【実施例1】
【0014】
〈実施例1に係る直付けコネクタ〉
図1は本発明に係るインバータ直付けコネクタの分解斜視図である。
図1において、右より、アッパーカバー30、バスバーA端子群10A、ハウジング20、バスバーB端子群10B、アンダーカバー40である。
以下、バスバー端子群10、バスバーA端子群10A、バスバーB端子群10B、ハウジング20、アッパーカバー30、アンダーカバー40の順に説明する。
【0015】
〈バスバー端子群10〉
《構成》
図1〜
図7において、バスバー端子群10は、この実施例では、U相第1端子U1とU相第2端子U2、V相第1端子V1とV相第2端子V2、W相第1端子W1とW相第2端子W2の合計6本のバスバーから成っている。
このうち、U相第1端子U1とU相第2端子U2およびW相第1端子W1とW相第2端子W2とでバスバーA端子群10Aを構成し、V相第1端子V1とV相第2端子V2とでバスバーB端子群10Bを構成している。
【0016】
《U相第1端子U1の形状》
バスバー端子群10について基本的な形状は共通しているので、まず、U相第1端子U1(バスバーU1端子)を一例として形状を説明する。
U相第1端子U1は、薄型長尺状のハウジング20(
図7)に組み付けた完成状態で、ハウジング20の短軸の中心を通って長尺方向に延びる中心線近傍からハウジング面に対して垂直に延出する中央バスバー端子U11(
図2、
図7)と、ハウジング20の長尺縁辺からハウジング面の反対面に対して垂直に中央バスバー端子とは反対方向に延出する端部バスバー端子U13(
図2、
図7)と、中央バスバー端子U11と端部バスバー端子U13とを繋げる連結バスバーU12(
図2)とを備えて成る。
さらに、連結バスバーU12は、中央バスバー端子U11の端部で90度曲折する第1曲折部B1(
図1)と、第1曲折部B1から真っすぐ延びる第1直線部S1(
図1)と、第1直線部S1の端部でハウジング20の長尺方向に90度クランク状に向きを変える第1方向転換部K1(
図1)と、第1方向転換部K1からハウジング20の長尺方向に真っすぐ延びる第2直線部S2(
図1)と、第2直線部S2の端部でハウジング20の長尺方向から第1方向転換部K1とは逆向きに90度クランク状に向きを変える第2方向転換部K2(
図1)と、第2方向転換部K2から端部バスバー端子方向に真っすぐ延びる第3直線部S3(
図1)と、第3直線部S3の端部で端部バスバー端子U13に曲折して繋がる第2曲折部B2(
図1)とで構成されている。
【0017】
《その他の第1端子および第2端子の形状も同様》
すべての連結バスバー(U12、U22、V12、V22、W12、W22)は、U相第1端子U1の形状と原則同じで(長さおよび方向が異なるだけである。)、中央バスバー端子(U11、U21、V11、V21、W11、W21)の端部で90度曲折する第1曲折部B1と、第1曲折部B1から真っすぐ延びる第1直線部S1と、第1直線部S1の端部でハウジング20の長尺方向に90度クランク状に向きを変える第1方向転換部K1と、第1方向転換部K1からハウジング20の長尺方向に真っすぐ延びる第2直線部S2と、第2直線部S2の端部でハウジング20の長尺方向から第1方向転換部K1とは逆向きに90度クランク状に向きを変える第2方向転換部K2と、第2方向転換部K2から端部バスバー端子(U13、U23、V13、V23、W13、W23)方向に真っすぐ延びる第3直線部S3と、第3直線部S3の端部で端部バスバー端子に曲折して繋がる第2曲折部B2とで構成されている。
【0018】
《バスバー端子群10Aと10Bの違い》
バスバー端子群10Aとバスバー端子群10Bが異なるのは、(1)第1曲折部B1の曲折方向と、(2)第3直線部S3の長さである。
バスバー端子群10Aの第1曲折部B1は、アッパーカバー30側に曲折しているのに対して、バスバー端子群10Bの第1曲折部B1は、アンダーカバー40側に曲折している点である。
バスバー端子群10Aの第3直線部S3は、ハウジング20に組み付けられた状態でハウジング20の短軸方向の長さの半分以下であるのに対して、バスバー端子群10Bの第3直線部S3はハウジング20の短軸方向の長さである点である。
【0019】
〈バスバー端子群10A〉
図1〜
図7において、U相第1端子U1とW相第2端子W2はハウジング20の長軸の中心を通って短尺方向に延びる中心線に対して、基本的に線対称形状となっている。
U相第2端子U2とW相第1端子W1もハウジング20の長軸の中心を通って短尺方向に延びる中心線に対して基本的に線対称形状となっているが、配置のさい第2直線部S2同士がぶつかる位置にくるので、一方の第2直線部S2(
図1ではW12のS2)だけ上部に曲折して衝突を回避させる形状としている。
U相の各第1・第2端子の中央バスバー端子(U11、U21およびW相の第1・第2端子の中央バスバー端子(W11、W21)は同一平面M1(
図7)上に配置される(
図2参照)。
U相の各第1・第2端子の端部バスバー端子(U13、U23)およびW相の第1・第2端子の端部バスバー端子(W13、W23)は同一平面M2(
図7)上に配置される(
図2参照)。
U相とW相の各第1・第2端子の連結バスバー(U12、U22、W12、W22)はW相第1端子W12の第2直線部S2と第2方向転換部K2と第3直線部S3を除いてすべて同一平面M3上に配置され、W相第1端子連結バスバーW12の第2直線部S2と第2方向転換部K2と第3直線部S3は同一平面M4(
図7)上に配置される(
図2参照)。
【0020】
〈バスバーB端子群10B〉
バスバーB端子群10BはV相第1端子V1とV相第2端子V2とから成る。
図1において、V相第1端子V1とV相第2端子V2は、ハウジング20の長軸の中心を通って短尺方向に延びる中心線に対して、線対称形状となっている。
V相の第1・第2端子の中央バスバー端子(V11、V21)は平面M1(
図7)上に配置される(
図2参照)。
V相の第1・第2端子の端部バスバー端子(V13、V23)は同一平面M2(
図7)上に配置される(
図2参照)。
V相の第1・第2端子の連結バスバー(V12、V22)は上記の平面M4(
図7)上に配置される(
図2参照)。
【0021】
〈ハウジング20〉
ハウジング20は
図1に示すように、薄型長尺状をした絶縁体で、一方の長尺面20B(
図4、
図7)と反対側の長尺面20F(
図4、
図7)とで挟まれる部位に次の3つの狭い細長いスペース20S1、20S2、20S3(
図7)が形成されている。
【0022】
《ハウジング20に形成される3つのスペース》
第1スペース20S1は
図7で連結バスバーU22群が収容されている部位で、平面M3上に一直線に並ぶU相第1端子の連結バスバーU12、U相第2端子の連結バスバーU22、W相第1端子W12の第1方向転換部K1、W相第2端子の連結バスバーW22を収容する長尺方向の収容室である。各バスバー間の隙間は絶縁リブで仕切られている。
第2スペース20S2は
図7で連結バスバーW12群が収容されている部位で、平面M4上のW相第1端子W12の連結バスバーW12および第2方向転換部K2を収容する長尺方向の収容室である。第1スペースと第2スペース間の隙間は絶縁リブで仕切られている。
第3スペース20S3は
図7で連結バスバーV12群が収容されている部位で、平面M4上に一直線に並ぶV相第1端子V1の連結バスバーV12とV相第2端子V2の連結バスバーV22を収容する長尺方向の収容室とこの収容室の両端からさらに直角方向に方向転換するV相第1端子V1の連結バスバーV12の第3直線部S3とV相第2端子V2の連結バスバーV22の第3直線部S3を収容する短尺方向の収容室とからなる。第1スペースと第3スペース間の隙間、および第2スペースと第3スペース間の隙間は絶縁リブで仕切られている。
【0023】
《連結バスバーを各スペースへ挿入》
この長尺面20Bと長尺面20Fとで挟まれる部位に3つの狭い細長いスペース20S1、20S2、20S3に、U・V・W相のすべての連結バスバー(U12、V12、W12、U22、V22、W22)が
図4に示す方向から挿入・収容される。
すなわち、U相およびW相の連結バスバー(U12、W12、U22、W22)は
図4の矢印F1方向から挿入される。ただし、U相およびW相の連結バスバーのうち、3本の連結バスバー(U12、U22、W22)は、
図4のハウジングの下方のスペース(
図7の第1スペース20S1)に、そしてW相第1端子の連結バスバー(W12)は、
図4のハウジングの上方のスペース(
図7の第2スペース20S2)に挿入される。
また、V相の連結バスバー(V12、V22)は
図4の矢印F2方向から
図4のハウジングの上方のスペース(
図7の第3スペース20S3)に挿入される。ハウジング20にはV相の連結バスバー(V12、V22)の第3直線部S3が収容されるスペース20M22、20M22が第3スペースの一部として設けられている。
スペースに収容された連結バスバーから延びる中央バスバー端子(U11、U21、V11、V21、W11、W21)はその長尺面20F(
図7)の下方から水平方向に露出し、また、スペースに収容された連結バスバーから反対側に延びる端部バスバー端子(U13、U23、V13、V23、W13、W23)はその長尺面20B(
図7)の上方から中央バスバー端子とは逆方向に水平に露出している。
図5はこのようにしてハウジング20内に挿入され、支持された本発明に係る形状の6本のバスバーの状態を示している。
これにアッパーカバー30とアンダーカバー40が以下で述べるようにそれぞれハウジング20の上方と下方に係止されれば、本発明に係る直付けコネクタ
図6のように完成する。
【0024】
《アッパーカバー30とアンダーカバー40用の係合突起》
ハウジング20の外側にはアッパーカバー30と係合する部位に係合突起20K3〜20K5を備え、アンダーカバー40と係合する部位に係合突起20K1、20K2を備えている。
【0025】
〈アッパーカバー30〉
アッパーカバー30は絶縁体でできており、ハウジング20の外側の係合突起20K3〜20K5と係合する部位に係合孔30K3〜30K5を備えている。アッパーカバー30の係合孔30K3〜30K5にハウジング20の係合突起20K3〜20K5を
図6のように係止させることで、アッパーカバー30はハウジング20を覆い、連結バスバーU12、U22、W22が第1スペース20S1から、連結バスバーW12が第2スペース20S1から抜けなくなる。
【0026】
〈アンダーカバー40〉
アンダーカバー40は絶縁体でできており、ハウジング20の外側の係合突起20K1、20K2と係合する部位に係合孔40K1、40K2を備えている。アンダーカバー40の係合孔40K1、40K2にハウジング20の係合突起20K1、20K2を
図6のように係止させることで、アンダーカバー40はハウジング20を覆い、連結バスバーV12、V22が第3スペース20S3から抜けなくなる。
【0027】
〈本発明の特徴〉
本発明によれば、
図7で示すように、薄型長尺状をしたハウジング20の横幅の狭いスペースにバスバーの厚み部分を挿入し、アッパーカバー30で覆うことで内部に形成される収容空間がバスバーの横幅寸法よりクリアランスt3およびt4分だけ大きくして、このスペース内でバスバーが上下に移動できる構成としているのが特徴である。
同じく、アンダーカバー40で形成される収容空間もバスバー寸法よりクリアランスを有するように大きくしている。
このように、形状に工夫をしたバスバーの厚み部分を薄型長尺状をしたハウジング20の横幅の狭いスペースに挿入し、カバーをする際、スペース内でバスバーが上下に若干移動するクリアランスを形成しておくことで相手部品の寸法誤差を吸収できるので、相手部品の製造精度を高くする必要がなくなる。また、モールド部品に比べてバスバー単体の寸法精度を高くする必要がなくなり、部品が製造し易い。