特許第5757046号(P5757046)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5757046
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150709BHJP
【FI】
   A63F7/02 304D
   A63F7/02 320
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-69384(P2014-69384)
(22)【出願日】2014年3月28日
【審査請求日】2014年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100188226
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 俊達
(72)【発明者】
【氏名】山本 健弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 忠
【審査官】 上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−220884(JP,A)
【文献】 特開2014−161606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の駆動源により駆動されて当接部材に突き当て可能に所定位置から移動する第1移動部材と、
第1の移動部材に組み付けられ、第2の駆動源により駆動されて前記第1移動部材に対して相対移動可能な第2移動部材と、
前記第1と第2の駆動源を制御する駆動制御手段と、を備え、
前記第1移動部材が前記当接部材に突き当てられた状態で、前記第2移動部材が前記当接部材に突き当てられ、前記第1移動部材が前記当接部材から離れるときに、前記第2移動部材が前記第1移動部材と異なる方向に移動して前記当接部材との突き当て状態を保持するように前記第1移動部材から突出する構成であって、
前記駆動制御手段は、前記第1移動部材が前記当接部材から離れ、且つ、前記第2移動部材が前記当接部材との突き当て状態を保持するように移動するときに、前記第2の駆動源の駆動トルクの大きさが前記第1の駆動源の駆動トルクの大きさ以上であって、前記第2移動部材が前記第1移動部材から突出するときの相対移動速度における前記第1移動部材の移動方向成分の大きさが、前記第1移動部材が前記当接部材から離れるときの移動速度の大きさ以上となるように、前記第1と第2の駆動源を制御することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記駆動制御手段は、前記第1移動部材が前記当接部材から離れ、且つ、前記第2移動部材が前記当接部材との突き当て状態を保持するように移動する以外の状態では、前記第1移動部材と前記第2移動部材の各々について予め設定された移動状態に適合した駆動トルクの大きさ、前記第1移動部材の移動速度及び前記第2移動部材の相対移動速度となるように、前記第1と第2の駆動源を制御することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
遊技に関する演出を表示可能な表示部を備え、
前記第1移動部材と前記当接部材とは、互いに突き当てられた状態で、それら第1移動部材と当接部材との境界部分が前記表示部の前方に位置するように配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記第2移動部材は、前記表示部の表示を視覚的に変化させる表示変化部材であって、
前記表示変化部材と前記当接部材とは、前記第1移動部材が前記当接部材から離れ、且つ、前記表示変化部材が前記当接部材との突き当て状態を保持するように移動するときに、互いに突き当てられた状態で、それら表示変化部材と当接部材との境界部分が前記表示部の前方に位置するように配置されることを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記第1移動部材は、前記表示部とは別に遊技に関する演出を表示可能なサブ表示部を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記第1移動部材と前記第2移動部材とを1対ずつ互いに接近して突き当て可能に備え、
前記駆動制御手段は、1対の前記第1移動部材が互いに突き当てられた状態で、1対の前記第2移動部材が互いに突き当てられ、1対の前記第1移動部材が互いに離れるときに、1対の前記第2移動部材が互いに接近して突き当て状態を保持するように、前記第1と第2の駆動源を制御し、
1対ずつの前記第1移動部材及び前記第2移動部材のうち一方の前記第1移動部材及び前記第2移動部材で前記当接部材を構成したことを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか1の請求項に記載の遊技機。
【請求項7】
前記駆動制御手段は、1対の前記第1移動部材を駆動する1対の前記第1の駆動源の間で駆動トルクの大きさが同じか略同じであって、1対の前記第1移動部材の移動速度が同じか略同じとなるように1対の前記第1の駆動源を制御すると共に、前記第2移動部材を駆動する1対の前記第2の駆動源の間で駆動トルクが同じか又は同じであって、1対の前記第2移動部材の間で移動速度が同じか略同じとなるように1対の前記第2の駆動源を制御することを特徴とする請求項6に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源によって駆動される移動部材を備えた遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技機として、駆動源により駆動される駆動役物が表示部の前方で当接部材に突き当てられるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−224193号公報([0036]、図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遊技の趣向性の向上を目的として、上述した従来の遊技機において、例えば、駆動役物に対して相対移動可能なサブ役物を駆動役物に組み付け、駆動役物が当接部材に突き当てられたときに、サブ役物が当接部材に突き当てられ、駆動役物が当接部材から離れるときに、サブ役物が駆動役物と逆方向に移動して当接部材との突き当て状態を保持するように駆動役物から突出する演出を行わせることが考えられる。しかしながら、このような演出を行わせる場合に、サブ役物が駆動役物につられて移動してサブ役物と当接部材との間に隙間が生じると、遊技者に違和感を与えるという問題が生じ得た。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、遊技者に違和感を与えることを抑制可能な遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明に係る遊技機は、第1の駆動源により駆動されて当接部材に突き当て可能に所定位置から移動する第1移動部材と、第1移動部材に組み付けられ、第2の駆動源により駆動されて第1移動部材に対して相対移動可能な第2移動部材と、第1と第2の駆動源を制御する駆動制御手段と、を備え、第1移動部材が当接部材に突き当てられた状態で、第2移動部材が当接部材に突き当てられ、第1移動部材が当接部材から離れるときに、第2移動部材が第1移動部材と異なる方向に移動して当接部材との突き当て状態を保持するように第1移動部材から突出する構成であって、駆動制御手段は、第1移動部材が当接部材から離れ、且つ、第2移動部材が当接部材との突き当て状態を保持するように移動するときに、第2の駆動源の駆動トルクの大きさが第1の駆動源の駆動トルクの大きさ以上であって、第2移動部材が第1移動部材から突出するときの相対移動速度における第1移動部材の移動方向成分の大きさが、第1移動部材が当接部材から離れるときの移動速度の大きさ以上となるように、第1と第2の駆動源を制御するところに特徴を有する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の遊技機において、第1移動部材が前記当接部材から離れ、且つ、第2移動部材が当接部材との突き当て状態を保持するように移動する以外の状態では、第1移動部材と第2移動部材の各々について予め設定された移動状態に適合した駆動トルクの大きさ、第1移動部材の移動速度及び第2移動部材の相対移動速度となるように、第1と第2の駆動源を制御するところに特徴を有する。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の遊技機において、遊技に関する演出を表示可能な表示部を備え、第1移動部材と当接部材とは、互いに突き当れられた状態で、それら第1移動部材と当接部材との境界部分が表示部の前方に位置するように配置されるところに特徴を有する。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載の遊技機において、第2移動部材は、表示部の表示を視覚的に変化させる部材であって、表示変化部材と当接部材とは、第1移動部材が当接部材から離れ、且つ、表示変化部材が当接部材との突き当て状態を保持するように移動するときに、互いに突き当てられた状態で、それら表示変化部材と当接部材との境界部分が表示部の前方に位置するように配置されるところに特徴を有する。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3又は4に記載の遊技機において、第1移動部材は、表示部とは別に遊技に関する演出を表示可能なサブ表示部を有するところに特徴を有する。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のうち何れか1の請求項に記載の遊技機において、第1移動部材と第2移動部材とを1対ずつ互いに接近して突き当て可能に備え、駆動制御手段は、1対の第1移動部材が互いに突き当てられた状態で、1対の第2移動部材が互いに突き当てられ、1対の第1移動部材が互いに離れるときに、1対の第2移動部材が互いに接近して突き当て状態を保持するように、第1と第2の駆動源を制御し、1対ずつの第1移動部材及び第2移動部材のうち一方の第1移動部材及び第2移動部材で当接部材を構成したところに特徴を有する。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載の遊技機において、駆動制御手段は、1対の第1移動部材を駆動する1対の第1の駆動源の間で駆動トルクの大きさが同じか略同じであって、1対の第1移動部材の移動速度が同じか略同じとなるように1対の第1の駆動源を制御すると共に、第2移動部材を駆動する1対の第2の駆動源の間で駆動トルクが同じか又は同じであって、1対の第2移動部材の間で移動速度が同じか略同じとなるように1対の第2の駆動源を制御するところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0013】
[請求項1の発明]
本発明では、第1移動部材が当接部材に突き当てられた状態で、第2移動部材が当接部材に突き当てられ、第1移動部材が当接部材から離れるときに、第2移動部材が第1移動部材と逆方向に移動する。ここで、第1移動部材と第2移動部材を駆動する第1と第2の駆動源は、第2移動部材が第1移動部材から突出するときの相対移動速度の大きさが、第1移動部材が当接部材から離れるときの移動速度の大きさ以上となるように制御されるので、第2移動部材が第1移動部材につられて移動して、第2移動部材と当接部材との間に隙間が生じることが抑えられる。これにより、遊技者に違和感を与えることが抑制可能となる。
【0014】
[請求項2の発明]
請求項2の発明によれば、第1移動部材と第2移動部材とを、予め設定された移動状態に合わせてスムーズに移動させることが可能となる。
【0015】
[請求項3の発明]
請求項3の発明によれば、第1移動部材が当接部材から離れるときに、第2移動部材と当接部材との間の隙間から表示部が視認されることが抑えられる。これにより、遊技者に違和感を与えることをより抑制可能となる。
【0016】
[請求項4の発明]
請求項4の発明によれば、第1移動部材から第2移動部材が突出すると、表示部の表示が視覚的に変化するので、遊技の趣向性向上が図られる。ここで、第1移動部材が当接部材から離れるときに、第2移動部材と当接部材との間の隙間が生じると、その隙間が目立つことになるが、本発明によれば、第2移動部材が第1移動部材につられて移動することが抑えられるので、第2移動部材と当接部材との間に隙間が生じることが抑えられる。これにより、遊技者に違和感を与えることが抑制可能となる。
【0017】
[請求項5の発明]
請求項5の発明によれば、表示部とは別のサブ表示部を備えたことで遊技の趣向性向上が図られる。また、第1移動部材を駆動してサブ表示部を移動させることが可能となり、遊技の趣向性をより向上させることが可能となる。
【0018】
[請求項6の発明]
請求項6の発明では、1対の第1移動部材が突き当てられた状態から互いに離れると、1対の第2移動部材が互いに突き当てられた状態で1対の第1移動部材から突出するので、遊技の趣向性向上が図られる。また、本発明によれば、1対の第2移動部材の間に隙間が生じることが抑制されるので、遊技者に違和感を与えることが抑制可能となる。
【0019】
[請求項7の発明]
請求項7の発明によれば、1対の第1移動部材と1対の第2移動部材とを同じか略同じ速度で移動させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図
図2】遊技板の正面図
図3】基準位置に配置されたサブ液晶表示装置の(A)正面図、(B)平面図
図4】演出位置に配置されたサブ液晶表示装置の(A)正面図、(B)平面図
図5】突き当て状態の表示変化部材周辺の(A)正面図、(B)平面図
図6】基準位置へ向かう途中のサブ液晶表示装置周辺の(A)正面図、(B)平面図
図7】表示変化部材が待機位置へ戻ったときのサブ液晶表示装置周辺の(A)正面図、(B)平面図
図8】パチンコ遊技機の電気的な構成を示すブロック図
図9】第2実施形態に係るパチンコ遊技機の液晶表示装置周辺の(A)正面図、(B)平面図
図10】演出位置に配置されたサブ液晶表示装置周辺の(A)正面図、(B)平面図
図11】基準位置へ向かう途中のサブ液晶表示装置周辺の(A)正面図、(B)平面図
図12】(A)第3実施形態に係るパチンコ遊技機の可動演出部材周辺の正面図、(B)第1移動部材が演出位置に配置されたときの可動演出部材周辺の正面図
図13】(A)第1移動部材が基準位置へ向かう途中の可動演出部材周辺の正面図、(B)第1移動部材が基準位置へ戻ったときの可動演出部材周辺の正面図
図14】(A)基準位置に配置されたサブ液晶表示装置の正面図、(B)演出位置に配置されたサブ液晶表示装置の正面図、(C)突き当て状態の表示変化部材周辺の正面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明をパチンコ遊技機に適用した一実施形態を図1図8に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機10(以下、単に、遊技機10という。)は、遊技領域R1を前面に有した遊技板11を、遊技機10の前面に開閉可能に取り付けられた前面枠10Zで覆ってなり、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して、遊技領域R1の全体が視認可能となっている。なお、遊技領域R1は、遊技板11の前面から突出したガイドレール12(図2参照)に四方を囲まれることで形成されている。
【0022】
前面枠10Zのうちガラス窓10Wより下方には、上皿26と下皿27が上下2段にして設けられ、下皿27の右側には、操作ハンドル28が備えられている。そして、操作ハンドル28を回動操作すると、上皿26に収容された遊技球が遊技領域R1に向けて弾き出される。なお、上皿26に備えた図示しない球排出ボタンを押すと上皿26に収容されている遊技球が下皿27へと移動する。
【0023】
図2に示すように、遊技板11のうち遊技領域R1の中央には、遊技板表示窓11Hが貫通形成されており、その遊技板表示窓11Hに遊技板11の裏面側から液晶表示装置30の表示画面30Gが対向している。
【0024】
遊技板11の前面中央には、表示画面30Gを囲むように表示装飾枠23が取り付けられている。具体的には、表示装飾枠23は、遊技板11の前面側から遊技板表示窓11Hに嵌め込まれて、遊技板表示窓11Hの内側に張り出すと共に、遊技板11の前面から突出している。そして、遊技領域R1を流下する遊技球が、表示装飾枠23の内側に進入しないように構成されている。
【0025】
遊技領域R1のうち表示装飾枠23の下方における左右方向の中央部には、第1の始動入賞口14A、大入賞口15及びアウト口16が、上から順に間隔を開けて並べて設けられている。第1の始動入賞口14Aの左右の両側には、ガイドレール12に沿って一般入賞口20が複数設けられている。また、遊技領域R1のうち表示装飾枠23の右側には、始動ゲート18と第2の始動入賞口14Bとが上から順に間隔を開けて並べられている。なお、遊技領域R1には多数の障害釘が植設されている。
【0026】
一般入賞口20は、所謂、ポケット構造をなして、遊技板11の前面から突出した部材上面に開放しており、遊技球が丁度1つ入球可能な大きさで上方に開口している。そして、一般入賞口20に遊技球が入ると、例えば、15個の遊技球が賞球として上皿26に払い出される。
【0027】
大入賞口15は、横長矩形に形成されて、常には、可動扉15Tにて閉塞されている。可動扉15Tは、遊技機10が「大当り遊技状態」になると、所定期間に亘って前側に倒れる。これにより、大入賞口15が開放され、可動扉15Tを案内にして、大入賞口15に遊技球が入球可能となる。そして、大入賞口15に遊技球が入球(入賞)すると、例えば、1個の入球につき15個の遊技球が上皿26に払い出される。
【0028】
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなし、遊技球が始動ゲート18を通過すると普通図柄の当否判定が行われる。この当否判定の結果は、普通図柄表示装置18X(図8参照)にて表示される。
【0029】
第1の始動入賞口14Aは、一般入賞口20と同様のポケット構造をなし、遊技球が丁度1つ入球可能な大きさで上方に開口している。また、第2の始動入賞口14Bは、遊技球が1つずつ入ることが可能な大きさで前方に開口し、通常は、回動扉14Tにて前方が閉塞されることで、遊技球の入球が規制されている。回動扉14Tは、上述した普通図柄当否判定の結果が当たりとなったときに、所定時間だけ前側に倒される。このとき、回動扉14Tは、第2の始動入賞口14Bの側方から流下してきた遊技球を上面で受け止めて、第2の始動入賞口14Bへと誘導可能となる。なお、各始動入賞口14A,14Bに入った遊技球は、遊技板11に設けた図示しない貫通孔を通って、遊技板11の裏側に回収される。
【0030】
第1と第2の始動入賞口14A,14Bに遊技球が入球すると、例えば、1個の入球につき4個の遊技球が上皿26に払い出されると共に、特別図柄の当否判定が行われる。この判定結果は、特別図柄表示装置14X(図8参照)にて表示されると共に、液晶表示装置30の表示画面30Gにも表示される。
【0031】
具体的には、表示画面30Gには、通常、3つの特別図柄が横並びに停止表示されている。これら各特別図柄は、例えば、「0」〜「11」の数字を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄ごと、所定の種類のものが停止表示されている(図2の例では、各特別図柄として「7」が停止表示されている。)。そして、始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞したときに、これら3つの特別図柄が、上下方向にスクロール表示され、所定時間後に停止表示される。特別図柄当否判定の結果が当り(以下、「大当り」という)の場合には、各特別図柄が全て同じ図柄(ゾロ目)で停止表示され、遊技が「大当り遊技状態」に移行する。これに対し、当否判定結果が外れの場合には、ゾロ目以外の組み合わせで停止表示され、「大当り遊技状態」ではない通常の遊技状態が続く。
【0032】
また、表示画面30Gでは、特別図柄当否判定の結果が表示される過程で、3つの特別図柄の変動中に行われる予告演出や、3つの特別図柄のうち2つが同じ図柄で停止表示された後に行われるリーチ演出といった演出が行われる。また、表示画面30Gでは、大当たり遊技中に、大当たり遊技終了後の特典(例えば、確変状態や時短状態)が付与されるか否かについての演出が行われてもよい。
【0033】
上述した各入賞口14A,14B,15,20の何れにも入賞しなかった遊技球は、遊技領域R1の下端に配置されたアウト口16に全て取り込まれる。
【0034】
ところで、本実施形態の遊技機10では、図2に示すように、液晶表示装置30の左右両側に1対の可動演出部材40を備えている。図3(A)及び図3(B)に示すように、各可動演出部材40は、サブ液晶表示装置41と表示変化部材45とで構成されている。そして、このサブ液晶表示装置41が、第1の駆動モータ43図3(A)及び図8参照)により駆動されて、前方からみたときに液晶画面30Gの斜め前方に配置された基準位置(図3(A)参照)と、液晶画面30Gの前方に配置された演出位置(図4(B)参照)との間を直線移動可能となっている。なお、サブ液晶表示装置41は、通常は、基準位置に配置され、特定の演出条件が成立したときに、演出位置に配置されるようになっている。また、1対の可動演出部材40,40は、基準位置で、表示画面30Gの左右方向の中央線に対して対称に配置されている。
【0035】
詳細には、サブ液晶表示装置41は、図3(A)に示すように、表示画面41G(本発明の「サブ表示部」に相当する。)を備えた本体部41Hが可動ステージ41Sの上に固定された構造になっていて、この可動ステージ41Sが、第1の駆動モータ43からの駆動力を受けて、左右方向に延びたガイドレール42に沿って直動する。
【0036】
表示変化部材45は、サブ液晶表示装置41の本体部41Hの裏側に組み付けられ、第2の駆動モータ46により駆動されてサブ液晶表示装置41に対して相対移動可能となっている。具体的には、表示変化部材45は、サブ液晶表示装置41の移動経路に沿って移動、即ち、ガイドレール41と平行に直線移動し、サブ液晶表示装置41の裏側に全体が隠れた待機位置と、サブ液晶表示装置41から側方に突出した出現位置とに配置される。ここで、本実施形態では、表示変化部材45は、拡散レンズになっていて、表示変化部材45を通して見ると、表示変化部材45の向こう側が拡大されて見えるようになっている。従って、表示変化部材45が出現位置に配置されると、表示変化部材45の奥側が拡大されて見えるようになっている。なお、表示変化部材45を駆動する第2の駆動モータ46は、サブ液晶表示装置41に固定されている。
【0037】
ここで、第1と第2の駆動モータ42,46は共に、ステッピングモータになっていて、各駆動モータ42,46の回転出力は、後述する駆動制御回路59(図8参照)によって制御されている。
【0038】
なお、本実施形態では、サブ液晶表示装置41と表示変化部材45とが、本発明の「第1移動部材」と「第2移動部材」とに相当し、第1の駆動モータ43と第2の駆動モータ46とが、本発明の「第1の駆動源」と「第2の駆動源」とに相当する。
【0039】
次に、遊技機10でサブ液晶表示装置41及び表示変化部材45を用いて実行される液晶駆動演出について説明する。なお、図3(A)及び図3(B)には、液晶駆動演出の実行前の状態が示されていて、1対のサブ液晶表示装置41,41は共に、基準位置に配置され、各サブ液晶表示装置41に組み付けられた表示変化部材45は待機位置に配置されている。
【0040】
液晶駆動演出が実行されると、図3(A)から図3(B)への変化に示すように、1対のサブ液晶表示装置41,41が共に基準位置から演出位置へと移動して接近し、演出位置に配置されたとき、互いに突き当てられた状態となる。このとき、サブ液晶表示装置41,41同士は、隙間なく当接し、液晶表示装置30の表示画面30Gの前方を覆う。なお、サブ液晶表示装置41が基準位置から演出位置へ移動する間は、第1の駆動モータのみが作動し、表示変化部材45は、図4(B)に示すように、待機位置に配置されたまま、サブ液晶表示装置41と一体に移動する。また、第1の駆動モータ43,43の回転出力の大きさはほぼ同じになっていて、突き当て状態のサブ液晶表示装置41,41の境界部分は、表示画面30Gにおける左右方向の中央前方に配置される。
【0041】
サブ液晶表示装置41,41が演出位置に配置されると、図4(B)から図5(B)の変化に示すように、表示変化部材45,45が、第2の駆動モータ46から駆動力を受けて互いに接近するように移動し、サブ液晶表示装置41,41の裏側で互いに突き当てられた状態となる。なお、このとき、表示変化部材45,45は、サブ液晶表示装置41,41の裏側に隠れ、表示変化部材45,45の動作が遊技者に視認困難となっている(図5(A)参照)。
【0042】
表示変化部材45,45同士が突き当て状態になると、図5(A)から図6(A)への変化に示すように、1対のサブ液晶表示装置41,41同士は、演出位置から基準位置へと駆動されて離間する。このとき、表示変化部材45,45同士は、表示変化部材突き当て状態を保持するようにサブ液晶表示装置41と逆方向に移動して、サブ液晶表示装置41から突出する(図6(B)参照)。言い換えれば、表示変化部材45,45同士は、突き当て状態を保持するように出現位置へと駆動される。なお、図5(A)から図6(A)への変化において、第1の駆動モータ43,43の駆動トルクの大きさは同じになっていて、1対のサブ液晶表示装置41,41は、同じ速さで離れていく。
【0043】
サブ液晶表示装置41,41が基準位置へと戻ると、図7(B)へ示すように、1対の表示変化部材45,45は、出現位置から待機位置へと駆動されて離間する。そして、表示変化部材45,45が待機位置へ配置されると、液晶駆動演出が終了し、図4(A)に示した元の状態に戻る(図7(A)参照)。なお、図6(A)から図7(A)への変化において、1対の第2の駆動モータ46,46の駆動トルクの大きさは同じになっていて、1対の表示変化部材45,45は、同じ速さで待機位置へと向かう。
【0044】
このように、液晶駆動演出では、まず、1対の可動演出部材40,40が接近して、表示画面30Gの前方で互いに突き当て状態となり、その後、可動演出部材40,40のうちサブ液晶表示装置41,41が離間する。すると、サブ液晶表示装置41,41の裏側に隠れていた表示変化部材45,45が互いに突き当てられた状態で表示画面30Gの前方に出現する。ここで、上述したように、表示変化部材45は、拡散レンズになっているので、表示変化部材45が出現すると、表示画面30Gの表示が拡大されるようになる。なお、本実施形態では、1対の可動演出部材40,40のうち一方の可動演出部材40(サブ液晶表示装置41及び表示変化部材45)によって、本発明の「当接部材」が構成されている。
【0045】
ところで、表示変化部材45は、サブ液晶表示装置41に組み付けられているため、1対のサブ液晶表示装置41,41が互いに離れるときに(図6(A)及び図6(B)参照)、表示変化部材45がサブ液晶表示装置41につられて基準位置側に移動すると、表示変化部材45,45同士の間に隙間が生じる。すると、その隙間が形成された部分だけ表示画面30Gの表示が拡大されなくなり、遊技者に違和感を与えるという問題が生じ得る。この問題を解決するために、本実施形態の遊技機10では、駆動制御回路59(図8参照)が、以下に説明するように、第1と第2の駆動モータ43,46を制御する。
【0046】
即ち、駆動制御回路59は、1対のサブ液晶表示装置41,41が互いに離れるときに、表示変化部材45,45が出現位置へ向かうときの相対移動速度の大きさ(詳細には、一方の表示変化部材45について、突き当て相手である他方の表示変化部材45が存在しなかった場合におけるサブ液晶表示装置41に対する相対移動速度の大きさ)が、サブ液晶表示装置41,41が互いに離れる速度の大きさ以上となるように、第1と第2の駆動モータ43,46を制御する。その結果、表示変化部材45,45は、1対のサブ液晶表示装置41,41が互いに離れるときに、定位置に保持されるか、又は、互いに押し合うように駆動される。これにより、表示変化部材45,45同士の間に隙間が生じることが抑えられ、遊技者に違和感を与えることが抑えられる。
【0047】
上記した遊技機10の動作を実現するため、遊技機10には、図8に示すように、各種回路が備えられ、それら回路が情報の処理を実行する。以下、各回路について説明する。
【0048】
図8において、符号50は、主制御回路50であって、CPU51AとRAM51B及びROM51C、複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータとサブ制御回路52を結ぶ入出力回路と、大入賞口15等が接続された中継回路57及び払出制御回路58等を結ぶ入出力回路とを備え、遊技に関わる主制御を行う。CPU51Aは、当否判定部、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、特別図柄当りや普通図柄当りに関する乱数等も生成し、制御信号をサブ制御回路52等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM51Bは、特別図柄用保留球数及び普通図柄用保留球数の記憶領域、CPU51Aで生成される各種乱数値用の記憶領域、各種データを一時的に記憶する記憶領域やフラグ、CPU51Aの作業領域を備える。ROM51Cには、主制御回路50が実行するプログラムや制御データ、特別図柄及び普通図柄の変動表示に関する図柄変動データ等が書き込まれている他、特別図柄当り及び普通図柄当りの判定値等が書き込まれている。
【0049】
サブ制御回路52は、主制御回路50と同様に、CPU52AとRAM52B、ROM52C、複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、前記マイクロコンピュータと主制御回路50を結ぶ入出力回路と、表示制御回路54、音声制御回路55、ランプ制御回路56及び駆動制御回路59等を結ぶ入出力回路を備えている。CPU52Aは、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、制御信号を表示制御回路54及びランプ制御回路56、音声制御回路55等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM52Bは、各種データの記憶領域とCPU52Aによる作業領域を有している。ROM52Cには、サブ制御回路52が実行するプログラムや特別図柄の変動パターンテーブル等が記憶されている。
【0050】
音声制御回路55は、サブ制御回路52から出力される制御信号に基づき、スピーカ25,25から発生されるBGMや演出時の音声の選択を行い、音声を制御する。
【0051】
ランプ制御回路56は、サブ制御回路52と接続され、サブ制御回路52から出力された装飾ランプ22等の電飾制御を行うための制御信号を中継するための回路である。
【0052】
表示制御回路54は、CPUとRAM及びROMを備えたマイクロコンピュータを主要部として備えている。表示制御回路54のRAMは、各種データの記憶領域とCPUによる作業領域を有している。表示制御回路54のROMには、各種演出の制御プログラムが記憶されている。そして、表示制御回路54は、サブ制御回路51からの制御信号に基づいて、表示画面30G,41Gに判定図柄、演出画像等を表示させる。
【0053】
駆動制御回路59は、サブ制御回路52からの制御信号に基づいて、第1の駆動モータ43,43及び第2の駆動モータ46,46を制御する。特に、上述した液晶駆動演出(図3図7参照)における液晶表示装置41,41及び表示変化部材45,45の動作を実現するために、各駆動モータ43,46を制御する。
【0054】
詳細には、駆動制御回路59は、1対の表示変化部材45,45が突き当て状態を保持して、それら1対の表示変化部材45,45の間に隙間が生じないように、各駆動モータ43,46を以下のように制御する。即ち、1対のサブ液晶表示装置41,41が互いに離れる方向に移動する際(図6(A)参照)、サブ液晶表示装置41の重さを考慮して、各第1の駆動モータ43を、駆動トルクが20mN・m、パルス速度が333pps(pulse per second)となるように制御すると共に、表示変化部材45の重さを考慮して、各第2の駆動モータ46を、駆動トルクが35mN・m、パルス速度が500ppsとなるように制御する。即ち、第1の駆動モータ43の駆動トルク及びパルス速度よりも、第2の駆動モータ46の駆動トルク及びパルス速度の方が大きくなっている。ここで、本実施形態では、第1の駆動モータ43とサブ液晶表示装置41との間及び第2の駆動モータ46と表示変化部材45との間の動力伝達機構として、例えば、ラックアンドピニオン機構等が用いられることにより、サブ液晶表示装置41と表示変化部材45の移動速度は、第1と第2の駆動モータ43,46のパルス速度にほぼ比例する。従って、1対のサブ液晶表示装置41,41が互いに離れる際に、表示変化部材45がサブ液晶表示装置41につられて移動する虞を低減し、1対の表示変化部材45,45の間に隙間が生じる虞を低減することが可能となる。
【0055】
また、駆動制御回路59は、1対のサブ液晶表示装置41,41が互いに離れ、且つ、1対の表示変化部材45,45が互いの突き当て状態を保持する状態、即ち、図6(A)に示した状態以外の状態においては、遊技状態に合わせて、各駆動モータ43,46の駆動トルク及び回転速度の値を制御する。例えば、図3(A)から図4(A)の変化に示したように、サブ液晶表示装置41の裏側に隠れた状態で、サブ液晶表示装置41と表示変化部材45とが一体に移動する場合には、第1の駆動モータ43について、駆動トルクを20mN・m、パルス速度を333pps、第2の駆動モータ46について、駆動トルクを0mN・m、パルス速度を0ppsとなるように設定される。その他、遊技状態に合わせて、各駆動モータ43,46の駆動トルク及びパルス速度は適宜変更される。本実施形態では、駆動制御回路59が本発明の「駆動制御手段」に相当する。
【0056】
なお、各制御回路50,52,54〜59は、電源基板60(図8参照)からの電源供給を受けて作動する。
【0057】
本実施形態に係る遊技機10の構成に関する説明は以上である。次に、遊技機10の作用効果について説明する。
【0058】
本実施形態の遊技機10では、特定の演出条件が成立すると、可動演出部材40,40を用いた液晶駆動演出が実行される。具体的には、液晶駆動演出では、まず、液晶表示装置30の表示画面30Gの左右両側に配置された1対の可動演出部材40,40が接近して、表示画面30Gの前方で互いに突き当て状態となり、その後、可動演出部材40,40のうちサブ液晶表示装置41,41が離間する。すると、サブ液晶表示装置41,41の裏側に隠れていた表示変化部材45,45が互いに突き当てられた状態で表示画面30Gの前方に出現し、それら表示変化部材45,45によって表示画面30Gの表示が拡大されて見えるようになる。
【0059】
ここで、表示変化部材45はサブ液晶表示装置41に組み付けられているため、サブ液晶表示装置41,41同士が互いに離れるときに、表示変化部材45がサブ液晶表示装置41つられて移動して、表示変化部材45,45同士の間に隙間が生じると、その隙間が形成された部分だけ表示画面30Gの表示が拡大されなくなり、遊技者に違和感を与えることとなる。
【0060】
しかしながら、本実施形態では、サブ液晶表示装置41,41と表示変化部材45,45を駆動する第1と第2の駆動モータ43,46は、駆動制御回路59によって、表示変化部材45が出現位置へ向かうときの第1の駆動モータ43の駆動トルクの大きさ及びサブ液晶表示装置41に対する相対移動速度の大きさが、サブ液晶表示装置41,41同士が互いに離れるときの第1の駆動モータ41の駆動トルク及びサブ液晶表示装置41の移動速度の大きさ以上となるように制御されるので、表示変化部材45がサブ液晶表示装置41につられて移動して、表示変化部材45,45同士の間に隙間が生じることが抑えられる。これにより、遊技者に違和感を与えることが抑制可能となる。
【0061】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態の図9図11に基づいて説明する。本実施形態は、上記第1実施形態を変形したものであり、図9(A)に示すように、液晶表示装置30の左側にのみ可動演出部材40を備えている。詳細には、本実施形態では、ガイドレール42が表示画面30Gの右端寄り位置まで延びていて、図9(A)から図10(A)への変化に示すように、サブ液晶表示装置41が表示画面30Gの左側部分の前方から右側部分の前方まで移動するようになっている。なお、本実施形態においては、図9(A)と図9(B)に示したサブ液晶表示装置31の位置をそれぞれ、待機位置、演出位置と呼ぶことにする。
【0062】
図9(A)に示すように、液晶表示装置30の右側部の前方には、遊技板11に固定された当接部材35が配置されている。この当接部材35は、図9(B)に示すように、奥行き方向の大きさが可動演出部材40の奥行き方向の大きさより若干大きくなっていて、サブ液晶表示装置41と表示変化部材45との両方に突き当て可能となっている。なお、図9図11に示した例では、当接部材35は、可動演出部材40とほぼ同じ高さの柱状をなしているが、表示装飾枠23(第1実施形態の図2参照)の一部として構成されてもよい。
【0063】
さて、本実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、可動演出部材40を用いて液晶駆動演出が行われる。具体的には、本実施形態では、液晶駆動演出が実行されると、図9(A)から図10(A)への変化に示すように、サブ液晶表示装置41が第1の駆動モータ43により駆動されて基準位置から演出位置へと配置され、図10(B)に示すように、サブ液晶表示装置41は、表示画面30Gの前方で当接部材35に突き当てられる。なお、図示はしないが、サブ液晶表示装置41が当接部材35に突き当てられた後、表示変化部材45が第2の駆動モータ46により駆動されて当接部材35に突き当てられる。
【0064】
表示変化部材45が当接部材35に突き当てられると、サブ液晶表示装置41が待機位置へと移動し、当接部材35から離れる(図11(A)参照)。このとき、表示変化部材45は、当接部材35との突き当て状態を保持するようにサブ液晶表示装置41と逆方向に移動して、サブ液晶表示装置41から突出する(図11(B)参照)。そして、表示画面30Gのうち表示変化部材45に覆われた部分が、拡大されて見えるようになる。
【0065】
このように、本実施形態の液晶駆動演出では、まず、可動演出部材40が駆動されて表示画面30Gの前方で当接部材35に突き当てられ、その後、可動演出部材40のうちサブ液晶表示装置41が当接部材35から離間する。すると、サブ液晶表示装置41の裏側に隠れていた表示変化部材455が当接部材35に突き当てられた状態で表示画面30Gの前方に出現する。
【0066】
本実施形態のその他の構成については、上記実施形態と同様になっているので、説明を省略する。本実施形態によれば、上記実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。
【0067】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態を図12図13に基づいて説明する。本実施形態は、上記第1実施形態を変形したものであり、可動演出部材の構成が異なっている。図12(A)に示すように、本実施形態では、液晶表示装置30の前側下方に、1対の可動演出部材40V,40Vが横並びに配置されている。なお、図12(A)の例では、可動演出部材40Vは、遊技板11の裏側に配置されているが、表側に配置されていてもよい。
【0068】
各可動演出部材40Vは、第1移動部材71と、第1移動部材71の裏側に組み付けられた第2移動部材72とで構成されている。1対の第1移動部材71,71は、円弧状をなし、第2の駆動モータ73から駆動力を受けて、前後方向と平行な軸を中心にして回動する。そして、図12(A)から図12(B)への変化に示すように、互いに逆方向に回転したときに、表示画面の前方30Gで突き当てられて合体状態となる。本実施形態では、1対の第1移動部材71,71は、共に、4分の1円の円弧状に形成され、合体状態で半円を形成する。なお、以下では、図12(A)と図12(B)に示した第1移動部材71の位置を、それぞれ「基準位置」、「演出位置」と呼ぶことにする。
【0069】
第2移動部材72は、第1移動部材71よりも径方向の幅が狭くなった円弧状をなし、第2の駆動モータ74により駆動されて第1移動部材71に対して相対移動可能となっている。具体的には、第2移動部材72は、第1移動部材と共通の回動軸を有して、第1移動部材71の移動経路に沿って回動可能となっている。また、第2の駆動モータ74は、第1移動部材71の裏側に取り付けられている。なお、1対の第2移動部材72,72は、第1移動部材71と同様にして、4分の1円の円弧状に形成されている。
【0070】
さて、本実施形態では、1対の可動演出部材40V,40Vを用いた駆動演出が実行される。この駆動演出では、まず、図12(A)から図12(B)への変化に示すように、1対の第1移動部材71,71が基準位置から演出位置へと移動して合体状態となる。このとき、1対の第2移動部材72,72は、合体状態の第1移動部材71,71の裏側で、互いに突き合わされて合体状態となり半円を形成する。即ち、図12(B)に示した状態では、1対の第1移動部材71,71と1対の第2移動部材72,72とが共に合体状態となっている。
【0071】
1対の第1移動部材71,71は、合体状態となった後、基準位置へと移動して違いに離れる。このとき、第2移動部材72は、図13(A)に示すように、その第2移動部材72が組み付けられている第1移動部材71と反対方向に回動し、1対の第2移動部材72,72は、合体状態に保持される。そして、第1移動部材71,71が基準位置へと戻ると、図13(B)に示すように、表示画面30Gの前方には、合体状態の第2移動部材72,72によって形成されて半円が配置される。そして、第2移動部材72,72が互いに離れるように回動すると、図12(A)に示した状態に戻り、駆動演出が終了する。
【0072】
第1と第2の駆動モータ73,74は、上記第1実施形態と同様の駆動制御回路59(第1実施形態の図8参照)によって制御される。ここで、駆動制御回路59は、1対の第1移動部材71,71が合体状態から互いに離れるときに、第2の駆動モータ74の駆動トルクの大きさが第1の駆動モータ73の駆動トルクの大きさ以上であって、第2移動部材72の第1移動部材71に対する相対回転速度が、第1移動部材71の回転速度以上となるように、第1と第2の駆動モータ73,74を制御する。詳細には、第1と第2の駆動モータ73,74のパルス速度は、第1と第2の移動部材71,72の回転速度にほぼ比例し、駆動制御回路59は、第2の駆動モータ74のパルス速度の大きさが第1の駆動モータ73のパルス速度の大きさ以上となるように、第1と第2の駆動モータ73,74を制御する。その結果、第2移動部材72,72は、第1移動部材71,71が互いに離れるときに、定位置に保持されるか、又は、互いに押し合うように駆動される。これにより、合体状態の第2移動部材72,72の間に隙間が生じることが抑えられ、遊技者に違和感を与えることが抑えられる。
【0073】
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0074】
(1)上記実施形態では、本発明をパチンコ遊技機に適用した例を示したが、スロットマシンに適用してもよい。
【0075】
(2)上記実施形態では、表示変化部材45は、拡散レンズであったが、例えば、カラーフィルターや有色透光材料等であってもよい。
【0076】
(3)上記実施形態において、液晶駆動演出が、表示画面30G,41Gの表示をする表示制御回路54と、第1と第2の駆動モータ43,46を制御する駆動制御回路59の2つの制御回路で実行される構成であったが、1つの制御回路で実行される構成としてもよい。この構成によれば、表示画面30Gと表示画面41Gとにまたがって文字等の画像を表示させる場合に、それら表示画面30G,41Gでの表示と、サブ液晶表示装置41の位置との整合が取り易くなる。なお、本構成では、その1つの制御回路が本発明の「駆動制御手段」に相当する。
【0077】
(4)上記第1実施形態において、駆動制御手段59は、サブ液晶表示装置41,41同士が突き当て状態になると同時に、表示変化部材46,46が突き当て状態となるように、第1と第2の駆動モータ43,46を制御してもよい。また、同様にして、上記第2実施形態においても、サブ液晶表示装置41と表示変化部材45とが、同時に当接部材35に突き当てられてもよい。
【0078】
(5)上記第1〜第2実施形態では、本発明の「第1移動部材」が表示部(表示画面41G)を備えた表示装置(サブ液晶表示装置41)であったが、表示部を備えない役物であってもよい。なお、この場合、表示変化部材45は、役物の表側、裏側の何れに配置されてもよい。
【0079】
(6)上記第1〜第2実施形態では、表示変化部材45は、サブ液晶表示装置41の裏側に配置されていたが、表側に配置されてもよい。
【0080】
(7)上記第1実施形態では、サブ液晶表示装置41,41が互いに離れるときの表示変化部材45のサブ液晶表示装置に対する相対移動の方向は、サブ液晶表示装置41の移動方向の真逆であったが、サブ液晶表示装置41の反対側へ向かう方向であれば何れの方向でもよい。具体的には、図14に示すように、サブ液晶表示装置41の移動方向に対して斜めであってもよい。なお、図14(A)から図14(B)の変化、図14(B)から図14(C)への変化のそれぞれは、は、上記第1実施形態における図3(A)から図5(A)の変化、図5(A)から図6(A)への変化に対応する。本構成は、上記第2実施形態に適用されてもよい。
【0081】
(8)上記第1実施形態では、サブ液晶表示装置41,41が互いに離れる際の第1と第2の駆動モータ43,46の駆動トルク及びパルス速度の具体的な値として、第2の駆動モータ46の駆動トルク及びパルス速度が第1の駆動モータ43の駆動トルク及びパルス速度よりも大きい例を示したが、第1の駆動モータ43の駆動トルク及びパルス速度と同じ値であってもよい。また、サブ液晶表示装置41,41が互いに離れる際に表示変化部材45がサブ液晶表示装置41につられて移動する虞を低減するものであれば、第1と第2の駆動モータ43,46の駆動トルク及びパルス速度は、サブ液晶表示装置41及び表示変化部材45の重さに応じて、適宜変更されてもよい。その際、1対の第1の駆動モータ43,43の間で、駆動トルク及びパルス速度を異ならせてもよい。また、同様に、1対の第2の駆動モータ46,46の間で、駆動トルク及びパルス速度を異ならせてもよい。
【0082】
(9)上記実施形態では、各駆動モータ43,46とサブ液晶表示装置41及び表示変化部材45とを連結するために、ラックアンドピニオン機構を用いた例を示したが、それに限るものでなく、例えば、複数のギアを用いる構成等、各駆動モータ43,46によりサブ液晶表示装置41及び表示変化部材45を駆動する機構であればよい。
【0083】
(10)上記実施形態及び上記(9)の構成において、動力伝達に用いるギアの歯数等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更されてもよい。
【0084】
なお、上記実施形態では、駆動源としてモータを用い、その駆動トルク及びパルス速度を制御する構成であったが、これを上位概念化すれば、力のモーメントにより第1と第2の移動部材(サブ液晶表示装置41及び表示変化部材45)の移動速度を変化させる駆動源を用い、その力のモーメントに関連する駆動源のパラメータを制御する構成となる。そして、この上位概念化した構成によっても、本発明と同様の効果を奏することが可能となる。
【符号の説明】
【0085】
10 遊技機
30 液晶表示装置
30G 表示画面(表示部)
35 当接部材
40,40V 可動演出部材(当接部材)
41 サブ液晶表示装置(第1移動部材)
41G 表示画面(サブ表示部)
42 第1の駆動モータ(第1の駆動源)
45 表示変化部材(第2移動部材)
46 第2の駆動モータ(第2の駆動源)
59 駆動制御回路
71 第1移動部材
72 第2移動部材
【要約】
【課題】遊技者に違和感を与えることを抑制可能な遊技機の提供を目的とする。
【解決手段】本発明に係るパチンコ遊技機10では、第1の駆動モータ43,43により駆動されるサブ液晶表示装置41,41が、互いに接近し、表示画面30Gの前方で互いに突き合わされる。そして、サブ液晶表示装置41,41が互いに離れるときに、サブ液晶表示装置41の裏側に組み付けられた表示変化部材45が、第2の駆動モータ46によってサブ液晶表示装置41と逆方向に駆動され、突き当て状態で出現する。そして、本発明では、サブ液晶表示装置41,41が互いに離れるときに、表示変化部材45がサブ液晶表示装置41から突出する速度が、サブ液晶表示装置41の速度以上となるように、第1と第2の駆動モータ43,46が制御される。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14