(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
本発明が適用される遊技機の一例であるスロットマシン1の概略構成について、
図1を参照して説明する。なお、
図1はスロットマシン1の前扉を開放した状態の斜視図である。
【0018】
(スロットマシンの構成)
スロットマシン1は、
図1に示すように、上方に配置された天板2aと、下方に配置された底板2bと、左側に配置された左側板2cと、右側に配置された右側板2dと、背面側に配置された背板2eとで構成され前方側が開放された四角箱型の筐体2を備え、この筐体2の開放部分を閉塞する前扉3が、開閉自在に筐体2に取り付けられている。
【0019】
また、筐体2の内部には、3つのリールである右リール4R、中リール4M、左リール4L)が並設されてなるリール装置4や、遊技者により外部から投入されたメダルをスロットマシン1の内部に貯留するとともに、貯留したメダルをメダル受け皿22に払い出すためのホッパー装置5や、これらの装置4,5、メイン制御基板7、サブ制御基板8などに電源を供給するための電源装置6が設けられている。
【0020】
また、前扉3の略中央には、図柄表示窓3aが設けられており、各リール4R,4M,4Lの周面に付されている図柄の一部を表示可能に形成されている。
【0021】
また、その内部の収納空間にメイン制御基板7を収納したメイン制御基板ケース9が、背板2eの内側面の上部に固定されるとともに、その内部の収納空間にサブ制御基板8を収納したサブ制御基板ケース10が左側板2cの内側面の上部に固定される。なお、メイン制御基板ケース9が本発明の「制御基板ケース」に相当し、詳細については後述する。
【0022】
メイン制御基板7およびサブ制御基板8それぞれは、その主面にCPUやROM、RAM等のチップ部品が実装され、スロットマシン1の遊技の進行に必要な各種装置の制御を分担して司るものである。具体的には、リール装置4に対する各リール4R,4M,4Lの回転・停止の指示や、ホッパー装置5に対するメダルの払出の開始・停止の指示など、遊技の主たる制御をメイン制御基板7が司り、基板音声出力装置(図示せず)や映像表示装置(図示せず)による演出など、遊技の従たる制御をサブ制御基板8が司る。
【0023】
(メイン制御基板ケース)
次に、メイン制御基板ケース9について、
図2〜
図9を参照して説明する。なお、
図2はメイン制御基板ケース9の斜視図、
図3はメイン制御基板7を含むメイン制御基板ケース9の分解斜視図、
図4はベース体11の右側面、
図5はベース体11の平面図、
図6はカバー体12の右側面図、
図7はケースホルダ60の斜視図、
図8はロック部材500の斜視図、
図9は特定のベース側被破壊部15a2およびカバー側被破壊部15b2を破壊した状態のメイン制御基板ケース9の斜視図である。
【0024】
メイン制御基板ケース9は、
図2および
図3に示すように、いずれも透明樹脂製のベース体11とカバー体12に分割され、メイン制御基板ケース9内にメイン制御基板7が収納された後、封印機構100(本発明の「封印手段」に相当し、詳細については後述する。)によって封印される。ここで、メイン制御基板ケース9は、
図2に示すように、その内部にメイン制御基板7を収納するための収納空間を有する基板収納部9aと、該基板収納部9aの右側に隣接して設けられた封印部9bとを備え、上記した封印機構100が封印部9bに形成される。なお、ベース体11およびカバー体12それぞれを形成する材料として、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの共重合合成樹脂であるABS樹脂やポリカーボネート等の透明樹脂を用いることができる。
【0025】
ベース体11は、
図3に示すように、上方側が開放された箱状に形成されており、その底壁11aの内面には、メイン制御基板7を固定するための筒状のねじ受け部13が立設されている。また、後側壁11bの外面には板状のフランジ部14が突出形成され、このフランジ部14に後述する複数(この実施形態では7つ)のベース側被破壊部15a1〜15a7が形成される。
【0026】
メイン制御基板7は、例えば、プリント基板で形成されており、ベース体11のねじ受け部13などにより図示省略のねじ等で固定される。なお、メイン制御基板7の一方主面には、外部接続用の複数のコネクタ7aが実装されるとともに、図示省略のCPU、ROM、RAM等のチップ部品が実装されている。
【0027】
カバー体12の上壁12aには、後述する複数(この実施形態では7つ)のカバー側被破壊部15b1〜15b7が設けられる。さらに、メイン制御基板7に実装された各コネクタ7aが挿通する複数の挿通孔16が、それぞれベース体11に固定状態の各コネクタ7aに対応する位置に設けられ、ベース体11およびカバー体12の装着(封印)状態で外部のコネクタを抜き差し可能に構成されている。
【0028】
また、メイン制御基板ケース9の封印部9bには、上記したように、封印機構100が設けられ、これによりメイン制御基板ケース9が封印機構100を備える構成になっている。この封印機構100は、メイン制御基板7を収納した状態で、ベース体11とカバー体12とを強固に連結し、ベース体11およびカバー体12のうちの少なくとも一方を破壊しなければメイン制御基板ケース9を開けることができず、さらに、封印状態が解除された場合はその痕跡が残るように構成されている。
【0029】
この封印機構100は、ベース体11の右側壁11cに透設された嵌入孔111〜116(
図4参照)と、カバー体12の右側壁12bに当接された係合孔221〜226(
図6参照)と、合成樹脂によりロックピン151〜156が一体形成されたロック部材500(
図2参照)とを備えている。
【0030】
具体的には、
図3および
図4に示すように、ベース体11の右側壁11cには嵌入孔111〜116が透設される。また、右側壁11cの外面には、各嵌入孔111〜116を囲むように、断面が円形と矩形とを合成した鍵穴のような形状の嵌入筒121〜126がそれぞれ設けられる。
【0031】
ロック部材500は、
図8に示すように、各ロックピン151〜156が可撓性の連結部材19によりそれぞれ棒状のロック本体17に並んで連結されるとともに、このロック本体17から平板状の挿入片171〜175がそれぞれ突設されて成る。この挿入片171〜175は、
図4に示すベース体11の右側壁11cの下部に形成された各間隙311〜315からそれぞれ挿入され、右側壁11cのすぐ内側の底面に形成されたロック受け部321〜325(
図5参照)に載せられる。そして、挿入片172,174それぞれに穿設された貫通孔18にロック受け部322,324それぞれに突設された凸部331,332(
図5参照)が嵌入した状態で、該凸部331,332が加熱溶融されることで、ロック部材500がベース体11に固着される。なお、この実施形態では、ロック部材500を形成する合成樹脂として、人間の眼に目立つ色(この実施形態では濃い赤色)に着色されたポリプロピレン(PP)が用いられている。
【0032】
また、各ロックピン151〜156は、それぞれ、根元に形成された嵌入部50aと、その先端に平面視矢印状に形成された係止部50bと、これらを繋ぐ中央部分に形成された軸状の接続部50cとを備えている。
【0033】
一方、カバー体12の右側壁12bは、
図6に示すように、係合孔221が透設された板状体211と、係合孔222〜225が透設された板状体212と、係合孔226が透設された板状体213とからなる。板状体211と、板状体212と、板状体213とは、互いに分離して設けられている。
【0034】
このとき、ベース体11にカバー体12を装着した際、カバー体12の右側壁12bがベース体11の右側壁11c(
図3、
図4参照)の内側に隙間を介して位置するように、ベース体11およびカバー体12の寸法設定がなされ、配置されている。さらに、カバー体12をベース体11に装着した状態で、各係合孔221〜226それぞれの中心軸は、ベース体11の対応する嵌入孔111〜116(
図4参照)の中心軸と一致するように形成されている。
【0035】
また、
図3に示すように、カバー体12の上壁12aには、ロックピン151〜156を途中の接続部50c(
図8参照)で切断するニッパなどの切断工具を差し込むための矩形の差込口231〜236が形成されている。この差込口231〜236は、係合孔221〜226(
図6参照)に対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0036】
また、差込口231〜236には、カバー体12の上壁12aと同一平面上に配置された透明な板状の破断部241〜246がそれぞれ設けられている。この破断部241〜246は、差込口231〜236よりも少し小さい矩形で、差込口231〜236をほぼ閉塞するようにそれぞれ設けられる。また、破断部241〜246は、それぞれ細かく形成された接続部29aを介してカバー体12の上壁12aと一体形成されており、これによって容易に破断可能に構成されている。
【0037】
ところで、メイン制御基板ケース9は、ケースホルダ60によって筐体2(
図1参照)に固定される。このケースホルダ60は、
図7に示すように、底板60aと、この底板60aにそれぞれ立設された立板60b,60cとを有する側面視L字形状の板状体である。底板60aは、ねじなどの固定手段(図示省略)により筐体2に固定される。また、立板60b,60cには、挿通用透孔601〜604が透設されている。この挿通用透孔601〜604は、カバー体12の右側壁12bの透設された係合孔222〜225(
図6参照)とほぼ同じ大きさである。一方、
図5に示すように、ベース体11のロック受け部321〜325のすぐ内側には、立板60b,60cの断面形状よりも多少大きい挿入部11d,11eが設けられている。そして、メイン制御基板ケース9をケースホルダ60に取り付けるときに、ケースホルダ60の立板60b,60cを挿入部11d,11eに挿入すると、立板60b,60cが嵌挿されて挿通用透孔601〜604の中心軸がカバー体12の係合孔222〜225の中心軸と一致するように形成されている。
【0038】
以上のように構成された封印機構100では、例えば、
図2に示すロックピン151〜156のうち、両端のロックピン151,156のいずれか一方を対応するベース体11の嵌入孔111,116(
図4参照)およびカバー体12の係合孔221,226(
図6参照)に挿入・嵌入することで、ロックピン151,156の裾広がりの係止部50b(
図8参照)が係合孔221,226に係止されてメイン制御基板ケース9が封印される。また、両端のロックピン151,156に挟まれたロックピン152〜155のうちのいずれか1つを、対応するベース体11の嵌入孔112〜115、カバー体12の係合孔222〜225、ケースホルダ60の挿通用透孔601〜604に挿入・嵌入することで、ロックピン152〜155の裾広がりの係止部50bが挿通用透孔601〜604に係止されてメイン制御基板ケース9を封印しつつ、このメイン制御基板ケース9が筐体2(
図1参照)に固定される。
【0039】
そして、このような封印機構100による封印状態を解除するためには、例えば、カバー体12の破断部241〜246、あるいは、ベース体11における前記破断部241〜246に対向する部位を破断させてロックピン151〜156を切断する必要がある。つまり、封印状態の解除には、ベース体11およびカバー体12のどちらか一方を破壊する必要があり、不正行為があった場合には、その痕跡が残るように構成されている。さらに、ベース体11、および、破断部241〜246を含むカバー体12がそれぞれ透明樹脂製のため、嵌入孔111〜116および係合孔221〜226に挿入・嵌入しているロックピン151〜156をはっきりと視認することができる。したがって、ロックピン151〜156が外部から切断された場合には、その痕跡を明確に把握することができ、不正行為を早期に発見することができる。なお、上記した封印機構100は一例であり、例えば、ねじによりベース体11とカバー体12とを強固に連結するとともに、この連結が不正に解除された場合には、その痕跡が残るような封印機構をメイン制御基板ケース9の封印部9bに設ける構成であってもかまわない。
【0040】
ここで、メイン制御基板ケース7をパチンコホールに設置する際の封印プロセスの一例を説明する。まず、当初内蔵されているメイン制御基板7上の正規のROMを取り外して不正な変造ROMが取り付けられるのを防止するために、例えば、
図2に示す、一方の端に位置するロックピン151(1番目のロックピン)をベース体11の嵌入孔111(
図4参照)、カバー体12の係合孔221(
図6参照)に挿入・嵌入し、正規のメイン制御基板7を収納した状態のメイン制御基板ケース9を封印する。続いてこの状態でメイン制御基板ケース9をパチンコホールに搬入する。パチンコホールでは、2番目のロックピンとして、1番目のロックピン151の隣のロックピン152をベース体11の嵌入孔112、カバー体12の係合孔222、ケースホルダ60の挿通用透孔601(
図7参照)に挿入・嵌入し、これにより、メイン制御基板ケース9が筐体2の所定位置に固定されたケースホルダ60に固定され、封印状態のメイン制御基板ケース9がケースホルダ60を介して筐体2(
図1参照)内部の所定位置に設置される。
【0041】
そして、監督機関が変造ROMを取り締まるために、パチンコホールにおいてチェックする際には、カバー体12の上壁12aの接続部29aを切断することにより、破断部241および破断部242をカバー体12の上壁12aから破断し、ニッパなどの切断工具を差込口231および差込口232から差し込んで1番目のロックピン151および2番目のロックピン152の接続部50cを切断することで封印を解除する。切断された各ロックピン151,152の係止部50bをケースホルダ60の挿通用透孔601とカバー体12の係合孔221,222とから除去すると、メイン制御基板ケース9がケースホルダ60から取り外し可能になるとともに、カバー体12をベース体11から取り外してメイン制御基板ケース9が開放可能な状態になる。
【0042】
さらにチェックが終了すると、3番目のロックピンとして第2のロックピン152の隣のロックピン153をベース体12の嵌入孔113、カバー体12の係合孔223、ケースホルダ60の挿通用透孔602に挿入・嵌入することで、メイン制御基板ケース9が封印された状態でケースホルダ60に固定される。以後、このような監督機関による変造ROMの取り締まりごとに、4番目ないし5番目のロックピン154,155によりメイン制御基板ケース9が順次封印されるとともにホルダ60を介して筐体2に固定される。
【0043】
そして、メイン制御基板7をメイン制御基板ケース9ごと回収する際には、破断部245をカバー体12の上壁12aから除去して、切断工具を差込口235から差し込んで5番目のロックピン155の接続部50cを切断することで封印を解除する。そして、メイン制御基板ケース9を筐体2内部から取り出した後、残りの6番目のロックピン156をベース体11の嵌入孔116、カバー体12の係合孔226に挿入・嵌入してメイン制御基板ケース9を封印し、その封印状態のまま搬送して回収する。
【0044】
以上のように、この実施形態のメイン制御基板ケース9では、上記した封印機構100を設けることで、不正行為を早期に発見することができるように構成されている。しかしながら、例えば、2つのメイン制御基板ケース9を使用して、一方はベース体11のみを破壊し、他方はカバー体12のみを破壊して、破壊されていないもの同士を組み合わせて新たなメイン制御基板ケース9を複製するような巧妙な不正行為によれば、正規のメイン制御基板7から不正な制御基板に入れ替えられた場合であっても、その痕跡の発見が困難になる。
【0045】
そこで、この実施形態では、ベース体11に複数のベース側被破壊部15a1〜15a7が設けられるとともに、カバー体12に複数のカバー側被破壊部15b1〜15b7が設けられている。そして、各ベース側被破壊部15a1〜15a7のうちの予め定められた特定のベース側被破壊部15a1〜15a7と、各カバー側被破壊部15b1〜15b7のうちの予め定められた特定のカバー側被破壊部15b1〜15b7とを破壊することにより、ベース体11とカバー体12との組み合わせが正規なものであるか否かを識別可能に構成されている。
【0046】
具体的には、
図3に示すように、それぞれ略円柱状(本発明の「所定形状」に相当)各ベース側被破壊部15a1〜15a7が、ベース体11の外側面の一部となるベース体11のフランジ部14の上面に1列に並んでそれぞれ突出形成される。このフランジ部14は、カバー体12をベース体11に装着した際、カバー体12の上壁12aの外面とフランジ部14の上面とが略同一平面上に配置されるように、ベース体11の後側壁11bの上部の外面に突出形成されている。
【0047】
一方、各カバー側被破壊部15b1〜15b7も、
図2に示すように、各ベース側被破壊部15a1〜15a7と同様の円柱状であり、カバー体12の上壁12aの外面であって、ベース体11のフランジ部14との隣接領域(カバー体12の外側面の一部領域)に1列に並んでそれぞれ突出形成されている。このとき、各カバー側被破壊部15b1〜15b7の配列方向は、各ベース側被破壊部15a1〜15a7の配列方向と略平行であり、各ベース側被破壊部15a1〜15a7と各カバー側被破壊部15b1〜15b7同士が向かい合って対を成すように配置される。また、各ベース側被破壊部15a1〜15a7および各カバー側被破壊部15b1〜15b7の破断強度は、ニッパなどの切断工具や手(指)などを使用して容易に切断(破壊)することができるように設定されている。なお、各ベース側被破壊部15a1〜15a7および各カバー側被破壊部15b1〜15b7それぞれの形状は、上記した円柱状に限らず、例えば、板状など、メイン制御基板ケース9の外側面から突出形成されるものであって破壊容易な形状であれば、適宜、変更可能である。
【0048】
また、上記したように、メイン制御基板ケース9は、筐体2の背板2eの内側面の上部に、ケースホルダ60を介して固定されるが、その際、カバー体12の上壁12aが前方側に向くように固定される。換言すれば、筐体2の前扉3を開けた状態で、メイン制御基板ケース9における筐体2の前方側から視認可能な部分に、各ベース側被破壊部15a1〜15a7および各カバー側被破壊部15b1〜15b7が配置される。
【0049】
このように構成された各ベース側被破壊部15a1〜15a7および各カバー側被破壊部15b1〜15b7は、ベース体11とカバー体12との組み合わせが正規なものであるか否かを識別するために利用される。
【0050】
具体的には、
図9に示すように、例えば、メイン制御基板ケース9の封印前、あるいは、封印後に、ベース側被破壊部15a2(本発明の「特定のベース側被破壊部」に相当)と、このベース側被破壊部15a2に対向配置されたカバー側被破壊部15b2(本発明の「特定のカバー側被破壊部」に相当)とをニッパなどの切断工具を用いて切断して破壊する。また、他のメイン制御基板ケースでは、これとは異なる箇所のベース側被破壊部およびカバー側被破壊部を切断する。なお、上記した各ベース側被破壊部15a1〜15a7および各カバー側被破壊部15b1〜15b7の破壊箇所の組み合わせは一例であり、その個数、箇所は、各ベース側被破壊部15a1〜15a7および各カバー側被破壊部15b1〜15b7それぞれで、適宜変更可能である。
【0051】
したがって、上記した実施形態によれば、ベース体11に複数のベース側被破壊部15a1〜15a7が設けられるとともに、カバー体12に複数のカバー側被破壊部15b1〜15b7が設けられる。したがって、各ベース側被破壊部15a1〜15a7のうちの予め定められた特定のベース側被破壊部15a2と、各カバー側被破壊部15b1〜15b7のうちの予め定められた特定のカバー側被破壊部15b2とを破壊することで、ベース体11とカバー体12との組み合わせが正規なものであるか否かの識別、つまり、メイン制御基板ケース9の個体識別を行うことができる。
【0052】
また、メイン制御基板ケース9毎に各ベース側被破壊部15a1〜15a7および各カバー側被破壊部15b1〜15b7の破壊箇所の組み合わせを変えておくことにより、例えば、二組のメイン制御基板ケース9を使用して、一方はベース体11側のみを破壊し、他方はカバー体12側のみを破壊して、破壊されていないベース体11およびカバー体13同士を組み合わせて新たなメイン制御基板ケース9を作っても、両被破壊部15a1〜15a7,15b1〜15b7の破壊箇所の組み合わせが当初のメイン制御基板ケース9のものと異なる。したがって、メイン制御基板ケース9の複製が困難になり、二組のメイン制御基板ケース9を使用する巧妙な不正行為を防止することができる。
【0053】
また、この実施形態では、筐体2の前扉3が開けられた状態で、メイン制御基板ケース9の各ベース側被破壊部15a1〜15a7および各カバー側被破壊部15b1〜15b7それぞれが、メイン制御基板ケース9における筐体2の前方側から視認し易い部分に配置されている。具体的には、この実施形態では、前扉3を開放して前方側からメイン制御基板ケース9を視認する際、筐体2の内部に配設されたリール装置4、ホッパー装置5、電源装置6等の各種装置がその視認の妨げとならない場所である、背板2eの上部にメイン制御基板ケース9が固定される。さらに、カバー体12の上壁12aが前方側に向くように、メイン制御基板ケース9が固定されることで、各ベース側被破壊部15a1〜15a7および各カバー側被破壊部15b1〜15b7それぞれが、固定状態のメイン制御基板ケース9の前方側に配置される。このようにすると、各ベース側被破壊部15a1〜15a7および各カバー側被破壊部15b1〜15b7の目視確認を容易に行うことができるため、不正行為の早期発見に繋がる。
【0054】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態にかかるメイン制御基板ケース90について、
図10および
図11を参照して説明する。なお、
図10はメイン制御基板ケース90の斜視図、
図11は
図10のA−A矢視断面拡大図である。
【0055】
この実施形態にかかるメイン制御基板ケース90が、
図1〜9を参照して説明した第1実施形態のメイン制御基板ケース9と異なるところは、各ベース側被破壊部15c1〜15c7および各カバー側被破壊部15d1〜15d7の形態が異なることである。その他の構成は第1実施形態のメイン制御基板ケース9と同じであるため、同一符号を付すことにより説明を省略する。
【0056】
この場合、
図10に示すように、ベース体11のフランジ部14に形成された各ベース側被破壊部15c1〜15c7、および、カバー体12に形成された各カバー側被破壊部15d1〜15d7それぞれは、第1実施形態のメイン制御基板ケース9の各ベース側被破壊部15a1〜15a7および各カバー側被破壊部15b1〜15b7と略同じ位置に形成される。
【0057】
ここで、各ベース側被破壊部15c1〜15c7それぞれは、平面視で円形状に形成されるとともに、
図11に示すように、その厚みW1がベース体11の他の部分(例えば、フランジ部14)の厚みW2よりも薄く形成される(W1<W2)。この厚みW1は、各ベース側被破壊部15c1〜15c7を工具などを用いて容易に穴を空けることができるように設定されている。
【0058】
また、各カバー側被破壊部15d1〜15d7も同様の構成であり、その厚みがカバー体12の他の部分よりも薄く形成され、工具などを用いて容易に穴を空けることができるようになっている。なお、各ベース側被破壊部15c1〜15c7および各カバー側被破壊部15d1〜15d7の平面視での形状は上記した円形状に限らず、例えば、矩形状、多角形状など、適宜、変更可能である。
【0059】
このように構成された各ベース側被破壊部15c1〜15c7および各カバー側被破壊部15d1〜15d7は、第1実施形態のメイン制御基板ケース9と同様、ベース体11とカバー体12との組み合わせが正規なものであるか否かを識別するために利用される。具体的には、例えば、メイン制御基板ケース90の封印前、あるいは、封印後に、ベース側被破壊部15c2(本発明の「特定のベース側被破壊部」に相当)と、このベース側被破壊部15c2に対向配置されたカバー側被破壊部15d2(本発明の「特定のカバー側被破壊部」に相当)とを工具を用いてそれぞれ穴を空けて破壊する。また、他のメイン制御基板ケースでは、これとは異なる箇所のベース側被破壊部およびカバー側被破壊部に穴を空けて破壊する。なお、上記した各ベース側被破壊部15c1〜15c7および各カバー側被破壊部15d1〜15d7の破壊箇所の組み合わせは一例であり、その個数、箇所は、各ベース側被破壊部15c1〜15c7および各カバー側被破壊部15d1〜15d7それぞれで、適宜変更可能である。
【0060】
以上のように、この実施形態では、特定のベース側被破壊部15c2および特定のカバー側被破壊部15d2に工具を用いて穴を空けて破壊することで、ベース体11とカバー体12との組み合わせが正規なものであるか否かの識別、つまり、メイン制御基板ケース90の個体識別を行うことができるように構成されている。また、このように構成することで、第1実施形態と同様の効果を得ることができるメイン制御基板ケース90を提供することができる。
【0061】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記したもの以外に種々の変更を行うことが可能であり、例えば、本発明は、メイン制御基板ケース9,90のみならず、サブ制御基板ケース10にも適用することができる。
【0062】
また、上記した第1実施形態では、各ベース側被破壊部15a1〜15a7および各カバー側被破壊部15b1〜15b7の全てが、ベース体11またはカバー体12の外側面から突出形成された場合について説明したが、その一部の被破壊部15a1〜15a7,15b1〜15b7を第2実施形態のように、他の部分よりも薄く形成する構成であってもかまわない。また、第2実施形態でも同様に、その一部の被破壊部15c1〜15c7,15d1〜15d7に、第1実施形態のベース側被破壊部15a1〜15a7およびカバー側被破壊部15b1〜15b7の形状を適用してもかまわない。
【0063】
また、本発明は、スロットマシン1に限らず、パチンコ機等の種々の遊技機に適用することができる。