(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1や非特許文献1においては、チップ等同士を接続させても、チップ同士の状態や接続状態の変化に際して柔軟に適応することは難しいという問題がある。また、上記特許文献1や非特許文献1はチップ相互間の接続以外の接続態様に適用することは難しいという問題がある。
【0005】
一方、上記特許文献2においては、一のノードに設けたシステムメモリを複数のノードのプロセッサで共有することができるが、ノード相互間の通信を行うために、ノード間の通信に用いるネットワークの他に、システムメモリを共有するための外部バスをノード相互間に設けなければならず、ノード相互間を接続するハードウェア資源が大きくなるという問題がある。一方、上記特許文献2の構成において、外部バスに替えて、ノード間の通信に用いるネットワークをシステムメモリの共有に用いることも考えられるが、ノード間の通信のデータと、プロセッサとシステムメモリとの間で送受信されるデータとがネットワークにて衝突する事態が起きて、プロセッサとシステムメモリとの間で送受信されるデータのレイテンシが生じ易くなる。このレイテンシの発生は、ノードの全体、ひいてはシステム全体の処理の遅延につながるという問題がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、チップ相互間、チップ内のデバイス相互間、チップ以外の各種デバイス相互間、各種ノード相互間等において、複数の構成要件の良好なコネクティビティを確保して接続でき、また、ハードウェア資源を節約しつつ、特定の資源におけるレイテンシの発生を抑止してシステムの処理の高速化を図ることができる通信システムを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数の機器相互間の通信を可能とする通信システムであって、前記複数の機器において、前記機器相互間の通信において介在する少なくとも一の中央機器と、それぞれが少なくとも一の前記中央機器と通信可能に接続された複数の端末機器とを備え、前記中央機器は、データの処理及び/又は記録に用いる主記憶装置と、前記主記憶装置と前記端末機器との間に介在し、前記データを複数の機器間で共有するために前記データの送信経路を選択する経路選択手段と、前記経路選択手段に対して通信可能に設けられて、それぞれの前記経路選択手段と前記主記憶装置との間にデータの経路を形成する複数の第一の経路と、該第一の経路とは別に、前記経路選択手段に対して通信可能に設けられて、前記端末機器同士のデータの経路を形成する第二の経路とを備え、
前記主記憶装置は、それぞれの前記端末機器において共用され、それぞれの前記第一の経路は、前記端末機器ごとに
設けられた、該端末機器と前記主記憶装置と
の前記データの経路を形成するデータバスによって構成され、前記第二の経路は、前記データの循環が可能となるように環状に形成されたデータバスによって構成され、前記経路選択手段は、一の前記端末機器から供給された前記主記憶装置宛てのデータを前記第一の経路に送信して前記端末機器と前記主記憶装置との間の
前記データの送受信を行わせると共に、一の前記端末機器から供給された他の前記端末機器宛ての
前記データを前記第二の経路に送信して複数の前記端末機器同士の前記データの送受信を行わせることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、複数の機器相互間の通信を可能とする通信システムであって、前記複数の機器において、前記機器相互間の通信において介在する少なくとも一の中央機器と、それぞれが少なくとも一の前記中央機器と通信可能に接続された複数の端末機器とを備え、前記中央機器は、演算装置において演算が行われるデータの処理及び/又は記録に用いる主記憶装置と、前記主記憶装置と前記端末機器との間に介在し、前記データを複数の機器間で共有するために前記データの送信経路を選択する経路選択手段と、前記経路選択手段に対して通信可能に設けられて、それぞれの前記経路選択手段と前記主記憶装置との間にデータの経路を形成する複数の第一の経路と、該第一の経路とは別に、前記経路選択手段に対して通信可能に設けられて、前記端末機器同士のデータの経路を形成する第二の経路とを備え、それぞれの前記第一の経路は、前記端末機器ごとに設けられた、該端末機器と前記主記憶装置との前記データの経路を形成するデータバスによって構成され、前記第二の経路は、前記データの循環が可能となるように環状に形成されたデータバスによって構成され、該第二の経路には、前記中央機器における前記データの各種演算に用いられる前記演算装置、及び前記主記憶装置に供給される前記データが記録される補助記憶装置が接続され、前記経路選択手段は、一の前記端末機器から供給された前記主記憶装置宛ての前記データを前記第一の経路に送信して前記端末機器と前記主記憶装置との間の前記データの送受信を行わせると共に、一の前記端末機器から供給された他の前記端末機器宛ての前記データを前記第二の経路に送信して複数の前記端末機器同士の前記データの送受信を行わせ、かつ、前記
演算装置又は前記補助記憶
装置から前記主記憶装置に宛ての前記データを前記第一の経路に送信すると共に、前記主記憶装置から前記演算装置又は前記補助記憶装置宛ての前記データを前記第二の経路に送信して前記中央機器の内部における前記データの処理を行わせることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項
1又は2に記載の構成に加え、前記機器としての前記ICチップは、遊技機に設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、複数の機器相互間の通信において介在する少なくとも一の中央機器と、それぞれが少なくとも一の前記中央機器と通信可能に接続された複数の端末機器とを備え、前記中央機器は、データの処理及び/又は記録に用いる主記憶装置と、前記主記憶装置と前記端末機器との間に介在し、前記データを複数の機器間で共有するために前記データの送信経路を選択する経路選択手段と、前記経路選択手段に対して通信可能に設けられて、それぞれの前記経路選択手段と前記主記憶装置との間にデータの経路を形成する複数の第一の経路と、該第一の経路とは別に、前記経路選択手段に対して通信可能に設けられて、前記端末機器同士のデータの経路を形成する第二の経路とを備えた通信システムにおける通信方法であって、
前記主記憶装置は、それぞれの前記端末機器において共用され、それぞれの前記第一の経路は、前記端末機器ごとに
設けられた、該端末機器と前記主記憶装置との前記データの経路を形成するデータバスによって構成され、前記第二の経路は、前記データの循環が可能となるように環状に形成するデータバスによって構成され、前記経路選択手段において、一の前記端末機器から供給された前記主記憶装置宛てのデータを前記第一の経路に送信して前記端末機器と前記主記憶装置との間の
前記データの送受信を行わせると共に、一の前記端末機器から供給された他の前記端末機器宛ての
前記データを前記第二の経路に送信して複数の前記端末機器同士の前記データの送受信を行わせる手順を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1
、請求項2、請求項4に記載の発明によれば、中央機器に設けられた経路選択手段が、一の端末機器から供給された主記憶装置宛てのデータを第一の経路に送信し、一の端末機器から供給された他の端末機器宛てのデータを第二の経路に送信するため、第一の経路を専用線として用い主記憶装置までの通信を行うと共に、第二の経路を機器相互間の多様なデータの送受信に用いる汎用の通信線として用いることができる。そのため、それぞれの端末機器から主記憶装置まで汎用の通信線とは別の専用線を設けなくても、端末機器と主記憶装置とのデータの送受信における遅延を抑止すると共に、機器同士の汎用の通信を円滑に行うことができる。これにより、複数の構成要件の良好なコネクティビティを確保して接続でき、また、ハードウェア資源を節約しつつ、特定の資源におけるレイテンシの発生を抑止してシステムの処理の高速化を図ることができる。
【0015】
請求項1
、請求項2、請求項4に記載の発明によれば、第一の経路が、経路選択手段と特定内部資源との専用線として形成されると共に、第二の経路が、環状の通信線として形成されるので、端末機器と主記憶装置との通信における遅延を確実に抑止し、かつ機器相互間において、環状の通信線を循環させつつ確実にデータの送受信を行うことができる。
【0016】
請求項1
、請求項2、請求項4に記載の発明によれば、第一の経路は、特定内部資源とそれぞれの経路選択手段との間に設けられていることにより、端末機器が複数ある場合であっても、同一の第一の経路の使用が複数の端末機器によって競合する事態が抑止され、端末機器と主記憶装置との通信における遅延を確実に抑止することができる。
【0017】
請求項1
、請求項2、請求項4に記載の発明によれば、主記憶装置で処理を行うデータの送受信の高速化を図ることで、主記憶装置を複数の機器で共有するシステムにおいて、システム全体の処理の遅延を抑止することができる。
【0018】
請求項
3に記載の発明によれば、通信可能な複数のICチップ相互間で、ハードウェア資源を節約しつつ、特定の資源におけるレイテンシの発生を抑止してシステムの処理の高速化を図ることができる。
【0019】
請求項
3に記載の発明によれば、遊技機に複数設けられて相互に通信可能なICチップにおいて、ハードウェア資源を節約しつつ、特定の資源におけるレイテンシの発生を抑止してシステムの処理の高速化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[発明の実施の形態1]
図1乃至
図4に、この発明の実施の形態1を示す。
【0022】
この実施の形態1の通信システム1Aは、
図1に示すように、複数の「機器」たとえばチップを相互に接続するために用いられるものである。
【0023】
[基本構成]
図1に、この実施の形態1の通信システム1Aの基本構成を示す。また、
図4に、同通信システム1Aを遊技機に適用した場合の概念図を示す。
【0024】
この実施の形態1の通信システム1Aは、複数のチップを外部バスで接続して構成される。
【0025】
図1に示す、この実施の形態1の通信システム1Aを構成する、「機器」及び「中央機器」としてのセンターチップ2、及び、「機器」及び「端末機器」としての、m個(m>1)のチップA3
1、チップB3
2,・・・チップm3
mは、それぞれ、例えばパチンコ機等の遊技機や娯楽機器において、画像処理や音声処理や役物の動作制御等に用いられるICチップである。センターチップ2,チップA3
1、チップB3
2,・・・チップm3
mは、遊技機100の盤面に配設されたLCD等のディスプレイ101に表示される動画の表示制御や、遊技機100の本体に配設されたLED等の照明機器102の点灯制御、スピーカ103から発生される音声の出力制御、役物104を動作させるモータ105の動作制御等に用いられる。チップA3
1、チップB3
2,・・・チップm3
mは、それぞれが、動画の表示制御、点灯制御、音声の出力制御等に特化したものであってもよいし、動画の表示と照明機器102の点灯等のように、複数の制御対象を一のチップ例えばチップA3
1が制御するものであってもよいし、複数のチップ例えばチップA3
1、チップB3
2が一の制御対象例えば動画の表示制御を行うものであってもよい。
【0026】
図1に示す通り、この実施の形態1の通信システム1Aにおいては、センターチップ2と、チップA3
1,チップB3
2・・・チップm3
mが設けられている。センターチップ2とそれぞれのチップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mとは、外部バス4
1,4
2,・・・4
mによって接続されている。この外部バス4
1,4
2,・・・4
mは、センターチップ2とそれぞれのチップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mとの間でのデータの送受信に用いられるデータバスである。
【0027】
図1に示す通り、センターチップ2は少なくとも一つのCPU5を備え、ROM6、EEPROM7等と共にリングバス11に接続されている。
【0028】
センターチップ2には、「特定内部資源」としてのDRAM8が設けられている。このDRAM8は、センターチップ2の「主記憶装置」を構成し、データ処理時の一時記憶領域等として用いられる。この実施の形態1において、DRAM8は、センターチップ2自身のCPU5による処理と、チップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mのそれぞれに設けられたCPU(図示せず)による処理とにおいて共用される。
【0029】
センターチップ2には、「
経路選択手段」としての、複数の方向指示部9
1,9
2,・・・9
mが設けられている。この方向指示部9
1,9
2,・・・9
mは、チップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mと同数すなわちm個設けられている。この方向指示部9
1,9
2,・・・9
mは、DRAM8とチップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mとの間に介在し、チップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mとセンターチップ2との間で送受信されるデータ等や、センターチップ2の内部で送受信されるデータ等の送信経路を選択する。
【0030】
方向指示部9
1,9
2,・・・9
mとDRAM8とは、それぞれ、「第一の経路」としてのダイレクトバス10
1,10
2,・・・10
mで接続されている。このダイレクトバス10
1,10
2,・・・10
mは、センターチップ2のチップ内部バスであって、それぞれの方向指示部9
1,9
2,・・・9
mとDRAM8とを直接接続し、それぞれの方向指示部9
1,9
2,・・・9
mとDRAM8との間における専用線としてのデータバスを構成する。
【0031】
センターチップ2の内部においては、ダイレクトバス10
1,10
2,・・・10
mとは別に、「第二の経路」としてのリングバス11が設けられている。このリングバス11は、環状に形成されたセンターチップ2のチップ内部バスであって、データの循環路を形成するデータバスを構成する。リングバス11の内部でデータを循環させるためには、例えば周知のトークンをリングバス11内で循環させるなど、どのような構成を用いてもよい。
【0032】
前述の通り、リングバス11にはセンターチップ2のCPU5、ROM6、EEPROM7等が接続されている。また、後述の通り、リングバス11は外部バス4
1,4
2,・・・4
mを介してチップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mにも接続されている。リングバス11は、データ等の循環路を形成し、チップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
m相互間でのデータ等の送受信や、センターチップ2のCPU5,ROM6,EEPROM7等の相互間における、データ等の送受信のための汎用線を形成する。
【0033】
リングバス11とそれぞれの外部バス4
1,4
2,・・・4
mとは、接続部12
1,12
2,・・・12
mにおいて接続されている。この接続部12
1,12
2,・・・12
mは、それぞれ外部バス4
1,4
2,・・・4
mとの通信インターフェースを構成し、外部バス4
1,4
2,・・・4
mとセンターチップ2のチップ内部バス例えばリングバス11との間のデータの送受信を実現する。
【0034】
それぞれの接続部12
1,12
2,・・・12
mとそれぞれの方向指示部9
1,9
2,・・・9
mとは、連絡バス13
1,13
2,・・・13
mによって接続されている。この連絡バス13
1,13
2,・・・13
mは、センターチップ2のチップ内部バスであって、データバスを構成する。
【0035】
チップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mは、少なくとも一つのCPU(図示せず)とチップ内部バス(図示せず)とを備え、それぞれがデータ等の処理を行う。上述の通り、チップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mは、外部バス4
1,4
2,・・・4
m等を介してセンターチップ2のDRAM8に接続され、DRAM8を共用する。なお、チップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mは、DRAM8とは別に、個々にDRAM等の主記憶装置を有していてもよい。
【0036】
[方向指示部における処理の概要]
上述の通り、方向指示部9
1,9
2,・・・9
mはデータ等の送信経路を選択する。具体的には、それぞれの方向指示部9
1,9
2,・・・9
mは、例えば下記(方法1)(方法2)に示すような手順でデータの送信先を選択する。
【0037】
(方法1)
図2の概念図に示すように、それぞれのチップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mや、センターチップ2のCPU5、ROM6、EEPROM7、DRAM8等には、それぞれ一意のアドレスが付与されている。
【0038】
また、センターチップ2のCPU5、ROM6、EEPROM7、DRAM8等や、チップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mが送受信されるデータ31は、データ本体部32と、ヘッダ部33とからなる。このヘッダ部33には、送信先のアドレスをアドレス情報として記録する機能を有する。なお、このデータ31は、フレームやパケットのように、通信用に所定のデータ長ごとに分割されたものでもよいし、分割されていない一連のものであってもよい。また、ヘッダ部33には、送信元の機器のアドレス情報も記録されていてもよい。
【0039】
そして、それぞれの方向指示部9
1,9
2,・・・9
mは、
図2に例示する参照テーブル21を有する。また、接続部12
1,12
2,・・・12
mは、データ31の分岐路を形成するが、受信したデータ31を、方向指示部9
1,9
2,・・・9
mの指定する方向に送信するための構成(例えば、参照テーブル21と同様のテーブルや、テーブルとの照合結果によってデータの送信方向を決定する構成等)を有する。なお、
図2においては、方向指示部9
1の参照テーブル21において、“方向”の列に方向指示部9
1を基準とした送信方向が記録された状態が示されているが、他の方向指示部(例えば
図2に示す方向指示部9
2)の参照テーブル(
図2に図示せず)の“方向”の列においては、それぞれの方向指示部(例えば方向指示部9
2)を基準とした送信方向が記録されている。
【0040】
それぞれの方向指示部9
1,9
2,・・・9
mは、データ31のヘッダ部33に記録されたアドレス情報を読み取り、このアドレス情報と参照テーブル21とを照合して送信先(DRAM8か、リングバス11に接続されたセンターチップ2の)CPU5、ROM6、EEPROM7等か、チップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mか)を識別し、送信方向を決定する。そして、方向指示部9
1,9
2,・・・9
mは、参照テーブル21の指定する送信方向にそのデータ31を送信する。
【0041】
具体的には、例えば、チップA3
1から送信された、ヘッダ部33に“pqrs”のアドレス情報が記録されたデータ31を受信した方向指示部9
1は、そのアドレス情報を参照テーブル21と照合し、参照テーブル21の1行目211の指定に基づき、そのデータ31をダイレクトバス10
1を介してDRAM8に送信する。
【0042】
また例えば、チップA3
1から送信された、ヘッダ部33に“AAAB”のアドレス情報が記録されたデータ31を受信した方向指示部9
1は、そのアドレス情報を参照テーブル21と照合し、参照テーブル21の3行目212の指定に基づき、そのデータ31を、連絡バス13
1、接続部12
1、リングバス11、接続部12
2、外部バス4
2を介してチップB3
2に送信する。
【0043】
また例えば、DRAM8から送信された、ヘッダ部33に“uvwx”のアドレス情報が記録されたデータ31を受信した方向指示部9
1は、そのアドレス情報を参照テーブル21と照合し、参照テーブル21の4行目213の指定に基づき、そのデータ31を、連絡バス13
1、接続部12
1、リングバス11を介して(途中で接続部12
2,・・・12
mを中継して)CPU5に送信する。
【0044】
(方法2)
それぞれのチップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mや、センターチップ2等には、チップ相互間を識別するための一意の外部アドレスが付与され、センターチップ2の内部の構成(CPU5、ROM6、EEPROM7,DRAM8等)には、センターチップ2内部の構成を識別するための一意の内部アドレスが付与されている。
【0045】
チップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mや、センターチップ2,及び、センターチップ2の内部の構成は、他のチップ宛て(例えばチップA3
1からチップB3
2宛て)に送信するデータには外部アドレスを付加し、センターチップ2の内部の構成(例えばCPU5からDRAM8宛て)に送信するデータには内部アドレスを付与する。それぞれのチップ例えばチップA3
1からDRAM8に送信するデータ31のヘッダ部33には、センターチップ2の外部アドレスとDRAM8の内部アドレスをそれぞれ記録する。
【0046】
方向指示部9
1,9
2,・・・9
mは、それぞれ、外部アドレスと内部アドレスに基づいてデータ31の送信方向を決定するための情報が記録された参照テーブル21を有する。それぞれの方向指示部9
1,9
2,・・・9
mは、取得したデータ31のヘッダ部33に記録された内部アドレスや外部アドレスと参照テーブル21を照合し、(方法1)と同様にデータの送信方向を決定して送信する。
【0047】
なお、上記(方法1)(方法2)以外の方法であっても、方向指示部9
1,9
2,・・・9
mにおいてデータ等の送信経路を正しく選択できるならば、どのような方法でデータの送信先を選択してもよい。
【0048】
[処理手順]
図3は、この実施の形態1の通信システム1Aの動作手順を示すフローチャートである。以下、同フローチャートに基づいて処理手順を説明する。
【0049】
まず、
図3のフローチャートに基づいて、センターチップ2以外のチップがデータの送受信対象に含まれる場合について説明する。
【0050】
一のチップ例えばチップA3
1がセンターチップ2のDRAM8においてデータ31(のデータ本体部32)の一時記憶等を行う場合、チップA3
1は、データ本体部32に、DRAM8のアドレス情報“pqrs”を記録した(上記(方法2)の場合は、更にセンターチップ2のアドレス情報を記録した)ヘッダ部33を付加したデータ31を、外部バス4
1、接続部12
1、連絡バス13
1を介してセンターチップ2の方向指示部9
1に送信する(ステップS1)。方向指示部9
1は、そのデータ31のヘッダ部33のアドレス情報と参照テーブル21と照合する(ステップS2)。
【0051】
照合の結果、アドレス情報がDRAM8のアドレスに一致することを検出した方向指示部9
1は(ステップS3の“Yes”)、そのデータ31を、ダイレクトバス10
1を介してDRAM8に送信する(ステップS4)。DRAM8においてはそのデータ31(のデータ本体部32)の一時記憶等が行われる。
【0052】
一方、このステップS4ののちにDRAM8がデータ31をチップA3
1に送信される場合、DRAM8は、データ本体部32に、チップA3
1のアドレス“AAAB”が記録された(上記(方法2)の場合は、更にチップA3
1CPU(図示せず)等のアドレス情報が記録された)ヘッダ部33を付加して、同様の手順にて、元の通信経路とは逆方向にデータを送信する。
【0053】
即ち、DRAM8が送信したデータ31は、ダイレクトバス10
1を介して方向指示部9
1に送信される(ステップS1)。方向指示部9
1は、データ31のヘッダ部33のアドレス情報と参照テーブル21とを照合し(ステップS2)、アドレス情報がチップA3
1のアドレス(すなわちDRAM8以外のアドレス)に一致することを検出した方向指示部9
1は(ステップS3の“No”)、照合結果に基づいて、そのデータ31を、連絡バス13
1、接続部12
1、外部バス4
1を介してチップA3
1に送信する(ステップS5)。
【0054】
一方、一のチップ例えばチップA3
1が他のチップ例えばチップB3
2にデータを送信する場合、チップA3
1は、データ本体部32に、チップB3
2のアドレス“AAAB”が記録されたヘッダ部33を付加したデータ31を、外部バス4
1、接続部12
1、連絡バス13
1を介してセンターチップ2の方向指示部9
1に送信する(ステップS1)。方向指示部9
1は、データ31のヘッダ部33のアドレス情報と参照テーブル21とを照合する(ステップS2)。アドレス情報がチップB3
2(すなわちDRAM8以外)であることを検出した方向指示部9
1は(ステップS3の“No”)、照合結果に基づいて、そのデータ31を、リングバス11を介してチップB3
2に送信する(ステップS5)。具体的には、方向指示部9
1は、そのデータ31を、連絡バス13
1、接続部12
1を介してリングバス11に送信する。そのデータ31は、リングバス11を循環し、接続部12
2、外部バス4
2を介してチップB3
2に送信される。
【0055】
このステップS5ののち、チップB3
2がそのデータをチップA3
1に送り返す場合は、チップB3
2はヘッダ部33にチップA3
1のアドレスを記録したデータ31を送信する(ステップS1)。このデータは、外部バス4
2、接続部12
2、連絡バス13
2を介してセンターチップ2の方向指示部9
2に送信される。方向指示部9
2は、ヘッダ部33のアドレス情報と方向指示部9
2の参照テーブル(
図2に図示せず)を照合する(ステップS2)。アドレス情報がチップA3
1(すなわちDRAM8以外)であることを検出した方向指示部9
2は(ステップS3の“No”)、照合結果に基づいて、そのデータ31を、リングバス11を介してチップA3
1に送信する(ステップS5)。具体的には、方向指示部9
2は、そのデータ31を、連絡バス13
2、接続部12
2を介してリングバス11に送信する。そのデータ31は、リングバス11を循環し、接続部12
1、外部バス4
1を介してチップA3
1に送信される。なお、チップB3
2が送り返した(ステップS1)データ31が元の送信経路を辿って再度方向指示部9
1に送信され、方向指示部9
1の参照テーブル21の照合(ステップS2)によってデータ31がチップA3
1に送信する(ステップS5)構成であってもよい。
【0056】
次に、
図3のフローチャートに基づいて、センターチップ2内部の構成のみがデータの送受信対象である場合について説明する。
【0057】
ます、センターチップ2のDRAM8を含む構成、例えばCPU5がDRAM8とデータの送受信を行う場合、CPU5は、データ本体部32にDRAM8のアドレス情報“pqrs”を記録したヘッダ部33を付加したデータ31を、リングバス11、接続部12
1、連絡バス13
1を介してを介してセンターチップ2の方向指示部9
1に送信する(ステップS1)。センターチップ2においては、方向指示部9
1がそのデータ31のヘッダ部33のアドレス情報と参照テーブル21とを照合する(ステップS2)。
【0058】
照合の結果、アドレス情報がDRAM8のアドレスに一致することを検出した方向指示部9
1は(ステップS3の“Yes”)、そのデータ31を、ダイレクトバス10
1を介してDRAM8に送信する(ステップS4)。DRAM8においてはそのデータを受信し、データの一時記憶等が行われる。
【0059】
ステップS4ののちにDRAM8のデータ31がCPU5に送信される場合、DRAM8は、データ本体部32にチップCPU5のアドレス“uvwx”が記録されたヘッダ部33を付加して、同様の手順にて、元の通信経路とは逆方向にデータを送信する(ステップS1〜ステップS2〜ステップS3の“No”〜ステップS5)。
【0060】
一方、センターチップ2のDRAM8を含まない構成同士、例えばCPU5がEEPROM7とデータの送受信を行う場合、CPU5は、データ本体部32に、EEPROM7のアドレス“uvwz”が記録されたヘッダ部33を付加したデータ31をリングバス11に送信する。送信されたデータは、リングバス11、接続部12
1、連絡バス13
1を介して方向指示部9
1に送信される(ステップS1)。方向指示部9
1は、データ31のヘッダ部33のアドレス情報と参照テーブル21とを照合し(ステップS2)、アドレス情報がEEPROM7のアドレス(すなわちDRAM8以外のアドレス)であることを検出した方向指示部9
1は(ステップS3の“No”)、そのデータ31を、連絡バス13
1、接続部12
1、リングバス11を介してEEPROM7に送信する(ステップS5)。
【0061】
一方、このステップS5ののちにEEPROM7がデータ31をCPU5に送り返す場合、EEPROM7は、データ本体部32に、CPU5のアドレス“uvwx”が記録されたヘッダ部33を付加して、同様の手順にて、元の通信経路とは逆方向にデータを送信する(ステップS1〜ステップS2〜ステップS3の“No”〜ステップS5)。
【0062】
以上、この実施の形態においては、センターチップ2に設けられた方向指示部9
1,9
2,・・・9
mが、一のチップ例えばチップA3
1から供給されたDRAM8宛てのデータをダイレクトバス10
1に送信し、一のチップ例えばチップA3
1から供給された他のチップ例えばチップB3
2宛てのデータをリングバス11に送信するため、ダイレクトバス10
1,10
2,・・・10
mを専用線として用いDRAM8までの通信を行うと共に、リングバス11をそれぞれのチップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mや、センターチップ2のCPU5、ROM6、EEPROM7等の相互間の多様なデータの送受信に用いる汎用の通信線として用いることができる。そのため、それぞれのチップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mからDRAM8まで汎用の通信線とは別の専用線を設けなくても、チップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mとDRAM8とのデータの送受信における遅延を抑止すると共に、チップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
m同士や、センターチップ2のCPU5、ROM6、EEPROM7等同士の汎用の通信を円滑に行うことができる。これにより、複数の構成要件の良好なコネクティビティを確保して接続でき、また、ハードウェア資源を節約しつつ、特定の資源におけるレイテンシの発生を抑止してシステムの処理の高速化を図ることができる。
【0063】
この実施の形態においては、ダイレクトバス10
1,10
2,・・・10
mが、方向指示部9
1,9
2,・・・9
mとDRAM2との専用線として形成されると共に、リングバス11が、環状の通信線として形成されるので、チップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mとDRAM8までとの通信における遅延を確実に抑止し、かつチップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
m相互間や、センターチップ2のCPU5、ROM6、EEPROM7等相互間において、環状の通信線を循環させつつ確実にデータの送受信を行うことができる。
【0064】
この実施の形態においては、ダイレクトバス10
1,10
2,・・・10
mは、DRAM8とそれぞれの方向指示部9
1,9
2,・・・9
mとの間に設けられていることにより、チップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mが複数ある場合であっても、同一のダイレクトバス10
1,10
2,・・・10
mの使用が複数のチップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mによって競合する事態が抑止され、チップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
mとDRAM8との通信における遅延を確実に抑止することができる。
【0065】
従来は、DRAM8との通信と、DRAM8以外との通信においてセンターチップ2のチップ内部バスを共用する場合には、大きなレイテンシの発生を抑止することは難しかった。しかし、この実施の形態1においては、高速な伝送が要求される通信(即ちDRAM8を使用する場合の通信)はダイレクトバス7
1,7
2,・・・7
mによるスター型結線、比較的低速な伝送でも許容される通信(例えばチップA3
1,チップB3
2・・・チップm3
m相互間のデータのやりとり)においてはリングバス8によるリング型結線を使い分けることで、通常のバス型結線や、スター型やリング型のみの結線では起こりがちなレイテンシの発生を抑止しつつ、センターチップ2とチップA3
1,チップB3
2・・・チップm3
m相互間で確実に通信を行うことができる。
【0066】
この実施の形態においては、特定内部資源はセンターチップ2のDRAM8であることにより、DRAM8で処理を行うデータの送受信の高速化を図ることで、DRAM8を複数の機器で共有するシステムにおいて、システム全体の処理の遅延を抑止することができる。
【0067】
この実施の形態においては、通信可能な複数のICチップであるチップA3
1,チップB3
2,・・・チップm3
m,センターチップ2相互間で、ハードウェア資源を節約しつつ、特定の資源におけるレイテンシの発生を抑止してシステムの処理の高速化を図ることができる。
【0068】
[発明の実施の形態2]
図5に、この発明の実施の形態2を示す。
【0069】
この実施の形態2の通信システム1Bにおいては、センターチップ2の方向指示部9
1,9
2,・・・9
mが、実施の形態1における接続部12
1,12
2,・・・12
mの位置に設けられている。従って、例えば方向指示部9
1には、外部バス4
1、連絡バス13
1、リングバス11が接続されている。そして、この通信システム1Bには、実施の形態1における接続部12
1,12
2,・・・12
m及び連絡バス13
1,13
2,・・・13
mの構成は存在しない。それぞれの方向指示部9
1,9
2,・・・9
mには、実施の形態1と同様の参照テーブル21が設けられている。それ以外の構成は実施の形態1と同じである。
【0070】
この実施の形態2の通信システム1Bにおいては、それぞれの方向指示部たとえば方向指示部9に、外部バス4
1、連絡バス13
1、リングバス11が接続される箇所に設けられているので、それぞれの参照テーブル12の構成を単純化できる。即ち、それぞれの方向指示部9
1,9
2,・・・9
mの参照テーブル21には、直近のノードまでの経路を記録すれば、全ての経路選択が可能になる。これにより、システムや参照テーブル21を簡易な構成としつつ、確実にデータを送受信することができる。
【0071】
なお、上記各実施の形態において、センターチップ2は一つのみ設けた構成としたが、センターチップ2が複数存在する構成であってもよい。
【0072】
また、上記各実施の形態において、「特定内部資源」はDRAM8としたが、これに限らず、複数のチップA3
1,チップB3
2・・・チップm3
mで共用しうるものならばどのようなものでもよい。例えば、「特定内部資源」がDRAM8に替えてSRAMであってもよいし、CPU5やEEPROM7であってもよいし、磁気ディスク等の外部記憶媒体であってもよい。
【0073】
また、上記各実施の形態は、センターチップ2と、複数例えばm個(m>1)のチップA3
1,チップB3
2・・・チップm3
mを接続した構成としたが、チップ以外のデバイスやノードを接続した場合に用いることもできる。
【0074】
また、上記各実施の形態においては、通信システム1A,1Bは遊技機100等に用いるものとしたが、これ以外の各種機器、例えば自動車や各種機械の電子制御や他のあらゆる用途に用いられるものであってもよいし、遊技機や遊技機以外の機器において、画像処理や音声処理以外、例えばモータの回転制御等、あらゆる処理に用いられるものであってもよい。また、ICチップ以外の電子機器や通信機器等であってもよい。
【0075】
上記各実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。