特許第5756989号(P5756989)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5756989
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】符号化装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/60 20140101AFI20150709BHJP
   G10L 19/008 20130101ALI20150709BHJP
   G10L 19/00 20130101ALI20150709BHJP
   H03M 7/40 20060101ALI20150709BHJP
   H04N 1/41 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   H04N19/60
   G10L19/008
   G10L19/00 250
   H03M7/40
   H04N1/41 B
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-262906(P2013-262906)
(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公開番号】特開2015-118324(P2015-118324A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2014年6月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】398034168
【氏名又は名称】株式会社アクセル
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】星月 優佑
【審査官】 山▲崎▼ 雄介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−189089(JP,A)
【文献】 特開昭62−247626(JP,A)
【文献】 特開平04−189090(JP,A)
【文献】 特開平04−189091(JP,A)
【文献】 特開平06−350854(JP,A)
【文献】 特開平07−111633(JP,A)
【文献】 特開2001−306099(JP,A)
【文献】 特開2000−078412(JP,A)
【文献】 特開2004−258059(JP,A)
【文献】 特開2010−041624(JP,A)
【文献】 特開2013−013085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00−19/98
H03M 3/00−11/00
H04N 1/41−1/419
G10L 13/00−13/10
G10L 19/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の値と第二の値とを有する変換前データを、前記第一の値及び前記第二の値の和としての和データと、前記第一の値及び前記第二の値の差としての差データとからなる形式変換データに変換するデータ形式変換手段を備えた符号化装置であって、
前記形式変換データを構成する前記和データの値を元に、前記形式変換データの値が、分割の対象とされる形式変換データが存在する値の範囲としての所定の所属領域にあるかどうかを判定する所属領域判定手段と、
該所属領域判定手段によって前記所定の所属領域にあると判定された前記形式変換データについて、該形式変換データの前記所定の所属領域における位置に応じて、当該形式変換データの分割方法を決定するデータ分割方式決定手段と、
該データ分割方式決定手段の決定に基づいて、前記形式変換データを分割して分割データを生成するデータ分割手段と、
形式変換データを圧縮する処理を行う圧縮手段とを備え、
前記データ分割手段は、絶対値が所定の値よりも大きいデータの下位の所定のビットを分割して、分割された残りの形式変換データの絶対値が、所定の値以下の値となるようにし、
前記圧縮手段は、前記データ分割手段によって下位の所定のビットが分割された残りの形式変換データと、分割されない形式変換データとをまとめて圧縮することを特徴とする符号化装置。
【請求項2】
前記データ分割手段は、前記差データの下位ビットを分離して、該分離した前記下位ビットを他のビットの処理とは別の処理の対象とする手段であることを特徴とする請求項1に記載の符号化装置。
【請求項3】
前記データ分割手段は、前記差データの下位ビットを分離して、前記下位ビットが分離された後の前記差データの値域は、分離前の前記差データに比べて、より平滑化された値域をとることを特徴とする請求項1又は2に記載の符号化装置。
【請求項4】
前記変換前データは、可逆圧縮の対象となる画像データ又は音声データであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の符号化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声データ、画像データをはじめとする各種データの圧縮効率を向上する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
各種データのデータ量を圧縮する技術において、アダマール変換がある。これは直交変換の一種であり、データの可逆圧縮において用いられる(例えば、特許文献1参照)。このアダマール変換を応用したものとして、2つの値からなる変換前データ(例えば、右チャンネルの値、左チャンネルの値からなる音声データ)において、一方の値と他方の値との和である和データの値と、一方の値と他方の値の差である差データの値とに変換している。この方法は、特に元の2つの値に相関性が高い場合に、ハフマン符号化等のエントロピ符号化を用いた圧縮処理する場合に好適であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−257806公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、エントロピ符号は、対象となるデータ列の頻度分布に対して最適化されるため、分布頻度が異なるデータは混在しないことが望ましいが、上記特許文献1に記載の発明においては、変換結果は広い範囲に分布するデータと、狭い範囲に分布するデータとが混在する場合が多い。そして、この、混在したデータについて圧縮処理を行った場合、良好な圧縮効率を得にくくなるという問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、変換データを構成する和データ又は差データを元に、所定の所属領域にあるかどうかを判定し、その判定結果に応じて当該変換データの一部を分割処理するようにして、高い圧縮効率を得ることができる符号化装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、第一の値と第二の値とを有する変換前データを、前記第一の値及び前記第二の値の和としての和データと、前記第一の値及び前記第二の値の差としての差データとからなる形式変換データに変換するデータ形式変換手段を備えた符号化装置であって、前記形式変換データを構成する前記和データの値を元に、前記形式変換データの値が、分割の対象とされる形式変換データが存在する値の範囲としての所定の所属領域にあるかどうかを判定する所属領域判定手段と、該所属領域判定手段によって前記所定の所属領域にあると判定された前記形式変換データについて、該形式変換データの前記所定の所属領域における位置に応じて、当該形式変換データの分割方法を決定するデータ分割方式決定手段と、該データ分割方式決定手段の決定に基づいて、前記形式変換データを分割して分割データを生成するデータ分割手段と、形式変換データを圧縮する処理を行う圧縮手段とを備え、前記データ分割手段は、絶対値が所定の値よりも大きいデータの下位の所定のビットを分割して、分割された残りの形式変換データの絶対値が、所定の値以下の値となるようにし、前記圧縮手段は、前記データ分割手段によって下位の所定のビットが分割された残りの形式変換データと、分割されない形式変換データとをまとめて圧縮することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記データ分割手段は、前記差データの下位ビットを分離して、該分離した前記下位ビットを他のビットの処理とは別の処理の対象とする手段であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成に加え、前記データ分割手段は、前記差データの下位ビットを分離して、前記下位ビットが分離された後の前記差データの値域は、分離前の前記差データに比べて、より平滑化された値域をとることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れか一つに記載の構成に加え、前記変換前データは、可逆圧縮の対象となる画像データ又は音声データであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、所定の所属領域内かどうかの判定により、その領域外のデータを分割するので、そのため所属領域内の差データの値域を所望の値になるようにできるので、その所属領域内では高い圧縮効率を得ることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、差データの下位ビットだけを別処理するので、別処理することによる、圧縮効率等の各種処理効率は問題ないレベルとなる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、下位ビットを別処理することで、より平滑性の高い値域でアダマール変換を用いた圧縮処理等の各種処理を行うことができるので、圧縮効率がよい。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、第一の値と第二の値として相関性の高いデータを得易い画像データや音声データについて、データの値の所属領域の如何にかかわらず、高い圧縮効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の実施の形態に係る符号化装置の全体構成を示す機能ブロック図である。
図2】同上符号化装置の(a)分割前の形式変換データの概念図、(b)分割後の形式変換データ、及び符号化時のデータのまとめ方を示す概念図である。
図3】同上符号化装置における、分割前の所属領域と分割後の所属領域とを模式的に示す図である。
図4】同上符号化装置の(a)分割前の数値大領域の形式変換データの概念図、(b)1回目の分割後の数値大領域の形式変換データの概念図、(c)2回目の分割後の中間データ、数値小領域の形式変換データ、及び符号化時のデータのまとめ方を示す概念図である。
図5】同上符号化装置の圧縮処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[基本構成]
図1乃至図5にこの発明の実施の形態を示す。
【0016】
図1は、この実施の形態に係る符号化装置の全体構成を示す機能ブロック図である。
【0017】
同図に示す符号化装置1は、例えば画像データや音声データに代表される各種データのデータ量の符号化(圧縮)や復号(復元)を行うための装置である。
【0018】
図1に示す符号化装置1は、少なくとも1のCPU(図示せず)を備え、このCPU(図示せず)における命令やデータの処理によって符号化装置1の動作が制御される。さらに、符号化装置1は、RAM、ROM、EEPROM、磁気ディスク(いずれも図示せず)等を備えている。なお、符号化装置1は、CPU(図示せず)に替えてシーケンス制御のための各種構成を備え、当該構成の動作によって動作が制御されるものであってもよい。
【0019】
符号化装置1は、「データ形式変換手段」としてのデータ形式変換部2、「データ分割手段」としてのデータ分割・結合部3、「所属領域判定手段」としての所属領域判定部4、「データ分割方式決定手段」としてのデータ分割方式決定部5、圧縮・復号部6とを備えている。
【0020】
データ形式変換部2、データ分割・結合部3、所属領域判定部4、データ分割方式決定部5、圧縮・復号部6は、ハードウェアとして構成されるものでもよいし、CPU(図示せず)における各種プログラムの実行によって実現される機能手段であってもよい。
【0021】
データ形式変換部2は、データ形式の変換を行う。具体的には、図1に示す、例えば、符号なし8ビットからなる変換前データから形式変換データへの変換や、形式変換データから変換前データへの逆変換を行う。
【0022】
データ分割・結合部3は、データ分割方式決定部5の決定に基づいて、所属領域のうち、分割の対象となる形式変換データが存在しうる範囲としての数値大領域に存在する形式変換データを分割し、分割データを生成する。
【0023】
前記形式変換データは、アダマール変換にて処理する和データ及び差データからなり、この和データ及び差データの単位は、逐次所属領域判定部4及びデータ分割方式決定部5に取り込まれ、当該データの所属領域及び予め決めた分割処理が行われる。この処理としては、例えば下位の1ビットをアダマール変換を用いた圧縮処理をする他のビットから分離する。そして、この分割処理において分離した下位ビットは、アダマール変換を用いた圧縮処理をしないで別処理を行う。 所属領域判定部4は、形式変換データを構成する和データの所属領域を検出する。この「所属領域」については後述する。
【0024】
データ分割方式決定部5は、所属領域判定部4によって検出された所属領域に存在する形式変換データのうち、分割によって元の形式変換データよりもデータ量の小さい分割データを形成する対象、及び、分割データを形成する際の分割の態様を決定する。この実施の形態においては、和データが特定の値域に存在する形式変換データ11の差データのうち、下位のビットデータを分割して、上位のデータが所定のビット数となるように分割する旨の決定を行う。
【0025】
圧縮・復号部6は、分割データのうち少なくとも一部を、所属領域のうち、分割の対象となる形式変換データが存在しない範囲としての数値小領域に存在する形式変換データと共に、符号化処理(圧縮処理)を行う。圧縮・復号部6は、可逆圧縮にて符号化処理を行う。
【0026】
[動作原理]
図2乃至図4は、この実施の形態における符号化装置1の所属領域とその検出の原理を示す概念図である。
【0027】
例えば、変換前データ10が音声データであり、「第一の値」としての左チャンネルの(特定時点の)信号値(以下「左信号値」と称する。)のデータとしての左データ、「第二の値」としての右チャンネルの(同じ特定時点の)信号値(以下「右信号値」と称する。)のデータとしての右データとを有していると考える。
【0028】
ここで、例えば変換前データ10の左データと右データとが、それぞれ、8ビットの符号なし整数のデータ(0〜255)として構成されていると考える。この場合、和データの値域は[0,510]である。なお、[α,β]という表記は、α:値域の取り得る最小値の整数、β:値域の取り得る最大値の整数、であり、α以上β以下の意味に等しい(本明細書において同じ)。
【0029】
そして、例えば和データの値が以下(例1)〜(例9)の場合、差データの値の取り得る範囲はそれぞれ以下の通りである。
(例1)和データの値が0の場合:差データの値域は[0,0]
(例2)和データの値が64の場合:差データの値域は[−64,64]
(例3)和データの値が128の場合:差データの値域は[−128,128]
(例4)和データの値が254の場合:差データの値域は[−254,254]
(例5)和データの値が255の場合:差データの値域は[−255,255]
(例6)和データの値が256の場合:差データの値域は[−254,254]
(例7)和データの値が382の場合:差データの値域は[−128,128]
(例8)和データの値が446の場合:差データの値域は[−64,64]
(例9)和データの値が510の場合:差データの値域は[0,0]
つまり、和データの値が0又は510の場合(両端の値)は差データの値域は最小で、和データの値が255の場合(つまり中央値)は差データの値域は最大で、両端の値から中央値にかけて、差データの値域は漸増する。
【0030】
これを一般化すると、変換前データ10の取り得る最小値をL、取り得る最大値をMとし、和データの値をsとした場合、差データの値の取り得る値は、下記式(1)において、式(2)に示すとおりとなる。
r=min(s−2L,2M−s)・・・(1)
[−r,r]・・・(2)
ここで、ハフマン符号化等のエントロピ圧縮による圧縮処理を行う場合、頻度分布の異なる数値列が混在すると、圧縮効率が低下する性質がある。そのため、圧縮処理における良好な圧縮効率を得るために、和データの値に応じて差データの値(値域)を調整することが考えられる。
【0031】
具体的には、以下[第1の具体例][第2の具体例]で示す処理態様によって、差データの数値の出現頻度分布を揃える処理を行う。ここで、「出現頻度分布」とは、特定の領域における、複数の値を取り得る特定の出現対象物の出現の頻度及び出現の分布のことをいい、この実施の形態においては、形式変換データや、形式変換データを構成する和データや差データ等の、値域内での出現の頻度及び出現の分布のことをいう。以下[第1の具体例][第2の具体例]においては、より狭い(差データや分割データの)値域に、より値が近いデータを多く分布させるための処理の具体例を示す。
【0032】
[第1の具体例]
図2乃び図3に、上述の原理を用いた第1の具体例を示す。
【0033】
第1の具体例においては、所属領域判定部4が、所属領域40aの和データの値域としての、形式変換データ11の和データの値域が[0,510]であると検出したことを前提として、データ分割方式決定部5が、この値域内における、和データが[128,382]の値域に存在する形式変換データ11について、差データの分割対象とする決定をした場合を考える。
【0034】
ここで、所属領域40aにおいて、形式変換データ11の和データが[128,382]の値域内のいずれかの値である場合、上記(例3)〜(例7)に示す通り、差データの値域は[−128,128]よりも広い範囲に存在する可能性がある。即ち、この場合の差データは、8ビットの符号つき整数(符号が最上位1ビット、数値が残り8ビットの、合計9ビットで示される整数)の値に収まることになる。
【0035】
一方、所属領域40aにおいて、和データが[0,127]もしくは[383,510]のいずれかの値である場合、上記(例1)〜(例3)、(例7)〜(例9)に示す通り、差データの値域は[−128,128]よりも狭い範囲に限定される。この場合の差データは、8ビットの符号付き整数の形式変換データ11においては、符号ビットの直後の最上位1ビットは必ず0になり、下位7ビットの数値が変化することによって示される。
【0036】
しかして、第1の実施例では、所属領域40aにおいて、和データが例えば所定の値域として[128,382]を想定した場合を例示している。すなわち、その際の形式変換データ11の差データの値域は、存在する数値の絶対値が大きい領域に該当し、和データの値域が[0,127]及び[383,510]における差データの値域は、存在する数値の絶対値が小さい領域である数値小領域42に該当する。そこで、データ分割方式決定部5は、和データの値を基準に、形式変換データ11の差データの分割の如何を決定する。具体的には、データ分割方式決定部5は、和データの値域が[128,382]である領域に存在する形式変換データ11の差データを分割の対象とする決定をする。一方、データ分割方式決定部5は、和データの値域が[0,127]及び[383,510]である、数値小領域42に存在する形式変換データ11の差データは分割の対象としない決定をする。
【0037】
データ分割・結合部3は、データ分割方式決定部5の決定に基づいて形式変換データ11の分割を行う。
【0038】
図2は、この実施の形態の、(a)分割前の形式変換データの概念図、(b)分割後の形式変換データ、及び符号化時のデータのまとめ方を示す概念図である。なお、同図において、形式変換データ11を構成する和データと差データとのうち、和データは図示を省略してある。
【0039】
データ分割・結合部3は、図2の(a)に示す、和データの値域が[128,382]である領域に存在する形式変換データ11において、符号付きの8ビットの整数(符号が最上位1ビット、数値が残り8ビットの、合計9ビットで示される整数)の値である差データ51を、図2の(b)に示す、上位8ビット(符号1ビット+数値7ビット)のデータである第一分割データ52と、分割前の差データ51のビット数から第一分割データ52を分離した残りである、下位1ビットのデータである第二分割データ53とに分割する。
【0040】
この、第一分割データ52は、形式変換データ11と同じデータ長の、符号付き7ビットの数値のデータとなる。そのため、第一分割データ52は、形式変換データ11における差データと値域が同じになる。そこで、圧縮・復号部6においては、形式変換データ11と第一分割データ52とを、まとめて符号化処理即ちデータ圧縮処理を行う。第一分割データ52と、数値小領域42に存在する形式変換データ11の差データとは出現頻度が近似しているので(図2の(b)参照)、これらを高い圧縮効率で圧縮することができる。なお、第二分割データ53は、形式変換データ11や第一分割データ52とは別途、圧縮・復号部6において符号化処理を行う。
【0041】
図3は、この実施の形態の符号化装置1における、分割前の所属領域と分割後の所属領域とを模式的に示す図である。同図は、所属領域40aと、所属領域40aに存在する形式変換データ11の差データ51を第一分割データ52と第二分割データ53とに分割した結果形成される、分割後所属領域40a1との関係を、模式的に示している。
【0042】
図3に示す通り、所属領域40aの和データ(図3の縦軸方向)が[0,127]及び[383,510]のいずれかの値である場合、差データ51(図3の縦軸方向)の値域42aは[−127,127]となる。また、所属領域40aの和データが[128,382]のいずれかの値である場合、差データ51の値域42bは[−255,255]となる。
【0043】
一方、図3に示す通り、分割後所属領域40a1は、和データが[0,127]及び[383,510]のいずれかの値である場合、差データ51の値域43a及び値域43cは[−127,127]である。また、和データが[128,382]のいずれかの値である場合、差データ51及び第一分割データ52及び第二分割データ53の値域43bは[−127,127]となる。
【0044】
図3に示す通り、所属領域40aの差データ51の値域42bである[−255,255]は、符号付き8ビットで表しうる数値の範囲であるのに対し、分割後所属領域40a1の差データ51等の値域43bは[−127,127]であり符号付き7ビットで表しうる数値の範囲である。即ち、分割後所属領域40a1の差データ51等の値域43bは、所属領域40aの差データ51の値域43aよりも平滑化されて狭くなる。即ち、所属領域40aに比べ、分割後所属領域40a1の差データの出現頻度分布は揃った状態となる。
【0045】
また、図3に示す通り、所属領域40aの、和データ[0,127]及び[383,510]に対応する差データ51の値域42a及び値域42cは[−127,127]である。また、所属領域40aの、和データ[128,382]に対応する差データ51の値域42bは[−255,255]である。
【0046】
これに対し、図3に示す通り、分割後所属領域40a1の和データ[0,127]及び[383,512]に対応する差データ51の値域43a及び値域43cと、和データ[128,382]に対応する差データ51及び第一分割データ52及び第二分割データ53の値域43bは、ともに[−127,127]である。
【0047】
つまり、分割後所属領域40a1の差データ51等の値域は、所属領域40aの差データ51の値域よりも平滑化された狭いものとなり、かつ、分割後所属領域40a1の差データ51等の値の出現頻度分布は、所属領域40aの差データ51の出現頻度分布よりも近似したものとなる
[第2の具体例]
第2の具体例においては、所属領域判定部4が、所属領域40bの和データの値域として、例えば[64,446]の値域に存在する形式変換データの差データを検出した場合を第1段階として、さらに[128,382]の値域に存在する場合には、第2段階として判定し、第1段階では差データの下位1ビットを分離するものとし、第2段階のときには、差データの下位2ビットを分離するものとする例である。
【0048】
ここで、所属領域40bにおいて、形式変換データ11の和データが[64,446]の値域内のいずれかの値である場合、上記(例2)〜(例8)に示す通り、差データの値域は[−64,64]よりも広い範囲に存在する可能性がある。即ち、この場合の差データは、8ビットの符号付き整数の値に収まることになる。 一方、所属領域40bにおいて、形式変換データ11の和データが(0〜510のうちの)[0,63]及び[447,510]のいずれかの値である場合を考える。この場合、上記(例1)〜(例2)、(例8)〜(例9)に示す通り、差データの値域は[−64,64]よりも狭い範囲に限定される。 上述の通り、所属領域40bにおいて、形式変換データ11の和データが[−64,64]の値域における差データの値域は、存在する数値の大きい領域に該当し、和データの値域が[0,63]及び[447,510]に存在する形式変換データ11の差データの値域は、存在する数値の小さい領域に該当する。そこで、データ分割方式決定部5は、和データの所属領域40bを、形式変換データ11の差データを分割の対象とする決定をする。
【0049】
更に、データ分割方式決定部5は、形式変換データ11について、和データの値域が[128,382]である形式変換データ11の差データと、和データの値域が[64,127]に存在する形式変換データ11の差データ、及び、和データの値域が[383,446]に存在する形式変換データ11の差データとで、異なる態様で分割を行う決定をする。
【0050】
データ分割・結合部3は、データ分割方式決定部5の決定に基づいて形式変換データ11の分割を行う。
【0051】
図4は、この実施の形態の符号化装置1の(a)分割前の数値大領域の形式変換データの概念図、(b)1回目の分割後の形式変換データの概念図、(c)2回目の分割後の中間データ、形式変換データ、及び符号化時のデータのまとめ方を示す概念図である。
【0052】
データ分割・結合部3は、図4の(a)及び(b)に示すように、和データの値域が[64,446]に存在する形式変換データ11の差データ51について、形式変換データ11から下位1ビットのデータを分離して、7ビット分を中間データ54、1ビット分を第二分割データ55とに分割する。また、形式変換データ11の差データ51から下位1ビットのデータを分離し、上位6ビット分の第一分割データ56と、下位1ビット分の第二分割データ57とに分割する。
【0053】
次に、データ分割・結合部3は、図4の(b)及び(c)に示す通り、形式変換データ11の差データの中間データ54について、さらに下位1ビットのデータを分離する。これにより、図4の(c)に示すように、上位6ビットのデータである第一分割データ58と下位1ビットのデータである第二分割データ59とに分割する。
【0054】
この、第一分割データ56,58は、符号付き6ビットのデータとなる。そのため、第一分割データ56,58は、値域が平滑化されて、形式変換データ11における差データと値域が同じになる。そこで、圧縮・復号部6においては、図4の(b)(c)に示すように、形式変換データ11と、第一分割データ56,58とを、まとめて符号化処理即ちデータ圧縮処理を行う。第一分割データ56,58と、形式変換データ11の差データとは出現頻度が近似しているので(図4の(c)参照)、これらを高い圧縮効率で圧縮することができる。なお、図4の(b)(c)に示すように、第二分割データ57,58は、形式変換データ11や第一分割データ56とは別途、圧縮・復号部6において符号化処理を行う。
【0055】
なお、第2の具体例においては、所属領域40bを、合計3つの領域/組に分けたが、この領域/組の数を、2の指数倍(例えば合計4つ、合計8つ、等)に分けると、ディジタル処理における処理速度を高速化させることができる。
【0056】
[処理手順]
図5は、この実施の形態の符号化装置1のデータ削減処理と処理処理の手順を示すフローチャートである。以下、同図に基づいて符号化装置1の処理の内容を説明する。なお、この説明は、説明の簡単のため、上記の具体例1に基づいて説明する。
【0057】
まず、符号化装置1は、処理対象となるデータである変換前データ10について、データ形式変換部2においてデータ形式変換を行う(ステップS1)。これにより、変換前データ10のデータ形式が変換され、形式変換データ11が生成される。即ちここでは、左データ(8ビットの符号なし整数のデータ、図示せず)と右データ(8ビットの符号なし整数のデータ、図示せず)とからなる変換前データ10が、和データ(9ビットの符号なし整数のデータ、図示せず)と差データ(8ビットの符号つき整数のデータ)とからなる形式変換データ11に変換される。
【0058】
全ての変換前データ10を形式変換データ11に変換したのち、所属領域判定部4が、和データの所属領域40aの検出を行う(ステップS2)。ここでは、和データの所属領域40aが[0,510]であることを前提とするが、以降は差データのみの処理を説明する。
【0059】
ステップS3の決定においては、データ分割方式決定部5は、和データの値が[128,382]の領域に存在する形式変換データ11に関し、8ビットの符号付きデータのうち一番最後の1ビットを分割の対象として、7ビットの符号付き整数のデータと1ビットの整数のデータ(符号なしデータ)とする決定を行う。また、データ分割方式決定部5は、また、データ分割方式決定部5は、和データの値が[0,127]及び[383,510]の領域に存在する形式変換データ11は、分割の対象としない決定を行う。
【0060】
なお、データ分割方式決定部5における和データの所属領域の分割の基準は、例えば「差データの値域が[−128,128]を超える場合、7ビットの符号つき整数のデータが形成されるまで、差データを下位の位から順に1ビットずつ分割する」等のような形で設定されていてもよい。あるいは、分割の基準は、和データの所属領域ごとの、形式変換データ11の分布量を検出し、検出結果に基づいて、処理量が最小になるような分割を動的に設定するようになっていてもよい。また、これ以外のどのような態様で分割が行われてもよい。
【0061】
次に、データ分割・結合部3が、データ分割方式決定部5の決定に基づいて、形式変換データ11を分割して分割データを生成する(ステップS4)。具体的には、データを上位の7ビットの符号付き整数のデータである第一分割データ52と下位1ビットのデータ(符号なし整数のデータ)である第二分割データ53とに分割する。
【0062】
次に、圧縮・復号部6が、形式変換データ11、第一分割データ52、下位1ビットのデータである第二分割データ53の符号化処理を行う(ステップS5)。具体的には、形式変換データ11と第一分割データ52とをまとめて符号化処理し、それとは別に、第二分割データ53の符号化処理を行う。これにより、圧縮データが生成される。以上により、圧縮処理の手順が完了する。
【0063】
なお、圧縮データに基づいて変換前データ10を生成する場合は、基本的に、ステップS1〜S5とは逆の手順で処理が行われる。即ち、まず、圧縮・復号部6がデータの復号を行う。次いで、所属領域判定部4が復号されたデータの和データについて所属領域40aを検出する。次いで、データ分割方式決定部5が、差データを結合の対象とし、形式変換データ11の差データを結合の対象としない旨を決定する。
【0064】
次いで、データ分割・結合部3が、差データ(第一分割データ52)に第二分割データ53を結合させて、形式変換データ11の差データ51を生成する。この際、結合の対象となる和データは、所属領域40aのどの位置に対応するものかが判明すれば、第一分割データ52と第二分割データ53とを結合させることができる。
【0065】
次いで、データ形式変換部2が、形式変換データ11を変換前データ10に変換する。所属領域のどこに存在するものかを特定し、差データの結合を行うか否かを決定する。
【0066】
以上示した通り、この実施の形態においては、和データの所属領域40a,40bのデータ11から第一分割データ52と第二分割データ53、あるいは、第一分割データ56,58と第二分割データ53,55,57,59とを形成することにより、個々の数値データの大きさを小さくできる。そして、第一分割データ56,58を、分割の対象ではない形式変換データ11と共に、まとめて符号化処理を行うことにより、領域に存在する大きいデータを、小さいデータに近づけ、データの所属領域を揃えた状態で符号化を行うことができる。これにより、データの値の所属領域の如何にかかわらず、高い圧縮効率を得ることができる。
【0067】
この実施の形態においては、第一分割データ52,56,58の数値の出現頻度分布を,形式変換データ11と近似する大きさとし、分割した第一分割データ52,56,58を数値の小さい形式変換データ11の所属領域の値に近づけて、形式変換データ11と第一分割データ52,56,58とをまとめて符号化処理を行うことができる。これにより、データの値の所属領域の如何にかかわらず、一層高い圧縮効率を得ることができる。
【0068】
この実施の形態においては、所属領域40a,40bの略中央側に存在し、対称に一組存在し、また更に区分された複数の領域として存在する場合、所属領域40bの中央部の一の中央部45と、中央部45の両端に、中央部に対象に一組又は複数組形成された領域に区分されることにより、データの取り得る値の大きさ等が中央部から両端部にかけて略対称に形成された所属領域を、領域の特性に基づいて、所属領域40a,40bの中央部と両端部とで別々の処理を行ったり、所属領域の中央部と両端部とで異なる態様の形式変換データ11や第一分割データ52,56,58等の符号化を行ったりすることができる。これにより、データの分布状態に即したデータ処理により、高い圧縮効率を得ることができる。
【0069】
この実施の形態においては、左データと右データとして相関性の高いデータを得易い音声データについて、データの値の所属領域の如何にかかわらず、高い圧縮効率を得ることができる。
【0070】
上記実施の形態においては、音声データを例にとって符号化装置1の構成及び処理手順を説明したが、これに限定されず、画像データや、画像データ以外の各種データにおいて、この実施の形態の符号化装置1を適用することができる。
【0071】
上記実施の形態は、変換前データ10の左データ(図示せず)と右データ(図示せず)とがそれぞれ8ビットの符号あり整数のデータである場合を例示して説明したが、これに限定することなく、どのようなビット数の数値のデータであっても適用できる。例えば、変換前データ10は、それぞれ4ビットや16ビット等であってもよいし、符号なし整数のデータであってもよい。
【0072】
上記実施の形態においては、所属領域40a,40bの略中央部に設けた構成としたが、これに限らず、所属領域40a,40bの端部に設けられた構成でもよい。
【0073】
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0074】
1・・・符号化装置
2・・・データ形式変換部(データ形式変換手段)
3・・・データ分割・結合部(データ分割手段)
4・・・所属領域検出部(所属領域判定手段)
5・・・データ分割方式決定部(データ分割方式決定手段)
6・・・圧縮・復号部(符号化処理手段)
10・・・変換前データ
11・・・数値変換前データ
40a,40b・・・所属領域
51・・・差データ
52,56,58・・・第一分割データ
53,55,57,59・・・第二分割データ
図1
図2
図3
図4
図5