスプレイの製造において、光学分離層95は、基板92の上の光学損失層93上に堆積または貼り付けることができる。基板92が、このような実施形態における製造の際に、ディスプレイ素子91をサポートするための手段、および/または他のある特定の層としての役割を果たすことができる、ということが評価されよう。光学分離層95が多数層の材料を有する実施形態では、それぞれの層を連続的に堆積することができる。
【0056】
また、光学分離層95は、例えば
図9Aの構造98、および
図11を参照して以下で記載する構造118における光学損失層93と統合することができる。例えば、干渉変調器ディスプレイの製造において、光学分離層95と光学損失層93とを有する統合された構造98は、基板92の反対側上にディスプレイ素子91のように堆積することができる。基板92が、ディスプレイ素子91および/またはこのような実施形態による製造の際の他のある特定の層をサポートするための手段として役割を果たすことができる、ということが評価されよう。いくつかの実施形態では、統合された構造98が光ガイド94上に貼り付けられる、次に統合された構造98と光ガイド94を含むスタックが基板92上に、または基板92とディスプレイ素子91とを有するディスプレイ装置上に貼り付けられる。いくつかの実施形態では、統合された構造98は二重の光学機能:光学分離および光学損失を持つ。特定のこのような実施形態では、統合された構造98は、光ガイド94をディスプレイ素子91とは反対にある基板92の側に付ける多機能な感圧性接着剤を有する。
【0057】
光学分離層95の形成の後、ディスプレイ素子(例えば上記のような干渉変調器)を形成するのに使用される通常の堆積およびパターニング段階を、基板92の他の側で、ディスプレイ素子91を製造するために実行することができ、そして、製造の際にディスプレイ素子91、および/または、他のある特定の層の構造的なサポートのために使うことができる。ディスプレイ素子91の製造の完成の際に、光ガイド94を、光学分離層95上の基板92の反対側に(例えばラミネート、エンボス(浮き彫り)、貼り付けなどで)付着することができる。例えば、偏向薄膜を含む光ガイド94を基板92上にラミネートすることができる。他の例では、光ガイド94を、まず、基板92にベース薄膜(層または多層スタック)をラミネートし、その次にプリズム薄膜をベース薄膜にラミネートすることによって付着することができる。さらに他の例では、光ガイド94を、まず、ベース薄膜(層または多層スタック)上にプリズム薄膜をラミネートし、その次に基板92上に、上部にプリズム薄膜を有するベース薄膜をラミネートすることによって付着することができる。他の実施形態では、異なる順序の段階を使うことができる。例えば、いくつかの実施形態では、ディスプレイ素子91(例えば干渉変調器)を、光学損失層93と光学分離層95の一方または双方に先立って形成することができる。他のバリエーションもまた可能である。
【0058】
図9Bは、ディスプレイ素子91(例えば干渉変調器)のアレイ、基板92を有する照明装置(例えばガラス、プラスチックなどで構成される)、光学損失層93、および光ガイド94を有するディスプレイ装置96の一部を示す。このような実施形態では、光学伝播領域97は、光ガイド薄膜または薄膜スタック94と基板92とを有する。ある特定の実施形態では、基板92は、ディスプレイ素子91および/またはディスプレイ素子91の製造の際の他のある特定の層をサポートするための手段を提供する。光学損失層93は、ディスプレイ素子91のアレイに隣接し、それにより、光学分離層95は基板92と光学損失層93との間にある。そのようなものとして、
図9Bで示された実施形態はまた、光学損失層93から分離され、そして続いてディスプレイ素子91からも分離された光学伝播領域97を有する。
【0059】
ある特定の実施形態では、照明装置は、基板92(例えばガラス、プラスチックなどで構成される)、光学損失層93、および光ガイド94を有する。このような装置は、光学分離層95が除去されれば、従って基板92が光学損失層93に隣接するならば、
図9Bのように見えることになろう。基板92は、基板92が光学分離層の役割を果たすように、光学損失層93と光ガイド94との間に配置される。例えば、基板92は、グレージング入射で光学光ガイド94を通って伝播する光が光学損失層93と相互作用しないように、またそれだけでなく、低い角で光ガイド94を通って伝播する光が、光学損失層93、基板92を通って伝わることができ、そして、ディスプレイ素子91のアレイ上に入射しうるように構成される。このような実施形態では、基板92は、光ガイド94の屈折率より低い屈折率を持った材料を有する。例えば、光ガイド94が約1.59の屈折率を持つ実施形態では、基板92は石英(約1.45の屈折率を持つ)、アルミノケイ酸塩(アルミノシリケート)ディスプレイガラス(約1.52の屈折率を持つ)などを有することができる。
図10Cに関して以下で論じるように、光ガイド94と、この実施形態の基板92である光学分離層との間の屈折率差が増加するのに従って、内部全反射となりうる入射角の範囲は増加する。このような実施形態では、上述の別個の光学分離層95を排除することができ、基板を光学分離層として使用することができ、好都合に経費を減らす。しかしながら、別個の光学分離層95を含んだ実施形態は、材料の選択においてさらに多くの柔軟性を提供することができる。
【0060】
上述のように、ディスプレイ装置96内に光学分離層95を統合することは、基板92上へのディスプレイ素子91の製造の前、その最中、および/またはその後に、形成することを可能にする。ある特定の実施形態では、光学分離層95は、基板92上の全スタックをディスプレイ装置96を製造する1つの段階で貼り付けることができるように、光ガイド94上に形成される。干渉変調器ディスプレイ装置を製造するある特定の実施形態では、光学分離層95は、光ガイド94が基板92上に貼り付けられる前に基板92上に堆積される。基板92が、ディスプレイ素子91および/またはこのような実施形態による製造の際の他のある特定の層をサポートするための手段の役割を果たすことができる、ということが評価されよう。光学分離層95が多層の材料(例えば複数の薄膜)を有する実施形態では、それぞれの層を連続的に堆積することができる。光学分離層95の形成後に、光学損失層93を、例えば上述のような堆積またはラミネーション技法を使って光学分離層95上に配置することができる。光学損失層93の形成後に、ディスプレイ素子(例えば上述のような干渉変調器)を形成するために使われる通常の堆積およびパターニング段階を、光学損失層93上にディスプレイ素子91を製造するために実行することができる。光ガイド94は、ディスプレイ素子91の製造の前、その後、またはその最中、のいずれかに、基板92の反対側に(例えばラミネート、エンボス(浮き彫り)、貼り付けなどで)付着することができる。例えば、偏向薄膜を含む光ガイド94は基板92上にラミネートすることができる。他の例では、光ガイド94を、まず、基板92にベース薄膜(層または多層スタック)をラミネートし、その次にプリズム薄膜をベース薄膜にラミネートすることによって付着することができる。さらに他の例では、光ガイド94を、まず、ベース薄膜(層または多層スタック)上にプリズム薄膜をラミネートし、その次に基板92上に、上部にプリズム薄膜を有するベース薄膜をラミネートすることによって付着することができる。他のバリエーションも可能である。光ガイド94の(例えば付着による)形成の後に、光ガイド94と基板92は光学伝播領域97を形成する。他のアプローチも可能である。ある特定の実施形態では、例えば、光学損失層および/または光学分離層は、ディスプレイ素子(例えば干渉変調器)を形成した後に形成される。
【0061】
図9Aの構造98に対して上述したように、光学分離層95は、例えば
図9Aと9Bの構造98、および
図11に対して以下で記載される構造118において、光学損失層93と統合することができる。例えば、干渉変調器ディスプレイの製造において、光学損失層98と統合された光学分離層は、基板92のディスプレイ素子91と同じ側に堆積することができる。基板92が、ディスプレイ素子91および/またはこのような実施形態による製造の際の他のある特定の層をサポートするための手段として役割を果たすことができる、ということが評価されよう。
【0062】
図10Aは、光学伝播領域106と光学損失層102との間に光学分離層104を有する、照明装置100の例示的実施形態の一部を示す。光学損失層102は、ディフューザ、カラーフィルタ、吸収体、偏光子、または他のタイプの層を有することができる。光学分離層104は、ある材料を有する。いくつかの実施形態では、その材料は固体である。いくつかの実施形態では、その材料は液体(例えば粘性液体)である。いくつかの実施形態では、その材料はゲル状である。いくつかの実施形態では、光学分離層104は基板を有する。光学伝播領域106は、例えば光ガイド(例えば
図9Aで示されたような)、光ガイドおよび基板(例えば
図9Bで示されたような)、上部にラミネートされた偏向薄膜を持った光ガイド、粘着性の層などを有することができる。光学伝播領域106が光ガイド薄膜を有する場合、光ガイド薄膜はポリカーボネート、ガラス(例えばアルミノケイ酸塩(アルミノシリケート)、ホウケイ酸塩(ボロンシリケートなど))、などのような材料を有することができる。ポリカーボネートは、可視スペクトルの波長において約1.59の屈折率を持ち、ガラスは通常、可視波長において約1.52の屈折率を持つ。(例えば内部全反射を可能にすることによって)光学伝播領域106内へのグレージング入射での光線の反射を増やすために、光学分離層104は、光学伝播領域106の屈折率より低い屈折率を持つ。光学伝播領域106と光学分離層104との間の屈折率の差は、グレージング入射での光線が、光学伝播領域106と光学分離層104との間の下の界面105から内部全反射されるようにする。従って、光学伝播領域106がポリカーボネートを有する場合、光学分離層104は約1.59より低い屈折率を持つことができ、光学伝播領域106がガラスを有する場合、光学分離層104は約1.52より低い屈折率を持つことができる。光学分離層104は、例えば1.4から1.45の間の屈折率を持つシリコーン(silicone) (例えば光学的に透明なシリコンベースの接着剤)、1.4から1.45の間の屈折率を持つナノポーラスガラス状材料(例えばナノポーラスシリカ、スピンオンガラスなど)、ガラスおよびプラスチックに対する良好な接着性と約1.3から1.4の間の屈折率を持つフルオロポリマー(例えばデュポンNC−211(登録商標)のようなアモルファス透明フルオロポリマー)、およびその他のもの(例えば約1.2を下回る屈折率を持つエアロゲル、約1.47の屈折率を持つアクリレートベースの材料)を有することができる。アクリレートベースの材料は、低いコストと統合の容易性のために好まれるが、光学伝播領域106の屈折率より十分低い屈折率を持つ材料(例えば約0.1かそれ以上の屈折率差を持つ)が、
図10Cに関して以下で記載するように、光学特性のために好まれる。他の材料を使うこともできる。
【0063】
(例えば光学伝播領域106の光偏向薄膜によって偏向されることに起因した、または周囲からの)低い入射角で光学分離層104の材料を通って伝播する光は、好ましくは、その強度または光束(flux)の約4%未満を失い、さらに好ましくは、その強度または光束(flux)の約2%未満を失い、またさらに好ましくは、その強度または光束(flux)の約1%未満を失い、一層好ましくは、その強度または光束(flux)の約0.6%未満を失い、また一層好ましくは、その強度または光束(flux)の約0.2%未満を失い、あるいはまたさらに一層好ましくは、その強度または光束(flux)の約0.1%未満を失う。この損失は、例えば、屈折率の不一致の結果としてのフレネル反射に起因しうる。光学分離層104と光学伝播領域106との間の屈折率の差が大きくなればなるほど、低い入射角での光の反射量が益々大きくなる、ということが評価されよう。例えば、アクリレートベースの光学分離層104(約1.47の屈折率を持つ)に結合されたポリカーボネート光学伝播領域106(約1.59の屈折率を持つ)は、約0.2%の偏光を平均化した反射を持ち、シリコン光学分離層104(約1.41の屈折率を持つ)に結合されたポリカーボネート光学伝播領域106は、約0.4%の偏光を平均化した反射を持ち、フルオロポリマー光学分離層104(約1.37の屈折率を持つ)に結合されたポリカーボネート光学伝播領域106は、約0.6%の偏光を平均化した反射を持ち、プラスチック光学分離層104(約1.3の屈折率を持つ)に結合されたポリカーボネート光学伝播領域106は、約1%の偏光を平均化した反射を持つが、エアロゲル光学分離層104(約1.2の屈折率を持つ)に結合されたポリカーボネート光学伝播領域106は、約2%の偏光を平均化した反射を持つ。エアロゲル光学分離層104を使う場合の、ディスプレイ素子内への光束の量を増やすために、光学分離層106を有する材料を変更することができる。例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)は約1.47の屈折率を持ち、それがエアロゲル光学分離層104に結合されて、約1%の偏光を平均化した反射を持つ。さらに、フルオロポリマー光学分離層104に結合されたPMMA光学伝播領域106は、約0.1%の偏光を平均化した反射を持つ。それとは対照的に、光学伝播領域84と光学損失層83との間に空気ギャップ85を有する照明装置(例えば
図8Bで示されたような)では、(例えば光学伝播領域84の光偏向薄膜によって偏向されることに起因した、または周囲からの)低い入射角で空気ギャップ85を通って伝播する光は、ポリカーボネート光ガイド84(約1.59の屈折率を持つ)と空気ギャップ85(約1.0の屈折率を持つ)との間の界面に交差する度に、その強度または光束(flux)の約5.2%未満を失う。
【0064】
図10Bは、光学伝播領域106を通って伝播する伝播の角度θ
i(例えば入射角)を示す。入射角θ
iは、光学伝播領域106と光学分離層104との間の界面105の法線からの角度である。グレージング入射の角度での光は、通常、前記界面の垂線から約40°より大きい。
【0065】
いくつかの実施形態では、光学分離層104の材料は、異なった角度と光偏光の異なった屈折率を持つ材料間での反射を記載したフレネル方程式でのモデル化により、少なくとも一部が選択される。
図10Cは、
図10Aの照明装置100のある特定の実施形態による種々の物質の、光ガイドのより小さい屈折率差を持った界面(すなわち、光ガイド106が偏向特徴を有する界面において空気に隣接するような実施形態における界面105)に対して計算されたS偏光とP偏光の平均反射率を示す図である。実線の曲線107は、約1.59の屈折率を持つポリカーボネートと、約1.37の屈折率を持つフルオロポリマーを有する光学分離層104とを有する光学伝播領域106の平均反射率を示す。屈折率の差は約0.22(1.59−1.37)である。約58°より大きな入射角に対する反射率は100%であり、約50°より小さな入射角に対する反射率はほぼ零である。点線の曲線108は、約1.59の屈折率を持つポリカーボネートを有する光学伝播領域106と約1.41の屈折率を持つシリコンを有する光学分離層104の平均反射率を示す。屈折率の差は約0.18(1.59−1.41)である。約62°より大きな入射角に対する反射率は100%であり、約55°より小さな入射角に対する反射率はほぼ零である。破線の曲線109は、約1.59の屈折率を持つポリカーボネートを有する光学伝播領域106と約1.47の屈折率を持つアクリレートベースの材料を有する光学分離層104の平均反射率を示す。屈折率の差は約0.12(1.59−1.47)である。約67°より大きな入射角に対する反射率は100%であり、約60°より小さな入射角に対する反射率はほぼ零である。通常のフルオロポリマーは、ガラスとプラスチックに対する低い接着性に起因して、ある特定のディスプレイ装置に統合することが容易ではない可能性がある、ということが評価されよう。しかしながら、ガラスとプラスチックに対する良好な接着性を持つ、ある特定のフルオロポリマー(例えばデュポンNC−211(登録商標))が開発されてきた。
図10Cに示されるように、光学伝播領域106と光学分離層104との間の屈折率の差が増加するのにつれて、内部全反射しうる入射角の範囲(すなわち、100%の平均反射率における曲線107、108、109の直線部分の長さ)は増加する。より大きな屈折率の差を持つとここで想定される光ガイドの他の界面が、
図10Cに示したTIR角(例えば約60°かそれ以上)よりも十分に小さな入射角(例えばポリカーボネート−空気も対して39°)で内部全反射が始まるような入射角の関数として類似の反射挙動を呈する、ということが理解されるべきである。本発明のある特定の実施形態は、光ガイド106の上下の界面においてTIRを経験する角度の範囲を増加(例えば最大化)する一方で、上下の界面の垂線に近い角度での反射の合計を最小化する。
【0066】
それぞれの曲線107、108、109は、約40°で約0%に漸近的に近づく平均反射率を示すが、上述のように、その反射がフレネル反射によって影響を与えられうる、ということが評価されよう。従って、約0°の入射角(すなわち、界面105への垂直入射)での実線の曲線107の平均反射率は、約0.6%であり、約0°の入射角での点線の曲線108の平均反射率は、約0.4%であり、約0°の入射角での破線の曲線109の平均反射率は、約0.2%である。それとは対照的に、約1.59の屈折率を持つポリカーボネートと、約0°の入射角で約1.0の屈折率を持つ空気ギャップ85とを有する光学伝播領域84の平均反射率を示す曲線の約0°の入射角での平均反射率は、約5.2%である。従って、このような照明装置におけるこのような角での強度または光束(flux)の損失は、増加した厚さと上述の製造コストに関連する問題に加えて、例えば、空気より高い屈折率を持ち、光学伝播領域の屈折率により近く適合する材料を備えた光学分離層を有する照明装置と比較して不都合なほどに大きい。
【0067】
図11は、設計された内部ディフューザ(volume diffuser:ボリュームディフューザ)118を有する光学分離層によって光学損失層から分離された光学伝播領域116を有する他の照明装置110の例示的実施形態の一部の断面図である。光学伝播領域116は、例えば光ガイド(例えば
図9Aで示されたような)、光ガイドおよび基板(例えば
図9Bで示されたような)、上部にラミネートされた偏向薄膜を持った光ガイド、粘着性の層などを有することができる。内部ディフューザ118は、光ガイド116内のグレージング入射での光(例えば
図11における光線1)が内部全反射され、実質的にディフューザ118と相互作用せず、一方で、光ガイド116内の低い入射角における光(例えば
図11における光線2)が、ディフューザ118と相互作用し、その後に散乱されるように設計される。従って、設計された内部ディフューザ118は、多数の光学機能:光ガイド116のための光学分離層としての役割を果たす光ガイド116の下の界面115においてより低い入射光に対する反射を減らすという機能、および、光ガイド116の光偏向ミクロ構造によって偏向された、またはディスプレイ110上の周囲から生じた光を拡散するという機能、を提供することができる。設計された内部ディフューザ118は、ベース材料(または「マトリクス」)114および内部に配置されたフィラー112(または「ミクロ構造」)を有する。
【0068】
ある特定の実施形態では、フィラーは、粒子または微粒子またはボイド(空洞)からなる。これらの微粒子またはボイドは光を散乱する大きさおよび/または幾何学構造を持つ。いくつかの実施形態では、これらの微粒子は吸収性である。種々の実施形態では、例えば、微粒子は可視スペクトルのすべてを吸収し、そして光を拡散することができる。(他の実施形態では、微粒子は可視スペクトルの一部を吸収し、そして色をフィルタして除くことができる。ある特定の実施形態では、微粒子は細長く、そして光を偏光するのと同様に指向させることができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、フィラーまたはミクロ構造112は、設計された内部ディフューザ118の約10体積%、約5体積%、またはそれ未満を占める。ある特定の実施形態では、ベースまたはマトリクス材料114は、光学伝播領域116の屈折率より低い屈折率を持つ。従って、光学伝播領域116と設計された内部ディフューザ118との間の下の界面115は、グレージング角(例えば光学伝播領域116とディフューザの118のマトリクス材料114との間の界面115に対する臨界角より大きな角度)でその上に入射する光を内部全反射する。一方で、界面115は、より高い角度(例えば界面115の垂線に近い角度)でその上に入射する光に対して本質的に透明である。ある特定の実施形態では、ミクロ構造112は、ベース材料114の屈折率よりもより高い、および/または、低い屈折率を持つ。
【0070】
少なくとも1つのミクロ構造112aが界面115から隔てられないいくつかの実施形態では、特徴112aは、光学伝播領域116の屈折率より低い屈折率を持つ。従って、光学伝播領域116と少なくとも1つのミクロ構造112aとの間の下の界面115は、グレージング角(例えば臨界角より大きな角度)でその上に入射する光を内部全反射する。一方で、界面115は、より高い角度(例えば界面115の垂線に近い角度)でその上に入射する光に対して本質的に透明である。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのミクロ構造112aは界面115から隔てられず、またミクロ構造112aは光学伝播領域116の屈折率よりもより低い屈折率を持たない。従って、グレージング角(例えば臨界角より大きな角度)で下の界面にミクロ構造112上へと入射する光は影響されうる。しかしながら、界面115におけるミクロ構造112aのその領域が界面115の全体の領域に対して低くなるような、特徴112の密度が低いものである実施形態では、このような損失は取るに足らないものとすることができる(例えば無視できる)。
【0071】
少なくとも1つのミクロ構造112bが界面115から隔てられるいくつかの実施形態では、内部ディフューザ118は、特徴112bと界面115との間に効果的な界面層117(例えばマトリクス114の材料を有する)を有する。効果的な界面層117が厚くなればなるほど、ミクロ構造112bとの相互作用の機会が減少する。従って、グレージング角(例えば臨界角より大きい角)で界面115上に入射する光は、長続きしない電磁界が特定のグレージング角に対して無視できるレベルに減衰するように層117の厚さが十分に厚い場合、ミクロ構造112bと実質的に相互作用しない。いくつかの実施形態では、層117の厚さは約0.5μmより薄い。他の実施形態では、層117の厚さは約1μmより薄い。他の厚さも可能であり、選択された厚さは、いくつかの実施形態では、光学伝播領域116の屈折率とマトリクス114の屈折率とに依存しうる。
【0072】
いくつかの実施形態では、照明装置110は、光拡散コーティングで覆われた補足的なプラスチック薄膜を含む光学伝播領域116を有し、および/または、干渉変調器基板ガラスの上に製造される。例えば、光学伝播領域116が光ガイド(例えば
図9Aで示された光学伝播領域97)を有し、光学分離層と光学損失層が設計された内部ディフューザ(例えば
図9Aで示された構造98または
図11で示された構造118)内に統合化された実施形態では、ディフューザは、光拡散性の感圧性接着剤(PSA)を有することができる。他の例では、光学伝播領域116が光ガイドと基板(例えば
図9Bで示された光学伝播領域97)とを有し、光学分離層と光学損失層が設計された内部ディフューザ(例えば
図9Bで示された構造98または
図11で示された構造118)内に統合化された実施形態において、ディフューザは、ディスプレイ素子と同じ基板の側に、粒子充填されたガラス状材料(「ガラス内ディフューザ」)を有することができる。ガラス状の材料は、有機シリコンスピンオンガラスの熱処理によって得られるガラス、ゾル−ゲルタイプの材料の熱処理によって得られたガラス、バインダー中に分散した粉末のガラス、およびその他のもの、を含む。光学伝播領域116が光ガイド(例えば
図9Aで示された光学伝播領域97)を有し、光学分離層と光学損失層が設計された内部ディフューザ(例えば
図9Aで示された構造98または
図11で示された構造118)内に統合化された実施形態では、ディフューザはまた、ディスプレイ素子として基板の反対側にガラス内ディフューザを有することができる、ということが評価されよう。いくつかの実施形態では、照明装置110は、干渉変調器基板ガラス、および/または、低屈折率のPSAのような接着剤の光拡散構造でコーティングした補足のプラスチック薄膜を含む光学伝播領域116を有する。このような実施形態は、ベース材料114対光学伝播領域116に対して
図10Cに関して上述したものと同様の反射率のプロットを持ちうる。
【0073】
ミクロ構造112は何らかの大きさまたは形状でありうる。そして、所望の光学損失のある特定の特性のために選択されうる。一例として、ミクロ構造112は、光学損失層が光学ディフューザを有する実施形態のための光散乱特徴を有することができる。他の例として、ミクロ構造112は、光学損失層がカラーフィルタを有する実施形態のために、ある特定の波長において光を吸収するよう構成することができる。さらに他の例として、ミクロ構造112は、光学損失層がディフューザまたは偏光子を有する実施形態のために、すべての光可視波長および特定の偏光を吸収するよう構成することができる。このような実施形態では、ミクロ構造112は、細長く(すなわち幅より大きな長さを持つ)、また、光学損失層が偏光子を有する実施形態のために、好ましい広範囲の方向に沿って方向づけられうる。
【0074】
図11はまた、光学伝播領域116と層118とを有する照明装置110を示す。光学伝播領域116は、光ガイド(例えば
図9Aで示されたような)、光ガイドおよび基板(例えば
図9Bで示されたような)、上部にラミネートされた偏向薄膜を持った光ガイド、粘着性の層などを有することができる。偏向特徴は、界面115の方に向けて光学伝播領域116の外に光を向け直すよう構成される。層118は、マトリクス材料114と、光学伝播領域116を有する層の最小の屈折率より低い屈折率を持った、マトリクス114に配置されたミクロ構造112とを含む。従って、層118は、光学伝播領域116内で内部全反射される光の量を増やすよう構成される。層118は、例えばミクロ構造が光を散乱するよう構成されるようなディフューザを有することができる。層118は、例えばミクロ構造が選択された波長において光を吸収するよう構成されたカラーフィルタを有することができる。層118は、例えばミクロ構造が細長く、および/または、すべての光可視波長を吸収するよう構成された偏光子を有することができる。ミクロ構造は、光学伝播領域の屈折率より低い屈折率を持ちうる。マトリクスは、光学伝播領域の屈折率より低い屈折率を持ちうる。
【0075】
ある特定の代替の実施形態では、照明装置110の光学分離層118は、制御下または非制御下のいずれかの方法で光の方向を変える内部ホログラム(volume hologram:ボリュームホログラム)を有する。このようなホログラムは、例えばホログラフディフューザを有することができる。この内部ホログラムは、光学伝播領域116の屈折率より低い屈折率を持つマトリクス材料を有することができる。従って、傾斜した入射角、またはグレージング入射角(臨界角より大きい)で光学伝播領域116とホログラムとの間の界面上に入射した光は、内部全反射で反射することができる。上述のように、グレージング入射で光伝播領域116を通って伝播する光線は、設計された内部ディフューザ118より高い屈折率を持つ光学伝播領域116内での反射によって包含される。一方で、周囲から起こった、または低い入射角で照明薄膜によって偏向された光は、例えば無視できるほどに、またはほんのわずかだけ反射される。
【0076】
図12は、光学伝播領域126と表面構成された光学素子を有する光学損失層122との間に光学分離層124を有する照明装置120のまたさらに他の例示的実施形態の一部を示す。光学伝播領域126は、例えば光ガイド(例えば
図9Aで示されたような)、光ガイドおよび基板(例えば
図9Bで示されたような)、上部にラミネートされた偏向薄膜を持った光ガイド、粘着性の層などを有することができる。光学分離層124は、光学伝播領域126を有する素子の最小の屈折率より低い屈折率を持った材料を有し、それによって、例えば内部全反射により光学損失層122から光学伝播領域126を光学的に分離する。従って、光学伝播領域126と光学損失層122との間の下の界面125は、グレージング角(例えば臨界角より大きい角)でその上に入射する光を内部全反射する。一方で、界面125は、光が光学素子122と相互作用しうるように、より低い角度(例えば界面125の垂線に近い角度)でその上に入射する光に対して本質的に透明である。
図10Cの反射プロットはまた、
図12で示された照明装置のある特定の実施形態にも同様に適用することができる。
【0077】
光学損失層122は、光を拡散するよう構成された空間的に周期的な、ランダムな、または空間的周期的でない特徴を実質的に持った、設計された表面構造123を含むディフューザ122を有する。このような表面構造は、例えばホログラフディフューザを有することができる。ディフューザ122の表面構造123は、ディフューザ122が低い屈折率を持つ光学分離層124に隣接する時に、ディフューザ122の拡散特性が、空気に隣接する時のディフューザ122の拡散特性と類似するように、調整することができる。ある特定の実施形態では、光学分離層124は、光学損失層122の設計された表面構造123と残りの照明装置120との間の界面125を平坦化する。このような平らな界面125は、光学伝播領域126への光学損失層122のさらに良好な、および/または、より容易な付着方式(例えばラミネーション)を可能にしうる。例えば、光学伝播領域126への光学損失層122の付着は、その他、空気ギャップを含む。光学損失層122はまた、ランダム化されたホログラフミクロ構造薄膜(例えばカリフォルニアのフィジカル・オプティクス・コーポレーション・オブ・トーランス(Physical Optics Corporation of Torrance)などから入手可能な指向性ディフューザ)、ホログラフ格子などをも有しうる。光学分離層124は、例えば、表面レリーフ123を効果的に平坦化するために、構造化された光学損失層122の表面を、ロールからロールへの(ロール・トゥ・ロール)プロセスで湿式コーティングすることによって、光学損失層122に結合できる。
【0078】
図13Aは、低い屈折率材料を有する光学分離層134によって光学損失層132から分離された光学伝播領域136を有する照明装置130のさらに他の例示的実施形態を示す。光学伝播領域136は、例えば光ガイド(例えば
図9Aで示されたような)、光ガイドおよび基板(例えば
図9Bで示されたような)、上部にラミネートされた偏向薄膜を持った光ガイド、粘着性の層などを有することができる。光学分離層124は、多層の干渉スタック134内に複数の材料層を有し、グレージング入射で光学伝播領域136を通って伝播する光に対する高い反射率を持ち、低い入射角での光(例えば照明薄膜によって偏向された、または周囲から起こった光)に対する低い反射を持つよう構成される。ある特定の実施形態では、複数の材料層は、所望の反射特性を得るために薄膜の干渉特性を利用する干渉層を含む。例えば、その層は、種々の材料(例えば誘電材料)のサブ波長(波長以下)(例えば、λ/4)の薄膜を含むことができる。いくつかの実施形態では、光学分離層134は、様々な屈折率を持った薄膜を含む。一つのそのような実施形態では、光学伝播領域136の屈折率より高い屈折率と光学伝播領域136の屈折率より低い屈折率とで交替する薄膜が提供される。例えば、光学分離層134は、2つの薄膜を含むことができる。その一つは、光学伝播領域136の屈折率より高い屈折率を持ち、一つは、光学伝播領域136の屈折率より低い屈折率を持つ。
【0079】
ここで記載した他の光学分離層に類似する、多層の干渉スタック134を、光学伝播領域136(例えば光ガイド薄膜または薄膜スタック、光ガイド薄膜または薄膜スタックと基板など)をいくつかの様々な光学損失層132(例えば、ディフューザ、偏光子、カラーフィルタ、吸収体など)から分離するために使うことができる。従って、光学伝播領域136と光学損失層132との間の下の界面137は、グレージング角(例えば臨界角より大きな角度)でその上に入射する光を内部全反射する。一方で、界面137は、より高い角度(例えば界面137の垂線に近い角度)でその上に入射する光に対して本質的に透明である。光学分離層134は、光学伝播領域136上に物理的に(例えば被覆または堆積で)提供することができる。また、光学伝播領域136の一部になるベース薄膜(または層または多層スタック)上に提供することができる。あるいは、光学損失層132上に被覆または堆積されうる。他の製造方法も可能である。
【0080】
図13Bは、約2.32の屈折率を持つ二酸化チタン(TiO
2)の層131、約1.38の屈折率を持つフッ化マグネシウム(MgF
2)の層133、および約2.32の屈折率を持つ二酸化チタンの第2の層135、を有する多層の干渉スタック134の例示的実施形態を示す。他の材料もまた可能である。層131、133、135の少なくとも1つは、光学伝播領域136の屈折率より低い屈折率を持つ材料、例えば光学伝播領域136が約1.52の屈折率を持ったガラスを有するような実施形態の場合におけるフッ化マグネシウム、を有する。
【0081】
図13Cは、様々な入射角での、一例による多層の干渉スタック134の明所視反射率をグラフで示す。実線138は、約1.59の屈折率を持つポリカーボネートを有する光学伝播領域136と、6.7nmの二酸化チタン、221.8nmのフッ化マグネシウム、および117.5nmの二酸化チタン131を有する多層干渉スタック134、の明所視反射率を示す。約70°より大きな入射角に対する反射率は約100%であり、約40°より小さな入射角に対する反射率は(例えば上述のフレネル反射に起因して)ほとんど零である。種々の構成(材料、厚さ、層の数、層の配向、均一性など)が反射曲線に影響を与える可能性があり、従ってどれかが光学的分離を改善するために最適化しうる、ということが評価されよう。
【0082】
多種多様な異なった実施形態も可能である。薄膜、層、構成部材、および/または、素子が加えられ、取り除かれ、または再配置することができる。さらに、処理ステップが加えられ、取り除かれ、または再度順序付けすることができる。また、「薄膜」および「層」という用語をここで使ってきたが、ここで使われたこのような用語は、薄膜スタックと多層を含むことができる。このような薄膜スタックおよび多層は、接着剤を使って他の構造に貼り付けることができ、あるいは、堆積(蒸着)または他の方法を使って、他の構造上に形成することができる。
【0083】
さらに、ある特定の望ましい実施形態と例による状況で本発明を開示してきたが、特に開示された実施形態を超えて、本発明の他の代替の実施形態および/または使用、並びに明白な変更とその同等物にまで、本発明は拡張するものである、ということが当業者によって理解されよう。加えて、本発明のいくつかのバリエーションを示し、詳細に記載してきた一方で、それは本発明の範囲の中にあり、この開示に基づいて当技術分野の当業者には容易に明らかなことであろう。実施形態の特定の特徴および局面の種々の組み合わせまたは下位の組み合わせがなされうること、そして依然本発明の範囲に収まる、ということも考えられる。開示された実施形態の種々の特徴および局面が、本発明の様々な様式を形成するために、お互いに組み合わせたり、または代用したりできる、ということが理解されるべきである。従って、ここに開示された本発明の範囲が、上述の特定の開示された実施形態によって限定されるべきでなく、しかし以下の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ決定されるべきである、ということが意図される。