特許第5756648号(P5756648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756648
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】メータ装置の照明構造
(51)【国際特許分類】
   G01D 11/28 20060101AFI20150709BHJP
   G01D 13/22 20060101ALI20150709BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   G01D11/28 P
   G01D13/22 101
   B60K35/00 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-31187(P2011-31187)
(22)【出願日】2011年2月16日
(65)【公開番号】特開2012-168126(P2012-168126A)
(43)【公開日】2012年9月6日
【審査請求日】2014年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】佐野 将晃
【審査官】 濱本 禎広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−116391(JP,A)
【文献】 特開平08−136292(JP,A)
【文献】 特開2004−125413(JP,A)
【文献】 特開2002−243508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 11/00−13/28
G12B 1/00−21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータケースに収容されたモータと、
前記モータからの回転力が伝達されて回転する回転軸と、
前記回転軸の先端部が挿通されて一体に組付けられる筒穴を有する連結部が設けられているとともに、回転軸と一体に回転する指針と、
前記回転軸の基端部へ入射される照明光を出射する光源と、
前記回転軸内を導光される光源からの照明光が指針を透過して漏光するのを遮断する、前記指針の回動中心に被せられるキャップと、
を備え、
前記指針が、回転しながら各種情報を指示するのと同時に発光するメータ装置の照明構造であって、
前記キャップは、前記指針の回転中心に設けた孔に挿入する錐状の突起からなる反射部を有し、前記回転軸の先端部から出射し前記連結部を介して指針に向かう照明光を、前記反射部で反射させて光路を偏向するように構成され、
前記反射部は、前記指針に形成された孔に挿入された、
ことを特徴とするメータ装置の照明構造。
【請求項2】
モータケースに収容されたモータと、
前記モータからの回転力が伝達されて回転する回転軸と、
前記回転軸の先端部が挿通される筒穴が形成された、導光性を有する中間軸と、
前記中間軸の端部が回転中心に嵌合されて固定されているとともに、前記中間軸を介し前記回転軸と一体に回転する指針と、
前記回転軸の基端部へ入射される照明光を出射する光源と、
前記回転軸内を導光される光源からの照明光が指針を透過して漏光するのを遮断する、前記指針の回動中心に被せられるキャップと、
を備え、
前記指針が、前記筒穴に前記回転軸の先端部が挿通された前記中間軸と前記キャップとの間に挟持され回動しながら、各種情報を指示するのと同時に発光するメータ装置の照明構造であって、
前記キャップは、前記指針の回動中心に設けた孔に挿入する錐状の突起からなる反射部を有し、前記回転軸の先端部から出射し前記指針に向かう照明光を前記反射部で反射させて光路を偏向するように構成され、
前記反射部は、前記指針に形成された孔に挿入された、
ことを特徴とするメータ装置の照明構造。
【請求項3】
前記指針は、厚さ方向の断面形状が視認者へ向けて拡開する本体部を有するとともに、前記本体部の視認者に対面する表面を除く外周面に、前記本体部に入り込んだ前記照明光が前記表面以外の外周面で反射もしくは散乱する反射部を有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のメータ装置の照明構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等に搭載されるメータ装置に係り、指針自体を間接発光させることができるようにした、メータ装置の照明構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載されるこの種のメータ装置においては、一般に、文字、数字、及び目盛り等が設けられた文字板を裏面側から専用の光源などで照明したり、文字板の文字や数字などを指し示す指針を照明しているのが一般的である。
【0003】
このようなメータ装置には各種のものが開発されているが、その一つとして、指針の発光効率を高めるように構成した、自発光タイプのものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このメータ装置は、図6に示すように、モータケース101と、モータケース101の本体に設けたベアリングとして使用される突出部101Aを介して案内される指針102と、指針102の基部に一体に設けた指針軸103の下端部103Aから距離Hだけ離れて中空シャフト104の直下に配置される、光源105と、光源105が実装されるプリント基板106と、を有するものである。
【0005】
このメータ装置では、指針102の指針軸103は、LEDからなる光源105が発する照明光を集めるのに都合よくするため、凸状に形成された集光面を下端部103Aに有する。また、指針102は、指針軸103が円筒形状でありその下端部103Aは好適には半球形または凸状をなす。そのような特定の形状によれば、LEDからなる光源105による光の放射が指針軸103に入射後、その軸と平行になるようにすることができる。なお、このメータ装置では、図示しない複数の専用光源を図示外の文字板の下方に配置することで文字板照明を行っている。
【0006】
ところで、指針102は、光源105から指針軸103を導光されてくる照明光を効果的に先端部まで送り込んで照明させるようにしている。このため、指針102には、これと一体に設けている指針軸103を導光されてくる照明光を、反射させほぼ直角方向に偏向させるために反射面103Bが形成されている。さらに、指針102には、指針102まで導光されてきた照明光の一部が、基部から上方にそのまま直進して漏れ出し視認者の目に眩しく入り込む、といったトラブルを回避させるため、不透光性を有する遮光用のキャップ107を被せている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2009−537844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、メータ装置では、上記のような自発光タイプの指針を備えた構成のものが一般的である。ところが、このような自発光タイプの照明とは別に、これまでにはない独特の見映えや、高級感、或いは斬新感などをもたらすことで、照明の多様性などを実現できるようにした照明構造の開発が望まれている。例えば、輝度を落とし視認者の目に対して優しく発光することで、従来の自発光タイプの照明とは差別化を図るようにし、しかも高級感を照明で演出させることができるようにした、間接発光タイプの照明構造の開発要求が高まっている。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、コストをできるだけ抑えながら、指針を間接発光させることができるようにした、メータ装置の照明構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明に係るメータ装置の照明構造は、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) モータケースに収容されたモータと、
前記モータからの回転力が伝達されて回転する回転軸と、
前記回転軸の先端部が挿通されて一体に組付けられる筒穴を有する連結部が設けられているとともに、回転軸と一体に回転する指針と、
前記回転軸の基端部へ入射される照明光を出射する光源と、
前記回転軸内を導光される光源からの照明光が指針を透過して漏光するのを遮断する、前記指針の回動中心に被せられるキャップと、
を備え、
前記指針が、回転しながら各種情報を指示するのと同時に発光するメータ装置の照明構造であって、
前記キャップは、前記指針の回転中心に設けた孔に挿入する錐状の突起からなる反射部を有し、前記回転軸の先端部から出射し前記連結部を介して指針に向かう照明光を、前記反射部で反射させて光路を偏向するように構成され、
前記反射部は、前記指針に形成された孔に挿入された、
こと。
(2) モータケースに収容されたモータと、
前記モータからの回転力が伝達されて回転する回転軸と、
前記回転軸の先端部が挿通される筒穴が形成された、導光性を有する中間軸と、
前記中間軸の端部が回転中心に嵌合されて固定されているとともに、前記中間軸を介し前記回転軸と一体に回転する指針と、
前記回転軸の基端部へ入射される照明光を出射する光源と、
前記回転軸内を導光される光源からの照明光が指針を透過して漏光するのを遮断する、前記指針の回動中心に被せられるキャップと、
を備え、
前記指針が、前記筒穴に前記回転軸の先端部が挿通された前記中間軸と前記キャップとの間に挟持され回動しながら、各種情報を指示するのと同時に発光するメータ装置の照明構造であって、
前記キャップは、前記指針の回動中心に設けた孔に挿入する錐状の突起からなる反射部を有し、前記回転軸の先端部から出射し前記指針に向かう照明光を前記反射部で反射させて光路を偏向するように構成され、
前記反射部は、前記指針に形成された孔に挿入された、
こと。
(3) 上記(1)または(2)の構成のメータ装置の照明構造であって、
前記指針は、厚さ方向の断面形状が視認者へ向けて拡開する本体部を有するとともに、前記本体部の視認者に対面する表面を除く外周面に、前記本体部に入り込んだ前記照明光が前記表面以外の外周面で反射もしくは散乱する反射部を有する、
こと。
【0011】
上記(1)の構成のメータ装置の照明構造によれば、不透過性もしくは半透過性を有し、回転軸と一体に回転する指針を有するとともに、キャップには指針の回転中心に設けた孔に挿入する錐状の突起からなる反射部を一体に設けてある。これにより、指針を間接発光させるタイプのものが実現できるのと同時に、コストを効果的に抑えることができる。
上記(2)の構成のメータ装置の照明構造によれば、上記(1)と同様、キャップと一体とした反射部を設けてある。従って、同様に、指針を間接発光させるタイプであって、コストを効果的に抑えることもできるようになる。
上記(3)の構成のメータ装置の照明構造によれば、輝度が抑えられた間接照明光であっても、指針の本体部及び反射部は断面形状が拡開するように形成されている。従って、本体部の表面を出射する間接光は、視認者の目に向けて拡散する方向に進行させることができるので、照度を下げることができる。その結果、目に対する刺激を効果的に抑えることができる。また、本体部を進行する間接照明光が指針の反射部で反射されることで、表面から外部に漏出する間接光を増大させることができるようになるので、間接照明効果が高まる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のメータ装置の照明構造によれば、キャップには、指針の回転中心に設けた孔に挿入する錐状の突起からなる反射部を有している。これにより、回転軸の先端部から出射し連結部を介して指針に向かう照明光は、キャップの反射部で反射して光路を偏向し指針内部へ進行するようになっている。また、指針は、不透過性もしくは半透過性を有することによって、間接発光させることができるようになる。しかも、キャップと反射部とは一体に構成してあるので、間接発光タイプを実現できるだけでなく、製造コストを抑えることも可能となる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るメータ装置の照明構造が適用されたメータ装置を示す断面図である。
図2】本発明に係るメータ装置の照明構造が適用されたメータ装置の要部分解斜視図である。
図3】本発明に係るメータ装置の照明構造が適用されたメータ装置の要部断面図である。
図4図1のメータ装置におけるIV−IV線の矢視断面図である。
図5図1のメータ装置の変形例を示す分解斜視図である。
図6】従来の自発光タイプの指針を有するメータ装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係るメータ装置の照明構造が適用されたメータ装置1を示すものである。メータ装置1は、図示外の基板の上に実装された光源2と、モータケース3に収められた図示外のモータの駆動力が伝達されて回転する回転軸4と、回転軸4の先端部に嵌合する連結部5を一体に備える指針6と、指針6の基部に被せたキャップ7と、光源2が搭載された領域を含む基板上の所定の場所に取付けられた図示外のケースと、ケースの上部に設置され、数字、文字、記号など、車自体或いは車周辺の環境などに関する必要情報を指針6によって表示する図示外の文字板と、を有する。
【0016】
本実施形態のメータ装置1は、コンビネーションメータの一部を構成しており、図示外の見返し板で周囲を覆われている。また、この見返し板には、メータ装置1を含む各種計器類を設置するための各種表示窓を開口させており、側面及び背面側を構成するコンビネーションメータケースと一体化されている。
【0017】
なお、本実施形態のメータ装置1は、速度計を構成しており、図示しないセンサによって検出された速度に対応したセンサ信号に基づき、指針6を所定角度だけ回動させ、図示外の文字板に形成された特定の目盛を指し示す。
【0018】
本実施形態の光源2は、回転軸4の下端部へ向けて光(以下、「照明光」とよぶ)を入射させるものであり、所定波長(λ)の可視光を出射する例えばLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)で構成されている。この光源2では、出射する照明光に、位相角度の方向依存性のない、均一な出射特性のものが使用されている。即ち、本実施形態の光源2では、水平面(X−Y平面)方向に関しては360度全周に亘り、略均一な光量を回転軸4へ出射する光量分布特性を有する。なお、本実施形態の光源2としては、特にこのLEDに限定されるものではないが、消費電力が少なく小型の点光源であるものが好ましい。
【0019】
モータケース3には、内部に、いずれも図示外の、モータ、中間ギア、出力ギアのほかに、回転軸4、を備えている。モータは、指針6を回動させるためのものであり、中間ギア及び出力ギアを介して減速させて回転軸4を回動させることにより、文字板の表面に沿って指針6を確実に回動させ、必要な各種情報を正確に指し示すようになっている。
【0020】
回転軸4は、上述したように、モータからの駆動力が伝達されて回転するものであって、透光材料で形成された中実で略円筒形状を有するもので構成されている。回転軸4は、図2及び図3に示すように、先端部である上端部側が、指針6と一体の連結部5の筒穴5Aに嵌合された状態で挿入されている。連結部5を一体に設けた指針6は、連結部5の筒穴5Aに回転軸4が嵌合されることによって回転軸4に固定される。なお、回転軸4は、図示しない文字板の裏面側、図1では下面側に設置されている。また、回転軸4は、基端部である下端部がモータケース3に設けた軸受け3Aに回転自在に軸支されているとともに、この下端部側の端面である下端面に光源2が正対している。
【0021】
回転軸4の下端面は、光源2の直上に位置するように設けられており、光源2からの照明光が入射すると、その照明光は回転軸4の内部を案内されて上端部へ伝搬していく。このため、回転軸4では、この内部の、外周面における外界(空気)との界面部分において、上述の照明光の大部分が全反射しながら上端部まで進行するように構成している。この場合、回転軸4の外周面における外界との界面部分での全反射現象を効率的に発生させるために、その外周面に対して入射角度が、照明光の固有波長に対応した所要の臨界角を常時上回るような方向で入射させるように工夫されている。即ち、本実施形態では、回転軸4の下端面は中心部(軸線L)から周縁部に向けて断面円弧状に形成している。
【0022】
連結部5は、光透過性の良好な材料で形成されており、軸線Lが通過する指針6の回転中心である基部から下方へ一体に延設されているとともに、下端面に円柱状に開口した前述の筒穴5A(図3参照)を有している。そして、この筒穴5Aに回転軸4の先端部が挿通された状態で嵌合されている。このように、連結部5は、モータの回転駆動力で回転する回転軸4と一体に組付けられており、回転軸4と一体となって回転する。この連結部5の下端に開口した筒穴5Aの底に相当する天井面5Bは、図3に示すように、回転軸4を透過してきた照明光が外側へ漏れ出るのをできるだけ回避させるため、水平(X−Y)方向に平行でフラットな形状を呈している。また、本実施形態の連結部5の天井面5Bとは反対面である上面5C部分も、同様にフラットな形状を呈している。
【0023】
指針6は、連結部5を介し回転軸4と一体になって文字板の表面に沿って回動することで、文字板に設けてある数字或いは目盛を指示するものである。本発明の指針6は、上述したように、視認者の目に直接入射して刺激するのをできるだけ抑えるのと同時に、独特な見映えや、高級感、或いは斬新感などを演出できるような照明構造となっている。即ち、従来の自発光タイプではなく、指針に対してこれまでなかった間接発光を行うようになっているわけである。
【0024】
指針6には、不透過性もしくは半透過性を有する適宜の材料で形成されている本体部61を有している。即ち、この指針6の本体部61には、ここに入射する照明光の多くが吸収され若しくは減衰されることで間接発光を実現させることができるとともに、屈折して指針6を透過後に視認者の目に高輝度で直接差し込むのを回避させるようになっている。なお、指針6と一体の連結部5については良好な導光性を有するものである。このため、図3に示すように、指針6の回転中心となる基部の下面6Aと連結部5の天井面5Bとは、光透過性の良好な適宜の接着材料で一体に固着させてある。これにより、光学特性の異なる指針6の本体部61と連結部5との一体化を実現させている。
【0025】
また、指針6の本体部61には、指針6の下面6Aと上面6Bとの間において、特に回転中心部近傍において、厚さ(Z)方向に貫通するようにして孔6Cが穿設されている。さらに、この指針6の本体部61は、視認者が視認する上面6Bである表面に向けてできるだけ多くの間接照明光を出射させて発光できるようにするため、図4に示すように、断面が等脚逆台形形状に形成されている。
【0026】
しかも、本実施形態の指針6の本体部61には、必須ではないが、進行する照明光が吸収若しくは減衰しながら進行しつつもその一部が、上面6Bである表面を除く3面に達すると、そこで効果的に反射することで、できるだけ多くの間接照明光が表面から漏光して発光できるようにしている。このため、反射部62を3面に設けてある。この反射部62は、通常の金属材料、例えばAlやAgなどを蒸着したもの、塗装またはメッキしたもの、誘電体多層膜を蒸着させたもの、予め所定の遮光材料で形成したもの、あるいはホットスタンプを施すなどによって形成してもよい。
【0027】
なお、この反射部62を設ける場合には、本体部61の下面6Aの基部の回転中心となる部分では、連結部5と本体部61との有効な光学結合を図るために、連結部5を導光されてきた照明光が反射部62で反射されるのを回避させる必要がある。そこで、図3に示すように、照明光が進行する光路部分には透孔62Aを設けてある。
【0028】
キャップ7は、回転軸4内を導光される光源2からの照明光が指針6をそのまま透過して外部へ漏光するのを回避させるようにするため、遮光性を有する適宜の材料で形成される。また、このキャップ7は、指針6の回転中心、つまり孔6Cの中心を通過する軸線Lに合わせ、その上部に被せられる。
【0029】
キャップ7は、指針6上に被せることで、円錐状の突起からなる反射部71を指針6の回転中心である前述の孔6Cに挿入させるようになっている。このキャップ7の反射部71は、回転軸4の先端部から出射し指針6に向かう照明光をこの反射部で反射させて光路をほぼ90度偏向させる。この反射部の形状としては、指針6の本体部61に向けて下面側から上面側に向けて進行する照明光を効果的に反射させることができればよい。従って、本実施形態のような略円錐形状以外に、指針6の下面6Aに向けて尖状に突出する略角錐形状であってよい。例えば四角錐でもそれ以外の多角錐であってもよい。
【0030】
次に、本実施形態に係るメータ装置1の作用について、図面を参照しながら説明する。
なお、ここでのメータ装置1の説明については、各計器類のうちスピードメータを例に挙げてその作用を説明するが、特にこれに限定されるものではなく、他のアナログタイプのメータ装置などの場合でも同様である。
【0031】
メータ装置1を搭載した車両が動き始めると、モータケース3の内部に設けたモータが、図示しない速度センサによって速度検出され現在速度に応じて出力されるセンサ信号に基づき、回転駆動を開始する。これにより、指針6を所定角度だけ回動し、文字板に形成された特定の目盛又は数字を指示する。
【0032】
即ち、図示外のモータによる駆動力で、回転軸4が速度に合わせた角速度で回転する。これによって、回転軸4の上端部に一体に嵌合された回転軸4を介してこれと一体の指針6が回動され、指針6の先で文字板上の特定の目盛又は数字を指し示す。これによって、現在速度を運転者などにアナログ表示させて知らせることができる。
【0033】
このような速度表示を行うメータ装置1にあっては、同時に、光源2から出射した照明光が回転軸4の内部の、外周面における外界との界面で全反射を起こしながら上方へ進行する伝搬現象を繰り返す。そして、この照明光が、回転軸4の上端部に達すると、連結部5を介して導光され、その上方の指針6の孔6Cに進行する。孔6Cに進行する照明光は、この孔6Cに挿入された円錐形状の反射部71の表面で反射される。進行光路をほぼ90度偏向された照明光は、この大部分が、指針6の本体部61に入射して次第に吸収若しくは減衰されながら本体部61の先端まで進行し、発光照明する。これによって、指針6が間接発光を行うことができる。
【0034】
従って本実施形態によれば、指針6中の照明光の一部は、本体部61を進行する途中で反射部62が形成された3面での反射を行うことで、本体部61の上面6Bである表面から輝度が減衰された状態で外部へ出射していく。そのため、指針6を視認する運転者などは、輝度が高く目に刺激の強い照明光が差し込まなくて済み、目への疲労などが抑えられる。なお、この反射部62の本体部61と接する内面側に、微細な凹凸加工をさらに施すことで、本体部61の上面6Bである表面から出射する間接照明光の輝度をさらに低下させることもできる。しかもこれによって、視認者の目に直接入射して刺激するのをできるだけ抑止できるのと同時に、独特な見映えや、高級感、或いは斬新感などをもたらす照明演出を一層高めることも可能である。
【0035】
また、本実施形態によれば、キャップ7の裏面の一部に、円錐形状の反射部71を設けるシンプルな構成のもので、指針6が間接発光しながら速度に応じて回動して各種情報を指示するメータ装置の照明構造を実現できる。これにより、キャップと別体で反射部材を形成して指針の一部に組付ける構造のものに比べ、組付け作業の手間が省ける。
【0036】
特に、本実施形態によれば、指針6の本体部61の断面形状を視認者に向かう上面である表面が反対側の下面に対し拡開する略等脚逆台形形状を呈する。このため、視認者に向けて間接照明光を拡散させることができ、目への刺激を一層減殺させた間接発光を行うことができる。さらに、指針6の本体部61の上面を除く3面に反射部62を設けることで、輝度の低下した間接照明光を視認者に向けて出射させることもできる。従って、間接光としての輝度や照度を落とした状態のまま、メータ装置1の指針周囲を照明できる。これにより、間接光としての照明効果を一層高めることも可能となる。即ち、視認者の目に直接入射して刺激を与えるのをできるだけ抑えるのと同時に、独特な見映えや、高級感、或いは斬新感などをさらに高めるような、従来の自発光タイプの照明とは差別化が図られた新しいタイプの照明が実現できるようになる。
【0037】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得るものである。即ち、本実施形態では、キャップ7と筒穴5Aを設けた連結部5とは、透光性が異なる。そのため、あらかじめ別体で形成してその後これらを一体に固着させてあるが、例えば図5に示すように、キャップ7と筒穴8Aを設けた中間軸8とを、指針6の上下面を貫通する孔6Cにそれぞれ嵌合させることで、指針6を挟持させるように構成してもよい。
【0038】
また、上述の実施形態では、指針6が不透過性もしくは半透過性を有する適宜の材料で形成されている本体部61と、この本体部61の上面部分を除く残り3面部分が反射部62で構成されている。しかしながら、本発明では、効果的な間接照明が実現できるようであれば、指針は本体部のみで構成されてあっても構わない。
一方、本発明では、本体部がなく反射部のみだけで構成しても勿論構わないが、その場合には、本体部のような十分な厚さがないので、効果的に照明光を吸収または減衰させることが現実には難しい。従って、自発光を避けるために、薄肉の反射部のみであっても、照明光の輝度を抑制して間接照明を実現できるようにすることが必要になる。このためには、薄肉であっても相当程度の半透過性を有する適宜の有効な材料を選択するか、効果的な減衰加工を施して構成することが好ましい。なお、一般に薄肉形状の板状部材は外見が廉価に見られる傾向があり高級感を演出するのが難しいので、反射部のみで構成する場合には、その点を考慮して材質などを十分に選出することが重要である。
【0039】
また、本実施形態のメータ装置の照明構造では速度計を構成しているが、これに限定されるものではなく、燃料計部、タコメータ部、及び水温計等の各種計器類に適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 メータ装置
2 光源
3 モータケース
4、8 回転軸
5 連結部
5A、8A 筒穴
5B 天井面
6 指針
6A 下面
6B 上面(表面)
6C 孔
61 本体部
62 反射部
62A 透孔
7 キャップ
71 反射部
8 中間軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6