特許第5756988号(P5756988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5756988ヒータ温度測定用熱電対、ヒータ温度測定装置及びヒータ先端部の温度測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756988
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】ヒータ温度測定用熱電対、ヒータ温度測定装置及びヒータ先端部の温度測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/02 20060101AFI20150709BHJP
   G01K 1/14 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   G01K7/02 A
   G01K1/14 L
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-193725(P2013-193725)
(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2015-59834(P2015-59834A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2014年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】309013026
【氏名又は名称】株式会社アンベエスエムティ
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博
(72)【発明者】
【氏名】安部 可伸
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−54555(JP,A)
【文献】 特開2003−240644(JP,A)
【文献】 特開2003−344178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 7/00− 7/42
G01K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差しないように配置された、異なる金属で構成される2本の熱電対線と、
該2本の熱電対線の間に掛け渡されて接合された、前記2本の熱電対線の一方と同じ金属で構成される第3の熱電対線を備え、
前記2本の熱電対線の他方と第3の熱電対線の接合箇所を感温部としたことを特徴とするヒータ温度測定用熱電対。
【請求項2】
前記熱電対線が薄板状又は細線状であることを特徴とする請求項1に記載のヒータ温度測定用熱電対。
【請求項3】
前記熱電対線の厚み又は外径が10μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項2に記載のヒータ温度測定用熱電対。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のヒータ温度測定用熱電対が複数並設されていることを特徴とするヒータ温度測定装置。
【請求項5】
前記熱電対の2本の熱電対線が載置される固定板と、
少なくとも、前記2本の熱電対線と第3の熱電対線の接合箇所の一方で構成される感温部を空けて前記2本の熱電対線を前記固定板に固定する固定板と、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載のヒータ温度測定装置。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれかに記載のヒータ温度測定用熱電対が両側面に複数並設された中央の固定板と、
前記熱電対の感温部を空けて該熱電対を前記中央の固定板の両側にそれぞれ固定するための両側の固定板と、
を備えたことを特徴とするヒータ温度測定装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のヒータ温度測定装置をヒータの先端部で挟んで、ヒータ先端部の温度分布を測定することを特徴とするヒータ先端部の温度測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータ温度測定用熱電対、ヒータ温度測定装置及びヒータ先端部の温度測定方法に係り、特に、パルスヒータ等、細長い加熱エリアを持つヒータの温度測定に用いるのに好適な、ヒータ温度測定用熱電対、該熱電対を用いたヒータ温度測定装置、及び、該ヒータ温度測定装置を用いたヒータ先端部の温度測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビニールなどの接着封止やはんだ付けに際して、図1に例示する如く、接合物(図ではビニールシート)8、8’を押さえて圧力を加えながら、耐熱電線13、13’からヒータチップ(加熱刃とも称する)12にパルス的に電気を流して抵抗発熱で片面(図1では上面)から加熱して接合するパルスヒータ10が知られている。なお、パルスヒータ10の接合対象は、図1に示したビニールシート8、8’に限定されず、基板のランド部にソルダーペーストを介して置かれたチップ部品のはんだ付け等にも用いられる。又、片面加熱の他、上下にヒータチップ12を設けて上下両面から加熱する両面加熱もある。
【0003】
このようなパルスヒータ10の温度を測定する方法として、図1に示した如く、パルスヒータ10のC字状の発熱部11に熱電対14をロウ付けしたり(以下、従来法1)、あるいは、出願人が特許文献1で提案したように、ワッシャ型の熱電対16をねじ17で発熱部11のねじ孔11aに留めたりすること(以下、従来法2)が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−54555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来法1では、短時間のパルス加熱を繰り返すことによる温度サイクルの影響により熱電対14のロウ付け部15が剥がれてしまう。又、従来法1、2のいずれも、発熱部11に熱電対14又は16を取付け加工する必要があるだけでなく、発熱部11の温度を測定するのみで、ヒータチップ12の接合面の温度を正確に測定することはできない等の問題点を有していた。
【0006】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、パルスヒータのチップ等のヒータ先端部の温度を、ヒータに加工を加えることなく、ヒータを熱電対の感温部に当てるだけで、簡単且つ正確に測定可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、互いに交差しないように配置された、異なる金属で構成される2本の熱電対線と、該2本の熱電対線の間に掛け渡されて接合された、前記2本の熱電対線の一方と同じ金属で構成される第3の熱電対線を備え、前記2本の熱電対線の他方と第3の熱電対線の接合箇所を感温部としたことを特徴とするヒータ温度測定用熱電対により前記課題を解決したものである。
【0008】
ここで、前記熱電対線を薄板状又は細線状とすることができる。
【0009】
また、前記熱電対線の厚み又は外径を10μm以上100μm以下とすることができる。
【0010】
本発明は、又、前記ヒータ温度測定用熱電対が複数並設されていることを特徴とするヒータ温度測定装置を提供するものである。
【0011】
ここで、前記熱電対の2本の熱電対線が載置される固定板と、少なくとも、前記2本の熱電対線と第3の熱電対線の接合箇所の一方で構成される感温部を空けて前記2本の熱電対線を前記固定板に固定する固定板と、を備えることができる。
【0012】
本発明は、又、前記ヒータ温度測定用熱電対が両側面に複数並設された中央の固定板と、前記熱電対の感温部を空けて該熱電対を前記中央の固定板の両側にそれぞれ固定するための両側の固定板と、を備えたことを特徴とするヒータ温度測定装置を提供するものである。
【0013】
本発明は、又、前記ヒータ温度測定装置をヒータの先端部で挟んで、ヒータ先端部の温度分布を測定することを特徴とするヒータ先端部の温度測定方法により、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ヒータに加工を加えることなく、ヒータを熱電対の感温部に当てるだけで、ヒータ先端部の温度を簡単且つ正確に測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】パルスヒータにおける従来の温度測定方法を示す斜視図
図2】本発明に係る第1実施形態のヒータ温度測定用熱電対の構成を示す(A)平面図、(B)平面図のB−B線に沿う縦断面図及び(C)同じくC−C線に沿う横断面図
図3】第1実施形態のヒータ温度測定用熱電対を用いて構成した本発明に係る第2実施形態のヒータ温度測定装置を示す(A)正面図及び(B)分解した状態を示す、正面図(A)のB−B線に沿う横断面図
図4】第2実施形態で測温している状態の断面を示す斜視図
図5】本発明に係る第3実施形態のヒータ温度測定装置で測温している状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を好適に実施するための形態(以下、実施形態という)につき、詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。又、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、所謂均等の範囲のものが含まれる。更に、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組合わせても良いし、適宜選択して用いても良い。
【0017】
本発明に係る第1実施形態のヒータ温度測定用熱電対(以下、単に熱電対と称する)20は、図2(A)(平面図)、(B)(平面図のB−B線に沿う縦断面図)及び(C)(同じくC−C線に沿う横断面図)に示す如く、互いにほぼ平行に配置された、異なる金属(例えばK型熱電対の場合にはクロメルとアルメル)で構成される、例えば厚さ10〜100μm、望ましくは40μm程度の熱容量の少ない2本の極薄の熱電対線22、24と、該2本の熱電対線22、24の間に、これらとほぼ直交するように掛け渡され、電気接合された後、全体の厚さが一定となるように前記2本の熱電対線22、24とプレス加工等で一体化された、前記2本の熱電対線22、24の一方と同じ金属(例えばクロメル又はアルメル)で構成される第3の熱電対線26とを備えている。
【0018】
ここで、熱電対線22と26が同じ場合は、異種の熱電対線24と26の接合箇所25が感温部となり、熱電対線24と26が同じ場合は、異種の熱電対線22と26の接合箇所23が感温部となる。
【0019】
従って、前記感温部23又は25に、ヒータチップ12等の先端を当てるだけで、測温が可能である。
【0020】
パルスヒータ10が上から下がるようにされたヒータダウンの場合に適した、本発明に係る第2実施形態のヒータ温度測定装置を、図3(A)(正面図)及び(B)分解した状態を示す、正面図(A)のB−B線に沿う横断面図に示す。
【0021】
本実施形態は、例えばステンレス板等で構成される固定板30の上に、柔軟性・耐熱性・低熱膨張率のシリコンゴム板等で構成される絶縁板32を敷き、その上に複数(図では5セット)の熱電対20の先端部をセットし、更に前記第3の熱電対線26と2本の熱電対線22又は24との接合箇所23又は25で構成される感温部を空けて、前記2本の熱電対線22、24を、例えば絶縁板32と同様の絶縁板36、及び、固定板30と同様の固定板34により、ビス38などを用いて固定することにより、一体構造に固定されている。
【0022】
このように、中央部分に感温部(23又は25)があり、熱電対線22、24の両端を絶縁板32、36を介して、固定板30、34で挟んでいることから、感温部以外が固定されており、感温部が動くことがない。又、熱電対線22、24の上下は、いずれも断熱機能、保持機能、寸法吸収機能に秀れるシリコンゴム板等であり、常に正確にヒータチップ12等の温度を計測できる。
【0023】
測定に際しては、作業台などの上に、前記ヒータ温度測定装置を、ヒータチップ12の先端部が丁度、前記感温部(23又は25)に触るように固定する。図4に示す如く、ヒータチップ12の先端部を下げて感温部(23又は25)に接触させることで、ヒータチップ12の温度分布を迅速且つ正確に非破壊で測定できる。従って、毎日室内温度が異なる作業場であっても、速やかに正確な温度を計測でき、温度調整が容易であり、その手間がかからない。
【0024】
なお、熱電対線22、24の配置は、平行に限定されず、交差しなければ平行でなくても良い。又、熱電対線22、24と熱電対線26の交差角度も、直角に限定されない。
【0025】
次に、上下からパルスヒータが接近するようにされた場合に適した、本発明に係る第3実施形態のヒータ温度測定装置を説明する。
【0026】
この第3実施形態は、図5に示す如く、固定板30の上下に第3の熱電対線26を含む感温部(23又は25)を配置したものである。
【0027】
本実施形態によれば、ヒータチップ12が上下にあるタイプのパルスヒータのヒータチップ12の温度分布を同時に測定することが可能である。
【0028】
なお、前記実施形態においては、熱電対20としてK型熱電対が用いられ、熱電対線22、24としてクロメルとアルメルが用いられていたが、熱電対の種類や熱電対線の材質は、これらに限定されない。
【0029】
又、前記実施形態においては、熱電対20が5セット配設されていたが、熱電対20の数はこれに限定されず、1乃至4セットあるいは6セット以上であっても構わない。
【0030】
測定対象もパルスヒータ10のヒータチップ12に限定されない。
【符号の説明】
【0031】
10…パルスヒータ
11…発熱部
12…ヒータチップ
20…熱電対
22、24、26…熱電対線
23、25…熱電対線接合箇所(一方が感温部)
30、34…固定板
32、36…絶縁板
38…ビス
図1
図2
図3
図4
図5