(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の内視鏡を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の内視鏡の第1実施形態を示す図であって、
図1(a)は、平面図、
図1(b)は、側面図である。
図2は、
図1に示す内視鏡の断面図、
図3は、
図2中のA−A線での操作部を示す断面図、
図4は、
図2中のB−B線での操作部を示す断面図、
図5〜
図7は、
図1に示す内視鏡の断面図である。
【0029】
なお、以下では、
図1、
図2、
図5〜
図10、
図15中の左側を「先端」、右側を「基端」、上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
【0030】
図1〜
図4に示すように、内視鏡1は、生体の管腔内に挿入される長尺状の内視鏡本体2と、内視鏡本体2の先端に設置され、観察部位を撮像する撮像素子3と、撮像素子3の先端に設置され、複数または単数のレンズ等で構成された撮像光学系4と、観察部位を照らす光を導光し、その光を先端部から出射するライトガイド5とを備えている。
【0031】
本発明の内視鏡の用途は、特に限定されないが、例えば、子宮内を観察する子宮鏡、膣内を観察する膣鏡、経膣的に使用される腹腔鏡として用いることが好ましい。本実施形態では、代表的に、内視鏡1を腹腔鏡、すなわち、経膣的腹腔鏡とする場合について説明する。
【0032】
以下、内視鏡1の各構成要素について順次説明する。
撮像素子3としては、例えば、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等の固体撮像素子を用いることができる。
【0033】
この撮像素子3と撮像光学系4とは、図示の構成では、ケーシング内に収納され、一体化された1つのパッケージになっている。本明細書では、そのケーシングを含めて、撮像素子3の部分を撮像素子3と言い、撮像光学系4の部分を撮像光学系4と言う。これら撮像素子3および撮像光学系4により、撮像部30が構成される。なお、撮像素子3と撮像光学系4とが別体として設けられていてもよいことは言うまでもない。
【0034】
また、撮像素子3および撮像光学系4の内視鏡本体2の軸方向から見たときの外形形状は、それぞれ、特に限定されないが、図示の構成では、円形をなしている。また、撮像素子3の外径と撮像光学系4の外径とは、等しい。
【0035】
また、内視鏡本体2のその軸方向から見たときの外形形状は、特に限定されないが、図示の構成では、円形をなしている。この内視鏡本体2は、直線状をなし、その全長に亘って、可撓性、すなわち柔軟性のある部材で構成されている。内視鏡本体2が直線状をなすことにより、内視鏡本体2で生体を容易に貫通することができる。内視鏡本体2の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、各種の樹脂材料を用いることができる。
【0036】
なお、内視鏡本体2の基端部が硬質部材で構成され、基端部よりも先端側の部位が、可撓性を有していてもよく、また、内視鏡本体2の先端部が可撓性を有し、先端部よりも基端側の部位が、硬質部材で構成されていてもよい。また、内視鏡本体2は、その全長に亘って硬質部材で構成されていてもよい。
【0037】
内視鏡本体2には、ライトガイド用ルーメン21が形成されている。ライトガイド用ルーメン21は、内視鏡本体2の基端から先端部まで形成されている。すなわち、ライトガイド用ルーメン21の先端部は、内視鏡本体2の先端部に位置し、基端は、内視鏡本体2の基端に開口している。また、ライトガイド用ルーメン21は、図示の構成では、内視鏡本体2の中心軸Oから偏心している。
【0038】
また、内視鏡本体2の軸方向から見たとき、内視鏡本体2の少なくとも先端部は、撮像素子3より外側に突出していない。図示の構成では、内視鏡本体2の外径は、その全長に亘って一定であり、内視鏡本体2の軸方向から見たとき、内視鏡本体2は、その全長に亘って撮像素子3より外側に突出していない。すなわち、内視鏡本体2の外径と撮像素子3の外径とは等しく、撮像素子3の外周面と内視鏡本体2の外周面とが段差のない連続面を形成している。また、内視鏡本体2の軸方向から見たとき、ライトガイド用ルーメン21は、撮像素子3よりも内側に位置している。
【0039】
これにより、内視鏡本体2の外径を小さくすることができ、これによって、被検査者や患者への負担を軽減することができる。
【0040】
この内視鏡本体2および撮像素子3の外径は、それぞれ、10mm以下であることが好ましく、0.3〜5.0mm程度であることがより好ましく、0.5〜2.0mm程度であることがさらに好ましい。
【0041】
また、内視鏡本体2には、ケーブル用ルーメン23が形成されている。ケーブル用ルーメン23は、内視鏡本体2の基端から先端まで形成されている。すなわち、ケーブル用ルーメン23の先端部は、内視鏡本体2の先端に開口し、基端は、内視鏡本体2の基端に開口している。また、ケーブル用ルーメン23は、内視鏡本体2の中心に配置されている。
【0042】
撮像素子3の各配線を含むケーブル6は、ケーブル用ルーメン23を挿通し、そのケーブル6の基端部は、コネクタ72に接続されている。
【0043】
コネクタ72は、図示しない光源や制御部等を有する制御・光源装置の対応するコネクタに着脱自在に接続され、その制御・光源装置と撮像素子3との間で、画像信号や制御信号等の各信号の送受信がなされる。
【0044】
ライトガイド5は、ライトガイド用ルーメン21に内視鏡本体2の軸方向に移動可能で、ライトガイド5の中心軸を中心に回動可能に挿入されている。
【0045】
このライトガイド5は、光を導光することができるものであれば特に限定されないが、本実施形態では、効率良く導光する観点から、1本の光ファイバーまたは光ファイバーを複数本束ねてなる光ファイバー束で構成されている。なお、光ファイバー束の各光ファイバーは、互いに固定され、一体化されている。光ファイバーの構成材料としては、例えば、各種の樹脂材料やガラスが挙げられるが、樹脂材料が好ましい。また、ファイバーを構成する樹脂材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル、ポリカーボネートおよびポリクロロスチレン等が挙げられる。
【0046】
また、ライトガイド5の先端部は、外力が付与されていない自然状態で所定の形状に湾曲または屈曲している。したがって、ライトガイド5の先端部は、後述する側孔22から外部に突出すると、その復元力により、元の湾曲または屈曲形状に戻る。
【0047】
また、ライトガイド5の先端の角部は、丸みを帯びている。これにより、安全性が向上する。
なお、ライトガイド5の先端には、図示しない投光レンズが設けられていてもよい。
【0048】
また、ライトガイド5の先端部には、超音波またはX線で検出し得る図示しないマーカー、すなわち超音波マーカーまたはX線マーカーが設けられていることが好ましい。これにより、超音波マーカーを設けた場合には、例えば、超音波プローブを用い、得られた画像を見て、ライトガイド5の先端部の位置を確認しつつ操作を行うことができる。また、X線マーカーを設けた場合には、X線透視下でライトガイド5の先端部の位置を確認しつつ操作を行うことができる。
【0049】
超音波マーカーとしては、その構成材料として、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような金属材料を用い、表面に複数の微小な凹凸を設けたもの等が挙げられる。
【0050】
また、X線マーカーは、X線不透過材料、すなわちX線造影性を有する材料で構成されている。X線不透過材料としては、例えば、金、白金、タングステン等の貴金属、またはこれらを含む合金、例えば、白金−イリジウム合金等が挙げられる。
【0051】
また、ライトガイド5は、その先端のみから光を出射する構成のものに限定されず、例えば、先端部の側面の少なくとも一部と、先端とから光を出射するよう構成されていてもよい。この場合、例えば、ライトガイド5の先端部の側面全体から光を出射するように構成したり、また、その側面のうちの非連続な複数の箇所から光を出射するように構成することができる。
【0052】
これにより、撮像素子3により撮像される観察部位全体を明るく照明することができ、視野を広くすることができる。また、ライトガイド5の先端部に目盛りを設けることにより、撮像素子3によりその目盛りを撮像することができ、これによって、診断部の位置が把握し易くなる。
【0053】
ライトガイド5の先端部の側面から光を出射させる方法としては、例えば、ライトガイド5の先端部、すなわち、ライトガイド5を構成する光ファイバーの先端部の側面を研摩または研削したり、複数の微小な凹部を形成する。
【0054】
また、ライトガイド5の外部に露出する部位の外周面には、その外周面を覆う補強層51が設けられている。具体的には、補強層51は、ライトガイド5の先端部のうちの光を出射する部位を除く部位および基端部に設けられている。これにより、ライトガイド5の外部に露出する部位を補強することができ、ライトガイド5のキンクを防止することができる。
【0055】
補強層51としては、例えば、ライトガイド5の外周面に線材を螺旋状に巻回してなるコイル、ライトガイド5の外周面を被覆する被覆層等が挙げられる。
【0056】
補強層51をコイルで構成する場合は、そのコイルの構成材料は特に限定されないが、金属材料が好ましい。コイルを構成する金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、超弾性合金、コバルト系合金や、金、白金、タングステン等の貴金属、またはこれらを含む合金、例えば、白金−イリジウム合金等が挙げられる。そして、特に、コイルを貴金属のようなX線不透過材料で構成した場合には、そのコイルがX線マーカーとしても機能する。
【0057】
また、補強層51を被覆層で構成する場合は、その被覆層の構成材料は特に限定されないが、樹脂材料が好ましい。被覆層を構成する樹脂材料としては、例えば、ポリウレタン等が挙げられる。なお、被覆層をポリウレタンで構成する場合は、ライトガイド5の摩擦が低減され、摺動性が向上する。
【0058】
ここで、前記内視鏡本体2の先端部には、内視鏡本体2の側面に開口し、ライトガイド用ルーメン21の先端部に連通する側孔(孔部)22が形成されている。この側孔22は、撮像素子3よりも基端側に形成されている。
【0059】
これにより、内視鏡1は、ライトガイド5を内視鏡本体2の軸方向に移動させることにより、ライトガイド5の先端部が側孔22から突出した状態(以下、「突出状態」とも言う)(
図5〜
図7参照)と、内視鏡本体2内に収納された状態(以下、「収納状態」とも言う)(
図1および
図2参照)とを採り得る。
【0060】
内視鏡1を収納状態とすることにより、内視鏡本体2を円滑に移動させることができる。
【0061】
そして、内視鏡1を突出状態とすることにより、ライトガイド5の先端部から出射する光によって観察部位を照明することができる。また、状況に応じて、ライトガイド5を移動させ、その先端部を最適な位置に配置することにより、状況に応じた最適な照明を行うことができる。
【0062】
また、ライトガイド用ルーメン21の先端部は、中心軸Oに対して所定角度傾斜している。これにより、ライトガイド5の先端部を側孔22から円滑に突出させることができる。
【0063】
このライトガイド用ルーメン21の先端部の中心軸Oに対する傾斜角度θは、1〜45°程度であることが好ましく、1〜30°程度であることがより好ましい。これにより、ライトガイド5の先端部を側孔22から突出させるときのライトガイド5の移動量を比較的少なくしつつ、そのライトガイド5の先端部を側孔22から円滑に突出させることができる。
【0064】
また、内視鏡本体2のライトガイド用ルーメン21の内周面には、例えば、潤滑剤を塗布する等の摩擦低減処理を施してもよい。これにより、ライトガイド5を円滑に移動させることができる。
【0065】
また、ライトガイド5は、ライトガイド用ルーメン21を挿通し、そのライトガイド5の基端部は、コネクタ71に接続されている。
【0066】
コネクタ71は、制御・光源装置の対応するコネクタに着脱自在に接続される。制御・光源装置の光源から発せられた光は、ライトガイド5の基端から入射し、ライトガイド5により導光され、ライトガイド5の先端から出射し、所定の部位が照明される。照明光としては、特に限定されず、例えば、白色光、レーザ光等の単色光等が挙げられる。
【0067】
また、内視鏡本体2の基端部には、ライトガイド5を内視鏡本体2の軸方向に移動操作し、ライトガイド5をその軸回りに回動操作する操作手段として、操作部8が設置されている。
【0068】
操作部8は、本体部9と、本体部9に対して軸方向に移動可能に設置された移動部11とを有している。
【0069】
本体部9は、筒状をなしている。すなわち、本体部9には、その軸方向に延在し、先端および基端にそれぞれ開放する貫通孔93が形成されている。
【0070】
また、本体部9の先端部には、ストッパー91が設けられ、基端部には、ストッパー92が設けられている。
【0071】
また、ストッパー91には、サイドポート911が設けられており、そのサイドポート911の貫通孔912は、ストッパー91の先端に開放している。
【0072】
このストッパー91の先端部には、内視鏡本体2の基端部が固定されており、貫通孔912は、ライトガイド用ルーメン21に連通し、貫通孔93は、ケーブル用ルーメン23に連通している。
【0073】
ケーブル6は、貫通孔93を挿通し、ライトガイド5は、貫通孔912を挿通している。
【0074】
この本体部9のストッパー91に後述する移動部11の基台12が当接することにより、その移動部11の先端方向への移動が阻止され、また、ストッパー92に基台12が当接することにより、その移動部11の基端方向への移動が阻止される。すなわち、移動部11は、その基台12がストッパー91に当接した位置と、ストッパー92に当接した位置との間を移動することができる。
【0075】
移動部11は、本体部9に対して内視鏡本体2の軸方向に移動可能に設置された基台12と、基台12に対して、ライトガイド5の中心軸を中心に回動可能で、かつ着脱自在に設置された回動操作部材13と、回動操作部材13の先端部に着脱自在に設置されたキャップ14とを有している。
【0076】
基台12には、軸方向に延在し、先端および基端にそれぞれ開放する貫通孔121が形成されている。本体部9は、この貫通孔121を挿通している。また、基台12は、その先端部および基端部に、それぞれ、上方に向って突出した支持部122および123を有している。各支持部122および123には、それぞれ、溝124および125が形成されている。
【0077】
回動操作部材13は、筒状をなしている。すなわち、回動操作部材13には、その軸方向に延在し、先端および基端にそれぞれ開放する貫通孔137が形成されている。また、回動操作部材13は、その先端側から基端側に向って順次配置された大径部131、縮径部132、大径部133、縮径部134および大径部135を有している。
【0078】
この回動操作部材13の縮径部132および134は、それぞれ、基台12の溝124および125に挿入され、回動可能で、かつ着脱自在に支持されている。回動操作部材13が基台12に対して着脱自在であるので、回動操作部材13を基台12から取り外して操作することができ、操作性し易いという利点を有する。
【0079】
また、回動操作部材13の大径部133の外周面には、軸方向に延在する4つのリブ136が形成されている。各リブ136は、互いに平行に、等間隔で配置されている。回動操作部材13を手指で回動操作する際、各リブ136により、その手指が滑ることを防止することができる。したがって、各リブ136により、滑り止め手段が構成される。
【0080】
また、キャップ14の前記貫通孔137に対応する位置には、貫通孔141が形成されている。そして、ライトガイド5は、各貫通孔141、137を挿通している。
【0081】
なお、貫通孔137内に、例えば、シリコーンゴム等で構成された図示しないパッキンを設置してもよい。これにより、ライトガイド5のキンクを防止することができる。
【0082】
また、大径部131の基端部の外周面には、雄ネジ1311が形成されている。そして、大径部131の雄ネジ1311よりも先端側の部位の外周面は、その外径が先端方向に向って漸減するテーパ面1312を構成している。
【0083】
一方、キャップ14の基端部の内周面には、大径部131の雄ネジ1311と螺合する雌ネジ142が形成されている。そして、キャップ14の雌ネジ142よりも先端側の部位の内周面は、その内径が先端方向に向って漸減するテーパ面143を構成している。
【0084】
キャップ14を所定方向に回転させると、キャップ14が基端方向に移動し、そのテーパ面143より大径部131が径方向に圧縮され、大径部131の貫通孔137の内径が減少し、大径部131によりライトガイド5が保持される。これにより、ライトガイド5は、移動部11と一体的に軸方向に変位する。すなわち、移動部11を軸方向に移動させると、その移動部11とともにライトガイド5は、軸方向に移動する。また、回動操作部材13を軸回りに回動させると、その回動操作部材13とともにライトガイド5は、軸回りに回動する。
【0085】
また、キャップ14を前記と逆方向に回転させると、キャップ14が先端方向に移動し、そのテーパ面143よる大径部131の径方向への圧縮が解除され、大径部131が元の形状に復元し、その貫通孔137の内径が増大し、大径部131によるライトガイド5の保持が解除される。これにより、回動操作部材13に対してライトガイド5を軸方向に移動させることが可能になる。これによって、移動部11の移動のみでは、ライトガイド5の側孔22からの突出長さが不十分の場合に、ライトガイド5を側孔22からさらに突出させることができる。
このように、ライトガイド5は、回動操作部材13に着脱自在に連結される。
【0086】
以上説明した操作部8の移動部11を先端方向に移動させると、その移動部11とともにライトガイド5が先端方向に移動し、また、移動部11を基端方向に移動させると、その移動部11とともにライトガイド5が基端方向に移動する。
【0087】
また、
図1および
図2に示すように、その移動部11が、ストッパー92に当接している状態では、ライトガイド5の先端部は、ライトガイド用ルーメン21内、すなわち、内視鏡本体2内に収納されている。
【0088】
そして、
図5に示すように、移動部11を先端方向に移動させると、ライトガイド5は先端方向に移動し、ライトガイド5の先端部は、側孔22から外部に突出する。
【0089】
さらに移動部11を先端方向に移動させると、ライトガイド5はさらに先端方向に移動し、ライトガイド5の先端部は、側孔22からさらに外部に突出する。このライトガイド5の先端部の突出、すなわち、ライトガイド5の先端方向への移動は、
図6に示すように、移動部11がストッパー91に当接するまで行うことができる。
【0090】
ここで、この内視鏡1では、ライトガイド5の先端が撮像光学系4の先端よりも先端側に位置し得るように構成されている。そして、移動部11を軸方向に移動させることにより、ライトガイド5が軸方向に移動し、ライトガイド5の先端部の軸方向の位置を変更することができる。
【0091】
また、前述したように、ライトガイド5の先端部が湾曲または屈曲しており、
図7に示すように、回動操作部材13を軸回りに回動させることにより、ライトガイド5が軸回りに回動し、ライトガイド5の先端部の方向を変更することができる。
【0092】
これにより、例えば、ライトガイド5の先端部を観察部位に接近させる等、ライトガイド5の先端部を最適な位置に配置することができる。これによって、観察部位を確実に照明することができる。すなわち、撮像光学系4および撮像素子3の小型化やライトガイド5の細径化等により内視鏡本体2の細径化を図りつつ、観察部位を明るく照らすことができる。また、状況に応じた最適な照明を行うことができる。
【0093】
また、ライトガイド5の先端部を所望の方向に移動させることができるので、そのライトガイド5をガイドワイヤとして用いることもできる。すなわち、まずは、ライトガイド5を先端方向に移動させ、次に、内視鏡本体2をライトガイド5に沿って先端方向に移動させ、これを繰り返すことにより、内視鏡本体2をライトガイド5に沿って所望の位置に移動させることができる。
【0094】
なお、ライトガイド5の先端の撮像光学系4の先端よりも先端側への突出長の最大値は、特に限定されないが、0〜200mm程度の範囲内に設定されることが好ましく、0〜100mm程度の範囲内に設定されることがより好ましい。これにより、観察部位を確実に照明することができる。
【0095】
以上説明したように、この内視鏡1によれば、内視鏡本体2を細径化することができ、これにより、被検査者や患者への負担を軽減することができる。
【0096】
また、状況に応じて、ライトガイド5を移動させ、その先端部を最適な位置に配置することにより、状況に応じた最適な照明を行うことができる。また、ライトガイド5をガイドワイヤとして用いることもできる。
【0097】
なお、本発明では、移動操作手段に、ライトガイド5の側孔22からの突出長を規制する機能を設けてもよい。
【0098】
この構成例としては、操作部8の本体部9と基台12との一方に、内視鏡本体2の軸方向に沿って複数の凹凸を形成し、他方に、その凹凸の凹部に挿入される突起を形成する。これにより、移動部11は、本体部9に対し、内視鏡本体2の軸方向に位置決めされ、これによって、移動部11が不本意に移動してしまうことを防止することができる。また、移動部11を移動させる際は、突起が各凹凸の凸部を乗り越えながら移動部11が移動することにより、クリック感が得られる。
【0099】
したがって、前記複数の凹凸および突起により、移動部11を内視鏡本体2の軸方向に位置決めする手段であるクリック機構、すなわち、ライトガイド5の側孔22からの突出長を規制する手段の主要部が構成される。
【0100】
また、本発明では、本体部9等には、ライトガイド5の側孔22からの突出長や撮像光学系4の先端からの突出長を示す目盛りが設けられていてもよい。これにより、ライトガイド5の側孔22からの突出長や撮像光学系4の先端からの突出長を容易かつ確実に把握することができる。
【0101】
なお、本実施形態では、ライトガイド5の先端部は、外力が付与されていない自然状態で所定の形状に湾曲または屈曲しているが、これに限らず、例えば、直線状をなしていてもよい。
【0102】
また、ライトガイド5およびライトガイド用ルーメン21の数は、それぞれ、1つに限らず、2つ以上でもよい。
【0103】
なお、内視鏡1がライトガイド5を2つ以上有し、内視鏡本体2がライトガイド用ルーメン21を2つ以上有する場合、ライトガイド5が2つ以上設けられている場合は、各ライトガイド5が一体的に移動するように構成されていてもよく、また、各ライトガイド5が別々に移動するように構成されていてもよい。また、各ライトガイド5が一体的に回動するように構成されていてもよく、また、各ライトガイド5が別々に回動するように構成されていてもよい。
【0104】
また、内視鏡1がライトガイド5を2つ以上有し、内視鏡本体2がライトガイド用ルーメン21を2つ以上有する場合、各ライトガイド用ルーメン21は、内視鏡本体2の周方向に沿って等間隔に配置されていることが好ましい。なお、各ライトガイド用ルーメン21の配置は、等間隔でなくてもよいことは言うまでもない。
【0105】
また、本発明では、内視鏡本体2に、例えば、穿刺、薬液等の液体の投与・吸引、バイオプシー、縫合、クリッピング等を行うための他のルーメンを設けてもよい。この場合、そのルーメンの先端は、内視鏡本体2の撮像素子3よりも基端側の側面に開口する。これにより、内視鏡本体2を細径化することができる。
【0106】
また、ライトガイド用ルーメン21以外のルーメンのうちの所定のルーメンと、ライトガイド用ルーメン21とは、その先端部において合流していてもよい。
【0107】
<第2実施形態>
図8は、本発明の内視鏡の第2実施形態における先端部を示す断面図である。
【0108】
以下、第2実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0109】
図8に示す第2実施形態の内視鏡1では、撮像素子3および撮像光学系4は、内視鏡本体2の先端部に設置され、また、側孔22に代えて、孔部26が内視鏡本体2の先端面に形成されている。孔部26は、ライトガイド用ルーメン21の先端部に連通しており、この孔部26からライトガイド5の先端部が突出する。
【0110】
また、撮像素子3および撮像光学系4は、内視鏡本体2の軸方向から見たとき、内視鏡本体2の中心から偏心した位置に配置されている。そして、孔部26は、内視鏡本体2の軸方向から見たとき、撮像素子3および撮像光学系4の偏っている側と反対側に配置されている。これにより、内視鏡本体2の軸方向から見たとき、撮像素子3および撮像光学系4を内視鏡本体2の中心から偏心させない場合に比べて、内視鏡本体2の径を小さくすることができる。
【0111】
<第3実施形態>
図9は、本発明の内視鏡の第3実施形態における先端部を示す平面図、
図10は、
図9に示す内視鏡の接続チューブの基端部を示す斜視図、
図11は、
図9中のC−C線での内視鏡本体を示す断面図、
図12は、
図9中のD−D線での内視鏡本体を示す断面図、
図13は、
図9中のE−E線での内視鏡本体を示す断面図、
図14は、
図9中のE−E線での内視鏡本体、接続チューブ、ライトガイドおよび処置用チューブを示す断面図、
図15は、
図9に示す内視鏡の基端部を示す断面図である。
【0112】
以下、第3実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0113】
図9〜
図15に示す第3実施形態の内視鏡1は、さらに、接続チューブ15を有し、内視鏡本体2は、さらに、ライトガイド用ルーメン21以外の他のルーメンとしてチューブ用ルーメン(処置用ルーメン)27を有している。
【0114】
チューブ用ルーメン27は、ライトガイド用ルーメン21と同様に形成され、そのライトガイド用ルーメン21に対して並設されている。すなわち、チューブ用ルーメン27の先端部は、内視鏡本体2の先端部に位置し、基端は、内視鏡本体2の基端に開口している。また、チューブ用ルーメン27の先端部は、側孔22に連通している。また、チューブ用ルーメン27は、内視鏡本体2の中心軸Oから偏心している。また、チューブ用ルーメン27とライトガイド用ルーメン21とは、その側方において連通している。
【0115】
このチューブ用ルーメン27およびライトガイド用ルーメン21には、接続チューブ15が、内視鏡本体2の軸方向に移動可能に挿入されている。接続チューブ15の基端部は、操作部8のストッパー91のサイドポート911から突出しており、接続チューブ15の基端部を把持してその接続チューブ15を移動操作することができるようになっている。
【0116】
また、内視鏡1は、接続チューブ15を内視鏡本体2の軸方向に移動させることにより、接続チューブ15の先端部が側孔22から突出した状態と、内視鏡本体2内に収納された状態とを採り得るようになっている。そして、接続チューブ15の先端は、撮像光学系4の先端よりも先端側に位置し得るように構成されている。
【0117】
また、接続チューブ15は、ライトガイド用ルーメン21に対応した形状のライトガイド用ルーメン(第1の管腔)151と、チューブ用ルーメン27に対応した形状のチューブ用ルーメン(第2の管腔)152とを有している。また、ライトガイド用ルーメン151と、チューブ用ルーメン152とは、その側方において連通している。
【0118】
そして、この接続チューブ15のライトガイド用ルーメン151には、ライトガイド5が、内視鏡本体2の軸方向に移動可能で、ライトガイド5の中心軸を中心に回動可能に挿入されている。
【0119】
また、チューブ用ルーメン152には、処置用チューブ16が、内視鏡本体2の軸方向に移動可能に挿入されている。
【0120】
なお、処置用チューブ16は、接続チューブ15に対して内視鏡本体2の軸方向に移動し得ないようになっていてもよい。この具体例としては、処置用チューブ16に対して接続チューブ15を、例えば、接着剤により接着する方法や、融着する方法等が挙げられる。また、ライトガイド用ルーメン151と、チューブ用ルーメン152とは、その側方において連通していなくてもよい。
【0121】
この内視鏡1では、まず、ライトガイド5から出射した光により目的部位を照らしつつ、接続チューブ15の先端部を目的部位の近傍に配置する。そして、処置用チューブ16を先端方向に移動させ、その処置用チューブ16の先端部を目的部位にさらに接近させる。この際、接続チューブ15においてライトガイド用ルーメン151とチューブ用ルーメン152とが平行に形成されているので、確実に、ライトガイド5により目的部位を照らしつつ、各操作を行うことができる。
【0122】
以上、本発明の内視鏡を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0123】
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。