(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願に係る情報提供システム、情報提供装置および情報提供方法の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報提供システム、情報提供装置および情報提供方法が限定されるものではない。
【0012】
〔1.情報提供システム〕
まず、実施形態に係る情報提供システムの構成について説明する。
図1Aは、実施形態に係る情報提供システムの構成を示す図である。
【0013】
図1Aに示すように、実施形態に係る情報提供システムは、無線LAN(Local Area Network)アクセスポイントと、情報提供装置とを備える。無線LANアクセスポイントおよび情報提供装置は、通信ネットワークを介して接続される。通信ネットワークは、例えば、インターネットなどのIP(Internet Protocol)ネットワークである。
【0014】
無線LANアクセスポイントは、無線LAN通信部を備えており、かかる無線LAN通信部によって、無線端末と相互に無線通信可能である。無線LANアクセスポイントは、例えば、小売店、飲食店、美容院・理容院、病院、ホテル、映画館、複合レジャー施設などの他、駅、商店街、コンサートやスポーツなどが行われるイベント会場などの商業空間を無線LAN通信エリア(以下、AP通信エリアと記載する)とする。
【0015】
また、無線LANアクセスポイントは、通信ネットワークと接続する通信部を備えており、無線端末と通信ネットワーク側装置との間の送受信データを中継する中継機能を有する。通信ネットワーク側装置は、例えば、情報提供装置やサーバ(例えば、ウェブサイト)である。
【0016】
無線端末は、WAN(Wide Area Network)である携帯電話通信網の携帯電話基地局(無線WAN基地局の一例)を経由して通信ネットワークに接続されたサーバ(例えば、ウェブサイト)へのアクセスが可能である。携帯電話通信網は、図示しないゲートウェイサーバを介して通信ネットワークに接続される。また、無線端末は、無線LAN通信機能を搭載した携帯電話機であり、無線LANアクセスポイントのAP通信エリア内では、無線LANアクセスポイント経由でもサーバへのアクセスが可能である。
【0017】
情報提供装置は、通知用情報を記憶するデータベース(以下、DBと記載する)を備えており、かかるDBに記憶された通知用情報のうち、無線端末が存在する無線LANアクセスポイントに対応する通知用情報を選択してDBから取得して、無線端末へ送信する。
【0018】
情報提供装置は、通知用情報を通知する通信媒体(以下、通知用通信媒体と記載する)として、無線LANアクセスポイントおよび無線WAN基地局のうちのいずれかを選択する。かかる通知用通信媒体の選択は、無線LANアクセスポイント経由の無線端末と通信ネットワークとの間の通信トラヒックの状態に基づいて行われる。
【0019】
このように、通信トラヒックの状態に基づいて通知用情報を無線端末へ送信することで、無線LANアクセスポイントの通信エリア内に存在する無線端末への情報提供を適切に行うことができる。
【0020】
〔2.情報提供方法〕
次に、情報提供システムによる情報提供方法の一例について説明する。
図1Bは、実施形態に係る情報提供方法の説明図である。
【0021】
図1Bに示すように、無線LANアクセスポイントは、送受信データを中継している無線端末と通信ネットワーク側装置との間の通信トラヒックを検出する(ステップS1)。通信トラヒックは、例えば、通信ネットワーク側から無線LANアクセスポイントへ送信される通信パケットの量に基づいて判定される。
【0022】
無線LANアクセスポイントは、検出した通信トラヒックの情報を検出情報として情報提供装置へ送信する(ステップS2)。情報提供装置は、無線LANアクセスポイントから送信される検出情報を取得し、内部のDBへ記憶する(ステップS3)。
【0023】
その後、無線端末が無線LANアクセスポイントのAP通信エリアへ進入し、無線端末から無線LANアクセスポイントへ無線信号が送信されると(ステップS4)、無線LANアクセスポイントは、無線端末から送信される無線信号に基づき、端末情報として、無線端末の端末IDや電波強度情報を検出する(ステップS5)。
【0024】
端末IDは、例えば、無線端末の無線LAN通信部のMACアドレス(Media Access Control address)であり、電波強度情報は、例えば、無線端末から送信されて無線LANアクセスポイントで受信される無線信号の電波強度の情報である。無線LANアクセスポイントは、端末情報およびAP−IDなどを含む情報を端末情報として、情報提供装置へ送信する(ステップS6)。AP−IDは、無線LANアクセスポイントの識別情報である。
【0025】
情報提供装置は、無線LANアクセスポイントから送信される端末情報で特定される無線端末に対し、通信トラヒックの状態に基づいて通知用通信媒体を決定する(ステップS7)。通知用通信媒体としては、無線LANアクセスポイントと携帯電話基地局とがある。
【0026】
情報提供装置は、通信トラヒック量が少ない場合、例えば、
図1Aに示すように、電波強度閾値を「2」とし、端末情報で特定される無線端末の電波強度が「2」以上であれば、通知用通信媒体を無線LANアクセスポイントに決定する。一方、報提供装置は、端末情報で特定される無線端末の電波強度が「2」未満であれば、通知用通信媒体を携帯電話基地局に決定する。
【0027】
また、情報提供装置は、通信トラヒック量が多い場合、例えば、
図1Aに示すように、電波強度閾値を「5」とし、端末情報で特定される無線端末の電波強度が「5」以上であれば、通知用通信媒体を無線LANアクセスポイントに決定する。一方、情報提供装置は、端末情報で特定される無線端末の電波強度が「5」未満であれば、通知用通信媒体を携帯電話基地局に決定する。ここでは、無線端末の電波強度を0〜10の範囲で強度が高いほど値が大きくなる強度レベルで表している。
【0028】
なお、情報提供装置は、通信トラヒック量が多い場合であっても、AP通信エリア内に存在する無線端末の数が少ない場合には、電波強度閾値を「5」よりも低い値にすることができる。この場合、情報提供装置は、無線LANアクセスポイントから送信される端末情報に基づいて無線端末の数を検出する。
【0029】
情報提供装置は、通知用通信媒体を無線LANアクセスポイントに決定すると、通知用情報を通信ネットワークを介して無線LANアクセスポイントへ送信し(ステップS8a)、無線LANアクセスポイントから通知用情報を無線端末へ通知させる(ステップS9a)。一方、情報提供装置は、通知用通信媒体を携帯電話基地局に決定すると、通信ネットワークから通知用情報を携帯電話通信網の無線端末宛へ送信し(ステップS8b)、携帯電話基地局から通知用情報を無線端末へ通知させる(ステップS9b)。
【0030】
無線端末は、無線LANアクセスポイントまたは携帯電話基地局から通知用情報を受信すると、表示部に通知用情報を表示する(ステップS10)。このように表示される通知用情報は、無線端末を検出した無線LANアクセスポイントに対応する通知用情報である。例えば、無線LANアクセスポイントの設置場所(以下、AP設置場所と記載する場合がある)である「A店舗」に関連する情報が通知用情報として無線端末の表示部に表示される。
【0031】
このように、実施形態に係る情報提供システムでは、無線端末が無線LANアクセスポイントの通信エリア内に入った場合に、この無線LANアクセスポイントに対応する通知用情報が無線端末へ通知される。
【0032】
そのため、例えば、無線LANアクセスポイントを店舗に設置した場合、店舗に入った無線端末のユーザに対して店舗の情報を通知することができ、これにより、ユーザに対して店舗の情報を効果的に通知することが可能となる。また、ユーザにとっても、入店した店舗とは全く関係ない情報が無秩序に通知されることがなく、ユーザに対して不快感を与えない。
【0033】
しかも、実施形態に係る情報提供システムでは、無線端末と通信ネットワーク側装置との通信トラヒックに応じて、異なる通信ルートから適切な通知用情報を無線端末に通知することができる。
【0034】
無線LANアクセスポイントにおいて通信トラヒック量が多い場合には、通知用情報を無線LANアクセスポイントから無線端末へ送信すると、無線LANアクセスポイント経由の無線端末と通信ネットワーク側装置との間の通信に対して影響がでる可能性がある。実施形態に係る情報提供システムでは、通信トラヒック量が多い場合には、携帯電話基地局から通知用情報を無線端末へ通知させることによって、無線LANアクセスポイント経由の無線端末と通信ネットワーク側装置との間の通信に対する影響を抑えることができる。
【0035】
以下、情報提供システムの具体的構成および具体的処理について図面を参照してさらに具体的に説明する。
【0036】
〔3.情報提供システムの具体的構成〕
図2を用いて、実施形態に係る情報提供システムの具体的構成例について説明する。
図2は、実施形態に係る情報提供システムの具体的構成例を示す図である。
【0037】
図2に示すように、情報提供システム1は、複数の無線LANアクセスポイント2
1〜2
nと、情報提供装置3とを備え、無線端末4
1〜4
nに対して各種の情報を提供する。無線端末4
1〜4
nは、スマートフォンなどのように、無線LAN通信機能を備えた携帯電話機であり、各ユーザに所有される。なお、無線端末4
1〜4
nを区別する必要がない場合には、これらを総称して「無線端末4」と表記する。
【0038】
複数の無線LANアクセスポイント2
1〜2
nおよび情報提供装置3は、例えば、情報提供サービス業者によって管理される。なお、無線LANアクセスポイント2
1〜2
nを区別する必要がない場合には、これらを総称して「無線LANアクセスポイント2」と表記する。
【0039】
無線LANアクセスポイント2は、通信ネットワーク5を介して情報提供装置3に接続されており、情報提供装置3は、通信ネットワーク5を介して無線LANアクセスポイント2から無線端末4へ各種の情報を提供することができる。本実施形態では、通信ネットワーク5をインターネットとして説明するが、通信ネットワーク5はインターネットに限定されるものではなく、例えば、情報提供サービス業者専用に設けられるネットワークであってもよい。
【0040】
また、携帯電話通信網6は、ゲートウェイサーバ8、9を介して通信ネットワーク5に接続されており、情報提供装置3は、通信ネットワーク5を介して携帯電話通信網6に接続された携帯電話基地局7
1〜7
nから無線端末4に情報を送信させることもできる。なお、携帯電話基地局7
1〜7
nを区別する必要がない場合には、これらを総称して「携帯電話基地局7」と表記する。
【0041】
ここでは、携帯電話基地局7を無線WAN基地局とし、無線WAN基地局が接続される通信網として携帯電話通信網6を一例に挙げて説明したが、無線WAN基地局が接続される通信網は携帯電話通信網6に限られない。例えば、無線WAN基地局が接続される通信網はデータ通信専用網であってもよい。この場合、無線WAN基地局はデータ通信専用網の無線基地局であり、かかる無線基地局から無線端末4に情報が送信される。
【0042】
無線端末4は、通知用情報を表示部に表示する機能を有しており、通信ネットワーク5を介して情報提供システム1から提供される通知用情報を取得して表示する。なお、通知用情報を表示する機能は、例えば、無線端末4のOS(Operating System)やアプリケーションが有する機能である。
【0043】
また、無線端末4は、ブラウザを搭載しており、情報提供システム1や図示しないサイトから提供されるページの情報を表示する。例えば、通信ネットワーク5がインターネットである場合、情報提供システム1から提供されるページは、HTML(HyperText Markup Language)などのマークアップ言語で規定されるウェブページである。
【0044】
以下、無線LANアクセスポイント2、情報提供装置3の順にそれぞれの具体的構成を説明する。
【0045】
〔4.無線LANアクセスポイント2の構成〕
まず、無線LANアクセスポイント2の構成について具体的に説明する。
図2に示すように、無線LANアクセスポイント2は、無線LAN通信部20と、通信部21と、制御部22とを有する。
【0046】
無線LAN通信部20は、対象となる場所を含む領域がその通信エリアとなるように設置される。かかる無線LAN通信部20は、無線LAN通信を行う通信インタフェースであり、無線LAN通信機能を搭載した無線端末4との間で無線信号により情報の送受信を行う。なお、無線LANとして、例えば、IEEE802.11によって規定される無線LANなどがあるが、かかる規格の無線LANに限定されるものではない。
【0047】
通信部21は、通信ネットワーク5に接続され、通信ネットワーク5を介して情報提供装置3やウェブサーバ(図示せず)との間で情報の送受信を行う。かかる通信部21は、通信ネットワーク5との接続を有線または無線で行う。以下、通信ネットワーク5に接続された情報提供装置3やウェブサーバ(図示せず)などの装置をサーバ装置と記載する。
【0048】
制御部22は、無線端末4とサーバ装置との間の中継処理を行う中継部25と、無線端末4の検出処理を行う検出部26を備えており、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部22の内部構成は、かかる構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0049】
〔4.1.中継部25〕
中継部25は、例えば、無線端末4から無線LAN通信部20を介して取得した情報を通信部21からサーバ装置へ送信し、また、サーバ装置から通信部21を介して取得した情報を無線LAN通信部20から無線端末4へ送信する。
【0050】
なお、無線LANアクセスポイント2からサーバ装置への情報送信は、例えば、無線LANアクセスポイント2に割り当てられる通信ネットワーク5のアドレスを送信元アドレスとし、サーバ装置に割り当てられる通信ネットワーク5のアドレスを送信先アドレスとしたパケット通信により行われる。通信ネットワーク5のアドレスは、例えば、通信部21に割り当てられるアドレスであり、例えば、IPアドレスである。
【0051】
〔4.2.検出部26〕
検出部26は、無線端末4から送信される無線パケットを無線LAN通信部20を介して取得することで、無線端末4の存在を検出する。
図3Aおよび
図3Bは、無線LANアクセスポイント2と無線端末4との間のセッション確立のシーケンスを示す図である。
【0052】
図3Aに示す例では、無線端末4から周期的にプローブ要求と呼ばれる無線パケットがブロードキャストなどによって送信されており、検出部26は、かかる無線パケットを無線LAN通信部20経由で取得することで、無線端末4の存在を検出する。
【0053】
プローブ要求にはBSSID(Basic Service Set Identifier)が含まれており、検出部26は、無線LAN通信部20のBSSIDと一致する場合に、プローブ応答を無線端末4へ送信する。プローブ応答を受信した無線端末4は、自動通信の設定がされている場合、通信中状態へ移行する。
【0054】
通信中状態への移行は、
図3Aに示すように、アソシエーション要求とアソシエーション応答によりセッションを確立することによって行われ、その後、無線端末4と無線LAN通信部20との間で、データフレームやコントロールフレームの送受信が行われて通信中状態になる。
【0055】
また、検出部26は、周期的に無線パケットが送信されない無線端末4に対して、例えば、
図3Bに示すように、ビーコンと呼ばれる無線パケットを無線LAN通信部20を介してブロードキャストし、かかるビーコンに対するアソシエーション要求を受信することで、無線端末4の存在を検出する。アソシエーション要求を受信した検出部26は、アソシエーション応答を無線端末4へ送信することによってセッションを確立し、無線端末4と無線LAN通信部20との間を通信中状態にする。
【0056】
検出部26は、通信中状態へ移行すると、その後、通信中状態が解除されるまで繰り返し無線パケットを受信しており、無線端末4の存在を検出している状態である。なお、無線端末4から切断要求があった場合や、無線端末4と無線LAN通信部20との間で無線パケットを送受信できなくなった場合に、通信中状態が解除される。
【0057】
検出部26は、例えば無線端末4を検出したと判定すると、無線端末4の端末情報を通信部21経由で情報提供装置3へ送信する。具体的には、検出部26は、無線端末4から送信される無線パケットに含まれる端末IDを抽出し、さらに電波強度を検出する。
【0058】
端末IDは、例えば、無線端末4の無線LAN通信部のMACアドレスであり、無線パケットに付加されて無線端末4から送信される。電波強度は、無線LANアクセスポイント2で受信される無線信号の電波強度である。なお、電波強度は、無線端末4において取得された電波受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)であってもよい。この場合、電波強度の情報を含む無線信号が無線端末4から無線LANアクセスポイント2へ送信される。
【0059】
検出部26は、無線端末4の端末IDおよび電波強度の情報に加え、AP−IDおよび通信中状態であるか否かの情報を端末情報として、情報提供装置3へ送信する。AP−IDとしては、例えば、通信部21に割り当てられる通信ネットワーク5のネットワークアドレスを用いることができる。
【0060】
また、検出部26は、所定期間当たりに通信部21で受信される情報量を所定期間ごとに検出し、かかる検出結果を通信トラヒックの情報として情報提供装置3へ送信する。通信部21で受信される情報は、例えば、サーバ装置から無線LANアクセスポイント2へ送信される通信パケットの情報である。
【0061】
また、検出部26は、通信トラヒックとして、所定時間当たりに通信部21で受信される情報量を所定期間ごとに検出し、かかる検出結果を検出情報として情報提供装置3へ送信する。通信部21で受信される情報は、例えば、サーバ装置から無線LANアクセスポイント2へ送信される通信パケットの情報である。なお、検出部26は、所定期間に通信部21で受信される情報量の平均値を検出情報とするが、あるタイミングで通信部21で受信される情報量を検出情報としてもよい。
【0062】
〔5.情報提供装置3の構成〕
次に、実施形態に係る情報提供装置3の具体的構成について説明する。
図2に示すように、情報提供装置3は、通信部30と、記憶部31と、制御部32とを有する。さらに、記憶部31は、ユーザ情報DB33と、場所情報DB34とを有し、制御部32は、取得部35と、決定部36と、送信部37と、情報提供部38とを有する。
【0063】
通信部30は、NIC(Network Interface Card)等のインタフェースである。制御部32は、通信部30および通信ネットワーク5を介して、無線LANアクセスポイント2や、無線LANアクセスポイント2を介した無線端末4との間で各種の情報を送受信する。
【0064】
ユーザ情報DB33および場所情報DB34は、例えば、ハードディスク、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、光ディスク等の記憶装置である。なお、ユーザ情報DB33および場所情報DB34を一つのDBとしてもよい。なお、ユーザ情報DB33および場所情報DB34に記憶される各種のIDは、「A1」や「U1」などの符号を用いて説明するが、説明の便宜上区別するために付した符号であり、かかる符号に限定される趣旨ではない。
【0065】
制御部32は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。また、制御部32は、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)によって内部の記憶装置に記憶されたプログラムがRAMを作業領域として実行されることで、取得部35、決定部36、送信部37および情報提供部38として機能する。なお、制御部32の構成は、かかる構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0066】
〔5.1.取得部35〕
取得部35は、無線LANアクセスポイント2から送信される情報を取得する。無線LANアクセスポイント2から送信される情報として、上述したように、例えば、検出情報や端末情報がある。
【0067】
取得部35は、無線LANアクセスポイント2から送信される端末情報や検出情報を取得すると、端末情報や検出情報に含まれる情報に基づき、場所情報DB34の端末情報テーブルを更新する。
【0068】
図4は、端末情報テーブルの一例を示す図である。
図4に示すように、端末情報テーブルは、「AP−ID」毎に、「端末ID」、「チェックイン時刻」、「チェックアウト時刻」および「電波強度」の組と、「通信トラヒック情報」とが関連付けられた情報である。
【0069】
「AP−ID」は、無線LANアクセスポイント2の識別情報であり、無線LANアクセスポイント2毎に割り当てられる情報である。「AP−ID」は、例えば、無線LANアクセスポイント2の通信部21に割り当てられる通信ネットワーク5のネットワークアドレスである。
【0070】
「端末ID」は、関連付けられた無線LANアクセスポイント2の通信エリア内に存在する無線端末4の端末IDである。例えば、
図4に示す例では、AP−ID「A1」の無線LANアクセスポイント2
1の通信エリア内に、端末ID「T2」〜「T4」の無線端末4
2〜4
4などが存在していることを示している。
【0071】
「電波強度」は、AP通信エリア内に存在する無線端末4の電波強度の情報である。
図4に示す例では、便宜上、各端末IDに対応して最新の電波強度の情報が示されているが、無線端末4がAP通信エリアへ進入したときからの電波強度の情報やその平均値が端末情報テーブルに設定される。また、
図4に示す例では、電波強度を0〜10の範囲で強度が高いほど値が大きくなる強度レベルで表しているが、その他の単位(例えば、dBm)で設定することもできる。
【0072】
「通信トラヒック情報」は、所定期間当たりにサーバ装置から通信ネットワーク5を介して無線LANアクセスポイント2で受信される情報量である。かかる「通信トラヒック情報」には、所定期間当たりにサーバ装置から通信ネットワーク5を介して無線LANアクセスポイント2で受信可能な最大の情報量(以下、最大トラヒック量と記載する)が含まれる。なお、最大トラヒック量は、予め端末情報テーブルに設定されるが、無線LANアクセスポイント2から送信される検出情報に含ませ、取得部35により端末情報テーブルに設定することもできる。
【0073】
取得部35は、無線LANアクセスポイント2から通信中状態である情報を含む端末情報を受信した場合、端末情報に含まれる「AP−ID」に対応付けて、端末情報に含まれる端末IDおよび電波強度の情報を端末情報テーブルに設定する。また、取得部35は、無線端末4が通信中状態となった時刻を「チェックイン時刻」として端末情報テーブルに設定する。
【0074】
チェックイン時刻と現時刻とを比較することによってAP通信エリア内での無線端末4の滞在時間を検出することができる。なお、取得部35は、通信中状態であるか否かとは無関係に端末情報の受信を開始した時刻を「進入時刻」として端末情報テーブルに設定することもできる。
【0075】
端末情報テーブルに情報が設定された無線端末4がその後AP通信エリアから退出した場合、取得部35は、無線端末4の退出時刻を「チェックアウト時刻」として端末情報テーブルに設定した後、退出した無線端末4の情報を端末情報テーブルから削除して履歴情報として管理する。
【0076】
また、取得部35は、無線LANアクセスポイント2から検出情報を受信した場合、かかる検出情報に含まれる通信トラヒックの情報を、無線LANアクセスポイント2に対応するAP−IDの「通信トラヒック情報」として端末情報テーブルに設定する。
【0077】
図4に示す例では、例えば、AP−ID「A1」の無線LANアクセスポイント2の「通信トラヒック情報」には、通信トラヒック量として「400Mbit/s」が設定され、最大トラヒック量として「1Gbit/s」が設定される。
【0078】
〔5.2.決定部36〕
決定部36は、端末情報テーブルに基づき、無線LANアクセスポイント2および携帯電話基地局7のうちのいずれの通信媒体から通知用情報を通知するかを決定する。
【0079】
具体的には、決定部36は、端末情報テーブルに基づき、新たにAP通信エリアに進入した無線端末4があるか否かを判定する。AP通信エリアに新たに進入した無線端末4(以下、新規進入端末と記載する)がある場合、決定部36は、新規進入端末が進入したAP通信エリアを有する無線LANアクセスポイント2のAP−IDに対応する通信トラヒック情報を端末情報テーブルから取得する。
【0080】
そして、決定部36は、端末情報テーブルから取得した通信トラヒック情報に基づき、新規進入端末が進入した無線LANアクセスポイント2の通信トラヒック状態を判定する。通信トラヒック状態は、例えば、最大トラヒック量に対する通信トラヒック量の割合であり、
図4に示すAP−ID「A1」の無線LANアクセスポイント2では、40%(=400Mbit/1Gbit)である。
【0081】
また、決定部36は、端末情報テーブルに設定された端末情報のうち、新規進入端末が進入したAP通信エリアを有する無線LANアクセスポイント2のAP−IDに関連付けて記憶された端末情報を取得する。決定部36は、取得した端末情報に基づき、新規進入端末が進入したAP通信エリア内に存在する無線端末4の数(以下、存在端末数と記載する)を判定する。
【0082】
決定部36は、通信トラヒック状態と存在端末数に基づいた電波強度閾値を場所情報DB34に記憶された通信媒体選択テーブルから取得する。
【0083】
図5は、通信媒体選択テーブルの一例を示す図である。
図5に示すように、通信媒体選択テーブルは、「通信トラヒック状態」、「存在端末数」および「電波強度閾値」が関連付けられた情報である。
【0084】
「通信トラヒック状態」は、上述したように、最大トラヒック量に対する通信トラヒック量の割合である。また、「存在端末数」は、上述したように、AP通信エリア内に存在する無線端末4の数である。「電波強度閾値」は、無線LANアクセスポイント2を通知用通信媒体として決定する無線端末4の電波強度の閾値である。
【0085】
例えば、新規進入端末が進入したAP通信エリアを有する無線LANアクセスポイント2の通信トラヒック状態が「70%」であり、存在端末数が「15台」である場合、電波強度閾値は「6」である。したがって、決定部36は、新規進入端末の電波強度が「6」以上であれば、無線LANアクセスポイント2を通知用通信媒体として決定し、新規進入端末の電波強度が「6」未満であれば、携帯電話基地局7を通知用通信媒体として決定する。
【0086】
なお、通信媒体選択テーブルは、AP−ID毎に設定することができ、これにより、AP設置場所に応じて通知用通信媒体を適切に決定することができる。
【0087】
また、決定部36は、上述においては、通信媒体選択テーブルを用いて通知用通信媒体を決定するようにしたが、通信媒体選択用演算式を用いて通知用通信媒体を決定することもできる。
【0088】
例えば、決定部36は、「電波強度閾値」=「通信トラヒック状態」×「存在端末数率」×10とする通信媒体選択用演算式を用いて電波強度閾値を演算することができる。「存在端末数率」は、例えば、基準端末数に対する存在端末数の割合である。
【0089】
この場合、例えば、基準端末数が「25台」に設定されており、存在端末数が「20台」であるとすると、通信トラヒック状態が「60%」であれば、電波強度閾値は、「4.8(=0.6×0.8×10)」である。なお、上記演算式は一例であり、AP設置場所に応じた通信媒体選択用演算式を用いることができる。
【0090】
また、上述においては決定部36は、存在端末数を考慮して電波強度閾値を取得しているが、存在端末数を考慮せずに通信トラヒック状態に対して電波強度閾値を取得するようにしてもよい。
【0091】
また、決定部36は、通信トラヒック状態として、通信部21における受信量を用いることとしたが、受信量に加え、受信しているデータの種類(例えば、動画、音楽、ページなど)を考慮することもできる。例えば、決定部36は、受信量に占める動画の割合が多い場合には、電波強度閾値を相対的に上げ、受信量に占める動画の割合が少ない場合には、電波強度閾値を相対的に下げるなどの処理を行うことができる。
【0092】
また、決定部36は、例えば、AP通信エリア内での滞在時間が所定の時間閾値以上の無線端末4を新規進入端末として判定することができる。なお、決定部36は、上記時間閾値を例えば通信トラヒック状態に応じて変更することもできる。例えば、通信トラヒック状態が高い場合には、上記時間閾値を長くし、通信トラヒック状態が低い場合には、上記時間閾値を短くする。なお、さらに無線端末4のユーザのユーザ属性に応じて電波強度閾値や時間閾値を変更してもよい。
【0093】
〔5.3.送信部37〕
送信部37は、端末情報で特定される新規進入端末に対し、場所情報DB34に記憶された場所情報テーブルの通知用情報を、決定部36によって決定した通知用通信媒体から通知させる。
【0094】
送信部37は、場所情報DB34に記憶された場所情報テーブルから通知用通信媒体に対応する通知用情報を取得し、ユーザ情報DB33に記憶されたユーザ情報テーブルに基づいた宛先へ送信して、通知用情報を通知用通信媒体から新規進入端末へ通知させる。
【0095】
図6は、場所情報テーブルの一例を示す図である。
図6に示すように、場所情報テーブルには、「AP−ID」毎に、「場所名」、「LAN通知用情報」、「WAN通知用情報」および「場所情報」などの各情報を対応付けた情報が含まれる。
【0096】
「AP−ID」は、端末情報テーブルに設定される「AP−ID」と同様の情報である。「場所名」は、AP設置場所の名称であり、例えば、AP−ID「A1」では、「場所名」が「A店舗」である。「LAN通知用情報」は無線LANアクセスポイント2経由で無線端末4へ通知する通知用情報のファイル名を示す情報であり、場所情報DB34に記憶される。また、「WAN通知用情報」は携帯電話基地局7経由で無線端末4へ通知する通知用情報のファイル名を示す情報であり、場所情報DB34に記憶される。
【0097】
図6に示す場所情報テーブルでは、例えばAP−ID「A1」の「LAN通知用情報」は、ファイル名「noticeA11.data」であり、「WAN通知用情報」は、ファイル名「noticeA12.data」である。
【0098】
図7は、ユーザ情報テーブルの一例を示す図である。
図7に示すように、ユーザ情報テーブルには、「ユーザID」毎に、「端末ID」、「WAN−ID」および「通知フラグ」などの各情報を対応付けた情報が含まれる。「端末ID」、「WAN−ID」および「通知フラグ」は、例えば、無線端末4から情報提供装置3への登録要求等に含まれる情報であり、無線端末4が情報提供装置3に対して、ユーザ登録や登録変更を行った場合に、取得部35によってユーザ情報テーブルに設定される。
【0099】
ユーザ登録は、例えば、無線端末4から情報提供装置3に対して携帯電話通信網6経由で行うことができる。この場合、情報提供装置3の取得部35は、無線端末4から送信されるユーザ登録の要求に対してユーザIDを割り当て、ユーザ登録の要求に含まれる端末ID、WAN−IDおよび通知フラグを設定する情報などの情報をユーザ情報テーブルに設定する。なお、図示しないが、ユーザ情報テーブルには、ユーザ属性を設定することもできる。
【0100】
「ユーザID」は、無線端末4のユーザ毎に割り当てられたIDであり、例えば、無線端末4から情報提供装置3に対してユーザ登録を行った場合に、取得部35によってユーザ情報テーブルに設定される。
【0101】
「端末ID」は、端末情報テーブルに設定される「端末ID」と同様の情報である。なお、端末IDは、無線端末4を識別できるものであればよく、必ずしもMACアドレスに限られるものではない。
【0102】
「WAN−ID」は、無線端末4の携帯電話通信部側の識別情報である。例えば、無線端末4が第3世代移動通信システムである場合、WAN−IDは、無線端末4に搭載されたSIMカード(Subscriber Identity Module Card)の固有番号である。かかる固有番号は、IMSI(International Mobile Subscriber Identity)とも呼ばれる。無線端末4は、WAN−IDを含む無線パケットを送受信することで携帯電話基地局7との間で通信を行う。
【0103】
「通知フラグ」は、WAN通知用情報を通知するか否かのフラグであり、かかる通知フラグが「1」である無線端末4はWAN通知用情報の通知対象であり、通知フラグが「0」である無線端末4はWAN通知用情報の通知対象外である。
【0104】
送信部37は、通知用通信媒体が無線LANアクセスポイント2である場合、場所情報テーブルに設定されたLAN通知用情報を取得し、ユーザ情報テーブルに設定された端末IDを新規進入端末の宛先として無線LANアクセスポイント2へ送信する。これにより、LAN通知用情報が無線LANアクセスポイント2から新規進入端末へ通知される。
【0105】
また、送信部37は、通知用通信媒体が携帯電話基地局7である場合、場所情報テーブルに設定されたWAN通知用情報を取得し、ユーザ情報テーブルに設定されたWAN−IDを新規進入端末の宛先として通信ネットワーク5経由で携帯電話通信網6へ送信する。これにより、LAN通知用情報が携帯電話基地局7から新規進入端末へ通知される。
【0106】
「LAN通知用情報」は、例えば、AP設置場所に関連するデジタルコンテンツやショッピングページなどのコンテンツであり、相対的に情報量が多い情報である。
図8(a)は、無線LANアクセスポイント2経由の通知用情報を無線端末4の表示部で表示した画面例を示す図である。
図8(a)に示す例では、AP設置場所の店舗内で販売している商品の情報および動画などが通知用情報として無線端末4の表示部に表示される。
図8は、情報提供装置3から提供される情報を無線端末4の表示部で表示した画面例を示す図である。
【0107】
無線LANアクセスポイント2経由の通信は、通信速度も相対的に速いことが多いことから、相対的に情報量が多い情報を通知用情報としても無線端末4で高速に通知用情報を取得することができるため、適切なタイミングで通知用情報を無線端末4へ通知できる。また、無線LANアクセスポイント2経由の通信は、通信料金が低額またはゼロであることが多く、また、無線端末4のユーザにとって料金負担も低い。
【0108】
一方、「WAN通知用情報」は、例えば、AP設置場所に対応する簡単な情報であり、相対的に情報量が少ない情報である。
図8(b)は、携帯電話基地局7経由の通知用情報を無線端末4の表示部で表示した画面例を示す図である。
図8(b)に示す例では、AP設置場所の店舗内で販売している電子レンジが大特価販売中であることを示す情報が通知用情報として無線端末4の表示部に表示される。
【0109】
携帯電話基地局7経由の通信は、通信速度も相対的に遅い場合が多いことから、相対的に情報量が少ない情報を通知用情報とすることにより無線端末4で高速に通知用情報を取得でき、適切なタイミングで通知用情報を無線端末4へ通知できる。携帯電話基地局7経由の通信は、通信料金が相対的に高額である場合が多く、また、使用上限を定めていることが多く、無線端末4のユーザにとっての利用負担を低減することができる。
【0110】
なお、LAN通知用情報とWAN通知用情報を同じにすることもできる。このようにすることで、通知用情報の選択処理負担を軽減することができる。
【0111】
〔5.4.情報提供部38〕
情報提供部38は、無線端末4から無線LANアクセスポイント2を介して情報提供要求があった場合に、要求元の無線端末4へ情報提供要求に対応する情報を無線LANアクセスポイント2経由で送信する。
【0112】
情報提供要求に対応する情報は、AP−ID毎に場所情報として場所情報DB34に記憶されており、情報提供部38は、情報提供要求を転送した無線LANアクセスポイント2のAP−IDに基づき、場所情報DB34から場所情報を取得して無線端末4へ送信する。
【0113】
なお、例えば、無線端末4の表示部がタッチパネルディスプレイである場合、無線端末4の表示部に表示された
図8(a)、(b)に示す通知用情報を無線端末4のユーザが選択することで、情報提供要求が無線端末4から送信される。
【0114】
〔6.情報提供システム1の処理フロー〕
次に、実施形態に係る情報提供システム1による情報提供処理の手順について説明する。
図9〜
図11は、情報提供システム1による情報提供処理フローを説明するための図である。以下においては、
図9を参照して無線LANアクセスポイント2の処理を説明し、
図10および
図11を参照し、情報提供装置3の処理を説明する。
【0115】
〔6.1.無線LANアクセスポイント2の処理フロー〕
まず、実施形態に係る無線LANアクセスポイント2の情報処理について、
図9を参照して説明する。
図9は、無線LANアクセスポイント2における情報処理のフローチャートである。かかる動作は、無線LANアクセスポイント2の制御部22によって繰り返し実行される処理である。
【0116】
図9に示すように、無線LANアクセスポイント2の制御部22は、無線LAN通信部20を介して無線端末4を検出したか否かを判定する(ステップS20)。かかる処理において、無線端末4を検出したと判定すると(ステップS20;Yes)、通信部21を介して端末ID、電波強度、AP−IDおよび通話中状態などの情報を含む端末情報を、情報提供装置3へ送信する(ステップS21)。
【0117】
ステップS20の処理において、無線端末4を検出していないと判定した場合(ステップS20;No)、または、ステップS21の処理が終了した場合、制御部22は、所定周期(例えば、1秒周期)のタイミングが到来したか否かを判定する(ステップS22)。
【0118】
所定周期のタイミングが到来したと判定すると(ステップS22;Yes)、制御部22は、所定時間(例えば、1秒)当たりに通信部21で受信される情報量を通信トラヒックとして検出し、かかる通信トラヒックの情報を検出情報として情報提供装置3へ送信する(ステップS23)。通信トラヒックは、例えば、所定期間(例えば、10秒)の通信トラヒックの平均値であるが、所定周期のタイミングが到来したときの瞬間的な通信トラヒックであってもよい。
【0119】
ステップS22の処理において、所定周期のタイミングが到来していないと判定した場合(ステップS22;No)、または、ステップS23の処理が終了した場合、制御部22は、通信ネットワーク5に接続されたサーバ装置から通信部21を介して情報を受信したか否かを判定する(ステップS24)。サーバ装置から情報を受信したと判定すると(ステップS24;Yes)、制御部22は、受信した情報をこの情報の宛先となる無線端末4へ転送する(ステップS25)。
【0120】
ステップS24において、情報を受信していないと判定した場合(ステップS24;No)、または、ステップS25の処理が終了した場合、制御部22は、無線端末4からサーバ装置に対する要求があるか否かを判定する(ステップS26)。無線端末4からサーバ装置に対する要求があると判定すると(ステップS26;Yes)、制御部22は、無線端末4からサーバ装置に対する要求を、通信部21を介してサーバ装置に転送する(ステップS27)。
【0121】
ステップS27の処理が終了した場合、または、ステップS26において、無線端末4からサーバ装置に対する要求がないと判定された場合(ステップS26;No)、制御部22は処理を終了する。制御部22は、例えば、ステップS20、S21の処理、ステップS22、S23の処理、ステップS24、S25の処理、および、ステップS26、S27の処理をそれぞれマルチタスク処理によって実行することができる。
【0122】
〔6.2.情報提供装置3の処理フロー〕
次に、情報提供装置3の処理について説明する。
図10は、情報提供装置3における情報処理のフローチャートである。かかる動作は、情報提供装置3の制御部32によって繰り返し実行される処理である。
【0123】
図10に示すように、制御部32は、通信部30を介して無線端末4から端末情報を取得したか否かを判定する(ステップS30)。無線端末4から端末情報を取得したと判定した場合(ステップS30;Yes)、制御部32は、通知処理を行う(ステップS31)。かかる通知処理は、
図11に示すステップS40〜S45の処理であり、後で詳述する。
【0124】
ステップS30において、無線端末4から端末情報を取得していないと判定した場合(ステップS30;No)、または、ステップS31の処理が終了した場合、制御部32は、通信部30を介して無線LANアクセスポイント2からの検出情報を取得したか否かを判定する(ステップS32)。検出情報を取得したと判定した場合(ステップS32;Yes)、制御部32は、検出情報に含まれる通信トラヒックの情報に基づき、端末情報テーブルを更新する(ステップS33)。
【0125】
ステップS32において、検出情報を取得していない場合(ステップS32;No)、または、ステップS33の処理が終了した場合、制御部32は、通信部30を介して無線端末4から情報提供要求があったか否かを判定する(ステップS34)。情報提供要求があった場合(ステップS34;Yes)、制御部32は、情報提供要求に応じた場所情報を要求元の無線端末4へ送信する(ステップS35)。
【0126】
ステップS34において、情報提供要求がない場合(ステップS34;No)、または、ステップS35の処理が終了した場合、制御部32は、処理を終了する。
【0127】
次に、
図10に示すステップS31に示す通知処理について説明する。
図11は、情報提供装置3における通知処理のフローチャートである。
【0128】
図11に示すように、通知処理では、制御部32は、取得した端末情報に含まれるAP−ID、端末ID、電波強度および通信中か否かの情報に基づき、端末情報テーブルを更新する(ステップS40)。
【0129】
次に、制御部32は、更新した端末情報テーブルに基づき、新規進入端末があるか否かを判定する(ステップS41)。新規進入端末は、AP通信エリアに新たに進入して無線LANアクセスポイント2と通信状態になった無線端末4である。なお、「無線LANアクセスポイント2と通信状態」とは、例えば、無線端末4が無線LANアクセスポイント2を介して通知用情報を取得することができる状態である。
【0130】
新規進入端末があると判定すると(ステップS41;Yes)、制御部32は、端末情報テーブルに含まれる通信トラヒックに基づき、新規進入端末に対して通知用情報を通知する通信媒体を決定する(ステップS42)。
【0131】
通知用情報を通知する通信媒体を無線LANアクセスポイント2に決定した場合(ステップS43;Yes)、制御部32は、場所情報テーブルに設定されたLAN通知用情報を取得し、ユーザ情報テーブルに設定された端末IDを新規進入端末の宛先として無線LANアクセスポイント2へ送信する(ステップS44)。
【0132】
一方、携帯電話基地局7を通知用情報を通知する通信媒体として決定した場合(ステップS43;No)、制御部32は、場所情報テーブルに設定されたWAN通知用情報を取得し、ユーザ情報テーブルに設定されたWAN−IDを新規進入端末の宛先として通信ネットワーク5経由で携帯電話通信網6へ送信する(ステップS45)。なお、情報提供装置3が携帯電話通信部を有する場合には、制御部32は、WAN通知用情報を携帯電話通信部から直接携帯電話通信網6へ送信することもできる。
【0133】
ステップS44、S45の処理が終了した場合、または、ステップS41において、新規進入端末がないと判定された場合(ステップS41;No)、制御部32は処理を終了する。
【0134】
〔7.変形例〕
上述の実施形態では、通信トラヒックの状態に基づいた電波強度閾値によって通知用情報を通知する通信媒体を決定するものとしたが、制御部32は、電波強度閾値以外の基準に基づいて通信媒体を決定することもできる。
【0135】
例えば、制御部32は、通信トラヒックの状態に基づいた確率で通知用情報を通知する通信媒体を決定することもできる。これによっても、通信トラヒックの状態に基づいた確率で携帯電話基地局7から通知用情報を無線端末4へ通知させるため、無線LANアクセスポイント2経由の無線端末4とサーバ装置との間の通信に対する影響を抑えることができる。
【0136】
具体的には、制御部32は、通信トラヒック量に反比例する確率で通知用情報を通知する通信媒体を無線LANアクセスポイント2に決定することもできる。この場合、制御部32は、例えば、通信トラヒック量が所定閾値以下であれば100%の確率で、また、通信トラヒック量が所定閾値を超える場合であれば所定閾値を超える分に反比例する確率で、それぞれ通知用情報を通知する通信媒体を無線LANアクセスポイント2に決定することができる。
【0137】
また、制御部32は、通信トラヒックの状態に基づいた電波強度変化率閾値によってLAN通知用情報を通知する通信媒体を決定することもできる。電波強度変化率は、無線端末4の電波強度の時間当たり変化率であり、かかる電波強度変化率が大きいほど、無線端末4のユーザの移動スピードが速い。
【0138】
制御部32は、例えば、通信トラヒック量が所定閾値以下であれば100%の確率で、通信トラヒック量が所定閾値を超える場合であれば所定閾値を超える分に反比例する電波強度変化率閾値で、それぞれ通知用情報を通知する通信媒体を無線LANアクセスポイント2に決定することができる。
【0139】
また、上述した実施形態では、制御部32は、通信トラヒック量が多いほど電波強度閾値を上げるようにしたが、通信トラヒックの変化量が多いほど電波強度閾値を上げるようにしてもよい。また、制御部32は、通信トラヒック量および通信トラヒックの変化量に基づいて、電波強度閾値や電波強度変化率閾値を設定することもできる。
【0140】
なお、上述した実施形態においては、AP通信エリアに無線端末4が進入したタイミングまたは進入してからの所定タイミング(以下、これらのタイミングを進入タイミングと記載する)で、通知用情報を無線端末4へ送信するが、制御部32は、さらに、進入タイミングの後、通知用情報を無線端末4へ送信してもよい。
【0141】
例えば、制御部32は、AP通信エリア内の滞在時間が進入タイミングから所定時間経過する毎に、内容の異なる通知用情報を無線端末4へ送信する。この場合も、制御部32は、進入タイミングと同様に、通信トラヒックの状態に基づいた条件で通知用情報を通知する通信媒体を決定することができる。
【0142】
なお、制御部32は、進入タイミング以降のタイミングで送信する通知用情報をLAN通知用情報のみとすることができる。この場合、制御部32は、進入タイミング以降のタイミングで携帯電話基地局7を選択すると、通知用情報を無線端末4へは送信しない。
【0143】
また、上述の実施形態では、無線端末4の検出情報を送信する機能を各無線LANアクセスポイント2において行うようにしたが、無線端末4の検出情報を送信する機能を別途設けた検出用の無線LANアクセスポイント2によって実行するようにしてもよい。検出用の無線LANアクセスポイント2を別途設けることで、すでに無線LANアクセスポイント2を設置している場所に対して、検出用の無線LANアクセスポイント2を設置することで、上述した情報提供サービスを提供することができる。
【0144】
〔8.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る情報提供システム1は、場所情報DB34(情報記憶手段の一例)が、無線LANアクセスポイント2に対応する通知用情報を記憶し、取得部35(端末情報取得手段および通信状態取得手段の一例)が、無線LANアクセスポイント2の無線LAN通信エリア内に存在する無線端末4の情報と、無線LANアクセスポイント2経由の無線端末4とサーバ装置との通信トラヒックの情報とを取得し、決定部36(決定手段の一例)が、取得部35によって取得された通信トラヒックの情報に基づき、無線LANアクセスポイント2および携帯電話基地局7(無線WAN基地局の一例)のうちのいずれの通信媒体から通知用情報を通知するかを決定し、送信部37(通知手段の一例)が、場所情報DB34に記憶された通知用情報を決定部36によって決定した通信媒体から、取得部35により取得された情報で特定される無線端末4に通知させる。
【0145】
かかる構成により、無線端末4が無線LANアクセスポイント2のAP通信エリア内に入った場合に、この無線LANアクセスポイント2に対応する通知用情報が無線端末4へ通知される。そのため、例えば、無線LANアクセスポイント2を店舗に設置した場合、店舗に入った無線端末4のユーザに対して店舗の情報を通知することができ、これにより、ユーザに対して店舗の情報を効果的に通知することが可能となる。また、ユーザにとっても、入店した店舗とは全く関係ない情報が無秩序に通知されることがなく、ユーザに対して不快感を与えない。
【0146】
しかも、無線端末4と通信ネットワーク5に接続された装置との無線LANアクセスポイント2を介した通信トラヒックに応じて、異なる通信ルートから適切な通知用情報を無線端末4に通知することができる。これにより、無線LANアクセスポイント2の中継処理への影響を抑えつつユーザへの情報の通知を適切に行うことができる。
【0147】
また、決定部36(端末数検出手段の一例)が、取得部35により取得された情報に基づいてAP通信エリア内に存在する無線端末4の数を検出し、決定部36が、通信トラヒックの情報と無線端末4の数とに基づいて、通知用通信媒体を決定する。
【0148】
かかる構成により、例えば、通信トラヒック量が多い場合であっても、無線端末4の数が少なければ、無線端末4と通信ネットワーク5に接続された装置との間の通信に対する影響を与える可能性が低いことから、通知用通信媒体を無線LANアクセスポイント2に決定することができる。そのため、無線LANアクセスポイント2から迅速に相対的に情報量が多い情報を無線端末4のユーザに通知することができる。
【0149】
また、取得部35(強度情報取得手段の一例)が、無線端末4の電波強度を示す電波強度情報を取得し、決定部36(閾値設定手段の一例)が、通信トラヒックの情報に基づいて電波強度閾値を設定する。さらに、決定部36は、電波強度閾値以上の電波強度を有する無線端末4を取得部35によって取得された電波強度情報に基づいて判定し、電波強度閾値以上の電波強度を有する無線端末4に対して無線LANアクセスポイント2を通知用通信媒体として決定し、電波強度閾値未満の電波強度を有する無線端末4に対して携帯電話基地局7を通知用情報を通知する通信媒体として決定する。
【0150】
かかる構成により、無線端末4と通信ネットワーク5に接続された装置との間の通信に対する影響を抑えつつ、無線LANアクセスポイント2の設置位置に近い無線端末4に優先して無線LANアクセスポイント2からLAN通知用情報を送信することができる。そのため、例えば、無線LANアクセスポイント2の設置位置からの距離に価値を与えることができ、無線LANアクセスポイント2の設置位置に応じた価値空間を構成することができる。
【0151】
また、取得部35(強度情報取得手段の一例)が、無線端末4の電波強度を示す電波強度情報を取得し、決定部36(閾値設定手段の一例)が、通信トラヒックの情報とAP通信エリアにおける無線端末4の数に基づいて電波強度閾値を設定する。さらに、決定部36は、電波強度閾値以上の電波強度を有する無線端末4を取得部35によって取得された電波強度情報に基づいて判定し、電波強度閾値以上の電波強度を有する無線端末4に対して無線LANアクセスポイント2を通知用通信媒体として決定し、電波強度閾値未満の電波強度を有する無線端末4に対して携帯電話基地局7を通知用情報を通知する通信媒体として決定する。
【0152】
かかる構成により、無線端末4と通信ネットワーク5に接続された装置との間の通信に対する影響を抑えつつ、無線LANアクセスポイント2の設置位置に近い無線端末4に優先して無線LANアクセスポイント2からLAN通知用情報を送信することができる。そのため、例えば、無線LANアクセスポイント2の設置位置からの距離に価値を与えることができ、無線LANアクセスポイント2の設置位置に応じた価値空間を構成することができる。
【0153】
〔9.その他〕
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0154】
また、上述した情報提供装置3は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットフォーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。また、上述した情報提供装置3の機能の一部を無線LANアクセスポイント2で実現するようにしてもよい。