(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光変調層は、前記第1電極および前記第2電極の間に電圧が印加されている時に前記光源からの光に対して散乱性を示し、前記第1電極および前記第2電極の間に電圧が印加されていない時に前記光源からの光に対して透明性を示し、
前記第1電極および前記第2電極のうちパターニングされた電極のパターン密度が前記光源からの距離に応じて大きくなっている
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の照明装置。
前記光変調層は、前記第1電極および前記第2電極の間に電圧が印加されている時に前記光源からの光に対して透明性を示し、前記第1電極および前記第2電極の間に電圧が印加されていない時に前記光源からの光に対して散乱性を示し、
前記第1電極および前記第2電極のうちパターニングされた電極のパターン密度が前記光源からの距離に応じて小さくなっている
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の照明装置。
前記第1領域は、前記第1電極および前記第2電極の間に電圧が印加されていない時に当該第1領域の光軸が前記導光板の側面のうち前記光源の光が入射する光入射面と平行となると共に前記光変調素子の表面と第1角度で交差する構成となっており、かつ、前記第1電極および前記第2電極の間に電圧が印加されている時に当該第1領域の光軸が前記光入射面と平行となると共に前記光変調素子の表面と前記第1角度よりも大きな第2角度で交差する構成となっており、
前記第2領域は、前記第1電極および前記第2電極の間への電圧印加の有無に拘らず、当該第2領域の光軸が前記光入射面と平行となると共に前記光変調素子の表面と前記第1角度で交差する構成となっている
請求項8に記載の照明装置。
前記第1領域は、前記第1電極および前記第2電極の間に電圧が印加されていない時に当該第1領域の光軸が前記導光板の側面のうち前記光源の光が入射する光入射面と平行となると共に前記光変調素子の法線と第3角度で交差する構成となっており、かつ、前記第1電極および前記第2電極の間に電圧が印加されている時に当該第1領域の光軸が前記光入射面と平行となると共に前記光変調素子の法線と前記第3角度よりも大きな第4角度で交差するか、または前記光変調素子の表面と平行となる構成となっており、
前記第2領域は、前記第1電極および前記第2電極の間への電圧印加の有無に拘らず、当該第2領域の光軸が前記光入射面と平行となると共に前記光変調素子の表面と前記第3角度で交差する構成となっている
請求項8に記載の照明装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(バックライト、反転PDLC(水平タイプ))
2.第2の実施の形態(バックライト、反転PDLC(垂直タイプ))
3.第1の変形例(バックライト、ノーマリーホワイトPDLC)
4.第2の変形例(バックライト、光変調素子の位置のバリエーション)
5.第3の変形例(バックライト、光学シートの追加)
6.第4の変形例(バックライト、電極のパターニングのバリエーション)
7.駆動方法
8.適用例(表示装置)
9.実施例(表示装置)
【0014】
<第1の実施の形態>
図1(A)は、本発明の第1の実施の形態に係るバックライト1(照明装置)の断面構成の一例を表したものである。
図1(B)は、
図1(A)の
光変調素子30の断面構成の一例を表したものである。なお、
図1(A),(B)は、模式的に表したものであり、実際の寸法や形状と同一であるとは限らない。このバックライト1は、例えば、液晶表示パネルなどを背後から照明するものであり、導光板10と、導光板10の側面に配置した光源20と、導光板11の背後に配置した光変調素子30および反射板40と、光変調素子30を駆動する駆動回路50とを備えている。
【0015】
導光板10は、導光板10の側面に配置した光源20からの光をバックライト1の上面に導くものである。この導光板10は、導光板10の上面に配置される表示パネル(図示せず)に対応した形状、例えば、上面、下面および側面で囲まれた直方体状となっている。なお、以下では、導光板10の側面のうち光源20からの光が入射する側面を光入射面10Aと称するものとする。導光板10は、例えば、上面および下面の少なくとも一方の面に、所定のパターン化された形状を有しており、光入射面10Aから入射した光を散乱し、均一化する機能を有している。なお、バックライト1に印加する電圧を変調することによって輝度の均一化を行う場合には、パターン化されていない平坦な導光板を導光板10として用いることも可能である。この導光板10は、例えば、表示パネルとバックライト1との間に配置される光学シート(例えば、拡散板、拡散シート、レンズフィルム、偏光分離シートなど)を支持する支持体としても機能する。導光板10は、例えば、ポリカーボネート樹脂(PC)やアクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの透明熱可塑性樹脂を主に含んで構成されている。
【0016】
光源20は、線状光源であり、例えば、熱陰極管(HCFL;Hot Cathode Fluorescent Lamp)、CCFL、または複数のLEDを一列に配置したものなどからなる。光源20が複数のLEDからなる場合には、効率、薄型化、均一性の観点から、全てのLEDがホワイトLEDであることが好ましい。なお、光源20が、例えば、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを含んで構成されていてもよい。光源20は、
図1(A)に示したように、導光板10の一の側面にだけ設けられていてもよいし、導光板10の2つの側面、3つの側面または全ての側面に設けられていてもよい。
【0017】
反射板40は、導光板10の背後から光変調素子30を介して漏れ出てきた光を導光板10側に戻すものであり、例えば、反射、拡散、散乱などの機能を有している。これにより、光源20からの射出光を効率的に利用することができ、また、正面輝度の向上にも役立っている。この反射板40は、例えば、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)や銀蒸着フィルム、多層膜反射フィルム、白色PETなどからなる。
【0018】
光変調素子30は、本実施の形態において、導光板10の背後(下面)に空気層を介さずに密着しており、例えば接着剤(図示せず)を介して導光板10の背後に接着されている。この光変調素子30は、例えば、
図1(B)に示したように、透明基板31、下側電極32、配向膜33、光変調層34、配向膜35、上側電極36および透明基板37を反射板40側から順に配置されたものである。
【0019】
透明基板31,37は、光変調層34を支持するものであり、一般に、可視光に対して透明な基板、例えば、ガラス板や、プラスチックフィルムによって構成されている。下側電極32は、透明基板31のうち透明基板37との対向面上に設けられたものであり、例えば、
図2に光変調素子30の一部を抜き出して示したように、面内の一の方向に延在する帯状の複数の部分電極32Aを互いに並列配置したものである。また、上側電極36は、透明基板37のうち透明基板31との対向面上に設けられたものであり、例えば、
図2に示したように、面内の一の方向であって、かつ下側電極32の延在方向と交差(直交)する方向に延在する帯状の複数の部分電極36Aを互いに並列配置したものである。
【0020】
下側電極32および上側電極36のパターンは、駆動方式に依存するものである。例えば、これらが上述したような帯状の部分電極を並列配置したものとなっている場合には、例えば、各部分電極を単純マトリクス駆動することが可能である。一方の電極がベタ膜となっており、他方の電極が微小な方形状となっている場合には、例えば、各電極をアクティブマトリクス駆動することが可能である。また、一方の電極がベタ膜となっており、他方の電極が細かな引出線がついたブロック状となっている場合には、例えば、それぞれの分割ブロックを独自に駆動できるセグメント方式にすることもできる。
【0021】
下側電極32および上側電極36(部分電極32A,36A)の少なくとも一方がパターニングされている。さらに、下側電極32および上側電極36(部分電極32A,36A)のうちパターニングされた電極のパターン密度が光源20からの距離に応じて異なっている。ここで、各部分電極32Aがパターニングされている場合に、互いに隣接する2つのセル間(2つの部分電極32A間)で連続的に変化していることが好ましい。同様に、各部分電極36Aがパターニングされている場合に、互いに隣接する2つのセル間(2つの部分電極36A間)で連続的に変化していることが好ましい。
【0022】
部分電極36Aがパターニングされている場合には、例えば、
図3(A),(B)に示したように、部分電極36Aに複数の開口36Bが設けられており、開口36Bの密度が、上側電極36全体に関して光源20からの距離に応じて異なっている。開口36Bの形状は、例えば、
図3(A),(B)に示したように円形状となっている。なお、開口36Bの形状は、それ以外の形状であってもよく、例えば、楕円形状、多角形状であってもよい。
図3(A)に示した例では、開口36Bの径r
1は、光源20からの距離に拘わらず一定(r
1=a
1)となっており、単位面積当たりの開口36Bの数が、光源20からの距離が遠くなるにつれて少なくなっている。また、
図3(B)に示した例では、単位面積当たりの開口36Bの数は、光源20からの距離に拘わらず一定となっており、開口36Bの径r
1が、光源20からの距離が遠くなるにつれて小さくなっている。なお、
図3(B)には、光源20近傍の径r
1がa
2となっており、光源20から最も離れたところの径r
1がa
3(<a
2)となっている場合が例示されている。従って、
図3(A),(B)のいずれの例においても、開口36Bの密度(単位面積当たりの開口36Bの占有率)が、光源20からの距離が遠くなるにつれて疎になっている(小さくなっている)。言い換えると、上側電極36のパターン密度(上側電極36のうち開口36B以外の部分の単位面積当たりの占有率)が、光源20からの距離が遠くなるにつれて密になっている(大きくなっている)。
【0023】
部分電極32Aがパターニングされている場合には、例えば、
図4(A),(B)に示したように、部分電極32Aに複数の開口32Bが設けられており、開口32Bの密度が、下側電極32全体に関して光源20からの距離に応じて異なっている。各部分電極32Aについては、開口32Bの密度が、光源20からの距離に応じて異なっていてもよいし、光源20からの距離に拘わらず一定となっていてもよい。開口32Bの形状は、それ以外の形状であってもよく、例えば、楕円形状、多角形状であってもよい。
図4(A)に示した例では、開口32Bの径r
2は、光源20からの距離に拘わらず一定(r
2=a
4)となっており、単位面積当たりの開口32Bの数が、光源20からの距離が遠くなるにつれて少なくなっている。また、
図4(B)に示した例では、単位面積当たりの開口32Bの数は、光源20からの距離に拘わらず一定となっており、開口32Bの径r
2が、光源20からの距離が遠くなるにつれて小さくなっている。なお、
図4(B)には、光源20近傍の径r
2がa
5となっており、光源20から最も離れたところの径r
2がa
6(<a
5)となっている場合が例示されている。従って、
図4(A),(B)のいずれの例においても、開口32Bの密度(単位面積当たりの開口32Bの占有率)が、光源20からの距離が遠くなるにつれて疎になっている(小さくなっている)。言い換えると、下側電極32のパターン密度(下側電極32のうち開口32B以外の部分の単位面積当たりの占有率)が、光源20からの距離が遠くなるにつれて密になっている(大きくなっている)。
【0024】
部分電極32A,36Aの双方がパターニングされている場合には、部分電極36Aに、例えば、
図3(A)または
図3(B)に示したパターニングがなされ、部分電極32Aに、例えば、
図4(A)または
図4(B)に示したパターニングがなされている。なお、部分電極32A,36Aの双方がパターニングされている場合には、部分電極32A,36Aの双方のパターン密度が、必ず、光源20からの距離に応じて異なっている必要はない。この場合には、部分電極32Aのパターン密度(開口32Aの密度)が下側電極32全体に関して光源20からの距離に応じて異なっているか、または、部分電極36Aのパターン密度(開口36Aの密度)が上側電極36全体に関して光源20からの距離に応じて異なっていればよい。
【0025】
例えば、部分電極36Aのパターン密度が上側電極36全体に関して光源20からの距離に応じて異なっている場合に、例えば、
図5(A)に示したように、部分電極32Aに複数の開口32Bが設けられており、開口32Bの密度が、光源20からのに拘わらず一定となっていてもよい。なお、部分電極36Aのパターン密度が上側電極36全体に関して光源20からの距離に応じて異なっている場合には、例えば、
図5(B)に示したように、部分電極32Aにパターンを設けず、部分電極32Aを、開口や切欠きのない平板形状としてもよい。
【0026】
また、例えば、部分電極32Aのパターン密度が下側電極32全体に関して光源20からの距離に応じて異なっている場合に、例えば、
図6(A)に示したように、部分電極36Aに複数の開口36Bが設けられており、開口36Bの密度が、光源20からのに拘わらず一定となっていてもよい。なお、部分電極32Aのパターン密度が下側電極32全体に関して光源20からの距離に応じて異なっている場合には、例えば、
図6(B)に示したように、部分電極36Aにパターンを設けず、部分電極36Aを、開口や切欠きのない平板形状としてもよい。
【0027】
部分電極32A,36Aの双方がパターニングされている場合に、開口32Bが開口36Bと完全に対向する位置に設けられていてもよいが、開口32Bが、開口36Bの一部と対向する位置に設けられているか、または、開口36Bと対向しない位置に設けられている方が好ましい。また、部分電極32A,36Aの双方がパターニングされている場合に、開口32Bの径と開口36Bの径とが互いに等しくなっていてもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0028】
下側電極32および上側電極36のうち少なくとも上側電極36(バックライト1の上面側の電極)は透明な導電性材料、例えば、酸化インジウムスズ(ITO;Indium Tin Oxide)からなる。ただし、下側電極32(バックライト1の下面側の電極)については、透明な材料でなくてもよく、例えば、金属によって構成されていてもよい。なお、下側電極32が金属によって構成されている場合には、下側電極32は、反射板40と同様、導光板10の背後から光変調素子30に入射する光を反射する機能も兼ね備えていることになる。従って、この場合には、例えば、
図7に示したように、反射板40をなくすることも可能である。
【0029】
下側電極32および上側電極36を光変調素子30の法線方向から見たときに、光変調素子30のうち下側電極32および上側電極36が互いに対向している箇所に対応する部分が光変調セル30−1を構成している。各光変調セル30−1は、下側電極32および上側電極36に所定の電圧を印加することにより別個独立に駆動することの可能なものであり、下側電極32および上側電極36に印加される電圧値の大きさに応じて、光源20からの光に対して透明性を示したり、散乱性を示したりする。なお、透明性、散乱性については、光変調層34を説明する際に詳細に説明する。
【0030】
配向膜33,35は、例えば、光変調層34に用いられる液晶やモノマーを配向させるものである。配向膜の種類としては、例えば、垂直用配向膜および水平用配向膜があるが、本実施の形態では、配向膜33,35には水平用配向膜が用いられる。水平用配向膜としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアルコールなどをラビング処理することにより形成された配向膜、転写やエッチングなどにより溝形状が付与された配向膜が挙げられる。また、水平用配向膜としては、例えば、酸化ケイ素などの無機材料を斜方蒸着することにより形成された配向膜、イオンビーム照射により形成されたダイヤモンドライクカーボン配向膜、電極パターンスリットの形成された配向膜が挙げられる。透明基板31,37としてプラスチックフィルムを用いる場合には、製造工程において、透明基板31,37の表面に配向膜33,35を塗布した後の焼成温度ができるだけ低いことが好ましいことから、配向膜33,35として、100℃以下の温度で形成可能なポリアミドイミドを用いることが好ましい。
【0031】
また、垂直、水平いずれの配向膜においても、液晶とモノマーを配向させる機能があれば十分であり、通常の液晶ディスプレイに要求される電圧の繰り返し印加に
対する信頼性などは必要ない。デバイス作成後の電圧印加による信頼性は、モノマーを重合したものと液晶との界面で決まるためである。また、配向膜を用いなくても、例えば、下側電極32および上側電極36間に電場や磁場を印加することによっても、光変調層34に用いられる液晶やモノマーを配向させることが可能である。つまり、下側電極32および上側電極36間に電場や磁場を印加しながら、紫外線照射して電圧印加状態での液晶やモノマーの配向状態を固定させることができる。配向膜の形成に電圧を用いる場合には、配向用と駆動用とで別々の電極を形成するか、液晶材料に周波数によって誘電率異方性の符号が反転する二周波液晶などを用いることができる。また、配向膜の形成に磁場を用いる場合、配向膜として磁化率異方性の大きい材料を用いることが好ましく、例えば、ベンゼン環の多い材料を用いることが好ましい。
【0032】
光変調層34は、例えば、
図1(B)に示したように、バルク34A(第2領域)と、バルク34A内に分散された微粒子状の複数の微粒子34B(第1領域)とを含んだ複合層となっている。バルク34Aおよび微粒子34Bは光学異方性を有している。
【0033】
図8(A)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時の、微粒子34B内の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、
図8(A)において、バルク34A内の配向状態についての記載を省略した。
図8(B)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時の、バルク34Aおよび微粒子34Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例を表したものである。この屈折率楕円体は、様々な方向から入射した直線偏光の屈折率をテンソル楕円体で表したものであり、光が入射する方向からの楕円体の断面を見ることによって、幾何的に屈折率を知ることができるものである。
図8(C)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時の、正面方向に向かう光L1と、斜め方向に向かう光L2とが光変調層34を透過する様子の一例を模式的表したものである。
【0034】
図9(A)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時の、微粒子34B内の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、
図9(A)において、バルク34A内の配向状態についての記載を省略した。
図9(B)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時の、バルク34Aおよび微粒子34Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例を表したものである。
図9(C)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時の、正面方向に向かう光L1と、斜め方向に向かう光L2とが光変調層34において散乱される様子の一例を模式的表したものである。
【0035】
バルク34Aおよび微粒子34Bは、例えば、
図8(A),(B)に示したように、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時に、バルク34Aの光軸AX1および微粒子34Bの光軸AX2の向きが互いに一致する(平行となる)構成となっている。なお、光軸AX1,AX2とは、偏光方向によらず屈折率が一つの値になるような光線の進行方向と平行な線を指している。また、光軸AX1および光軸AX2の向きは常に互いに一致している必要はなく、光軸AX1の向きと光軸AX2の向きとが、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよい。
【0036】
また、微粒子34Bは、例えば、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時に、光軸AX2が導光板10の光入射面10Aと平行となる構成となっている。微粒子34Bは、さらに、例えば、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時に、光軸AX2が透明基板31,37の表面と僅かな角度θ1(第1角度)で交差する構成となっている(
図8(B)参照)。なお、角度θ1については、微粒子34Bを構成する材料を説明する際に詳述する。
【0037】
一方、バルク34Aは、例えば、下側電極32および上側電極36間への電圧印加の有無に拘らず、バルク34Aの光軸AX1が一定となる構成となっている。具体的には、バルク34Aは、例えば、
図8(A),(B),
図9(A),(B)に示したように、バルク34Aの光軸AX1が導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と所定の角度θ1(第1角度)で交差する構成となっている。つまり、バルク34Aの光軸AX1は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時に、微粒子34Bの光軸AX2と平行となっている。
【0038】
なお、光軸AX2が常に、導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と角度θ1で交差している必要はなく、例えば製造誤差などによって透明基板31,37の表面と、角度θ1とは若干異なる角度で交差していてもよい。また、光軸AX1,AX2が常に導光板10の光入射面10Aと平行となっている必要はなく、例えば製造誤差などによって導光板10の光入射面10Aと、小さな角度で交差していてもよい。
【0039】
ここで、バルク34Aおよび微粒子34Bの常光屈折率が互いに等しく、かつバルク34Aおよび微粒子34Bの異常光屈折率が互いに等しいことが好ましい。この場合に、例えば、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時には、
図8(B)に示したように、正面方向および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差がほとんどなく、高い透明性が得られる。これにより、例えば、
図8(C)に示したように、正面方向に向かう光L1および斜め方向に向かう光L2は、光変調層34内で散乱されることなく、光変調層34を透過する。その結果、例えば、
図10(A),(B)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)は、透明領域30Aの界面(透明基板31または導光板10と空気との界面)において全反射され、透明領域30Aの輝度(黒表示の輝度)が、光変調素子30を設けていない場合(
図10(B)中の一点鎖線)と比べて下がる。
【0040】
また、バルク34Aおよび微粒子34Bは、例えば、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時には、
図9(B)に示したように、光軸AX1および光軸AX2の向きが互いに異なる(交差する)構成となっている。また、微粒子34Bは、例えば、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時に、微粒子34Bの光軸AX2が導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と角度θ1よりも大きな角度θ2(第2角度)(例えば90°)で交差する構成となっている。なお、角度θ2については、微粒子34Bを構成する材料を説明する際に詳述する。
【0041】
したがって、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時には、光変調層34において、正面方向および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が大きくなり、高い散乱性が得られる。これにより、例えば、
図9(C)に示したように、正面方向に向かう光L1および斜め方向に向かう光L2は、光変調層34内で散乱される。その結果、例えば、
図10(A),(B)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)は、散乱領域30Bの界面(透明基板31または導光板10と空気との界面)を透過すると共に、反射板40側に透過した光は反射板40で反射され、光変調素子30を透過する。従って、散乱領域30Bの輝度は、光変調素子30を設けていない場合(
図10(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透明領域30Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。
【0042】
なお、バルク34Aおよび微粒子34Bの常光屈折率は、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。また、バルク34Aおよび微粒子34Bの異常光屈折率についても、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
【0043】
また、バルク34Aの屈折率差(Δn
0=異常光屈折率n
1−常光屈折率n
0)や、微粒子34Bの屈折率差(Δn
1=異常光屈折率n
3−常光屈折率n
2)は、できるだけ大きいことが好ましく、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.15以上であることがさらに好ましい。バルク34Aおよび微粒子34Bの屈折率差が大きい場合には、光変調層34の散乱能が高くなり、導光条件を容易に破壊することができ、導光板10からの光を取り出しやすいからである。
【0044】
また、バルク34Aおよび微粒子34Bは、電場に対する応答速度が互いに異なっている。バルク34Aは、例えば、電場に対して応答しない筋状構造もしくは多孔質構造となっているか、または微粒子34Bの応答速度よりも遅い応答速度を有する棒状構造となっている。バルク34Aは、例えば、低分子モノマーを重合化することにより得られた高分子材料によって形成されている。バルク34Aは、例えば、微粒子34Bの配向方向または配向膜33,35の配向方向に沿って配向した、配向性および重合性を有する材料(例えばモノマー)を熱および光の少なくとも一方によって重合させることにより形成されている。
【0045】
一方、微粒子34Bは、例えば、液晶材料を主に含んで構成されており、バルク34Aの応答速度よりも十分に早い応答速度を有している。微粒子34B内に含まれる液晶材料(液晶分子)は、例えば棒状分子である。微粒子34B内に含まれる液晶分子として、正の
誘電率異方性を有するもの(いわゆるポジ型液晶)を用いることが好ましい。
【0046】
ここで、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時には、微粒子34B内において、液晶分子の長軸方向は、光軸AX2と平行となっている。このとき、微粒子34B内の液晶分子の長軸は、導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と僅かな角度θ1で交差している。この角度θ1は、例えば1°程度の小さな角度であり、いわゆるプレチルト角と呼ばれるものである。つまり、微粒子34B内の液晶分子は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時には、導光板10の光入射面10Aと平行な面内において角度θ1だけ傾斜した状態で配向している。
【0047】
また、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時には、微粒子34B内において、液晶分子の長軸方向は、光軸AX2と交差(もしくは直交)している。このとき、微粒子34B内の液晶分子の長軸は、導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と角度θ1よりも大きな角度θ2(例えば90°)で交差している。つまり、微粒子34B内の液晶分子は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時には、導光板10の光入射面10Aと平行な面内において角度θ2だけ傾斜した状態もしくは角度θ2(=90°)で真っ直ぐ立った状態で配向している。
【0048】
上記した、配向性および重合性を有するモノマーとしては、光学的に異方性を有しており、かつ液晶と複合する材料であればよいが、本実施の形態では紫外線で硬化する低分子モノマーであることが好ましい。電圧無印加の状態で、液晶と、低分子モノマーを重合化することにより形成されたもの(高分子材料)との光学的異方性の方向が一致していることが好ましいので、紫外線硬化前において、液晶と低分子モノマーが同一方向に配向していることが好ましい。微粒子34Bとして液晶が用いられる場合に、その液晶が棒状分子であるときには、使用するモノマー材料の形状も棒状であることが好ましい。以上のことから、モノマー材料としては重合性と液晶性を併せ持つ材料を用いることが好ましく、例えば、重合性官能基として、アクリレート基、メタクリレート基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルエーテル基およびエポキシ基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有することが好ましい。これらの官能基は、紫外線、赤外線または電子線を照射したり、加熱したりすることによって重合させることができる。紫外線照射時の配向度低下を抑制するために、多官能基をもつ液晶性材料を添加することもできる。
【0049】
駆動回路50は、例えば、一の光変調セル30−1において微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と平行もしくはほぼ平行となり、他の光変調セル30
−1において微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と交差もしくは直交するように各光変調セル30
−1の一対の電極(下側電極32、上側電極36)へ印加する電圧の大きさを制御するようになっている。つまり、駆動回路50は、電場制御によって、バルク34Aおよび微粒子34Bの光軸AX1,AX2の向きを互いに一致(もしくはほぼ一致)させたり、互いに異ならせたり(もしくは直交させたり)することができるようになっている。
【0050】
以下に、本実施の形態のバックライト1の製造方法について、
図11(A)〜(C)から
図13(A)〜(C)を参照しながら説明する。
【0051】
まず、ガラス基板またはプラスチックフィルム基板からなる透明基板31,37上に、ITOなどの透明導電膜32−1,36−1を形成する(
図11(A))。次に、表面全体にレジスト層を形成したのち、パターニングによりレジスト層に電極パターンを形成する(
図11(B))。これにより、複数の部分電極32Aおよび複数の部分電極36Aが形成される。このとき、部分電極32A,36Aのいずれか一方に、パターン密度が光源20からの距離に応じて異なるパターンが形成される(図示せず)。
【0052】
パターニングの方法としては、例えば、フォトリソグラフィ法、レーザー加工法、パターン印刷法、スクリーン印刷法などを用いることが可能である。また、例えば、メルク社の“ハイパーエッチ”材料を用いてスクリーン印刷した後に所定の加熱を行い、その後、水洗することでパターニングを行うこともできる。電極パターンは駆動方法および部分駆動の分割数によって決定される。例えば、42インチサイズのディスプレイを12×6分割する場合には、電極幅をおよそ80mm程度とし、電極間のスリット部分の幅を10〜500μm程度にする。電極材料としては、ITO、IZO、ZnOなどを用いることが可能である。下側電極32、上側電極36の双方にこれらの材料を用いてもよいし、一方の電極にだけ、これらの材料を用い、他方の電極に反射率の高い金属材料を用いてもよい。
【0053】
次に、表面全体に配向膜33,35を塗布したのち、乾燥させ、焼成する(
図11(C))。配向膜33,35としてポリイミド系材料を用いる場合には、溶媒にNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を用いることが多いが、そのときには、大気下では200℃程度の温度が必要である。なお、この場合に、透明基板31,37としてプラスチック基板を用いる場合には、配向膜33,35を100℃で真空乾燥させ、焼成することもできる。その後、配向膜33,35に対してラビング処理を行う。これにより、配向膜33,35が水平配向用の配向膜として機能し、さらに配向膜33,35のラビング方向にプレチルトを形成することが可能となる。
【0054】
次に、配向膜33上に、セルギャップを形成するためのスペーサ38を乾式または湿式で散布する(
図12(A))。なお、真空貼り合わせ法にて光変調セル30−1を作成する場合には、滴下する混合物中にスペーサ38を混合しておいてもよい。また、スペーサ38の替わりとして、フォトリソ法によって柱スペーサを形成することもできる。
【0055】
続いて、配向膜35上に、貼り合わせおよび液晶の漏れを防止するためのシール剤39を、例えば額縁状に塗布する(
図12(B))。このシール剤パターン39はディスペンサー法やスクリーン印刷法にて形成することができる。
【0056】
以下に、真空貼り合わせ法(One Drop Fill法、ODF法)について説明するが、真空注入法などで光変調セル30−1を作成することも可能である。
【0057】
まず、セルギャップ、セル面積などから決まる体積分にあたる液晶とモノマーの混合物41を面内に均一に滴下する(
図12(C))。混合物41の滴下にはリニアガイド方式の精密ディスペンサーを用いることが好ましいが、シール剤パターン39を土手として利用して、ダイコータなどを用いてもよい。
【0058】
液晶とモノマーは前述の材料を用いることができるが、液晶とモノマーの重量比は98:2〜50:50、好ましくは95:5〜75:25、より好ましくは92:8〜85:15である。液晶の比率を多くすることで駆動電圧を低くすることができるが、あまり液晶を多くしすぎると電圧印加時の白色度が低下したり、電圧オフ後に応答速度が低下するなど透明時に戻りにくくなったりする傾向がある。
【0059】
混合物41には、液晶とモノマーの他には、重合開始剤を添加する。使用する紫外線波長に応じて、添加する重合開始剤のモノマー比を0.1〜10重量%の範囲内で調整する。混合物41には、この他に、重合禁止剤や可塑剤、粘度調整剤なども必要に応じて添加可能である。モノマーが室温で固体やゲル状である場合には、口金やシリンジ、基板を加温することが好ましい。
【0060】
透明基板31および透明基板37を真空貼り合わせ機(図示せず)に配置したのち、真空排気し、貼り合わせを行う(
図13(A))。その後、貼り合わせたものを大気に開放し、大気圧での均一加圧によってセルギャップを均一化する。セルギャップは白輝度(白色度)と駆動電圧の関係から適宜選定できるが、5〜40μm、好ましくは6〜20μm、より好ましくは7〜10μmである。
【0061】
貼り合わせ後、必要に応じて配向処理を行うことが好ましい(図示せず)。クロスニコル偏光子の間に、貼り合わせたセルを挿入した際に、配向乱れが生じている場合には、セルをある一定時間加熱処理したり、室温で放置したりして配向させる。その後、紫外線L3を照射してモノマーを重合させてポリマー化する(
図13(B))。このようにして、光変調素子30が製造される。
【0062】
紫外線を照射している時には、セルの温度が変化しないようにすることが好ましい。赤外線カットフィルターを用いたり、光源にUV−LEDなどを用いたりすることが好ましい。紫外線照度は複合材料の組織構造に影響を与えるので、使用する液晶材料やモノマー材料、これらの組成から適宜調整することが好ましく、0.1〜500mW/cm
2の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.5〜30mW/cm
2である。紫外線照度が低いほど駆動電圧が低くなる傾向にあり、生産性と特性の両面から好ましい紫外線照度を選定することができる。
【0063】
そして、導光板10に光変調素子30を貼り合わせる。貼り合わせには、粘着、接着のいずれでもよいが、導光板10の屈折率と光変調素子30の基板材料の屈折率とにできるだけ近い屈折率の材料で粘着、接着することが好ましい。最後に、下側電極32および上側電極36に引き出し線(図示せず)を取り付ける。このようにして、本実施の形態のバックライト1が製造される。
【0064】
このように、光変調素子30を作成し、最後に導光板10に光変調素子30を貼り合わせるプロセスを説明したが、導光板10の表面に、配向膜35を形成した透明基板37を予め貼り合わせてから、バックライト1を作成することもできる。また、枚葉方式、ロール・ツー・ロール方式のいずれでもバックライト1を作成することができる。
【0065】
次に、本実施の形態のバックライト1の作用および効果について説明する。
【0066】
本実施の形態のバックライト1では、例えば、光変調セル30−1において微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と平行もしくはほぼ平行となり、別の光変調セル30Bにおいて微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と交差もしくは直交するように、各光変調セル30Bの一対の電極(下側電極32、上側電極36)に電圧が印加される。これにより、光源20から射出され、導光板10内に入射した光は、光変調素子30のうち、光軸AX1と光軸AX2とが互いに平行もしくはほぼ平行となっている透過領域30Aを透過する。一方、光源20から射出され、導光板10内に入射した光は、光変調素子30のうち、光軸AX1と光軸AX2とが互いに交差もしくは直交している散乱領域30Bにおいて散乱される。この散乱光のうち散乱領域30Bの下面を透過した光は反射板40で反射され、再度、導光板10に戻されたのち、バックライト1の上面から射出される。また、散乱光のうち、散乱領域30Bの上面に向かった光は、導光板10を透過したのち、バックライト1の上面から射出される。このように、本実施の形態では、透明領域30Aの上面からは光はほとんど射出されず、散乱領域30Bの上面から光が射出される。このようにして、正面方向の変調比を大きくしている。
【0067】
一般に、PDLCは、液晶材料と等方性の低分子材料とを混合し、紫外線照射や溶媒の乾燥などにより相分離を起こさせることによって形成され、液晶材料の微小粒子が高分子材料中に分散された複合層となっている。この複合層中の液晶材料は、電圧無印加時にはランダムな方向を向いているので散乱性を示すが、電圧印加時には電場方向に配向するので、液晶材料の常光屈折率と高分子材料の屈折率とが互いに等しい場合には、正面方向(PDLCの法線方向)において高い透明性を示す。しかし、この液晶材料では、斜め方向においては、液晶材料の異常光屈折率と高分子材料の屈折率との差が顕著となり、正面方向が透明性であっても斜め方向において散乱性が発現してしまう。
【0068】
通常、PDLCを使った光変調素子は、表面に透明導電膜の形成された2枚のガラス板の間にPDLCを挟み込んだ構造となっていることが多い。上述したような構造を有する光変調素子に対して空気中から斜めに光が入射した場合には、その斜め方向から入射した光は空気とガラス板の屈折率差によって屈折し、より小さな角度でPDLCに入射することになる。そのため、このような光変調素子においては、大きな散乱は生じない。例えば、空気中から80°の角度で光が入射した場合には、その光のPDLCへの入射角はガラス界面での屈折によって40°程度にまで小さくなる。
【0069】
しかし、導光板を用いたエッジライト方式では、導光板越しに光が入射するので、光が80°程度の大きな角度でPDLC中を横切ることになる。そのため、液晶材料の異常光屈折率と高分子材料の屈折率との差が大きく、さらに、より大きな角度で光がPDLC中を横切るので、散乱を受ける光路も長くなる。例えば、常光屈折率1.5、異常光屈折率1.65の液晶材料の微小粒子が屈折率1.5の高分子材料中に分散されている場合には、正面方向(PDLCの法線方向)においては屈折率差がないが、斜め方向においては屈折率差が大きくなる。このため、斜め方向の散乱性を小さくすることができないので、視野角特性が悪い。さらに、導光板上に拡散フィルムなどの光学フィルムを設けた場合には、斜め漏れ光が拡散フィルムなどによって正面方向にも拡散されるので、正面方向の光漏れが大きくなり、正面方向の変調比が低くなってしまう。
【0070】
一方、本実施の形態では、バルク34Aおよび微粒子34Bが光学異方性材料を主に含んで形成されているので、斜め方向において、散乱性が小さくなり、透明性を向上させることができる。例えば、バルク34Aおよび微粒子34Bが、互いに常光屈折率が等しく、かつ互いに異常光屈折率も等しい光学異方性材料を主に含んで構成され、かつ、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない領域では、これらの光軸の向きが一致もしくはほぼ一致する。これにより、正面方向(光変調素子30の法線方向)および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が少なくなるか、またはなくなり、高い透明性が得られる。その結果、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくすることができ、視野角特性を良くすることができる。
【0071】
例えば、常光屈折率1.5、異常光屈折率1.65の液晶と、常光屈折率1.5、異常光屈折率1.65の液晶性モノマーとを混合し、配向膜または電界によって液晶と液晶性モノマーを配向させた状態で液晶性モノマーを重合させると、液晶の光軸と、液晶性モノマーが重合することによって形成されたポリマーの光軸とが互いに一致する。これにより、あらゆる方向で屈折率を一致させることができるので、そのようにした場合には、透明性が高い状態を実現でき、より一層、視野角特性を良くすることができる。
【0072】
また、本実施の形態では、例えば、
図10(A),(B)に示したように、透明領域30Aの輝度(黒表示の輝度)が、光変調素子30を設けていない場合(
図10(B)中の一点鎖線)と比べて下がっている。他方、散乱領域30Bの輝度は、光変調素子30を設けていない場合(
図10(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透明領域30Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。
【0073】
ところで、輝度突き上げとは、全面白表示した場合に比べて、部分的に白表示を行った場合の輝度を高くする技術である。CRTやPDPなどでは一般によく使われている技術である。しかし、液晶ディスプレイでは、バックライトは画像にかかわらず全体に均一発光しているので、部分的に輝度を高くすることはできない。もっとも、バックライトを、複数のLEDを2次元配置したLEDバックライトとした場合には、LEDを部分的に消灯することは可能である。しかし、そのようにした場合には、LEDを消灯した暗領域からの拡散光がなくなるので、全てのLEDを点灯した場合と比べて、輝度が低くなってしまう。また、部分的に点灯しているLEDに対して流す電流を大きくすることにより、輝度を増やすことも可能であるが、そのようにした場合には、非常に短時間に大電流が流れるので、回路の負荷や信頼性の点で問題が残る。
【0074】
一方、本実施の形態では、バルク34Aおよび微粒子34Bが光学異方性材料を主に含んで形成されているので、斜め方向の散乱性が抑制され、暗状態での導光板からの漏れ光が少ない。これにより、部分的な暗状態の部分から部分的な明状態の部分に導光するので、バックライト1への投入電力を増やすことなく、輝度突き上げを実現することができる。
【0075】
また、本実施の形態では、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない領域において、微粒子34Bの光軸AX2が、導光板10の光入射面10Aと平行となっており、かつ透明基板31,37の表面と僅かな角度θ1で交差している。つまり、微粒子34B内に含まれる液晶分子が、光入射面10Aと平行な面内において角度θ1だけ傾斜した状態(プレチルト角が付与された状態)で配向している。そのため、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加された時に、微粒子34B内に含まれる液晶材料は、ランダムな方位に立ち上がることはなく、光入射面10Aと平行な面内で立ち上がる。このとき、バルク34Aおよび微粒子34Bの光軸AX1,AX2が、光入射面10Aと平行な面内において互いに交差もしくは直交する。従って、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加された領域において、正面方向(光変調素子30の法線方向)および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が大きくなり、高い散乱性が得られる。その結果、表示輝度を向上させることができる。また、上記の輝度突き上げの効果により、表示輝度をさらに向上させることができる。
【0076】
従って、本実施の形態では、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくしつつ、表示輝度を向上させることができる。その結果、正面方向の変調比を高くすることができる。
【0077】
また、本実施の形態では、下側電極32および上側電極36(部分電極32A,36A)の少なくとも一方がパターニングされている。さらに、下側電極32および上側電極36(部分電極32A,36A)のうちパターニングされた電極のパターン密度が電極全体に関して光源20からの距離に応じて異なっている。そのため、光射出領域における透明領域および散乱領域の密度分布を所望の分布にすることができる。これにより、バックライト1の光射出領域のうち光源20側の輝度を、光変調素子30を設けていない場合よりも低く抑え、かつバックライト1の光射出領域のうち光源20とは反対側の輝度を、光変調素子30を設けていない場合よりも高くすることができる。その結果、例えば、
図14(B)に示したように、バックライト1の光射出領域全体を暗状態とした場合だけでなく、例えば、
図14(C)に示したように、バックライト1の光射出領域全体を明状態とした場合にも、面内輝度を均一化することができる。従って、例えば、
図14(D)に示したように、光源20に近い領域α
1と、光源20から遠い領域α
2とにおいて白表示をしたときに、双方の領域の白輝度を等しくすることが可能となる。また、例えば、
図14(D)に示したように、領域α
1とよりも光源20に近い領域β
1と、領域α
1と領域α
2との間の領域β
2と、領域α
2よりも光源20から遠い領域β
3とにおいて黒表示をしたときに、これらの領域の黒輝度を等しくすることが可能となる。以上のことから、本実施の形態では、面内輝度を均一化しつつ、変調比を高くすることができる。
【0078】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係るバックライトについて説明する。本実施の形態のバックライトでは、配向膜33,35として垂直用配向膜が用いられており、さらに上記実施の形態の光変調層34を有する光変調素子30に代わって、光変調層64を有する光変調素子60(図示せず)が設けられている点で、上記実施の形態のバックライト1の構成と相違する。そこで、以下では、上記実施の形態の構成との共通点についての説明を適宜、省略し、上記実施の形態の構成との相違点について主に説明する。
【0079】
上述したように、本実施の形態では、配向膜33,35として垂直用配向膜が用いられている。垂直用配向膜としては、シランカップリング材料や、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド系材料、界面活性剤などを用いることが可能である。例えば、これらの材料を塗布、乾燥した後にラビング処理を行うことにより、ラビング方向にプレチルトが形成される。これにより、垂直用配向膜上の液晶が電圧印加によって傾斜する方向が決定される。また、透明基板31,37としてプラスチックフィルムを用いる場合には、製造工程において、透明基板31,37の表面に配向膜33,35を塗布した後の焼成温度ができるだけ低いことが好ましいことから、配向膜33,35としてアルコール系溶媒を使用することの可能なシランカップリング材料を用いることが好ましい。
【0080】
ただし、配向膜33,35として垂直用配向膜を用いるに際しては、微粒子34B内に含まれる液晶分子として、負の
誘電率異方性を有するもの(いわゆるネガ型液晶)を用いることが好ましい。
【0081】
次に、本実施の形態の光変調層64について説明する。光変調層64は、上記実施の形態と同様、バルク64A(第2領域)と、バルク64A内に分散された微粒子状の複数の微粒子64B(第1領域)とを含んだ複合層となっている。バルク64Aおよび微粒子64Bは光学異方性を有している。
【0082】
図15(A)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時の、微粒子64B内の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、
図15(A)において、バルク64A内の配向状態についての記載を省略した。
図15(B)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時の、バルク64Aおよび微粒子64Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例を表したものである。
図15(C)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時の、正面方向に向かう光L1と、斜め方向に向かう光L2とが光変調層64を透過する様子の一例を模式的表したものである。
【0083】
図16(A)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時の、微粒子64B内の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、
図16(A)において、バルク64A内の配向状態についての記載を省略した。
図16(B)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時の、バルク64Aおよび微粒子64Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例を表したものである。
図16(C)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時の、正面方向に向かう光L1と、斜め方向に向かう光L2とが光変調層64において散乱される様子の一例を模式的表したものである。
【0084】
バルク64Aおよび微粒子64Bは、例えば、
図15(A),(B)に示したように、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時に、バルク64Aの光軸AX3および微粒子64Bの光軸AX4の向きが互いに一致する(平行となる)構成となっている。なお、光軸AX3,AX4とは、偏光方向によらず屈折率が一つの値になるような光線の進行方向と平行な線を指している。また、光軸AX3および光軸AX4の向きは常に互いに一致している必要はなく、光軸AX3の向きと光軸AX4の向きとが、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよい。
【0085】
また、微粒子64Bは、例えば、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時に、光軸AX4が導光板10の光入射面10Aと平行となる構成となっている。微粒子64Bは、さらに、例えば、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時に、光軸AX4が透明基板31,37の表面と僅かな角度θ3(第3角度)で交差する構成となっている(
図15(B)参照)。なお、角度θ3については、微粒子64Bを構成する材料を説明する際に詳述する。
【0086】
一方、バルク64Aは、例えば、下側電極32および上側電極36間への電圧印加の有無に拘らず、バルク64Aの光軸AX4が一定となる構成となっている。具体的には、バルク64Aは、例えば、
図15(A),(B),
図16(A),(B)に示したように、バルク64Aの光軸AX3が導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と所定の角度θ4(第4角度)で交差する構成となっている。つまり、バルク64Aの光軸AX3は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時に、微粒子64Bの光軸AX4と平行となっている。
【0087】
なお、光軸AX4が常に、導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と角度θ3で交差している必要はなく、例えば製造誤差などによって透明基板31,37の表面と、角度θ3とは若干異なる角度で交差していてもよい。また、光軸AX3,AX4が常に導光板10の光入射面10Aと平行となっている必要はなく、例えば製造誤差などによって導光板10の光入射面10Aと、小さな角度で交差していてもよい。
【0088】
ここで、バルク64Aおよび微粒子64Bの常光屈折率が互いに等しく、かつバルク64Aおよび微粒子64Bの異常光屈折率が互いに等しいことが好ましい。この場合に、例えば、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時には、
図15(B)に示したように、正面方向および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差がほとんどなく、高い透明性が得られる。これにより、例えば、
図15(C)に示したように、正面方向に向かう光L1および斜め方向に向かう光L2は、光変調層64内で散乱されることなく、光変調層64を透過する。その結果、上記実施の形態と同様、例えば、
図10(A),(B)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)は、透明領域30Aの界面(透明基板31または導光板10と空気との界面)において全反射され、透明領域30Aの輝度(黒表示の輝度)が、光変調素子60を設けていない場合(
図10(B)中の一点鎖線)と比べて下がる。
【0089】
また、バルク64Aおよび微粒子64Bは、例えば、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時には、
図16(B)に示したように、光軸AX3および光軸AX4の向きが互いに異なる(交差する)構成となっている。また、微粒子64Bは、例えば、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時に、微粒子64Bの光軸AX4が導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と角度θ3よりも大きな角度θ4(第4角度)で交差するか、または透明基板31,37の表面と平行となる構成となっている。なお、角度θ4については、微粒子64Bを構成する材料を説明する際に詳述する。
【0090】
したがって、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時には、光変調層64において、正面方向および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が大きくなり、高い散乱性が得られる。これにより、例えば、
図16(C)に示したように、正面方向に向かう光L1および斜め方向に向かう光L2は、光変調層64内で散乱される。その結果、上記実施の形態と同様、例えば、
図10(A),(B)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)は、散乱領域30Bの界面(透明基板31または導光板10と空気との界面)を透過すると共に、反射板40側に透過した光は反射板40で反射され、光変調素子60を透過する。従って、散乱領域30Bの輝度は、光変調素子60を設けていない場合(
図10(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透明領域30Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。
【0091】
なお、バルク64Aおよび微粒子64Bの常光屈折率は、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。また、バルク64Aおよび微粒子64Bの異常光屈折率についても、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
【0092】
また、バルク64Aの屈折率差(Δn
0=異常光屈折率n
1−常光屈折率n
0)や、微粒子64Bの屈折率差(Δn
1=異常光屈折率n
3−常光屈折率n
2)は、できるだけ大きいことが好ましく、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.15以上であることがさらに好ましい。バルク64Aおよび微粒子64Bの屈折率差が大きい場合には、光変調層64の散乱能が高くなり、導光条件を容易に破壊することができ、導光板10からの光を取り出しやすいからである。
【0093】
また、バルク64Aおよび微粒子64Bは、電場に対する応答速度が互いに異なっている。バルク64Aは、例えば、電場に対して応答しない筋状構造もしくは多孔質構造となっているか、または微粒子64Bの応答速度よりも遅い応答速度を有する棒状構造となっている。バルク64Aは、例えば、低分子モノマーを重合化することにより得られた高分子材料によって形成されている。バルク64Aは、例えば、微粒子64Bの配向方向または配向膜33,35の配向方向に沿って配向した、配向性および重合性を有する材料(例えばモノマー)を熱および光の少なくとも一方によって重合させることにより形成されている。
【0094】
一方、微粒子64Bは、例えば、液晶材料を主に含んで構成されており、バルク64Aの応答速度よりも十分に早い応答速度を有している。微粒子64B内に含まれる液晶材料(液晶分子)は、例えば棒状分子である。微粒子64B内に含まれる液晶分子として、負の
誘電率異方性を有するもの(いわゆるネガ型液晶)が用いられている。
【0095】
ここで、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時には、微粒子64B内において、液晶分子の長軸方向は、光軸AX4と平行となっている。このとき、微粒子64B内の液晶分子の長軸は、導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の法線と僅かな角度θ3で交差している。この角度θ3は、例えば1°程度の小さな角度であり、いわゆるプレチルト角と呼ばれるものである。つまり、微粒子64B内の液晶分子は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時には、導光板10の光入射面10Aと平行な面内において角度θ3だけ傾斜した状態で配向している。
【0096】
また、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時には、微粒子64B内において、液晶分子の長軸方向は、光軸AX4と交差(もしくは直交)している。このとき、微粒子64B内の液晶分子の長軸は、導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の法線と角度θ3よりも大きな角度θ4で交差している。つまり、微粒子64B内の液晶分子は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時には、導光板10の光入射面10Aと平行な面内において角度θ4だけ傾斜した状態もしくは角度θ4(=90°)で横に寝た状態で配向している。
【0097】
上記した、配向性および重合性を有するモノマーとしては、光学的に異方性を有しており、かつ液晶と複合する材料であればよいが、本実施の形態では紫外線で硬化する低分子モノマーであることが好ましい。電圧無印加の状態で、液晶と、低分子モノマーを重合化することにより形成されたもの(高分子材料)との光学的異方性の方向が一致していることが好ましいので、紫外線硬化前において、液晶と低分子モノマーが同一方向に配向していることが好ましい。微粒子64Bとして液晶が用いられる場合に、その液晶が棒状分子であるときには、使用するモノマー材料の形状も棒状であることが好ましい。以上のことから、モノマー材料としては重合性と液晶性を併せ持つ材料を用いることが好ましく、例えば、重合性官能基として、アクリレート基、メタクリレート基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルエーテル基およびエポキシ基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有することが好ましい。これらの官能基は、紫外線、赤外線または電子線を照射したり、加熱したりすることによって重合させることができる。紫外線照射時の配向度低下を抑制するために、多官能基をもつ液晶性材料を添加することもできる。
【0098】
次に、本実施の形態のバックライトの作用および効果について説明する。
【0099】
本実施の形態のバックライトでは、例えば、光変調セル30−1において微粒子64Bの光軸AX4がバルク34Aの光軸AX3と平行もしくはほぼ平行となり、別の光変調セル30−1において微粒子64Bの光軸AX4がバルク64Aの光軸AX3と交差もしくは直交するように、各光変調セル30−1の一対の電極(下側電極32、上側電極36)に電圧が印加される。これにより、光源20から射出され、導光板10内に入射した光は、光変調素子60のうち、光軸AX3と光軸AX4とが互いに平行もしくはほぼ平行となっている透過領域30Aを透過する。一方、光源20から射出され、導光板10内に入射した光は、光変調素子60のうち、光軸AX3と光軸AX4とが互いに交差もしくは直交している散乱領域30Bにおいて散乱される。この散乱光のうち散乱領域30Bの下面を透過した光は反射板40で反射され、再度、導光板10に戻されたのち、バックライトの上面から射出される。また、散乱光のうち、散乱領域30Bの上面に向かった光は、導光板10を透過したのち、バックライトの上面から射出される。このように、本実施の形態では、透明領域30Aの上面からは光はほとんど射出されず、散乱領域30Bの上面から光が射出される。このようにして、正面方向の変調比を大きくしている。
【0100】
ところで、本実施の形態では、バルク64Aおよび微粒子64Bが光学異方性材料を主に含んで形成されているので、斜め方向において、散乱性が小さくなり、透明性を向上させることができる。例えば、バルク64Aおよび微粒子64Bが、互いに常光屈折率が等しく、かつ互いに異常光屈折率も等しい光学異方性材料を主に含んで構成され、かつ、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない領域では、これらの光軸の向きが一致もしくはほぼ一致する。これにより、正面方向(光変調素子60の法線方向)および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が少なくなるか、またはなくなり、高い透明性が得られる。その結果、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくすることができ、視野角特性を良くすることができる。
【0101】
例えば、常光屈折率1.5、異常光屈折率1.65の液晶と、常光屈折率1.5、異常光屈折率1.65の液晶性モノマーとを混合し、配向膜または電界によって液晶と液晶性モノマーを配向させた状態で液晶性モノマーを重合させると、液晶の光軸と、液晶性モノマーが重合することによって形成されたポリマーの光軸とが互いに一致する。これにより、あらゆる方向で屈折率を一致させることができるので、そのようにした場合には、透明性が高い状態を実現でき、より一層、視野角特性を良くすることができる。
【0102】
また、本実施の形態では、例えば、
図10(A),(B)に示したように、透明領域30Aの輝度(黒表示の輝度)が、光変調素子60を設けていない場合(
図10(B)中の一点鎖線)と比べて下がっている。他方、散乱領域30Bの輝度は、光変調素子60を設けていない場合(
図10(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透明領域30Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。これは、バルク64Aおよび微粒子64Bが光学異方性材料を主に含んで形成されており、斜め方向の散乱性が抑制され、暗状態での導光板からの漏れ光が少ないからである。従って、部分的な暗状態の部分から部分的な明状態の部分に導光するので、バックライトへの投入電力を増やすことなく、輝度突き上げを実現することができる。
【0103】
また、本実施の形態では、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない領域において、微粒子64Bの光軸AX4が、導光板10の光入射面10Aと平行となっており、かつ透明基板31,37の法線と僅かな角度θ3で交差している。つまり、微粒子64B内に含まれる液晶分子が、光入射面10Aと平行な面内において角度θ3だけ傾斜した状態(プレチルト角が付与された状態)で配向している。そのため、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加された時に、微粒子64B内に含まれる液晶材料は、ランダムな方位に倒れることはなく、光入射面10Aと平行な面内で倒れる。このとき、バルク64Aおよび微粒子64Bの光軸AX3,AX4が、光入射面10Aと平行な面内において互いに交差もしくは直交する。従って、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加された領域において、正面方向(光変調素子60の法線方向)および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が大きくなり、高い散乱性が得られる。その結果、表示輝度を向上させることができる。また、上記の輝度突き上げの効果により、表示輝度をさらに向上させることができる。
【0104】
以上のことから、本実施の形態では、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくしつつ、表示輝度を向上させることができる。その結果、正面方向の変調比を高くすることができる。
【0105】
また、本実施の形態では、上記第1の実施の形態と同様、下側電極32および上側電極36(部分電極32A,36A)の少なくとも一方がパターニングされている。さらに、下側電極32および上側電極36(部分電極32A,36A)のうちパターニングされた電極のパターン密度が電極全体に関して光源20からの距離に応じて異なっている。そのため、光射出領域における透明領域および散乱領域の密度分布を所望の分布にすることができる。これにより、上記実施の形態と同様、面内輝度を均一化しつつ、変調比を高くすることができる。
【0106】
<第1の変形例>
上記各実施の形態では、バルク34A,64Aは光学的に異方性を有していたが、光学的に等方性を有していてもよい。この場合、バルク34A,64Aは、等方性の低分子材料を硬化させることによって形成されたものであり、光源20からの光に対して等方性を示す高分子材料によって形成されている。
【0107】
以下では、説明の便宜上、光学的に等方性を有するバルクをバルク74Aと称するものとする。また、以下では、本変形例にかかるバルク74Aがバルク34Aの代わりに用いられている。次に、バルク74Aおよび微粒子34Bを含む光変調層74を備えた光変調素子70(図示せず)の光学特性について説明する。
【0108】
図17(A)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時の、微粒子34B内の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、バルク74Aおよび微粒子34Bは等方性を示しており、配向していない。
図17(B)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時の、正面方向に向かう光L1および斜め方向に向かう光L2が光変調層74において散乱される様子の一例を模式的表したものである。
【0109】
図18(A)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時の、微粒子34B内の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、バルク74Aは、この場合にも等方性を示しており、配向していない。微粒子34Bは、印加電圧方向に配向する。
図17(B)は、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時の、正面方向に向かう光L1および斜め方向に向かう光L2が光変調層34を透過する様子の一例を模式的表したものである。
【0110】
例えば、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時には、微粒子34Bの光軸はランダムな方向を向いており、微粒子34B全体としては光学的に等方性を示す。また、例えば、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時には、微粒子34Bの光軸は、導光板10の光入射面10Aと平行となっており、かつ透明基板31,37の表面と直交している。一方、バルク74Aは、例えば、下側電極32および上側電極36間への電圧印加の有無に拘らず、等方性を示す。
【0111】
バルク74Aの屈折率と、微粒子34Bの常光屈折率とが互いに等しくなっているか、または、おおむね等しくなっている。バルク74Aの屈折率と、微粒子34Bの異常光屈折率とが互いに異なっている。また、バルク74Aの屈折率と、微粒子34Bが光学的に等方性を示しているときの屈折率とが互いに異なっている。
【0112】
下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されている時には、透明基板31,37の表面と直交する方向において、バルク74Aと微粒子34Bとの屈折率差がほとんどなく、透明基板31,37の表面と平行な方向において、バルク74Aと微粒子34Bとの屈折率差が大きくなっている。これにより、
図18(B)に示したように、透明基板31,37の表面と直交する方向において高い透明性が得られ、透明基板31,37の表面と平行な方向において高い散乱性が得られる。その結果、例えば、
図10(A),(B)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)が、透明領域30Aの界面(透明基板31または導光板10と空気との界面)において全反射され、透明領域30Aの輝度(黒表示の輝度)が、光変調素子70を設けていない場合(
図10(B)中の一点鎖線)と比べて下がる。従って、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくすることができ、視野角特性を良くすることができる。
【0113】
一方、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない時には、あらゆる方向において、バルク74Aと微粒子34Bとの屈折率差が大きくなる。これにより、
図17(B)に示したように、高い散乱性が得られる。その結果、例えば、
図10(A),(B)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)は、散乱領域30Bの界面(透明基板31または導光板10と空気との界面)を透過すると共に、反射板40側に透過した光は反射板40で反射され、光変調素子70を透過する。従って、散乱領域30Bの輝度は、光変調素子70を設けていない場合(
図10(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透明領域30Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。
【0114】
従って、本変形例では、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくしつつ、表示輝度を向上させることができる。その結果、正面方向の変調比を高くすることができる。
【0115】
また、本変形例では、上記第1の実施の形態と同様、下側電極32および上側電極36(部分電極32A,36A)の少なくとも一方がパターニングされている。さらに、下側電極32および上側電極36(部分電極32A,36A)のうちパターニングされた電極のパターン密度が光源20からの距離に応じて異なっている。
【0116】
部分電極36Aがパターニングされている場合には、例えば、図示しないが、部分電極36Aに設けられた複数の開口36Bの密度が、光源20からの距離に応じて異なっている。例えば、開口36Bの径r
1が、光源20からの距離に拘わらず一定(r
1=a
1)となっており、単位面積当たりの開口36Bの数が、光源20からの距離が遠くなるにつれて多くなっている。また、例えば、単位面積当たりの開口36Bの数が、光源20からの距離に拘わらず一定となっており、開口36Bの径r
1が、光源20からの距離が遠くなるにつれて大きくなっている。従って、上記のいずれの例においても、開口36Bの密度(単位面積当たりの開口36Bの占有率)が、光源20からの距離が遠くなるにつれて密になっている(大きくなっている)。言い換えると、上側電極36のパターン密度(上側電極36のうち開口36B以外の部分の単位面積当たりの占有率)が、光源20からの距離が遠くなるにつれて疎になっている(小さくなっている)。
【0117】
部分電極32Aがパターニングされている場合には、例えば、図示しないが、部分電極32Aに設けられた複数の開口32Bの密度が、下側電極32全体に関して光源20からの距離に応じて異なっている。例えば、開口32Bの径r
2が、光源20からの距離に拘わらず一定(r
2=a
4)となっており、単位面積当たりの開口32Bの数が、光源20からの距離が遠くなるにつれて多くなっている。また、例えば、単位面積当たりの開口32Bの数が、光源20からの距離に拘わらず一定となっており、開口32Bの径r
2が、光源20からの距離が遠くなるにつれて大きくなっている。従って、上記のいずれの例においても、開口32Bの密度(単位面積当たりの開口32Bの占有率)が、光源20からの距離が遠くなるにつれて密になっている(大きくなっている)。言い換えると、下側電極32のパターン密度(下側電極32のうち開口32B以外の部分の単位面積当たりの占有率)が、光源20からの距離が遠くなるにつれて疎になっている(小さくなっている)。
【0118】
以上のことから、本変形例では、光射出領域における透明領域および散乱領域の密度分布を所望の分布にすることができる。これにより、上記実施の形態と同様、面内輝度を均一化しつつ、変調比を高くすることができる。
【0119】
<第2の変形例>
上記各実施の形態では、光変調素子30,60,70は、導光板10の背後(下面)に空気層を介さずに密着して接合されていたが、例えば、
図19に示したように、導光板10の上面に空気層を介さずに密着して接合されていてもよい。また、光変調素子30,60,70は、例えば、
図20に示したように、導光板10の内部に設けられていてもよい。ただし、この場合でも、光変調素子30,60,70は、導光板10と空気層を介さずに密着して接合されていることが必要である。
【0120】
<第3の変形例>
上記各実施の形態およびそれらの変形例では、導光板10の上に特に何も設けられていなかったが、例えば、
図21に示したように、光学シート80(例えば、拡散板、拡散シート、レンズフィルム、偏光分離シートなど)を設けてもよい。このようにした場合には、導光板10から斜め方向に射出した光の一部が正面方向に立ち上がるので、変調比を効果的に向上させることができる。
【0121】
<第4の変形例>
上記各実施の形態およびそれらの変形例では、下側電極32および上側電極36(部分電極32A,36A)のうちパターニングされた電極のパターン密度が電極全体に関して光源20からの距離に応じて異なっていたが、下側電極32および上側電極36が互いに対向する部分(ブロック)ごとに、光源20からの距離に応じて異なっていてもよい。
【0122】
部分電極36Aがパターニングされている場合には、例えば、
図22(A),(B)に示したように、部分電極36Aに設けられた複数の開口36Bの密度が、下側電極32と対向する部分(ブロック36C)ごとに、光源20からの距離に応じて異なっている。
図22(A)に示した例では、開口36Bの径r
1は、光源20からの距離に拘わらず一定(r
1=a
1)となっており、単位面積当たりの開口36Bの数が、ブロック36Cごとに、光源20からの距離が遠くなるにつれて少なくなっている。また、
図22(B)に示した例では、単位面積当たりの開口36Bの数は、光源20からの距離に拘わらず一定となっており、開口36Bの径r
1が、ブロック36Cごとに、光源20からの距離が遠くなるにつれて小さくなっている。なお、
図22(B)には、各ブロック36Cにおいて、光源20近傍の径r
1がa
2となっており、光源20から最も離れたところの径r
1がa
3(<a
2)となっている場合が例示されている。従って、
図22(A),(B)のいずれの例においても、開口36Bの密度(単位面積当たりの開口36Bの占有率)が、ブロック36Cごとに、光源20からの距離が遠くなるにつれて疎になっている(小さくなっている)。
【0123】
部分電極32Aがパターニングされている場合には、例えば、
図23(A),(B)に示したように、部分電極32Aに設けられた複数の開口32Bの密度が、上側電極36と対向する部分(ブロック32C)ごとに、光源20からの距離に応じて異なっている。
図23(A)に示した例では、開口32Bの径r
2は、光源20からの距離に拘わらず一定(r
2=a
4)となっており、単位面積当たりの開口32Bの数が、ブロック32Cごとに、光源20からの距離が遠くなるにつれて少なくなっている。また、
図23(B)に示した例では、単位面積当たりの開口32Bの数は、光源20からの距離に拘わらず一定となっており、開口32Bの径r
2が、ブロック32Cごとに、光源20からの距離が遠くなるにつれて小さくなっている。なお、
図23(B)には、各ブロック32Cにおいて、光源20近傍の径r
2がa
5となっており、光源20から最も離れたところの径r
2がa
6(<a
5)となっている場合が例示されている。従って、
図23(A),(B)のいずれの例においても、開口32Bの密度(単位面積当たりの開口32Bの占有率)が、ブロック32Cごとに、光源20からの距離が遠くなるにつれて疎になっている(小さくなっている)。
【0124】
本変形例では、駆動回路50は、各ブロック32C,36Cに対応する複数の光変調セル30−1に対して、光源20からの距離に応じた波高値の電圧を印加するようになっている。具体的には、駆動回路50は、複数の光変調セル30−1に対して、光源20からの距離が遠くなるにつれて波高値の大きな電圧を印加するようになっている。つまり、本変形例では、導光板10からの光取り出し効率が、下側電極32および上側電極36(部分電極32A,36A)のうちパターニングされた電極のパターン密度の大きさと、光変調セル30−1に対して印加する電圧の大きさとによって制御される。これにより、表示領域の一部分だけが白輝度となるような画像を表示した場合に、その白輝度となる部分が光源20に近いときと、光源20から遠いときとで、白輝度の大きさに差が生じる虞をなくすることができる。その結果、表示領域内の白輝度の位置に依らず白輝度の大きさを一定にすることができるので、表示領域全体において変調比を高くすることができる。
【0125】
<駆動方法>
次に、上記各実施の形態およびその変形例に係るバックライトの駆動方法について説明する。
【0126】
下側電極32および上側電極36が、例えば、帯状の部分電極32A,36Aを並列配置したものとなっている場合(
図2、
図24)には、例えば、各部分電極32A,36Aを単純マトリクス駆動することが可能である。なお、
図24には、部分電極36Aが部分電極32Aの延在方向と平行な方向に延在している場合が例示されている。また、下側電極32および上側電極36のうち一方がベタ膜となっており、他方の電極が帯状の部分電極を並列配置したものとなっている場合(
図25)には、例えば、各帯状の部分電極を配列方向に駆動することが可能である。また、上側電極36をなくして下側電極32だけにした上で、下側電極32が帯状の部分電極32Aを並列配置したものとなっている場合(
図26)には、例えば、互いに隣接する2つの部分電極32Aに対して電位差を与えることが可能である。そのようにした場合には、光変調層34,64内に面内電界が発生するので、その面内電界によって微粒子34B,64B内の液晶分子の配向方向を制御することが可能である。また、下側電極32および上側電極36のうち一方がベタ膜となっており、他方が細かな引出線がついたブロック状となっている場合(
図27)には、例えば、それぞれの分割ブロックを独立して駆動することが可能である。なお、
図24〜
図27には、各電極に対してパターニングが施されていない場合が例示されているが、実際には、上記各実施の形態およびその変形例において記載されているようなパターニングが施されている。
【0127】
上述したような各種駆動方法において、バックライトの面内輝度を均一化したり、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)をバックライトの面内で一定化したりする場合に、各光変調セル30−1から出力される光の輝度の調整方法としては、以下の2つの方法が考えられる。
(1)光変調セル30−1に対して印加する電圧の振幅、パルス幅または周波数を、光変調セル30−1ごとに設定する方法
(2)(1)に記載の方法を実行するとともに、光源20に流す電流の振幅、パルス幅または周波数を、経時的に設定する駆動方法
【0128】
[(1)の調整方法]
図28は、光変調セル30−1ごとに発光輝度が異なっている様子を模式的に表したものである。
図28には、12個の光変調セル30−1が4×3で配列されている場合が例示されている。
図29は、
図28における1行目のラインに含まれる3つの光変調セル30−1に対して印加される電圧V
A,V
B,V
Cの波形の一例を表したものである。
図29(A)には、光変調セル30−1ごとに電圧V
A,V
B,V
Cの振幅を設定する振幅変調が例示されている。
図29(B)には、光変調セル30−1ごとに電圧V
A,V
B,V
Cのデューティー比を設定するパルス幅変調が例示されている。
図29(C)には、光変調セル30−1ごとに電圧V
A,V
B,V
Cの周波数を設定する周波数変調が例示されている。
【0129】
図29(A)に示した振幅変調では、時間的な散乱状態の変化がないので、フリッカーなどが出にくい。
図29(A)から、光変調セル30−1に印加する電圧V
A,V
B,V
Cの振幅を大きくするほど、輝度が大きくなることがわかる。
【0130】
図29(B)に示したパルス幅変調は、散乱状態と非散乱状態との間の状態(中間状態)がないので、輝度プロファイルが保存され、輝度を変化させても色度を保持することができる。
図29(B)から、光変調セル30−1に印加する電圧V
A,V
B,V
Cのデューティー比を大きくするほど、輝度が大きくなることがわかる。
【0131】
図29(C)に示した周波数変調では、電圧パルスの周波数に応じて、光変調セル30−1に印加される実効電圧が決まるので、フリッカーが若干生じやすい。
図29(C)から、光変調セル30−1に印加する電圧V
A,V
B,V
Cの周波数を低くするほど、輝度が大きくなることがわかる。
【0132】
図30は、各光変調セル30−1の発光輝度が互いに等しくなっている様子を模式的に表したものである。例えば、
図31(A)に示したように、光源20からの距離が遠くなるほど、光変調セル30−1に印加する電圧V
A,V
B,V
Cの振幅を大きくすることにより、面内の輝度を均一化することができることがわかる。また、例えば、
図31(B)に示したように、光源20からの距離が遠くなるほど、光変調セル30−1に印加する電圧V
A,V
B,V
Cのデューティー比を大きくすることにより、面内の輝度を均一化することができることがわかる。
【0133】
図32は、電圧V
A,V
B,V
Cのデューティー比を全て100%としたときの輝度分布、電圧V
Aのデューティー比を32%、電圧V
Bのデューティー比を52%、電圧V
Cのデューティー比を100%としたときの輝度分布と、電圧V
A,V
B,V
Cが0ボルトとなっているときの輝度分布とを表したものである。駆動条件をまとめたものを
図33に示す。
図32中に「電圧一定」と記載された分布が、電圧V
A,V
B,V
Cのデューティー比を全て100%としたときの輝度分布に対応する。
図32中に「電圧変調」と記載された分布が、電圧V
A,V
B,V
Cのデューティー比を互いに異ならせたときの輝度分布に対応する。
図32中に「未点灯」と記載された分布が、電圧V
A,V
B,V
Cが0ボルトとなっているときの輝度分布に対応する。
【0134】
図32から、全ての光変調セル30−1に同一電圧を印加すると、面内輝度が光源20側で極端に高くなってしまうことがわかる。また、
図32から、光変調セル30−1に印加する電圧V
A,V
B,V
Cのデューティー比を適宜調整することにより、面内の輝度分布を均一化することができることがわかる。
【0135】
図34は、互いに隣接する2つの光変調セル30−1において、一方の光変調セル30−1が最大輝度で発光し、他方の光変調セル30−1が最低輝度で発光している様子を模式的に表したものである。以下、最大輝度で発光している状態を「白状態」と称し、最低輝度で発光している状態を「黒状態」と称する。
【0136】
4行目のラインにおいて、左端の光変調セル30−1に対して、例えば140Vppを印加し、残りの2つの光変調セル30−1に対して、例えば0Vppを印加したとする。すると、光源20から4行目のラインに出力された光は、左端の光変調セル30−1から主に出力されることになる。このときの輝度は、理論的には、1行目のラインから出力される光の輝度の3倍になる(1行目のライン全体を同時に発光している場合)。一方で、2行目のラインにおいて、右端の光変調セル30−1に対して、例えば140Vppを印加し、残りの2つの光変調セル30−1に対して、例えば0Vppを印加したとする。このとき、光源20から2行目のラインに出力された光は、右端の光変調セル30−1から主に出力されることになるが、その輝度は、4行目のラインの輝度よりも低くなる。それは、光源20から2行目のラインに出力された光が、右端の光変調セル30−1に到達する前に、黒状態の2つの光変調セル30−1において吸収されたり、散乱されたりするからである。以上のことから、光変調セル30−1に印加する電圧値が同じであっても、光変調セル30−1の、光源20からの距離や、光源20からの光が到達するまでの間にある光変調セル30−1の発光状態(白状態、黒状態など)によって、発光輝度が異なることがわかる。
【0137】
図35に、中央の光変調セル30−1だけ発光させたときの輝度分布と、1ライン全体を発光させたときの輝度分布を示す。駆動条件をまとめたものを
図36に示す。
図35から、中央の光変調セル30−1だけ発光させることにより、中央の光変調セル30−1の輝度が、1ライン全体を発光させたときの輝度の約2.2倍も高くなっていることがわかる。
【0138】
図37は、光変調セル30−1ごとに発光輝度が異なっている様子を模式的に表したものである。1行目のラインにおいて、両端の光変調セル30−1に対して、例えば140Vppを印加し、残りの光変調セル30−1に対して、例えば0Vppを印加したとする。すると、
図37の右上のグラフに示したように、左端の光変調セル30−1の輝度が、右端の光変調セル30−1の輝度よりも高くなる。また、例えば、1行目のラインにおいて、右端の光変調セル30−1に対して、例えば140Vppを印加し、左端の光変調セル30−1に対して、右端の光変調セル30−1に印加した電圧値よりも小さな電圧値(例えば120Vpp)の電圧を印加したとする。すると、
図37の右中央のグラフに示したように、左端の光変調セル30−1の輝度と、右端の光変調セル30−1の輝度とが互いに等しくなる。
【0139】
以上のことから、1ライン全てを同時に発光させる場合には、(1)発光対象の光変調セル30−1の設定輝度と、(2)発光対象の光変調セル30−1と光源20との間にある光変調セル30−1の発光輝度と、(3)発光対象の光変調セル30−1の、光源20からの距離とに応じて、光変調セル30−1に印加する電圧値を調整することにより、面内の特定の複数の光変調セル30−1の発光輝度を互いに等しくすることが可能であるといえる。また、1ラインに含まれる各光変調セル30−1を時分割で発光させる場合には、(1)発光対象の光変調セル30−1の設定輝度と、(2)発光対象の光変調セル30−1の、光源20からの距離とに応じて、光変調セル30−1に印加する電圧値を調整することにより、面内の特定の複数の光変調セル30−1の発光輝度を互いに等しくすることが可能であるといえる。
【0140】
[(2)の調整方法]
図38は、光源20が光変調セル30−1の各ラインに対応して分割されている様子を模式的に表したものである。光源20は、例えば、
図38に示したように、光変調セル30−1の各ラインに対応して光源ブロック20A〜20Dを備えている。各光源ブロック20A〜20Dは、互いに独立して駆動する(光を出力する)ことが可能となっている。例えば、
図38に示したように、黒状態の2つの光変調セル30−1を除く全ての光変調セル30−1の輝度を均一化したい場合、その方法として、上述したように、光変調セル30−1に対して印加する電圧の振幅、パルス幅または周波数を、光変調セル30−1ごとに設定するだけでなく、光源20に流す電流を同期させ、電流もしくは電圧の振幅、パルス幅または周波数を、経時的に設定することが考えられる。以下では、光源20に流す電流の振幅を、経時的に設定した場合について詳細に説明する。
【0141】
図39は、1行目のラインに含まれる3つの光変調セル30−1に対して印加する電圧波形の一例と、1行目のラインに対応する光源ブロック20Aに対して印加する電流波形の一例とを表したものである。1行目のラインに含まれる全ての光変調セル30−1に対して印加する電圧パルスの波高値は、互いに等しくなっているが、各光変調セル30−1に対して電圧パルスを印加するタイミング(期間T
A,T
B,T
C)が互いに異なっている。例えば、
図39(A)に示したように、光源20側から順に電圧パルスを印加する。つまり、1ラインに含まれる各光変調セル30−1が時分割で発光する。このとき、1行目のラインに対応する光源ブロック20Aに印加される電流の大きさが、期間T
A,T
B,T
Cごとに異なっている。例えば、
図39(A),(B)に示したように、1行目のラインに含まれる3つの光変調セル30−1に対して、光源20側から順に電圧パルスが印加される場合には、最初の期間T
Aに印加される電流値をI
1、次の期間T
Bに印加される電流値をI
2、最後の期間T
Cに印加される電流値をI
3とすると、I
1,I
2,I
3が以下の関係式を満たすように、1行目のラインに対応する光源ブロック20Aに電流を経時的に変化させながら印加する。
I
1<I
2<I
3
【0142】
図40は、3行目のラインに含まれる3つの光変調セル30−1に対して印加する電圧波形の一例と、3行目のラインに対応する光源ブロック20Cに対して印加する電流波形の一例とを表したものである。3行目のラインに含まれる全ての光変調セル30−1に対して印加する電圧パルスの波高値は、中央の光変調セル30−1を除いて、互いに等しくなっている。また、3行目のラインに含まれる各光変調セル30−1に対して電圧パルスを印加するタイミング(期間T
A,T
B,T
C)は互いに異なっている。例えば、
図40(A)に示したように、光源20側から順に電圧パルスを印加する。つまり、1ラインに含まれる各光変調セル30−1が時分割で発光する。このとき、3行目のラインに対応する光源ブロック20Cに印加される電流の大きさが、期間T
A,T
B,T
Cごとに異なっている。例えば、
図40(A),(B)に示したように、3行目のラインに含まれる3つの光変調セル30−1に対して、光源20側から順に電圧パルスが印加される場合には、最初の期間T
Aに印加される電流値をI
4、次の期間T
Bに印加される電流値をI
5、最後の期間T
Cに印加される電流値をI
6とすると、I
4,I
5,I
6が以下の関係式を満たすように、3行目のラインに対応する光源ブロック20Cに電流を経時的に変化させながら印加する。
I
4<I
6
I
5=0A、または黒状態を維持できる程度の電流値
【0143】
以上のことから、各光源ブロック20Cに印加する電流値は、(1)発光対象の光変調セル30−1の設定輝度と、(2)発光対象の光変調セル30−1の、光源20からの距離とに応じて調整される。なお、発光対象の光変調セル30−1と、光源20との間にある光変調セル30−1の発光状態は、常に黒状態である。従って、(1)発光対象の光変調セル30−1の設定輝度と、(2)発光対象の光変調セル30−1の、光源20からの距離とに応じて、光源ブロック20Cに印加する電流値を調整することにより、面内の特定の複数の光変調セル30−1の発光輝度を互いに等しくすることができる。
【0144】
また、
図39、
図40に示したように、1ラインに含まれる複数の光変調セル30−1を時分割で駆動することにより、各光変調セル30−1の黒挿入時間を互いに等しくすることができる。これにより、例えば白黒状態の色度が異なる場合でも、色ずれを小さく抑えることができる。
【0145】
なお、(1)の調整方法および(2)の調整方法において、発光対象の光変調セル30−1の輝度を例えば映像信号に応じて変化させてもよい。この場合には、例えば、
図41に示したように、光変調素子30,60および光源20を駆動する駆動回路50に対して映像信号50Aを入力するようにすればよい。また、互いに隣接する2つの光変調セル30−1において、発光輝度が大きく異なり、バックライト上にディスプレイパネルを載せたとしても、バックライトの輝度の変化がくっきりと見えてしまう場合には、例えば、発光輝度の相対的に低い方の光変調セル30−1がわずかに明るくなる(散乱性がわずかに大きくなる)ように、(1)の調整方法、または(1)および(2)の調整方法において印加電圧などを調整するようにしてもよい。また、例えば、発光輝度の相対的に高い方の光変調セル30−1がわずかに暗くなる(散乱性がわずかに小さくなる)ように、(1)の調整方法、または(1)および(2)の調整方法において印加電圧などを調整するようにしてもよい。
【0146】
なお、バックライト全体の輝度を、光変調セル30−1に印加する電圧パルスで制御するようにしてもよいが、光源20に印加する電流パルスで制御するようにしてもよい。例えば、
図42に示したようにバックライト全体を明状態にしたのち、
図43に示したようにバックライト全体をやや暗い状態にする際には、光源20に印加する電流パルスの波高値を変化させてもよいし(
図44(A))、光源20に印加する電流パルスのデューティー比を変化させてもよい(
図44(B))。
【0147】
液晶の駆動では、液晶素子に電圧を印加してから立ち上がるまで、数ms程度の応答遅れが生じる。この応答遅れを低減させるため、液晶立ち上げ時に高出力な短パルス電圧を入力するオーバードライブと呼ばれる駆動方法を適用することもできるが、その応答速度は最短でも数百μs程度に留まる。一方、LEDの電流変調では、応答遅れの原因が電気抵抗による遅れおよび蛍光励起時間に限られるので、液晶の応答速度に依存しないnsオーダーの高速応答が可能となる。従って、光源20としてLEDを用いた場合には、バックライト全体の輝度を高速で変調することが可能となる。
【0148】
<適用例>
次に、上記各実施の形態およびそれらの変形例に係るバックライトの一適用例について説明する。
【0149】
図45は、本適用例にかかる表示装置2の概略構成の一例を表したものである。この表示装置2は、液晶表示パネル90(表示パネル)と、液晶表示パネル90の背後に配置されたバックライト1と、バックライト1を駆動する駆動回路50と、液晶表示パネル90を駆動する駆動回路(図示せず)とを備えている。なお、表示装置2に搭載されるバックライトとして、第1の実施の形態のバックライト、第2の実施の形態のバックライトのいずれも用いることが可能である。
【0150】
液晶表示パネル90は、マトリクス状に配置された複数の画素を有しており、複数の画素が画像信号に基づいて駆動されることにより、映像を表示するものである。この液晶表示パネル90は、例えば、映像信号に応じて各画素が駆動される透過型の表示パネルであり、液晶層を一対の透明基板で挟み込んだ構造となっている。具体的には、液晶表示パネル90は、バックライト1側から順に、偏光子、透明基板、画素電極、配向膜、液晶層、配向膜、共通電極、カラーフィルタ、透明基板および偏光子を有している。
【0151】
透明基板は、可視光に対して透明な基板、例えば板ガラスからなる。なお、バックライト1側の透明基板には、図示しないが、画素電極に電気的に接続されたTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)および配線などを含むアクティブ型の駆動回路が形成されている。画素電極および共通電極は、例えばITOからなる。画素電極は、透明基板上に格子配列またはデルタ配列されたものであり、画素ごとの電極として機能する。他方、共通電極は、カラーフィルタ上に一面に形成されたものであり、各画素電極に対して対向する共通電極として機能する。配向膜は、例えばポリイミドなどの高分子材料からなり、液晶に対して配向処理を行う。液晶層は、例えば、VA(Vertical Alignment)モード、TN(Twisted Nematic)モードまたはSTN(Super Twisted Nematic)モードの液晶からなり、駆動回路(図示せず)からの印加電圧により、バックライト1からの射出光の偏光軸の向きを画素ごとに変える機能を有する。なお、液晶の配列を多段階で変えることにより画素ごとの透過軸の向きが多段階で調整される。カラーフィルタは、液晶層を透過してきた光を、例えば、赤(R)、緑(G)および青(B)の三原色にそれぞれ色分離したり、または、R、G、Bおよび白(W)などの四色にそれぞれ色分離したりするカラーフィルタを、画素電極の配列と対応させて配列したものである。フィルタ配列(画素配列)としては、一般的に、ストライプ配列や、ダイアゴナル配列、デルタ配列、レクタングル配列のようなものがある。
【0152】
偏光子は、光学シャッタの一種であり、ある一定の振動方向の光(偏光)のみを通過させる。なお、偏光子は、透過軸以外の振動方向の光(偏光)を吸収する吸収型の偏光素子であってもよいが、バックライト1側に反射する反射型の偏光素子であることが輝度向上の観点から好ましい。偏光子はそれぞれ、偏光軸が互いに90度異なるように配置されており、これによりバックライト1からの射出光が液晶層を介して透過し、あるいは遮断されるようになっている。
【0153】
駆動回路50は、各光変調セル30−1の一対の電極(下側電極32、上側電極36)へ印加する電圧の大きさを制御するようになっている。駆動回路50は、例えば、複数の光変調セル30−1のうち黒表示の画素位置に対応するセルにおいて微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と平行となり、複数の光変調セル30−1のうち白表示の画素位置に対応するセルにおいて微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と交差するように各光変調セル30−1の一対の電極(下側電極32、上側電極36)へ印加する電圧の大きさを制御するようになっている。
【0154】
本適用例では、液晶表示パネル90を照明する光源として、上記実施の形態のバックライト1が用いられている。これにより、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくしつつ、表示輝度を向上させることができる。その結果、正面方向の変調比を高くすることができる。また、バックライト1への投入電力を増やすことなく、輝度突き上げを実現することができる。
【0155】
また、本適用例では、バックライト1は、表示画像に合わせて部分的に液晶表示パネル90に入射する光強度を変調する。しかし、光変調素子30,60,70に含まれる電極(下側電極32、上側電極36)のパターンエッジ部分で急激な明るさ変化があると、表示画像上でもその境界部分が見えてしまう。そこで、できるだけ電極境界部分において、明るさが単調に変化する特性が求められ、そのような特性のことをぼかし特性と呼ぶ。ぼかし特性を大きくするためには、拡散性の強い拡散板を用いるのが効果的であるが、拡散性が強いと、全光線透過率も低くなるので明るさが低くなる傾向にある。従って、本適用例において、光学シート80に拡散板を用いる場合には、その拡散板の全光線透過率は、50%〜85%であることが好ましく、60%〜80%であることがより好ましい。また、導光板10と、バックライト1内の拡散板との空間距離を大きくすればするほど、ぼかし特性は良くなる。また、この他に、光変調素子30,60,70に含まれる電極(下側電極32、上側電極36)のパターンの数を増やし、明と暗ができるだけ単調に変化するように各電極の電圧を調整することもできる。
【0156】
また、本適用例では、照明光における明暗の境界部分をぼかすことができることから、光変調素子30,60,70内の電極パターンに由来する画質の劣化を抑制することができる。また、本適用例では、照明光における明暗の境界部分をぼかすにあたって、拡散板を追加しない場合には、より一層の薄型化を実現することができる。
【0157】
<実施例>
以下、本発明の実施例について説明する。なお、下記の実施例は例示であり、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0158】
(セル作成方法)
300×250mmサイズの液晶セルを以下のようにして作成した。まず、フィルム基板(PET)にITOを塗布したのち、レーザー加工によるパターニングによりITO電極を作成した。次に、フィルム基板の表面のうちITO電極側の表面に、ポリアミドイミド溶液をバーコータにて塗布し80℃×10分の乾燥を行った後、ラビング布を用いてラビングを行い、配向膜を作成した。この配向膜を5mm厚の導光板に粘着材料を用いて貼合し、導光板付きITOフィルムを作成した。さらに、導光板付きITOフィルム上に、液晶と、紫外線硬化性の液晶性モノマーと、重合開始剤とを所定組成になるように混合した溶液(以下、モノマー混合液晶と称する)を大気中で滴下した後、真空中で同様に作成した配向膜付きITOフィルムを貼り合わせて導光板付きフィルム液晶セルを作成した。
【0159】
25℃、波長589nmにおける常光屈折率1.513、異常光屈折率1.714、ネマチック−液晶相転移温度106℃の液晶を用いた。液晶性モノマーには、同じく常光屈折率1.49、異常光屈折率1.64、ネマチック−液晶相転移温度106℃の2官能モノマーを用いた。液晶と液晶性モノマーが90:10重量比となるように混合し、液晶性モノマーの重量比1%相当の重合性開始剤((株)アデカ製N−1919)を添加した。その後、紫外線を照射して液晶中の液晶性モノマーを硬化させた。
【0160】
(面内輝度分布の測定方法)
作成したセルに貼合されている導光板の端面に白色LEDの光を照射した。導光板の上部には拡散シートおよびレンズシートをこの順に載せ、セルに電圧を印加しながら、面内輝度測定装置(ハイランド社製RISA Color)を用いて、面内輝度を測定した。
【0161】
(実施例1)
320×270mmサイズの2枚のフィルム基板を用意したのち、一方のフィルム基板上にITO膜を形成し、幅83mm、3列のとなるように短冊状のパターニングを行った。短冊状のITO電極に、100μm〜700μmの範囲内の所定のサイズの複数の穴を形成すると共に、その穴の、ITO電極に占める割合が白色LEDの位置から遠ざかるに従って小さくなるようにするために、短冊状のITO電極に形成する穴の密度を調整した。このとき、穴の密度を、一のITO電極内において等しくした。他方のフィルム基板上にもITO膜を形成し、そのITO膜については、幅75mm、4列となるように短冊状にパターニングすることにした。これら2枚のITOフィルム基板を重ね合わせて、75×83mmサイズの4×3のマトリクス状になるようにした。フィルム基板の法線方向から見たときに、このITO電極と、複数の穴が形成されたITO電極とが互いに直交するように、導光板付きITOフィルムに、配向膜付きITOフィルムを貼り合わせた。このようにして作成した実施例1に係る導光板付きフィルム液晶セルの上に、拡散シートおよびレンズシートをこの順に載せたのち、100Hz、140V
ppのパルス電圧を一対のITO電極間に印加し、白色LEDの光が、実施例1に係る導光板付きフィルム液晶セルを透過するようにした。その結果、3,000cd/m
2±5%の面内輝度が得られた。この白輝度は実用レベルに耐え得る値であった。さらに、電圧印加を停止して黒輝度の面内輝度分布を測定したところ、500cd/m
2±5%の面内輝度が得られた。この黒輝度も実用レベルに耐え得る値であった。
【0162】
(実施例2)
ITO電極に形成する穴の、ITO電極に占める割合が白色LEDの位置から遠ざかるに従って小さくなるようにするために、短冊状のITO電極に形成する穴のサイズを、白色LEDの位置から遠ざかるに従って小さくした以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る導光板付きフィルム液晶セルを作成した。実施例2に係る導光板付きフィルム液晶セル上に、拡散シートおよびレンズシートをこの順に載せたのち、100Hz、140V
ppのパルス電圧を一対のITO電極間に印加し、白色LEDの光が、実施例2に係る導光板付きフィルム液晶セルを透過するようにした。その結果、2,900cd/m
2±5%の面内輝度が得られた。この白輝度は実用レベルに耐え得る値であった。さらに、電圧印加を停止して黒輝度の面内輝度分布を測定したところ、480cd/m
2±5%の面内輝度が得られた。この黒輝度も実用レベルに耐え得る値であった。
【0163】
(実施例3)
一方のフィルム基板上の各ITO電極に形成する穴の密度を、各ITO電極内(3×4ブロック中の1ブロック内)で、白色LEDの位置から遠ざかるに従って小さくした以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る導光板付きフィルム液晶セルを作成した。実施例3に係る導光板付きフィルム液晶セル上に、拡散シートおよびレンズシートをこの順に載せたのち、100Hz、48V
ppのパルス電圧を白色LEDの位置に最も近い一対のITO電極間に印加し、100Hz、62V
ppのパルス電圧を白色LEDの位置に2番目に近い一対のITO電極間に印加し、100Hz、140V
ppのパルス電圧を白色LEDの位置から最も遠い一対のITO電極間に印加し、白色LEDの光が、実施例3に係る導光板付きフィルム液晶セルを透過するようにした。その結果、3,000cd/m
2±5%の面内輝度が得られた。この白輝度は実用レベルに耐え得る値であった。さらに、電圧印加を停止して黒輝度の面内輝度分布を測定したところ、500cd/m
2±5%の面内輝度が得られた。この黒輝度も実用レベルに耐え得る値であった。
【0164】
(比較例1)
一方のフィルム基板上の各ITO電極に穴を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1に係る導光板付きフィルム液晶セルを作成した。比較例1に係る導光板付きフィルム液晶セル上に、拡散シートおよびレンズシートをこの順に載せて、黒輝度の面内輝度分布を測定したところ、実施例1と同様の結果となったが、白輝度の面内輝度分布を測定したところ、白色LEDから離れるにつれて輝度が急激に小さくなってしまい、面内輝度が不均一となった。
【0165】
(比較例2)
一方のフィルム基板上の各ITO電極に穴を形成せず、さらに、導光板として、シリカ粒子の存在密度を変えて印刷した導光板を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例2に係る導光板付きフィルム液晶セルを作成した。比較例2に係る導光板付きフィルム液晶セル上に、拡散シートおよびレンズシートをこの順に載せて、白輝度の面内輝度分布を測定したところ、比較例1よりも面内輝度の不均一性は改善されたが、黒輝度の面内輝度分布を測定したところ、黒輝度が大きくなってしまい、実用レベルに耐えられる値に達しなかった。