(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
まず、本発明の一実施形態に係る二条刈りコンバイン1の全体構成について説明する。
【0020】
本実施形態におけるコンバイン1は、刈取部3が機体左右方向において移動可能である。つまり、刈取部3を機体フレーム1aに対して左右方向にスライド可能として、左回りの回り刈りの場合、刈取部3を進行方向の左側にスライド(移動)させ、主に二条分の穀稈を刈り取る。中割の場合、機体フレーム1aに対して刈取部3を進行方向の右側にスライド(移動)させて、圃場に起立した三条分の穀稈を刈り取り、クローラ式走行装置2aで未刈り穀稈を踏み倒さずに刈り取ることができる。
【0021】
図1および
図2に示すように、コンバイン1は、走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5、穀粒貯溜部6、排藁処理部7及び操縦部8を備える。コンバイン1は、動力をエンジン9から走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5、穀粒貯溜部6及び排藁処理部7にトランスミッションを含む動力伝達系を介して伝達し、これらの各部を駆動させる。
【0022】
走行部2は、機体フレーム1aの下部に設けられる。走行部2は、左右一対のクローラを有するクローラ式走行装置2a・2aを有する。走行部2は、機体をクローラ式走行装置2aにより走行させる。
【0023】
刈取部3は、機体の前部に昇降可能に設けられる。刈取部3は、分草具10、引起装置20、搬送装置30及び切断装置40を有する。刈取部3は、圃場の穀稈を分草具10により分草し、分草後の穀稈を引起装置20により引き起こし、引起後の穀稈を搬送装置30により後方へ搬送しつつ切断装置40により株元を切断し、切断後の穀稈を搬送装置30により脱穀部4に向けてさらに後方へ搬送する。
【0024】
脱穀部4は、機体の左上側に配置される。脱穀部4は、フィードチェン4a、図示しない扱胴及び受網を有する。脱穀部4は、刈取部3から搬送されてきた刈取後の穀稈をフィードチェン4aにより受け継いで後方へ搬送し、その搬送中の穀稈を扱胴及び受網により脱穀し、脱穀後の処理物を受網から選別部5に向けて下方へ漏下させる。
【0025】
選別部5は、機体の左側の脱穀部4下方に配置される。選別部5は、図示しない揺動選別装置、風選別装置及び穀粒搬送装置を有する。選別部5は、脱穀部4から落下してきた処理物を揺動選別装置により揺動選別し、揺動選別後のものを風選別装置により風選別し、風選別後のもののうち、穀粒を穀粒搬送装置により穀粒貯溜部6に向けて右側方へ搬送し、藁屑や塵埃などを風選別装置により後方へ搬送して機体の外部へ排出する。
【0026】
穀粒貯溜部6は、機体の右後側に配置される。穀粒貯溜部6は、グレンタンク6a及び穀粒排出装置6bを有する。穀粒貯溜部6は、選別部5から搬送されてきた穀粒をグレンタンク6aに貯溜し、その貯溜している穀粒を穀粒排出装置6bによりグレンタンク6aから機体の外部へ排出可能とする。
【0027】
排藁処理部7は、機体の後側の脱穀部4後方に配置される。排藁処理部7は、脱穀部4から搬送されてきた脱穀済みの稈を排藁として後方へ搬送して機体の外部へ排出し、又は、排藁を切断した後に機体の外部へ排出する。
【0028】
操縦部8は、機体の右前側の穀粒貯溜部6前方に配置される。操縦部8は、運転席81並びにステアリングハンドル82および副変速操作具83を含む操作具類を有する。操縦者が運転席81に着座しながら、走行部2、刈取部3、脱穀部4、選別部5、穀粒貯溜部6及び排藁処理部7の状態を操作具類により任意に変更可能とする。また、副変速操作具83によって、適宜の走行速度を操作可能とする。
【0029】
こうして、操縦部8における操作具類の操作に応じて、エンジン9から動力を各部に伝達し、機体を走行部2により走行させながら、圃場の穀稈を刈取部3により刈取って、刈取後の穀稈を脱穀部4により脱穀し、脱穀後の処理物を選別部5により選別して、選別後の穀粒を穀粒貯溜部6に貯溜する一方、脱穀後の排藁を排藁処理部7により任意に処理して機体の外部へ排出することができるようになっている。
【0030】
次に、刈取部3の構成について説明する。
【0031】
刈取部3は、
図3および
図4に示すように、前述の分草具10、引起装置20、搬送装置30、および切断装置40に加えて、刈取フレーム50、刈取部リンク機構60、および分草具リンク機構70を有する。
【0032】
刈取フレーム50は、分草具10、引起装置20、搬送装置30、切断装置40、および前記各リンク機構60・70を支持し、刈取部3の本体となるものである。刈取フレーム50は、主として、刈取入力パイプ51、前伝動パイプ52、右引起駆動パイプ53、横伝動ケース54、引起縦伝動パイプ55、横伝動パイプ56、左引起駆動パイプ57、分草フレーム58、連結パイプ59、および前横フレーム61によって構成される。
【0033】
詳しくは、刈取フレーム50は後部刈取フレーム50Rと前部刈取フレーム50Fよりなり、後部刈取フレーム50Rは、機体側に取り付けられて、刈取入力パイプ51、連結パイプ59、前横フレーム61からなる。前部刈取フレーム50Fは、刈取部リンク機構60を介して左右スライド可能に連結されて、右引起駆動パイプ53、横伝動ケース54、引起縦伝動パイプ55、横伝動パイプ56、左引起駆動パイプ57、分草フレーム58からなる。
【0034】
刈取入力パイプ51は、その軸線方向を左右方向として、機体フレーム1aの左前部に回動可能に設けられる。刈取入力パイプ51の右端には、プーリ51aが配置され、当該プーリ51aがベルト51bなどの駆動力伝達手段を介してエンジン9の出力軸と接続されることで、エンジン9からの駆動力をプーリ51aを介して刈取入力パイプ51内の駆動軸へと伝達できるように構成される。前伝動パイプ52は、その両端が刈取入力パイプ51及び右引起駆動パイプ53に対して回動自在に支持され、刈取入力パイプ51の左右中途部から前方へ延出される。右引起駆動パイプ53は、その軸線方向を概ね上下方向として、前伝動パイプ52の延出端部(前端部)から上下方向へ延出される。右引起駆動パイプ53の上端部は、右側の引起装置20Rに接続される。
【0035】
横伝動ケース54は、その左上端部に右引起駆動パイプ53の下端が接続される。横伝動ケース54は、その内部にギア等を有し、左右方向を長手とする。引起縦伝動パイプ55は、右引起駆動パイプ53よりも右側に配置され、横伝動ケース54の右下部より下方へ延設される。横伝動パイプ56は、その軸心方向を左右方向として、右端部を引起縦伝動パイプ55の下端に連結される。左引起駆動パイプ57は、その軸線方向を概ね上下方向として、横伝動パイプ56の左端部から上向へ延出される。左引起駆動パイプ57の上端部は、左側の引起装置20Lに連結される。
【0036】
図3から
図5に示すように、複数の分草フレーム58は、横伝動パイプ56の左右方向に適宜の間隔をとって前方に突出され、互いに平行に並設される。これらの分草フレーム58のうち、最も左外側に位置する分草フレーム58aは、取付部材56aを介して横伝動パイプ56の左端部から前方へ向けて延設される。中央に位置する分草フレーム58bは、横伝動パイプ56の左右中央部から取付部材56bを介して前方へ向けて延設される。最も右外側に位置する分草フレーム58cは、L字状に屈曲され、取付部材56cを介して横伝動パイプ56の右端部から所定長さ右側に突出し、さらに前方へと延設される。分草フレーム58cの前後方向の長さは、分草フレーム58a・58bに比べて若干短く形成される。
【0037】
従って、左の分草フレーム58aと中央の分草フレーム58bとの左右方向の間隔よりも、右の分草フレーム58cと中央分草フレーム58bとの左右方向の間隔の方が広く形成される。
【0038】
連結パイプ59は、その軸線方向を上下方向とし、刈取入力パイプ51の左右中央より下前方に延設される。連結パイプ59の上下中途部には、取付フレーム59aを介して、昇降シリンダ90の前端に連結される。昇降シリンダ90は、機体フレーム1aの前下部から前方へ向けて延設され、この昇降シリンダ90の伸縮駆動に応じて刈取入力パイプ51回りに刈取部3全体を上下方向に回動可能に構成される。
【0039】
連結パイプ59の下端には、後述する刈取部リンク機構60が連結される。
【0040】
こうして、刈取フレーム50は、刈取入力パイプ51、前伝動パイプ52、右引起駆動パイプ53、横伝動ケース54、引起縦伝動パイプ55、横伝動パイプ56、左引起駆動パイプ57、分草フレーム58、および連結パイプ59を一体的に連結して構成される。
【0041】
そして、前部刈取フレーム50Fに、分草具10、引起装置20、切断装置40、および搬送装置30などが適宜に支持される。前部刈取フレーム50Fに支持される際、分草具10と、引起装置20と、搬送装置30とは、この順で前から後に向けて配置され、切断装置40は、引起装置20の後方で搬送装置30の搬送始端部の下方に配置される。また、刈取フレーム50内には、エンジン9からの駆動力を各装置に伝える駆動軸が適宜内挿されており、その伝達される駆動力によって各装置が適宜の作動を行うように構成される。
【0042】
次に、本実施形態の刈取部3の各装置について説明する。
【0043】
図5に示すように、分草具10には、二条分三つの分草板11a・11b・11cが備えられる。これらの分草板11a・11b・11cはそれぞれ先細形状とされ、複数の分草フレーム58、即ち三つの分草フレーム58a・58b・58cの先端部に前方へ向けて突設される。
【0044】
特に、右側の分草板11cの前下部には、分草杆11dが後方に突出するように配置され、当該分草杆11dの後端に上下方向に開孔された貫装部11eが固設される。一方、右分草フレーム58cの前端には、分草杆取付フレーム58fが配置される。当該分草杆取付フレーム58fは、板状の部材によって構成され、側面視において前方を開放側とする略U字状に形成される。さらに分草杆取付フレーム58fの上下面には、上下方向に開孔された貫装孔が形成される。貫装部11eは、分草杆取付フレーム58fの上下面間に配置され、さらに、分草杆取付フレーム58fの貫装孔と貫装部11eの開孔を合わせた状態で、後述する第六分草ピン96が貫装される。第六分草ピン96によって、分草板11cおよび分草杆11dは貫装部11eおよび分草杆取付フレーム58fを介して右分草フレーム58cに回動可能に支持される。
【0045】
図6に示すように、引起装置20は、引起ケース21、駆動スプロケット22L・22R、テンションスプロケット23L・23R、第一案内ローラ24、第二案内ローラ25、第三案内ローラ26、チェン27およびタイン28によって構成される。
【0046】
引起ケース21は、左右方向に適宜の間隔をとって右側から右引起ケース21R、左引起ケース21Lが並設される。駆動スプロケット22R・22Lは、左右引起ケース21R・21L内の上部にそれぞれ回動可能に配置され、右引起駆動パイプ53および左引起駆動パイプ57内の駆動軸からの駆動力をそれぞれ受けるように構成される(
図4参照)。
【0047】
テンションスプロケット23R・23Lは、駆動スプロケット22R・22Lの外方に左右方向に適宜の間隔をとって回動可能に配置される。
【0048】
第一案内ローラ24が右側に第二案内ローラ25が左側となるように、左右方向に適宜の間隔をおいて右引起ケース21R内の下部に回動可能に配置される。第三案内ローラ26は、左引起ケース21Lの下部に回動可能に配置される。ここで、引起ケース21内の下部のローラは、第一案内ローラ24、第二案内ローラ25、第三案内ローラ26の順番でその径が大きくなるように形成される。
【0049】
チェン27・27は、駆動スプロケット22Rと、テンションスプロケット23Rと、第一案内ローラ24と、第二案内ローラ25とに巻回され、駆動スプロケット22L、テンションスプロケット23L、第三案内ローラ26に巻回される。左右のテンションスプロケット23R・23Lは、チェン27の張力を調整できるように構成される。また、タイン28は、チェン27に対して揺動可能となるように等間隔をとって連結される。
【0050】
このように構成することで、駆動スプロケット22R・22Lが回転駆動し、テンションスプロケット23R・23Lによって適宜の張力を保ちながら、巻回されたチェン27が回転され、各案内ローラ24・25・26が従動回転される。この際、引起ケース21R・21L間の空間において、タイン28は、チェン27に対して起立した状態で下方から上方に移動する。さらに引起ケース21R・21Lの外側において、タイン28は、その長手方向をチェン27と略平行になるように先端を上方にむけて回転し、引起ケース21R・21L内を上方から下方へと移動する。
【0051】
引起ケース21R・21Lの下方において、第一案内ローラ24の径が第三案内ローラ26のそれよりも小さいため、タイン28の先端がより引起ケース21Rの外側に位置する。さらに、タイン28の回動軌跡S1・S2に示すように、左側に比べて右側は第一案内ローラ24および第二案内ローラ25が配置されているため、より広範囲に亘ってタインの先端を引起ケース21Rの外方に位置させることができる。従って、左側よりも右側のタイン28の方が、圃場にある穀稈をより多くより広範囲に引起ケース21R・21L間に案内して引起すことが可能となる。
【0052】
図3および
図7に示すように、引起装置20と搬送装置30の間には、案内棒が配置される。案内棒は、左右一対の株元案内棒29a・29aと稈案内棒29b・29b、および補助稈案内棒29cによって構成される。株元案内棒29aは、分草具10によって分草された穀稈の株元を搬送装置30へと案内するためのものである。
【0053】
株元案内棒29aは、左右一対の棒状の部材であって、中央の分草フレーム58bの前部からその中途部が左右外方に突出するように屈曲され後上方へと延設される。稈案内棒29bは、分草具10によって分草された穀稈の稈(中間部)を後述する掻込機構31へと案内するためのものである。株元案内棒29aと同様に、稈案内棒29bは、左右一対の棒状の部材であって、中央の分草フレーム58bの前部からその中途部が外方に突出するように屈曲され後方へと延設される。稈案内棒29bは、株元案内棒29aよりも上方にかつ左右外方に突出するように配置される。
【0054】
補助稈案内棒29cは、分草具10によって分草された穀稈の稈(中間部)から株元を掻込機構31へと案内するためのものである。補助稈案内棒29cは、コンバイン1が二条刈りから全面刈りとなった場合に、刈幅が広くなることに伴う穀稈量の増大に対応するために配置されるものである。つまり、穀稈量の増大により稈案内棒29bによって穀稈の重みに対応しきれなくなった重みを補助稈案内棒29cが受けることで搬送装置30の掻込機構31へと案内するためのものである。補助稈案内棒29cは、左の稈案内棒29bよりも上方に配置され、その前部が左の稈案内棒29bよりも分草フレーム58b寄りでその後部が稈案内棒29bよりも右外方に配置される。
【0055】
搬送装置30には、掻込機構31と搬送機構32とが備えられる。掻込機構31は、搬送装置30の前部側に配置され、この搬送装置30の搬送始端部に設けられる。一方、搬送機構32は、搬送装置30の後部側に配置され、搬送装置30の搬送中途部から搬送終端部にかけて設けられる。
【0056】
掻込機構31は、引起装置20によって引起された穀稈を掻込ながら合流させ斜め上後方に搬送する機構である。掻込機構31には、左右の掻込装置33L・33Rと、二つの掻込輪34L・34Rとが備えられる。左右の掻込装置33L・33Rは、それぞれ左右一対で一組の突起付ベルトなどを有し、これらを回転駆動可能とするように構成される。左右の掻込装置33L・33Rは、それぞれ引起ケース21L・21Rの後方に配置され、引起ケース21側から後方へ向けて、前低後高の傾斜状に延設される。左右の掻込装置33L・33Rは、右側の引起ケース21Rに向けて前方へ大きく開くように配置される。つまり、左右の各掻込装置33L・33Rは、前部側の左右幅が広くなり、後部側の左右幅が狭くなるように配置される。
【0057】
二つの掻込輪34L・34Rは、それぞれスターホイルとされ、回転駆動可能に構成される。各掻込輪34L・34Rは、左右の掻込装置33L・33Rの各突起付ベルトの後部下方に配置され、前低後高の傾斜状に設けられる。
【0058】
搬送機構32は、掻込機構31から搬送される穀稈の穂先側を挟持して脱穀部4のフィードチェン4aへと搬送する機構である。搬送機構32には、下部搬送装置35と上部搬送装置36とが備えられる。各搬送装置はチェンなどを有し、これらを回転駆動可能とするように構成される。下部搬送装置35は、左掻込装置33Lの後方に配置され、左掻込装置33Lの後側から左斜後方へ向けて、前低後高の傾斜状に延設される。上部搬送装置36は、下部搬送装置35の上方に配置され、左掻込装置33Lの後側から左斜後方へ向けて、脱穀部4のフィードチェン4aまで延設される。
【0059】
切断装置40は、鋸刃状のレシプロ型に構成され、掻込機構31の下方に配置され、その両端部を左右外側の分草フレーム58a・58cに固設することで支持される。切断装置40は、前記横伝動パイプ56内の伝動軸より動力が伝達されて駆動される。
【0060】
これらの分草具10および各装置を支持する刈取フレーム50においては、刈取入力パイプ51の内部に刈取入力軸が内挿されるとともに、その他の各パイプの内部に刈取伝動軸が内挿される。そして、引起装置20および搬送装置30が各刈取伝動軸や刈取入力軸を介してエンジン9と連動連結される。
【0061】
こうして、引起装置20および搬送装置30は、エンジン9を駆動源としてこれから供給される動力を得て、駆動することができるように構成される。
【0062】
次に、コンバイン1を二条刈から全面刈へ刈取部3を変位させる機構について説明する。
【0063】
刈取部リンク機構60は、
図3、
図5および
図7に示すように、機体フレーム1a側に設けられる後部刈取フレーム50R(前横フレーム61)と刈取部3前側に設けられる前部刈取フレーム50F(横伝動パイプ56)との間に取り付けられ、前部刈取フレーム50Fを機体フレーム1aに対して左右方向に移動可能とするための機構である。刈取部リンク機構60は、主として前横フレーム61、左リンク62、右リンク63、横伝動パイプ56、第一ピン64、第二ピン65、第三ピン66、および第四ピン67によって構成される四節リンク機構である。
【0064】
前横フレーム61は、左右方向を長手方向とする棒状の部材である。前横フレーム61は、その左右中途部に連結パイプ59の下端が固設される。さらに、前横フレーム61の左右両端には、それぞれ第一ブラケット61a・61bが固設される。第一ブラケット61a・61bは、板状の部材によって構成され、背面視において開放側を外側に向けた略U字状に形成される。第一ブラケット61a・61bの上下面には、それぞれ上下方向に開孔された貫装孔が形成される。
【0065】
左リンク62および右リンク63は、前後方向を長手方向とする棒状の部材である。左リンク62および右リンク63の前後両端には、それぞれ上下方向に開孔された貫装孔が形成される。さらに右リンク63の前後中途部には、上下方向に開孔された連結孔63aが形成される。
【0066】
第一ピン64は、左リンク62の後側の貫装孔を左側の第一ブラケット61aの貫装孔と合わせた状態で、それら貫装孔に貫装される。第一ピン64によって前横フレーム61と左リンク62は、互いに回動可能に連結される。
【0067】
第二ピン65は、右リンク63の後側の貫装孔を右側の第一ブラケット61bの貫装孔と合わせた状態で、それら貫装孔に貫装される。第二ピン65によって前横フレーム61と右リンク63は、互いに回動可能に連結される。
【0068】
一方、横伝動パイプ56には、分草フレーム58a・58cを取り付けるための取付部材56a・56cが配置されており、当該取付部材56a・56cには、横伝動パイプ56よりも下前方で、機体内方(中央の分草フレーム58b)に向ってリンク取付部材(第二ブラケット64a、第三ブラケット65a)が左右一対となるように取付られる。第二ブラケット64aおよび第三ブラケット65aは、板状の部材によって構成され、側面視において開放側を後側に向けた略U字状に形成される。第二ブラケット64aおよび第三ブラケット65aの上下面には、それぞれ上下方向に開孔された貫装孔が形成される。
【0069】
第三ピン66は、左リンク62の前側の貫装孔と第二ブラケット64aの貫装孔を合わせた状態で貫装される。第三ピン66によって、左リンク62と横伝動パイプ56は、取付部材56aおよび第二ブラケット64aを介して、互いに回動可能に連結される。
【0070】
第四ピン67は、右リンク63の前側の貫装孔と第三ブラケット65aの貫装孔とを合わせた状態で貫装される。第四ピン67によって、右リンク63と横伝動パイプ56は、取付部材56cおよび第三ブラケット65aを介して、互いに回動可能に連結される。
【0071】
このように構成することで、前横フレーム61と横伝動パイプ56が平行となり、左リンク62と右リンク63とが平行となる平行リンク機構が形成される。
【0072】
分草具リンク機構70は、刈取部リンク機構60、分草フレーム58cおよび右側の分草具10に取り付けられ、右の分草板11cを左右揺動可能にするための機構である。分草具リンク機構70は、刈取部リンク機構60の左右の揺動に連動して変位し、主として第一分草リンク71、第二分草リンク72、第三分草リンク73、第四分草リンク74、第五分草リンク75、第一分草ピン91、第二分草ピン92、第三分草ピン93、第四分草ピン94、第五分草ピン95、および第六分草ピン96によって構成される。
【0073】
分草リンク71・72・73・74・75は、長さの異なる棒状の部材であり、分草ピン91・92・93・94・95・96は、上下方向を回動軸とするものである。
【0074】
第一分草リンク71は、左右方向を長手方向として、分草フレーム58の後方に適宜の間隔をとって配置される。第一分草リンク71は、その両端部に上下方向に開孔された貫装孔が形成される。第一分草リンク71の左側の貫装孔と右リンク63の連結孔63aとを合わせた状態で、第一分草ピン91が貫装される。第一分草ピン91によって、第一分草リンク71は、右リンク63に対して回動可能に連結される。
【0075】
第二分草リンク72は、前後方向を長手方向とし、その後端部に貫装孔が形成される。第二分草リンク72の貫装孔と第一分草リンク71の右側の貫装孔とを合わせた状態で、第二分草ピン92が貫装される。第二分草ピン92によって第二分草リンク72は、第一分草リンク71に対して回動可能に連結される。また、第二分草リンク72の前端は、第三分草ピン93に固設される。
【0076】
一方、前後方向に伸びた分草フレーム58cの後端部には、機構取付フレーム58dが配置される。当該機構取付フレーム58dの右外側には、上下方向に開孔された支持孔58eが配置される。当該支持孔58eには、第三分草ピン93が貫装され、第三分草ピンは、支持孔58eに摺動可能に支持される。したがって、第二分草リンク72は、第二分草ピン92を中心に、支持孔58eによって回動可能に支持される。
【0077】
第三分草リンク73は、左右方向を長手方向とし、第二分草リンク72よりも短く形成される。第三分草リンク73の左端は、第三分草ピン93に固設され、第二分草リンク72と第三分草リンク73の右後方の成す角度が略直角となるように配置される。つまり、第二分草リンク72と第三分草リンク73はベルクランク状に一体的に形成される。第三分草リンク73の右端部には、貫装孔が上下方向に開孔される。
【0078】
第四分草リンク74は、前後方向を長手方向として、分草フレーム58の右方に適宜の間隔をとって略平行に配置される。第四分草リンク74の前後端部には、それぞれ貫装孔が形成される。第四分草リンク74の後側の貫装孔と第三分草リンク73の右側の貫装孔とを合わせた状態で、それら貫装孔に第四分草ピン94が貫装される。したがって、第四分草ピン94によって、第四分草リンク74は、第三分草リンク73の右端部に回動可能に連結される。
【0079】
第五分草リンク75は、左右方向を長手方向として、第三分草リンク73と略平行となるように第四分草リンク74および分草フレーム58cの前端部との間に配置される。第五分草リンク75の右端部には、上下方向に開孔された貫装孔が形成される。第五分草リンク75の貫装孔と第四分草リンク74の前側の貫装孔とを合わせた状態で、それら貫装孔に第五分草ピン95が貫装される。従って、第五分草ピン95によって、第五分草リンク75は、第四分草リンク74の前端部に対して回動可能に連結される。
【0080】
そして、第五分草リンク75の左端は、前記分草杆11dの後端に配置されたパイプ状の貫装部11eに、第五分草リンク75と分草杆11dとが右前側で成す角度が略直角となるように固設される。つまり、第五分草リンク75は、分草フレーム58cの前端部に貫装部11eを中心に回動可能に支持される。
【0081】
このように構成することで、刈取部リンク機構60と分草具リンク機構70と分草フレーム58cと、右側の分草具10である分草板11cと分草杆11dとが回動可能に連結される。
【0082】
図1、
図2に示すように、刈取部3の左右外側には、サイドデバイダー100・101が配置される。サイドデバイダー100・101は、左右のクローラ式走行装置2a・2aによって圃場の穀稈(未刈取の穀稈)を踏みつけることを防止するように、穀稈を左右のクローラ式走行装置2a・2aの外側方へ導くためのものである。
【0083】
左側のサイドデバイダー100は、その前端を左の分草フレーム58aの先端に回動可能に支持され、その中途部を、機体フレーム1aの前部から左外方に突設する支持部材100aによって回動自在に支持される。さらにサイドデバイダー100は、その後端部を機体フレームの左後側面に回動自在に支持される。
【0084】
一方、
図2および
図4に示すように、右側のサイドデバイダー101は、主として、第一横支持部101a、第二横支持部101b、ガイド杆101cによって構成される。右側のサイドデバイダー101は、分草具リンク機構70をその内側に配置することで、圃場の穀稈(未刈取の穀稈)が分草具リンク機構70に接触することを防ぐものである。
【0085】
第一横支持部101aは、左右方向を長手方向とし、分草フレーム58cの前端部に起立した引起装置支持フレーム150にその左端部を回動可能に支持される。第二横支持部101bは、第一横支持部101aと略平行となるように前後方向に所定間隔をとって分草フレーム58cの前端部にその左端部が回動自在に支持される。
【0086】
ガイド杆101cは、前後方向を長手方向とする棒材によって構成され、その前部は、後方に向うにつれて右外方に突出し、さらに、その後部は、後方に向うにつれて左内方に位置する。つまり、分草具リンク機構70の外方を覆うように配置される。
【0087】
次に、前記刈取部リンク機構60および分草具リンク機構70による刈取部3の変位について説明する。
【0088】
先ず、二条刈をおこなうための各リンク機構60・70の位置について説明する。
【0089】
刈取部3全体は、
図7に示すように、コンバイン1の左右全幅に対して左側にシフトした位置にある。この際、
図3および
図5に示すように、刈取部3は、連結パイプ59に連結された昇降シリンダ90の伸縮によって刈取入力パイプ51を中心として回動可能に支持される。従って、連結パイプ59はコンバイン1の本体に対して左右方向には、移動することができない。
【0090】
前横フレーム61は、連結パイプ59に連結されており、機体フレーム1aつまりコンバイン1の本体に対して左右方向の移動が不可能となっている。この前横フレーム61の両端にある第一ピン64および第二ピン65を中心として、左リンク62および右リンク63は、それらの先端を後端よりも左前方へと向けている。横伝動パイプ56は、左リンク62および右リンク63に取付部材56a・56c・64a・65aを介して回動可能に連結されており、コンバインの左側に位置する。刈取部リンク機構60がこの位置のとき、刈取部リンク機構60の右リンク63に回動可能に連結された分草具リンク機構70は、分草板11cの先端を中央の分草板11b側に向けて位置するように構成される。言い換えれば、分草板11cの先端は、切断装置40の左端の前延長上よりも内側(左右方向機体中央側)に位置する。従って、切断装置40が三条分を刈取できる左右幅を有しながら、分草板11cがその左右幅を狭める方向に回動するため、刈取作業の際、圃場の刈取跡H2側に排出された排藁を刈取部3内へと掻込みにくくすることができる。
【0091】
さらに、
図9の(a)に示すように、刈取部3が最も左にシフトしている状態では、左側のクローラ式走行装置2aの前方は、切断装置40による刈取範囲に入っている。つまり、左回りの回り刈り作業を行う場合に、機体の左前方に位置する未刈取の穀稈H1が、左側のクローラ式走行装置2aにより押し倒されたり、未刈取の穀稈H1に泥土が付着したりすることを防止することができる。
【0092】
次に、二条刈から全面刈(三条刈)用に各リンク機構60・70が変位する状態の説明をする。
【0093】
操縦者が図示しない刈取部3のスライド操作部を操作することで、
図10に示すように、刈取部3の全体が右側にシフトする。その際、前横フレーム61の両端の第一ピン64および第二ピン65を中心として左リンク62よび右リンク63が右回りに回転し、それらの前先端が後端よりも右に位置する。この左リンク62および右リンク63の変位によって、各取付部材56a・64a・56c・65aを介して連結された横伝動パイプ56が右側にシフト(移動)する。つまり、前横フレーム61に対して右方向に横伝動パイプ56が平行移動したことになる。横伝動パイプ56は、前述のように刈取部3の各種装置およびフレーム(パイプ)を支持しているため、刈取部3全体が右方向に移動することとなる(
図8参照)。
【0094】
一方、この刈取部リンク機構60の変位に伴って、分草具リンク機構70も変位する。
【0095】
分草具リンク機構70は、分草フレーム58cに対して移動不能な支持孔58eに貫装された第三分草ピン93を回動支点として構成されている。
図5の状態から
図10に示すように、分草フレーム58cを含む刈取部3は、機体フレーム1aに対して右側に移動する。そのため、第一分草リンク71の左端部は、右リンク63によって左側に引張られる状態となる。従って、第一分草リンク71は左側に移動し、第三分草ピン93を中心として第二分草リンク72及び第三分草リンク73を
図5の状態から左回りに回転させる。第三分草リンク73が左回りに回転することで、第四分草ピン94に回動可能に連結された第四分草リンク74は、(左)後方へと移動する。第四分草リンク74の前端部と第五分草ピン95によって回動可能に連結された第五分草リンク75は、第六分草ピン96を中心として
図5の状態から左回りに回動される。第五分草リンク75は、分草杆11dとともに貫装部11eに固設されているため、第六分草ピン96を中心として
図5の状態から左回り(
図9において右回り)に回転する。従って、分草フレーム58cの先端を中心として分草板11cの先端が右側に回転する。言い換えれば、分草板11cの先端は、切断装置40の左端の前延長上よりも外側に位置する。
【0096】
このように構成することで、刈取部3を機体フレーム1aに対して右側にシフトさせた場合、右側の分草具10(分草板11c)の先端を右方向に回動させることができる。そして、
図9の(b)に示すように、刈取部3の左右外側のサイドデバイダー101・100によって刈取部3の左右側方にある未刈取の穀稈H1を掻き分けるようにコンバイン1が走行することができる。さらに、刈取部3とサイドデバイダー101・100を合わせた左右幅が左右のクローラ式走行装置2a・2aの左右幅より広くなり、圃場の穀稈(未刈取の穀稈H1)を踏みつけることなく二条用のコンバイン1で三条分の刈取を可能とする。つまり、本実施形態の二条用のコンバイン1は、中割作業などで全面刈りが可能となる。
【0097】
図5と
図10に示すように、分草具10(分草板11c)が回動する角度が分草フレーム58cに対して、左右略等角度で回動される構成としている。この場合、分草具10(分草板11c)が同じ回動角度で、前後方向から右側に回動する構成に比べて、分草フレーム58cと分草具10(分草板11c)とが成す角度が小さくなり、分草されて切断装置40へガイドされる穀稈の流れは妨げられ難く、穀稈の株元を大きく曲げることもなく、姿勢よく刈り取ることが可能となる。
【0098】
以上の如く、本実施形態のコンバイン1は、左右方向に並列に配置され穀稈を分草する複数の分草具10と、前記分草具10により分草された複数条の穀稈を引き起こす引起装置20と、前記引起装置20により引き起こされた穀稈の株元を切断する切断装置40と、前記切断装置40により切断された穀稈を脱穀部4側へ搬送する搬送装置30と、前記分草具10、引起装置20、切断装置40および搬送装置30を支持する前部刈取フレーム50Fと、機体側に取り付ける後部刈取フレーム50Rに対して前記前部刈取フレーム50Fを左右方向にスライド可能に支持する刈取部リンク機構60とを有するコンバイン1の刈取部3であって、運転席81側の前記分草具10と前記前部刈取フレーム50Fと前記刈取部リンク機構60とに連結され、前記刈取部リンク機構60と連動して前記運転席81側の分草具10を後部刈取フレーム50Rに対して回動させる分草具リンク機構70を備えるものである。
【0099】
このように構成することにより、刈取部リンク機構によって刈取部を左右方向にスライドさせることで、分草具をその動きに連動させて回動させることができる。また、分草具が分草具リンク機構によって回動するため、左右一外側の分草具の位置を確実に保持することができる。
【0100】
本実施形態のコンバイン1は、前記切断装置40の切断刃の運転席81側端の前方延長上に前記分草具10(分草板11c)の回動支点(第六分草ピン96)が配置され、該分草具10(分草板11c)は前記前部刈取フレーム50F(分草フレーム58a)に対して左右略等角度で回動されるものである。
【0101】
このように構成することにより、回動可能角度が同じである場合、前部刈取フレーム50F(分草フレーム58a)に対して等角度で回動しない分草具よりも、分草具10(分草板11c)が前部刈取フレーム50F(分草フレーム58a)に対して左右略等角度で回動される方が前部刈取フレーム50F(分草フレーム58a)と分草具10(分草板11c)とが成す角度が小さくなり、分草される穀稈の流れを妨げ難くすることができる。
【0102】
また、二条の回り刈りの走行速度のまま全面刈へと移行すると、走行速度が速く時間当たりの刈取量が増大し、詰まりの発生や選別処理がうまくいかなくなる恐れがある。そこで、前述の副変速操作具83の近傍と刈取部リンク機構60とをワイヤ等の連結部材88によって連結し、全面刈りにシフトしたときに、所定以上の走行速度にならないように構成することもできる。
【0103】
以下に、その構成を説明する。
図11に示すように、副変速操作具83(または主変速操作具)の近傍から刈取部リンク機構60にかけて、速度規制手段84が配置される。速度規制手段84は、前述のように副変速操作具83によって設定される走行速度を所定速度未満までとするためのものである。速度規制手段84は、副変速操作具83の近傍に配置され、主として、速度規制部材85(本体部85a、回動軸85b、連結突起部85c、係合突起部85d、規制突起部85e)、係合部材86、付勢部材87、及び連結部材88によって構成される。
【0104】
本体部85aは、上下方向に開孔が形成された筒状の部材である。本体部85aは、その開孔に回動軸85bが貫装され、当該回動軸85bを中心として回動可能に支持される。本体部85aには、その直径方向に突出するように前部に連結突起部85c、後部に係合突起部85dが配置される。連結突起部85cから副変速操作具83側に略90度の回転した位置に本体部85aから突設するように規制突起部85eが配置される。当該規制突起部85eは、回動軸85bの中心から副変速操作具83に接触可能な長さに形成される。更に、本体部85aより係合突起部85dが突設され、バネ等の付勢部材87と連結されて、速度規制手段84が右回りに(
図11の(a)に示す太矢印の方向に)回転するように付勢されている。
【0105】
係合部材86は、刈取部3が右側にシフトした状態において、係合突起部85dと当接することで付勢部材87の付勢力による速度規制手段84の回動を規制するための部材である。
【0106】
連結部材88は、連結突起部85cにその一端が連結される。連結部材88の他端は、刈取部リンク機構60の右リンク63の中途部に連結される。
【0107】
このように構成することで、コンバイン1が二条刈りのとき、つまり、
図10の(a)に示すように、刈取部3が左側にシフトした状態のとき、右リンク63が第二ピン65を中心として左回りに回転し右リンク63の先端が後端よりも左側に位置する。そのため、右リンク63は、速度規制手段84の付勢部材87の付勢力に抗して連結部材88を引張る。
【0108】
連結部材88は、この引張りによって、回動軸85bを中心として連結突起部85cを左回りに回転させる。この回転によって、連結突起部85cと一体的に形成された規制突起部85eおよび係合突起部85dも回動軸85bを中心として左回りに回転する。そして、規制突起部85eは、副変速操作具83から離れ、接触状態から非接触状態となる。つまり、コンバイン1が二条刈りのとき、作業者は、副変速操作具83を所望の位置(路上走行位置以外の位置)に移動させて、コンバイン1を所望の走行速度とすることができる。
【0109】
コンバイン1が全面刈りのとき、つまり、
図11の(b)に示す刈取部3が右側にシフトとした状態のとき、右リンク63が第二ピン65を中心として右周りに回転するため、右リンク63の先端が後端よりも右側に位置する。そのため、連結部材88は、左側にシフトした状態よりもその張力が緩むことなり、速度規制手段84の付勢部材87の付勢力によって速度規制手段84側に引張られる。
【0110】
この速度規制手段84の付勢部材87の付勢力によって、係合部材86に係合突起部85dが接触するまで、本体部85aは、回動軸85bを中心に、右回りに回転する。すると、規制突起部85eが副変速操作具83の前方に位置し、作業者は、規制突起部85eよりも前方に副変速操作具83を移動することができなくなる。
【0111】
つまり、コンバイン1の走行速度は所定値よりも速くすることができなくなり、二条刈りから全面刈りとなることによって穀稈量が増大した場合であっても、脱穀部4が穀稈を適切に処理できるように構成される。
【0112】
なお、連結部材88は、速度規制手段84と刈取部リンク機構60の右リンク63を連結しているが限定するものではない。連結部材88の連結先は、右リンク63の変わりに、刈取部リンク機構60の右リンク以外の部材、例えば前横フレーム61や、分草具リンク機構70との一部、例えば、第一分草リンク71と連結してもよい。
【0113】
本実施形態のコンバイン1は、コンバイン1の走行速度を操作する操作手段(副変速操作具83)と、前記刈取部リンク機構60または前記分草具リンク機構70とを連結し、運転席81側へ刈取部3をスライドするときに、前記操作手段(副変速操作具83)の操作量を規制する規制手段(速度規制手段84)を備えるものである。
【0114】
このように構成することにより、刈取部3が機体に対して運転席81側にスライドすることで、刈取可能幅が長くなり、脱穀部4で脱穀する穀稈量が増大する。そのため、規制手段によって速度を規制することで脱穀部4における脱穀を適正に行うことができる。