(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出射面を構成する複数の面のうち、前記発光素子の光軸と接触し、かつ前記入射面を構成するn個の平面のそれぞれに対応するn個の曲面は、それぞれ、当該平面に対して凸形状の曲面である、請求項1に記載の光束制御部材。
前記出射面を構成する複数の面に含まれる前記n個の曲面は、それぞれ、前記出射面の前記発光素子の光軸に直交する断面において直線となるように形成されている、請求項2に記載の光束制御部材。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明の光束制御部材の代表例として、発光素子から出射された光を正方形(n角形:n=4)状の被照射面に効率的に照射することができる照明用レンズについて説明する。
【0015】
なお、本明細書において「正方形状の被照射面」とは、光が照射される面であって、光の照射範囲が正方形状である面を意味する。したがって、「正方形状の被照射面」は、正方形状の平板には限定されない。たとえば、円形の平板に正方形状に光を照射する場合、光が照射される面は「正方形状の被照射面」に該当する。
【0016】
(実施の形態1)
[照明用レンズおよび発光装置の構成]
図1〜5は、実施の形態1の照明用レンズ100の構成を示す図である。
図1Aは、照明用レンズ100の上面斜視図であり、
図1Bは、照明用レンズ100の下面斜視図である。
図2Aは、照明用レンズ100の平面図であり、
図2Bおよび
図4は、照明用レンズ100の底面図である。
図3Aは、
図2Aに示されるA−A線の断面図であり、
図3Bは、
図2Aに示されるB−B線の断面図であり、
図3Cは、
図2Aに示されるC−C線の断面図である。
図5は、
図3Bに示されるD−D線の断面図である。
【0017】
なお、
図3Aでは、照明用レンズ100と共に発光素子200も図示している。すなわち、
図3Aは、実施の形態1の発光装置300の断面図でもある。
【0018】
図1〜3に示されるように、照明用レンズ100は、発光素子200から出射された光を入射する入射面110と、入射面110から入射した光を正方形(n角形:n=4)状の被照射面に向けて出射する出射面120と、外周部に設けられたフランジ130と、フランジ130の底面側に設けられた円柱状の足140とを有する。
【0019】
照明用レンズ100は、一体成形により形成されている。照明用レンズ100の材料は、所望の波長の光を通過させ得るものであれば特に限定されない。たとえば、照明用レンズ100の材料は、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリカーボネート(PC)、エポキシ樹脂(EP)などの光透過性樹脂、またはガラスである。
【0020】
照明用レンズ100は、中心軸CAが発光素子200の光軸に合致するように、発光素子200が固定された基板(図示せず)上に取り付けられる(
図3A参照)。フランジ130および足140は、照明用レンズ100を基板に固定するために設けられている。照明用レンズ100および発光素子200は、発光装置300を構成する。発光素子200は、例えば白色発光ダイオードなどの発光ダイオード(LED)である。
【0021】
照明用レンズ100の入射面110は、照明用レンズ100の底部(出射面120の反対側に位置する)に形成された凹部111の内面である。凹部111の形状は、略四角錐形状である。すなわち、入射面110は、照明用レンズ100の底部の発光素子200に対応する位置に形成され、照明用レンズ100の底部に対して凹形状の四角錐面(四角錐の側面)である。凹部111の開口部の形状(四角錐の底面の形状)は、被照射面の形状(正方形)と略相似形状である。また、照明用レンズ100の中心軸CA(発光素子の光軸)に直交する方向(以下「水平方向」ともいう)の任意位置での入射面110の断面形状も、被照射面の形状(正方形)と略相似形状である。ここで、上記「任意位置」は、凹部111の各平面112(後述するR面113ではない面)を横切る位置である。また、後述するように、四角錐はR面取りされており、入射面110の水平方向の断面の角部にはR部分が形成される。したがって、入射面110の水平方向の断面の形状は、被照射面の形状(正方形)と「略」相似形状である。
【0022】
凹部111の各平面112の境界(稜線および頂点)は、R面113となっている(
図2B参照)。したがって、凹部111の頂部近傍における水平方向の断面の形状は、直線部分が少なく円形に近い。入射面110の各平面112の境界がR面113ではない場合、被照射面の中央部および対角線上に光を向かわせることができず、照度ムラが生じてしまう。R面113の半径は、被照射面の照度ムラを防止することができれば特に限定されない。たとえば、R面113の半径は、以下のように設定される。
【0023】
図6に示されるように、R面を含まない入射面に光が入射したと仮定する。発光素子の発光点O(光軸上の点)から光軸方向に出射される光(実線)が、
図6において左側に示される入射面S1に入射した場合、光は、出射面上の点B1を経由して被照射面上の点A1に到達する。一方、発光素子の発光点Oから光軸方向に出射される光(実線)が、
図6において右側に示される入射面S2に入射した場合、光は、出射面上の点B2を経由して被照射面上の点A2に到達する。このとき、被照射面上の点A1と点A2との間の領域は、光量不足により暗部となってしまう。この領域が暗部とならないように、R面を形成する。
【0024】
線分OB1と入射面S1との交点をb1とし、線分OB2と入射面S2との交点をb2としたとき、点b1および点b2を接点とする内接円の半径が、R面の最小半径となる。このようにR面を形成することで、出射面の点B1と点B2との間にも光が到達し、被照射面の点A1と点A2との間にも光を照射することができる。
【0025】
R面の半径を上記最小半径以上とすることで、被照射面の暗部の発生を抑制することができる。暗部の発生をより確実に抑制するためには、
図6に示される点a1および点a2を接点とする内接円の半径を、R面の半径とすることが好ましい。ここで、点a1は、線分OA1と入射面S1との交点であり、点a2は、線分OA2と入射面S2との交点である。なお、R面の領域を必要以上に大きくして、入射面110の形状が球面に近くなると、光軸近傍の出射光を被照射面の周縁方向に振り分けることができず、被照射面の中心部に明部が発生してしまう。
【0026】
ここでは、角錐面の頂点部分のR面の半径について説明したが、角錐面の稜線部分のR面の半径も同様である。
【0027】
入射面110の説明に戻る。角錐面の稜線部分のR面113のうち、頂点近傍の領域(
図4において「E」で示される領域)は、粗面化されている。このように粗面化することで、被照射面に十字形(X字形)の照度ムラが発生するのを抑制することができる。なお、R面113の全面を粗面化してしまうと、被照射面の四隅における照度が低下するおそれがある。
【0028】
前述の通り、照明用レンズ100は、中心軸CAが発光素子200の光軸に合致するように配置される。このとき、発光素子200の光軸は、角錐面(入射面110)の頂点を通過する(
図3A参照)。
【0029】
出射面120は、照明用レンズ100において入射面110の反対側に位置する。出射面120の水平方向の断面形状(光軸に直交する方向の断面形状)は、被照射面の形状(正方形)と略相似形状である(
図5参照)。
【0030】
入射面110の水平方向の断面形状および出射面120の水平方向の断面形状は、いずれも被照射面の形状(正方形)と略相似形状である。このとき、2つの略正方形の向きは、一致している。すなわち、
図5に示される出射面120の水平方向の断面において、被照射面の4つ(n=4)の角にそれぞれ対応する4つ(n=4)の角C1〜C4のうちの互いに隣接する角を結ぶ各直線(C1−C2,C2−C3,C3−C4,C4−C1)は、入射面110の水平方向の断面(正方形)の対応する辺と略平行である。また、照明用レンズ100と被照射面との位置関係は、入射面110の水平方向の断面における各辺および出射面120の水平方向の断面における各直線(C1−C2,C2−C3,C3−C4,C4−C1)が、それらの辺に対応する被照射面の各辺と略平行となるように配置される。
【0031】
なお、
図5に示される出射面120の水平方向の断面において、出射面120の断面は、被照射面の4つ(n=4)の角に対応する4つ(n=4)の角C1〜C4のうちの互いに隣接する角を結ぶ各直線(C1−C2,C2−C3,C3−C4,C4−C1)により形成される四角形と同じである(重複する)。
【0032】
図3Aおよび
図3Bに示されるように、出射面120を構成する4つ(n=4)の曲面は、入射面110を構成する4つ(n=4)の平面112のうち最も近接する平面112(対応する平面112)に対して凸形状の曲面である。また、出射面120を構成する4つ(n=4)の曲面は、水平方向には曲率を有していない(
図5参照)。すなわち、出射面120の水平方向の断面において、出射面120を構成する4つの曲面は、それぞれ直線となるように形成されている。この場合、発光素子200の周りに4つのシリンドリカルレンズを配置したような構成となる。このようにすることで、被照射面の周縁部に向けて光を集光させることができる。また、入射面110と異なり、出射面120を構成する4つ(n=4)の曲面の境界は、R面を有していない(
図1A参照)。ただし、金型を加工する際に必要となる最小のR面は形成されていてもよい。
【0033】
フランジ130および足140は、照明用レンズ100を支持する。前述の通り、フランジ130および足140は、照明用レンズ100を基板に固定するために設けられている。したがって、フランジ130および足140は、この目的を達成しうる形状であって、光学的に悪影響を与えない形状であれば、本実施の形態で示す形状に限定されない。
【0034】
実施の形態1の照明用レンズ100を使用することで、発光素子200の光軸方向に向かう光を減らすとともに、被照射面の四隅に向かう光を増やすことができる。その結果、実施の形態1の照明用レンズ100を使用することで、発光素子からの光を正方形状の被照射面に均一かつ効率的に照射することができる。
【0035】
図7Aは、実施の形態1の照明用レンズ100および発光素子200を含む発光装置300を使用して、正方形状の被照射面を照らしたときの照度分布を示す図である。この実験では、発光素子200と被照射面との間隔を250mmとした。また、被照射面の大きさは、500mm×500mmとした。
【0036】
本実験で使用した照明用レンズ100(PMMA製)の各部の大きさは次の通りである。
平面視したときの入射面110(略正方形)の1辺の長さ:8.2mm
平面視したときの出射面120(正方形)の1辺の長さ:7.67mm
凹部111の開口部から出射面120の頂点までの高さ:4mm
R面113の半径:2mm
【0037】
図7Aでは、正方形状の被照射面(500mm×500mm)に色を付している。各数値は、当該部位における照度(単位:lx)である。
図7Aに示されるように、実施の形態1の照明用レンズ100を使用した場合、正方形状の被照射面内にほぼ均一に光を照射することができた(192〜266lx)。一方、被照射面外には、ほとんど光が照射されなかった(12〜35x)。これらのことから、正方形状の被照射面が、均一かつ効率的に照らされていることがわかる。
【0038】
図7Bは、従来の照明用レンズおよび発光素子を含む発光装置を使用して、正方形状の被照射面を照らしたときの照度分布を示す図である。この実験では、従来の照明用レンズとして、
図8に示される照明用レンズ10(PMMA製)を使用した。
【0039】
図8Aは、従来の照明用レンズの平面図であり、
図8Bは、従来の照明用レンズの底面図であり、
図8Cは、
図8Aに示されるF−F線の断面図である。平面視したときの入射面11(円形)の直径は、実施の形態の照明用レンズ100の平面視したときの入射面110(略正方形)の内接円の直径とほぼ同じである。また、平面視したときの出射面12(円形)の直径は、実施の形態の照明用レンズ100の平面視したときの出射面120(正方形)の外接円の直径とほぼ同じである。
【0040】
図7Bに示されるように、従来の照明用レンズ10を使用した場合、正方形状の被照射面の中心部に比べて四隅の照度が低く、照度ムラが生じていた。また、被照射面外にも光が照射されたため(35〜73x)、実施の形態1の照明用レンズ100に比べて被照射面内の照度が低かった(66〜136lx)。
【0041】
このように、実施の形態1の照明用レンズ100を使用することで、従来の照明用レンズ10に比べて、発光素子200からの光を正方形状の被照射面に均一かつ効率的に照射することができる。
【0042】
なお、本発明者らは、
図9〜13に示される形状の照明用レンズについても同様の実験を行った。
【0043】
図9に示される照明用レンズは、出射面120の水平断面の形状が円形である点で、実施の形態1の照明用レンズ100と異なる。
図9Aは、上面斜視図であり、
図9Bは、下面斜視図である。
図9に示される照明用レンズを使用した場合、正方形状の被照射面の四隅が暗くなってしまった。
【0044】
図10に示される照明用レンズは、入射面110が円錐面(頂点近傍はR面となっている)である点で、実施の形態1の照明用レンズ100と異なる。
図10Aは、上面斜視図であり、
図10Bは、下面斜視図である。
図10に示される照明用レンズを使用した場合、正方形状の被照射面の中心領域が暗くなってしまった。
【0045】
図11に示される照明用レンズは、入射面110の各面の境界にR面が無い(稜線がある)点で、実施の形態1の照明用レンズ100と異なる。
図11Aは、上面斜視図であり、
図11Bは、下面斜視図である。
図11に示される照明用レンズを使用した場合、正方形状の被照射面の中心領域および対角線の近傍領域が暗くなってしまった。
【0046】
図12に示される照明用レンズは、出射面120の各面の境界にR面があり(稜線が無い)、かつ入射面110の各面の境界にR面が無い(稜線がある)点で、実施の形態1の照明用レンズ100と異なる。
図12Aは、上面斜視図であり、
図12Bは、下面斜視図である。
図12に示される照明用レンズを使用した場合も、正方形状の被照射面の中心領域および対角線の近傍領域が暗くなってしまった。
【0047】
図13に示される照明用レンズは、照明用レンズ100を平面視したときに、入射面110の外縁により形成される正方形と出射面の外縁により形成される正方形とが45°ずれており、かつ入射面110の各面の境界にR面が無い(稜線がある)点で、実施の形態1の照明用レンズ100と異なる。
図13Aは、上面斜視図であり、
図13Bは、下面斜視図である。
図13に示される照明用レンズを使用した場合、正方形状の被照射面の中心領域および対角線の近傍領域に光が集中してしまった。
【0048】
以上の実験結果から、正方形状の被照射面を均一かつ効率的に照射するためには、以下の1)〜3)の条件を満たすことが重要であることがわかる。
1)入射面110が、各面の境界がR面である角錐面であること。
2)入射面110の水平断面の形状が、被照射面の形状と略相似形状であること。
3)出射面120の水平断面の4つの角が、入射面110の水平断面の4つの角と対応すること。すなわち、出射面120の水平断面において、被照射面の4つの角に対応する4つの角のうちの互いに隣接する角を結ぶ各直線は、入射面110の水平断面の対応する辺と略平行であること。
【0049】
[照明装置の構成]
次に、実施の形態1の発光装置300を有する照明装置について説明する。
【0050】
図14は、実施の形態1の照明装置400の斜視図である。
図14に示されるように、照明装置400は、発光装置300および正方形状の被照射面410を有する。前述の通り、発光装置300は、照明用レンズ100および発光素子200を含む。
【0051】
被照射面410は、正方形(n角形:n=4)状の平面である。発光装置300は、照明用レンズ100の中心軸CAおよび発光素子200の光軸(
図3A参照)に対して被照射面410が直交するように配置される。このとき、照明用レンズ100の中心軸CAおよび発光素子200の光軸は、被照射面410の中心部を通過する。
【0052】
前述の通り、照明用レンズ100の入射面110の水平断面および出射面120の水平断面は、いずれも略正方形状である。ここで、これら2つの略正方形の各辺と、被照射面410の各辺とが互いに平行になるように、発光装置300は配置される。
【0053】
照明装置400は、発光装置300から出射された光により被照射面410を照らすことで使用される。実施の形態1の発光装置300は、正方形状の被照射面410を均一に照らすとともに、被照射面410外はほとんど照らさない。したがって、照明装置400は、正方形状の被照射面410を均一かつ効率的に照らすことができる。
【0054】
図15Aは、実施の形態1の発光装置300の配光分布を示すグラフである(測定角0°)。また、
図15Bは、実施の形態1の照明装置400の側面図である。
【0055】
図15Aに示されるように、実施の形態1の発光装置300は、所定の角度±θ
a(
図15Aのグラフでは約±50°)における照度が最も高くなる。このθ
aの値は、発光素子200の基板面に対する入射面110の角度および出射面120の各面の曲率により変化する。
図15Bに示されるように、発光装置300の中心軸(照明用レンズ100の中心軸CAに一致する)に対する、発光装置300と被照射面410の端部とを結ぶ線の角度をθ
Lとした場合、被照射面410を効率的に照らすためには、θ
L>θ
aとなるように発光装置300を配置することが好ましい。
【0056】
[効果]
実施の形態1の照明用レンズ100、発光装置300および照明装置400は、正方形状の被照射面410に発光素子200から出射された光を均一かつ効率的に照射することができる。
【0057】
(実施の形態2)
[照明用レンズおよび発光装置の構成]
図16〜19は、実施の形態2の照明用レンズ500の構成を示す図である。
図16Aは、照明用レンズ500の平面図であり、
図16Bは、照明用レンズ500の底面図である。
図17は、照明用レンズ500の側面図である。
図18Aは、
図16Aに示されるA−A線の断面図であり、
図18Bは、
図16Aに示されるB−B線の断面図であり、
図18Cは、
図16Aに示されるC−C線の断面図である。
図19Aは、
図18Bに示されるD−D線の断面図であり、
図19Bは、
図18Bに示されるE−E線の断面図である。
【0058】
なお、
図18Aでは、照明用レンズ500と共に発光素子200も図示している。すなわち、
図18Aは、実施の形態2の発光装置600の断面図でもある。
【0059】
図16〜19に示されるように、実施の形態2の照明用レンズ500は、実施の形態1の照明用レンズ100と同様に、入射面110、出射面510、フランジ130および足140を有する。実施の形態2の照明用レンズ500および発光装置600は、照明用レンズの出射面以外の構成要素については実施の形態1の照明用レンズ100および発光装置300とほぼ同一である(入射面のR面の半径などがわずかに異なる)。そこで、実施の形態1の照明用レンズ100および発光装置300と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
出射面510は、照明用レンズ500において入射面110の反対側に位置する。
図17に示されるように、出射面510は、上方(光軸上における光の進行方向)に位置する4つの面510aと、側方(フランジ130側)に位置する4つの面510bとからなる。上方に位置する4つの面510aは、実施の形態1の照明用レンズ100の出射面120の一部と同一形状である(
図3Aと
図18Aとを比較参照)。一方、側方に位置する4つの面510bは、それぞれ光軸に対して略平行な面(フランジ130に対して略垂直な面)である。出射面510の上方部分における水平方向の断面形状は、被照射面の形状(正方形)と略相似形状である(
図19B参照)。一方、出射面510の下方部分における水平方向の断面形状は、被照射面の形状(正方形)と略相似形状ではない(
図19A参照)。
【0061】
出射面510の水平方向の断面における、被照射面の4つ(n=4)の角に対応する4つ(n=4)の角C1〜C4の位置は、入射面110の水平方向の断面における4つ(n=4)の角と対応している。すなわち、
図19Aおよび
図19Bに示される出射面510(510a,510b)の水平方向の断面において、被照射面の4つ(n=4)の角に対応する4つ(n=4)の角C1〜C4のうちの互いに隣接する角を結ぶ各直線(C1−C2,C2−C3,C3−C4,C4−C1)は、入射面110の水平方向の断面(正方形)の対応する辺と略平行である。照明用レンズ500と被照射面との位置関係は、入射面110の水平方向の断面における各辺および出射面510の水平方向の断面における各直線(C1−C2,C2−C3,C3−C4,C4−C1)が、それらの辺に対応する被照射面の各辺と略平行となるように配置される。
【0062】
図19Aに示される出射面510の下方部分における水平方向の断面において、出射面510(510b)の断面は、被照射面の4つ(n=4)の角に対応する4つ(n=4)の角C1〜C4のうちの互いに隣接する角を結ぶ各直線(C1−C2,C2−C3,C3−C4,C4−C1)により形成される四角形の内部に含まれる。一方、
図19Bに示される出射面510の上方部分における水平方向の断面において、出射面510(510a)の断面は、被照射面の4つ(n=4)の角に対応する4つ(n=4)の角C1〜C4のうちの互いに隣接する角を結ぶ各直線(C1−C2,C2−C3,C3−C4,C4−C1)により形成される四角形と同じである(重複する)。
【0063】
図18Aおよび
図18Bに示されるように、出射面510を構成する8つの面のうち、発光素子の光軸(照明用レンズ500の中心軸CA)と接触し、かつ入射面110を構成する4つ(n=4)の平面112のそれぞれに対応する4つの曲面510aは、それぞれ、最も近接する平面112(対応する平面112)に対して凸形状の曲面である。また、これらの4つ(n=4)の曲面510aは、水平方向には曲率を有していない(
図19B参照)。すなわち、照明用レンズ500の中心軸CAに直交する断面(水平方向の断面)において、4つ(n=4)の曲面510aは、それぞれ直線となるように形成されている。この場合、発光素子200の周りに4つのシリンドリカルレンズを配置したような構成となる。このようにすることで、被照射面の周縁部に向けて光を集光させることができる。また、これらの4つ(n=4)の曲面510aの境界は、R面を有していない(
図16A参照)。
【0064】
実施の形態2の照明用レンズ500を使用することで、実施の形態1の照明用レンズ100と同様に、発光素子からの光を正方形状の被照射面に均一かつ効率的に照射することができる。
【0065】
図20Aは、実施の形態2の照明用レンズ500および発光素子200を含む発光装置600を使用して、正方形状の被照射面を照らしたときの照度分布を示す図である。また、
図20Bは、実施の形態1の照明用レンズ100および発光素子200を含む発光装置300を使用して、正方形状の被照射面を照らしたときの照度分布を示す図である。
【0066】
図20Aおよび
図20Bに示されるように、実施の形態1の照明用レンズ100を使用した場合も、実施の形態2の照明用レンズ500を使用した場合も、正方形状の被照射面内にほぼ均一に光を照射することができた。一方、被照射面外には、ほとんど光が照射されなかった。また、
図20Aと
図20Bとを比較すると、実施の形態2の照明用レンズ500を使用した場合、実施の形態1の照明用レンズ100を使用した場合よりも、被照射面外への光の照射がより抑制されており、正方形状の被照射面がより効率的に照らされていた。
図20Aおよび
図20Bに示される測定結果において、測定範囲の最外縁と色付きの被照射面との間の測定ポイントの照度値(図中、二重線で囲む測定値)を比較すると、実施の形態1の照明用レンズ100を使用した場合に比べて(151〜204)、実施の形態2の照明用レンズ500を使用した場合の方が低くなっている(59〜131)。このことから、実施の形態2の照明用レンズ500の方が、実施の形態1の照明用レンズ100よりも、照射領域を正方形状に制御する効果が高いということがわかる。
【0067】
[効果]
実施の形態2の照明用レンズ500および発光装置600ならびに実施の形態2の発光装置600を有する照明装置(不図示;
図14参照)は、実施の形態1の照明用レンズ100、発光装置300および照明装置400と同様に、正方形状の被照射面に発光素子200から出射された光を均一かつ効率的に照射することができる。
【0068】
なお、上記各実施の形態では、正方形(n角形:n=4)状の被照射面を照射するための照明用レンズ100,500、発光装置300,600および照明装置400について説明したが、本発明の照明用レンズ、発光装置および照明装置はこれに限定されない。被照射面の形状は、多角形(n角形:nは3以上の整数)であれば特に限定されず、三角形(n=3)や五角形(n=5)、六角形(n=6)などであってもよい。この場合、入射面の水平断面の形状は、被照射面の形状(多角形)と略相似形状となる。