特許第5756687号(P5756687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756687
(24)【登録日】2015年6月5日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/42 20060101AFI20150709BHJP
【FI】
   A47L15/42 A
   A47L15/42 B
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-139482(P2011-139482)
(22)【出願日】2011年6月23日
(65)【公開番号】特開2013-5872(P2013-5872A)
(43)【公開日】2013年1月10日
【審査請求日】2014年5月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】寺西 貫
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−038406(JP,A)
【文献】 特許第3417353(JP,B2)
【文献】 特開2008−167918(JP,A)
【文献】 特開2002−282192(JP,A)
【文献】 特開2009−034153(JP,A)
【文献】 特開2002−238826(JP,A)
【文献】 特開2003−093309(JP,A)
【文献】 特開2001−046305(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0246083(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/00−21/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄すべき食器類が収容される洗浄槽と、
前記洗浄槽が出し入れされる前面開口部を有し、洗浄運転を実行する洗浄機本体と、
前記洗浄機本体の前記前面開口部を開閉する扉部と、
前記洗浄槽が洗浄機本体内の最終収納位置まで収納された収納状態では前記洗浄槽に設けられた食器類の出し入れ用の上面開口部を封止し、前記洗浄槽が前記洗浄機本体から引き出された引き出し状態では前記洗浄槽の前記上面開口部から離間するように、前記洗浄槽の出し入れに連動して前記上面開口部を開閉する内蓋と、を具備し、
前記洗浄機本体の筐体は、直方体の箱状に形成されており、直方体を構成する6面から前記前面開口部となる1面を除いた、左右の両側面、天面、底面、および、後面の5面によって構成され、
前記洗浄槽は、左右のレールを介して、前記左右の両側面または前記底面に支持され、
前記洗浄槽が前記収納状態にあるとき、前記内蓋が前記上面開口部を封止する際に前記内蓋の後端部と前記筐体との相互間の左右方向の位置を規制する蓋後端横方向規制手段を設け、かつ、前記洗浄槽が前記収納状態に至るときに前記内蓋の前端部と前記洗浄槽との相互間の左右方向の位置を規制する蓋前端横方向規制部を設け
前記蓋前端横方向規制部は、前記内蓋の前端部の左右両側から垂下形成される左右の突起であり、前記内蓋が前記上面開口部を封止したときに、前記左右の突起の間に前記洗浄槽の上縁の外周縁が嵌入し、
前記左右の突起は、帯状の金属片を前記内蓋の前端部における左右両側に止着して成り、前記洗浄槽を中心として外側に先広がりとなる傾斜部を設け、
前記帯状の金属片には、上下方向に伸びる帯状の滑らかな凸部を形成してあり、前記凸部が突出する方向が左右の前記帯状の金属片の間に向けた方向であること、
を特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前記洗浄槽が前記引き出し状態から前記収納状態に至る収納位置の内、前記最終収納位置より前記洗浄槽が所定量引き出された収納位置から前記最終収納位置に至る収納範囲である、洗浄槽−内蓋連動収納範囲に前記洗浄槽が位置するときに、前記洗浄槽の収納および引き出しに伴い、前記洗浄槽の収納方向および引き出し方向への移動量と同じ移動量で前記内蓋が収納方向および引き出し方向移動することで、前記上面開口部の開閉が行われ、前記洗浄槽が前記洗浄槽−内蓋連動収納範囲以外の収納位置にあるときには、前記左右の突起と前記洗浄槽とは接触しないことを特徴とする請求項1に記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗浄機に関し、詳しくは、食器洗浄機本体の前面に設けられた開口部分を通じて洗浄槽を略水平方向に出し入れすることができるとともに、この洗浄槽の出し入れに連動して洗浄槽に設けられた食器類の出し入れ用の上面開口部を内蓋で開閉できるようにした引き出し式の食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
システムキッチンなどに組み込むためのビルトインタイプの食器洗浄機において、洗浄機本体の前面側に設けられた開口部分を通じて洗浄槽を略水平方向にスライドさせて出し入れすることができるようにした、いわゆる引き出し式のものが適用される場合がある。この場合、洗浄槽としては、通常、洗浄すべき食器類を出し入れできるようにその上部に上面開口部が形成され、また、洗浄機本体の前面側の開口部分を開閉する扉部が設けられたものが用いられている。さらに、洗浄機本体の内側上部には内蓋が昇降可能に設けられており、洗浄槽を洗浄機本体の所定の収納位置まで収納すると、内蓋が下降して洗浄槽の上面開口部を封止するように構成されている。
【0003】
このような引き出し式の食器洗浄機において、食器洗浄機本体に設けた左右のレールで洗浄槽が出し入れ自在に支持されており、洗浄槽の出し入れ動作に連動して昇降するように蓋体が外箱に支持されており、蓋体のパッキンが洗浄槽の上縁面に当接して蓋体と洗浄槽間を密封するもので、蓋体を支持する機構として前後左右の4つのクランプ部材を用い、洗浄槽の収納位置への移動に伴い蓋体を下方向に移動させて蓋体のパッキンが洗浄槽の上縁面に当接するようにして蓋体と洗浄槽間を密封するように構成したものがある。(特許文献1参照。)
【0004】
上記特許文献1の食器洗浄機では、食器洗浄機の前面視において、蓋体を支持する機構としてのクランプ部材に対して蓋体が左右方向に相対的に多少移動することを許容することで、多少の組み立て誤差がある場合であっても、洗浄槽の収納位置への移動に伴って蓋体が円滑に下方向に移動するようできるから、洗浄槽の収納位置への移動が容易に行えるものとなる。
【0005】
しかし、輸送時や設置時の取扱不備などによって洗浄槽を収納する洗浄機本体に左右方向の歪みが生じた場合には、洗浄槽の上縁面に対するパッキンの左右方向の位置がずれるおそれがあり、その密封性が低下し、蒸気漏れ、水漏れを生じることになる。
【0006】
これに対し、蓋体の下面の前方又は後方の左右にカム凹部を、また、洗浄槽の上面の前方又は後方の左右にカム凸部を備え、上記カム凹部、カム凸部は、蓋体が下降したとき、上記カム凹部にカム凸部が嵌り込んで蓋体を洗浄槽上縁面に対して左右方向に移動させるカム面を有するようにしておき、カム凹部、カム凸部が互いに嵌合されたとき、左右方向へずれている分だけ蓋体が左右方向に押されて、蓋体の洗浄槽に対する左右方向の位置が調整されるように構成したものがある。(特許文献2参照。)
【0007】
この特許文献2の食器洗浄機では、蓋体の洗浄槽に対する左右方向の位置が調整されるものであるが、食器洗浄機の前方における蓋体の洗浄槽に対する左右方向の位置、および、食器洗浄機の後方における蓋体の洗浄槽に対する左右方向の位置の両方の位置が調整されるようにするためには、蓋体の下面の前方および後方の左右にカム凹部を、また、洗浄槽の上面の前方および後方の左右にカム凸部を備える必要があるから、蓋体および洗浄槽に備えるカム凹部またはカム凸部の数が多くなってしまうという不利があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−038406号公報
【特許文献2】特開2008−167918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の特許文献2の食器洗浄機では、蓋体の洗浄槽に対する左右方向の位置が調整されるものであるが、食器洗浄機の前方における蓋体の洗浄槽に対する左右方向の位置、および、食器洗浄機の後方における蓋体の洗浄槽に対する左右方向の位置の、前方および後方の両方の位置における左右方向の位置が調整されるようにするためには、蓋体の下面の前方および後方の左右にカム凹部を、また、洗浄槽の上面の前方および後方の左右にカム凸部を備える必要があるから、蓋体および洗浄槽に備えるカム凹部またはカム凸部の数が多くなり構造が複雑になるという不利がある。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成で、食器洗浄機の前方における蓋体の洗浄槽に対する左右方向の位置、および、食器洗浄機の後方における蓋体の洗浄槽に対する左右方向の位置の、前方および後方の両方の位置における左右方向の位置が調整されるようにした食器洗浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明にかかる食器洗浄機は、洗浄すべき食器類が収容される洗浄槽と、前記洗浄槽が出し入れされる前面開口部を有し、洗浄運転を実行する洗浄機本体と、前記洗浄機本体の前記前面開口部を開閉する扉部と、前記洗浄槽が洗浄機本体内の最終収納位置まで収納された収納状態では前記洗浄槽に設けられた食器類の出し入れ用の上面開口部を封止し、前記洗浄槽が前記洗浄機本体から引き出された引き出し状態では前記洗浄槽の前記上面開口部から離間するように、前記洗浄槽の出し入れに連動して前記上面開口部を開閉する内蓋と、を具備し、前記洗浄機本体の筐体は、直方体の箱状に形成されており、直方体を構成する6面から前記前面開口部となる1面を除いた、左右の両側面、天面、底面、および、後面の5面によって構成され、前記洗浄槽は、左右のレールを介して、前記左右の両側面または前記底面に支持され、前記洗浄槽が前記収納状態にあるとき、前記内蓋が前記上面開口部を封止する際に前記内蓋の後端部と前記筐体との相互間の左右方向の位置を規制する蓋後端横方向規制手段を設け、かつ、前記洗浄槽が前記収納状態に至るときに前記内蓋の前端部と前記洗浄槽との相互間の左右方向の位置を規制する蓋前端横方向規制部を設け、前記蓋前端横方向規制部は、前記内蓋の前端部の左右両側から垂下形成される左右の突起であり、前記内蓋が前記上面開口部を封止したときに、前記左右の突起の間に前記洗浄槽の上縁の外周縁が嵌入し、前記左右の突起は、帯状の金属片を前記内蓋の前端部における左右両側に止着して成り、前記洗浄槽を中心として外側に先広がりとなる傾斜部を設け、前記帯状の金属片には、上下方向に伸びる帯状の滑らかな凸部を形成してあり、前記凸部が突出する方向が左右の前記帯状の金属片の間に向けた方向であること、を特徴としている。
【0015】
また、請求項記載の発明にかかる食器洗浄機は、請求項に記載の発明において、前記洗浄槽が前記引き出し状態から前記収納状態に至る収納位置の内、前記最終収納位置より前記洗浄槽が所定量引き出された収納位置から前記最終収納位置に至る収納範囲である、洗浄槽−内蓋連動収納範囲に前記洗浄槽が位置するときに、前記洗浄槽の収納および引き出しに伴い、前記洗浄槽の収納方向および引き出し方向への移動量と同じ移動量で前記内蓋が収納方向および引き出し方向移動することで、前記上面開口部の開閉が行われ、前記洗浄槽が前記洗浄槽−内蓋連動収納範囲以外の収納位置にあるときには、前記左右の突起と前記洗浄槽とは接触しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明(請求項1)は、直方体を構成する6面から前記前面開口部となる1面を除いた、左右の両側面、天面、底面、および、後面の5面によって構成され、直方体の箱状に形成された洗浄機本体の筐体における筐体の後部の剛性が高く変形が生じにくくなっていることによる特性を有効に利用するものであり、洗浄槽後部と洗浄機本体(筐体)後部との相対的な位置のずれは生じにくくなっているから、洗浄機の後部においては、洗浄機本体(筐体)に対する内蓋の後端の左右方向へのずれを規制するだけの簡単な構成で、洗浄槽と内蓋との相対的なずれも生じにくいようにできる。そして、洗浄機本体(筐体)は前面が開口しているから、横方向の外力に対するその剛性は小さいものであり、輸送時や設置時の取扱不備などによって洗浄機本体(筐体)の前部は左右方向の歪みが生じるおそれがあるものであるから、洗浄槽と洗浄機本体(筐体)との相対的な位置のずれは生じ易いものであることに配慮し、洗浄機前部においては、洗浄機本体(筐体)に対する内蓋の前端の左右方向へのずれを規制しても、洗浄槽と内蓋との横方向の相対的なずれは防止し難いものであるから、内蓋の前端部と洗浄槽との相互間の左右方向の位置を規制する蓋前端横方向規制部により洗浄槽と内蓋との横方向の相対的なずれが生じないようにすることができる。
【0017】
つまり、洗浄機本体(筐体)の後部と前部の剛性に応じた簡単な構成で、内蓋の前端部から後端部に亘る全域で内蓋と洗浄槽との相互間の左右方向の位置のずれを規制でき、洗浄用湯水の洗浄槽からの漏出を防止することができる。
【0018】
また、本発明(請求項)によれば、内蓋の前端部の左右両側から左右の突起を垂下形成しておき、内蓋が洗浄槽の上面開口部を封止するときに、この左右の突起の間に洗浄槽の上縁の外周縁が嵌入するようにするだけの簡単な構成で、内蓋の前端部から後端部に亘る全域で内蓋と洗浄槽との相互間の左右方向の位置のずれを規制でき、洗浄用湯水の洗浄槽からの漏出を防止することができる。
【0019】
また、請求項の発明によれば、帯状の金属片を前記内蓋の前端部における左右両側に止着するだけの簡単な構成で、内蓋の前端部から後端部に亘る全域で内蓋と洗浄槽との相互間の左右方向の位置のずれを規制でき、洗浄用湯水の洗浄槽からの漏出を防止することができる。また、左右の突起には外側に先広がりとなる傾斜部を設けてあるから、内蓋の前端部における洗浄槽との左右方向のずれが大きいときにも適切に内蓋と洗浄槽との相互間の左右方向の位置のずれを規制でき、洗浄用湯水の洗浄槽からの漏出を防止することができる。
【0020】
また、請求項の発明によれば、帯状の金属片には、左右の前記帯状の金属片の間に向けた方向に突出する形態で、上下方向に伸びる帯状の滑らかな凸部を形成してあるから、左右の前記帯状の金属片の間に洗浄槽の上縁の外周縁が嵌入する際に、洗浄槽の上縁の外周縁が帯状の金属片(左右の突起)により損傷することが防止できる。
【0021】
また、請求項の発明によれば、請求項の発明による効果に加えて、前後方向(収納または引き出し方向に沿った方向)の摺動に起因する洗浄槽の磨耗や蓋前端横方向規制部Fの変形が防止できるものとなり、食器洗浄機の耐久性を良好なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例にかかる食器洗浄機の全体構成を示す概略斜視図である。
図2】本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する洗浄槽が引き出し状態にある場合を示す側面断面図である。
図3】本発明の実施例にかかる食器洗浄機の動作を説明する図であって、洗浄槽が引き出し状態にある場合を示す図である。
図4】本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する洗浄槽が引き出し状態と収納状態との間の中間状態にある場合を示す側面断面図である。
図5】本発明の実施例にかかる食器洗浄機の動作を説明する図であって、洗浄槽が引き出し状態と収納状態の中間状態にある場合を示す図である。
図6】本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する洗浄槽が収納状態にある場合を示す側面断面図である。
図7】本発明の実施例にかかる食器洗浄機の動作を説明する図であって、洗浄槽が収納状態にある場合を示す図である。
図8】本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する洗浄槽の収納状態を、一部を省略して示す平面図である。
図9】本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する洗浄槽の収納状態を、内蓋を除いて示す平面図である。
図10】本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成するクランプ部材の洗浄機本体への取り付け状態を示す斜視図である。
図11】本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する蓋前端横方向規制部Fの横断正面図である。
図12】本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する蓋前端横方向規制部Fの横断正面図である。
図13】本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する洗浄槽位置センサの取り付け状態を示す要部側面断面図である。
図14】本発明の実施例にかかる食器洗浄機を構成する蓋前端横方向規制部Fの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0024】
〔実施例1〕
この実施例の食器洗浄機は、略箱状で、前面側に、洗浄槽2を出し入れするための前面開口部3が形成され洗浄機本体(本体ケーシング)1を備えており、洗浄機本体1の内側の収納空間内には上述の洗浄槽2が、上記前面開口部3を通して略水平方向に出し入れすることができるような態様で収容されている。(図1参照。)
なお、洗浄機本体(本体ケーシング)1は、めっきや塗装を施した鉄などの金属板により直方体を成す箱状に形成されており、その左右の両側面、天面、底面、および、後面の5面によって筐体が構成され、直方体を構成する6面の内から、左右の両側面、天面、底面、および、後面の5面を除いた、残りの一面である前面のみが開口しており、この開口した前面が前面開口部3となっている。
【0025】
そして、この洗浄槽2の上面側には、食器類5(図1)や洗浄かご6(図6など)を出し入れするための上面開口部4が設けられている。また、洗浄機本体1の内側の上部には、洗浄槽2の上面開口部4を開閉する内蓋10が略上下方向に昇降可能に保持された状態で配置されている。さらに、洗浄機本体1内には、洗浄運転を実行するために、食器洗浄用の洗浄液を循環させるポンプ(図示せず)が設けられている。
【0026】
また、洗浄機本体1の左右の両側面の内側には、洗浄槽2を出し入れする際のガイド用の左右一対のレール7(図2)が配設され、その左右一対のレール7を介して洗浄槽2が洗浄機本体1の収納空間に対して、矢印Aで示す収納移動方向と、矢印Bで示す引き出し移動方向へスライド移動することができるように構成されている。
【0027】
洗浄槽2は、その前面側に洗浄機本体1の前面開口部3を開閉する扉部9(図1)が設けられており、この扉部9には把手8が設けられている。また、使用者が洗浄運転やその停止を行うための運転/停止スイッチ57などを有する操作パネルが設けられている。そして、使用者が把手8を把持して、洗浄槽2を引き出し移動方向Bへスライド移動させることにより、図1に示すように、洗浄槽2が洗浄機本体1の前方側に引き出されて、食器類5や洗浄かご6の取り出しや収納が可能になる。また、使用者が、洗浄槽2を収納移動方向Aへスライド移動させることにより、洗浄機本体1内に洗浄槽2を収納して、食器類5の洗浄および乾燥ができるように構成されている。
【0028】
内蓋10は、洗浄槽2が洗浄機本体1に収納移動されると閉状態となり、洗浄槽が洗浄機本体1から引き出し移動されると開状態となるように開閉動するように構成されており、閉状態においては食器洗浄時などにおいて洗浄水が洗浄槽2から飛散することを防止し、開状態においては洗浄槽2に食器類5などの出し入れができるように構成されている。
【0029】
内蓋10の左右の各側部には、カムフォロアとして機能する前後一対のカムピン37(図3)がそれぞれ外側に向けて突出するように設けられている。また、内蓋10の上部と洗浄機本体1の前端部との間には、内蓋10を洗浄機本体1の前面開口部3側に向けて付勢するコイルスプリングからなる蓋用スプリング38が介装されている。
【0030】
また、洗浄機本体1の側面の内側の上部左右の側端には、図10に示すように、前後一対の保持舌片23が内蓋10の各カムピン37に個別に対応するように洗浄機本体1と一体的に設けられている。そして、各前後一対の保持舌片23間には、クランプ部材26が上下方向(図5において、符号Cで示す方向)に移動可能な状態で嵌入されている。
【0031】
各クランプ部材26は、合成樹脂や金属製の成形品からなり、その上部には、内蓋10の前述のカムピン37がそれぞれ嵌入するカム溝22が、また、カム溝22の両端部の外側には各保持舌片23の上縁に当接して位置決め保持される保持片24が形成されている。さらに、クランプ部材26の下部には、洗浄槽2の後述の受け止め面35(図3(イ)など)が当接することで当該クランプ部材26の上方向への移動を規制するための当接部25が形成されている。
【0032】
前記カム溝22は図3に示すように、中心線Lを中心として左右対称形に略V字状に形成されており、洗浄槽2が洗浄機本体1内に収納されたときにはカムピン37はカム溝22の最下方位置に、洗浄槽2が洗浄機本体1から引き出されたときにはカムピン37はカム溝22の最上方位置にそれぞれ移行する。
【0033】
前記洗浄槽2は、その上面開口部4の外周に沿った各辺に外方に張り出したフランジ部32(図3(イ),図5(イ))が形成され、その内の左右の各フランジ部32からは下方へ向けて突出する状態で受け止め面35(図3(イ),図5(イ))が形成され、各受け止め面35の下縁がクランプ部材26の当接部25に対向している。
【0034】
洗浄機本体1の内側後方の上部左右の位置には、内蓋開閉操作具としての一対の案内レバー11(図3図5)がそれぞれ配置されている。各案内レバー11は、洗浄機本体1に固定された取付固定部12(図3図4図5図7等)、揺動支承軸39、プッシュレバー13、および案内ピン14を備えている。そして、プッシュレバー13の基端側は、取付固定部12に設けられた揺動支承軸39を軸心として揺動自在に取り付けられ、また、先端側には上下方向に沿って延びる円筒状の案内ピン14が設けられている。
【0035】
一方、内蓋10の後端部の左右には、洗浄槽2の移動方向と直交する方向に延びる長穴16(図3)が形成されており、各長穴16にプッシュレバー13の先端部の案内ピン14が常時嵌入されている。これにより、案内ピン14が長穴16に沿って摺動する摺動可能範囲内でプッシュレバー13が揺動し得るので、これに応じて内蓋10もプッシュレバー13の揺動可能範囲内で前後方向(図3(ロ)の左右方向)に沿って移動するように構成されている。そして、前述のように、内蓋10の左右にはカムピン37が固定されているので、内蓋10の前後の移動に伴ってカムピン37は、クランプ部材26のカム溝22に沿って摺動する。
【0036】
また、洗浄槽2の後方端の上部左右には、図9に示すように、洗浄槽溝15が案内レバー11に個別に対応して設けられている。この洗浄槽溝15は、例えば図3(ロ)に示すように、嵌合手前側当接部17と奥側当接部18とで囲まれた状態で形成されており、嵌合手前側当接部17は洗浄槽2の側面まで延び、また奥側当接部18は途中で後方側に後退するようにそれぞれ形成されている。そして、各洗浄槽溝15は、プッシュレバー13の揺動によってプッシュレバー13の先端の案内ピン14と係脱するように構成されている。
【0037】
また、洗浄機本体1内の後方箇所には、洗浄槽2を収納方向および引き出し方向に移動させる際にその移動力を補助するための左右一対のトグル機構27が設けられている。(図3図4
各トグル機構27は、洗浄槽2の後端部に係合用ピン36が配設される一方、洗浄機本体1の後端部には、略L字状のレバー29が枢支ピン31によって揺動自在に設けられ、このレバー29の枢支ピン31を挟む一端側には上記の係合用ピン36に係合する係合用切欠き28が形成され、他端側は洗浄機本体1に一端が固定されたコイルスプリング30(図3(イ),図5(イ))の他端が取り付けられて構成されている。これにより、レバー29に対するコイルスプリング30の付勢力(回動作用方向)が、図5(イ)に示す設定切換位置Dを境として時計方向と反時計方向とに切り換わるように構成されている。
【0038】
また、この実施例では、洗浄機本体1内の後部側にロック機構40が設けられている(図6)。このロック機構40は、洗浄運転時には洗浄槽2が洗浄機本体1内に収納されて引き出すことができない状態であるロック状態と、洗浄運転が行われていない状態では洗浄槽2を洗浄機本体1内から自由に引き出すことができる状態であるロック解除状態とを実現することができるように構成されているものであるが、本書では詳述しない。
【0039】
また、図13(イ),(ロ)に示すように、洗浄槽2の後端部には取付板52が設けられ、この取付板52に洗浄槽位置センサ53が固定されるとともに、この洗浄槽位置センサ53に近接してレバー54が揺動自在に取り付けられている。また、洗浄機本体1のレール7の取付板55にはレバー54に対向する位置にレバー押圧用の突起部56が形成されている。
【0040】
この洗浄槽位置センサ53は、洗浄槽2が最終収納位置にあるか否かを検出するものであって、例えば投光部53aと受光部53bとが対向配置されたフォトカプラからなる。そして、図13(イ)に示すように、レバー54が突起部55から離間していて投光部53aと受光部53bとの間に位置するときには、受光部53bの出力がオフするので、洗浄槽2が最終収納位置から前方に引き出されていることが検出され、また、図13(ロ)に示すように、レバー54が突起部55に押圧されて投光部53aと受光部53bとの間から離脱したときには、受光部53bの出力がオンするので、洗浄槽2が最終収納位置に収納されたことが検出されるように構成されている。
【0041】
次に、上記構成を備えた食器洗浄機の動作について説明する。
(1)洗浄槽2の収納移動および引き出し移動に伴う内蓋10の開閉動作
洗浄槽2が洗浄機本体1から引き出された状態では、図3(ロ)に示すように、洗浄機本体1の案内ピン14は洗浄槽溝15から離脱しており、また内蓋10は蓋用スプリング38(図4図8)で洗浄機本体1の前方開口側に引っ張られているので、各案内ピン14は内蓋10の長穴16内の外方端側の位置(以下、引き出し操作位置という)にある。このため、内蓋10のカムピン37はクランプ部材26のカム溝22の最上方位置に移行しており、内蓋10は上昇して洗浄槽2の上面開口部4から離脱している。
【0042】
この状態から洗浄槽2を収納方向Aへ次第に移動させていくと、洗浄槽2が図4および図5に示す中間位置に到達するまでの範囲では、洗浄槽溝15は案内ピン14に依然として係合しないので、案内ピン14は引き出し操作位置に保持されている。
【0043】
そして、洗浄槽2が図4および図5に示す中間位置に到達すると、図5(ロ)に示すように、洗浄槽2の手前側当接部17が案内ピン14に当接する。洗浄槽2をさらに収納方向Aへ移動させると、案内ピン14が洗浄槽2の手前側当接部17によって押圧されるので、案内ピン14は内蓋10の長穴16に沿って内方に向けて摺動するとともに、洗浄槽溝15内に嵌入する。これに伴いプッシュレバー13が図中反時計方向に回動する。このプッシュレバー13の回動によって内蓋10が蓋用スプリング38の引っ張り力に抗して収納方向Aへ押し移動される。そのため、内蓋10のカムピン37はクランプ部材26のカム溝22の最上方位置から最下方位置に向けて移行し、その結果、内蓋10が洗浄槽2の上面開口部4に向けて下降する。
【0044】
洗浄槽2を最終の収納位置まで移動させると、図7(ロ)に示すように、各案内ピン14は内蓋10の長穴16内の内方端側の位置(以下、収納操作位置という)に移行する。これに伴い、内蓋10のカムピン37はクランプ部材26のカム溝22の最下方位置に移行し、その結果、各クランプ部材26の当接部25が、洗浄槽2の受け止め面35に当接し、クランプ部材26の開閉方向Cへの移動が阻止されるとともに、内蓋10が洗浄槽2側に押し付けられて洗浄槽2の上面開口部4が確実に封止される。
【0045】
一方、洗浄槽2を最終の収納位置から引き出し方向Bへ移動させるときは、上記の説明とは逆の動作となる。すなわち、洗浄槽2の手前側当接部17による案内ピン14への押圧作用が解除されるとともに、内蓋10には蓋用スプリング38の引っ張り力が加わるため、案内ピン14は内蓋10の長穴16に沿って収納操作位置から引き出し操作位置に向けて摺動するとともに、内蓋10のカムピン37はクランプ部材26のカム溝22の最下方位置から最上方位置まで移行する。その結果、内蓋10が洗浄槽2の上部開口部から離間して開状態となる。
【0046】
このように、洗浄槽2を収納移動および引き出し移動すると、これに応じて案内レバー11、クランプ部材26のカム溝22、および蓋用スプリング38の相互作用によって内蓋10が連動して内蓋10の開閉操作が行われることになる。
【0047】
(2)洗浄槽2の収納移動および引き出し移動に伴うトグル機構27の動作
洗浄槽2を洗浄機本体1の収納空間に収納した状態では、図6図7(イ)に示すように、洗浄槽2から後方に向けて突出する係合用ピン36が、レバー29の係合用切欠き28内に嵌入し、コイルスプリング30の付勢力に起因するレバー29の回動力が、洗浄槽2の収納移動方向A側に作用する。
【0048】
その際、前述のように、洗浄槽2の手前側当接部17が案内ピン14に当接してこれを収納移動方向A側に押圧しているので、内蓋10のカムピン37がカム溝22内における最下方位置に位置し、その結果、内蓋10が洗浄槽2の上面開口部4を密閉した状態となる。
【0049】
この収納状態から洗浄槽2を引き出し移動方向B側へ移動すると、レバー29がコイルスプリング30の付勢力に抗して引き出し移動方向B側に回動され、レバー29が図5(イ)に示した設定切換位置Dを越えると、図3(イ)、図4に示すように、コイルスプリング30の付勢力に起因するレバー29の回動力が、引き出し移動方向B側に作用するように切り換わる。これにより、コイルスプリング30の付勢力によって、洗浄槽2が引き出し移動方向B側に押し出され、その後、係合用ピン36が係合用切欠き28から外れるとともに、前述のように内蓋10の上昇による洗浄槽2の上面開口部4の閉鎖が解除されるので、洗浄槽2を洗
浄機本体1から引き出すことができるようになる。
【0050】
この引き出し状態から逆に洗浄槽2を収納移動方向A側へ押し込むと、洗浄槽2から突出する係合用ピン36がレバー29の係合用切欠き28内に嵌入してこれを押圧するので、引き出し時とは逆に、レバー29をコイルスプリング30の付勢力に抗して収納移動方向A側に回動させる。そして、レバー29が設定切換位置Dを越えると、レバー29の回動力が収納移動方向A側に作用するように切り換わるので、コイルスプリング30の付勢力によって洗浄槽2が収納移動方向A側に引き込まれる。
【0051】
このように、洗浄槽2の収納移動および引き出し移動に伴って、トグル機構27のレバー29に対するコイルスプリング30の付勢力(回動作用方向)が、設定切換位置Dを境として時計方向と反時計方向とに切り換わるので、洗浄槽2の収納移動および引き出し移動を小さな操作力でもって行うことが可能になる。
【0052】
本実施形態の食器洗浄機は、上述の如き構成により、洗浄槽2の収納移動方向Aへの移動により、内蓋10の降下による洗浄槽2の上面開口部4の閉鎖を行うものであるが、上記で説明した構成に加えて、下記の構成を備えるものである。
【0053】
洗浄槽2の収納移動方向Aへの移動により、内蓋10の降下による洗浄槽2の上面開口部4の閉鎖を行うときに、内蓋10の後端が左右方向にずれることを規制する、蓋後端横方向規制部Rを備える。
具体的には、内蓋10が左右方向に大きくずれながら収納移動方向Aへ移動しようとした場合にも、取付固定部12と内蓋10の後方側における左右の両側端とが当接することで、内蓋10が左右方向へのずれが規制される。すなわち、取付固定部12が蓋後端横方向規制部Rとしての機能を兼ね備えている。(図8参照。)
【0054】
このようにすることで、洗浄機本体(本体ケーシング)1に対する内蓋10の後端の左右方向へのずれが規制される。洗浄機本体(本体ケーシング)1はその左右の両側面、天面、底面、および、後面の5面を鉄などの金属板により直方体を成す箱状に形成されているものであり、洗浄機本体(本体ケーシング)1の後部においては、その剛性が大きくなっているから、変形が生じにくくなっているものであり、レール7により洗浄機本体(本体ケーシング)1に取り付けられている洗浄槽2と洗浄機本体(本体ケーシング)1との相対的な位置のずれは生じにくくなっているから、洗浄機本体(本体ケーシング)1に対する内蓋10の後端の左右方向へのずれが規制されることで、洗浄槽2と内蓋10との相対的なずれも生じにくいものとなる。
【0055】
このようにして、内蓋10の後端の左右方向へのずれに起因する、洗浄槽2の上面開口部4の閉鎖不良による洗浄用湯水の洗浄槽2からの漏出を防止している。
【0056】
さらに、本実施形態の食器洗浄機は、浄槽2の収納移動方向Aへの移動により、内蓋10の降下による洗浄槽2の上面開口部4の閉鎖を行うときに、内蓋10の前端が洗浄槽2と左右方向にずれることを規制する、蓋前端横方向規制部Fを備える。
【0057】
この蓋前端横方向規制部Fの場合は、洗浄機本体(本体ケーシング)1は前面が開口しているから、横方向の外力に対するその剛性は小さいものであり、輸送時や設置時の取扱不備などによって洗浄機本体(本体ケーシング)1は左右方向の歪みが生じるおそれがある。したがって、洗浄槽2と洗浄機本体(本体ケーシング)1との相対的な位置のずれは生じ易いものであるから、洗浄機本体(本体ケーシング)1に対する内蓋10の前端の左右方向へのずれを規制しても、洗浄槽2と内蓋10との横方向の相対的なずれは防止し難いものである。
【0058】
そこで、この蓋前端横方向規制部Fの場合は、洗浄槽2と内蓋10との横方向の相対的なずれが生じないようにするために、以下の構成としている。
【0059】
図11図12図14に示すように、左右2つの蓋前端横方向規制部Fが、内蓋10の前端部における左右両側から垂下形成されている。さらに具体的には、蓋前端横方向規制部Fは内蓋10の前端部における左右両側から垂下形成されたときに、蓋前端横方向規制部Fが下に向けて外側に先広がりとなるように、略くの字状に成型された帯状の金属片を、内蓋10の前端部における左右両側に止着して構成してある。さらに詳しく説明すると、略くの字状に成型された帯状の金属片の一端を、内蓋10の前端部における左右両側に止着する部分から、略くの字状に成型された帯状の金属片の屈曲部までは略垂直に垂下した垂直部Vを構成し、略くの字状に成型された帯状の金属片の屈曲部から下の、上記一端に対する他端側が、洗浄槽2の外周側に向けて離れる方向に、下に向けて洗浄槽2を中心として外側に先広がりとなるように形成してあり、傾斜部RCを構成する。なお、本実施例においては、蓋前端横方向規制部Fと、内蓋10とは別部品としてあるが、蓋前端横方向規制部Fと、内蓋10とを樹脂成形品などによって一体に形成してもよい。
【0060】
蓋前端横方向規制部Fの上下方向と直交する方向である、帯状の金属片の幅方向の中間部は、上下方向に沿って帯状に押し加工を施すことで、上下方向に帯状の滑らかな凸部を形成してある。この上下方向に帯状の滑らかな凸部が突出する方向は、蓋前端横方向規制部Fが内蓋10の前端部における左右両側から垂下形成されたときに、左右の2つの蓋前端横方向規制部Fの間に向けた方向としてある。
【0061】
図11に示すように、洗から洗浄槽2を引き出され、内蓋10が上昇して洗浄槽2の上面開口部4から離脱した状態では、略くの字状に成型された帯状の金属片から成る蓋前端横方向規制部Fと洗浄槽2との間には間隙があり、蓋前端横方向規制部Fは洗浄槽2から離れた非接触状態となっている。(図11は正面視左側の蓋前端横方向規制部Fと洗浄槽2との位置関係を示している。)また、図12に示すように、洗浄槽2が洗浄機本体1に収納移動され、内蓋10が閉状態となった状態では、略くの字状に成型された帯状の金属片から成る蓋前端横方向規制部Fは、洗浄槽2の上縁の外周縁と当接し、洗浄槽2と内蓋10左右方向の相対位置にずれが生じないような状態となっており、このずれが生じていない状態で内蓋10が洗浄槽2側に押し付けられて洗浄槽2の上面開口部4が確実に封止される。
【0062】
洗浄機本体(本体ケーシング)1に洗浄槽2を収納する、または、洗浄機本体(本体ケーシング)1から洗浄槽2を引き出すことに伴う、内蓋10の前後方向(図1におけるAまたはBに沿った方向)の移動は、上述したように、プッシュレバー13の前後方向の遥動によって行われるものであるから、洗浄機本体(本体ケーシング)1に洗浄槽2を収納する、または、引き出すことに伴い内蓋10が上下に移動することになる、すなわち、洗浄槽2と内蓋10とが連動することになる洗浄槽2の収納位置の範囲(移動範囲)である洗浄槽−内蓋連動収納範囲に洗浄槽2が位置するときには、洗浄槽2の収納方向(図1におけるAまたはBに沿った方向)の移動量と、内蓋10の前後方向(図1におけるAまたはBに沿った方向)の移動量は等しい。なお、上記の洗浄槽−内蓋連動収納範囲とは、ピン14と洗浄槽2の手前側当接部17とが当接する、または、案内ピン14が洗浄槽溝15内に嵌入する洗浄槽2の収納位置の範囲ということになる。
【0063】
上記のように洗浄槽−内蓋連動収納範囲に洗浄槽2が位置するときには、洗浄槽2の収納方向(図1におけるAまたはBに沿った方向)の移動量と、内蓋10の前後方向(図1におけるAまたはBに沿った方向)の移動量は等しいから、洗浄機本体(本体ケーシング)1への洗浄槽2の収納、または、洗浄機本体(本体ケーシング)1からの洗浄槽2の引き出しに伴い、内蓋10がその最上方位置と最下方位置との中間位置(図5参照)に位置し、ピン14と洗浄槽2の手前側当接部17とが当接する、または、案内ピン14が洗浄槽溝15内に嵌入する収納位置の範囲に洗浄槽2が位置するときには、蓋前端横方向規制部Fが洗浄槽2と当接した場合にも、蓋前端横方向規制部Fと洗浄槽2との間には、前後方向(図1におけるAまたはBに沿った方向)の摺動が生じないことになり、前後方向(図1におけるAまたはBに沿った方向)の摺動に起因する磨耗や蓋前端横方向規制部Fの変形が生じないから好都合である。
【0064】
また、蓋前端横方向規制部Fにおいて略くの字状に成型された帯状の金属片の屈曲部から下側が、洗浄槽2の外周側に向けて離れる方向に、下に向けて外側に先広がりとなるように形成してあり、傾斜部RCを構成するものであるから、洗浄機本体(本体ケーシング)1への洗浄槽2の収納に伴って内蓋10が降下し始める際に、洗浄槽2と内蓋10との横方向のずれの大きさが多少大きい場合にも、傾斜部RCによってずれが修正されるから好都合である。
【0065】
さらに、蓋前端横方向規制部Fの上下方向と直交する方向である、帯状の金属片の幅方向の中間部は、上下方向に沿って帯状に押し加工を施すことで、上下方向に帯状の滑らかな凸部を形成してあり、この上下方向に帯状の滑らかな凸部が突出する方向は、蓋前端横方向規制部Fが内蓋10の前端部における左右両側から垂下形成された状態で、左右の2つの蓋前端横方向規制部Fの間に向けた方向としてあるから、蓋前端横方向規制部Fが洗浄槽2の上縁の外周縁と当接して上下方向に摺動した時にも、洗浄槽2の上縁の外周縁が蓋前端横方向規制部Fによって損傷しにくいものとなり好都合である。
【0066】
〔別実施例〕
なお、上記実施例では、洗浄機本体1の左右の両側面の内側に、洗浄槽2を出し入れする際のガイド用の左右一対のレール7が配設され、その左右一対のレール7を介して洗浄槽2が洗浄機本体1の収納空間に対して、収納移動方向と、引き出し移動方向へスライド移動することができるようにした構成を示したが、左右一対のレール7は洗浄機本体1の底面の内側に配設するように構成してもよい。
【0068】
なお、上記実施例の食器洗浄機では、トグル機構27を設けた例を示したが、ロック機構40を備えるため、このトグル機構27は必須のものではなく、トグル機構27を省略した構成とすることもできる。
【0069】
本発明は、さらにその他の点においても上記実施例に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 洗浄機本体(本体ケーシング)
2 洗浄槽
3 前面開口部
4 上面開口部
9 扉部
10 内蓋
40 ロック機構
41 ストライクピン(被係止部)
42 フック(係止部材)
43 捩りバネ(係止用付勢手段)
44 カム(係止解除用駆動手段)
50 フック位置センサ(係止部材位置センサ)
53 洗浄槽位置センサ
57 運転/停止スイッチ
58 コントローラ(制御手段)
59 ポンプ
60 カム駆動モータ
R 蓋後端横方向規制部
F 蓋前端横方向規制部
V 垂直部
RC 傾斜部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14