特許第5756656号(P5756656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756656
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20150709BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-48331(P2011-48331)
(22)【出願日】2011年3月4日
(65)【公開番号】特開2012-186920(P2012-186920A)
(43)【公開日】2012年9月27日
【審査請求日】2014年2月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100108589
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 利光
(72)【発明者】
【氏名】神保 朝樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義直
(72)【発明者】
【氏名】井上 太郎
(72)【発明者】
【氏名】曽 艮富
【審査官】 安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−166419(JP,U)
【文献】 特開平02−207466(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/030732(WO,A1)
【文献】 特開2006−081373(JP,A)
【文献】 特開2005−347059(JP,A)
【文献】 特表2010−508646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02K 5/22
H01R 4/00
H01R 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に突出する第1の接続部と、前記第1の方向と反対かつ異なる軸位置に突出する第2の接続部と、前記第1の接続部と前記第2の接続部に対して各々直角を成すと共に前記第1の接続部と前記第2の接続部を連結する連結部を備えた複数のバスバーと、前記複数のバスバーを収容するハウジングと、前記収容溝を覆うカバーと、を備えたコネクタであって、
前記ハウジングは、前記複数のバスバーの前記連結部のみを収容する収容溝と、前記第1の接続部と前記第2の接続部のいずれか一方が収容されるスペースを備え
前記収容溝は前記ハウジングの対向する両側に形成されており、
前記複数のバスバーは前記ハウジング内の前記収容溝に沿って互いに立体的に交差して前記複数のバスバーの前記第1の接続部の並び順と前記複数のバスバーの前記第2の接続部の並び順が異なっていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
1つのインバータで2つの三相負荷を駆動するため前記インバータに直付けされるコネクタであって、6本の平坦で長尺状のバスバーと前記6本のバスバーを収容する幅狭で長尺状のスペースを有するハウジングと、前記薄型長尺状ハウジングの上部を塞ぐアッパーカバーと、前記薄型長尺状ハウジングの下部を塞ぐアンダーカバーとを備えたインバータ直付けコネクタにおいて、
前記各バスバーは、第1のバスバー端子と、前記第1のバスバー端子とは反対方向に延出する第2のバスバー端子と、前記第1のバスバー端子と前記第2のバスバー端子とを繋げる連結バスバーとを備えて成り、かつ前記連結バスバーは前記第1のバスバー端子から90度曲折して所定長さの後同一平面上で90度向きを変えて延出する直線部を備え、前記直線部の端部から前記同一平面上で前回とは逆向きに90度向きを変えて所定長さの後 前回とは逆向きに曲折して前記第2のバスバー端子に繋がる形状をし、
前記幅狭で長尺状のスペースは前記ハウジング内に3か所あり、そのうち2か所は長尺方向に直角な断面内で互いに間隔をあけて平行に配置され、残りの1か所は前記2個のスペースの1個と同一平面上で下方に配置され、
前記各スペースに前記各連結バスバーを幅方向にクリアランスを持って収容することで、前記第1のバスバー端子および前記第2のバスバー端子のいずれも前記薄型長尺状ハウジング内で上下方向に移動できるようにしたことを特徴とするインバータ直付けコネクタ。
【請求項3】
前記6本のバスバーのうちU相とW相のバスバーの前記直線部を前記平行に配置された前記2つのスペースに収容し、V相のバスバーの前記直線部を前記3つめのスペースに収容したことを特徴とする請求項2記載のインバータ直付けコネクタ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関するもので、特に電気自動車の2台の三相交流モータを1台のインバータで駆動するためのインバータ直付けコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
1台のインバータで2台のモータを駆動するインバータ直付けコネクタは従来より知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
〈直付けコネクタの役割〉
図8は直付けコネクタの役割を説明する図で、図8(A)はコネクタ回りの回路図、図8(B)はコネクタ構造を示す斜視図である。
図8(A)および(B)において、バッテリBaの直流電圧はプラス線Pとマイナス線Nを介してインバータケース100内のインバータINVに給電され、インバータINVでは直流電圧はU相・V相・W相の三相交流電圧に変換される。インバータINVで3相に変換されたU相電圧・V相電圧・W相電圧は各バスバーU端子、V端子、W端子にそれぞれ出力される。各バスバーU端子、V端子、W端子はモータM01とモータM02にそれぞれU相電圧・V相電圧・W相電圧を供給するために、それぞれ2つのバスバー端子に(バスバーU端子はバスバーU1端子とU2端子に、バスバーV端子はバスバーV1端子とV2端子に、バスバーW端子はバスバーW1端子とW2端子に)分岐しており、インバータケース100のバスバーU1端子とU2端子からU相電圧が、バスバーV1端子とV2端子からV相電圧が、バスバーW1端子とW2端子からW相電圧がそれぞれ出力される。インバータケース100に直付けされた直付けコネクタ200では、インバータケース100からのバスバーU1端子とU2端子、V1端子とV2端子、バスバーW1端子とW2端子を2つのバスバー端子グループ1(バスバーU1端子とV1端子とW1端子)およびグループ2(バスバーU2端子とV2端子とW2端子)に纏め、前者をコネクタ201、後者をコネクタ202から出力する。コネクタ201のバスバーU1端子とV1端子とW1端子からそれぞれ出力されたU相電圧・V相電圧・W相電圧はU1線、V1線、W1線を介してモータ側端子T1に入り、モータM01の中で回転磁界を形成して、回転子を駆動する。
同じく、コネクタ202のバスバーU2端子とV2端子とW2端子からそれぞれ出力されたU相電圧・V相電圧・W相電圧はU2線、V2線、W2線を介してモータ側端子T2に入り、モータM02の中で回転磁界を形成して、回転子を駆動する。
このように直付けコネクタ200は、直付けコネクタ200の入口にバスバーU1端子およびU2端子、V1端子およびV2端子、W1端子およびW2端子の順に並んで入った各端子を、バスバーを効率よく引き回すことにより、最終的にバスバーU1端子、V1端子、W1端子グループ、およびバスバーU2端子、V2端子、W2端子グループに配列し直してインバータケース100の出口から出力する役割を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−81373号公報
【0005】
〈特許文献1記載の直付けコネクタ200〉
図9は特許文献1記載の直付けコネクタ200内のバスバーの構成を説明する図である。直付けコネクタ200はインバータケース100を配策する6つのバスバー端子U1、U2、V1、V2、W1、W2(以後、「U1〜W2」と言う)を有している。6本のバスバー端子U1〜W2の端子部は図の右から順に極相がU1、U2、V1、V2、W1、W2の順で並列に配置されている。
右端のバスバー端子U1の水平な端子部は上向きの短い垂直部分に連続し、水平な短い板部を介して上向きに略L字状に段付きに屈曲してい、右端の垂直端子となる。
右から2番目のバスバー端子U2は水平部分を経て下向きに短く垂直に屈曲し、左側に略クランク状に長く延長され、左端が上向きの垂直となって、水平な短い板部を介して略L字状に段付きに屈曲して、左から2番目の垂直端子となる。
右から3番目のバスバー端子V1は水平部分から上向きの短い垂直部となり、水平な短い板部を介して略L字状に段付きに屈曲して右から3番目の垂直端子となる。
右から4番目のバスバー端子V2は水平部分から上向きの短い垂直部分に続き、水平な短い板部を介して略L字状に段付きに屈曲して右から4番目の垂直端子となる。
右から3番目と4番目のバスバー端子V1、V2は左右対称に形成されている。
右から5番目のバスバー端子W1は水平部分を経て下向きにやや長く垂直に屈曲し、右側に略クランク状に長く延長され、その右端が上向きの垂直部となり、水平な短い板部を介して略L字状に段付きに屈曲して右から2番目の垂直端子となる。
右から6番目(左端)のバスバー端子W2は水平部分を経て上向きの短い垂直部分から水平な短い板部を介して上向きに略L字状に段付きに屈曲して左端の垂直端子となる。
以上のように、直付けコネクタ200のバスバー組立体が構成される。
【0006】
このバスバー組立体は、図10のように、6つのバスバー端子U1、U2、V1、V2、W1、W2のうち、下方の左半分の3つのバスバー端子U1、U2、V1は一つの横長な絶縁ブロックで固定され、下方の右半分の3つのバスバー端子V2、W1、W2は一つの横長な絶縁ブロックで固定され、二つの絶縁ブロックは一つの横長のシールドシェル内に並列に配置される。
また、上方の左半分の3つのバスバー端子U1、V1、W1は一方のハウジング201のコネクタ嵌合室内に配置され、右半分の3つのバスバー端子U2、V2、W2は他方のハウジング202のコネクタ嵌合室内に配置される。コネクタ201、202の6本の電線は一まとめに結束されてモータM01、M02(図8)側のコネクタT1、T2に続いている。
【0007】
〈特許文献1記載の直付けコネクタ200の長所〉
特許文献1記載の直付けコネクタ200によれば、インバータのコンパクト化を図ることができ、しかもインバータとの接続を容易に効率良く確実に行うことができる。
【0008】
〈特許文献1記載の直付けコネクタ200の問題点〉
直付けコネクタのバスバー端子を絶縁樹脂部と一体モールドした場合、各単品でのバスバー端子の寸法関係または製造上の問題によってはバスバー端子U1・V1・W1、バスバー端子U2・V2・W2や、バスバー端子U1・U2、バスバー端子V1・V2、バスバー端子W1・W2の各アライメント(水平性)が出ない可能性が生じる。
さらには、直付けコネクタのバスバー端子のアライメントが出ていても、相手方コネクタ201、202の方のアライメントが出ない可能性も考えられる。
このようにアライメントが出ていない状況で、特許文献1記載の直付けコネクタ200を相手方コネクタ201、202を締結したとき、直付けコネクタ200の締結部に負荷がかかり、ボルト締結などの場合ボルトが緩むなどの悪影響が懸念される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこれらの問題点を解決するためになされたもので、直付けコネクタのバスバー端子群の各アライメントが出ない場合にも、相手方コネクタを締結したとき、直付けコネクタの締結部に負荷がかからないようにした直付けコネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決し目的を達成するために、本願発明(1)は、コネクタに係り、第1の方向に突出する第1の接続部と、前記第1の方向と反対かつ異なる軸位置に突出する第2の接続部と、前記第1の接続部と前記第2の接続部に対して各々直角を成すと共に前記第1の接続部と前記第2の接続部を連結する連結部を備えた複数のバスバーと、前記複数のバスバーを収容するハウジングと、前記収容溝を覆うカバーと、を備えたコネクタであって、前記ハウジングは、前記複数のバスバーの前記連結部のみを収容する収容溝と、前記第1の接続部と前記第2の接続部のいずれか一方が収容されるスペースを備え
前記収容溝は前記ハウジングの対向する両側に形成されており、
前記複数のバスバーは前記ハウジング内の前記収容溝に沿って互いに立体的に交差して前記複数のバスバーの前記第1の接続部の並び順と前記複数のバスバーの前記第2の接続部の並び順が異なっていることを特徴としている。
発明(2)は、1つのインバータで2つの三相負荷を駆動するため前記インバータに直付けされるコネクタであって、6本の平坦で長尺状のバスバーと前記6本のバスバーを収容する幅狭で長尺状のスペースを有するハウジングと、前記薄型長尺状ハウジングの上部を塞ぐアッパーカバーと、前記薄型長尺状ハウジングの下部を塞ぐアンダーカバーとを備えたインバータ直付けコネクタにおいて、前記各バスバーが、第1のバスバー端子と、前記第1のバスバー端子とは反対方向に延出する第2のバスバー端子と、前記第1のバスバー端子と前記第2のバスバー端子とを繋げる連結バスバーとを備えて成り、かつ前記連結バスバーは前記第1のバスバー端子から90度曲折して所定長さの後同一平面上で90度向きを変えて延出する直線部を備え、前記直線部の端部から前記同一平面上で前回とは逆向きに90度向きを変えて所定長さの後前回とは逆向きに曲折して前記第2のバスバー端子に繋がる形状をし、前記幅狭で長尺状のスペースは前記ハウジング内に3か所あり、そのうち2か所は長尺方向に直角な断面内で互いに間隔をあけて平行に配置され、残りの1か所は前記2個のスペースの1個と同一平面上で下方に配置され、前記各スペースに前記各連結バスバーを幅方向にクリアランスを持って収容することで、前記第1のバスバー端子および前記第2のバスバー端子のいずれも前記薄型長尺状ハウジング内で上下方向に移動できるようにしたことを特徴としている。
発明(3)は、発明(2)において、前記6本のバスバーのうちU相とW相のバスバーの前記直線部を前記平行に配置された前記2つのスペースに収容し、V相のバスバーの前記直線部を前記3つめのスペースに収容したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
発明(1)によれば、バスバーをインサート成形する必要がなく、また、連結部の面に沿った溝に挿入するので、連結部を両側から挟み込む分割ハウジングの構造に対して端子に位置決めがし易い。
また、インサート時にバスバー同士の絶縁距離を確保するための治具が不要であり、また、連結部を両側から挟み込む分割ハウジングの構造に対しては立体交差する場合にはその中間に更に絶縁部材が必要であるのに対し、本発明ではそれが不要となる。
さらに、バスバーの本数が増えて複雑に交差する際にもハウジングの両端からバスバーを挿入することで連結部の面方向および幅方向に絶縁を確保することができ、また、連結部を両側から挟み込む分割ハウジングの構造に対しては立体交差する場合にはその中間に更に絶縁部材が必要であるのに対し、本発明ではそれが不要となる。
発明(2)によれば、直付けコネクタのバスバー端子群の各アライメントが出ない場合にも、相手方コネクタを締結したとき、バスバー端子がハウジング内で上下方向に移動できるようになるので、設計誤差をバスバー端子が吸収するため、直付けコネクタの締結部に負荷がかからないようになる。
発明(3)によれば、各バスバーを薄型長尺状のハウジング内に効率よく配置することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明に係るインバータ直付けコネクタの分解斜視図である。
図2図2は本発明に係る6本のバスバーだけの組み付け状態を示す斜視図である。
図3図3図2の6本のバスバーをハウジングに収容した状態を示す斜視図である。
図4図4はバスバーA端子群とバスバーB端子群をハウジングに挿入する直前の状態を示す斜視図である。
図5図5図4バスバーA端子群とバスバーB端子群をハウジングに挿入した直後で、アウターカバーとロウアーカバーを覆う直前の状態を示す斜視図である。
図6図6図5のアウターカバーとロウアーカバーでハウジング覆った完成状態を示す斜視図で、(A)は中央バスバー端子側、(B)は端部バスバー端子側からの斜視図である。
図7図7図6の完成状態の直付けコネクタの縦断面図である。
図8図8は直付けコネクタの役割を説明する図で、図8(A)はコネクタ回りの回路図、図8(B)はコネクタ構造を示す斜視図である。
図9図9は特許文献1記載の直付けコネクタ200内のバスバーの構成を説明する図である。
図10図10は絶縁樹脂で一体モールドした特許文献1記載の直付けコネクタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、バスバーをインサート成形する必要がなく、また、連結部を両側から挟み込む分割ハウジングの構造に対して端子に位置決めがし易いコネクタについて、具体的な直付けコネクタの実施例に基づいて、図1図7を用いて説明する。
【実施例1】
【0014】
〈実施例1に係る直付けコネクタ〉
図1は本発明に係るインバータ直付けコネクタの分解斜視図である。図1において、右より、アッパーカバー30、バスバーA端子群10A、ハウジング20、バスバーB端子群10B、アンダーカバー40である。
以下、バスバー端子群10、バスバーA端子群10A、バスバーB端子群10B、ハウジング20、アッパーカバー30、アンダーカバー40の順に説明する。
【0015】
〈バスバー端子群10〉
《構成》
図1図7において、バスバー端子群10は、この実施例では、U相第1端子U1とU相第2端子U2、V相第1端子V1とV相第2端子V2、W相第1端子W1とW相第2端子W2の合計6本のバスバーから成っている。
このうち、U相第1端子U1とU相第2端子U2およびW相第1端子W1とW相第2端子W2とでバスバーA端子群10Aを構成し、V相第1端子V1とV相第2端子V2とでバスバーB端子群10Bを構成している。
【0016】
《U相第1端子U1の形状》
バスバー端子群10について基本的な形状は共通しているので、まず、U相第1端子U1(バスバーU1端子)を一例として形状を説明する。
U相第1端子U1は、薄型長尺状のハウジング20(図7)に組み付けた完成状態で、ハウジング20の短軸の中心を通って長尺方向に延びる中心線近傍からハウジング面に対して垂直に延出する中央バスバー端子U11(図2図7)と、ハウジング20の長尺縁辺からハウジング面の反対面に対して垂直に中央バスバー端子とは反対方向に延出する端部バスバー端子U13(図2図7)と、中央バスバー端子U11と端部バスバー端子U13とを繋げる連結バスバーU12(図2)とを備えて成る。
さらに、連結バスバーU12は、中央バスバー端子U11の端部で90度曲折する第1曲折部B1(図1)と、第1曲折部B1から真っすぐ延びる第1直線部S1(図1)と、第1直線部S1の端部でハウジング20の長尺方向に90度クランク状に向きを変える第1方向転換部K1(図1)と、第1方向転換部K1からハウジング20の長尺方向に真っすぐ延びる第2直線部S2(図1)と、第2直線部S2の端部でハウジング20の長尺方向から第1方向転換部K1とは逆向きに90度クランク状に向きを変える第2方向転換部K2(図1)と、第2方向転換部K2から端部バスバー端子方向に真っすぐ延びる第3直線部S3(図1)と、第3直線部S3の端部で端部バスバー端子U13に曲折して繋がる第2曲折部B2(図1)とで構成されている。
【0017】
《その他の第1端子および第2端子の形状も同様》
すべての連結バスバー(U12、U22、V12、V22、W12、W22)は、U相第1端子U1の形状と原則同じで(長さおよび方向が異なるだけである。)、中央バスバー端子(U11、U21、V11、V21、W11、W21)の端部で90度曲折する第1曲折部B1と、第1曲折部B1から真っすぐ延びる第1直線部S1と、第1直線部S1の端部でハウジング20の長尺方向に90度クランク状に向きを変える第1方向転換部K1と、第1方向転換部K1からハウジング20の長尺方向に真っすぐ延びる第2直線部S2と、第2直線部S2の端部でハウジング20の長尺方向から第1方向転換部K1とは逆向きに90度クランク状に向きを変える第2方向転換部K2と、第2方向転換部K2から端部バスバー端子(U13、U23、V13、V23、W13、W23)方向に真っすぐ延びる第3直線部S3と、第3直線部S3の端部で端部バスバー端子に曲折して繋がる第2曲折部B2とで構成されている。
【0018】
《バスバー端子群10Aと10Bの違い》
バスバー端子群10Aとバスバー端子群10Bが異なるのは、(1)第1曲折部B1の曲折方向と、(2)第3直線部S3の長さである。
バスバー端子群10Aの第1曲折部B1は、アッパーカバー30側に曲折しているのに対して、バスバー端子群10Bの第1曲折部B1は、アンダーカバー40側に曲折している点である。
バスバー端子群10Aの第3直線部S3は、ハウジング20に組み付けられた状態でハウジング20の短軸方向の長さの半分以下であるのに対して、バスバー端子群10Bの第3直線部S3はハウジング20の短軸方向の長さである点である。
【0019】
〈バスバー端子群10A〉
図1図7において、U相第1端子U1とW相第2端子W2はハウジング20の長軸の中心を通って短尺方向に延びる中心線に対して、基本的に線対称形状となっている。
U相第2端子U2とW相第1端子W1もハウジング20の長軸の中心を通って短尺方向に延びる中心線に対して基本的に線対称形状となっているが、配置のさい第2直線部S2同士がぶつかる位置にくるので、一方の第2直線部S2(図1ではW12のS2)だけ上部に曲折して衝突を回避させる形状としている。
U相の各第1・第2端子の中央バスバー端子(U11、U21およびW相の第1・第2端子の中央バスバー端子(W11、W21)は同一平面M1(図7)上に配置される(図2参照)。
U相の各第1・第2端子の端部バスバー端子(U13、U23)およびW相の第1・第2端子の端部バスバー端子(W13、W23)は同一平面M2(図7)上に配置される(図2参照)。
U相とW相の各第1・第2端子の連結バスバー(U12、U22、W12、W22)はW相第1端子W12の第2直線部S2と第2方向転換部K2と第3直線部S3を除いてすべて同一平面M3上に配置され、W相第1端子連結バスバーW12の第2直線部S2と第2方向転換部K2と第3直線部S3は同一平面M4(図7)上に配置される(図2参照)。
【0020】
〈バスバーB端子群10B〉
バスバーB端子群10BはV相第1端子V1とV相第2端子V2とから成る。
図1において、V相第1端子V1とV相第2端子V2は、ハウジング20の長軸の中心を通って短尺方向に延びる中心線に対して、線対称形状となっている。
V相の第1・第2端子の中央バスバー端子(V11、V21)は平面M1(図7)上に配置される(図2参照)。
V相の第1・第2端子の端部バスバー端子(V13、V23)は同一平面M2(図7)上に配置される(図2参照)。
V相の第1・第2端子の連結バスバー(V12、V22)は上記の平面M4(図7)上に配置される(図2参照)。
【0021】
〈ハウジング20〉
ハウジング20は図1に示すように、薄型長尺状をした絶縁体で、一方の長尺面20B(図4図7)と反対側の長尺面20F(図4図7)とで挟まれる部位に次の3つの狭い細長いスペース20S1、20S2、20S3(図7)が形成されている。
【0022】
《ハウジング20に形成される3つのスペース》
第1スペース20S1は図7で連結バスバーU22群が収容されている部位で、平面M3上に一直線に並ぶU相第1端子の連結バスバーU12、U相第2端子の連結バスバーU22、W相第1端子W12の第1方向転換部K1、W相第2端子の連結バスバーW22を収容する長尺方向の収容室である。各バスバー間の隙間は絶縁リブで仕切られている。
第2スペース20S2は図7で連結バスバーW12群が収容されている部位で、平面M4上のW相第1端子W12の連結バスバーW12および第2方向転換部K2を収容する長尺方向の収容室である。第1スペースと第2スペース間の隙間は絶縁リブで仕切られている。
第3スペース20S3は図7で連結バスバーV12群が収容されている部位で、平面M4上に一直線に並ぶV相第1端子V1の連結バスバーV12とV相第2端子V2の連結バスバーV22を収容する長尺方向の収容室とこの収容室の両端からさらに直角方向に方向転換するV相第1端子V1の連結バスバーV12の第3直線部S3とV相第2端子V2の連結バスバーV22の第3直線部S3を収容する短尺方向の収容室とからなる。第1スペースと第3スペース間の隙間、および第2スペースと第3スペース間の隙間は絶縁リブで仕切られている。
【0023】
《連結バスバーを各スペースへ挿入》
この長尺面20Bと長尺面20Fとで挟まれる部位に3つの狭い細長いスペース20S1、20S2、20S3に、U・V・W相のすべての連結バスバー(U12、V12、W12、U22、V22、W22)が図4に示す方向から挿入・収容される。
すなわち、U相およびW相の連結バスバー(U12、W12、U22、W22)は図4の矢印F1方向から挿入される。ただし、U相およびW相の連結バスバーのうち、3本の連結バスバー(U12、U22、W22)は、図4のハウジングの下方のスペース(図7の第1スペース20S1)に、そしてW相第1端子の連結バスバー(W12)は、図4のハウジングの上方のスペース(図7の第2スペース20S2)に挿入される。
また、V相の連結バスバー(V12、V22)は図4の矢印F2方向から図4のハウジングの上方のスペース(図7の第3スペース20S3)に挿入される。ハウジング20にはV相の連結バスバー(V12、V22)の第3直線部S3が収容されるスペース20M22、20M22が第3スペースの一部として設けられている。
スペースに収容された連結バスバーから延びる中央バスバー端子(U11、U21、V11、V21、W11、W21)はその長尺面20F(図7)の下方から水平方向に露出し、また、スペースに収容された連結バスバーから反対側に延びる端部バスバー端子(U13、U23、V13、V23、W13、W23)はその長尺面20B(図7)の上方から中央バスバー端子とは逆方向に水平に露出している。
図5はこのようにしてハウジング20内に挿入され、支持された本発明に係る形状の6本のバスバーの状態を示している。
これにアッパーカバー30とアンダーカバー40が以下で述べるようにそれぞれハウジング20の上方と下方に係止されれば、本発明に係る直付けコネクタ図6のように完成する。
【0024】
《アッパーカバー30とアンダーカバー40用の係合突起》
ハウジング20の外側にはアッパーカバー30と係合する部位に係合突起20K3〜20K5を備え、アンダーカバー40と係合する部位に係合突起20K1、20K2を備えている。
【0025】
〈アッパーカバー30〉
アッパーカバー30は絶縁体でできており、ハウジング20の外側の係合突起20K3〜20K5と係合する部位に係合孔30K3〜30K5を備えている。アッパーカバー30の係合孔30K3〜30K5にハウジング20の係合突起20K3〜20K5を図6のように係止させることで、アッパーカバー30はハウジング20を覆い、連結バスバーU12、U22、W22が第1スペース20S1から、連結バスバーW12が第2スペース20S1から抜けなくなる。
【0026】
〈アンダーカバー40〉
アンダーカバー40は絶縁体でできており、ハウジング20の外側の係合突起20K1、20K2と係合する部位に係合孔40K1、40K2を備えている。アンダーカバー40の係合孔40K1、40K2にハウジング20の係合突起20K1、20K2を図6のように係止させることで、アンダーカバー40はハウジング20を覆い、連結バスバーV12、V22が第3スペース20S3から抜けなくなる。
【0027】
〈本発明の特徴〉
本発明によれば、図7で示すように、薄型長尺状をしたハウジング20の横幅の狭いスペースにバスバーの厚み部分を挿入し、アッパーカバー30で覆うことで内部に形成される収容空間がバスバーの横幅寸法よりクリアランスt3およびt4分だけ大きくして、このスペース内でバスバーが上下に移動できる構成としているのが特徴である。
同じく、アンダーカバー40で形成される収容空間もバスバー寸法よりクリアランスを有するように大きくしている。
このように、形状に工夫をしたバスバーの厚み部分を薄型長尺状をしたハウジング20の横幅の狭いスペースに挿入し、カバーをする際、スペース内でバスバーが上下に若干移動するクリアランスを形成しておくことで相手部品の寸法誤差を吸収できるので、相手部品の製造精度を高くする必要がなくなる。また、モールド部品に比べてバスバー単体の寸法精度を高くする必要がなくなり、部品が製造し易い。
【符号の説明】
【0028】
10 バスバー端子群
10A バスバーA端子群
10B バスバーB端子群
20 ハウジング
20B 長尺面
20F 長尺面
20S1 第1スペース
20S2 第2スペース
20S3 第3スペース
20K1〜20K5 係合突起(ハウジング側)
30 アッパーカバー
30K3〜30K5 係合孔(アッパーカバー側)
40 アンダーカバー
40K1〜40K2 係合孔(ロウアーカバー側)
U U相端子
V V相端子
W W相端子
U1 U相第1端子
V1 V相第1端子
W1 W相第1端子
U2 U相第2端子
V2 V相第2端子
W2 W相第2端子
U11 U相第1端子の中央バスバー端子
V11 V相第1端子の中央バスバー端子
W11 W相第1端子の中央バスバー端子
U21 U相第2端子の中央バスバー端子
V21 V相第2端子の中央バスバー端子
W21 W相第2端子の中央バスバー端子
U12 U相第1端子の連結バスバー
V12 V相第1端子の連結バスバー
W12 W相第1端子の連結バスバー
U22 U相第2端子の連結バスバー
V22 V相第2端子の連結バスバー
W22 W相第2端子の連結バスバー
U13 U相第1端子の端部バスバー端子
V13 V相第1端子の端部バスバー端子
W13 W相第1端子の端部バスバー端子
U23 U相第2端子の端部バスバー端子
V23 V相第2端子の端部バスバー端子
W23 W相第2端子の端部バスバー端子
B1 第1曲折部
B2 第2曲折部
K1 第1方向転換部
K2 第2方向転換部
M1〜M4 平面
S1 第1直線部
S2 第2直線部
S3 第3直線部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10