(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態における画像表示装置について、図面を用いて説明する。ここでは画像表示装置として、駆動トランジスタを用いて電流発光素子の一つである有機EL素子を発光させるアクティブマトリクス型の有機EL表示装置について説明する。ただし、本発明は有機EL表示装置に限定されるものではない。本発明は、電流量によって輝度を制御する電流発光素子と、電流発光素子に電流を流す駆動トランジスタとを有する画素回路を複数配列したアクティブマトリックス型の画像表示装置全般に適用可能である。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における画像表示装置10の構成を示す模式図である。本実施の形態における画像表示装置10は、n行m列のマトリクス状に複数配列された多数の画素回路12(i、j)(ただし、1≦i≦n、1≦j≦mである)と、ソースドライバ回路14と、ゲートドライバ回路16と、電源回路18とを備えている。
【0014】
ソースドライバ回路14は、
図1において列方向に配列された画素回路12(1、j)〜12(n、j)に共通に接続されたデータ線20(j)にそれぞれ独立に画像信号電圧Vsg(j)を供給する。また、ゲートドライバ回路16は、
図1において行方向に配列された画素回路12(i、1)〜12(i、m)に共通に接続された制御信号線21(i)〜24(i)にそれぞれ制御信号CNT21(i)〜CNT24(i)を供給する。本実施の形態においては、1つの画素回路12(i、j)に4種類の制御信号CNT21(i)〜CNT24(i)を供給しているが、制御信号の数はこれに限定するものではなく、必要に応じた数の制御信号を供給すればよい。
【0015】
電源回路18は、全ての画素回路12(1、1)〜12(n、m)に共通に接続された電源線31に高圧側電圧Vddを供給し、電源線32に低圧側電圧Vssを供給する。これら高圧側電圧Vddおよび低圧側電圧Vssの電源は、後述する有機EL素子を発光させるための電源である。また全ての画素回路12(i、j)に共通に接続された電圧線33に基準電圧Vrefを供給し、電圧線34に初期化電圧Vintを供給する。
【0016】
図2は、実施の形態1における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の回路図である。本実施の形態における画素回路12(i、j)は、電流発光素子である有機EL素子D20と、駆動トランジスタQ20と、第1コンデンサC21と、第2コンデンサC22と、スイッチとして動作するトランジスタQ21〜Q24とを備えている。
【0017】
駆動トランジスタQ20は有機EL素子D20に電流を流す。第1コンデンサC21は画像信号に応じた画像信号電圧Vsg(j)を保持する。トランジスタQ22は画像信号電圧Vsg(j)を第1コンデンサC21に書込むためのスイッチであり、トランジスタQ24は第1コンデンサC21を短絡するスイッチである。第2コンデンサC22は駆動トランジスタQ20の閾値電圧Vthを保持する。トランジスタQ21は第2コンデンサC22の一方の端子に基準電圧Vrefを印加するためのスイッチであり、トランジスタQ23は第2コンデンサC22の他方の端子に初期化電圧Vintを印加するためのスイッチである。
【0018】
なお、駆動トランジスタQ20およびトランジスタQ21〜Q24は全てNチャンネル薄膜トランジスタであり、エンハンスメント型トランジスタであるものとして説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0019】
本実施の形態における画素回路12(i、j)は、電源線31と電源線32との間に駆動トランジスタQ20と有機EL素子D20とが接続されている。すなわち、駆動トランジスタQ20のドレインは電源線31に接続され、駆動トランジスタQ20のソースは有機EL素子D20のアノードに接続され、有機EL素子D20のカソードは電源線32に接続されている。
【0020】
駆動トランジスタQ20のゲートとソースとの間には第1コンデンサC21と第2コンデンサC22とが直列に接続されている。すなわち、駆動トランジスタQ20のゲートには第1コンデンサC21の一方の端子が接続され、第1コンデンサC21の他方の端子と駆動トランジスタQ20のソースとの間には第2コンデンサC22が接続されている。以下では駆動トランジスタQ20のゲートと第1コンデンサC21とが接続されている節点を「節点Tp1」、第1コンデンサC21と第2コンデンサC22とが接続されている節点を「節点Tp2」、第2コンデンサC22と駆動トランジスタQ20のソースとが接続されている節点を「節点Tp3」とそれぞれ呼称する。
【0021】
第1スイッチであるトランジスタQ21のドレイン(またはソース)は基準電圧Vrefが供給されている電圧線33に接続され、トランジスタQ21のソース(またはドレイン)は節点Tp2に接続され、トランジスタQ21のゲートは制御信号線21(i)に接続されている。こうしてトランジスタQ21は節点Tp2に基準電圧Vrefを印加する。
【0022】
第2スイッチであるトランジスタQ22のドレイン(またはソース)は節点Tp1に接続され、トランジスタQ22のソース(またはドレイン)は画像信号電圧Vsgを供給するデータ線20(j)に接続され、トランジスタQ22のゲートは制御信号線22(i)に接続されている。こうしてトランジスタQ22は駆動トランジスタQ20のゲートに画像信号電圧Vsgを供給する。
【0023】
第3スイッチであるトランジスタQ23のドレイン(またはソース)は節点Tp3に接続され、トランジスタQ23のソース(またはドレイン)は初期化電圧Vintが供給されている電圧線34に接続され、トランジスタQ23のゲートは制御信号線23(i)に接続されている。こうしてトランジスタQ23は駆動トランジスタQ20のソースに初期化電圧Vintを供給する。
【0024】
第4スイッチであるトランジスタQ24のドレイン(またはソース)は節点Tp1に接続され、トランジスタQ24のソース(またはドレイン)は節点Tp2に接続され、トランジスタQ24のゲートは制御信号線24(i)に接続されている。こうしてトランジスタQ24は節点Tp2と駆動トランジスタQ20のゲートとの間を短絡する。
【0025】
ここで制御信号線21(i)〜24(i)にはそれぞれ制御信号CNT21(i)〜CNT24(i)が供給されている。
【0026】
このように本実施の形態における画素回路12(i、j)は、駆動トランジスタQ20のゲートに一方の端子が接続された第1コンデンサC21と、第1コンデンサC21の他方の端子と駆動トランジスタQ20のソースとの間に接続された第2コンデンサC22と、第1コンデンサC21と第2コンデンサC22との節点Tp2に基準電圧Vrefを印加する第1スイッチであるトランジスタQ21と、駆動トランジスタQ20のゲートに画像信号電圧Vsgを供給する第2スイッチであるトランジスタQ22と、駆動トランジスタQ20のソースに初期化電圧Vintを供給する第3スイッチであるトランジスタQ23と、第1コンデンサC21と第2コンデンサC22との節点Tp2と駆動トランジスタQ20のゲートとの間を短絡する第4スイッチであるトランジスタQ24を備えている。
【0027】
なお本実施の形態においては、有機EL素子D20に電流が流れ始めるときのアノード・カソード間電圧Vled(以下、単に「電圧Vled」と略記する)を1(V)、有機EL素子D20に電流が流れないときのアノード・カソード間容量を1(pF)程度と仮定する。また駆動トランジスタQ20の閾値電圧Vthを1.5(V)程度、第1コンデンサC21および第2コンデンサC22の静電容量を0.5(pF)と仮定する。駆動電圧については、高圧側電圧Vdd=10(V)、低圧側電圧Vss=0(V)、基準電圧Vref=1(V)、初期化電圧Vint=−1(V)であるとする。しかしこれらの数値は表示装置の仕様や各素子の特性に応じて変動し、駆動電圧は表示装置の仕様や各素子の特性に応じて最適に設定することが望ましい。
【0028】
次に、本実施の形態における画素回路12(i、j)の動作について説明する。
図3は、実施の形態1における画像表示装置10の動作を示すタイミングチャートである。このように1フレーム期間を初期化期間T1、閾値検出期間T2、書込期間T3、発光期間T4の各期間に分割してそれぞれの画素回路12(i、j)の有機EL素子D20を駆動する。初期化期間T1では第2コンデンサC22を所定の電圧に充電する。閾値検出期間T2では駆動トランジスタQ20の閾値電圧Vthを検出する。書込期間T3では、画像信号に応じた画像信号電圧Vsg(j)を第1コンデンサC21に書込む。そして発光期間T4では、駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間に第1コンデンサC21および第2コンデンサC22の端子間電圧の和が印加され、有機EL素子D20に電流を流し有機EL素子D20を発光させる。
【0029】
これらの4つの期間は、
図1において行方向に配列されたm個の画素回路12(i、1)〜12(i、m)で構成される画素行毎に共通するタイミングで設定し、かつ異なる画素行では互いに書込期間T3が重ならないように設定している。このように1つの画素行で書込み動作を行う期間に他の画素行で書込み以外の動作を行うことで、駆動時間を有効に活用することができる。
【0030】
図4は、実施の形態1における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の動作を示すタイミングチャートである。また
図4には、節点Tp1〜Tp3の電圧の変化も示している。以下、画素回路12(i、j)の動作をそれぞれの期間における動作に分けて詳細に説明する。
【0031】
(初期化期間T1)
図5は、実施の形態1における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の初期化期間T1における動作を説明するための図である。なお
図5には、
図2のトランジスタQ21〜Q24をそれぞれスイッチの記号で示した。また電流の流れない経路については点線で示した。
【0032】
時刻t1において、制御信号CNT22(i)をローレベルにしてトランジスタQ22をオフ状態とするとともに、制御信号CNT21(i)、CNT23(i)、CNT24(i)をハイレベルにしてトランジスタQ21、Q23、Q24をオン状態とする。するとトランジスタQ21を介して節点Tp2に基準電圧Vrefが印加され、さらにトランジスタQ24を介して節点Tp1にも基準電圧Vrefが印加される。また節点Tp3にはトランジスタQ23を介して初期化電圧Vintが印加される。
【0033】
ここで基準電圧Vrefは、低圧側電圧Vssと有機EL素子D20の電圧Vledとの和よりも低い電圧に設定されている。すなわち、Vref<Vss+Vledである。これにより、駆動トランジスタQ20のソース電圧も電圧(Vss+Vled)よりも低くなるので、初期化期間T1で有機EL素子D20が発光することはない。
【0034】
また初期化電圧Vintは、基準電圧Vrefとの差が駆動トランジスタQ20の閾値電圧Vthよりも大きくなるように設定されている。すなわち、Vref−Vint>Vthである。これにより第2コンデンサC22の端子間には閾値電圧Vthよりも高い電圧(Vref−Vint)に充電される。また駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間電圧も閾値電圧Vthより高い電圧(Vref−Vint)が印加されるので、高圧側電圧Vddの電源から駆動トランジスタQ20およびトランジスタQ23を介して初期化電圧Vintの電源に電流が流れる。
【0035】
なお本実施の形態において、初期化期間T1は1μsecに設定している。
【0036】
(閾値検出期間T2)
図6は、実施の形態1における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の閾値検出期間T2における動作を説明するための図である。
【0037】
時刻t2において制御信号CNT23(i)をローレベルにしてトランジスタQ23をオフ状態とする。このとき駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間には第2コンデンサC22の端子間電圧が印加されているために駆動トランジスタQ20には継続して電流が流れる。そしてこの電流により第2コンデンサC22の電荷が放電され、第2コンデンサC22の端子間電圧が低下しはじめる。しかし第2コンデンサC22の端子間電圧は依然として閾値電圧Vthより高いので駆動トランジスタQ20には減少しつつも電流が流れ続ける。そのため第2コンデンサC22の端子間電圧は徐々に低下し続ける。このようにして第2コンデンサC22の端子間電圧は閾値電圧Vthに漸近する。そして第2コンデンサC22の端子間電圧が閾値電圧Vthに等しくなった時点で駆動トランジスタQ20に電流が流れなくなり、第2コンデンサC22の端子間電圧の低下も止まる。
【0038】
ここで駆動トランジスタQ20はゲート・ソース間電圧で制御される電流源として動作するので、第2コンデンサC22の端子間電圧が低下するにともない駆動トランジスタQ20に流れる電流も減少する。そのため第2コンデンサC22の端子間電圧が閾値電圧Vthにほぼ等しくなるまでに非常に長い時間を要する。加えて有機EL素子D20の大きな静電容量が第2コンデンサC22の静電容量に加算されることも長い時間を要する要因となっている。実用的にはトランジスタをスイッチング動作させてコンデンサを充放電させる場合と比較して10〜100倍の時間を要する。そのため本実施の形態においては閾値検出期間T2を10μsecに設定している。
【0039】
(書込期間T3)
図7は、実施の形態1における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の書込期間T3における動作を説明するための図である。
【0040】
時刻t3において制御信号CNT24(i)をローレベルにしてトランジスタQ24をオフ状態とする。その後、制御信号CNT22(i)をハイレベルにしてトランジスタQ22をオン状態とする。すると節点Tp1が画像信号電圧Vsg(j)となり、第1コンデンサC21の端子間は電圧(Vsg−Vref)に充電される。以下では、この電圧(Vsg−Vref)を画像信号電圧Vsg’と記載する。
【0041】
このとき駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間には、第1コンデンサC21の端子間電圧と第2コンデンサC22の端子間電圧との和の電圧(Vsg’+Vth)が印加される。そして、画像信号電圧Vsg’>0であれば駆動トランジスタQ20に電流が流れ、第2コンデンサC22の端子間電圧が低下する。しかし本実施の形態において書込期間T3は1μsecと短く、この電圧低下はわずかである。
【0042】
(発光期間T4)
図8は、本発明の実施の形態における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の発光期間T4における動作を説明するための図である。
【0043】
時刻t4において、制御信号CNT22(i)をローレベルにしてトランジスタQ22をオフ状態とし、制御信号CNT21(i)をローレベルにしてトランジスタQ21をオフ状態とする。すると節点Tp1〜Tp3は一旦フローティング状態となる。しかし、駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間には電圧(Vsg’+Vth)が印加されているので、ソース電圧が上昇して、駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間電圧に応じた電流を有機EL素子D20に流す。このときの電流Iは、I=K・(VGS−Vth) =K・Vsg’(ただしVGSはゲート・ソース間電圧、Kは定数である。)となり、閾値電圧Vthを含まない。
【0044】
このように、有機EL素子D20に流れる電流には閾値電圧Vthの影響が含まれない。従って有機EL素子D20に流れる電流は、駆動トランジスタQ20の閾値電圧Vthのばらつきの影響を受けることがない。また閾値電圧Vthが経時変化等により変動した場合であっても、画像信号に対応した輝度で有機EL素子D20を発光させることができる。
【0045】
なお発光期間T4の後に、必要に応じて非発光期間を設けてもよい。非発光期間は、トランジスタQ21、Q23、Q24の少なくとも1つをオン状態とすることで実現できる。
【0046】
また閾値検出期間T2において、トランジスタQ24をオン状態とすることが望ましいが、第1コンデンサC21のリーク電流を無視できればトランジスタQ24をオフ状態としてもよい。この場合には制御信号CNT24(i)と制御信号CNT23(i)とを共用することができる。
【0047】
(実施の形態2)
実施の形態2における画像表示装置10の構成は、
図1に示した実施の形態1と同様である。実施の形態2が実施の形態1と異なる点は画素回路12(i、j)の構成である。
【0048】
図9は、実施の形態2における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の回路図である。実施の形態1と同じ構成要素については実施の形態1と同じ符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態2における画素回路12(i、j)は、実施の形態1と同様に、有機EL素子D20と、駆動トランジスタQ20と、第1コンデンサC21と、第2コンデンサC22と、スイッチとして動作するトランジスタQ21と、トランジスタQ22と、トランジスタQ23とを備えている。
【0049】
しかし実施の形態2においては、節点Tp2と駆動トランジスタQ20のゲートとの間を短絡する第4スイッチであるトランジスタQ24の代わりに、駆動トランジスタQ20のゲートに基準電圧Vrefを印加する第4スイッチであるトランジスタQ44を備えている。すなわちトランジスタQ44のドレイン(またはソース)は基準電圧Vrefが供給されている電圧線33に接続され、トランジスタQ44のソース(またはドレイン)は節点Tp1に接続され、トランジスタQ44のゲートは制御信号CNT44(i)が供給される制御信号線44(i)に接続されている。
【0050】
次に、実施の形態2における画素回路12(i、j)の動作について説明する。実施の形態2においても実施の形態1と同様に、1フレーム期間を初期化期間T1、閾値検出期間T2、書込期間T3、発光期間T4を含む4つの期間に分割してそれぞれの有機EL素子D20を駆動する。実施の形態2における画素回路12(i、j)の画像信号電圧Vsg(j)、制御信号CNT21(i)、CNT22(i)、CNT23(i)のタイミングチャートは、実施の形態1において
図4に示した画像信号電圧Vsg(j)、制御信号CNT21(i)、CNT22(i)、CNT23(i)のタイミングチャートと同じである。また制御信号CNT44(i)のタイミングチャートは、実施の形態1において
図4に示した制御信号CNT24(i)のタイミングチャートと同じである。
【0051】
実施の形態2においても実施の形態1と同様に、1フィールド期間を初期化期間T1、閾値検出期間T2、書込期間T3、発光期間T4の各期間に分割してそれぞれの画素回路12(i、j)の有機EL素子D20を駆動する。
【0052】
(初期化期間T1)
時刻t1において、制御信号CNT22(i)をローレベルにしてトランジスタQ22をオフ状態とするとともに、制御信号CNT21(i)、CNT23(i)、CNT44(i)をハイレベルにしてトランジスタQ21、Q23、Q44をオン状態とする。するとトランジスタQ21を介して節点Tp2に基準電圧Vrefが印加され、さらにトランジスタQ44を介して節点Tp1にも基準電圧Vrefが印加される。また節点Tp3にはトランジスタQ23を介して初期化電圧Vintが印加される。
【0053】
これにより、実施の形態1と同様に、第2コンデンサC22の端子間には閾値電圧Vthよりも高い電圧(Vref−Vint)に充電される。また駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間電圧も閾値電圧Vthより高い電圧(Vref−Vint)が印加されるので、電源線31から駆動トランジスタQ20およびトランジスタQ23を介して電圧線34に、駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間電圧に応じた電流が流れる。
【0054】
なお実施の形態2においても、初期化期間T1を1μsecに設定している。
【0055】
(閾値検出期間T2)
時刻t2において制御信号CNT23(i)をローレベルにしてトランジスタQ23をオフ状態とする。これにより実施の形態1と同様に、第2コンデンサC22の電荷が放電され、第2コンデンサC22の端子間電圧は閾値電圧Vthに漸近する。実施の形態2においても、第2コンデンサC22の端子間電圧が閾値電圧Vthにほぼ等しくなるまでに非常に長い時間を要するため、閾値検出期間T2を10μsecに設定している。
【0056】
(書込期間T3)
時刻t3において制御信号CNT44(i)をローレベルにしてトランジスタQ44をオフ状態とする。以降は実施の形態1と同様に、制御信号CNT22(i)をハイレベルにしてトランジスタQ22をオン状態とする。すると節点Tp1が画像信号電圧Vsg(j)となり、第1コンデンサC21の端子間は電圧(Vsg−Vref)=画像信号電圧Vsg’に充電される。
【0057】
なお実施の形態2においても、書込期間T3を1μsecに設定している。
【0058】
(発光期間T4)
発光期間T4は実施の形態1と同様である。すなわち、時刻t4において、制御信号CNT22(i)をローレベルにしてトランジスタQ22をオフ状態とし、制御信号CNT21(i)をローレベルにしてトランジスタQ21をオフ状態とする。すると駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間には電圧(Vsg’+Vth)が印加されているので、ソース電圧が上昇して、駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間電圧に応じた電流を有機EL素子D20に流す。
【0059】
このように実施の形態2においては、トランジスタQ24を経由して節点Tp1に基準電圧Vrefを印加する代わりに、節点Tp1に基準電圧Vrefを印加するためのスイッチであるトランジスタQ44を備えている。この構成によっても駆動トランジスタQ20の閾値電圧Vthのばらつきの影響を抑えることができる。また閾値電圧Vthが経時変化等により変動した場合であっても、画像信号に対応した輝度で有機EL素子D20を発光させることができる。
【0060】
なお発光期間T4の後に、必要に応じて非発光期間を設けてもよい。非発光期間は、トランジスタQ21、Q23、Q44の少なくとも1つをオン状態とすることで実現できる。
【0061】
また閾値検出期間T2において、トランジスタQ44をオン状態とすることが望ましいが、第1コンデンサC21のリーク電流を無視できればトランジスタQ44をオフ状態としてもよい。この場合には制御信号CNT44(i)と制御信号CNT23(i)とを共用することができる。
【0062】
なお実施の形態2においてはトランジスタQ44を介して節点Tp1に基準電圧Vrefを印加する構成について説明したが、トランジスタQ44を介して、基準電圧Vrefと異なる電圧を節点Tp1に印加する構成であってもよい。
【0063】
(実施の形態3)
実施の形態3における画像表示装置10の構成は、
図1に示した実施の形態1と同様である。実施の形態3が実施の形態1と異なる点は画素回路12(i、j)の構成である。
【0064】
図10は、実施の形態3における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の回路図である。実施の形態1と同じ構成要素については実施の形態1と同じ符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態3における画素回路12(i、j)は、実施の形態1と同様に、有機EL素子D20と、駆動トランジスタQ20と、第1コンデンサC21と、第2コンデンサC22と、スイッチとして動作するトランジスタQ21〜Q24とを備えている。
【0065】
実施の形態3においては、駆動トランジスタQ20のソース側と電流発光素子である有機EL素子D20との間に、有機EL素子D20に流れる電流を遮断するための第5スイッチであるトランジスタQ45をさらに設けている。すなわち、駆動トランジスタQ20のドレインは電源線31に接続され、駆動トランジスタQ20のソースはトランジスタQ45のドレインに接続され、トランジスタQ45のソースは有機EL素子D20のアノードに接続され、有機EL素子D20のカソードは電源線32に接続されている。そしてトランジスタQ45のゲートは制御信号CNT45(i)が供給される制御信号線45(i)に接続されている。
【0066】
次に、実施の形態3における画素回路12(i、j)の動作について説明する。
【0067】
実施の形態3においても実施の形態1と同様に、1フレーム期間を初期化期間T1、閾値検出期間T2、書込期間T3、発光期間T4を含む各期間に分割してそれぞれの有機EL素子D20を駆動する。
【0068】
図11は、実施の形態3における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の動作を示すタイミングチャートである。実施の形態3における画素回路12(i、j)の画像信号電圧Vsg(j)、制御信号CNT21(i)〜CNT24(i)のタイミングチャートは、実施の形態1において
図4に示した画像信号電圧Vsg(j)、制御信号CNT21(i)〜CNT24(i)のタイミングチャートと同じである。
【0069】
(初期化期間T1)
時刻t1において、制御信号CNT45(i)をローレベルにしてトランジスタQ45をオフ状態とする。そして実施の形態1と同様に、制御信号CNT22(i)をローレベルにしてトランジスタQ22をオフ状態とするとともに、制御信号CNT21(i)、CNT(23)、CNT24(i)をハイレベルにしてトランジスタQ21、Q23、Q24をオン状態とする。すると節点Tp1および節点Tp2に基準電圧Vrefが印加され、節点Tp3に初期化電圧Vintが印加される。
【0070】
これにより、実施の形態1と同様に、第2コンデンサC22の端子間には閾値電圧Vthよりも高い電圧(Vref−Vint)に充電される。またトランジスタQ45はオフ状態であるので、電源線31から駆動トランジスタQ20およびトランジスタQ23を介して電圧線34に、駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間電圧に応じた電流が流れる。
【0071】
なお実施の形態3においても、初期化期間T1を1μsecに設定している。
【0072】
(閾値検出期間T2)
時刻t2において制御信号CNT23(i)をローレベルにしてトランジスタQ23をオフ状態とする。これにより実施の形態1と同様に、第2コンデンサC22の電荷が放電され、第2コンデンサC22の端子間電圧は閾値電圧Vthに漸近する。実施の形態3においても、第2コンデンサC22の端子間電圧が閾値電圧Vthにほぼ等しくなるまでに非常に長い時間を要するため、閾値検出期間T2を10μsecに設定している。
【0073】
(書込期間T3)
時刻t3において制御信号CNT24(i)をローレベルにしてトランジスタQ24をオフ状態とし、制御信号CNT22(i)をハイレベルにしてトランジスタQ22をオン状態とする。すると節点Tp1が画像信号電圧Vsg(j)となり、第1コンデンサC21の端子間は電圧(Vsg−Vref)=画像信号電圧Vsg’に充電される。
【0074】
なお実施の形態3においても、書込期間T3を1μsecに設定している。
【0075】
(発光期間T4)
時刻t4において、制御信号CNT45(i)をハイレベルにしてトランジスタQ45をオン態とする。それ以降は実施の形態1と同様に、制御信号CNT22(i)をローレベルにしてトランジスタQ22をオフ状態とし、制御信号CNT21(i)をローレベルにしてトランジスタQ21をオフ状態とする。すると駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間には電圧(Vsg’+Vth)が印加されているので、駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間電圧に応じた電流を有機EL素子D20に流す。
【0076】
なお発光期間T4の後に、必要に応じて非発光期間を設けてもよい。非発光期間は、トランジスタQ45をオフ状態とすることで実現できる。また書込期間以降に、トランジスタQ23をオン状態とした後にトランジスタQ45をオフ状態として非発光期間を設けてもよい。この場合はトランジスタQ45をオン状態に戻した後にトランジスタQ23をオフ状態に戻すことで、再び点灯期間に戻すことができる。
【0077】
このように実施の形態3においては、有機EL素子D20に流れる電流を遮断するためのスイッチであるトランジスタQ45を駆動トランジスタQ20のソース側に設けている。この構成によっても駆動トランジスタQ20の閾値電圧Vthのばらつきの影響を抑えることができる。また閾値電圧Vthが経時変化等により変動した場合であっても、画像信号に対応した輝度で有機EL素子D20を発光させることができる。
【0078】
また実施の形態3の構成ではトランジスタQ45をオフ状態とすることで有機EL素子D20の電流を遮断できるため、基準電圧Vrefを低圧側電圧Vssと有機EL素子D20の電圧Vledとの和よりも大きく設定してもよい。例えば本実施の形態においては、高圧側電圧Vdd=10(V)、低圧側電圧Vss=0(V)、基準電圧Vref=2(V)、初期化電圧Vint=0(V)である。このように各電圧を設定することにより、低圧側電圧Vssおよび初期化電圧Vintをともに接地電位とすることができる。さらに画素回路12(i、j)に印加する各電圧をすべて正極性の電圧または0(V)とすることができる。
【0079】
また閾値検出期間T2において、トランジスタQ24をオン状態とすることが望ましいが、第1コンデンサC21のリーク電流を無視できればトランジスタQ24をオフ状態としてもよい。この場合には制御信号CNT24(i)と制御信号CNT23(i)とを共用することができる。
【0080】
(実施の形態4)
実施の形態4における画像表示装置10の構成は、
図1に示した実施の形態1と同様である。実施の形態4が実施の形態1と異なる点は画素回路12(i、j)の構成である。
【0081】
図12は、実施の形態4における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の回路図である。実施の形態1と同じ構成要素については実施の形態1と同じ符号を付して詳細な説明を省略する。実施の形態4における画素回路12(i、j)は、実施の形態1と同様に、有機EL素子D20と、駆動トランジスタQ20と、第1コンデンサC21と、第2コンデンサC22と、スイッチとして動作するトランジスタQ21〜Q24とを備えている。
【0082】
実施の形態4においては、駆動トランジスタQ20のドレインと電流発光素子である有機EL素子D20に電流を供給する電圧Vddの電源との間に、電流を遮断する第5スイッチであるトランジスタQ55をさらに設けている。すなわち、トランジスタQ55のドレインは電源線31に接続され、トランジスタQ55のソースは駆動トランジスタQ20のドレインに接続され、駆動トランジスタQ20のソースは有機EL素子D20のアノードに接続され、有機EL素子D20のカソードは電源線32に接続されている。そしてトランジスタQ55のゲートは制御信号CNT55(i)が供給される制御信号線55(i)に接続されている。
【0083】
次に、実施の形態4における画素回路12(i、j)の動作について説明する。
【0084】
実施の形態4においても実施の形態1と同様に、1フレーム期間を初期化期間T1、閾値検出期間T2、書込期間T3、発光期間T4を含む各期間に分割してそれぞれの有機EL素子D20を駆動する。
【0085】
図13は、実施の形態4における画像表示装置10の画素回路12(i、j)の動作を示すタイミングチャートである。実施の形態4における画素回路12(i、j)の画像信号電圧Vsg(j)、制御信号CNT21(i)〜CNT24(i)のタイミングチャートは、実施の形態1において
図4に示した画像信号電圧Vsg(j)、制御信号CNT21(i)〜CNT24(i)のタイミングチャートと同じである。
【0086】
(初期化期間T1)
実施の形態1と同様に、時刻t1において、制御信号CNT22(i)をローレベルにしてトランジスタQ22をオフ状態とするとともに、制御信号CNT22(i)、CNT(23)、CNT24(i)をハイレベルにしてトランジスタQ21、Q23、Q24をオン状態とする。このとき制御信号CNT55(i)はローレベルおよびハイレベルのどちらでもよい。すると節点Tp1および節点Tp2に基準電圧Vrefが印加され、節点Tp3に初期化電圧Vintが印加される。
【0087】
これにより、実施の形態1と同様に、第2コンデンサC22の端子間には閾値電圧Vthよりも高い電圧(Vref−Vint)に充電される。このときトランジスタQ55がオン状態であれば、電源線31からトランジスタQ55、駆動トランジスタQ20およびトランジスタQ23を介して電圧線34に、駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間電圧に応じた電流が流れる。
【0088】
なお実施の形態4においても、初期化期間T1を1μsecに設定している。
【0089】
(閾値検出期間T2)
時刻t2において、制御信号CNT55(i)をハイレベルにしてトランジスタQ55をオン状態とするとともに、制御信号CNT23(i)をローレベルにしてトランジスタQ23をオフ状態とする。すると駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間には第2コンデンサC22の端子間電圧が印加されているために駆動トランジスタQ20に電流が流れる。そしてこの電流により第2コンデンサC22の電荷が放電され、第2コンデンサC22の端子間電圧は閾値電圧Vthに漸近する。実施の形態4においても、第2コンデンサC22の端子間電圧が閾値電圧Vthにほぼ等しくなるまでに非常に長い時間を要するため、閾値検出期間T2を10μsecに設定している。
【0090】
(書込期間T3)
時刻t3において、制御信号CNT55(i)をローレベルにしてトランジスタQ55をオフ状態とするとともに、制御信号CNT24(i)をローレベルにしてトランジスタQ24をオフ状態とする。さらに制御信号CNT22(i)をハイレベルにしてトランジスタQ22をオン状態とする。すると節点Tp1が画像信号電圧Vsg(j)となり、第1コンデンサC21の端子間は電圧(Vsg−Vref)=画像信号電圧Vsg’に充電される。
【0091】
このとき画像信号電圧Vsg’>0であれば駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間には、閾値電圧Vth以上の電圧が印加される。しかしトランジスタQ55がオフ状態であるので、駆動トランジスタQ20には電流が流れることなく、従って第2コンデンサC22の端子間電圧は変化しない。このように実施の形態4においては、閾値検出期間T2において設定された第2コンデンサC22の端子間電圧が閾値電圧Vthのまま保持されるので、駆動トランジスタQ20の閾値電圧Vthの補正を精度よく行うことができる。
【0092】
(発光期間T4)
時刻t4において、制御信号CNT55(i)をハイレベルにしてトランジスタQ55をオン状態とする。それ以降は実施の形態1と同様に、制御信号CNT22(i)をローレベルにしてトランジスタQ22をオフ状態とし、制御信号CNT21(i)をローレベルにしてトランジスタQ21をオフ状態とする。すると駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間には電圧(Vsg’+Vth)が印加されているので、駆動トランジスタQ20のゲート・ソース間電圧に応じた電流を有機EL素子D20に流す。
【0093】
なお実施の形態4においては、書込期間T3以降の任意のタイミングで任意の長さの非発光期間を必要に応じて設定することができる。非発光期間を設定するには、時刻t5において制御信号CNT55(i)をローレベルにしてトランジスタQ55をオフ状態とする。すると駆動トランジスタQ20に電流が流れないので有機EL素子D20の発光も停止する。非発光期間中は第1コンデンサC21および第2コンデンサC22の放電径路も遮断されるため、第1コンデンサC21および第2コンデンサC22の端子間電圧はともに保持される。そのため、時刻t6において制御信号CNT55(i)をハイレベルにしてトランジスタQ55をオン状態とすることにより再び発光期間T4に戻すことができる。
【0094】
このように実施の形態4においては、有機EL素子D20に流れる電流を遮断するためのスイッチであるトランジスタQ55を駆動トランジスタQ20のドレイン側に設けている。この構成によっても駆動トランジスタQ20の閾値電圧Vthのばらつきの影響を抑えることができる。また閾値電圧Vthが経時変化等により変動した場合であっても、画像信号に対応した輝度で有機EL素子D20を発光させることができる。
【0095】
また閾値検出期間T2において、トランジスタQ24をオン状態とすることが望ましいが、第1コンデンサC21のリーク電流を無視できればトランジスタQ24をオフ状態としてもよい。この場合には制御信号CNT24(i)と制御信号CNT23(i)とを共用することができる。
【0096】
なお実施の形態4においては、トランジスタQ55をn型トランジスタで構成したが、トランジスタQ55をp型トランジスタで形成してもよい。一般にp型トランジスタは高い電圧に対してオン抵抗を小さくできるので、トランジスタQ55の消費電力を抑制することができる。
【0097】
また実施の形態4においては、画素回路12(i、j)のそれぞれに対して独立にトランジスタQ55を設けた構成について説明したが、複数の画素回路12(i、j)に対して共通にトランジスタQ55を設けてもよい。例えば、画素回路12(i、1)〜12(i、m)で構成される画素行毎に共通にトランジスタQ55を設けてもよく、複数の画素行毎に共通にトランジスタQ55を設けてもよい。
【0098】
なお、実施の形態1〜4において示した電圧値等の各数値はあくまでも一例を示したものであり、これらの数値は有機EL素子の特性や画像表示装置の仕様等により適宜最適に設定することが望ましい。