特許第5756640号(P5756640)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5756640外装シート付ワイヤーハーネスの組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756640
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】外装シート付ワイヤーハーネスの組立方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20150709BHJP
   H01B 13/012 20060101ALI20150709BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20150709BHJP
【FI】
   H02G3/04
   H01B13/00 513B
   !B60R16/02 620J
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-15723(P2011-15723)
(22)【出願日】2011年1月27日
(65)【公開番号】特開2012-157203(P2012-157203A)
(43)【公開日】2012年8月16日
【審査請求日】2013年12月18日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川口 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】角田 充規
【審査官】 月野 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−236713(JP,A)
【文献】 特開平11−008479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H01B 13/012
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネス及び該ワイヤーハーネスを側方より押圧する為の治具を共に自己粘着シートの粘着面上に配置する工程と、
前記自己粘着シートを二つ折り又は二枚重ねして前記ワイヤーハーネス及び前記治具を前記粘着面で挟持した状態に重ね合わせる工程と、
前記ワイヤーハーネスを側方より前記治具にて押圧して前記自己粘着シートの折り返し部又は二枚重ねした一端側に沿って整列させる工程と、
重ね合わせた前記自己粘着シート内から前記治具をワイヤーハーネスの軸線方向に沿って引き抜く工程と、
前記治具を引き抜いた箇所の前記自己粘着シートの粘着面同士を圧接する工程と、を含む外装シート付ワイヤーハーネスの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装シート付ワイヤーハーネスの組立方法及び該組立方法に用いる治具に関する。
【背景技術】
【0002】
被取付体である車両のボディやドアに取り付けられるワイヤーハーネスは、ワイヤーハーネスに取り付けられた複数のクランプを、ボディやドアに穿設されたクランプ取付穴に係止して取り付けられる。このワイヤーハーネスには、図6に示すように、結束された電線501の端末部や、分岐部503の端末部にコネクタ505が取り付けられ、必要に応じて、防水領域や、電線501による打音発生を防止する必要がある領域の所定箇所に、樹脂製のシート507が巻かれる(例えば特許文献1,2,3参照)。
【0003】
例えば特許文献1等に開示の外装シートのワイヤーハーネス取付方法は、図7(a)に示すように、布線用図板509に立設したY字形状の布線治具511の受部513に電線501を布線し、電線501の周囲に粘着テープ515を螺旋状に巻き付けてワイヤーハーネス517を形成する。ワイヤーハーネス517の外周面に、予め粘着剤519を塗布したシート507の一部を巻き付ける。この時、粘着剤519が対向するシート内面521に位置するようにシート507をワイヤーハーネス517に被せ、かつ、巻付終端523は、巻付始端525より下方へ垂れ下がった状態となるようにしている。この状態で、図7(b)に示すように、巻付始端525の粘着剤519を対向するシート内面521に接触させ、シワがよらないように伸ばしながら押し付けて、ワイヤーハーネス517を囲む円筒部527を形成する。次いで、シート507の外周面に不図示の半円筒形状治具を外嵌して、残りのシート507をワイヤーハーネス517の外周面に巻き付ける。これにより、シート507を隙間及びシワの発生なく、迅速に巻き付け可能としている。この他、シート507には、粘着剤を覆う剥離紙を剥がしてワイヤーハーネス517の指定位置にもっていき、貼り合わせるものもあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−8596号公報
【特許文献2】特開2007−149566号公報
【特許文献3】特開2004−274952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の粘着剤519を塗布したシート507は、ワイヤーハーネス517に外装させるための作業性に難があった。すなわち、粘着剤付きシート507は、不用意にワイヤーハーネス517や治具にくっつくと剥がす時間がかかったり、粘着剤がとれてワイヤーハーネス517側についてしまったりすることがあった。そのため、作業者は気遣いをしながら作業をしなければならず、時間がかかっていた。また、一度粘着面にワイヤーハーネス517がくっつくと剥がすことが困難なため、図8に示すように、電線501が蛇行したり、所定の位置につかなかったりすることもあった。これに対し、粘着剤519を塗布したシート507に換えてホットメルト等を用いることにより作業性は改善されるが、ホットメルト加工機等の特別な製造設備が必要になるという難点があった。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、ワイヤーハーネスの製造作業性を向上でき、自己粘着シートを用いることにより特別な製造設備を不用にして製造コストを低減できる外装シート付ワイヤーハーネスの組立方法及び該組立方法に用いる治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) ワイヤーハーネス及び該ワイヤーハーネスを側方より押圧する為の治具を共に自己粘着シートの粘着面上に配置する工程と、前記自己粘着シートを二つ折り又は二枚重ねして前記ワイヤーハーネス及び前記治具を前記粘着面で挟持した状態に重ね合わせる工程と、前記ワイヤーハーネスを側方より前記治具にて押圧して前記自己粘着シートの折り返し部又は二枚重ねした一端側に沿って整列させる工程と、重ね合わせた前記自己粘着シート内から前記治具をワイヤーハーネスの軸線方向に沿って引き抜く工程と、前記治具を引き抜いた箇所の前記自己粘着シートの粘着面同士を圧接する工程と、を含む外装シート付ワイヤーハーネスの組立方法。
【0008】
この外装シート付ワイヤーハーネスの組立方法によれば、自己粘着シートが粘着面を上にして下敷きにされ、その上にワイヤーハーネスと治具とが配置される。治具は、ワイヤーハーネスを位置決めのために自己粘着シートの折り返し部又は二枚重ねした一端側へ移動させる際の移動方向と反対側のワイヤーハーネス側面に配置しておく。自己粘着シートを二つ折り又は二枚重ねしてワイヤーハーネス及び治具を挟持した後、治具をワイヤーハーネスの軸線直交方向へ平行移動させてワイヤーハーネスを所定位置である折り返し部又は二枚重ねした一端側に整列させる。ワイヤーハーネスが位置決めされたなら、治具をワイヤーハーネスの軸線方向に沿って抜き取り、治具の抜き取られた後の空間における粘着面同士を、ワイヤーハーネスが動かないようにして圧接して貼り合わせる。これにより、ワイヤーハーネスが蛇行することなく、自己粘着シートの所定位置に高精度に固定される。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る外装シート付ワイヤーハーネスの組立方法によれば、簡単な治具と自己粘着シートを用いることにより手作業でワイヤーハーネスを自己粘着シートの所定位置に正確に固定できるとともにシートもずれることなく圧着できる。この結果、ワイヤーハーネスの製造作業性を向上でき、自己粘着シートを用いることにより特別な製造設備を不用にして製造コストを低減できる。
【0016】
本発明に係る外装シート付ワイヤーハーネスの組立方法に用いる治具によれば、自己粘着シートを用いてワイヤーハーネスを挟持するに際し、自己粘着シートの折り返し部又は二枚重ねした一端側に沿ってワイヤーハーネスを容易に且つ高精度に整列させることができ、しかも、自己粘着シートを本固定するときの抜去を容易にしてワイヤーハーネスの製造作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る外装シート付ワイヤーハーネスの組立方法を説明するため、自己粘着シート上に置かれた治具及び電線の平面図である。
図2】(a)は図1に示した治具の横断面図、(b)は(a)に示した治具の変形例を示す横断面図である。
図3】(a)は自己粘着シートを重ね合わせた状態の平面図、(b)はワイヤーハーネスを治具で押圧付勢した状態における(a)のB−B断面における断面図である。
図4】(a)は治具抜き取り途中の平面図、(b)は治具抜き取り後の平面図である。
図5】(a)は自己粘着シートが外装されたワイヤーハーネスの要部平面図、(b)は(a)のC−C断面における断面図である。
図6】従来のワイヤーハーネスの平面図である。
図7】(a)は従来の外装シート取付治具の斜視図、(b)は外装シート貼り合わせ時の斜視図である。
図8】粘着剤付きシートが固定された従来のワイヤーハーネスの要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る外装シート付ワイヤーハーネスの組立方法を説明するため、自己粘着シート上に置かれた治具及び電線の平面図である。
本実施の形態に係る外装シート付ワイヤーハーネス11の組立方法によれば、結束された電線13に自己粘着シートである片面自己粘着シート17が固定(外装)される。片面自己粘着シート17は、電線13の一部分に固定されるもの、電線13のほぼ全長に渡って固定されるもののいずれであってもよい。電線13の端部には不図示のコネクタが取り付けられていてもよい。また、本実施の形態に係る自己粘着シートは、両面が粘着面、又は片面が粘着面のいずれであってもよい。本実施の形態では、片面に粘着面が形成された片面自己粘着シート17を例に説明する。
【0019】
本実施の形態で用いられる片面自己粘着シート17は、図5(b)に示すように、自身の粘着面(裏面)同士を自己粘着によって貼り合わすことができる。つまり、糊や結束テープを不要にして粘着面(裏面)同士を合わせるだけで簡単に貼ることが可能となる。片面自己粘着シート17は、PP(ポリプロピレン)発泡材からなるシート基材15の表面に表面材16が積層され、裏面に特殊粘着剤層19が積層される。表面材16にはクラフト紙、ライナーボード、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PPフィルム、不織布等が使用可能となる。引張強さは、タテ方向が49N/cm幅、ヨコ方向が23N/cm幅(JIS K−6767準拠)、引裂強さは、タテ方向が7.8N、ヨコ方向が6.8N(JIS K−6767準拠)、水蒸気透過率は0.0052g/cm・24hrs(FS−101B)、初期粘着力は2.5N/cm幅(T型剥離試験)等の特性を有する。この片面自己粘着シート17としては例えば米国クロウェル社製のCro−nel(登録商標)等を用いることができる。
【0020】
本実施の形態において、片面自己粘着シート17は、一枚のものが使用される。片面自己粘着シート17は、外形状があらかじめ所定形状に成形される。なお、本発明に用いる自己粘着シートは、第1の自己粘着シート材と第2の自己粘着シート材からなる二枚のもので電線13を挟み、粘着面同士を貼り合わせても同様の作用・効果が得られる。
【0021】
本実施の形態に係る外装シート付ワイヤーハーネス11の組立方法では、上記した片面自己粘着シート17に加えて、押さえ治具(治具)21が主要な構成要件となる。押さえ治具21は、直線状に延在するワイヤーハーネス25の軸線方向に沿った棒状に形成される。この押さえ治具21の側面には、ワイヤーハーネスの側面を押圧付勢する為のハーネス押圧部29を備える。束状の電線13は、結束されてワイヤーハーネス25となっている。押さえ治具21は、片面自己粘着シート17に挟持された状態で直線状に延在するワイヤーハーネス25の軸線方向(図1の左右方向)に沿って移動され、重ね合わせた片面自己粘着シート17内から引き抜かれることになる。
【0022】
ワイヤーハーネス25を片面自己粘着シート17によって挟持する際、押さえ治具21は、ワイヤーハーネス25と共に、ワイヤーハーネス25の軸線方向に沿って挟み込まれる。押さえ治具21は、ワイヤーハーネス25を位置決めのために移動させる際の移動方向と反対側のワイヤーハーネス側面25aにハーネス押圧部29が沿うように配置される。ワイヤーハーネス25と共に側面が片面自己粘着シート17によって挟持される押さえ治具21は、片面自己粘着シート17の特殊粘着剤層19によっては接着されないので、ワイヤーハーネス25を軸線直交方向(図1の上方向)に押して平行移動させることが可能となる。また、ワイヤーハーネス25を所定の位置に移動させた後には、ワイヤーハーネス25の軸線方向に沿う方向に抜去が容易となる。
【0023】
本実施の形態では、押さえ治具21が二分割体27とされ、二分割体27を直線状に延在するワイヤーハーネス25の軸線方向に沿って両端側(左右方向)にそれぞれ引き抜いて重ね合わせた片面自己粘着シート17内から引き抜かれる。
【0024】
押さえ治具21が二分割体27となることで、位置決めしたワイヤーハーネス25の軸線方向(左右方向)に沿って重ね合わせた自己粘着シート17の両端側に分けて押さえ治具21を抜去でき、ワイヤーハーネス25との摺接距離及び摺接時間が短縮される。これにより、長尺一本ものの押さえ治具21に比べて、作業性を高めることができるとともに、片面自己粘着シート17に位置決めされた後のワイヤーハーネス25の位置ずれも生じ難くできる。
【0025】
図2(a)に示すように、押さえ治具21のハーネス押圧部29は、ワイヤーハーネス25の軸線直交方向の横断面形状が円弧状の凹曲面状に形成されている。そこで、ワイヤーハーネス25と共に片面自己粘着シート17によって挟持された押さえ治具21を、ワイヤーハーネス25の位置決めのために移動する際、ワイヤーハーネス25が凹曲面状となったハーネス押圧部29の内方に保持(ホールド)されるので、ワイヤーハーネス移動時の保持性が高まり、位置決め作業が容易となる。
【0026】
なお、図2(b)に示した変形例である押さえ治具21Aは、ハーネス押圧部31が平坦であってもよい。この場合、ワイヤーハーネス25の軸線直交方向の横断面形状が矩形状の平面状に形成される。このような押さえ治具21Aによれば、表裏面のいずれもハーネス押圧部31となるので使い勝手をよくすることができる。
【0027】
次に、外装シート付ワイヤーハーネス11の組立方法について説明する。
図1に示したように、外装シート付ワイヤーハーネス11を組み立てるには、先ず、ワイヤーハーネス25と、このワイヤーハーネス25を側方より押圧する為の押さえ治具21とを共に片面自己粘着シート17の上に配置する。より具体的には、特殊粘着剤層19を上側にした片面自己粘着シート17のほぼ中央付近(図1の破線33の位置)にワイヤーハーネス25を置く。その後、ワイヤーハーネス25の軸線方向に沿った手前側(図の下側)に押さえ治具21を置く。
【0028】
次に、図3(a)及び(b)に示すように、片面自己粘着シート17を二つ折りして、ワイヤーハーネス25及び押さえ治具21を挟持した状態に重ね合わせる。より具体的には、片面自己粘着シート17の中央付近よりも奥側(図1中上側)を手前に引き寄せながら押さえ治具21を一緒に手前側(図1中下側)の片面自己粘着シート17に被せて重ね合わされた特殊粘着剤層19に圧力f1,f2,f3,f4をかける。この状態では、片面自己粘着シート17は、上側の特殊粘着剤層19と、下側の特殊粘着剤層19とが圧接される(圧接することによって特殊粘着剤層19と特殊粘着剤層19とを接着する)ことになる。これにより、片面自己粘着シート17は、粘着面同士が接着される。
【0029】
なお、自己粘着シートが第1の自己粘着シート材と第2の自己粘着シート材からなる二枚の場合には、同形状の第1及び第2の自己粘着シート材の粘着面同士を対面して重ね合わせることになる。
【0030】
次いで、図3(b)に示すように、ワイヤーハーネス25を側方より押さえ治具21にて押して、片面自己粘着シート17の折り返し部に沿ってワイヤーハーネス25を整列させる。整列の後、図4に示すように、重ね合わせした片面自己粘着シート17内から押さえ治具21をワイヤーハーネス25の軸線方向に沿って引き抜く。この際、二分割体27を左右に抜きながら押さえ治具21があった場所に片面自己粘着シート17の重ね合わせ方向へ圧力をかけ、最終的に押さえ治具21を抜き取る。最後に、片面自己粘着シート17の特殊粘着剤層19同士の全てを圧着して、図5に示す外装シート付ワイヤーハーネス11の組立を完了する。
【0031】
なお、本実施の形態では、押さえ治具21が二分割体27からなり、左右に引き抜かれる場合を例に説明したが、押さえ治具21は、単一で片方へ抜くものであってもよい。この場合、治具数を少なくして治具管理を容易にすることができる。
【0032】
このように、本実施形態に係る外装シート付ワイヤーハーネス11の組立方法では、片面自己粘着シート17が特殊粘着剤層19を上側にして下敷きにされ、その上にワイヤーハーネス25と押さえ治具21とが配置される。押さえ治具21は、ワイヤーハーネス25を位置決めのために移動させる際の移動方向と反対側のワイヤーハーネス側面25aにハーネス押圧部29が沿うように配置される。片面自己粘着シート17を二つ折りしてワイヤーハーネス25及び押さえ治具21を挟持した後、押さえ治具21をワイヤーハーネス25の軸線直交方向へ平行移動させて、ワイヤーハーネス25を所定位置である折り返し部に沿って整列させる。ワイヤーハーネス25が位置決めされたなら、押さえ治具21をワイヤーハーネス25の軸線方向に沿って抜き取り、押さえ治具21の抜き取られた後の空間における特殊粘着剤層19同士を、ワイヤーハーネス25が動かないようにして圧接して貼り合わせる。これにより、ワイヤーハーネス25が蛇行することなく、自己粘着シート17の所定位置に高精度に固定されることになる。
【0033】
したがって、本実施の形態に係る外装シート付ワイヤーハーネス11の組立方法によれば、簡単な押さえ治具21と片面自己粘着シート17を用いることにより手作業でワイヤーハーネス25を片面自己粘着シート17の所定位置に正確に固定できるとともに片面自己粘着シート17もずれることなく圧着できる。この結果、ワイヤーハーネス25の製造作業性を向上でき、特別な製造設備を不用にして製造コストを低減できる。また、片面自己粘着シート17を用いることにより剥離紙が不要になり、環境にも貢献できる。
【0034】
本実施の形態に係る外装シート付ワイヤーハーネス11の組立方法に用いる押さえ治具21によれば、片面自己粘着シート17を用いてワイヤーハーネス25を挟持するに際し、片面自己粘着シート17の折り返し部に沿ってワイヤーハーネス25を容易に且つ高精度に整列させることができ、しかも、片面自己粘着シート17を本固定するときの抜去を容易にしてワイヤーハーネス25の製造作業性を向上させることができる。
【0035】
尚、本発明の外装シート付ワイヤーハーネスの組立方法に係るワイヤーハーネス、治具及び自己粘着シート等の構成部材は、上記実施の形態の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の形態を採りうる。
例えば、上記実施の形態ではシート基材15の片面に特殊粘着剤層19が積層された片面自己粘着シート17を用いたが、シート基材15の両面に特殊粘着剤層19を積層した両面自己粘着シートを用いることもできる。この場合、図5に示したように重ね合わせた際に垂れ下がる両面自己粘着シートの自由端部をワイヤーハーネス25の回りに巻き付かせることができ、外装シート付ワイヤーハーネスをコンパクトにできる。
【符号の説明】
【0036】
11 外装シート付ワイヤーハーネス
17 片面自己粘着シート(自己粘着シート)
21 押さえ治具(治具)
25 ワイヤーハーネス
27 二分割体
29 ハーネス押圧部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8