(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ケース片の前記電解室側を向く内面には、前記隔膜、前記陽極給電体及び前記陰極給電体を挟んで前記第2凸部と対向する位置に、前記第1凸部よりも高さの小さい第1小突起が配設され、
前記第2ケース片の前記電解室側を向く内面には、前記隔膜、前記陽極給電体及び前記陰極給電体を挟んで前記第1凸部と対向する位置に、前記第2凸部よりも高さの小さい複数の第2小突起が配設されている請求項1乃至6のいずれかに記載の電解水生成装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の電解水生成装置1の概略構成を示している。電解水生成装置1は、家庭の飲料用及び料理用の水の生成や血液透析の透析液の生成に用いられてもよい。
【0020】
電解水生成装置1は、電気分解される水が供給される電解室40が形成された電解槽4と、電解室40内で、互いに対向して配置された陽極給電体41及び陰極給電体42と、陽極給電体41と陰極給電体42との間に配された隔膜43とを備えている。電解槽4の上流側又は下流側に、別の電解槽が設けられていてもよい。また、電解槽4と並列に、別の電解槽が設けられていてもよい。別に設けられた電解槽についても、電解槽4と同等の構成が適用されうる。
【0021】
隔膜43は、電解室40を陽極給電体41側の陽極室40Aと、陰極給電体42側の陰極室40Bとに区分する。電解室40の陽極室40A及び陰極室40Bの両方に水が供給され、陽極給電体41及び陰極給電体42に直流電圧が印加されることにより、電解室40内で水の電気分解が生ずる。
【0022】
隔膜43は、電気分解で生じたイオンを通過させ、隔膜43を介して陽極給電体41と、陰極給電体42とが電気的に接続される。隔膜43には、例えば、スルホン酸基を有するフッ素系の樹脂材料からなる固体高分子材料が用いられている。
【0023】
固体高分子材料を用いた隔膜43を有する電解槽4では、中性の電解水素水及び電解酸素水が生成される。電解室40内で水が電気分解されることにより、陰極室40Bでは、水素ガスが溶け込んだ電解水素水が得られ、陽極室40Aでは酸素ガスが溶け込んだ電解酸素水が得られる。
【0024】
電解水生成装置1は、電解槽4を制御する制御手段6と、電解槽4の上流側に設けられた入水部7と、電解槽4の下流側に設けられた出水部8とをさらに備えている。
【0025】
制御手段6は、例えば、各種の演算処理、情報処理等を実行するCPU(Central Processing Unit)及びCPUの動作を司るプログラム及び各種の情報を記憶するメモリ等を有している。
【0026】
陽極給電体41と制御手段6との間の電流供給ラインには、電流検出手段44が設けられている。電流検出手段44は、陰極給電体42と制御手段6との間の電流供給ラインに設けられていてもよい。電流検出手段44は、給電体41、42に供給する電解電流を検出し、その値に相当する信号を制御手段6に出力する。
【0027】
制御手段6は、電流検出手段44から入力される信号に基づいて、陽極給電体41と陰極給電体42との間に印加する電圧をフィードバック制御する。例えば、電解電流が過大である場合、制御手段6は、上記電圧を減少させ、電解電流が過小である場合、制御手段6は、上記電圧を増加させる。これにより、給電体41、42に供給する電解電流が適切に制御されうる。
【0028】
入水部7は、給水管71と、流量センサー72と、分岐部73と、流量調整弁74等を有している。給水管71は、電解水生成装置1に供給された水を電解室40に導く。流量センサー72は、給水管71に設けられている。流量センサー72は、電解室40に供給される水の単位時間あたりの流量(以下、単に「流量」と記すこともある)Fを定期的に検出し、その値に相当する信号を制御手段6に出力する。
【0029】
分岐部73は、給水管71を給水管71a、71bの二方に分岐する。流量調整弁74は、給水管71a、71bを陽極室40A又は陰極室40Bに接続する。陽極室40A及び陰極室40Bに供給される水の流量は、制御手段6の管理下で、流量調整弁74によって調整される。流量調整弁74は、水の利用効率を高めるために、陽極室40A及び陰極室40Bに供給される水の流量を調整する。これにより、陽極室40Aと陰極室40Bとの間で圧力差が生ずる場合がある。
【0030】
本実施形態では、流量センサー72は、分岐部73の上流側に設けられているので、陽極室40Aに供給される水の流量と陰極室40Bに供給される水の流量との総和、すなわち、電解室40に供給される水の流量Fを検出する。
【0031】
出水部8は、流路切替弁81と、吐水管82と、排水管83等を有している。流路切替弁81は、陽極室40A、陰極室40Bを吐水管82又は排水管83に選択的に接続する。電解水生成装置1が血液透析の透析液の生成に用いられる場合、陰極室40Bで生成された電解水素水が吐水管82を介して、濾過処理用の逆浸透膜モジュール及び透析原液を希釈する希釈装置等に供給される。
【0032】
制御手段6は、陽極給電体41及び陰極給電体42に印加する直流電圧の極性を制御する。例えば、制御手段6は、流量センサー72から入力される信号に基づいて、電解室40に供給される水の流量Fを積算し、所定の流量に達すると陽極給電体41及び陰極給電体42に印加する直流電圧の極性を切り替える。これに伴い、陽極室40Aと陰極室40Bとが相互に入れ替わる。直流電圧の極性の切り替えにあたっては、制御手段6は、流量調整弁74及び流路切替弁81を同期して動作させる。これにより、陰極室40Bと吐水管82とが常に接続され、陰極室40Bで生成された電解水素水が吐水管82から吐出される。
【0033】
図2は、電解槽4の組立て斜視図である。電解槽4は、陽極給電体41側の第1ケース片50と、陰極給電体42側の第2ケース片60とを有している。互いに対向して配置された第1ケース片50と第2ケース片60とが固着されることにより、その内部に電解室40(
図1参照)が形成される。
【0034】
電解槽4は、電解室40内に、陽極給電体41、隔膜43及び陰極給電体42が重ねられてなる積層体45を収容している。陽極給電体41、隔膜43及び陰極給電体42は、それぞれ矩形状に形成されている。
【0035】
陽極給電体41及び陰極給電体42は、それぞれ、その板厚方向で水が行き来可能に構成されている。陽極給電体41及び陰極給電体42には、例えば、エクスパンドメタル等の網状の金属が適用されうる。このような、網状の陽極給電体41及び陰極給電体42は、隔膜43を挟持しながら、隔膜43の表面に水を行き渡らせることができ、電解室40内での電気分解を促進する。本実施形態では、陽極給電体41及び陰極給電体42として、チタニウム製のエクスパンドメタルの表面に白金のめっき層が形成されたものが適用されている。白金のめっき層は、チタニウムの酸化を防止する。
【0036】
陽極給電体41には、第1ケース片50を貫通して電解槽4の外部に突出する端子41aが設けられている。同様に、陰極給電体42にも、第2ケース片60を貫通して電解槽4の外部に突出する端子42aが設けられている。端子41a、42aを介して、陽極給電体41及び陰極給電体42に直流電圧が印加される。
【0037】
本実施形態では、隔膜43には、例えば、スルホン酸基を有するフッ素系の樹脂材料からなる固体高分子材料が用いられている。固体高分子材料を用いた隔膜43を有する電解槽4では、中性の電解水が生成される。隔膜43の両面には、白金からなるめっき層43aが形成されている。めっき層43aと陽極給電体41及び陰極給電体42とは、当接し、電気的に接続される。
【0038】
隔膜43は、電解室40内で、陽極給電体41及び陰極給電体42によって挟持されている。従って、隔膜43の形状は陽極給電体41及び陰極給電体42によって保持されている。このような、隔膜43の保持構造によれば、陽極室40Aと陰極室40Bとの間に生ずる圧力差に起因する応力の大部分は、陽極給電体41及び陰極給電体42によって負担され、隔膜43にかかる応力は減少する。これにより、陽極室40Aと陰極室40Bとの間で大きな圧力差が生ずる状態で電解水生成装置1を動作させても、隔膜43には大きな応力が生じない。従って、隔膜43の損傷を抑制し、水の利用効率を容易に高めることが可能となる。
【0039】
また、隔膜43が陽極給電体41及び陰極給電体42で挟持されているので、隔膜43のめっき層43aと陽極給電体41との間及びめっき層43aと陰極給電体42との間での接触抵抗が減少し、電圧降下が抑制される。これにより、電解室40内での電気分解が促進され、高い溶存水素濃度の電解水素水が生成可能となる。
【0040】
陽極給電体41及び陰極給電体42の外周縁の外側には、第1ケース片50と第2ケース片60との合わせ面からの水漏れを防止するための封止部材46が設けられている。隔膜43の外周部は、封止部材46によって挟持されている。
【0041】
各ケース片50及び60は、電解室40内での水の流れに沿う縦方向Vに長い長方形状に形成されている。これに伴い、電解室40は、縦方向Vに長い長方形状に形成されている。このような縦長形状の電解室40によって、電解槽4内での流路が長くなる。その結果、陰極室40Bで発生した水素ガスが、陰極室40B内の水に溶け込みやすくなり、溶存水素濃度を高めることができる。
【0042】
電解槽4には、L字状の継手91、92、93、94が設けられている。継手91、92は、第1ケース片50、第2ケース片60の下部に装着され、上記流量調整弁74と接続される。継手93、94は、第1ケース片50、第2ケース片60の上部に装着され、上記流路切替弁81と接続される。電解水生成装置1への通水を開始することにより、陽極室40A及び陰極室40Bの下部から上部に向かって、大局的な水の流れが生ずる。
【0043】
陰極室40Bにて発生した水素ガスは、微小な気泡となって陰極室40Bの上方に移動する。本実施形態では、水素ガスの移動方向と大局的に水が流れる方向が一致するため、水素分子が水に溶け込み易くなり、溶存水素濃度が高められる。
【0044】
図3は、電解室40側を向く内面側から視た第1ケース片50及び第2ケース片60の斜視図である。
図4(a)は、内面側から視た第1ケース片50の正面図であり、
図4(b)は、内面側から視た第2ケース片60の正面図である。
図5は、
図4のA−A断面及びB−B断面を含む電解槽4の組立断面図である。さらに、
図6は、
図5と同一の断面における電解槽4の断面図である。
【0045】
第1ケース片50及び第2ケース片60の内面の外縁部には、第1ケース片50と第2ケース片60とを固着するための合わせ面51、61が形成されている。合わせ面51、61の内側には、内壁が合わせ面51、61から第1ケース片50、第2ケース片60の厚さ方向に陥没することにより、電解部52、62が設けられている。電解部52は陽極室40Aを構成し、電解部62は陰極室40Bを構成する。
【0046】
第1ケース片50の内面には、複数の第1凸部53が配設されている。本実施形態では、第1凸部53は、電解部52の主要部52Aに離散化して配置された突起53Pを含む。主要部52Aとは、陽極給電体41の端縁部41e及び陰極給電体42の端縁部42eの内側に位置される電解部52の大部分を占める領域である。(以下、電解部62の主要部62Aについても同様とする。)各第1凸部53は、縦方向Vと、縦方向Vに垂直な横方向Hとに、行列状(マトリックス状)に並べて配設されている。突起の配置に関して「行列状」とは、突起が縦方向Vにm個、横方向Hにn個並べられた配置(m行×n列の行列のような配置)をいう(m、nは2以上の整数である。以下、同様とする)。
【0047】
一方、第2ケース片60の内面には、複数の第2凸部63が配設されている。本実施形態では、第2凸部63は、電解部62の主要部62Aに離散化して配置された突起63Pを含む。各第2凸部63は、縦方向Vと横方向Hとに、行列状に並べて配設されている。
【0048】
各第1凸部53は、陽極室40Aで陽極給電体41と当接し、陽極給電体41を第2ケース片60の側に押圧する。一方、各第2凸部63は、陰極室40Bで陰極給電体42と当接し、陰極給電体42を第1ケース片50の側に押圧する。従って、各第1凸部53及び各第2凸部63によって、積層体45は、その両面から挟持される。
【0049】
第1凸部53は、陽極給電体41の端縁部41e(
図2、6参照)と当接する第1突起56を含む。第1突起56は、第1凸部53のうち、電解部52の主要部に離散化して配置された突起の周辺に設けられている。これにより、陽極給電体41の端縁部41eが第1突起56によって隔膜43の側に押圧され、陽極給電体41の端縁部41eと隔膜43との接触圧力が高められ、両者の間の接触抵抗が低減される。
【0050】
一方、第2凸部63は、陰極給電体42の端縁部42e(
図2、6参照)と当接する第2突起66を含む。第2突起66は、第2凸部63のうち、電解部62の主要部に離散化して配置された突起の周辺に設けられている。これにより、陰極給電体42の端縁部42eが第2突起66によって隔膜43の側に押圧され、陰極給電体42の端縁部42eと隔膜43との接触圧力が高められ、両者の間の接触抵抗が低減される。
【0051】
従って、陽極給電体41の端縁部41e及び陰極給電体42の端縁部42eを流れる電解電流が増大し、各端縁部41e、42eでの電気分解が促進される。よって、陰極室40Bで生成される電解水素水の溶存水素濃度を容易に高めることが可能となる。
【0052】
本実施形態では、第1突起56は、陽極給電体41の端縁部41eに沿って複数個設けられている。同様に、第2突起66は、陰極給電体42の端縁部42eに沿って複数個設けられている。
【0053】
図5、6に示されるように、第1ケース片50と第2ケース片60とが固着されると、第1突起56及び第2突起66の外側に、封止部材46が配設される。封止部材46の内側、すなわち、陽極給電体41の端縁部41e及び陰極給電体42の42eにも、水が供給される。
【0054】
図3乃至6に示されるように、各第2突起66は、隣り合う第1突起56の間に隔設されている。換言すると、各第1突起56は、隣り合う第2突起66の間に隔設されている。これにより、陽極給電体41の端縁部41e及び陰極給電体42の端縁部42eは、第1突起56及び第2突起66によって第1ケース片50の側及び第2ケース片60の側から交互に押圧され、支持される。また、端縁部42eにおいて発生した水素ガスが、隣り合う第2突起66の間に流れ込んだ水に溶け込みやすくなり、溶存水素濃度がより一層高められる。
【0055】
図6に示されるように、第1突起56及び第2突起66の高さは、陽極給電体41の端縁部41e及び陰極給電体42の端縁部42eを波形に矯正できる程度に設定されるのが好ましい。このような波形の陽極給電体41の端縁部41e及び陰極給電体42は、大きな曲げ剛性を有しているので、電解室40内での圧力差により積層体45が大きな応力を受けても、その変形が抑制され、隔膜43の損傷が抑制される。
【0056】
図3乃至6に示されるように、第1突起56は、陽極室40A内での水の流れに沿う縦方向Vに長い第1縦長突起57を含む。第1縦長突起57は、陽極給電体41の横方向Hの横端縁部41hと当接する。横端縁部41hは、第1縦長突起57によって隔膜43の側に押圧され、隔膜43との接触圧力が高められる。なお、陽極給電体41の横端縁部41hとは、例えば、陽極給電体41の横方向Hの端縁から内側に、陽極給電体41の横方向Hの長さの2%以下の領域をいう(以下、陰極給電体42の横端縁部42hについても同様とする)。
【0057】
第2突起66は、陰極室40B内での水の流れに沿う縦方向Vに長い第2縦長突起67を含む。各第2縦長突起67は、電解槽4を横方向Hから視た側面視で、隣り合う第1縦長突起57の間に隔設されている。第2縦長突起67は、陰極給電体42の横方向Hの横端縁部42hと当接する。横端縁部42hは、第2縦長突起67によって隔膜43の側に押圧され、隔膜43との接触圧力が高められる。なお、各第2縦長突起67は、第1縦長突起57に対して縦方向Vに交互に設けられていればよく、第1ケース片50と第2ケース片60とが固着されたとき、隣り合う第1縦長突起57から横方向Hにずれた位置に設けられていてもよい。
【0058】
第1凸部53の頂部53aは、第1ケース片50の側に中心を有する凸曲面53bを含んで構成されている。凸曲面53bは、
図6に示される第1縦長突起57の頂部57aに形成されている凸曲面57bを含む。凸曲面53bは、円柱の側面の一部のような2次曲面であってもよく、球の表面の一部のような3次曲面であってもよい。頂部53aが凸曲面53bで構成されることにより、積層体45がゆるやかな曲率で湾曲するため、隔膜43への応力集中が緩和され、隔膜43の損傷が抑制される。
【0059】
第2凸部63の頂部63aは、第2ケース片60の側に中心を有する凸曲面63bを含んで構成されている。凸曲面63bは、
図6に示される第2縦長突起67の頂部67aに形成されている凸曲面67bを含む。凸曲面63bについても上記凸曲面53bと同様である。
【0060】
本実施形態では、第1ケース片50と第2ケース片60とが固着されたとき、第2凸部63は、縦方向Vに最も近い距離で隣り合う第1凸部53、53の間に配置されている。これに伴い、第2凸部63は、第1凸部53よりも、一行少なく設けられている。さらに、第2凸部63は、横方向Hに最も近い距離で隣り合う第1凸部53、53の間に配置されている。
【0061】
このような各第1凸部53及び各第2凸部63の相対的な配置によって、陰極室40B内では、各第2凸部63が、縦方向V及び横方向Hに離散的かつ均等に点在することになる。これにより、陰極室40B内で縦方向V及び横方向Hに点在する第2凸部63の間に流速の大きな水が流れ込み、陰極給電体42の表面に十分な水が供給される。従って、例えば、各給電体41、42に供給する電解電流を大きくして、陰極給電体42の表面で大量の水素ガスを発生させる場合であっても、電解水素水の溶存水素濃度が局所的に飽和値に近づくことが抑制され、陰極室40B全体での溶存水素濃度が向上する。また、例えば、陰極室40Bに供給される水の流量が少ない場合であっても、電解水素水の溶存水素濃度が局所的に飽和値に近づくことが抑制され、陰極室40B全体での溶存水素濃度が向上する。
【0062】
一方、陽極室40A内では、各第1凸部53が、縦方向V及び横方向Hに離散的かつ均等に点在し、陽極室40A内で縦方向V及び横方向Hに点在する第1凸部53の間にも流速の大きな水が流れ込み、陽極給電体41の表面に十分な水が供給される。従って、上述した陰極室40Bと同様に、陽極室40A全体での溶存酸素濃度が向上する。これにより、陽極室40Aで発生する酸素ガスを、陽極室40A内の水に容易に溶け込ませて排出することが可能となる。
【0063】
第1凸部53及び第2凸部63は、縦方向Vに長い縦長形状に形成されている。このような縦長形状の第1凸部53及び第2凸部63によって、陽極室40A及び陰極室40B内の水が整流され、縦方向Vの大局的な水流を妨げることなく、積層体45が広い面積で強固に支持されうる。従って、各給電体41、42と隔膜43のめっき層43aとの間の接触抵抗が低下し、電解室40内の水を効率よく電気分解することが可能となる。本実施形態では、縦長形状の第1凸部53として楕円柱状の突起が採用されているが、長円柱状又は直方体状の突起であってもよい。
【0064】
各第1凸部53は、頂部53aで陽極給電体41に当接する。頂部53aは、例えば、合わせ面51と、同等の高さに突出している。これにより、陽極給電体41は、頂部53aとの当接箇所で第2ケース片60の側に押圧されて突出する。一方、各第2凸部63は、頂部63aで陰極給電体42に当接する。これにより、陰極給電体42は、頂部63aとの当接箇所で第1ケース片50の側に押圧されて突出する。
【0065】
本発明では、縦方向Vに隣り合う第1凸部53、53の間に第2凸部63が配置されているので、積層体45は、縦方向Vに沿った断面で波形に矯正されている。さらに、横方向Hに最も近い距離で隣り合う第1凸部53、53の間に第2凸部63が配置されているので、積層体45は、横方向Hに沿った断面でも波形に矯正されている。このような波形の積層体45は、大きな曲げ剛性を有しているので、電解室40内での圧力差により積層体45が大きな応力を受けても、その変形が抑制され、隔膜43の損傷が抑制される。
【0066】
図3、4に示されるように、第1ケース片50の電解室40側を向く内面には、積層体45(
図2参照)を挟んで第2ケース片60の第2凸部63(突起63P)と対向する位置に、複数の第1小突起54が配設されているのが望ましい。各第1小突起54は、横方向Hに隣り合う第1凸部53、53の間を縦方向Vに流れる水の一部をせき止めて、第1小突起54の横方向Hの両端、すなわち縦方向Vに隣り合う第1凸部53、53の間に案内する。これにより、陽極室40A内の水が第1小突起54の周辺で局所的に攪拌される。従って、第1凸部53による縦方向Vの大局的な水流と第1小突起54による局所的な水流とが融合されることにより、陽極給電体41の表面に供給される水の流れがより一層均一化され、溶存水素濃度が高められる。
【0067】
第1小突起54は、横方向Hに長い横長形状に形成されているのが望ましい。このような第1小突起54は、縦方向Vに隣り合う第1凸部53、53の間に水を案内する効果が高く、陽極給電体41の表面に供給される水の流れがより一層均一化され、溶存水素濃度が高められる。本実施形態では、横長形状の第1凸部53として、楕円柱状の突起が採用されているが、長円柱状又は直方体状の突起であってもよい。
【0068】
第1小突起54は、高さが第1凸部53よりも小さく、陽極給電体41とは当接しない。このため、第1小突起54と陽極給電体41との間には流路が形成され、陽極給電体41の表面に供給される水の流れがより一層均一化される。
【0069】
一方、第2ケース片60の電解室40側を向く内面には、積層体45(
図2参照)を挟んで第1ケース片50の第1凸部53(突起53P)と対向する位置に、複数の第2小突起64が配設されているのが望ましい。第2小突起64の形状や作用効果については、上記第1小突起54と同様であるため、その説明を省略する。
【0070】
本発明では、第2突起66の近傍に設けられた第2小突起64は、陰極給電体42の横端縁部42hに向って、陰極室40B内の水を案内するので、陰極給電体42の横端縁部42hの表面にも水が十分に供給されうる。従って、上述した第1突起56及び第2突起66による端縁部42eでの電気分解の促進作用によって発生した水素ガスが水に溶け込みやすくなり、溶存水素濃度が容易に高められる。
【0071】
図3及び6に示されるように、第1小突起54には、第1小突起54を縦方向Vに貫く溝55が形成されているのが望ましい。一つの第1小突起54に対する溝55の本数、幅、深さは、適宜設定されうる。例えば、本実施形態では、1本の溝55が第1小突起54の横方向Hの中央部に設けられている。また、溝55の深さは、第1小突起54の高さと同等である。溝55は、横方向Hに隣り合う第1凸部53、53の間を流れる水の一部を縦方向Vに導いて、第1小突起54を通過させる。溝55によって、陽極給電体41の表面に供給される水の流れがより一層均一化される。
【0072】
同様に、第2小突起64には、第2小突起64を縦方向Vに貫く溝65が形成されているのが望ましい。溝65の本数等については、上記溝55と同様である。溝65は、横方向Hに隣り合う第2凸部63、63の間を流れる水の一部を縦方向Vに導いて、第2小突起64を通過させる。溝65によって、陰極給電体42の表面に供給される水の流れがより一層均一化される。
【0073】
なお、上記第1小突起54及び第2小突起64によって、陽極室40A内及び陰極室40B内の水の流れが阻害されるおそれもある。しかしながら、本実施形態では、第1小突起54の高さは、第1凸部53の高さよりも小さく、第1小突起54は、陽極給電体41とは当接しない。従って、第1小突起54と陽極給電体41との間には流路が形成され、第1小突起54によって、陽極室40A内の水の流れが阻害されるおそれは限定的となる。同様に、第2小突起64によって、陰極室40B内の水の流れが阻害されるおそれは限定的となる。
【0074】
図3及び4に示されるように、第1ケース片50の内面の下部には、第1分水路58Dが形成されている。第1分水路58Dは、第1ケース片50の横方向Hに沿ってのび、電解部52と連通している。継手91から流入した水は、第1分水路58Dを介して、電解部52に流れ込み、第1凸部53等の間隙を上方に流れる。同様に、第2ケース片60の内面の下部には、第2分水路68Dが形成されている。第2分水路68Dは、第2ケース片60の横方向Hに沿ってのび、電解部62と連通している。継手92から流入した水は、第2分水路68Dを介して、電解部62に流れ込み、第2凸部63等の間隙を上方に流れる。
【0075】
一方、第1ケース片50の内面の上部には、第1集水路58Cが形成されている。第1集水路58Cは、第1ケース片50の横方向Hに沿ってのび、電解部52と連通している。電解部52の上方に移動した水は、第1集水路58Cによって集められて、継手93から電解槽4の外部に流出する。同様に、第2ケース片60の内面の上部には、第2集水路68Cが形成されている。第2集水路68Cは、第2ケース片60の横方向Hに沿ってのび、電解部62と連通している。電解部62の上方に移動した水は、第2集水路68Cによって集められて、継手94から電解槽4の外部に流出する。
【0076】
合わせ面51を基準とすると、電解部52の深さは、第1分水路58D及び第1集水路58Cよりも小さい。このような電解部52によって、電解部52を流れる水の速度が高められ、酸素ガスが溶け込みやすくなる。そして、電解部52と第1分水路58D及び第1集水路58Cとの段差部には、斜面59が形成されている。斜面59は、陽極室40A内の水の流れを円滑なものとし、電解部52を流れる水の速度の低下を抑制する。
【0077】
同様に、合わせ面61を基準とすると、電解部62の深さは、第2分水路68D及び第2集水路68Cよりも小さい。このような電解部62によって、電解部62を流れる水の速度が高められ、水素ガスが溶け込みやすくなる。そして、電解部62と第2分水路68D及び第2集水路68Cとの段差部には、斜面69が形成されている。斜面69は、陰極室40B内の水の流れを円滑なものとし、電解部62を流れる水の速度の低下を抑制する。
【0078】
図7は、第1ケース片50の変形例である第1ケース片50Aを示している。一方、
図8は、第2ケース片60の変形例である第2ケース片60Aを示している。
【0079】
第1ケース片50Aは、第1分水路58D(
図3参照)及び第1集水路58Cの周囲に第1突起56が設けられている点で、第1ケース片50とは異なる。同様に、第2ケース片60Aは、第2分水路68D(
図3参照)及び第2集水路68Cの周囲に第2突起66が設けられている点で、第2ケース片60とは異なる。本第1ケース片50A及び第2ケース片60Aのうち、以下で説明されてない部分については、上記第1ケース片50及び第2ケース片60の構成が採用されうる。
【0080】
図7に示されるように、第1突起56は、横方向Hに長い第1横長突起57Aを含む。第1横長突起57Aは、
図7中第1分水路58Dの下端及び第1集水路58Cの上端に沿って複数個設けられ、陽極給電体41の縦方向Vの縦端縁部41v(
図2参照)と当接する。これにより、陽極給電体41の縦端縁部41vが第1横長突起57Aによって支持される。従って、陽極室40Aと陰極室40Bとの間で大きな圧力差が生ずる場合であっても、積層体45の変形が抑制され、隔膜43の損傷が抑制される。なお、陽極給電体41の縦端縁部41vとは、例えば、陽極給電体41の縦方向Vの端縁から内側に、陽極給電体41の縦方向Vの長さの2%以下の領域をいう(以下、陰極給電体42の縦端縁部42vについても同様とする)。
【0081】
同様に、
図8に示されるように、第2突起66は、横方向Hに長い第2横長突起67Aを含む。第2横長突起67Aは、電解槽4を縦方向Vから視た上面視で、隣り合う第1横長突起57Aの間に隔設されている。第2横長突起67Aは、
図7中第2分水路68Dの下端及び第2集水路68Cの上端に沿って複数個設けられ、陰極給電体42の縦方向Vの縦端縁部42v(
図2参照)と当接する。これにより、陰極給電体42の縦端縁部42vが第2横長突起67Aによって支持される。従って、陽極室40Aと陰極室40Bとの間で大きな圧力差が生ずる場合であっても、積層体45の変形が抑制され、隔膜43の損傷が抑制される。なお、各第2横長突起67Aは、第1横長突起57Aに対して横方向Hに交互に設けられていればよく、第1ケース片50と第2ケース片60とが固着されたとき、隣り合う第1横長突起57Aから縦方向Hにずれた位置に設けられていてもよい。
【0082】
以上、本発明の電解水生成装置1が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。すなわち、電解水生成装置1は、少なくとも、電気分解される水が供給される電解室40が形成された電解槽4と、電解室40内で、互いに対向して配置された陽極給電体41及び陰極給電体42と、陽極給電体41と陰極給電体42との間に配され、かつ、電解室40を陽極室40Aと、陰極室40Bとに区分する隔膜43とを備え、隔膜43が、陽極給電体41及び陰極給電体42で挟持され、電解槽4は、陽極給電体41側の第1ケース片50と、陰極給電体42側の第2ケース片60とが固着されることにより電解室40を形成し、第1ケース片50の内面には、陽極給電体41に当接する第1凸部53が配設され、第2ケース片60の内面には、陰極給電体42に当接する第2凸部63が配設され、第1凸部53は、陽極給電体41の端縁部41eと当接する第1突起56を含み、第2凸部63は、陰極給電体42の端縁部42eと当接する第2突起66を含んでいればよい。
【0083】
例えば、電解部52、62の主要部に設けられている第1凸部53、第2凸部63は、第1ケース片50の縦方向Vに離散的に点在する形態の凸部に限られず、種々の形態であってもよい。
【0084】
図9は、第1ケース片50の別の変形例である第1ケース片50B、及び、第2ケース片60の別の変形例である第2ケース片60Bを示している。第1ケース片50Bは、電解部52の主要部52A(
図3参照)に設けられている第1凸部53に替えて、上記特許文献1の
図6等において、符合32で示される凸状部と同等の第1凸部53Bが適用されている点で、第1ケース片50とは異なる。本第1ケース片50Bのうち、以下で説明されてない部分については、上記第1ケース片50の構成が採用されうる。
【0085】
第1凸部53は、第1凸部53B及び第1突起56を含む。第1凸部53Bは、第1分水路58Dの上端から第1集水路58Cの下端にわたって、縦方向Vに連続してのびる。この場合、隣り合う第1凸部53Bの間には、第1溝部54Bが設けられている。
【0086】
一方、第2ケース片60Bは、電解部62の主要部62A(
図3参照)に設けられている第2凸部63に替えて、第1凸部53Bと同等の第2凸部63Bが適用されている点で、第2ケース片60とは異なる。本第2ケース片60Bのうち、以下で説明されてない部分については、上記第2ケース片60の構成が採用されうる。
【0087】
第2凸部63は、第2凸部63B及び第2突起66を含む。第2凸部63Bは、第2分水路68Dの上端から第2集水路68Cの下端にわたって、縦方向Vに連続してのびる。この場合、隣り合う第2凸部63Bの間には、第2溝部64Bが設けられている。
【0088】
第1凸部53Bと第2凸部63Bとは、横方向Vに交互に位置するように設けられている。従って、第1ケース片50Bと、第2ケース片60Bとが固着されたとき、積層体45を挟んで、第1凸部53Bと第2溝部64Bとが対向し、第2凸部63Bと第1溝部54Bとが対向する。例えば、水素ガスが、第1溝部54B及び第2溝部64Bを流れる水に十分に溶け込むことができる電解槽4にあっては、第1ケース片50B及び第2ケース片60Bが好適に適用されうる。
【0089】
第1ケース片50B及び第2ケース片60Bにあっては、第1凸部53及び第2凸部63の一部について第1凸部53B及び第2凸部63Bに置き換えられていてもよい。例えば、第1ケース片50Bには、電解部52の主要部に離散化して配置された第1凸部53と、縦方向Vに連続してのびる第1溝部54Bとが混在して設けられていてもよい。同様に、第2ケース片60Bには、電解部62の主要部に離散化して配置された第2凸部63と、縦方向Vに連続してのびる第2溝部64Bとが混在して設けられていてもよい。なお、第1ケース片50B及び第2ケース片60Bの特徴は、
図7、8に示される第1ケース片50A及び第2ケース片60Aとも適宜組み合わせて適用されうる。
【0090】
図10は、第1ケース片50の別の変形例である第1ケース片50C、及び、第2ケース片60の別の変形例である第2ケース片60Cを示している。第1ケース片50Cは、電解部52の主要部52A(
図3参照)には第1凸部53は存在しない点で第1ケース片50とは異なる。同様に、第2ケース片60Cは、電解部62の主要部62A(
図3参照)には、第2凸部63は存在しない点で第2ケース片60とは異なる。本第1ケース片50C及び第2ケース片60Cのうち、以下で説明されてない部分については、上記第1ケース片50及び第2ケース片60の構成が採用されうる。
【0091】
第1凸部53は第1突起56を含み、第2凸部63は第2突起66を含む。例えば、隔膜43と陽極給電体41及び陰極給電体42との間で、大きな接触圧力が要求されない電解槽4にあっては、第1ケース片50C及び第2ケース片60Cが好適に適用されうる。なお、第1ケース片50C及び第2ケース片60Cの特徴は、
図7、8に示される第1ケース片50A及び第2ケース片60Aとも適宜組み合わせて適用されうる。
【0092】
また、第1ケース片50、50A、50B又は50Cにおいて、陽極給電体41の横端縁部41hに沿って、第1分水路58Dの外縁から第1集水路58Cの外縁に亘って連続する一対の凸状部によって横端縁部41hと当接する第1突起56が構成されていてもよい。このような第1突起56は、複数個の離散化された第1縦長突起57に替えて適用される。同様に、第2ケース片60、60A、60B又は60Cにおいて、陰極給電体42の横端縁部42hに沿って、第1分水路58Dの外縁から第1集水路58Cの外縁に亘って連続する一対の凸状部によって横端縁部42hと当接する第2突起66が形成されていてもよい。このような第2突起66は、複数個の離散化された第2縦長突起67に替えて適用される。
【0093】
上記凸状部で構成された第1突起56及び第2突起66によれば、横端縁部41h及び横端縁部42hの近傍での隔膜43との接触抵抗が減少するため、横端縁部41h及び横端縁部42hの近傍を流れる電解電流が増大し、電気分解がより一層促進される。なお、このような凸状部による第1突起56及び第2突起66の高さは、隔膜43と陽極給電体41及び陰極給電体42との接触圧力によって隔膜43に損傷を及ぼさない程度に設定されるのが望ましい。
【0094】
さらに、第1ケース片50Aにおいて、陽極給電体41の縦端縁部41vに沿って、第1分水路58Dの外縁及び第1集水路58Cの外縁に亘って連続する一対の凸状部によって縦端縁部41vと当接する第1突起56が構成されていてもよい。このような第1突起56は、複数個の離散化された第1横長突起57Aに替えて適用される。同様に、第2ケース片60Aにおいて、陰極給電体42の縦端縁部42vに沿って連続する一対の凸状部によって縦端縁部42vと当接する第2突起66が構成されていてもよい。このような第2突起66は、複数個の離散化された第2横長突起67Aに替えて適用される。
【0095】
上記第1突起56及び第2突起66によれば、縦端縁部41v及び縦端縁部42vの近傍で、隔膜43を強固に支持できるので、陽極室40Aと陰極室40Bとの間で大きな圧力差が生ずる場合であっても、積層体45の変形が抑制され、隔膜43の損傷が抑制される。なお、このような凸状部による第1突起56及び第2突起66の高さは、隔膜43と陽極給電体41及び陰極給電体42との接触圧力によって隔膜43に損傷を及ぼさない程度に設定されるのが望ましい。
【解決手段】電解水生成装置の電解槽4は、第1ケース片50と第2ケース片60とが固着されることにより電解室を形成する。第1ケース片50の内面には、陽極給電体41に当接する第1凸部53が配設され、第2ケース片60の内面には、陰極給電体42に当接する第2凸部63が配設される。第1凸部53は、陽極給電体41の端縁部41eと当接する第1突起56を含み、第2凸部63は、陰極給電体42の端縁部42eと当接する第2突起66を含む。これにより、各給電体41、42の端縁部41e、42eと隔膜43との接触圧力が高められ、端縁部41e、42eを流れる電解電流が増大し、電気分解が促進される。