【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、スラグ熱
を利用して低温空気ブラスト
圧縮機を駆動する方法であって、
a.高温の粒状スラグを提供するためのステップと、
b.湿潤な高炉ガスを提供するステップと、
c.前記湿潤な高炉ガスを予備的に加熱し、予備的に加熱された高炉ガスを得るステップと、
d.前記高温の粒状スラグから予備的に加熱された前記高炉ガスへ熱を伝達し、高温の高炉ガスを得るステップと、
e.タービン内で前記高温の高炉ガスを膨脹させ、エネルギーを解放し、膨脹した高炉ガスを得るステップと、
f.前記解放されたエネルギーを利用し
て、
低温空気ブラストを圧縮し溶鉱炉に送るための低温空気ブラスト圧縮機を駆動
するステップとを備え、
前記タービン内の前記高温
の高炉ガスの膨脹により
、前記低温空気ブラスト圧縮機を駆動するためのシャフトを駆動し、前記膨脹した高炉ガスを使用して前記湿潤な高炉ガスを予備的に加熱し、膨脹した低温の高炉ガスを得る
、
ことを特徴とする方法
によって達成される。
【0012】
本発明に至る開発作業の過程において、タービンから上流において高炉ガスを加熱するのに溶融スラグからの熱回収を利用する技術を確立できた。その理由は、タービンから得ることができる出力は、低温空気ブラスト圧縮機に必要なシャフトパワーに概ね等しく、よって外部エネルギーを更に節約できるからである。
【0013】
低温空気ブラストを発生するためにスラグから得られる熱を利用することには、同一設備の境界内でかつ時間的に並列に熱回収と熱利用とを続行できるという利点がある。この結果、国際公開第WO2011/026940号および特開昭62−074009号に記載されているような電気へ変換することを不要にでき、よって発電のための発電機内および圧縮機を駆動するための電動モータ内での損失を回避できる。
【0014】
ドイツ特許第DE4030332号と対照的に、圧縮された低温空気ブラストを燃焼ガスとして溶鉱炉内へ送り込む。かかる構成の有利な特徴は、稼働が簡略であること、コストがより低いことおよび効率が高いことである。連続流れ装置に関連した教訓から明らかなように、多くのケースで圧縮機は、効率を高める上での制限要素である。このことは、特に高い効率を得るのに必要な圧力勾配を得るために高い回転速度で作動しなければならない比較的小型の連続流れ装置に当てはまる。回転速度を速くする結果、流れ内での2次的損失が不可避的に高まり、このことは、効率を顕著に低下させてしまう。従って、ドイツ特許第DE4030332号も、タービンを稼働させるのに2つの圧縮機を利用しており、このことは当然ながらかかる設備のコストを相当高める。
【0015】
本発明に係わる方法は、圧縮されるガスの量は、膨脹されるガスの量から独立しているので、このような別の自由度により、圧縮機およびタービンを最適効率で稼働でき特に有利である。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記湿潤高炉ガスは、2〜4bar(g)の圧力および30〜60°Cの温度を有する。
【0017】
前記予備加熱された高炉ガスは、2〜4bar(g)の圧力および140〜200°Cの温度を有することが好ましい。
【0018】
前記高温高炉ガスは、2〜4bar(g)の圧力および300〜420°Cの温度を有することが好ましい。
【0019】
前記膨脹した高炉ガスは、0.05〜0.4bar(g)の圧力を有することが好ましい。
【0020】
前記高温の膨脹した高炉ガスは、400〜290°Cの温度を有することが好ましい。
【0021】
前記低温の膨脹した高炉ガスは、30〜80°Cの温度を有することが好ましい。
【0022】
前記高温の粒状スラグを提供し、低温の固体を導入することにより、高温の液状スラグを冷却し、凝固させることが好ましい。使用する低温固体は、冷却され、ガラス質状に凝固したスラグおよび/または金属体であることが好ましく、球状または同様な形状の金属体は、鉄または鋼であることが好ましい。
【0023】
可動床冷却器内、管状冷却器内および/またはボールミルまたはチューブミル内で前記高温の粒状スラグから前記湿潤高炉ガスへの熱交換が続行することが好ましい。
【0024】
熱回収のための上記方法で投入された高炉ガスは、膨脹した高炉ガスとまだ膨脹していない高炉ガスとの間の予備加熱器ですでに行われた予備加熱に起因して高温となっている。従って、スラグの冷却を、制限し、その後に第2の熱回収ステージをオプションとして実行してもよい。
【0025】
(実施例の計算)
この実施例は、10、000メータートン/日の銑鉄出力を有する溶鉱炉に関する。低温空気ブラストレート(乾式)は、1、000Nm
3/メータートンに達し、高炉ガスレートは、1、700Nm
3/メータートンに達する。
【0026】
低温空気ブラスト圧力は、4.5バールゲージ(bar(g))に達する。0.8036の圧縮機の効率(内部効率82%、機械的効率98%)では、423、875Nm
3/hの湿潤低温空気ブラストを発生するための低温空気ブラスト圧縮機の圧縮機の結合部での、計算されるパワー条件は、34.28MWに達する。
【0027】
溶鉱炉の高炉ガス圧力は、2.5bar(g)に達し、湿潤ガス清浄化後の高炉ガス圧力は、45°Cの温度で2.2bar(g)に達する。湿分の流量が754、830Nm
3/hと計算される清浄化後の高炉ガスは、膨脹した高炉ガスによって45°Cから170°Cまで加熱され、他方逆に膨脹した高炉ガスは、243°Cから65°Cまで冷却される。各ケースにおける熱交換器内での圧力低下は、0.1barに達し、他方清浄化ガスシステムの圧力は、0.1bar(g)である。
【0028】
第2熱交換器で、高炉ガスは、170°Cから362°Cまで加熱される。この目的に必要な熱出力は、59.95MWに達する。この第2熱交換器での高炉ガスの圧力低下は、再び0.1barに達する。
【0029】
次に、高炉ガスは、タービン内で2.0bar(g)から0.2bar(g)まで膨脹する。対応する温度低下は、362°Cから243°Cまで進行する。シャフトでのパワー出力は、0.8526の効率(内部効率87%、機械的効率98%)で34.28MWに達し、従って低温空気ブラストを発生するためのシャフトでの上記パワー条件に等しい。
【0030】
200〜300kg/m トンのスラグ流量および1、700〜2、100kJ/kgのスラグエンタルピーでは、スラグの利用可能な総熱含有量は、39〜73MWに達するので、タービンの上流部の高炉ガスを加熱するための上記59.95MWの領域内にある。当然ながら、スラグの総熱含有量は、熱損失により原則として完全に利用できるとは言えない。その理由は、実施例の計算で熱を吸収する高炉ガスは、熱交換器進入時に既に170°Cになっているので、スラグを周辺温度まで冷却できないからである。しかしながら、高炉ガスを燃焼させることによって高炉ガスを所望するタービン入口温度まで加熱するために、喪失する熱出力を得ることを容易に考え付くことができる。MWの必要な追加総熱含有量あたり約1、300Nm
3/hの高炉ガスを燃焼させなければならないことになる。
【0031】
比較すると、45°Cで高炉ガスが2.2bar(g)から0.1bar(g)まで膨脹する結果(熱交換器内での圧力低下はない)、シャフトでの計算されるパワー出力は、18.94MWとなる。従って、供給される59.95MWの熱は、(34.28−18.94)/59.95=0.256すなわち約26%の効率で機械的エネルギーに変換される。
添付図面を参照する本発明の可能な実施形態の次の詳細な説明から本発明の更なる細部および利点を類推できよう。