(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
自走可能な下部走行体(2)と、該下部走行体(2)上に旋回可能に搭載された上部旋回体(3)と、該上部旋回体(3)に俯仰動可能に設けられた作業装置(4)と、該作業装置(4)とバランスさせるために前記上部旋回体(3)の後側に設けられたカウンタウエイト(5)とからなり、
前記上部旋回体(3)は、支持構造体を形成する旋回フレーム(6)と、該旋回フレーム(6)上に設けられ後側が運転席(17)を取付ける座席台(11,32)となり前側がオペレータが足を置く平板状の足置き場(12,33)となったフロア部材(10,31)と、該フロア部材(10,31)の周囲と上方を覆って設けられ内部に居住空間(21)を形成するキャブボックス(20)と、前記フロア部材(10,31)に取付けられ吸込んだ空気を調和空気として前記居住空間(21)に供給する空調ユニットの室内機(22)とを備えてなる建設機械において、
前記フロア部材(10,31)の座席台(11,32)は、前記足置き場(12,33)の後端から立上って左,右方向に延びた後面板(11C,32C)と、該後面板(11C,32C)の上端に前,後方向に延びて設けられ前記運転席(17)が取付けられる運転席取付板(11D,32D)と、前記後面板(11C,32C)、運転席取付板(11D,32D)および足置き場(12,33)の間で上,下方向に形成されるダクト収容空間(14,35)とを有し、
前記ダクト収容空間(14,35)には、前面側がフィルタ取付口(25,40)となって開口し前記居住空間(21)内の空気を前記室内機(22)に向け導入する内気導入ダクト(23,38)を設け、
前記内気導入ダクト(23,38)のフィルタ取付口(25,40)には、空気中の塵埃を捕捉する内気フィルタ(26,41)を設ける構成としたことを特徴とする建設機械。
前記座席台(11,32)の前側には、前記足置き場(12,33)と前記運転席取付板(11D,32D)との間で前記ダクト収容空間(14,35)を閉塞すると共に前記内気フィルタ(26,41)の前側を覆う前カバー(16,37)を設け、
前記運転席取付板(11D,32D)の前端部(11D1,32D1)には、前記前カバー(16,37)の背面と前記内気フィルタ(26,41)の前面との間のフィルタ前空間部(14A,35A)に開口する内気吸込口(15,36)を設け、前記内気フィルタ(26,41)には、前記内気吸込口(15,36)から前記フィルタ前空間部(14A,35A)を介して内気を流通させる構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
前記内気導入ダクト(23,38)は、内部が通気路となった中空のボックス体(24,39)と、該ボックス体(24,39)の前面(24A,39A)側に開口して設けられ前記内気フィルタ(26,41)が取付けられる前記フィルタ取付口(25,40)とにより構成し、
前記ボックス体(24,39)の内気流出口(24F,39F)は、前記室内機(22)の内気導入ダクト接続部(22B1)と接続する構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
前記内気導入ダクト(38)のボックス体(39)と前記室内機(22)の内気導入ダクト接続部(22B1)との間には、前記フロア部材(31)を補強するための補強接続管(44)を設け、前記内気導入ダクト(38)は、前記補強接続管(44)を介して前記室内機(22)の内気導入ダクト接続部(22B1)と接続する構成としてなる請求項5に記載の建設機械。
前記上部旋回体(3)は、前記下部走行体(2)に対する旋回中心(O)と前記カウンタウエイト(5)との間を旋回半径(R)とする後方小旋回機として形成され、前記上部旋回体(3)には、前記カウンタウエイト(5)の前側に位置して原動機(7)を設け、前記フロア部材(10,31)は、前記原動機(7)の前側に位置して前記旋回フレーム(6)上に設ける構成としてなる請求項1に記載の建設機械。
【発明の概要】
【0007】
上述した特許文献1によるものでは、足置き場の下側に室内機を配置し、この室内機に内気吸込口と内気フィルタを設けている。特許文献2では、室内機を足置き場上に直接的に配置し、内気吸込口と内気フィルタは、足置き場である床面上に配置している。
【0008】
ここで、フロア部材の足置き場は、居住空間であると共に、オペレータの歩行通路でもあり、足置き場上には細かな砂、塵埃等が多く滞留している。従って、足置き場よりも低い位置や足置き場の床面上に内気フィルタを設けた場合、該内気フィルタは、足置き場上に滞留する細かな砂、塵埃等を多く捕らえることになる。これにより、内気フィルタが目詰まりし易く、内気フィルタの点検、清掃等のメンテナンス作業の頻度が増え、作業性が悪くなるという問題がある。
【0009】
特に、小型の油圧ショベルは、キャブボックス内の居住空間が小さいから、室内機に関する部材の設置スペースも制限されている。このために、内気吸込口や内気フィルタを自由に配置することができない。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、内気フィルタを砂、塵埃等が詰まり難い場所に配置することにより、内気フィルタのメンテナンス作業の頻度を低減させて作業性を向上できるようにした建設機械を提供することにある。
【0011】
(1).本発明による建設機械は、自走可能な下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に俯仰動可能に設けられた作業装置と、該作業装置とバランスさせるために前記上部旋回体の後側に設けられたカウンタウエイトとからなり、前記上部旋回体は、支持構造体を形成する旋回フレームと、該旋回フレーム上に設けられ後側が運転席を取付ける座席台となり前側がオペレータが足を置く平板状の足置き場となったフロア部材と、該フロア部材の周囲と上方を覆って設けられ内部に居住空間を形成するキャブボックスと、前記フロア部材に取付けられ吸込んだ空気を調和空気として前記居住空間に供給する空調ユニットの室内機とを備えている。
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明が採用する構成の特徴は、前記フロア部材の座席台は、前記足置き場の後端から立上って左,右方向に延びた後面板と、該後面板の上端に前,後方向に延びて設けられ前記運転席が取付けられる運転席取付板と、前記後面板、運転席取付板および足置き場の間で上,下方向に形成されるダクト収容空間とを有し、前記ダクト収容空間には、前面側がフィルタ取付口となって開口し前記居住空間内の空気を前記室内機に向け導入する内気導入ダクトを設け、前記内気導入ダクトのフィルタ取付口には、空気中の塵埃を捕捉する内気フィルタを設ける構成としたことにある。
【0013】
この構成によれば、ダクト収容空間に設けた内気フィルタは、足置き場よりも高い位置に配置することができる。これにより、内気フィルタは、足置き場上に滞留して漂う細かな砂、塵埃等が付着し難くなるから、足置き場上に滞留する砂、塵埃等による内気フィルタの目詰まりを防止することができる。
【0014】
この結果、内気フィルタの目詰まりを防止することができるから、内気フィルタの点検、清掃等のメンテナンス作業を行う頻度を低減させることができ、建設機械の作業性を向上することができる。特に、小型の建設機械のように、居住空間が狭く、空調関係の設置スペースが制限されている場合でも、後面板と運転席取付板と足置き場との間を利用して上,下方向にダクト収容空間を形成することができ、このダクト収容空間に内気導入ダクトと内気フィルタを配置することができる。
【0015】
(2).本発明によると、前記内気導入ダクトには、前記内気フィルタを吸込面が垂直となる縦置きに取付ける構成としたことにある。この場合、内気導入ダクトは、前,後方向で薄肉に形成でき、上,下方向に形成される僅かな設置スペースにも配置することができる。
【0016】
(3).本発明によると、前記フロア部材の座席台には、前記運転席取付板の左,右方向の両端を支持する左側面板と右側面板を設け、前記ダクト収容空間は、該各側面板により左,右方向の両端が閉塞される構成としたことにある。これにより、運転席取付板の左,右方向の両端を各側面板によって支持することができ、座席台として強度を得ることができる。さらに、ダクト収容空間の左,右方向の両端は、各側面板によって閉塞できるから、左,右方向からダクト収容空間に入り込もうとする砂、塵埃等を遮断することができる。
【0017】
(4).本発明によると、前記座席台の前側には、前記足置き場と前記運転席取付板との間で前記ダクト収容空間を閉塞すると共に前記内気フィルタの前側を覆う前カバーを設け、前記運転席取付板の前端部には、前記前カバーの背面と前記内気フィルタの前面との間のフィルタ前空間部に開口する内気吸込口を設け、前記内気フィルタには、前記内気吸込口から前記フィルタ前空間部を介して内気を流入させる構成としたことにある。
【0018】
この構成によれば、前カバーによって内気フィルタと内気導入ダクトを覆うことができ、見栄えを良好にすることができる。しかも、内気フィルタに内気を流入させるための内気吸込口は、内気フィルタよりもさらに高い位置に配置された運転席取付板に設けている。これにより、居住空間内の空気は、運転席取付板の内気吸込口からフィルタ前空間部を介して内気フィルタに向けて流入することができる。一方、空気に比較して重い砂、塵埃等は、足置き場よりも高い運転席取付板に設けられた内気吸込口を通過することができないから、内気フィルタに向けて流通することができず、内気フィルタの目詰まりを長期に亘って防止することができる。
【0019】
(5).本発明によると、前記内気導入ダクトは、内部が通気路となった中空のボックス体と、該ボックス体の前面側に開口して設けられ前記内気フィルタが取付けられる前記フィルタ取付口とにより構成し、前記ボックス体の内気流出口は、前記室内機の内気導入ダクト接続部と接続する構成としたことにある。この構成によれば、内気フィルタを通過した内気を、内気導入ダクトのフィルタ取付口からボックス体内の通気路に流入させ、この内気をボックス体の内気流出口から室内機の内気導入ダクト接続部に供給することができる。
【0020】
(6).本発明によると、前記空調ユニットの室内機は、前記フロア部材の足置き場の裏面側に取付ける構成としたことにある。これにより、フロア部材の足置き場の裏面側のスペースを利用し、空調ユニットの室内機を取付けることができる。
【0021】
(7).本発明によると、前記内気導入ダクトのボックス体と前記室内機の内気導入ダクト接続部との間には、前記フロア部材を補強するための補強接続管を設け、前記内気導入ダクトは、前記補強接続管を介して前記室内機の内気導入ダクト接続部と接続する構成としたことにある。
【0022】
この構成によれば、内気導入ダクトのボックス体内に流入した内気は、補強接続管を介して室内機の内気導入ダクト接続部に供給することができる。しかも、補強接続管は、フロア部材を補強するための補強部材を兼ねているから、部品点数を増大することなく、フロア部材の強度を高めることができる。
【0023】
(8).本発明によると、前記上部旋回体は、前記下部走行体に対する旋回中心と前記カウンタウエイトとの間を旋回半径とする後方小旋回機として形成され、前記上部旋回体には、前記カウンタウエイトの前側に位置して原動機を設け、前記フロア部材は、前記原動機の前側に位置して前記旋回フレーム上に設ける構成としたことにある。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態に係る建設機械として、小型の油圧ショベルを例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
【0026】
図1ないし
図15は本発明に係る建設機械の第1の実施の形態を示している。
【0027】
図1において、1は第1の実施の形態に適用される建設機械としてのクローラ式の油圧ショベルを示している。この油圧ショベル1は、狭い作業現場での作業に適したミニショベルと呼ばれる小型の油圧ショベルである。油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に設けられ土砂の掘削作業等を行う作業装置4と、前記上部旋回体3の後側に設けられたカウンタウエイト5とにより構成されている。このカウンタウエイト5は、作業装置4とバランスさせるもので、後述するエンジン7の後側を覆うように円弧状に湾曲して形成されている。
【0028】
図2に示すように、上部旋回体3は、下部走行体2の車幅とほぼ等しい左,右方向の幅寸法を有し、かつ旋回中心Oを中心とした旋回半径Rの仮想円C内に収まるように、上方から見てほぼ円形状に形成されている。これにより、油圧ショベル1は、上部旋回体3が下部走行体2上で旋回中心Oを中心として旋回したときに、下部走行体2に対する旋回中心Oとカウンタウエイト5との間を旋回半径Rとし、該カウンタウエイト5の後面がほぼ下部走行体2の車幅内に収まる後方小旋回型の油圧ショベルとして構成されている。
【0029】
なお、上述の旋回半径Rは、旋回中心Oからカウンタウエイト5の後面までの距離によって規定され、上述の仮想円Cは、上部旋回体3の旋回時におけるカウンタウエイト5の後面の軌跡となっている。
【0030】
ここで、上部旋回体3は、後述の旋回フレーム6、フロア部材10、前カバー16、運転席17、キャブボックス20、室内機22、内気導入ダクト23、内気フィルタ26、外気導入ダクト28、外気フィルタ29等により構成されている。
【0031】
6は上部旋回体3の旋回フレームを示している。この旋回フレーム6は、下部走行体2上に取付けられた支持構造体として形成されている。旋回フレーム6の前側には、作業装置4が揺動可能および俯仰動可能に取付けられている。
【0032】
エンジン7は原動機を構成するもので、カウンタウエイト5の前側に位置して旋回フレーム6の後側に搭載されている。エンジン7は、油圧ポンプ8(それぞれ
図1中に点線で図示)を回転駆動するものである。さらに、外装カバー9は後述のキャブボックス20(フロア部材10)の周囲に位置して旋回フレーム6上に設けられている。
【0033】
次に、旋回フレーム6のうち、エンジン7の前側に設けられたフロア部材10について説明する。
【0034】
10はエンジン7の前側に位置して旋回フレーム6上の左側寄りに設けられるフロア部材を示している(
図3ないし
図8参照)。このフロア部材10は、前側位置が旋回フレーム6の前側位置に傾転可能に支持されることにより、後述の運転席17、キャブボックス20等と一緒に前側位置を支点としてチルトアップ、チルトダウンすることができる。この場合、フロア部材10は、後述の座席台11、足置き場12、レバー・ペダル取付部位13等により構成されている。なお、実施の形態では、フロア部材10が上部旋回体3の左側に設けられた場合を例示しているが、フロア部材10を上部旋回体3の右側に設ける構成としてもよい。
【0035】
座席台11はフロア部材10の後側に設けられている。この座席台11は、上側に後述の運転席17が取付けられるものである。
図8ないし
図10に示すように、座席台11は、左側に位置して前,後方向に延びるように立設された左側面板11Aと、右側に位置して前,後方向に延びるように立設された右側面板11Bと、エンジン7側となる足置き場12の後端から立上って左,右方向に延び前記左側面板11Aと右側面板11Bとの間を閉塞した横長な後面板11Cと、該後面板11Cの上端に前,後方向に延びて設けられ左,右方向の両端が前記各側面板11A,11Bに支持された運転席取付板11Dと、該運転席取付板11Dの後部から上側に延びた背面板11Eとにより構成されている。さらに、運転席取付板11Dは、水平方向に延びる平板として形成され、その上面には運転席17が取付けられる。
【0036】
従って、座席台11は、全体として上方に立上った台座状に形成されている。ここで、座席台11の下側は、左,右の側面板11A,11Bによって挟まれると共に、後面板11C、運転席取付板11Dおよび足置き場12の後部位置12Bによって囲まれたスペースを有している。このように、座席台11と足置き場12との間のスペースは、後述のダクト収容空間14として形成されている。運転席取付板11Dの前端部11D1には、居住空間21とダクト収容空間14とを連通する後述の内気吸込口15が設けられている。
【0037】
座席台11の左側面板11Aと運転席取付板11Dとの間の折曲位置には、開口部11Fが設けられ、該開口部11Fには、後述する外気導入ダクト28のフィルタ収容部28Aが上向きに取付けられる。座席台11の背面板11Eの上側には、後側に延びて延設部11Gが設けられ、該延設部11Gは、旋回フレーム6上に設けられた支持台(図示せず)またはカウンタウエイト5の上部に取付けられている。さらに、
図10に示すように、座席台11の左側面板11Aには、キャブボックス20の外部の空気(外気)を導入する後述の外気導入口27が設けられている。
【0038】
足置き場12は、運転席17に着座したオペレータが足を乗せるもので、座席台11の前側に設けられている。足置き場12は、左,右方向に長尺な長方形状の平坦な板体として形成され、その後部位置12B(
図8参照)は座席台11の下側に入り込んでいる。後述するキャブボックス20のドア20F側に位置する足置き場12の左端は、乗降面部12Aとなっている。この乗降面部12Aは、オペレータが居住空間21に乗り降りするときに足を掛けることができるように、足置き場12よりも1段低くなっている。
【0039】
レバー・ペダル取付部位13は足置き場12の前側に一体的に設けられ、該レバー・ペダル取付部位13は、足置き場12の前端に沿って左,右方向に延びる板体によって形成されている。レバー・ペダル取付部位13には、後述する走行用の操作レバー・ペダル19等が取付けられている。
【0040】
ダクト収容空間14は座席台11の前側に設けられている。
図8、
図9に示すように、ダクト収容空間14は、座席台11の後面板11Cの前側に位置して運転席取付板11Dと足置き場12の後部位置12Bとの間に、上,下方向に延びた閉塞空間として形成されている。この場合、ダクト収容空間14は、左,右の側面板11A,11Bにより左,右方向の両端が閉塞されている。このダクト収容空間14は、後面板11Cの前側で運転席取付板11Dと足置き場12の後部位置12Bとの間に、前,後方向に薄く、左,右方向と上,下方向とに延びた扁平な空間部として形成されている。これにより、ダクト収容空間14は、小型の油圧ショベル1の居住空間21のように設置スペースが制限されている場合でも、狭い居住空間21内に設けることができる。ダクト収容空間14には、後述の内気導入ダクト23と内気フィルタ26を縦置き状態で収容することができる。
【0041】
ダクト収容空間14のうち、後述する前カバー16の背面と内気フィルタ26の前面との間は、フィルタ前空間部14Aとなっている。このフィルタ前空間部14Aは、後述の内気吸込口15を通過した内気が、内気フィルタ26に向けて流通する空間部となっている。
【0042】
内気吸込口15は座席台11の運転席取付板11Dに設けられている(
図9、
図10参照)。この内気吸込口15は、後述する前カバー16の背面と内気フィルタ26の前面との間となる運転席取付板11Dの前端部11D1に設けられている。内気吸込口15は、後述する居住空間21内の空気を内気フィルタ26に流入させるもので、左,右方向に延びる複数本のスリットとして形成されている。
【0043】
ここで、
図8に示すように、内気吸込口15は、居住空間21の床面をなす足置き場12よりも高さ寸法H1だけ高い位置に設けている。従って、足置き場12上に細かい砂や塵埃等が滞留しても、空気よりも重い砂や塵埃等は、上昇することができないから、高い位置に配置した内気吸込口15を通ってダクト収容空間14に入り込むことは困難である。これにより、後述の内気フィルタ26の吸込面に砂や塵埃等が詰まるのを防止することができる。
【0044】
前カバー16は座席台11の前側に設けられ(
図4、
図8参照)ている。この前カバー16は、座席台11のダクト収容空間14内に収容された後述の内気導入ダクト23と内気フィルタ26とを覆い隠すもので、ダクト収容空間14の前側を閉塞する左,右方向に長尺な長方形状の板体として形成されている。前カバー16は、足置き場12と座席台11の運転席取付板11Dとの間で前記内気フィルタ26の前側を覆うものである。これにより、前カバー16は、座席台11の前側の見栄えを良好にすることができる。しかも、前カバー16は、居住空間21内で舞い上がった砂や塵埃が内気フィルタ26に直接的に付着するのを防止することができる。
【0045】
前カバー16は、内気フィルタ26の前側を覆うことにより、当該前カバー16の背面と内気フィルタ26の前面との間に、ダクト収容空間14の一部を構成するフィルタ前空間部14Aを形成している。フィルタ前空間部14Aに連通する位置、即ち、座席台11の運転席取付板11Dの前端部11D1には、内気吸込口15が設けられている。
【0046】
運転席17はフロア部材10上に設けられ、
図3等に示すように、該運転席17は、座席台11を構成する運転席取付板11Dの左,右方向の中央位置に搭載されている。この運転席17は、油圧ショベル1を操縦するときにオペレータが着座するものである。運転席17の左,右両側には、作業装置4等を操作するための作業用の操作レバー18が配設されている。さらに、運転席17の前方となるレバー・ペダル取付部位13には、下部走行体2を走行させるときに手動操作または足踏み操作によって操作する走行用の操作レバー・ペダル19等が設けられている。
【0047】
キャブボックス20はフロア部材10上に設けられ、該キャブボックス20は、フロア部材10の周囲と上方を覆うものである。
図2、
図3に示すように、キャブボックス20は、前面20A、後面20B、左面20C、右面20Dおよび天面20Eによりボックス状に形成され、下端部がフロア部材10の周縁に取付けられている。これにより、キャブボックス20は、フロア部材10上にオペレータの居住スペースとなる居住空間21を形成している。キャブボックス20の左面20Cには、乗降口を開閉するドア20Fが回動可能に設けられている。
【0048】
次に、フロア部材10に設けられた空調ユニットの室内機22、各導入ダクト23,28および各フィルタ26,29について説明する。
【0049】
22は空調ユニットの室内機で(
図7、
図8参照)、該室内機22は、フロア部材10の足置き場12の裏面側に取付けられている。この室内機22は、キャブボックス20内の内気または大気となる外気を吸込み、所望の温度、湿度に調整した調和空気としてキャブボックス20内の居住空間21に供給するものである。
【0050】
図12に示すように、室内機22は、左,右方向に延びる箱形状のケーシング22A内に、送風ファン、エバポレータ、ヒータコア(いずれも図示せず)等を収容している。ケーシング22Aの上流側となる左側には、流入側接続部22Bが設けられ、該流入側接続部22B内には、内気と外気とを切換える切換機構(図示せず)が内蔵されている。流入側接続部22Bには、後述の内気導入ダクト23が接続される内気導入ダクト接続部22B1と、外気導入ダクト28が接続される外気導入ダクト接続部22B2とが設けられている。一方、ケーシング22Aの下流側となる右側には、流出側接続部22Cが設けられ、該流出側接続部22Cには、調和空気を居住空間21内に供給するための空調ダクト(図示せず)が接続される。
【0051】
23は第1の実施の形態の特徴部分となる内気導入ダクトを示しており、該内気導入ダクト23は、座席台11の後面板11Cの前側に位置して座席台11のダクト収容空間14内に設けられている(
図6参照)。
図11、
図12、
図13に示すように、この内気導入ダクト23は、上,下方向と左,右方向に長尺で、前,後方向に短尺な直方体状の中空容器となっている。即ち、内気導入ダクト23は、前,後方向に扁平なボックス体24と、該ボックス体24の前面側に開口して設けられたフィルタ取付口25とにより構成されている。内気導入ダクト23は、その外形を形成するボックス体24を、左,右方向に長尺となるように立上げて配置することにより、垂直方向に延びた縦置き状態で配設されている。
【0052】
ここで、
図12ないし
図15に示すように、ボックス体24は、左,右方向に長尺な長方形状に形成された前面板24Aと、該前面板24Aと間隔をもって対面した長方形状の後面板24Bと、前記前面板24Aと後面板24Bとの間を閉塞する角枠状の周面板24Cとにより構成されている。前面板24Aには、後述のフィルタ取付口25を上,下で挟むようにフィルタガイド24D,24Eが設けられ、該各フィルタガイド24D,24Eは、後述の内気フィルタ26をフィルタ取付口25に対して左,右方向に抜き差し可能に保持するものである。
【0053】
ボックス体24には、左下側に位置して内気流出口24Fが設けられている。この内気流出口24Fは、室内機22の流入側接続部22Bを形成する内気導入ダクト接続部22B1と接続されるものである。内気流出口24Fは、上,下方向に延びる角筒状に形成され、フィルタ取付口25からボックス体24内に吸込んだ内気を室内機22に供給することができる。
【0054】
フィルタ取付口25はボックス体24の前面板24Aに開口して設けられ、該フィルタ取付口25は、内気を内気導入ダクト23の内部の通気路に流入させるための流入口となっている。
図12、
図15に示すように、フィルタ取付口25は、前方に向けて開口した横長な開口として形成されている。
【0055】
ここで、内気導入ダクト23は、垂直面となった前面板24Aにフィルタ取付口25を開口して設けているから、このフィルタ取付口25には、内気フィルタ26を吸込面が垂直となる縦置きに取付けることができる。さらに、フィルタ取付口25は、ダクト収容空間14内に設けているから、フィルタ取付口25は、居住空間21の床板である足置き場12よりも高い位置に配置することができる。このように、フィルタ取付口25をダクト収容空間14内の高い位置に配置した状態では、足置き場12上に滞留して漂う細かい砂や塵埃等をフィルタ取付口25から吸込み難くすることができる。
【0056】
内気フィルタ26は内気導入ダクト23に取付け、取外し可能に設けられている。この内気フィルタ26は、内気導入ダクト23に導入される内気中の細かい砂、塵埃等の異物を捕捉するものである。内気フィルタ26は、内気導入ダクト23のフィルタ取付口25に異物を捕らえる吸込面が垂直となる縦置きに配置しているから、窮屈なダクト収容空間14に収容することができる。具体的には、内気フィルタ26は、フィルタ取付口25を覆うように左,右方向に長尺な長方形状に形成され、フィルタガイド24D,24Eに沿って着脱可能に保持されている。
【0057】
内気フィルタ26は、足置き場12よりも高い位置に配置されたボックス体24のフィルタ取付口25を覆うものであるから、
図8に示すように、この内気フィルタ26の下端は、足置き場12の上面よりも高さ寸法H2だけ高い位置に配置されている。従って、細かい砂や塵埃等が内気フィルタ26に付着するのを防止でき、内気フィルタ26の目詰まりの進行を遅らせることができる。
【0058】
外気導入口27は座席台11の左側面板11Aに設けられ(
図10参照)、該外気導入口27は、キャブボックス20の外部に開口している。この外気導入口27は、例えば横方向に延びる複数本のスリットを上,下方向に並べることで上,下方向に長尺な長方形状の開口として形成され、後述の外気導入ダクト28の上流側が対向して配置されている。
【0059】
外気導入ダクト28はフロア部材10に設けられている。この外気導入ダクト28は、座席台11の外気導入口27と室内機22の流入側接続部22Bの外気導入ダクト接続部22B2とを接続するもので、途中部位には、フィルタ収容部28Aが座席台11の開口部11Fから上向きに突出するように設けられている。外気導入ダクト28は、外気導入口27から導入した外気を室内機22に向けて供給するものである。
【0060】
外気フィルタ29は外気導入ダクト28のフィルタ収容部28Aに取付け、取外し可能に収容されている。この外気フィルタ29は、外気導入ダクト28を室内機22に向けて流通する外気中の異物を捕捉するものである。
【0061】
第1の実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0062】
キャブボックス20内の居住空間21に乗り込んで運転席17に着座したオペレータは、走行用の操作レバー・ペダル19を操作することにより、下部走行体2を走行させる。一方、左,右の作業用の操作レバー18を操作することにより、作業装置4等を動作させ、土砂の掘削作業等を行うことができる。
【0063】
上述した油圧ショベル1の作業時には、居住空間21の環境を良好にするために空調ユニットの室内機22等を運転する。このときに、室内機22は、キャブボックス20内の内気または外部の外気を吸込み、この空気をケーシング22A内のエバポレータで冷やし、またはヒータコアで温めて調和空気とする。室内機22は、調和空気を居住空間21に吹出すことにより、居住空間21内を適度な温度に調整することができる。
【0064】
ここで、油圧ショベル1は、砂や塵埃が舞い上がるような作業現場で作業を行うものであるから、キャブボックス20内にも細かい砂や塵埃が入り込む。キャブボックス20内の居住空間21に入り込んだ砂や塵埃は、フロア部材10の足置き場12上に滞留し、または堆積することになる。この場合、室内機22を内気循環で運転すると、内気導入ダクト23が内気と一緒に足置き場12上を漂う細かい砂や塵埃を吸込むから、内気フィルタ26に砂や塵埃が多く付着する虞がある。
【0065】
然るに、第1の実施の形態によれば、限られた居住空間21内で、座席台11の運転席取付板11Dと足置き場12の後部位置12Bとの間のスペースを有効的に利用することによりダクト収容空間14を上,下方向に設けることができる。このダクト収容空間14には、前面側がフィルタ取付口25となって開口した内気導入ダクト23を設け、この内気導入ダクト23のボックス体24の前面板24Aにフィルタ取付口25を覆うように内気フィルタ26を設ける構成としている。
【0066】
ダクト収容空間14に設けた内気フィルタ26は、その下端を足置き場12よりも高さ寸法H2だけ高い位置に配置しているから、内気フィルタ26に細かな砂、塵埃等が付着するのを防止でき、足置き場12上に滞留する砂、塵埃等による内気フィルタ26の目詰まりを防止することができる。
【0067】
この結果、内気フィルタ26の目詰まりを防止することができるから、この内気フィルタ26の目詰まり点検、付着物の清掃等のメンテナンス作業を行う頻度を低減させることができ、油圧ショベル1の作業性を向上することができる。
【0068】
小型の油圧ショベル1は、居住空間21が狭く、空調関係の設置スペースが制限されている。この場合でも、後面板11Cと運転席取付板11Dと足置き場12の後部位置12Bとの間の上,下方向の空間を利用してダクト収容空間14を形成することができ、このダクト収容空間14に内気導入ダクト23と内気フィルタ26を配置することができる。しかも、内気導入ダクト23には、内気フィルタ26を吸込面が垂直となる縦置きに取付けているから、この内気導入ダクト23と内気フィルタ26は、ダクト収容空間14のように僅かな設置スペースにも配置することができる。
【0069】
座席台11の前側には、該座席台11の運転席取付板11Dと足置き場12との間で内気フィルタ26の前側を覆う前カバー16を設けているから、内気フィルタ26と内気導入ダクト23を覆うことができ、見栄えを良好にすることができる。前カバー16は、居住空間21内で舞い上がった砂や塵埃が内気フィルタ26に直接的に付着するのを防止することができる。加えて、座席台11には、運転席取付板11Dの左,右方向の両端を支持する左,右の側面板11A,11Bを設けているから、座席台11の強度を高めることができる。左,右の側面板11A,11Bは、ダクト収容空間14の左,右方向から入り込もうとする砂、塵埃等を遮断することができる。
【0070】
しかも、第1の実施の形態では、運転席取付板11Dの前端部11D1には、前カバー16の背面と内気フィルタ26の前面との間のフィルタ前空間部14Aに開口する内気吸込口15を設ける構成としている。これにより、居住空間21内の空気は、運転席取付板11Dの内気吸込口15からフィルタ前空間部14Aを介して内気フィルタ26に向けて流入させることができる。一方、空気に比較して重い砂、塵埃等は、足置き場12よりも高さ寸法H1だけ高い位置の内気吸込口15を通過することができないから、これらの砂、塵埃等がダクト収容空間14に入り込むのを防止することができる。この結果、内気フィルタ26の目詰まりを長期に亘って防止することができる。
【0071】
一方、空調ユニットの室内機22は、フロア部材10の足置き場12の裏面側の床下スペースを利用して取付けることができ、小型の油圧ショベル1のフロア部材10にも室内機22を取付けることができる。
【0072】
さらに、内気導入ダクト23は、ボックス体24とフィルタ取付口25とにより構成しているから、内気導入ダクト23は、内気フィルタ26を通過した内気を、フィルタ取付口25からボックス体24内に流入させることにより、内気を室内機22の流入側接続部22Bの内気導入ダクト接続部22B1に供給することができる。
【0073】
次に、
図16ないし
図22は本発明の第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、内気導入ダクトのボックス体と室内機の内気導入ダクト接続部との間には、フロア部材を補強するための補強接続管を設け、内気導入ダクトは、該補強接続管を介して室内機の内気導入ダクト接続部と接続する構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0074】
図16において、31は第2の実施の形態によるフロア部材を示している。このフロア部材31は、前述した第1の実施の形態によるフロア部材10とほぼ同様に、後述の座席台32、足置き場33、レバー・ペダル取付部位34等により構成されている。
【0075】
32はフロア部材31の後側に設けられ上側に運転席17が取付けられる第2の実施の形態による座席台を示している。
図17ないし
図21に示すように、この座席台32は、前述した第1の実施の形態による座席台11とほぼ同様に、左側面板32A、右側面板32B、後面板32C、運転席取付板32D、背面板32E、延設部32Fにより構成されている。しかし、第2の実施の形態による座席台32は、後述する内気導入ダクト38が補強接続管44を介して室内機22に接続されている点で、第1の実施の形態による座席台11と相違している。
【0076】
足置き場33は、運転席17に着座したオペレータが足を乗せるもので、座席台32の前側に設けられている。足置き場33の左端は足を掛けるために1段低い乗降面部33Aとなっている。レバー・ペダル取付部位34は足置き場33の前側に設けられ、該レバー・ペダル取付部位34には、走行用の操作レバー・ペダル19等が取付けられている。
【0077】
ダクト収容空間35は座席台32の前側に設けられ、
図20に示すように、該ダクト収容空間35は、後面板32Cと運転席取付板32Dと足置き場33の後部位置33Bとの間に上,下方向に延びた空間として形成されている。ダクト収容空間35のうち、後述する前カバー37の背面と内気フィルタ41の前面との間は、フィルタ前空間部35Aとなっている。
【0078】
内気吸込口36は座席台32の運転席取付板32Dの前端部32D1に設けられている。内気吸込口36は、前述した第1の実施の形態による内気吸込口15とほぼ同様に、足置き場33よりも高さ寸法H3だけ高い位置に配置されている。
【0079】
前カバー37は座席台32の前側に設けられている。この前カバー37は、第1の実施の形態による前カバー16とほぼ同様に、座席台32のダクト収容空間35内に収容された内気導入ダクト38と内気フィルタ41とを覆い隠すもので、左,右方向に長尺な長方形状に形成されている。
【0080】
次に、第2の実施の形態による特徴部分である内気導入ダクト38の構成について、
図18ないし
図22を参照して述べる。
【0081】
38は座席台32のダクト収容空間35内に設けられた第2の実施の形態による内気導入ダクトを示している。
図18、
図22等に示すように、この内気導入ダクト38は、第1の実施の形態による内気導入ダクト23とほぼ同様に、ボックス体39とフィルタ取付口40とにより構成されている。しかし、第2の実施の形態による内気導入ダクト38は、補強接続管44を介して室内機22の内気導入ダクト接続部22B1と接続する構成としている点で、第1の実施の形態による内気導入ダクト23と相違している。
【0082】
ここで、ボックス体39は、座席台32のダクト収容空間35に、垂直方向に延びた縦置き状態で設けられている。これにより、ボックス体39は、小さな設置スペースに配置でき、しかも、フィルタ取付口40は、足置き場33よりも高い位置に配設することができる。
【0083】
即ち、
図20、
図21、
図22に示すように、ボックス体39は、左,右方向に長尺な長方形状に形成された前面板39Aと、該前面板39Aと間隔をもって対面した長方形状の後面板39Bと、前記前面板39Aと後面板39Bとの間を閉塞する角枠状の周面板39Cとにより前,後方向に薄肉な直方体状の容器として構成されている。
【0084】
前面板39Aには、後述の内気フィルタ41をフィルタ取付口40に対して左,右方向に抜き差し可能に保持するためのフィルタガイド39D,39Eが設けられている。一方、周面板39Cのうち、補強接続管44と当接する左側の当接面部39C1には、内気流出口39Fが設けられている。この内気流出口39Fは、補強接続管44の連通開口44Eと接続されることにより、内気導入ダクト38から補強接続管44に内気を流通させるものである。
【0085】
フィルタ取付口40はボックス体39の前面板39Aに開口して設けられている。このフィルタ取付口40は、内気導入ダクト38の内気の流入口をなすもので、前方に向けて開口した横長な開口として形成されている。フィルタ取付口40は、足置き場33よりも高い位置に配置されている。
【0086】
内気フィルタ41はフィルタ取付口40を覆うようにボックス体39の前面側に設けられている。
図20に示すように、内気フィルタ41は、足置き場33上を漂う細かい砂や塵埃等を吸込まないように、その下端を足置き場33の上面よりも高さ寸法H4だけ高い位置に配置している。
【0087】
外気導入口42は座席台32の左側面板32Aに設けられている(
図17参照)。外気導入ダクト43はフロア部材31に設けられ(
図21参照)、この外気導入ダクト43は、座席台32の外気導入口42と室内機22の流入側接続部22Bの外気導入ダクト接続部22B2とを接続するものである。
【0088】
44は室内機22と内気導入ダクト38との間に設けられた補強接続管である。この補強接続管44は、ボックス体39と室内機22とを接続するもので、該ボックス体39の左側に設けられている。補強接続管44は、ボックス体39とは別個に設けられ、上,下方向に延びた高強度の1つの支柱として形成されている。即ち、補強接続管44は、座席台32に取付けることにより、フロア部材31の強度を高める補強部材を兼ねている。
【0089】
補強接続管44は、前面部44A、後面部44B、左側面部44Cおよび右側面部44Dにより上,下方向に延びる略角筒状に形成され、これにより、補強接続管44は、内部が中空な閉断面構造をなしている。この場合、中空閉断面構造の補強接続管44は、複数の金属製の板材を、曲げ加工、溶接加工等を用いて組合わせることにより、曲げ、捩れ等の変形に対して高い強度をもったボックス状の強度部材として形成されている。
【0090】
補強接続管44の右側面部44Dは、ボックス体39の当接面部39C1に当接するもので、該右側面部44Dには、内気流出口39Fと連通する連通開口44Eが形成されている。一方、補強接続管44の下部は、室内機22の内気導入ダクト接続部22B1に接続される接続口44Fとなっている。さらに、補強接続管44には、左側面部44Cの上側部分を後側に延ばすことにより、運転席取付板32Dを下側から支持する支持板44Gが設けられている。
【0091】
このように構成された内気導入ダクト38は、ボックス体39の周面部39Cの当接面部39C1と補強接続管44の右側面部44Dとを当接させることにより、溶接、接着、ねじ止め等の固着手段を用いて一体的に固着することができる。内気導入ダクト38は、座席台32のダクト収容空間35内に位置してフロア部材31に取付けることができる。
【0092】
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態によれば、内気導入ダクト38のボックス体39と室内機22の内気導入ダクト接続部22B1との間には、フロア部材31を補強するための補強接続管44を設け、前記内気導入ダクト38は、該補強接続管44を介して前記室内機22の内気導入ダクト接続部22B1と接続する構成としている。従って、内気導入ダクト38のボックス体39内の通気路に流入した内気は、補強接続管44を介して室内機22に供給することができる。しかも、補強接続管44は、フロア部材31を補強するための補強部材を兼ねているから、部品点数を増大することなく、フロア部材31の強度を高めることができる。
【0093】
なお、第1の実施の形態では、座席台11の運転席取付板11Dの前端部11D1に、フィルタ前空間部14Aに開口するように内気吸込口15を設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば前カバー16の上側位置にフィルタ前空間部14Aに開口するように内気吸込口を設ける構成としてもよい。さらに、運転席取付板11Dと前カバー16の両方に内気吸込口を設ける構成としてもよい。これらの構成は、第2の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
【0094】
第1の実施の形態では、空調ユニットの室内機22をフロア部材10の足置き場12の裏面側に取付ける構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばフロア部材を下側床板と上側床板とからなる二重床構造とし、下側床板を大きく窪ませることにより、この窪み部に室内機を収容し、室内機の上側を上側床板で覆う構成としてもよい。この構成は、第2の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
【0095】
一方、第1の実施の形態では、フロア部材10を旋回フレーム6に対し前側位置を支点としてチルトアップ、チルトダウン可能に構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば旋回フレームに対してフロア部材を固定して設ける形式の油圧ショベルに適用することもできる。この構成は、第2の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
【0096】
さらに、各実施の形態では、建設機械として、クローラ式の下部走行体2を備えたキャブ仕様の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに適用してもよい。また、油圧クレーン等の他の建設機械に適用してもよい。