(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756532
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】異なる深度で干渉計法の深い断面像を連続して記録するための、特に眼を分析するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20150709BHJP
G01B 9/02 20060101ALI20150709BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
A61B3/10 R
A61B3/10 RZDM
G01B9/02
G01B11/24 D
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-552138(P2013-552138)
(86)(22)【出願日】2012年2月3日
(65)【公表番号】特表2014-508584(P2014-508584A)
(43)【公表日】2014年4月10日
(86)【国際出願番号】EP2012000487
(87)【国際公開番号】WO2012104097
(87)【国際公開日】20120809
【審査請求日】2013年10月1日
(31)【優先権主張番号】102011010443.7
(32)【優先日】2011年2月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508036260
【氏名又は名称】ハイデルベルク・エンジニアリング・ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エンゲルハルト,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】ドレーゲ,ゲリツト
(72)【発明者】
【氏名】マルテンゼン,ビヨルン
【審査官】
増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−226785(JP,A)
【文献】
特開2010−000191(JP,A)
【文献】
特開2010−158265(JP,A)
【文献】
特開平10−267830(JP,A)
【文献】
特表2009−515175(JP,A)
【文献】
特開2009−139117(JP,A)
【文献】
特開2003−329577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/10
G01B 9/02
G01B 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる深度での干渉計法の断面像を連続して記録するための方法にして、光学的参照経路(9)と光学的試料経路(10)とを含む干渉計(1)によって、深い断面像を生成するように、試料ビーム(14)が試料(2)の測定領域(3)を走査し、試料ビーム(14)および/または参照ビーム(15)の経路長が、光ビームに関して入射位置(26)と入射位置とは異なる出射位置(27)とを有する経路長切替えユニット(16)によって変化され、かつ深い断面像が、試料(2)の少なくとも2つの異なる深度で生成される、方法であって、
経路長切替えユニット(16)の中に回転可能に配設され、かつモーターによって少なくとも2つの異なる角度位置で調節される少なくとも1つのミラー(21、22)によって、経路長の変化が経路長切替えユニット(16)の中で起こり、したがって、異なる光学素子(23、24、25)を用いて、前記入射位置(26)および出射位置(27)の間で、異なる角度位置に対して異なる幾何学的経路にビーム経路を偏向させることにより、経路長切替えユニット(16)として設計されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
試料ビーム(14)によって眼を分析するために、眼の測定領域が走査されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
試料(2)の異なる横位置で、試料ビーム(14)と参照ビーム(15)との重ね合わせから結果として生じる、干渉計(1)の干渉計法の信号を評価することによって、深い断面像(30、31)が計算されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
試料(2)の異なる深度位置で、試料ビーム(14)と参照ビーム(15)との重ね合わせから結果として生じる、干渉計(1)の干渉計法の信号を評価することによって、深い断面像(30、31)が計算されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
試料ビーム(14)および/または参照ビーム(15)が、経路長切替えユニット(16)の前記ミラー(複数可)(21、22)によって設定され、その結果、これらのビームが、位置(26)で経路長切替えユニット(16)に入り、かつ位置(27)で出る、または逆に、ミラー位置とは無関係であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
試料ビーム(14)が、光学ユニット(11)によって試料の予め決められた深度に焦点合わせされ、焦点が、経路長切替えユニット(16)によって予め決められる深度に適合することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
完全な深い断面像(34)が、測定領域(3)の走査によって取得される少なくとも2つの部分的な深い断面像(30、31)から、評価ユニット(5)によって組み立てられることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
走査された領域の相対位置および/または深い断面副像(30、31)が取り込まれることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
測定領域(3)の走査によって取得される個々の部分的な深い断面像(30、31)の一致する参照信号を考慮することによって、完全な深い断面像(34)が、評価ユニット(5)によって生成され、および/または参照信号(複数可)が、個々の部分的な深い断面像(30、31)の重なり領域における同一の構造に基づいて生成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
異なる深度で干渉計法の深い断面像を連続して記録するための、特に眼を分析するためのデバイスにして、光学的参照経路(9)と光学的試料経路(10)とを有する干渉計(1)を備え、干渉計(1)が、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法を実行するように、試料ビーム(14)によって試料(2)の測定領域(3)を走査するように設計される、デバイスであって、
経路長切替えユニット(16)が、光学的参照経路(9)および/または光学的試料経路(10)の中に配設され、当該ユニットが、光ビームに関して入射位置(26)と入射位置とは異なる出射位置(27)とを有し、少なくとも1つの回転可能に配設されたミラー(21、22)を含み、かつ光学的参照経路(9)および/または光学的試料経路(10)の長さを変化させる、および/または予め決定するために使用されることができ、その結果、試料(2)の中の測定領域(3)が、少なくとも2つの異なる測定深度で予め決定され得ることを特徴とする、デバイス。
【請求項11】
回転可能なミラー(21、22)が、特にガルバノメータとして設計されるモーターによって、少なくとも2つの異なる位置で設定され得ることを特徴とする、請求項10に記載のデバイス。
【請求項12】
経路長切替えユニット(16)が、静止している少なくとも1つのさらなるミラー(23、24、25)を備えることを特徴とする、請求項10または11に記載のデバイス。
【請求項13】
少なくとも1つのミラー(23、24、25)が、回転可能に配設されたミラー(21、22)と協力して、試料ビーム(14)および/または参照ビーム(15)が同じ位置(26)で入り、かつ同じ位置(27)で出る、または逆にミラー(21、22)によって決まるそれぞれの位置に対するように配設されることを特徴とする、請求項10から12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
光学的経路の少なくとも1つの中に光学ユニット(11)を備え、光学ユニット(11)によって、それぞれの測定領域に対して焦点位置、分散または結像の幾何学的配置が予め決定され得る、請求項10から13のいずれか1項に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記述された特徴に従って、干渉計法の深い断面像を連続して記録するための方法に関する。本発明は、さらに、その方法を実行するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
そのような方法およびそのようなデバイスは、国際公開第2010/074098A1号パンフレットから知られる。電気ユニットは、直線的に移動させることが可能で、かつミラーを備えるものであるが、試料経路の中に存在する。ミラーに衝突する試料ビームは、このミラーと同じ方向に反射される。
【0003】
干渉計法の深い断面像を記録することに関連する問題は、デバイスでは、特別な参照アーム長に対して、制限された測定深度だけが許されるということである。フーリエ領域システムでは、測定深度は、スペクトル装置の分解能によって制限される。迅速に動作するシステムは、通常、基準面から10mmまでの距離を有する深度を、許容できる信号対雑音比で検出する。
【0004】
加えて、干渉計法の深い断面像を記録する場合、使用される光学系の被写界深度は、測定深度をしばしば制限する。通常、レーリー長の大きさ程度にある範囲だけが、良好な横方向分解能および許容できる信号対雑音比で記録され得る。測定深度をレーリー長の数倍に拡大するには、焦点位置が調整されることがしばしば必要となる。
【0005】
干渉計法の深い断面像の深度分解能が依存する要因の1つは、使用される干渉計のアームの中に分散を適合させることである。従来システムの分散は、1つの測定深度だけに適合され、その結果、測定深度を拡大することは、一般に軸方向分解能の損失を必然的に伴う。
【0006】
本発明によれば、ここで挙げられたこれらの問題は、干渉計法の撮像システムを迅速に動作させることのために、解決されるはずである。
【0007】
良好な信号対雑音比で走査される試料の領域を新しい深度に調節するように、分散はもちろんのこと、試料経路と参照経路との間の経路長差、および任意選択的に結像の幾何学的配置と焦点位置が、変化されなければならない。特に移動可能な試料の場合(例えば眼を測定する場合)、お互いに対して走査された領域の相対的位置についての情報を得て、かつ任意選択的にいくつかの連続して記録された個々の深い断面像から完全な深い断面像を組み立てることができるように、経路長差の変化、および、必要ならば焦点位置の変化、ならびに任意選択的に分散適合の変化が迅速に起こらなければならない。現代の干渉計法の測定システムは、数100Hzフレームレートを達成する。10msよりもかなり短い時間内で異なる領域に切り替える場合(例えば、100Hzのフレームレートで最大10%の不感時間に対して1ms)、ここでは数mmの経路が扱われなければならないので、試料または参照アームにおけるミラーの位置に対して、測定装置の位置を制御して変化させることは可能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許発明第4103298号明細書
【特許文献2】国際公開第2008/052793号
【特許文献3】国際公開第2010/074098号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、方法およびデバイスを提案することであり、これによって、干渉計の試料アームおよび/または参照アームにおける光学的経路と幾何学的経路が、2つ以上の位置間で迅速に切り替えられ得る。それぞれの走査された領域において、改善された信号対雑音比で、異なる深度での干渉計法の深い断面像が、生成されるおよび/または記録されることに対して、選択肢が作り出されるべきである。加えて、拡大された測定長を有する深い断面像を、簡単な方法で生成することが、可能とされるべきである。その方法は、機能的に信頼できるやり方で容易に実行され、かつ、低い費用で信頼できるかつ/または改善された結果を容易に提供するべきである。
【0010】
加えて、その方法およびデバイスは、個々の位置またはすべての位置でのいずれかで、焦点位置または結像の幾何学的配置を適合させる選択肢、および/またはそれぞれの位置への分散適合を提供するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の方法では、請求項1で提供される特徴によって、この目的が達成される。そのデバイスでは、デバイスに向けられた他の独立請求項の特徴によって、目的が達成される。
【0012】
本発明は、干渉計の試料アームおよび/または参照アームにおける光学経路を、2つ以上の位置間で極めて迅速に切り替えるような、切替えユニットのための方法およびデバイスを記述する。切替えユニットは、好ましくは試料アームの中に位置するが、これによって、例えばファイバ干渉計の中で参照アームのための閉じた設計が可能になるからである。しかしながら、原則として、機能性の点からの制限はあるが、切替えは両方のアームの中にあり得る。切替えユニットはまた、切り替えられた経路に素子を導入することによって、焦点の位置、結像の幾何学的配置および分散のような付加的なパラメータを変更するために用いられ得る。迅速な切替えによって、測定領域が最小の不感時間で異なる深度に移行されることが可能になる。本発明は、特にマイケルソン干渉計によって実行されるが、しかしながら、マッハチェンダシステムのような他の干渉計もまた、本発明の範囲内で提供され得る。
【0013】
本発明によれば、経路長切替えユニットは、好ましくは回転可能なミラーで実施される。これによって、要求される速い切替え時間が達成されることが可能になり、かつ異なる光学経路上での、しかも異なる光学素子による異なる位置に対して、ビーム経路を実施するための選択肢が存在する。関連する技術によれば、ガルバノメータモーター上に取り付けられたミラーは、0.1ms以内で新しい位置に調節され得る。
【0014】
特別な改良および実施形態が、従属請求項および、図面で示された実施形態の記述において提供される。本発明は、図面に示された特別かつ実施形態に基づいて、この後、より詳細に説明されることになるが、それによって、本発明をこの点に関して限定することはない。図示例は、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図4】経路長切替えユニットを有する、本発明による干渉計法の測定配置の実施形態を示す図である。
【
図5】経路長切替えユニットを有する、本発明による干渉計法の測定配置の実施形態を示す図である。
【
図6】経路長切替えユニットの特別な実施形態を示す図である。
【
図7】合体された光学部品を有する、
図6の経路長切替えユニットを示す図である。
【
図8】完全な深い断面像を形成するために、異なる深度で個々の深い断面像を組み立てたものを示す図である。
【
図9】経路長切替えユニットの他の特別な実施形態を示す図である。
【
図10】経路長切替えユニットの他の特別な実施形態を示す図である。
【
図11】眼を分析するためのデバイスを示す図である。
【
図12】眼を分析するためのデバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、ここではマイケルソン干渉計に基づいて、深い断面像を記録するための代表的な干渉計法の測定配置を示す。深い断面像は、干渉計として設計された測定装置1によって、試料2内の領域3に記録される。光源4からの光は、ビームスプリッタ6に入射し、かつ試料ビーム14と参照ビーム15に分割される。試料ビーム14および参照ビーム15のそれぞれの端部での矢印は、光源4によって出射された照明ビームの方向を表し、かつ、さらに反射されたまたは再出射された相当光ビームを表す。深い断面像は、干渉計法の信号を評価することによって、評価ユニット5で計算されるが、干渉計法の信号は、試料上の様々な横位置で、試料ビーム14Pと参照ビーム15Rとを重ね合わせることによって結果として生じる。深い断面像を生成するように、試料ビーム14は、試料2の様々な横位置で、偏向ユニット8によって偏向される。任意選択的な光学ユニット11は、試料ビーム14を、必要ならば、対象物すなわち試料の、および/または測定領域の予め決められた深度に、焦点合わせする。深い断面像は試料の深度13で記録されるが、深度13では、点線18によって示されるように、光学的参照経路9と光学的試料経路10が同一である。深度は、ミラー7の位置と、試料2からの測定装置1の距離12との両方によって定義される。
【0017】
仮に測定領域3が、深い断面像に対して新しい深度13に調節されることになっていれば、測定装置1と試料2との間の距離は、
図2に示されるように、変化され得る。距離12’を変化させることによって、ここでの測定領域は、新しい深度13’に位置付けられる。同じ結果は、
図3に示されるように、距離12を維持しながら、参照ビーム15の光学的経路9を変化させることによって達成され得る。再び、測定領域3は、新しい深度13’に移行される。
【0018】
本発明に従って、異なる深度で少なくとも2つの深い断面像を連続して記録することによって、拡大された測定深度を有する完全な深い断面像が、個々の像を組み立てることによって生成される。
【0019】
図4は、本発明に従って試料経路14の中に挿入される経路長切替えユニット16の例を用いた原理を示しており、そこでは、経路長切替えユニット中の短い光学的経路の場合に、深度13での測定領域3の位置が、試料3内の深度13に位置している。
図5によれば、破線17によって示されるように、光学的経路長は、経路長切替えユニットの中で、より長い光学的経路に既に切り替えられており、これは、
図4と比較すると拡張されている。他のすべての変数が変化を受けずに、試料2内の新しく、しかもより浅い深度13”で、今度は測定領域が走査される。経路長切替えユニット16の構成に依存するが、本発明によれば、2つ以上の測定領域位置を実施することが可能である。本発明によれば、光学ユニット11の焦点は、経路長切替えユニット16によって設定される光学的経路長に、および/または測定領域3の設定位置に適合される。
【0020】
図5は、付加的または代替的な実施形態を示し、これは、参照経路または参照ビーム15の中に経路長切替えユニット16’を含む。試料経路または試料ビーム14の中での経路長切替えユニット16に類似して、この経路長切替えユニット16’は、参照経路または参照ビーム15の中で経路長を変化させる、および/または設定するために使用され得る。
【0021】
図6は、経路長切替えユニット16の特別な実施形態を示す。ミラー位置に依存して、位置26に入射する光ビーム14は、回転可能なミラー21によって、ミラー23、24または25の1つに偏向される。ミラー23、24および25は、いずれの場合も、ミラー21から入射する光ビームが回転可能なミラー22の軸に偏向されるように、方位が向けられる。ミラー21および/またはミラー22の角度、および/または角度位置は、それぞれの経路に対して、および/またはそれぞれの経路と好ましくは同期して、ミラー23、24または25によって適切に調節され、その結果、ビームは、常に位置27で経路長切替えユニット16を出る。ミラー23、24および25の位置は、この実施形態の中で、ミラー21/ミラー23/ミラー22の区分、ミラー21/ミラー24/ミラー22の区分、およびミラー21/ミラー25/ミラー22の区分がお互いに異なり、かつより具体的には、測定領域の望ましい移行に相当する大きさだけ異なるように選択される。モーターはミラー21、22に結合され、モーターによって、ミラー21、22の迅速な調節が可能になる。特に、これらのモーターはガルバノメータである。ミラー角度21および22に対する3つの異なる組み合わせによって、位置26と27との間で3つの異なる経路長が、極めて迅速に切り替えられることが可能になる。原理は3つの経路に限定されておらず、経路長切替えユニット16の実施形態に依存して、2つ以上の経路が実施され得る。もちろん、反射されるビームまたは再出射される光ビームは、位置27で経路長切替えユニット16に逆に入り、かつ位置27で出る。
【0022】
試料および測定タスクの特性に依存して、焦点の位置および/または分散を測定領域のそれぞれの深度に適合させることが必要かもしれない。本発明によれば、特に
図1から
図5に従って光学ユニット11を考慮する場合、光学部品を経路長切替えユニットの異なる経路の中に導入することによって、異なる焦点位置が、設定可能な測定領域の各々に対して定義される。加えて、経路長切替えユニットの異なる経路における分散は、異なるように設定されることができ、かつ/または光学部品の分散を選択することによって、測定領域の深度に適合されることができる。
【0023】
図7は、
図6で示された配置において、
図1から
図5に基づいて説明された部品8、9および10の可能な配置を示す。
【0024】
さらなる特別な実施形態では、
図6または
図7に従う経路長切替えユニットは、
図1から
図5の光学ユニット11と結合されるが、その理由は、一般に、光学ユニット11は同様に、ビーム偏向のための回転可能なミラーを含み、かつ試料ビームの方向は、好ましくは
図6または
図7のミラー22によって変化され得るからである。
【0025】
その方法は、深い断面像を記録することに限定されない。経路長の、および/または焦点位置の、および/または分散の高速切替えは、軸に沿った一次元測定に対しても同様に用いられる。
【0026】
深い断面像は、線および列での走査またはサンプリングによって既知の方法で取り込まれ、かつ/または評価ユニットによって生成されることが、ここで指摘されるべきである。本発明の特別な代替的実施形態では、単一の列だけ、または任意選択的にはわずか数個の列、そしてより具体的には最大で10列が、完全な深い断面像の代わりに、1つの深度で生成される。その方法の継続時間および/または測定時間は、したがって、極めて著しく低減され得る。
【0027】
体積像は、異なる横位置で深い断面像を記録することによって生成され得る。測定領域はまた、ここで経路長切替えユニットを用いることによって拡大され得る。
【0028】
深い断面像を記録するための干渉計法の計測技術は、医学の診断法において大きな意義を達成した。ここで、これらの計測技術は、「OCT」(光干渉断層撮影)という用語によって知られている。深い断面像は、特に眼科では大いなる深度で生成され、かつ大きな測定領域が要求される。
【0029】
図8の左側は、深い断面像30、31の模式図であり、これらは、人間の眼の異なる深度での各場合において、かつ異なる深度に適合した異なる焦点位置を用いて、8mmの測定領域を用いて記録された。これらの像は、2つの経路を有する経路長切替えユニットによって記録された。深い断面像は、複数経路を有する経路長切替えユニットを用いることによって、眼の深度全体にわたって生成され、かつ完全な像を得るために組み立てられ得る。上部の深い断面像30は、角膜32およびレンズ33の一部を示すのに対して、下部の深い断面像31は、本質的にレンズ33および角膜32の小さな副領域のみを示す。明らかなように、2つの深い断面像30、33は重なり領域を有し、重なり領域の中に共通の構造が存在する。仮に経路長切替えユニットによって異なる深度で記録される深い断面像が、一致して重なり合う領域が存在するように予め定義されるならば、それは有利である。本発明によれば、重なり合う領域に一致して存在する構造のために、個々の深い断面像の相対位置についての情報が得られることができる。特に評価ユニットによって得られる、かつ/または取り込まれるこの情報に基づいて、深い断面像30、31は、右側に示されるように、完全な深い断面像34を得るために組み立てられる。しかしながら、切替えユニットの設計によって、測定領域の相対位置を確証することが可能であるため、この重なり領域は必ずしも必要ではなく、かつ、したがって、幾何学的配置の知識を有すれば、完全な像が計算され得る。
【0030】
図9および
図10は、経路長切替えユニットのさらなる可能な実施形態の例を示す。
【0031】
図9は、例として、ただ1つの調節可能なミラー21を有する配置を示すが、ミラー21は、図面の面に垂直な軸を中心に回転可能であり、ミラー21の上に、光源4からの光ビーム14が衝突する。2つの相互に結合された、好ましくは静止した、経路長切替えユニット16の中に配設されるミラー対36、37および38、39が存在する。ミラー21の角度位置に依存して、入射光ビーム14は、ミラー対36、37またはミラー対38、39のいずれかによって、調節可能なミラー21に戻される。それぞれの経路長は、それぞれのミラー対36、37または38、39のミラーお互いからの距離、および調節可能なミラー21からの距離に従って異なる。
【0032】
もちろん、本発明の範囲内で、2つ以上のミラー対、または一般にミラー群を設けることは可能である。ミラー群は、加えて、2つ以上のミラーを備えてもよい。
【0033】
図10に示される経路長切替えユニットの実施形態では、ミラー21は、アーム42を介してガルバノメータ43に接続され、これの旋回軸は図面の面に対して垂直である。経路長変化44のために、ミラー21は、ガルバノメータ43によって移動される、または角度45だけ旋回されて例示された位置21’に位置する。付加的ミラー22は、同様にガルバノメータによって移動される、または旋回されるが、それは、ここには示されていない。付加的ミラー22の回転軸または旋回軸は、有利なことに、ガルバノメータ43の軸から距離を有し、この距離は、アーム42の長さの本質的に半分である。ミラー22は、2つの示された位置にあるミラー21によって反射される光ビームが、本質的に付加的ミラー22の中心に到達するように配置され、ここで、結合されるガルバノメータの回転軸または旋回軸は、中心を通って伸びている。ミラー21および22を備え、ガルバノメータを含む、この実施形態の設計および動作原理は、独国特許第4103298(C2)号明細書のデバイスと一致し、この特許の開示は、これにより明らかに本特許出願の主題とされる。
【0034】
図11および
図12は、本発明による方法を実行するための、特に眼を分析するための2つの特別なデバイスを示す。人間の眼のすべての構造を表し、かつ測定するためのデバイスは、交換可能なレンズを用いることによって、またはそれぞれの切り替えられた経路に光学部品を配置することで結像の幾何学的配置を変更することによって、経路長切替えユニット16の助けを借りて実施され得る。
【0035】
円50は、光干渉断層撮影(OCT)のためのデバイスの旋回軸またはシステム軸を表す。光干渉断層撮影によって、二次元断面像および/または深い断面像が、網膜の表面に実質的に垂直に、かつより具体的には、深度A走査に基づいて直線的に生成される。加えて、生物測定学および前眼房の結像のための取替え可能なレンズ52が提供される。線54は、角膜の領域中のレンズ52の焦点を表し、有利なことに、本質的にsO+30mmの距離で角膜の前に1mmを基準に有する。加えて、線58は、レンズ60における焦点を表し、かつより具体的には、本質的に距離sO+1mmで後部レンズ60の後ろに1mmを基準に有する。そのうえ、線62は、網膜64上の焦点を表し、かつより具体的には、網膜sOの前に基準を有する。
図11に従うデバイスは、加えて、深い断面像30、31を生成するために使用され、かつ
図8に基づいて説明されるように、完全な深い断面像34を得る上でこれらを組み立てるために使用される。
【0036】
経路長切替えユニット16に関連して、
図6および
図7の記述が参照される。
【0037】
図12に示されるデバイスは、網膜64を走査するための取替え可能なレンズ66を含む。円68は、血管造影法によって、または、反射率像または自己蛍光像として、網膜の表面像70を生成するためのシステムに対する旋回軸および/または軸を表す。加えて、このデバイスは、特に光干渉断層撮影(OCT)による深い断面像72を生成するために使用され得る。方法ばかりでなく、システムおよび/またはデバイスが、国際公開第2008/052793A1号パンフレットによる特許出願に記述されており、かつ図面に基づいて説明されている。この文献の開示は、これにより明らかに参照によって本願に組み入れられる。
【0038】
特に眼を分析するためのデバイスは、少なくとも1つの調節可能なミラーを備える、本発明による経路長切替えユニットを用いて、異なるレンズに切り替えることによって、交換レンズなしで実施されることも可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 測定装置/干渉計
2 試料
3 試料2中の領域/測定領域
4 光源
5 評価ユニット
6 ビームスプリッタ
7 ミラー
8 偏向ユニット
9 光学的参照経路
10 光学的試料経路
11 光学ユニット
12 距離
13 深度
14 試料ビーム/試料経路
14P 試料ビーム
15 参照ビーム/参照経路
15P 参照ビーム
16 経路長切替えユニット
17 破線/経路長切替えユニット16中の経路
18 破線
21、22 移動可能な/回転可能なミラー
23、24、25 ミラー
26、27 光ビームの経路長切替えユニット16の入口位置または出口位置
30、31 深い断面像
32 角膜
33 レンズ
34 完全な深い断面像
36、37、38 静止ミラー
42 アーム
43 ガルバノメータ
44 経路長変化
45 角度
50 円/旋回軸OCT
52 テレセントリックレンズ
54 線/角膜56上の焦点
56 角膜
58 線/レンズ60上の焦点
60 レンズ
62 線/網膜64上の焦点
64 網膜
66 取替え可能なレンズ
68 円/旋回軸IR
70 表面像
72 深い断面像