(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記BEMF信号属性は前記BEMF信号の振動数であり、前記振動数は、BEMF信号ピーク値に対応する参照点を捕捉することによって測定される、請求項1に記載の触覚制御システム。
前記ドライバは、切換え駆動信号を発生させる切換え駆動モードと、線形駆動信号を発生させる線形駆動モードとの2つのモードにおいて作動するように構成される、請求項1に記載の触覚制御システム。
前記BEMF信号特性は前記BEMF信号の振動数であり、前記振動数は、BEMF信号ゼロ交差に対応する参照点を捕捉するステップによって測定される、請求項31に記載の方法。
前記BEMF信号特性は前記BEMF信号の振動数であり、前記振動数は、BEMF信号ピーク値に対応する参照点を捕捉するステップによって測定される、請求項31に記載の方法。
1つのモードにおける切換え駆動信号およびもう1つのモードにおける線形駆動信号として、前記連続駆動信号を発生させるステップを更に含む、請求項31に記載の方法。
前記ドライバは、切換え駆動信号を発生させる切換え駆動モードと、線形駆動信号を発生させる線形駆動モードとの2つのモードにおいて作動するように構成される、請求項55に記載の触覚制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態では、出力ピンに連続駆動信号を発生させるドライバを含む触覚制御システムを提供する。触覚制御システムはまた、出力ピンに接続されたモニタであって、その出力ピン上に発生された逆起電力(BEMF)信号を捕捉し、BEMF信号属性を測定し、BEMF信号属性に基づいてドライバに調整信号を伝送するモニタを含む。ドライバは、調整信号に従って連続駆動信号の発生を調整するように構成される。
【0011】
本発明の実施形態ではまた、触覚効果を生むための方法も提供する。その方法は、連続駆動信号を発生させることと、触覚効果を生むためにアクチュエータを振動させる連続駆動信号を信号線経由でアクチュエータに印加することと、連続駆動信号の印加の間に信号線上にアクチュエータによって発生されたBEMF信号を捕捉することと、BEMF信号からBEMF信号特性を測定することと、測定されたBEMF信号特性に基づいて対応連続駆動信号特性を調整することと、を含んでもよい。
【0012】
本発明の実施形態では、所望の触覚効果に基づいて命令を生成する触覚コントローラと、命令を受信し、連続駆動信号を発生させるドライバとを含む電子デバイスを更に提供する。電子デバイスはまた、ドライバに接続された線形共振アクチュエータであって、信号線経由でドライバから連続駆動信号を受信し、線形共振アクチュエータ内のマスを振動させ、それによって、所望の触覚効果を生む線形共振アクチュエータを含む。モニタは、信号線上に振動によって生成されたBEMF信号を捕捉し、BEMF信号特性を測定する。ドライバは、測定されたBEMF信号特性に基づいて連続駆動信号の発生を調整するように構成される。
【0013】
発明は、連続駆動信号を印加する触覚生成用スマート線形共振アクチュエータ(LRA)駆動機構を提供する。連続駆動信号は、所望の触覚効果を機械的に生むモータに印加される。この駆動機構はまた、連続駆動信号が印加される間にモータによって誘発されるBEMF信号を監視することを可能にする。換言すれば、駆動信号が印加されると、同時に、BEMFが監視される。モータの振動の共振振動数および/または振幅は、BEMF信号から測定されてもよい。当該測定に基づいて、連続出力駆動信号はそれに応じて調整されてもよい。
【0014】
図1aは、本発明の実施形態に係るスマートLRA駆動システム100の簡易ブロック図である。システム100は、触覚コントローラ110、連続LRAドライバ120、およびBEMFモニタ130を含んでもよい。連続LRAドライバ120は、信号線経由でモータに接続されてもよい。連続LRAドライバ120は、モータが接続される出力ピンを含んでもよい。信号線は一対の電気線であってもよく、また、出力ピンは差動信号のための一対のピンを含んでもよい。BEMFモニタ130はまた、信号線に接続されてもよい。
【0015】
触覚効果要求に従って、触覚コントローラ110は、連続LRAドライバ120に対応制御信号出力を発生させもよい。例えば、ユーザは、タッチスクリーン上のアイコンを選択してもよいし、触覚コントローラ110は、例えば当該ユーザの選択に対するユーザへのフィードバック刺激のためのクリック振動などの触覚効果に対応する制御信号を発生させてもよい。触覚コントローラ110は、複数の異なる触覚効果を与えてもよい。連続LRAドライバ120は、触覚コントローラ110から制御信号を受信してもよく、それに応じて駆動信号を発生させてもよい。駆動信号は連続的であってもよい。更に、駆動信号は±Δで変動してもよい。ここで、Δは駆動信号の振幅である。
【0016】
連続LRAドライバ120は、発生した駆動信号をモータに出力してもよい。ここで、駆動信号はモータを振動させることができるので触覚効果を生む。駆動信号は連続LRAドライバ120によって出力ピンに出力されてもよく、モータは出力ピンに接続されてもよい。
【0017】
モータは、ばねで荷重されるマスを有するコイルモータを含んでもよい。モータは永久磁石を含んでもよい。モータは、触覚効果を生むためにばねで荷重されたマスを振動させてもよい。モータはまた、動きを生むための磁気コイルを含んでもよい。さらに、モータによる振動は、モータに接続された電気信号線内に生成されるBEMF信号を誘発し得る。BEMF信号の振動数は機械システムの共振振動数に対応し得るし、BEMF信号の振幅は機械システムの振動の大きさに対応し得る。
【0018】
図1bは、本発明に使用され得る電気‐磁気モータ190の簡易ブロック図である。モータは、コイル191、永久磁石192、ばね193、およびマス194を含んでもよい。コイル191は駆動信号出力に接続されてもよい。
【0019】
図1aに戻ると、BEMFモニタ130は、駆動信号をモータに印加するために使用される電気信号線からBEMF信号を捕捉してもよい。BEMFモニタ130は、連続LRAドライバ120が駆動信号を出力する出力ピンであって、モータが接続される出力ピンと同じ出力ピンに接続されてもよい。駆動信号は連続信号であり得るので、BEMFモニタ130は駆動信号からBEMF信号を分離してもよい。BEMF信号を分離した後、BEMFモニタ130はBEMF信号の振動数および/または振幅を測定してもよい。BEMFモニタ130は測定値に従って調整信号をLRAドライバ120に伝送してもよい。次いで、LRAドライバ120は最適な駆動信号を生成するために駆動信号の振動数および/または振幅を調整してもよい。
【0020】
いくつかの先行技術のシステムとは異なり、システム100は駆動信号と同じ信号線上でBEMF信号を捕捉するときに駆動信号を中断せず停止もしない。さらに、システム100はBEMF信号を捕捉するためのコイルまたは線を別途含まないが、駆動信号の印加と同時に駆動信号と同じ線上でBEMF信号を捕捉する。
【0021】
触覚コントローラ110、連続LRAドライバ120、およびBEMFモニタ130は別の集積回路上に製造されてもよいし、または、共通の集積回路に組み合わされてもよい。例えば、連続LRAドライバ120およびBEMFモニタ130が単一の集積回路上に製造されてもよい。(複数の)集積回路が回路基板、例えばプリント回路基板(PCB)上に配置されてもよい。
【0022】
本発明の動作を理解するために、モータの電気モデルを例示する
図1cを考える。モータは3つの電気構成要素によって表わされ得る。抵抗性構成要素Rはモータにおける抵抗を表わす。誘導性構成要素Lはモータにおけるインダクタンスを表わす。BEMF構成要素はモータの動作によって発生した電気信号を表わす。したがって、モータで観測される電圧を、
【0024】
により特徴付けることができる。ここで、Rはモータにおける抵抗構成要素、iは電流、Lはモータにおけるインダクタ構成要素、
【0028】
はBEMFである。BEMFは、更に、
【0030】
として定義することができる。ここで、KgはEMF定数、vは速度である。
【0031】
図2は、本発明の実施形態に係る触覚効果を生むための方法200を例示する。最初に、触覚制御信号が受信され得る(ブロック210)。触覚制御信号は、所望の触覚効果の特徴に関する情報を含み得る。当該特徴には、触覚効果の種類、触覚効果の持続期間などをがある。次いで、駆動信号が、触覚制御信号に従って発生され得る(ブロック220)。駆動信号は連続信号であってもよい。例えば、駆動信号は、パルス変調された信号であっってもよい。当該信号は連続信号である。
【0032】
発生した駆動信号はモータに出力され得る(ブロック230)。駆動信号は、モータを起動して動作させてもよく、その動作により駆動信号のプロファイルに従ってモータ内のマスが振動する。マスの振動は、ユーザが感じる触覚効果をもたらす。振動はまた、駆動信号をモータに印加した電気線内にBEMF信号を誘発し得る。
【0033】
モータへの連続駆動信号印加の間、BEMF信号が測定され得る(ブロック240)。BEMF信号は駆動信号を印加した電気線内で捕捉され得る。駆動信号は連続的であるので駆動信号もまた電気線内のBEMFと共に捕捉されるから、BEMF信号を駆動信号から分離してもよい。BEMF信号は、通常は低振動数信号である。BEMF信号を分離すると、BEMF信号の振動数および/または振幅が測定される。BEMF信号の振動数は機械システムの共振振動数に対応し得るし、BEMF信号の振幅は機械システムの振動の大きさに対応し得る。
【0034】
駆動信号の振動数および/または振幅は調整され得る(ブロック250)。フィードバック手法において、駆動信号のプロファイルはBEMF測定に従って調整されてもよい。最適なシステムでは駆動信号の振動数は機械システムの共振振動数にあることになり、その駆動信号の振幅は所望の触覚効果の大きさにあることになる。
【0035】
図3は、本発明の実施形態に係るBEMFモニタ300の簡易ブロック図である。BEMFモニタ300は、接続されたアクチュエータ/モータから入力信号を受信してもよい。また、連続駆動信号が接続されたモータに印加される間に、BEMFモニタ300がBEMF信号を捕捉してもよい。BEMFモニタ300は整流器310、DCキャンセラ320、増幅器330、およびアナログ‐デジタル変換器(ADC)340を含んでもよい。
【0036】
整流器310は入力信号の逆相を反転させ得る。それゆえ、整流された信号は常に正電圧であり得る。DCキャンセラ320は整流された入力信号におけるDCオフセットを除去し得る。DCオフセットは駆動信号に対応し得る。増幅器330はBEMF信号のプロファイルを誇張するためにBEMF信号を増幅し得る。次いで、ADC340は増幅された信号をデジタル信号に変換し得る。次いで、下記でさらに詳細に説明するように、変換されたデジタル信号はBEMF信号の振動数および/または振幅を測定するために使用され得る。
【0037】
1実施形態では、整流器310およびDCキャンセラ320は共に一体化されてもよい。別の実施形態では、DCキャンセラ320が入力信号の正の半周期だけDCキャンセル信号を供給し得るので、整流器310は必要でなくともよい。
【0038】
図4は、本発明の実施形態に係るBEMFモニタ400の回路レベルの実施態様である。BEMFモニタ400は、接続されたモータ/アクチュエータから入力信号を受信し得る。モータからの入力信号は正相と逆相との両方を有し得る。BEMFモニタ400は混合器410、抵抗器420.1および420.2、電流源430、増幅器440、ゲイン抵抗器450.1および450.2、ならびにADC460を含んでもよい。
【0039】
混合器410はモータから入力信号を受信してもよいし、入力信号を整流して全ての逆相を反転させてもよい。その結果、混合器410は全てが正相である信号を生成し得る。混合器410は全てが正である信号を生成するために半周期毎にスイッチを切り替えてもよい。
【0040】
抵抗器420.1、420.2が混合器410の出力に接続されてもよい。抵抗器420.1、420.2はモータにおける抵抗を反映(mirror)し得る。電流源430は入力信号におけるDCオフセットをキャンセルするためにDCキャンセル電流を生成し得る。DCオフセットは、モータに振動を引き起こした駆動信号に対応し得る。電流源の出力は増幅器の入力に接続されてもよい。増幅器440は差動増幅器であってもよい。電流源430は、例えば増幅器440の反転入力の加算ノードに接続されてもよい。ゲイン抵抗器450.1、450.2は増幅器440のためのゲインを設定し得る。
【0041】
ADC460は、アナログ入力信号をデジタル信号に変換することができる。次いで、当該デジタル信号は振動の共振振動数および/または振幅を測定するために処理され得る。1実施形態において、BEMFモニタ400はまた、ADC460が着目する信号を更に狭めるために増幅器の後にローパスフィルタを含んでもよい。ローパスフィルタは、例えば、RCローパスフィルタであってもよい。
【0042】
図5は、本発明の別の実施形態に係るBEMFモニタ500の回路レベルの実施態様である。BEMFモニタ500は、接続されたモータ/アクチュエータから入力信号を受信し得る。モータからの入力信号は正相と逆相との両方とを有し得る。BEMFモニタ500は、抵抗器510.1および510.2、電流源520、混合器530、増幅器540、ゲイン抵抗器550.1および550.2、ならびにADC560を含んでもよい。
【0043】
抵抗器510.1、510.2はLRAにおける抵抗を反映し得る。電流源520はDCキャンセル電流を生成してもよい。混合器530は、入力信号の正の周期だけに電流源520から電流を印加するためのスイッチであってもよいし、あるいはスイッチの役割をしてもよい。それゆえ、BEMFモニタ500では、DCキャンセルおよび整流動作を統合してもよい。
【0044】
混合器530の出力は増幅器540の入力に接続されてもよい。混合器530は、電流源520を増幅器540の異なる加算ノードに半周期毎に接続してもよい。増幅器540は差動増幅器であってもよい。ゲイン抵抗器550.1、550.2は増幅器540のためのゲインを設定し得る。
【0045】
ADC560は、アナログ入力信号をデジタル信号に変換することができる。当該デジタル信号は、振動の共振振動数および/または振幅を測定するために処理され得る。1実施形態において、BEMFモニタ500はまた、ADC560が着目する信号を更に狭めるために増幅器の後にローパスフィルタを含んでもよい。ローパスフィルタは、例えば、RCローパスフィルタであってもよい。
【0046】
図6は、本発明の別の実施形態に係るBEMFモニタ600の回路レベルの実施態様である。BEMFモニタ600はDCキャンセル源として電圧源を使用してもよい。BEMFモニタ600は、接続されたモータ/アクチュエータから入力信号を受信し得る。モータからの入力信号は正相と逆相との両方を有し得る。BEMFモニタ600は、抵抗器610.1および610.2、電圧源620、2組の混合器630.1および630.2、整合抵抗器640.1および640.2、増幅器650、ゲイン抵抗器660.1および660.2、ならびにADC670を含んでもよい。
【0047】
抵抗器610.1、610.2はLRAにおける抵抗を反映し得る。電圧源V
DAC620はDCキャンセル電圧を生成し得る。例えばストリング型DACなどのいくつかの実施態様では、電圧源はDCオフセットをキャンセルするために電流源より好ましいことがある。混合器630.1、630.2は、入力信号の正の周期だけにV
DAC620から電圧を印加するためのスイッチであってもよいし、あるいはスイッチの役割をしてもよい。そのため、BEMFモニタ600では、DCキャンセルおよび整流動作を統合してもよい。整合抵抗器640.1、640.2は電圧源620の抵抗を整合させ得る。
【0048】
増幅器650は差動増幅器であってもよい。混合器630.1、630.2は、V
DAC620を増幅器650の異なる加算ノードに半周期毎に接続する。ゲイン抵抗器660.1、660.2は増幅器650のためのゲインを設定し得る。
【0049】
ADC670はアナログ入力信号をデジタル信号に変換することができる。当該デジタル信号は振動の共振振動数および/または振幅を測定するために処理され得る。1実施形態において、BEMFモニタ600はまた、ADC670が着目する信号を更に狭めるために増幅器の後にローパスフィルタを含んでもよい。ローパスフィルタは、例えばRCローパスフィルタであってもよい。
【0050】
本発明の実施形態では、主にデジタル回路を用いてBEMFモニタを実装してもよい。デジタルの実施態様では、アナログ回路構成要素を減らすことができ、その結果、BEMFモニタのサイズを縮小することができる。また、主にデジタルの実施態様は、再構成可能かつプログラム可能であり得る。
図7は、本発明の実施形態に係るデジタル回路を主に用いてBEMFを監視するBEMFモニタ700の回路レベルの実施態様である。
【0051】
BEMFモニタ700は、接続されたモータ/アクチュエータから入力信号を受信し得る。モータからの入力信号は正相と逆相との両方を有し得る。BEMFモニタ700は、抵抗器710.1および710.2、増幅器720、ゲイン抵抗器730.1および730.2、ADC740、ならびにデジタルコントローラ750を含んでもよい。
【0052】
抵抗器710.1、710.2はLRAにおける抵抗を反映し得る。抵抗器710.1、710.2の出力は増幅器720の入力に接続されてもよい。ゲイン抵抗器730.1、730.2は増幅器720のためのゲインを設定し得る。ADC740は、アナログ信号をデジタル信号に変換することができる。当該デジタル信号は、振動の共振振動数および/または振幅を確定するために処理されることになる。ADC740は、アナログ入力信号に依然としてDCオフセットを残したまま、広いダイナミックレンジでBEMF構成要素を正確に測定するための高精度ADCであり得る。デジタルコントローラ750は、デジタル化された信号のDC構成要素をデジタル的に除去し得る。
【0053】
BEMFモニタ700を主にデジタルで実装したものでは、DC構成要素をデジタル化信号から除去されてもよい。DC構成要素を除去した後、BEMF信号を切り離してもよい。この実施形態におけるADC740は、入力信号の正相と逆相との両方をサンプリングし得る。したがって、実施形態における増幅器720は、例えば計装用増幅器などの様々な異なる構成を有してもよい。更に、下記の振動数および振幅測定技術は、アナログとデジタルの両方のDC構成要素除去の実施態様に適用可能であり得る。
【0054】
図8は、駆動信号と、モータの両端に見られる電圧信号と、BEMF信号と、モータの変位とをシミュレーションするタイミンググラフである。第1の(上部)グラフは駆動信号を示す。駆動信号は電流信号であってもよく、駆動信号は例えば図示される方形波などの矩形波信号であってもよい。
【0055】
第2のグラフは、モータの端子間に発生された電圧信号を示す。電圧信号は、電圧レベルのDC変化を生むモータの抵抗を通って流れる電流によって発生する。電圧信号はまた、過渡レベルを含むことがあり、その過渡レベルは、モータのインダクタンス素子に印加される電流信号の突然の変化によって発生し、第2のグラフ上で電圧のスパイクとして示される。電圧信号はまた、DCレベルに重ねられるBEMF信号を組み込み得る。
【0056】
第3のグラフは、DCレベルおよび過渡レベルが除去されたBEMF信号を示す。モータの機械的共振振動数で駆動しているとき、BEMF信号のゼロ交差は駆動信号の立ち上がりおよび立ち下りエッジに最適に対応するべきである。第4のグラフは、モータの変位(振動)を示す。最大変位はBEMF信号のゼロ交差と駆動信号の立ち上がり/立ち下りエッジとに最適に対応するべきである。
【0057】
本発明の実施形態では、BEMF振動数を、BEMF信号のゼロ交差を判断することによって計算してもよい。
図9aは、本発明の実施形態に係るBEMF信号のゼロ交差を測定するための方法を示すタイミンググラフである。上部のグラフは振動モータから捕捉されたBEMF信号を示し、下部のグラフはBEMFモニタのADCへの入力電圧を示す。
【0058】
BEMF信号は遷移窓t1において測定することができ、その遷移窓は駆動信号の電流方向の変化後に始まる。遷移窓t1は、ADC入力電圧のスパイクを含むことがあり、そのスパイクは電流変化に起因する過渡レベルを表わす。BEMF信号の振動数を判断するための第1の参照点は、遷移窓t1の終わりで測定され得る。この時点では、過渡レベルは参照点測定を始めるために十分に減衰している。
【0059】
期間t2の間、ADCはBEMF信号をサンプリングし続けてもよいし、あるいは、共振周期の半分より少ない時間にサンプリングを一時停止してもよい。期間t2の後、BEMF信号は第2の参照点を見つけるために再び監視され得る。第2の参照点は第1の参照点の電圧レベルに(許容範囲内で)等しい電圧である。次いで、BEMF信号の振動数が第1の参照点および第2の参照点を用いて導出され得る。共振周期は測定された第1の参照点と第2の参照点との間の時間経過をわずかに上回ってもよい。更に、BEMF測定は駆動信号出力について連続的な調整を提供するために反復的に実行されてもよい。
【0060】
遷移窓は、単一の捕捉参照値または複数の捕捉参照値と同期を取ることができ、ADCクロックによって制御される。複数の参照値は、より正確な測定を提供することができ、単一の捕捉参照と比べてより多くのリソースを使用することができる。
【0061】
1実施形態では、参照値はBEMF信号のピーク値に対応し得る。ピーク値測定のために推定される遷移窓は、システムの予備的知識を用いて予めプログラムしてもよいし、あるいは、粗い推定であってもよい。当該粗い推定を更新および/または再構成してもよい。
【0062】
本発明の別の実施形態では、BEMF振動数はまた、BEMF信号のピーク電圧を判断することによって計算してもよい。
図9bは、本発明の実施形態に係るピーク電圧測定を用いてBEMF信号の振動数を判断するための方法を示すタイミンググラフである。上部のグラフは振動モータから捕捉されたBEMF信号を示し、下部のグラフはBEMFモニタのADCへの入力電圧を示す。
【0063】
時間T0での電流方向の変化の後に、ADCは、期間T1にサンプリングを続けてもよいし、あるいは一時停止してもよく、その期間T1はおおよそ共振周期の4分の1よりも少ない。期間T1の後、BEMF信号は、第1の参照点を見つけるために、期間T2、サンプリング期間に監視され得る。第1の参照点は、ピーク時間Tpによって指定されるBEMF信号のピーク電圧であり得る。ここで、Tpはサンプリング期間の始まりからピーク電圧の第1の参照点が測定される時までの時間である。
【0064】
次いで、BEMF信号の振動数が導出され得る。共振周期は、電流方向の変化(T0)とピーク時間における第1の測定された参照点(T1+Tp)との間の期間のほぼ4倍であり得る。第1の参照点を検出した後、次いで、T1とTpとの合計にほぼ等しい時間T3の後に電流方向の変化分が印加される。BEMF測定は、駆動信号出力について連続的な調整を提供するために反復的に実行されてもよい。
【0065】
本発明の実施形態では、BEMF信号の大きさは、BEMF信号の最大振幅を監視することによって測定され得る。
図10は、本発明の実施形態に係るピーク電圧測定を用いてBEMF信号の振幅を判断するためのタイミンググラフである。上部のグラフは振動モータから捕捉されたBEMF信号を示し、下部のグラフはBEMFモニタのADCへの入力電圧を示す。
【0066】
BEMF信号の最大振幅は、通常、電流パルスの中間点で発生する。ADCクロックは、BEMF信号がピークに達することになるときのための窓を決定するために参照値を設定し得る。参照値に基づいて、最大振幅のための窓がADCによって設定され得る。この窓において測定されたピーク値は最大振幅に対応し得る。
【0067】
本発明の実施形態によれば、連続駆動信号を用いる触覚生成システムにデュアルモードドライバを設けてもよい。2つのモードは、線形駆動モードおよび切換え駆動モード(switched drive mode)であり得る。切換え駆動モードは、線形駆動モードよりも電力消費が低い可能性があるが、線形駆動モードよりも高い電気雑音を生成し得る。また、デュアルモードドライバは、BEMF信号を測定するときに線形駆動モードであり得る。
【0068】
図11aは、本発明の実施形態に係るデュアルモードドライバ1100の簡易図である。デュアルモードドライバ1100は、電流源1110、DAC1120、演算増幅器1130、スイッチ1140、パルス幅変調器1150、スイッチ1160、ならびに一対の駆動トランジスタ1170および1180を含んでもよい。デュアルモードドライバ1100はLRA/モータ1190に接続されてもよい。LRA1190は、
図1bを参照にして上記されたように、抵抗素子およびインダクタ素子の電気構成要素によって表わされ得る。
【0069】
演算増幅器1130は、どちらのモードにおいても駆動信号の大きさを制御し得る。演算増幅器1130は、電流源I
REF1110に従って調節された電圧を増幅し得る。駆動トランジスタは、相補型トランジスタ(一方がp型トランジスタであり、他方がn型トランジスタである)であってもよい。そのトランジスタは、トランジスタのゲートに接続された切換えモード信号に従って同時に選択的にスイッチをオン/オフする。トランジスタの出力は、電流駆動信号I
OUTを発生させるために接続され得る。LRA1190は、電流駆動信号I
OUTを受信して参照電圧を生成することができる。当該参照電圧はモータ電流を調節するために使用される。
【0070】
スイッチ1140および1160は、デュアルモードドライバ1100のモードを制御し得る。線形モードでは、スイッチ1140は閉じられてもよく、スイッチ1160は開いていてもよい。切換えモードでは、スイッチ1140は開いていてもよく、スイッチ1160は閉じられてもよい。
【0071】
図11bは、本発明の実施形態に係る線形モード1101における
図11aのデュアルモードドライバの簡易図である。スイッチ1140は、線形モードパスを提供するために閉じられてもよく、スイッチ1160(図示しない)は開いていてもよい。線形モード1101におけるデュアルモードドライバは、電流源1110、DAC1120、演算増幅器1130、スイッチ1140、駆動トランジスタ1170を含んでもよい。演算増幅器1130は、どちらのモードにおいても駆動信号の大きさを制御し得る。演算増幅器1130は、電流源I
REF1110に従って調節された電圧を増幅し得る。トランジスタ1170の出力は電流駆動信号I
OUTを発生させ得る。LRA1190は、電流駆動信号I
OUTを受信して参照電圧を生成することができる。当該参照電圧はモータ電流を調節するために使用される。更に、検知抵抗Rは、駆動出力を制御するためにLRA1190の両端電圧を検知し得る。
【0072】
図11cは、本発明の実施形態に係る切換えモード1102における
図11aのデュアルモードドライバの簡易図である。スイッチ1160は、モードパスを提供するために閉じられていてもよいし、スイッチ11400(図示しない)は開いていてもよい。切換えモード1102におけるデュアルモードドライバは、パルス幅変調器1150、スイッチ1160、ならびに一対の駆動トランジスタ1170および1180を含んでもよい。演算増幅器1130は、どちらのモードにおいても駆動信号の大きさを制御し得る。演算増幅器1130は、電流源I
REF1110に従って調節された電圧を増幅し得る。パルス幅変調器1150は、演算増幅器1130の出力を1つの入力として受信し、鋸波形を他の入力として受信する比較器を含んでもよい。パルス幅変調器1150は、パルス化されたモード信号を出力し得る。駆動トランジスタは、相補型トランジスタ(一方がp型トランジスタであり、他方がn型トランジスタである)であってもよい。トランジスタは、トランジスタのゲートに接続された切換えモード信号に従って同時に選択的にスイッチをオン/オフする。トランジスタの出力は、電流駆動信号I
OUTを発生させるために接続され得る。LRA1190は、電流駆動信号I
OUTを受信して参照電圧を発生させることができる。当該参照電圧はモータ電流を調節するために使用される。更に、検知抵抗Rは、駆動出力を制御するためにLRA1190の両端電圧を検知し得る。
【0073】
双方向電流は、Hブリッジ構成に駆動トランジスタを配置することによって実現され得る。
図12は、Hブリッジ構成にある駆動トランジスタを備えるシステム1200の簡易図であり、線形モード構成と切換えモード構成の両方についての電流の流れの方向を示す。実線は線形モードを表わし、点線は切換えモードを表わす。システム1200は、第1の組の駆動トランジスタ1210.1、1210.2、第2の組の駆動トランジスタ1220.1、1220.2、第3の組の駆動トランジスタ1230.1、1230.2、および検知抵抗1240を含み得る。
【0074】
第1の組のトランジスタ1210.1、1210.2はpmos型トランジスタであり得る。第2の組のトランジスタ1220.1、1220.2はnomos型トランジスタであり得る。第3の組のトランジスタ1230.1、1230.2はnmos型トランジスタであり得る。
【0075】
正電流パルスの間の線形モードでは、電流はトランジスタ1210.1および1230.2を通って流れることができ、他の全てのトランジスタはオフであり得る。負電流パルスの間の線形モードでは、電流はトランジスタ1210.2および1230.1を通って流れることができ、他の全てのトランジスタはオフであり得る。電圧は検知抵抗1240において検知され得る。検知された電圧に従って、トランジスタのゲートにおける駆動電圧は、モータの電流を調節するために調整されてもよい。
【0076】
正電流パルスの間の切換えモードでは、電流は、周期の第1の部分の間にトランジスタ1210.1および1230.2を通って流れることができる。電流の流れは、モータにおけるインダクタ構成要素を充電し得る。
【0077】
正電流パルスの間の切換えモードでは、トランジスタ1210.1はオフにしてもよく、トランジスタ1220.1はオンにしてもよく、周期の第1の部分の間にインダクタ内に蓄えられた充電は、電流の流れ図によって示されるように電流が1220.1および1230.2を通って流れることを保つことができる。負電流パルスの間の切換えモードでは、電流は、周期の第1の部分の間にトランジスタ1210.2および1230.1を通って流れることができる。電流の流れは、モータにおけるインダクタ構成要素を流れて充電することができる。更に、負電流パルスの間の切換えモードでは、トランジスタ1210.2はオフにしてもよいし、トランジスタ1220.2はオンにしてもよく、周期の第1の部分の間にインダクタ内に蓄えられた充電は、電流の流れの図によって示されるように電流が1220.2および1230.1を通って流れることを保つことができる。電圧は、検知抵抗1240において検知され得る。検知された電圧に従って、トランジスタのゲートにおける駆動電圧は、モータの電流を調節するために調整され得る。例えば、ゲート電圧のデューティサイクルは検知された電圧レベルによって調整され得る。
【0078】
以上の本発明の実施形態は、電流駆動信号および電圧検知信号を示し、それらの信号からBEMF信号が測定される。本発明の別の実施形態では、電圧駆動信号が利用されてもよく、BEMF信号を判断するために電流信号が監視されてもよい。BEMF信号特性に従って、電圧駆動信号の振動数および/または振幅が調整され得る。電圧駆動信号はモータを通って流れる電流を低減し得る。
【0079】
図13は、駆動信号、モータにおいて検知された電流信号、BEMF信号、およびモータの変位をシミュレーションするタイミンググラフである。第1の(上部)グラフは駆動信号を示す。駆動信号は電圧信号であり得るし、また、駆動信号は、図示される方形波などの矩形波信号であり得る。
【0080】
第2のグラフは、モータ内に発生された電流信号を示す。BEMF信号は電流信号に重ねられ得る。第2のグラフでは、BEMFは検知された電流信号の頂部の「谷(trough)」として示される。そのため、BEMFはモータに供給された電流を低減し得る。
【0081】
第3のグラフはモータの変位(振動)を示す。第4のグラフはDC電流が除去されたBEMF信号を示す。最大変位は、BEMFのゼロ交差と駆動信号の立ち上がり/立ち下がりエッジとに最適に対応するべきである。
【0082】
電流信号を測定するために、検知された電流がBEMFモニタにおける検知抵抗に供給され得る。
図14は、本発明の実施形態に係る電圧駆動信号を用いてモータに接続された検知抵抗1410の簡易ブロック図である。検知抵抗の両端電圧は、
図3〜7を参照にして本明細書に記載されたような電圧入力信号と同様に処理され得る。更に、共振振動数および振動振幅を検出する同じ方法が、電流駆動/検知電圧の実施形態を参照にして本明細書に記載される電圧駆動/検知電流の実施形態に適用することができる。
【0083】
さらに、本発明の実施形態を、異なる駆動プロファイルを用いて実施してもよい。方形波は曲線下に最大面積を有するので、方形波は最も多くのエネルギーをモータに供給することができ、方形波は可聴範囲内にある高調波を含み得る。その結果、高調波は触覚効果の間に望ましくない騒音または反響音を生成し得る。そのため、効果の強さと高調波の副次的効果との間にトレードオフがあり得る。
【0084】
方形波駆動信号の1つの代案は斜方形状駆動信号であり得る。
図15は方形波駆動信号および斜方形状駆動信号を例示する。
図15(a)に例示するように、方形波駆動信号は最も強い駆動信号を提供し得る。しかしながら、方形波駆動信号は、望ましくない可聴範囲の高調波を生成し得る。更に、高調波におけるエネルギーは動きに変わらないので、方形波は最大エネルギー効率の駆動信号ではない。それに加えて、方形波駆動信号は完全に「方形」ではない可能性があるが、本発明の1実施形態における「矩形」でもあり得る。
【0085】
図15(b)に例示されるように、斜方形状駆動信号は同様の大きさの方形波よりも少ないエネルギーをモータに与え得るが、信号の勾配は、可聴範囲の高調波を生成し得ず殆どのエネルギーが固有共振振動数にあるという意味ではより効率的であり得る。駆動信号はまた、本発明の1実施形態における三角波信号として形作られてもよい。斜方形または他の非矩形状駆動信号の場合、電流の変化についての参照点は電流がそれの最高値に達するときの傾斜の頂部であり得る。
【0086】
本発明の別の実施形態では、正弦波駆動信号がモータを駆動するために供給されてもよい。
図16は正弦波駆動信号を例示する。正弦波駆動信号は、同様の大きさの方形波よりも少ないエネルギーをモータに与え得るが、正弦波信号はまた、可聴範囲の高調波を生成できず、エネルギーの100%が共振振動数で印加されるので最も効率的な選択肢であり得る。あるいは、疑似正弦波を生成する多重レベルの対照的な駆動信号が、高調波性能(可聴雑音)と実施の複雑性との間のトレードオフとして提供されてもよい。
【0087】
1実施形態では、より優れたエネルギー効率をもたらすために飽和された正弦波信号を発生させてもよい。例えば、+1および−1にピークを有する正弦波信号に代えて、+1と−1との間で飽和され+2および−2にピークを有する正弦波信号を発生させてもよい。そのため、飽和された正弦波信号は、可聴範囲の高調波を低減する一方、エネルギー効率をより高くすることができる。
【0088】
別の実施形態では、エネルギー損失を補償するためにより大きな大きさの正弦波信号を提供してもよい。
図17は正弦波駆動信号を例示する。大きさ1.27
*Aを有する正弦波駆動信号は、大きさAを有する方形波駆動信号と共振振動数においてほぼ同じエネルギーを印加し得る一方で、より効率的である。正弦波駆動信号は大きさAで飽和状態になり得る。
【0089】
正弦波駆動信号の使用は、BEMFが測定され得る時間に影響を及ぼし得る。モータで見られる電圧は、
【0091】
として特徴付けることができる。ここで、Rはモータにおける抵抗構成要素、iは電流、Lはモータにおけるインダクタ構成要素、
【0095】
はBEMFである。換言すれば、モータにおける電圧は、抵抗およびインダクタ構成要素において見られる電圧と、BEMFとの合計である。したがって、BEMFは、
【0098】
BEMFは、インダクタ構成要素のために電流の変化の割合がゼロであるときに測定され得る。駆動電流および検知電圧のピークは、インダクタ構成要素のために電流の変化がゼロであるときに生じ得る。そのため、BEMFはこの時間に測定され得る。したがって、BEMF電圧を、
【0101】
駆動信号が共振振動数にない場合、振動数誤差は駆動信号とBEMF信号との間で検出され得る。この状況において、駆動電流および検知電圧のピークは同時に生じ得ない。振動数誤差は測定され得るし、駆動信号は駆動電流および検知電圧の駆動ピークが同期されるまで調整され得る。
【0102】
本発明の実施形態によれば、正弦波駆動信号は電流駆動信号であってもよいし、あるいは電圧駆動信号であってもよい。また、本発明は、駆動信号特性に従ってそれぞれ生成されたBEMFを検出するためにLRAの両端電圧またはLRAを通る電流を検知してもよい。上記の数式が示すように、BEMF電圧は、検知された電圧とLRAの抵抗構成要素の両端に見られる電圧との差であり得る。したがって、検出されたBEMF電流は、検知された電流とLRAの抵抗構成要素における電流との間の差であり得る。
【0103】
正弦波駆動信号の調整は2段階で実行され得る。第1に、駆動振動数が、検知された信号のピーク電流およびピーク電圧を調整することによって調整され得る。これは、モータの共振振動数において振動するモータに対応し得る。第2に、ピーク電圧/電流の振幅が、振動強度に比例するBEMFに等しいものであり得るので、駆動信号の振幅は所望の振動強度に従って調整され得る。
【0104】
調整は、BEMFモニタ内に提供された閉ループ制御システムによって実現され得る。さまざまな種類の制御ループが、使用されてもよく、比例ループ(proportional loop)制御(「P‐Loop」)、Proportional Integrative Loop制御(PI‐Loop)またはフル(full)Proportional Derivative Integrative制御(PDI‐Loop)を含む。P‐Loopは、実施するのに最も単純なものであると思われ、PI‐Loopよりも速く、およびPDI‐Loopが含み得る不安定性を伴わずに応答する。P‐Loopは、所望のBEMF振幅(振動)と要求されたBEMF振幅との間の差によってそれの比例ゲインを低減するように構成され得る。振動がプログラム可能な制限内にあるとき、P‐Loopゲインは1に設定されてもよいし、そうでない場合は、局所的に格納された格納レジスタマップから選択された値に設定されてもよい。ゲイン値は、プログラム可能であり得るし、最大BEMFの百分率として設定され得る。
【0105】
本発明の実施形態では、複数のLRAが複数の触覚効果を生むために平行に配列されてもよい。そのため、ユーザは、デバイスの一部分で1つの種類の振動を感じ、そのデバイスの別の部分で別の種類の振動を感じ得る。
図18は、本発明の実施形態に係る複数のLRAシステム1800の簡易ブロック図である。
【0106】
システム1800は、触覚コントローラ1810、連続LRAドライバ1820、およびBEMFモニタ1830を含んでもよい。連続LRAドライバ1820は、共通出力から信号線経由で複数のモータ/LRA1〜nに接続されてもよい。信号線は複数対の電気線であってもよい。BEMFモニタ130はまた、信号線に接続されてもよい。
【0107】
触覚効果要求に従って、触覚コントローラ1810は、連続LRAドライバ120に出力するための対応制御信号を発生させ得る。触覚効果要求が複数の触覚効果の要求を含んでもよい。連続LRAドライバ1820は、触覚コントローラ1810から制御信号を受信することができ、それに応じて駆動信号を発生させ得る。駆動信号は連続的であり得る。連続LRAドライバ1820は、発生した駆動信号を複数のモータ1〜nに出力することができる。当該駆動信号は、各モータを振動させることができ、そのため、所望の(複数の)触覚効果を生む。駆動信号は、連続LRAドライバ120によって出力ピンに出力されてもよく、モータ1〜nはまた出力ピンに接続されてもよい。
【0108】
各モータは、ばねで荷重されたマスを有するコイルモータを含んでもよい。モータは永久磁石を含んでもよい。モータは、触覚効果を生むためにばねで荷重されたマスを振動させ得る。モータはまた、動きを生むために磁気コイルを含んでもよい。さらに、モータによる振動は、モータに接続された電気信号線に生成されるBEMF信号を誘発し得る。BEMF信号の振動数は機械システムの共振振動数に対応し得るし、BEMF信号の振幅は機械システムの振動の大きさに対応し得る。
【0109】
BEMFモニタ1830は、駆動信号をモータに印加するために使用される電気信号線からBEMF信号を捕捉し得る。BEMFモニタ1830は、連続LRAドライバ1820が駆動信号を出力する出力ピンであって、モータが接続される出力ピンと同じ出力ピンに接続されてもよい。BEMF信号はBEMF信号の全ての合計であり得る。駆動信号は連続信号であり得るので、BEMFモニタ130は駆動信号からBEMF信号を分離し得る。BEMF信号を分離した後、BEMFモニタ1830はBEMF信号の振動数および/または振幅を測定し得る。BEMFモニタ1830は測定値に従って調整信号をLRAドライバ1820に伝送し得る。次いで、LRAドライバ1820は最適な駆動信号を生成するために駆動信号の振動数および/または振幅を調整し得る。
【0110】
触覚コントローラ1810、連続LRAドライバ1820、およびBEMFモニタ1830は、別の集積回路上に製造されてもよいし、あるいは、共通の集積回路に組み合わされてもよい。例えば、連続LRAドライバ1820およびBEMFモニタ1830が単一の集積回路上に製造されてもよい。(複数の)集積回路は、回路基板、例えばプリント回路基板(PCB)上に配置されてもよい。
【0111】
本発明の実施形態では、LRAシステムは多機能アクチュエータであってもよい。多機能アクチュエータは、上記実施形態に記載されるような振動素子と、音声生成のためのスピーカー素子とを含んでもよい。生成された音声はユーザ用多感覚的フィードバックシステムを提供するために振動生成と同期されてもよい。
【0112】
他の拡張が、干渉源が存在し得る非理想動作環境において堅牢な性能をもたらすように提供されてもよい。干渉は、いくつかの異なる源から起こり得る。例えば、電力供給上の過渡スパイクは、潜在的に出力ドライバまでつながることがあり、所望の出力駆動信号の大きさに誤差を発生させることがある。出力駆動信号の小さな変化は、誘発されたBEMF信号に大きな変化をもたらし得る。このことは、フィードバックに大きな誤差を引き起こし得るし、ドライバの性能を著しく低減させ、不十分なおよび矛盾する触覚効果をエンドユーザにもたらす。
【0113】
別の例として、触覚システムに誘発された機械的衝撃は、例えば、システムが硬い表面の上にあるハンドセットをユーザが落とした場合に干渉を生じ得る。そのような衝撃は望まれていないBEMF信号を誘発することがあり、その結果、その信号は、必要とされていないときにドライバにアクチュエータに釣り合いを取らせ、アクチュエータを駆動させ得る。または、触覚効果の間に誘発される同様の機械的衝撃は、歪んだBEMF信号をもたらすことがあり、その結果、その信号は歪んだ触覚効果をもたらし得る。本発明の実施形態は、そのような干渉が存在しても堅牢なおよび矛盾のない性能を維持するための干渉除去特徴を含み得る。
【0114】
電力供給除去は様々な手法において実現され得る。第1の実施形態では、出力ドライバは、優れた電力供給除去を備えて設計され得る。種々の技術が、電力供給除去を実現するために使用されることができ、それらの多くはドライバトランジスタ内に一定のVgsおよびVdsを確保するので、ドライバによって生成された電流はいかなる周波数干渉からも独立する。別の技術は、ドライバ出力を減接続することであり、それは、緩衝器を用いて行われ得る。このことは、出力ドライバ帯域幅を増やすので、ドライバ制御ループは高速に電流値に反応し、その電流値を訂正することができ、それを電力供給干渉から独立させる。
【0115】
更に別の実施形態は
図19aに例示される。この実施形態において、触覚システム1900は前の実施形態におけるように触覚コントローラ1910、LRAドライバ1920およびBEMFモニタ1930を含んでもよいし、また、アクチュエータモータの端子を橋絡するコンデンサ1940を含んでもよい。この実施形態の追加されたコンデンサ1940は、電力供給除去を増やすために役立ち得る全伝達関数における極を追加し得る。コンデンサ1940は、個々のニーズに対する電力供給除去に合わせるために振動数分布内の所望の位置に極を配置するようアクチュエータのインピーダンスと関連して適切なサイズにされ得る。
図19bは、
図19aに従って構成された例示的な駆動システムについてのAC伝達関数の振動数プロットを例示する。比較のため、
図19cは、同じ駆動システムであるが橋絡コンデンサを有さない駆動システムについてのAC伝達関数の第2のプロットを例示する。
【0116】
図20は、電力供給除去のための別の実施形態を例示する。この実施形態において、BEMFモニタ2000は、整流器2010、DCキャンセラ2020、増幅器2030、ローパスフィルタ2040、およびADC2050を含んでもよい。この実施形態は、
図3の実施形態と同様の手法で動作するが、ローパスフィルタ2040は、ADC2050に伝搬することから過渡信号に対する保護を提供する。ローパスフィルタ2040の特徴は、個々の設計ニーズに適するように合わせることができる。
【0117】
図21は、本発明の実施形態に係る触覚アクチュエータの共振振動数を計算する方法2100を例示する。方法は、共振周期Tresの初期推定値が定義されるブロック2102において始まり得る。推定された共振周期Tresは、集積回路に入力されてもよいし、あるいは、集積回路内のレジスタに格納されてもよい。方法2100は、駆動電流を第1の方向にアクチュエータに印加し得る(ボックス2104)。その後、方法2100は、所定の期間待ち、BEMFレベルを測定することができ、測定されたレベルを参照BEMF値に採用する(ボックス2106)。方法2100は、その後BEMF値を連続的にサンプリングし、所定の時間が経過するまで最大および最小BEMF値を格納し得る(ボックス2108)。1実施形態において、所定の時間は、Tresの推定値の8分の5に設定されてもよい。所定の時間が経過した後、方法2100はBEMF値をサンプリングし続け、参照BEMF値に一致するBEMFサンプル値を検出するために1/2Tresの時間まで検索し得る(ボックス2110、2112)。BEMFサンプル値が参照値に一致することが確認された場合には、ボックス2114で方法2100は、ボックス2106における参照BEMF値の検出とボックス2110における参照BEMF値の再検出との間に経過する時間に基づいてアクチュエータの共振周期の半分の期間(1/2Tres)を推定し得る。ボックス2110における検索が、1/2Tresの時間前に参照BEMF値に一致するBEMF値を検出しない場合、その検索は、追加の時間に続くことができ、その後にタイムアウトする(ボックス2116、2118)。検索が成功し、BEMFサンプル値が参照値に一致することが確認された場合、方法2100はボックス2114に進み得る。そうではない場合、方法2100はリセット状態に入り得る(ボックス2120)。
【0118】
ボックス2114では、方法2100が、ボックス2106〜2118の間に取得された測定に基づいて1/2Tresを計算した後に、方法は、ボックス2122に進み、ボックス2104において印加された電流の方向とは逆の、第2の方向に駆動電流をアクチュエータに印加し得る。駆動電流を逆にすることによって、方法2100は、動作の第2の半周期においてアクチュエータを駆動する。方法2100は、ボックス2124〜2136としてそれぞれ示される、第2の半周期についてのボックス2106〜2118の動作を繰り返し得る。
【0119】
特に、ボックス2122における駆動電流の印加後、方法2100は、所定の時間だけ待機し、BEMFレベルを測定することができ、測定されたレベルを参照BEMF値として採用する(ボックス2124)。方法2100は、その後BEMF値を連続的にサンプリングし、所定の時間が経過するまで最大および最小BEMF値を格納し得る(ボックス2126)。再度、所定の時間は、Tresの推定値の8分の5に設定されてもよい。所定の時間が経過した後、方法2100は、BEMF値をサンプリングし続け、参照BEMF値に一致するBEMFサンプル値を検出するために1/2Tresの時間まで検索し得る(ボックス2128、2130)。BEMFサンプル値が参照値に一致することが確認された場合、方法2100は、ボックス2124における参照BEMF値の検出とボックス2128における参照BEMF値の再検出との間に経過する時間に基づいてアクチュエータの共振周期の半分の期間(1/2Tres)を推定し得る(ボックス2132)。ボックス2110における検索が、1/2Tresの時間の前に参照BEMF値に一致するBEMF値を検出しない場合、検索は、追加の時間に続くことができ、その後にタイムアウトする(ボックス2134、2136)。検索が成功し、BEMFサンプル値が参照値に一致することが確認された場合、方法2100はボックス2132に進み得る。そうではない場合、方法2100は、ボックス2120におけるリセット状態に入り得る。
【0120】
ボックス2132では、方法2100が、ボックス2124〜2136の間に取得された測定値に基づいて1/2Tresを計算した後、方法は、ボックス2138に進み、ボックス2114および2132で取得された計算値に基づいてTresの最終推定値を計算し得る。例えば、最終Tres推定値は、もしあれば、方法2100の前の反復および新たな計算によって取得された、前のTres推定値の移動平均として計算され得る。1実施形態では、最終Tres推定値は、
【0122】
として計算されることができる。ここで、History_weight値およびNew_sample_weight値は、システム設計者および/またはユーザによってプログラムされ得る値である。そのため、方法2100は、新たなTres推定値および前のTres推定値の相対寄与を判断する際にプログラム可能な柔軟性を提供し得る。
【0123】
リセット状態において、方法2100は、ドライバを高インピーダンス状態に置くことができ、方法2100は、アクティブな駆動信号がない場合にはBEMFを測定してもよい。方法2100は、対地BEMF信号のゼロ交差に基づいて共振周期を推定し得る。例えば、方法2100は、所定の数(例えば、3)のゼロ交差が検出され、それらの各々がアクチュエータの共振周期の半周期に対応すべきことを確実にし得る。方法2100は、ゼロ交差からTresを計算し、リセット動作を終えることができる。その後、方法2100はボックス2012に進み得る。
【0124】
1実施形態において、方法2100は、新たな計算に基づいてTres推定値を変更するかどうかを判断するためにBEMF信号の値を所定の閾値と比較してもよい。例えば、その方法は、ボックス2108および/または2126において取得された最大BEMF値を所定の閾値と比較し、これらの値が所定の最小値を超えない場合には方法2100の動作を一時停止してもよい。この実施形態において方法2100を終了することは、BEMF値が、新たな推定値の基準を提供するには小さすぎるときにTres推定値を変更することを防ぐ。
【0125】
本明細書では、本発明のいくつかの実施形態を具体的に例示し説明した。しかしながら、本発明の改変および変形が上記の教示によって包含されることが理解されるであろう。他の実例において、周知の動作、構成要素および回路は、実施形態を不明瞭にしないように詳細に記載されていない。本明細書に開示された特定の構造上および機能上の詳細は、代表的なものであり得るし、実施形態の範囲を必ずしも限定しないことが理解され得る。
【0126】
当業者は、本発明が、種々の形態で実施され得ることと、様々な実施形態は、単独でまたは組み合わせて実施され得ることとを上記の記載から理解し得る。したがって、本発明の実施形態はそれの特定の例に関して記載されているものの、他の改変は、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲の検討によって当業者に明らかになるため、本発明の実施形態および/または方法の真の範囲は、そのように限定されるべきではない。
【0127】
種々の実施形態は、ハードウェア要素、ソフトウェア要素、またはその両方の組み合わせを用いて実施され得る。ハードウェア要素の例は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路、回路素子(例えば、トランジスタ、抵抗器、コンデンサ、インダクタなど)、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能な論理デバイス(PLD)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、論理ゲート、レジスタ、半導体デバイス、チップ、マイクロチップ、チップセットなどを含んでもよい。ソフトウェアの例は、ソフトウェア構成要素、プログラム、アプリケーション、コンピュータプログラム、アプリケーションプログラム、システムプログラム、マシンプログラム、オペレーティングシステムソフトウェア、ミドルウェア、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、ルーチン、サブルーチン、ファンクション、方法、プロシージャ、ソフトウェアインターフェース、アプリケーションプログラムインターフェース(API)、命令セット、コンピューティングコード、コンピュータコード、コードセグメント、コンピュータコードセグメント、語(word)、値、シンボル、またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。実施形態がハードウェア要素および/またはソフトウェア要素を用いて実施されるかどうかを判断することは、いくつもの要因、例えば、所望の計算速度、電力レベル、耐熱性、処理サイクル予算、入力データ率、出力データ率、メモリリソース、データバス速度および他の設計または実行制約などに従って変動し得る。
【0128】
いくつかの実施形態は、例えば、コンピュータ読み取り可能な媒体または物品を用いて実施されてもよく、その媒体または物品は、マシンによって実行される場合に、実施形態に係る方法および/または動作をマシンに実行させ得る命令または一組の命令を格納し得る。そのようなマシンは、例えば、任意適切な処理プラットフォーム、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングデバイス、処理デバイス、コンピューティングシステム、処理システム、コンピュータ、プロセッサ、または同様のものを含んでもよくハードウェアおよび/またはソフトウェアの任意適切な組み合わせを用いて実施されてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体または物品は、例えば、任意適切な種類のメモリ装置、メモリデバイス、メモリ物品、メモリ媒体、記憶装置、記憶物品、記憶媒体および/または記憶装置、例えば、メモリ、取り外し可能または取り外し不可能な媒体、消去可能または消去不可能な媒体、書き込み可能または書き換え可能な媒体、デジタルまたはアナログ媒体、ハードディスク、フロッピーディスク(登録商標)、コンパクトディスク‐読み取り専用メモリ(CD−ROM)、追記型コンパクトディスク(CD‐R)、書き換え可能なコンパクトディスク(CD‐RW)、光ディスク、磁気媒体、光磁気ディスク、取り外し可能なメモリカードまたはディスク、様々な種類のデジタル多用途ディスク(DVD)、テープ、カセット、あるいは同様のものを含んでもよい。命令は、任意適切な高レベル、低レベル、オブジェクト指向、ビジュアル、コンパイルされるおよび/または解釈されるプログラミング言語を用いて実施される、任意適切な種類のコード、例えば、ソースコード、コンパイルされるコード、解釈されるコード、実行可能なコード、静的コード、動的コード、暗号化されるコード、および同様のものなどを含んでもよい。