(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756987
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】表面温度測定用熱電対及び表面温度測定装置
(51)【国際特許分類】
G01K 7/02 20060101AFI20150709BHJP
G01K 1/14 20060101ALI20150709BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20150709BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20150709BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
G01K7/02 A
G01K1/14 A
H01L21/205
H01L21/302 101G
H01L21/66 T
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-193724(P2013-193724)
(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2015-59833(P2015-59833A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2014年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】309013026
【氏名又は名称】株式会社アンベエスエムティ
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博
(72)【発明者】
【氏名】安部 可伸
【審査官】
岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−50801(JP,A)
【文献】
特開平6−317481(JP,A)
【文献】
特開2011−107104(JP,A)
【文献】
実開平6−69785(JP,U)
【文献】
特開平5−63054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 7/00 − 7/42
G01K 1/14
H01L21/205
H01L21/3065
H01L21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感温用先端部を有する先端部が、可撓性を有する薄板状又は細線状とされると共に、所定角度だけ屈曲されていることを特徴とする表面温度測定用熱電対。
【請求項2】
前記先端部の薄板状部の厚み又は細線状部の直径が10μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の表面温度測定用熱電対。
【請求項3】
前記先端部の屈曲の角度が、10°以上90°未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面温度測定用熱電対。
【請求項4】
前記先端部がコーティングされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表面温度測定用熱電対。
【請求項5】
前記先端部以外の基部が、パイプに挿入され、固定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の表面温度測定用熱電対。
【請求項6】
前記パイプの下部に、前記感温用先端部を保護するための位置ストッパーが設けられていることを特徴とする請求項5に記載の表面温度測定用熱電対。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の表面温度測定用熱電対が、複数並設されていることを特徴とする表面温度測定装置。
【請求項8】
前記複数の表面温度測定用熱電対の感温用先端部の高さが同一であることを特徴とする請求項7に記載の表面温度測定装置。
【請求項9】
前記複数の表面温度測定用熱電対が格子点状又は同心円状に配設されていることを特徴とする請求項8に記載の表面温度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面温度測定用熱電対及び表面温度測定装置に係り、特に、半導体ウェハ等の広い平面部の表面温度分布を非破壊で測定する際に用いるのに好適な、表面温度測定用熱電対、及び、該表面温度測定用熱電対を用いた表面温度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハの表面温度を測定する場合、従来は、例えば赤外線放射温度計を用いて、半導体ウェハの表面から発する赤外線を利用して計測する方式(特許文献1乃至3参照)か、あるいは、予め半導体ウェハに熱電対を接着剤等で固定したり埋め込む方式(特許文献4乃至7参照)が殆どであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−159246号公報
【特許文献2】特開2007−134601号公報
【特許文献3】特開2007−180286号公報
【特許文献4】特開平5−63054号公報
【特許文献5】実開平6−69785号公報
【特許文献6】特開2000−31231号公報
【特許文献7】特開2011−107104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者のように赤外線を利用する場合には、半導体ウェハ表面の放射率を正確に知る必要があり、放射率が不明等の場合、半導体ウェハ表面を予め黒体化するため、塗料等でコーティングする必要があった。
【0005】
また、後者で熱電対を蝋材やセラミックス系接着剤や銀ペースト等の接着剤で接合する等の場合、熱電対を接合する際に接着剤等を使用すれば、半導体ウェハ自体の温度特性(熱容量や熱伝導性)が局部的に変化して、正確に測定ができない。更に、穴を掘る場合には、半導体ウェハを破損するおそれがある。また、テープ等で貼り付ける場合には、テープ接合糊からガスが出てテープ等が剥がれる等の問題点を有していた。
【0006】
更に、前者で半導体ウェハの表面を赤外線吸収率を高めるためにコーティングした場合には、半導体ウェハを加工する必要があった。
【0007】
本発明は、前記従来の問題点を解消するべくなされたもので、半導体ウェハ等の広い平面部の表面温度を、測定対象を加工することなく、簡単且つ正確に測定できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、感温用先端部を有する先端部が、可撓性を有する薄板状又は細線状とされると共に、所定角度だけ屈曲されていることを特徴とする表面温度測定用熱電対により、前記課題を解決したものである。
【0009】
ここで、前記先端部の薄板状部の厚み又は細線状部の直径を、10μm以上100μm以下とすることができる。
【0010】
また、前記先端部の屈曲の角度を、10°以上90°未満とすることができる。
【0011】
また、前記先端部をコーティングして、測定対象を一層、傷つけないようにすることができる。
【0012】
また、前記先端部以外の基部を、パイプに挿入し、固定して、表面温度測定用熱電対の固定・支持を容易とすることができる。
【0013】
また、前記パイプの下部に、前記感温用先端部を保護するための位置ストッパーを設けることができる。
【0014】
本発明は、又、前記の表面温度測定用熱電対が、複数並設されていることを特徴とする表面温度測定装置により、前記課題を解決したものである。
【0015】
ここで、前記複数の表面温度測定用熱電対の感温用先端部の高さをほぼ同一とすることができる。
【0016】
また、前記複数の表面温度測定用熱電対を格子点状又は同心円状等に配設することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、表面温度測定用熱電対の先端部を測定対象表面に接触させるだけで、半導体ウェハ等の広い平面部の表面温度を、測定対象を加工することなく、簡単且つ正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態の表面温度測定用熱電対の先端部を示す斜視図
【
図2】同じく先端部を屈曲させる前の状態を示す(A)正面図及び(B)側面図
【
図3】同じく先端部を屈曲させた後の状態を示す側面図
【
図4】第1実施形態を半導体ウェハの測定に適用した本発明の第2実施形態の表面温度測定装置を模式的に示す斜視図
【
図5】第2実施形態の熱電対固定部を拡大して示す(A)斜視図及び(B)断面図
【
図7】第2実施形態で半導体ウェハの表面温度分布を測定している状態を模式的に示す側面図
【
図8】本発明の第3実施形態の表面温度測定用熱電対の先端部を示す斜視図
【
図9】同じく先端部を屈曲させる前の状態を示す(A)正面図及び(B)側面図
【
図10】第1実施形態を半導体ウェハの測定に適用した本発明の第4実施形態の表面温度測定装置を模式的に示す(A)平面図及び(B)側面図
【
図11】本発明の第5実施形態における表面温度測定用熱電対の支持状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を好適に実施するための形態(以下、実施形態という)につき詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。また、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。
【0020】
本発明の第1実施形態に係る表面温度測定用熱電対(以下、単に熱電対と称する)10は、
図1(先端部屈曲加工後の状態を示す斜視図)及び
図2(先端部屈曲加工前の状態を示す(A)正面図及び(B)側面図)に示す如く、例えば直径100〜300μm程度、通常200μm程度の熱電対線11の感温用先端部14を有する先端部12が、例えばプレス加工により、可撓性を有する薄板状部16、18に加工され、
図3に示す如く、所定角度θだけ屈曲されて構成されている。
【0021】
前記熱電対線11としては、例えばK型熱電対の場合、クロメルとアルメルを用いることができる。なお、熱電対の種類や熱電対線の材料は、これらに限定されず、測定対象に応じて、所望の熱電対材料を用いることができる。
【0022】
前記薄板状部16、18の厚みtは10μm以上100μm以下とされている。ここで、厚みtを10μm以上とするのは、薄すぎると測定時に強度不足で折れてしまうためである。一方、厚みtを100μm以下とするのは、厚すぎると温度測定の応答性が悪くなると共に、ばね性が低下して、半導体ウェハ等の測定対象を傷つけるおそれが出てくるためである。
【0023】
前記屈曲の角度θは、70°〜80°程度が望ましく、10°以上90°未満とすることができる。この屈曲部20により、熱電対10を下げた場合、先端部12が測定対象に接触すると容易に変形し、高さ方向の誤差を吸収することができる。
【0024】
前記熱電対10の先端に、例えばポリミイド等の極薄い(例えば厚さ数μm程度)コーティング23を施して、接触時に測定対象を一層、傷つけないようにすることもできる。
【0025】
前記熱電対10の先端部12以外の基部は、例えば樹脂等の絶縁体製又はステンレス製のパイプ22に挿入され、固定されている。これにより熱電対10の固定・支持が容易となり、半導体ウェハ等のプロセス表面温度を正確に測温できる。また、ある程度の強度も与えることができる。更に、パイプ22の上下方向の位置調整も容易にできるので、各種厚さの半導体ウェハ温度測定に対応できる。なお、固定手段はパイプに限定されず、例えばステンレス製の棒等により固定することもできる。
【0026】
また、先端部12が可撓性を有する薄板状とされているため、測定対象との接触が面接触になりやすく、接触面積が大きく、従って流入熱量が多く、逆に薄板状に加工していない熱電対線11の延長である基部は棒状で表面積が小さいので、放散熱量が少なく、正確に測温できる。
【0027】
前記第1実施形態を格子状に配置して半導体ウェハ8の表面温度の測定に適用するようにした、本発明に係る第2実施形態の表面温度測定装置の構成を
図4(全体の斜視図)及び
図5(A)(斜視図)及び(B)(断面図)に示す。
【0028】
前記熱電対10は、貫通固定用穴24Aが、例えば格子点状に配設された円盤状ホルダ24等に、
図5に示す如く、パイプ22ごと挿し込まれ、円盤状ホルダ24に固定されたカラー24Bにねじ24Cで固定されている。この際、感温用先端部14が同一の高さになるようにされている。なお、パイプ22の固定方法はこれに限定されず、
図6に例示するように、接着剤25で固定してもよい。
【0029】
そして、円盤状ホルダ24を
図4中の矢印Bに示す如く垂直方向に上下させることで、必要なときに熱電対10の感温用先端部14を、
図7に示す如く、半導体ウェハ8の表面に接触させる。接触を確実且つ十分とするため、やや熱電対10の感温用先端部14が撓むように押し付ける。熱電対10の先端部12はばね性があるので、接触し、更に少し押し込むことで十分な熱接触が得られる。また万一、他の熱電対と多少の高低差があっても、熱電対10の先端部12に可撓性があるため、全ての熱電対10の感温用先端部14が同時に半導体ウェハ8等に密着でき、半導体ウェハ8等の広い平面部の温度分布を正確に測温できる。ここで、
図7の左側に例示するように、早期に接触し、深く屈曲した熱電対10は接触角αがやや小さくなる。一方、標準よりやや上部に位置したため、やや遅れて接触した熱電対10は、接触角α’がやや大きくなる。
【0030】
本発明の熱電対10は接触面積、即ち熱流入面積が大きいが熱容量は小さいため、温度測定の時定数が小さく、応答性が良い。そのため、半導体ウェハ8から十分な熱が移動しやすく、すぐに熱電対10の温度が半導体ウェハ8の温度とほぼ同じとなる。更に、多くの熱電対を容易にエリアアレイ状にセットできる。従って、半導体ウェハ8に熱電対10を接着剤等で接合することなく、迅速且つ正確に測温できる。
【0031】
次に、本発明に係る第3実施形態の熱電対を
図8及び
図9に示す。
【0032】
本実施形態の熱電対30は、第1実施形態の熱電対10の薄板状部16、18を、例えば直径φが13〜50μm程度、望ましくは25μm程度の細線状部36、38とし、例えば金属接合40により、例えば直径100〜300μm程度、通常200μm程度の熱電対線11と接合したものである。
【0033】
前記細線状部36、38の直径φは、第1実施形態と同様に10μm以上100μm以下とすることができる。また、前記屈曲の角度θも、10°以上90°未満とすることができる。
【0034】
次に、本発明に係る第4実施形態の表面温度測定装置で用いる円盤状ホルダ24を模式的に
図10に示す。
【0035】
本実施形態は、熱電対10の貫通固定用穴24Aを格子点状ではなく同心円状に形成し、熱電対10が同心円状に配置されるようにした点が、第2実施形態と異なる。
【0036】
なお、熱電対10の配置は、第2実施形態の格子点状や第4実施形態の同心円状に限定されず、放射線状等、測定対象や測温箇所に応じて任意に配置できる。
【0037】
また、前記実施形態においては、格子点状に配設した熱電対10が半導体ウェハ8の表面温度の温度分布測定に用いられていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、例えば熱電対10を単独で用いることもできる。
【0038】
また、表面温度測定装置のホルダ24の形状も円盤状に限定されず、例えば、各種形状の測定対象物体に複数の最適形状ホルダを多方面から接近させ、ほぼ全表面の温度を一斉に測定することができる。
【0039】
また、
図11に示す本発明の第5実施形態の如く、パイプ22の下部に1つ以上の位置ストッパー26を接着剤27で固定し、該位置ストッパー26が測定対象に触れると、それ以上は熱電対10の先端部12が撓まず(即ち破壊されることなく)、正常に測温できるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0040】
10、30…熱電対
11…熱電対線
12…先端部
14…感温用先端部
16、18…薄板状部
20…屈曲部
22…パイプ
23…コーティング
24…円盤状ホルダ
24A…貫通固定用穴
25、27…接着剤
26…位置ストッパー
36、38…細線状部