(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被冷却物を収納する庫内の温度が予め定めた設定温度になるように、庫内の温度が前記設定温度より高い時には冷気を前記庫内へ供給し、庫内の温度が前記設定温度より低い際には温風を前記庫内へ供給して庫内の温度が設定温度に成るように温度制御を行う保冷庫において、
前記保冷庫の周囲温度を検出する周囲温度センサを有し、この周囲温度センサの検出する温度に基づき、冷気の前記庫内への供給が停止した後の温風の前記庫内への供給量を調節する制御装置を設け、
前記保冷庫の前記庫内へ連通する開口が開放又は閉塞の何れの状態であるかを検知する断熱扉センサを備え、
前記制御装置は、前記断熱扉センサが前記開口の開放から閉塞への変化を検知した場合、所定期間が経過するまで、前記温風の供給量を第1の値になるように制御し、前記所定期間が経過した後、前記温風の供給量を前記第1の値より小さい第2の値となるように制御することを特徴とする保冷庫。
前記制御装置は、前記周囲温度が所定温度未満である場合、前記温風の供給量が第3の値となるように制御し、前記周囲温度が前記所定温度以上である場合、前記温風の供給量が前記第3の値より小さい第4の値になるように制御することを特徴とする請求項1に記載の保冷庫。
前記冷気は少なくとも圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器を冷媒配管で環状に接続した冷凍サイクルの蒸発器における冷媒の蒸発作用により冷却された空気であり、前記温風は電気ヒータで加熱された空気であることを特徴とする請求項1に記載の保冷庫。
被冷却物を収納する庫内の温度が予め定めた設定温度になるように、庫内の温度が前記設定温度より高い時には冷気を前記庫内へ供給し、庫内の温度が前記設定温度より低い際には温風を前記庫内へ供給して庫内の温度が設定温度に成るように温度制御を行う保冷庫において、
前記保冷庫の周囲温度を検出する周囲温度センサを有し、この周囲温度センサの検出する温度に基づき、冷気の前記庫内への供給が停止した後の温風の前記庫内への供給量を調節する制御装置を設け、
前記冷気を供給する蒸発器と、前記冷気の温度もしくは前記蒸発器の温度を検知する蒸発器温度センサとを備え、
前記制御装置は、前記蒸発器の温度が所定温度以上である場合、前記温風の供給量を第2の値なるように制御し、前記蒸発器の温度が前記所定温度未満である場合、前記温風の供給量を前記第2の値より大きい第1の値となるように制御することを特徴とする保冷庫。
前記制御装置は、前記周囲温度が所定温度未満である場合、前記温風の供給量が第3の値となるように制御し、前記周囲温度が前記所定温度以上である場合、前記温風の供給量が前記第3の値より小さい第4の値になるように制御することを特徴とする請求項9に記載の保冷庫。
前記冷気は少なくとも圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器を冷媒配管で環状に接続した冷凍サイクルの蒸発器における冷媒の蒸発作用により冷却された空気であり、前記温風は電気ヒータで加熱された空気であることを特徴とする請求項9に記載の保冷庫。
【発明を実施するための形態】
【0011】
===保冷庫の構成例===
図1及び
図2を参照しつつ、本実施の形態の保冷庫1の構成例について説明する。尚、
図1は保冷庫1の全体構成の一例を示す部分断面図であり、
図2は保冷庫1の制御を司る構成の一例を示すブロック図である。
【0012】
図1及び
図2に例示されるように、保冷庫1は、冷凍装置2と、ヒータ(加熱装置)12と、断熱筐体3と、断熱扉4と、周囲温度センサ18と、制御基板(制御装置、検出装置)10とを備えて構成されている。
【0013】
冷凍装置2は、
図1に例示されるように、圧縮機11、凝縮器21、キャピラリチューブ(減圧器)22、及び蒸発器23が冷媒配管で環状に接続されて構成されている。この冷凍装置2は、冷媒作用を得るために圧縮機11から吐出された冷媒を凝縮器21で凝縮させた後にキャピラリチューブ22での減圧を経て蒸発器23で蒸発させるようになっている。特に、本実施の形態の蒸発器23は、例えば、蛇行状をなすエバポレーションチューブから構成され、断熱筐体3内の背面側(
図1の紙面右側)に配置されている。尚、
図1の例示では、蒸発器23を構成するエバポレーションチューブの冷媒の入口側に接続された冷媒配管の表面に蒸発器23の温度を検知する例えばサーミスタ等の蒸発器温度センサ14が取り付けられている。
【0014】
ヒータ12は、
図1に例示されるように、蒸発器23を構成するエバポレーションチューブの表面への霜の付着を防止したり又は同表面に付着した霜を溶かしたりするために同チューブに沿って配置された例えば電熱ヒータ等の加熱装置である。後述するように、本実施の形態のヒータ12は、冷凍装置2と交互に動作するべく通電されるようになっている。
【0015】
断熱筐体3は、
図1に例示されるように、正面側(
図1の紙面左側)には冷却対象の物品(被冷却物であり、例えば血液、ワクチン、薬品等)を出し入れするための開口を有し、その内部の背面側(
図1の紙面右側)には仕切板31を介してヒータ12をともなう蒸発器23が配置されている。つまり、
図1の例示では、断熱筐体3内において、断熱扉4と仕切板31との間に、冷却対象の物品を収容する空間(収容室)が形成され、仕切板31と背面側の内壁との間に、収容室内の空気を冷却する空間(冷却室)が形成されている。具体的には、仕切板31の下側(
図1の紙面下側)に吸込口31aが形成されるとともに、仕切板31の上側(
図1の紙面上側)に吹出口31bが形成され、吸込口31aの背面側にヒータ12をともなう蒸発器23が配置され、吹出口31bの背面側にファン32が配置されている。ファン32が動作すると、収容室内の空気が吸込口31aを通過して、冷却室内の蒸発器23によって冷却された後、吹出口31bを通過して収容室に戻るようになっている(
図1の白抜きの矢印参照)。尚、
図1の例示では、冷却室内の底部には、蒸発器23の表面に付着した霜が溶けて生じた水を受ける受け皿33が形成されており、この受け皿33で受けた水は、断熱筐体3下側の機械室内のホース34を介して蒸発皿35まで導かれた後、この蒸発皿35から大気中に蒸発するようになっている。また、
図1の例示では、断熱筐体3下側の機械室内には圧縮機11等が配置され、断熱筐体3背面側には凝縮器21やキャピラリチューブ22等が配置されている。更に、
図1の例示では、断熱筐体3内の上部に断熱筐体3内の温度を検知する例えばサーミスタ等の断熱筐体内温度センサ13が配置されている。
【0016】
断熱扉4は、断熱筐体3の前述した開口を開放又は閉塞する扉である。特に、断熱扉4が開口を閉塞する場合、
図1に例示されるように、断熱扉4の背面と開口の周囲のパッキン3aとが密着することによって、断熱筐体3内が大気から隔離されるようになっている。尚、
図1の例示では、断熱扉4の正面には、例えば断熱筐体3内の温度等を表示するためのディスプレイ17が設けられている。また、
図1の例示では、断熱扉4又は断熱筐体3の開口の何れかには、例えば、開口が開放状態のときにオン状態となり閉塞状態のときにオフ状態となる断熱扉スイッチ(断熱扉センサ)15が設けられている。
【0017】
周囲温度センサ18は、断熱筐体3の周囲の大気温度を検知する例えばサーミスタ等である。この周囲温度センサ18は、
図1に例示されるように、断熱筐体3下側の機械室の正面側に設けられたダクト(不図示)の背面側に配置されており、圧縮機11を冷却するためのファン(不図示)の動作によってダクトを通じて機械室内に吸い込まれる大気に常時接触するようになっている。
【0018】
制御基板10は、
図2に例示されるように、CPU101、メモリ102、第1タイマ103a、第2タイマ103b等を備えた例えばマイクロコンピュータ等の制御装置である。
【0019】
CPU101は、
図2の例示では、メモリ102と、第1タイマ103aと、第2タイマ103bと、圧縮機11を動作又は停止させるためのリレー111と、ヒータ12を動作又は停止させるためのリレー112と、断熱筐体内温度センサ13と、蒸発器温度センサ14と、周囲温度センサ18と、断熱扉スイッチ15と、ディスプレイ17とを統括制御する。ここで、リレー111は、オン状態で圧縮機11と電源16とを直列接続し、オフ状態で同直列接続を遮断するようになっており、リレー112は、オン状態でヒータ12と電源16とを直列接続し、オフ状態で同直列接続を遮断するようになっている。後述するように、このCPU101は、例えば、メモリ102に格納されたプログラムに基づいて、断熱筐体3内の温度が許容温度範囲内(後述する最低許容温度と最高許容温度との間)に収まるべく、断熱筐体内温度センサ13の検知結果に基づいて、圧縮機11を動作又は停止させるとともに、周囲温度センサ18の検知結果に応じて設定された圧縮機11の動作停止時間(動作停止期間)に対するヒータ12の動作時間(動作期間)の割合に基づいて、ヒータ12を動作又は停止させる処理等を実行する。但し、このような「割合」に限定されるものではなく、CPU101は、要するに、周囲温度センサ18により検出される温度に基づいて、蒸発器23から断熱筐体3内(庫内)への冷気の供給が停止した後のヒータ12から断熱筐体3内への温風の供給量を調節する処理を実行すればよい。この温風の供給量は、例えば、温風を供給する時間を変えて調節される。
【0020】
メモリ102は、CPU101の後述する処理手順を定めるプログラムや、CPU102の処理の際に用いられる各種データ等を格納する。
【0021】
第1タイマ103aは、例えば後述するヒータ12の動作停止後の経過時間等を計時する。
第2タイマ103bは、例えば後述する断熱扉4の開閉後の経過時間等を計時する。
【0022】
本実施の形態では、制御基板10は、例えば周囲温度センサ18、蒸発器温度センサ14、断熱扉スイッチ15等の異常を検出する検出装置の機能も果たすようになっており、具体的な判別のし方は、以下の通りである。
【0023】
周囲温度センサ18及び蒸発器温度センサ14の場合、CPU101は、検出したサーミスタの抵抗値が予め定められた所定値を超えている場合には「断線している」と判別し、検出したサーミスタの抵抗値が略0の場合には「(例えば水の浸入等が原因で)短絡している」と判別する。つまり、何れの場合にも、CPU101は、周囲温度センサ18及び蒸発器温度センサ14が異常であると判別する。
【0024】
断熱扉スイッチ15の場合、CPU101は、例えば、第2タイマ103bにより計時された断熱扉スイッチ15のオン状態の時間が予め定められた所定時間を超えているにもかかわらず、断熱筐体内温度センサ13により検知された温度が予め定められた所定温度以下の場合には、断熱扉スイッチ15が「異常である」と判別する。尚、これらの所定時間及び所定温度は、例えば、もし断熱扉4による断熱筐体3の開口の開放状態が当該所定時間を超えて続いた場合に、断熱筐体3内の温度が当該所定温度を必ず超えるような値にそれぞれ設定されている。
【0025】
===保冷庫の動作例===
図3及び
図4を参照しつつ、前述した構成を備えた保冷庫1の動作例について説明する。尚、
図3は、制御基板10のCPU101の処理手順の一例を示すブロック図であり、
図4は、断熱筐体3内の温度、蒸発器23の温度、圧縮機11の動作状態、及びヒータ12の動作状態の時間変化の一例を示すダイアグラムである。
【0026】
<<<CPUの処理手順>>>
図3に例示されるように、CPU101は、断熱扉スイッチ15がオフ状態(例えば断熱筐体3の開口の閉塞状態に対応)からオン状態(例えば断熱筐体3の開口の開放状態に対応)を経由して再度オフ状態へ遷移したか否かを判別する(S100)。
【0027】
尚、本実施の形態では、CPU101は、例えば、断熱扉スイッチ15の状態が遷移(オン状態からオフ状態へ又はオフ状態からオン状態へ)する都度、断熱扉スイッチ15から受信した同遷移にともなう一連の信号のレベルを、第2タイマ103bにより計時された受信時刻と対応付けて、メモリ102に格納しておくようになっている。そして、CPU101は、ステップS100において、メモリ102からこれらの情報を読み出し、読み出した情報に基づいて、ステップS100又はこれより直近の過去に断熱扉4が開閉されたか否かを判別するようになっている。
【0028】
<1.断熱扉の開閉がない場合>
断熱扉4が開閉されていないと判別した場合(S100:NO)、CPU101は、リレー111を駆動して圧縮機11の動作を開始させる(S101)。これにより、冷凍装置2は動作を開始する。
CPU101は、断熱筐体内温度センサ13により検知された温度が、予め定められた断熱筐体3内の最低許容温度に達したか否かを判別する(S102)。
断熱筐体3内の温度が最低許容温度に達していないと判別した場合(S102:NO)、CPU101は、ステップS102の処理を再度実行する。
断熱筐体3内の温度が最低許容温度に達したと判別した場合(S102:YES)、CPU101は、リレー111を駆動して圧縮機11の動作を停止させる(S103)。これにより、冷凍機2は動作を停止する。
CPU101は、周囲温度センサ18、蒸発器温度センサ14、断熱扉スイッチ15等(以上「センサ」と総称する)に異常があるか否かを判別する(S104)。
【0029】
<1−1.センサが異常でない場合>
センサが異常でないと判別した場合(S104:NO)、CPU101は、蒸発器温度センサ14により検知された温度が予め定められた所定温度未満であるか否かを判別する(S105)。尚、本実施の形態の蒸発器23の所定温度とは、例えば、断熱筐体3内を前述した最低許容温度未満としないための蒸発器23の最低許容温度である。
【0030】
<1−1−1.蒸発器の温度が所定温度以上の場合>
蒸発器温度センサ14により検知された温度が予め定められた所定温度未満ではない(即ち、所定温度以上である)と判別した場合(S105:NO)、CPU101は、周囲温度センサ18により検知された温度(以下「周囲温度」と称する)が予め定められた所定温度未満であるか否かを判別する(S106)。尚、本実施の形態の周囲温度に係る所定温度とは、例えば、断熱筐体3内の温度を許容温度範囲内(最低許容温度と最高許容温度との間)に維持しつつ、ヒータ12の動作時間を短縮できる温度である。ここで、ヒータ12の動作時間の短縮とは、具体的には、当該所定温度以上の周囲温度での圧縮機11の動作停止時間(動作停止期間)に対するヒータ12の動作時間(動作期間)の割合(第2割合)を、当該所定温度未満の周囲温度での圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合(第1割合)より小さくすることを意味する。但し、このような「割合」に限定されるものではない。第1割合は、周囲温度が所定温度未満である場合に蒸発器23から断熱筐体3内(庫内)への冷気の供給が停止した後のヒータ12から断熱筐体3内への温風の供給量を示す第1の値に対応する。また、第2割合は、周囲温度が所定温度以上である場合に蒸発器23から断熱筐体3内への冷気の供給が停止した後のヒータ12から断熱筐体3内への温風の供給量を示す(第1の値より小さい)第2の値に対応する。この温風の供給量は、例えば、温風を供給する時間を変えて調節される。
【0031】
<1−1−1−1.周囲温度が所定温度以上の場合>
周囲温度が予め定められた所定温度未満ではない(即ち、所定温度以上である)と判別した場合(S106:NO)、CPU101は、例えば、圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合(第2割合)をメモリ102から読み出し、同割合に基づいて、ヒータ12が動作せずに待機する所定時間を設定する(S107)。尚、本実施の形態では、周囲温度が所定温度未満の場合の前述した第1割合、周囲温度が所定温度以上の場合の前述した第2割合、圧縮機11の動作停止時間(但し、予定時間)等が例えば実験等により予め定められているものとする。特に1未満の第2割合の場合、
図4の例示によれば、ヒータ12の動作時間(時間tc)は圧縮機11の直後の動作時間に連続するように設定されている。そこで、本実施の形態のステップS107では、CPU101は、所定温度以上の周囲温度を示す情報に対応付けられた第2割合や圧縮機11の動作停止時間等を示す情報をメモリ102から読み出し、読み出した情報に基づいて、圧縮機11の動作停止からヒータ12の動作開始までの所定時間(
図4の例示では時間tb)を設定するものとする。但し、これに限定されるものではなく、メモリ102には予め定められた所定時間を示す情報が格納されていてもよい。また、ヒータ12の動作時間は圧縮機11の直後の動作時間に連続することに限定されるものではなく、例えば、圧縮機11の動作停止直後にヒータ12が動作を開始するものであってもよい。つまり、ヒータ12から断熱筐体2内(庫内)への温風の供給は、蒸発器23から断熱筐体2内への冷気の供給の停止に連続して開始されるものであってもよい。
【0032】
CPU101は、第1タイマ103aをリセットした後に計時を開始させ(S108)、第1タイマ103aにより計時された時間tがステップS107で設定した所定時間に達したか否かを判別する(S109)。
第1タイマ103aにより計時された時間tが所定時間に達していないと判別した場合(S109:NO)、CPU101は、ステップS109の処理を再度実行する。この間、圧縮機11及びヒータ12ともに動作が停止している。
第1タイマ103aにより計時された時間tが所定時間に達したと判別した場合(S109:YES)、CPU101は、リレー112を駆動してヒータ12への通電を開始する(S110)。これにより、ヒータ12は動作を開始する。
【0033】
CPU101は、断熱筐体内温度センサ13により検知された温度が、予め定められた断熱筐体3内の最高許容温度に達したか否かを判別する(S111)。尚、以後、前述した最低許容温度と最高許容温度との間に位置する設定温度を、本実施の形態の目標温度とする。一例として、目標温度は、最低許容温度と最高許容温度とを平均した温度である。
【0034】
断熱筐体3内の温度が最高許容温度に達していないと判別した場合(S111:NO)、CPU101は、ステップS111の処理を再度実行する。
断熱筐体3内の温度が最高許容温度に達したと判別した場合(S111:YES)、CPU101は、リレー112を駆動してヒータ12への通電を停止する(S112)。これにより、ヒータ12は動作を停止する。その後、CPU101は、ステップS100の処理を再度実行する。
【0035】
<1−1−1−2.周囲温度が所定温度未満の場合>
図3に例示されるように、周囲温度が予め定められた所定温度未満であると判別した場合(S106:YES)、CPU101は、前述したステップS110、S111、S112の処理を実行する。尚、本実施の形態では、周囲温度が所定温度未満の場合の前述した周囲温度に係る第1割合は1に設定されているものとする。このため、ステップS106:YESの後の処理は、圧縮機11の動作停止時間中にヒータ12に通電し続けるステップS110、S111、S112の処理と等しい。
【0036】
以上によれば、
図4に例示されるように、断熱筐体3内の温度が目標温度(例えば(TT1+T2)/2)となるように、周囲温度に応じて、圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合を「ta/ta」(=1)から「tc/(tb+tc)」(<1)へ変更できる。一般に、周囲温度が高くなるほど、断熱筐体3内の温度を目標温度とするために必要なヒータ12の熱量は少なくて済むため、本実施の形態のように圧縮機11の動作停止時間においてヒータ12が動作せずに待機する時間tb(所定時間)を設けることによって、省エネルギー性が向上する。一方、時間tbを設けて、ヒータ12による加熱し過ぎを抑制することによって、断熱筐体3内の温度を目標温度に維持し易くなる。つまり、断熱筐体3内の温度を一定に維持しつつ省エネルギー性を向上させることができる。
【0037】
また、
図4に例示されるように、ヒータ12の動作時間tcが圧縮機11の直後の動作時間に連続するように制御できる。ヒータ12が動作せずに待機する時間tb(所定時間)のタイミングを、ヒータ12が動作する時間tcのタイミングよりも前に設定したことによって、例えば、蒸発器23の温度が0℃以下の時間tbにおいてヒータ12を動作させることなく、蒸発器23の温度が0℃より高い時間tcにおいてヒータ12を動作させることができる。つまり、蒸発器23の温度が高くなった時点でヒータ12を動作させることによって、同ヒータ12に供給する電力を低減できる。
【0038】
また、
図4に例示されるように、圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合を、周囲温度が所定温度未満の場合には「ta/ta」(第1割合)とする一方、周囲温度が所定温度以上の場合には第1割合より小さい「tc/(tb+tc)」(第2割合)とすることができる。この所定温度を、例えば、断熱筐体3内の目標温度を維持でき且つ第1割合と比較して第2割合がより小さくなるような温度に設定することによって、目標温度をより一層効果的に維持しつつ省エネルギー性をより一層向上させることができる。
【0039】
尚、以上の第1割合は全て1であるが、これに限定されるものではなく、少なくとも第2割合より大きい割合であれば、例えば1未満であってもよい。
【0040】
<1−1−2.蒸発器の温度が所定温度未満の場合>
図3に例示されるように、蒸発器温度センサ14により検知された温度が予め定められた所定温度未満であると判別した場合(S105:YES)、CPU101は、前述したステップS110、S111、S112の処理を実行する。尚、本実施の形態では、蒸発器23が所定温度未満での圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合(第2割合)は、蒸発器23が所定温度以上での圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合(第1割合)より大きく設定されている。特に、本実施の形態の蒸発器23の温度に係る第2割合は、前述した周囲温度に係る第1割合と等しい1に設定されているものとする。このため、ステップS105:YESの後の処理は、圧縮機11の動作停止時間中にヒータ12に通電し続けるステップS110、S111、S112の処理と等しい。また、本実施の形態の蒸発器23の温度に係る第1割合も、前述した周囲温度に係る第2割合と等しく設定されているものとする。
【0041】
以上によれば、例えば蒸発器23の表面に霜が堆積して同表面の温度が低下した場合に、周囲温度にかかわらず、圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合を大きくすることによって、蒸発器23に付着した霜をより効果的に溶かすことができる。これにより、蒸発器23の霜による冷却能力の低下を抑制し、断熱筐体3内の温度を一定に維持し易くなる。
【0042】
尚、以上の第2割合は1であるが、これに限定されるものではなく、少なくとも第1割合より大きい割合であれば、例えば1未満であってもよい。
【0043】
<1−2.センサが異常である場合>
図3に例示されるように、センサが異常であると判別した場合(S104:YES)、CPU101は、前述したステップS110、S111、S112の処理を実行する。尚、本実施の形態では、センサが異常である場合の圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合は、周囲温度によらず一定の割合に設定されている。特に、本実施の形態の一定の割合は、前述した周囲温度に係る第1割合と等しい1に設定されているものとする。このため、ステップS104:YESの後の処理は、圧縮機11の動作停止時間中にヒータ12に通電し続けるステップS110、S111、S112の処理と等しい。
【0044】
以上によれば、圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合を、センサが異常である場合には一定の割合とすることができる。これにより、例えば周囲温度が所定温度未満であることを検知できない場合等には、周囲温度にかかわらず、圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合を一定に維持することによって、冷却対象の物品を凍結させてしまう危険性を低減できる。また、例えば蒸発器23の温度が所定温度未満であることを検知できない場合等には、周囲温度にかかわらず、圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合を一定に維持することによって、蒸発器23の霜による冷却能力の低下を抑制できる。
【0045】
尚、以上の「一定の割合」は1であるが、これに限定されるものではなく、例えば1未満であってもよい。
【0046】
<2.断熱扉の開閉がある場合>
図3に例示されるように、断熱扉4が開閉されたと判別した場合(S100:YES)、CPU101は、第2タイマ103bをリセットした後に計時を開始させ(S113)、第2タイマ103bにより計時された時間tが所定時間(所定期間)に達したか否かを判別する(S114)。尚、本実施の形態では、後述するように、断熱扉4が断熱筐体3の開口を先ず開放し次に閉塞した場合、所定時間が経過するまでは、ヒータ12の動作は、圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合を予め定められた割合(第1割合)で制御される。そして、所定時間が経過した後は、ヒータ12の動作は、圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合を第1割合より小さい予め定められた割合(第2割合)で制御される。特に、本実施の形態では、第1割合は前述した周囲温度に係る第1割合と等しい1に設定され、第2割合も前述した周囲温度に係る第2割合と等しく設定されているものとする。また、ステップS114の所定時間は、例えば蒸発器23の表面に付着した霜を溶かすのに十分な時間に予め定められてメモリ102に格納されている。
【0047】
第2タイマ103bにより計時された時間tが所定時間に達していないと判別した場合(S114:NO)、CPU101は、以下の処理を実行する。
【0048】
先ず、CPU101は、リレー111を駆動して圧縮機11の動作を開始させ(115)、断熱筐体内温度センサ13により検知された温度が、予め定められた断熱筐体3内の最低許容温度に達したか否かを判別する(S116)。断熱筐体3内の温度が最低許容温度に達していないと判別した場合(S116:NO)、CPU101はステップS116の処理を再度実行し、断熱筐体3内の温度が最低許容温度に達したと判別した場合(S116:YES)、CPU101は、リレー111を駆動して圧縮機11の動作を停止させる(S117)。
【0049】
次に、CPU101は、リレー112を駆動してヒータ12への通電を開始し(S118)、断熱筐体内温度センサ13により検知された温度が、予め定められた断熱筐体3内の最高許容温度に達したか否かを判別する(S119)。断熱筐体3内の温度が最高許容温度に達していないと判別した場合(S119:NO)、CPU101は、ステップS119の処理を再度実行し、断熱筐体3内の温度が最高許容温度に達したと判別した場合(S119:YES)、CPU101は、リレー112を駆動してヒータ12への通電を停止する(S120)。尚、以上は、ヒータ12の動作を、1に等しい第1割合で制御したものである。
【0050】
CPU101は、再度、ステップS114の処理(第2タイマ103bにより計時された時間tが所定時間に達したか否かを判別)を実行し、この時間tが所定時間に達していると判別した場合(S114:YES)、ステップS100の処理を再度実行する。
【0051】
以上によれば、
図4に例示されるように、断熱扉4の開閉が検知された場合(時刻t2)、圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合を、所定時間が経過するまでは「ta’/ta’」(=1)(第1割合)とすることができる。また、
図4に例示されてはいないが、所定時間が経過した後には第1割合より小さい割合(第2割合)を適用できる。一般に、断熱扉4が開閉された場合、大気中の水蒸気が断熱筐体3内に入り、蒸発器23の表面には霜が付着し易くなる。そこで、本実施の形態のように、周囲温度にかかわらず、圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合を所定時間の間だけ大きくすることによって、例えば蒸発器23に付着した霜をより効果的に溶かすことができる。これにより、蒸発器23の霜による冷却能力の低下を抑制し、断熱筐体3内の温度を一定に維持し易くなる。
【0052】
尚、以上の第1割合は1であるが、これに限定されるものではなく、少なくとも第2割合より大きい割合であれば、例えば1未満であってもよい。
【0053】
<<<動作例>>>
以上述べたCPU101の処理手順に基づいて、圧縮機11及びヒータ12は、以下述べる動作例を実行する。
【0054】
<周囲温度が所定温度未満の場合(時刻t1以前)>
図4の例示によれば、圧縮機11は、断熱筐体3内の温度が最高許容温度T1であるとき、動作を開始し、断熱筐体3内の温度が最低許容温度T2に達すると、動作を停止する。この間、蒸発器23の温度は、温度T3から温度T4まで下降する。
圧縮機11が動作を停止した直後にヒータ12が動作を開始する。断熱筐体3内の温度が最低許容温度T2から最高許容温度T1まで上昇する間、蒸発器23の温度は、温度T4から0℃まで上昇した後、蒸発器23の表面上の霜が溶けている間は0℃が維持され、霜が完全に溶けると、0℃から温度T3まで上昇する。つまり、ヒータ12によって蒸発器23の表面の霜取りが行なわれる。
ヒータ12が動作を停止した直後に圧縮機11が動作を開始し、これは断熱筐体3内の温度が最低許容温度T2に達するまで続けられる。
このように、周囲温度が所定温度未満の場合、圧縮機11の動作と、ヒータ12の動作とが交互に間断なく行われる。つまり、圧縮機11の動作停止時間taに対するヒータの動作時間taの割合は1である。
【0055】
<周囲温度が所定温度以上の場合(時刻t1以後)>
図4の例示によれば、時刻t1において周囲温度が所定温度未満から所定温度以上へ切り替わった場合、ヒータ12は、圧縮機11が動作を停止した直後から所定時間tbでは動作せずに待機しており、この所定時間tbが経過した直後に動作を開始する。そして、ヒータ12は、断熱筐体3内の温度が最高許容温度T1に達すると、動作を停止する。
【0056】
結果的に、ヒータ12の動作時間は時間tcとなり、圧縮機11の動作停止時間は時間(tb+tc)となる。また、蒸発器23の温度の時間変化によれば、時間(tb+tc)の間、蒸発器23の表面の霜取りが行なわれている。
【0057】
また、
図4の例示によれば、時刻t2で断熱扉4が開閉されている。この場合、周囲温度が所定温度以上であるにもかかわらず、ヒータ12の動作は、圧縮機11の動作停止時間に対するヒータ12の動作時間の割合を「ta’/ta’」(=1)(第1割合)で制御され、その後に、ヒータ12は、同割合を第1割合より小さい第2割合で制御される(但し、
図4には不図示)。
【0058】
尚、
図4の例示では、時刻t2において、断熱扉4が開閉されているが、これに限定されるものではなく、例えば、蒸発器23の温度が所定温度未満となったとしてもよいし、或いは、センサに異常が生じたとしてもよい。
【0059】
===その他の実施の形態===
前述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更や改良等が可能であり、また本発明はその等価物も含むものである。
【0060】
前述した実施の形態では、加熱装置は、通電によって加熱動作を行うヒータ12であったが、これに限定されるものではない。要するに、加熱装置は、断熱筐体3内に配置された蒸発器23の表面への霜の付着を防止したり又は同表面に付着した霜を溶かしたりするために所望のタイミングでオン・オフできる手段であれば、如何なる手段であってもよい。
【0061】
前述した実施の形態では、リレー112を駆動することによってヒータ12の動作又は停止を制御していたが、これに限定されるものではなく、例えばサイリスタやトライアック等の素子を用いて制御してもよい。
【0062】
前述した実施の形態では、断熱扉センサは、断熱扉スイッチ15であったが、これに限定されるものではなく、要するに、断熱扉4の開閉を検知する手段であれば、如何なる手段であってもよい。
【0063】
前述した実施の形態では、蒸発器23は、断熱筐体3内で仕切板31によって仕切られた空間(冷却室)内に配置されていたが、これに限定されるものではなく、仕切板31がなくてもよい。