(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5757097
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】ビットマップフォント表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 5/24 20060101AFI20150709BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20150709BHJP
G09G 5/22 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
G09G5/24 650M
G09G5/00 550P
G09G5/00 550D
G09G5/22 650M
G09G5/24 620F
G09G5/24 670
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-21499(P2011-21499)
(22)【出願日】2011年2月3日
(65)【公開番号】特開2012-163589(P2012-163589A)
(43)【公開日】2012年8月30日
【審査請求日】2013年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】栗山 和也
【審査官】
小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平1−166091(JP,A)
【文献】
特開平6−259426(JP,A)
【文献】
特開2004−21831(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00−5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CPUの指令でフラッシュメモリに保持されているビットマップフォントをVRAMに展開し、グラフィックコントローラによりディスプレーに転送して表示させるビットマップフォント表示装置において、
前記CPUの指令で起動されるフォント管理ユニット及び外部インタフェースを介して取得するマスタービットマップフォントデータまたはマスターベクターフォントデータを保持するマスターフォントデータ保持手段を備え、
前記フォント管理ユニットは、
システム初期化時に、前記フラッシュメモリにあらかじめ格納されている、文字列ID及び言語IDにより定義される文字列のコードを出力する文字列コードテーブルと、前記外部インタフェースを介して与えられる前記マスタービットマップフォントデータまたは前記マスターベクターフォントデータに基づき、
アドレス入力により表示すべき文字列のインデックスを出力する文字列インデックステーブルと、
前記文字列ID及び言語IDにより、前記文字列インデックステーブルへのアドレスを出力する文字列インデックステーブル管理テーブルと、
文字コードを入力し、当該文字コードに対応するインデックスを出力する文字コード・インデックス対応テーブルと、
前記文字コード・インデックス対応テーブルから出力されるインデックスを入力し、前記インデックスに対応する文字コードのビットマップフォントのパターンデータを出力するビットマップフォントテーブルと、
を生成して前記フラッシュメモリに格納することを特徴とするビットマップフォント表示装置。
【請求項2】
前記フォント管理ユニットは、
システム初期化時、または外部入力文字コードの取得時に、前記文字列コードテーブルまたは前記外部入力文字コードから1つの文字コードを読み出したとき、この文字コードに対応したビットマップフォントが前記文字コード・インデックス対応テーブルにある場合には、このインデックスから前記ビットマップフォントテーブルを参照してビットマップフォントを取り出して表示させ、全文字列の表示処理を実行することを特徴とする請求項1に記載のビットマップフォント表示装置。
【請求項3】
前記フォント管理ユニットは、
システム初期化時、または外部入力文字コードの取得時に、前記文字列コードテーブルまたは前記外部入力文字コードから1つの文字コードを読み出したとき、この文字コードに対応したビットマップフォントが前記文字コード・インデックス対応テーブルになく、かつ、システムがビットマップフォント対応の場合には、前記文字コードで前記マスタービットマップフォントデータを検索すると共に、前記文字コードに対応したインデックスとの組みを前記文字コード・インデックス対応テーブルに登録し、前記検索でマッチングしたビットマップフォントを前記ビットマップフォントテーブルの空きインデックス・スロットに登録し、このインデックスから前記ビットマップフォントテーブルを参照してビットマップフォントを取り出して前記グラフィックコントローラを駆動して表示させ、全文字列の表示処理を実行することを特徴とする請求項1に記載のビットマップフォント表示装置。
【請求項4】
前記フォント管理ユニットは、
システム初期化時、または外部入力文字コードの取得時に、前記文字列コードテーブルまたは前記外部入力文字コードから1つの文字コードを読み出したとき、この文字コードに対応したビットマップフォントが前記文字コード・インデックス対応テーブルになく、かつ、システムがベクターフォント対応の場合には、前記マスターベクターフォントデータをビットマップデータに変換し、前記文字コードによりビットマップ変換されたマスターフォントデータを検索すると共に、前記文字コードに対応したインデックスとの組みを前記文字コード・インデックス対応テーブルに登録し、前記検索でマッチングしたビットマップフォントを前記ビットマップフォントテーブルの空きインデックス・スロットに登録し、このインデックスから前記ビットマップフォントテーブルを参照してビットマップフォントを取り出して前記グラフィックコントローラを駆動して表示させ、全文字列の表示処理を実行することを特徴とする請求項1に記載のビットマップフォント表示装置。
【請求項5】
前記フォント管理ユニットは、
システム通常稼動時に、前記CPUより渡される指定座標、文字列IDを含む表示要求メッセージのパラメータに基づき、前記文字列インデックステーブル管理テーブルから前記文字列インデックステーブルのアドレスを取得し、このアドレスから前記ビットマップフォントテーブルにアクセスしてビットマップフォントを取り出し、前記指定座標を基点として前記VRAMに書き込み、前記グラフィックコントローラを駆動して表示させ、全文字列の表示処理を実行することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のビットマップフォント表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPUの指令でフラッシュメモリに保持されているビットマップフォントをVRAMに展開し、グラフィックコントローラによりディスプレーに転送して表示させるビットマップフォント表示装置に関し、特に産業用組み込み機器に適用して有効なビットマップフォント表示装置を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来のビットマップフォント表示装置の構成例を示す機能ブロック図である。システムバス上に、フラッシュメモリ101、システムメモリ102、外部記憶インタフェース103、外部通信インタフェース104、グラフィックコントローラ105、ディスプレー106、VRAM107、機器本体のプロセッサーであるCPU108が接続されている。
【0003】
以下に説明する従来および本発明のビットマップフォント表示装置は、メモリサイズが大きくなる多言語ビットマップフォントを例示して説明するが、これに限定されるものではなく、1言語でも表示文字列情報が極めて多いビットマップフォント場合に有効に適用できる。また、「文字列」の表記には、記号を含むものとする。
【0004】
フラッシュメモリ101は、ブートプログラム、計測・制御プログラム、初期データ、文字列コード、全文字(フルセット)のビットマップフォントを内蔵している。
【0005】
システムメモリ102は、ブートプログラムにより、計測・制御プログラムと初期データが展開される。また、計測・制御プログラムに実行が移行した後、予め設定された言語モードに従ってフラッシュメモリ101に格納された当該言語の文字フォントが展開される。
【0006】
外部記憶インタフェース103には、ハードディスク、CDROMドライブ、USBメモリ、SDメモリなどが接続される。外部通信インタフェース104は、イーサネット(登録商標)、フィールドバス、無線回線などとのインタフェースであり、これらの回線を通じて分散制御システムやハンディターミナルとデータの交換を行う。
【0007】
グラフィックコントローラ105は、CPU108の指令に従って、ディスプレー106に固定画面の表示、メッセージ、データなどを表示する。表示に必要な文字や記号のビットマップフォントは、CPU108がシステムメモリ102に展開された全文字のビットマップフォントから文字コードで検索して、当該文字や記号のビットマップフォントをVRAM107に展開する。
【0008】
ディスプレー106は、一般的なカラー液晶ディスプレーである。VRAM107は、ディスプレー106に表示されるビットマップフォントを展開して格納しており、グラフィックコントローラ105によって、その全体および部分が、ディスプレー106にDMA転送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−318894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来装置では次のような問題がある。
(1)産業用組み込み機器に適用されるビットマップフォント表示装置では、フラッシュメモリ101およびシステムメモリ102のコスト制約から、大容量の多言語ビットマップフォント(数十MB)を組み込むことは不可能であった。
【0011】
(2)産業用組み込み機器は、通常固定表示で、携帯電話やカーナビなどのように任意の文字コードが通信から入ってくることはないが、実際に使用されない文字のビットマップフォント(フルセット)まで組み込んでいた。また、24ドット以上の大型ビットマップフォントを使用する場合は、ハードディスクが必要になる場合もある。
【0012】
(3)文字コードによるビットマップフォントテーブル検索のオーバーヘッドは大きく、CPUの負担が大きい。また、キーボードや通信インタフェースから任意の文字コードが入力された場合に文字化けする場合もある。
【0013】
本発明の目的は、表示に必要な文字のビットマップフォントだけをフラッシュメモリに組み込み、必要メモリサイズを最小限としたビットマップフォント表示装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような課題を達成するために、本発明は次の通りの構成になっている。
(1)CPUの指令でフラッシュメモリに保持されているビットマップフォントをVRAMに展開し、グラフィックコントローラによりディスプレーに転送して表示させるビットマップフォント表示装置において、
前記CPUの指令で起動されるフォント管理ユニット
及び外部インタフェースを介して取得するマスタービットマップフォントデータまたはマスターベクターフォントデータを保持するマスターフォントデータ保持手段を備え、
前記フォント管理ユニットは、
システム初期化時に、前記フラッシュメモリにあらかじめ格納されている
、文字列ID及び言語IDにより定義される文字列のコードを出力する文字列コードテーブルと、
前記外部インタフェースを介して与えられる
前記マスタービットマップフォントデータまたは前記マスターベクターフォントデータに基づき、
アドレス入力により表示すべき文字列のインデックスを出力する文字列インデックステーブルと、
前記文字列ID及び言語IDにより、前記文字列インデックステーブルへのアドレスを出力する文字列インデックステーブル管理テーブルと、
文字コードを入力し、当該文字コードに対応するインデックスを出力する文字コード・インデックス対応テーブルと、
前記文字コード・インデックス対応テーブルから出力されるインデックスを入力し、前記インデックスに対応する文字コードのビットマップフォントのパターンデータを出力するビットマップフォントテーブルと、
を生成して前記フラッシュメモリに格納することを特徴とするビットマップフォント表示装置。
【0015】
(2)前記フォント管理ユニットは、
システム初期化時、または外部入力文字コードの取得時に、前記文字列コードテーブルまたは前記外部入力文字コードから1つの文字コードを読み出したとき、この文字コードに対応したビットマップフォントが前記文字コード・インデックス対応テーブルにある場合には、この
インデックスから前記ビットマップフォントテーブルを参照してビットマップフォントを取り出して表示させ、全文字列の表示処理を実行することを特徴とする(1)に記載のビットマップフォント表示装置。
【0016】
(3)前記フォント管理ユニットは、
システム初期化時、または外部入力文字コードの取得時に、前記文字列コードテーブルまたは前記外部入力文字コードから1つの文字コードを読み出したとき、この文字コードに対応したビットマップフォントが前記文字コード・インデックス対応テーブルになく、かつ、システムがビットマップフォント対応の場合には、前記文字コードで前記
マスタービットマップフォントデータを検索すると共に、前記文字コードに対応した
インデックスとの組みを前記文字コード・インデックス対応テーブルに登録し、前記検索でマッチングしたビットマップフォントを前記ビットマップフォントテーブルの空きインデックス・スロットに登録し、この
インデックスから前記ビットマップフォントテーブルを参照してビットマップフォントを取り出して前記グラフィックコントローラを駆動して表示させ、全文字列の表示処理を実行することを特徴とする(1)に記載のビットマップフォント表示装置。
【0017】
(4)前記フォント管理ユニットは、
システム初期化時、または外部入力文字コードの取得時に、前記文字列コードテーブルまたは
前記外部入力文字コードから1つの文字コードを読み出したとき、この文字コードに対応したビットマップフォントが前記文字コード・インデックス対応テーブルになく、かつ、システムが
ベクターフォント対応の場合には、前記マスターベクターフォントデータをビットマップデータに変換し、前記文字コードによりビットマップ変換されたマスターフォントデータを検索すると共に、前記文字コードに対応したインデックスとの組みを前記文字コード・インデックス対応テーブルに登録し、前記検索でマッチングしたビットマップフォントを前記ビットマップフォントテーブルの空きインデックス・スロットに登録し、このインデックスから前記ビットマップフォントテーブルを参照してビットマップフォントを取り出して前記グラフィックコントローラを駆動して表示させ、全文字列の表示処理を実行することを特徴とする(1)に記載のビットマップフォント表示装置。
【0018】
(5)前記フォント管理ユニットは、
システム通常稼動時に、前記CPUより渡される指定座標、文字列IDを含む表示要求メッセージのパラメータに基づき、前記文字列インデックステーブル管理テーブルから前記
文字列インデックステーブルのアドレスを取得し、このアドレスから前記ビットマップフォントテーブルにアクセスしてビットマップフォントを取り出し、前記指定座標を基点として前記VRAMに書き込み、前記グラフィックコントローラを駆動して表示させ、全文字列の表示処理を実行することを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載のビットマップフォント表示装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、次のような効果を期待することができる。
(1)メモリコストの削減:
フルセットのオリジナルフォントデータであるマスタービットマップフォントデータは、システムの初期化(初期化処理は、一回だけでよい)時に、外部記憶インタフェース103から与えられ、稼動時には不要となるので、フラッシュメモリ101およびシステムメモリ102のコスト削減に有効である。
【0020】
ちなみに、
図2で例示した12言語分の多言語ビットマップフォントデータの格納に必要なメモリサイズは、フォントサイズ12ドット、14ドット、16ドットで、書体がレギュラー、イタリック、ボールドの場合、約20MBを必要とする。本発明の適用で、これを1MB程度とすることが可能であり、必要容量は1/20に削減される。
【0021】
(2)液晶表示の高速化:
本発明の各種テーブルへのアクセスは、インデックス(配列の要素番号)で行うので、通常の「文字コード検索」のオーバーヘッドがない。従って、表示スピードは、文字列の文字数、フォントサイズ、書体の種類の違い以外は、ほぼ一定で、高速化を図ることができる。
【0022】
(3)CPU負荷の軽減:
表示専用のフォント管理ユニット109の新設により、CPU108は表示負荷が軽減され、本来の処理に専念することができる。
【0023】
(4)動的な文字コードの識別:
通信から入ってくる文字コードを、新規か既登録かを動的に識別し、表示しながら、フラッシュメモリに蓄積することができる。キーボードや通信インタフェースから動的に任意文字コードが入力された場合も、文字化けすることがなく、表示することができる。
【0024】
(5)フォントのアップデート:
多言語文字ビットマップフォントデータを外付けとすることで、ビットマップフォントのアップデート管理が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明を適用したビットマップフォント表示装置の一実施例を示す機能ブロック図である。
【
図3】文字列インデックステーブルのイメージ図である。
【
図4】文字列インデックステーブル管理テーブルのイメージ図である。
【
図5】多言語ビットマップフォントテーブルのイメージ図である。
【
図6】多言語ビットマップフォントデータのイメージ図である。
【
図7】文字コード・インデックス管理テーブルのイメージ図である。
【
図8】フォント管理ユニットの初期化動作シーケンスを説明するフローチャートである。
【
図9】フォント管理ユニットの通常稼動動作時のシーケンスを説明するフローチャートである。
【
図10】フォント管理ユニットのオンライン文字コード変換動作シーケンスを説明するフローチャートである。
【
図11】従来のビットマップフォント表示装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明を適用したビットマップフォント表示装置の一実施例を示す機能ブロック図である。
図11で説明した従来構成と同一要素には同一符号を付して説明を省略する。
【0027】
図11に示した従来構成に追加される本発明の構成上の特徴部は、システムバスに接続されたフォント管理ユニット109および多言語用マスターフォントデータ保持手段114の新設である。
【0028】
フォント管理ユニット109は、システム初期化時に、CPU108の指示に従って、フラッシュメモリ101内に予め格納された文字列コードテーブル110と、外部記憶インタフェース103を介して多言語用マスターフォントデータ保持手段114から与えられるオリジナルのマスタービットマップフォントデータから、文字表示に必要な文字列インデックステーブル111、文字列インデックステーブル管理テーブル112、必要最小限の多言語ビットマップフォントテーブル113、文字コード・インデックス対応テーブル115を生成し、フラッシュメモリ101に格納する。
【0029】
図2は、文字列コードテーブルのイメージ図である。文字列コードテーブル110は、組み込み機器のフラッシュメモリ101に、予め組み込まれているテーブルであり、機器で使用する文字列が、言語ID、文字列IDの2次元配列で定義されている。文字列コードは、Unicodeまたはローカルコードで定義されている。
【0030】
図3(A)は、文字列インデックステーブルのイメージ図である。文字列インデックステーブル111は、システムの初期化時に、文字列コードテーブル110と多言語用マスターフォントデータ保持手段114のマスタービットマップフォントデータから自動生成されるテーブルである。
図3(B)に、データ形式を示す。
【0031】
図4(A)は、文字列インデックステーブル管理テーブルのイメージ図である。文字列インデックステーブル管理テーブル112は、システムの初期化時に、文字列コードテーブル110と多言語用マスターフォントデータ保持手段114のマスタービットマップフォントデータから自動生成されるテーブルである。
【0032】
図4(B)に、データ形式を示す。言語ID、文字列ID,の2次元配列で構成され、文字列インデックステーブル111へのアドレスが登録されている。
【0033】
図5(A)は、多言語ビットマップフォントテーブルのイメージ図である。多言語ビットマップフォントテーブル113は、システムの初期化時に、文字列コードテーブル110と多言語用マスターフォントデータ保持手段114のマスタービットマップフォントデータから自動生成されるテーブルである。
【0034】
図5(B)に、データ形式を示す。文字列コードテーブル110の各文字に対応したビットマップフォントが、重複なく出現した順番に登録されたテーブルであり、文字列コードテーブル110に定義された全言語のビットマップフォントが一括登録される。
【0035】
図6(A)は、多言語用マスターフォントデータ保持手段114で保持されるマスタービットマップフォントデータのイメージ図である。このマスタービットマップフォントデータは、システムの初期化時に、外部記憶インタフェース103を介して、多言語用マスターフォントデータ保持手段114から与えられる、12×12ドットのフルセットのオリジナルフォントデータテーブル例である。
図6(B)に、データ形式を示す。
【0036】
図7は、文字コード・インデックス管理テーブルのイメージ図である。文字コード・インデックス管理テーブル115は、システムの初期化時に、文字列コードテーブル110と多言語用マスターフォントデータ保持手段114のマスタービットマップフォントデータから自動生成されるテーブルであり、文字コードに対するインデックス値、文字が定義されている。
【0037】
図8は、フォント管理ユニットの初期化動作シーケンスを説明するフローチャートである。文字列が変更されなければ、初期化は一回だけでよい。ステップS1で初期化動作が開始すると、ステップS2では文字列コードテーブル110から1つの文字コードを読み出す。
【0038】
ステップS3のチェックで、読み出した文字コードに対応したビットマップフォントが文字コード・インデックス対応テーブル115にある場合には、ステップS4でこのインデックス値から多言語ビットマップフォントテーブル113を参照してビットマップフォントを取り出し、初期画面を、グラフィックコントローラ105を駆動して表示させる。
【0039】
ステップS5のチェックで、1文字列全ての処理の終了が確認され、次のステップS6チェックで、全文字列の処理の終了が確認されれば、ステップS7で初期化動作の処理を終了する。
【0040】
ステップS3のチェックで、読み出した文字コードに対応したビットマップフォントが文字コード・インデックス対応テーブル115になく、かつ、ステップS8のチェックでシステムがビットマップフォント対応の場合には、ステップS9に進む。
【0041】
ステップS9では、外部記憶インタフェース103を介して与えられる多言語用マスターフォントデータ保持手段114のマスタービットマップフォントデータ(フルセットのビットマップフォントデータ)を文字コードで検索する。
【0042】
ステップS10では、文字コードに対応したインデックス値との組みを前記文字コード・インデックス対応テーブル115に登録する。更に、ステップS11では、検索でマッチングしたビットマップフォントを多言語ビットマップフォントテーブル113の空きインデックス・スロットに登録し、前記したステップS4乃至S7の処理を実行して初期化動作の処理を終了する。
【0043】
ステップS3のチェックで、読み出した文字コードに対応したビットマップフォントが文字コード・インデックス対応テーブル115になく、かつ、ステップS8のチェックでシステムがベクターフォント対応の場合には、ステップS12に進む。
【0044】
ステップS12では、外部記憶インタフェース103を介して与えられる多言語用マスターフォントデータ保持手段114のマスターベクターフォントデータをビットマップデータに変換し、変換されたビットマップフォントを文字コードにより検索する。
【0045】
以下、前記したステップS10およびステップS11の処理に進み、更に前記したステップS4乃至S7の処理を実行して初期化動作の処理を終了する。
【0046】
図9は、フォント管理ユニット109の通常稼動動作時のシーケンスを説明するフローチャートである。ステップS1で1文字列単位の通常稼動動作を開始すると、ステップS2では、CPU108より渡される指定座標、言語ID、文字列IDよりなる表示要求メッセージのパラメータがフォント管理ユニット109に送られる。
【0047】
ステップS3では、CPU108から送られたパラメータ(指定座標、言語ID、文字列ID)に基づき、文字列インデックステーブル管理テーブル112から文字列インデックステーブル111のアドレスを取得する。
【0048】
ステップS4では、このアドレスからビットマップフォントテーブル113にアクセスしてインデックス番号に対応したビットマップフォントを取り出し、指定座標を基点としてVRAM107に書き込む。
【0049】
ステップS5チェックで、1文字列すべての文字の処理を確認し、ステップS6でグラフィックコントローラ105を駆動して表示させ、ステップS7で1文字列の表示動作を終了する。
【0050】
図10は、フォント管理ユニットのオンライン文字コード変換動作シーケンスを説明するフローチャートである。このフローの動作は、外部通信インタフェース104から入力される動的な文字コード識別動作である。この動作を可能とするためには、多言語用マスターフォントデータ保持手段114のマスタービットマップフォントデータを常時読み込み可能に接続しておく必要がある。
【0051】
この処理フローは、
図8で説明した初期化処理のフローと近似している。ステップS1で文字コード変換動作が開始すると、ステップS2では外部通信インタフェース104から1つの文字コードを読み出す。
【0052】
ステップS3のチェックで、読み出した文字コードに対応したビットマップフォントが文字コード・インデックス対応テーブル115にある場合には、ステップS4でこのインデックス値から多言語ビットマップフォントテーブル113を参照してビットマップフォントを取り出し、グラフィックコントローラ105を駆動して表示させる。
【0053】
ステップS5のチェックで、入力した全文字列の処理の終了が確認されれば、ステップS6で文字コード変換動作の処理を終了する。
【0054】
ステップS3のチェックで、読み出した文字コードに対応したビットマップフォントが文字コード・インデックス対応テーブル115になく、かつ、ステップS8のチェックでシステムがビットマップフォント対応の場合には、ステップS9に進む。
【0055】
ステップS9では、外部記憶インタフェース103を介して与えられる多言語用マスターフォントデータ保持手段114のマスタービットマップフォントデータ(フルセットのビットマップフォントデータ)を文字コードで検索する。
【0056】
ステップS10では、文字コードに対応したインデックス値との組みを前記文字コード・インデックス対応テーブル115に登録する。更に、ステップS11では、検索でマッチングしたビットマップフォントをビットマップフォントテーブル113の空きインデックス・スロットに登録し、前記したステップS4乃至S6の処理を実行して変換動作の処理を終了する。
【0057】
ステップS3のチェックで、読み出した文字コードに対応したビットマップフォントが文字コード・インデックス対応テーブル115になく、かつ、ステップS8のチェックでシステムがベクターフォント対応の場合には、ステップS12に進む。
【0058】
ステップS12では、外部記憶インタフェース103を介して与えられるマスターフォントデータ保持手段114の多言語用マスターベクターフォントデータをビットマップデータに変換し、変換されたビットマップフォントを文字コードにより検索する。
【0059】
以下、前記したステップS10およびステップS11の処理に進み、更に前記したステップS4乃至S6の処理を実行して変換動作の処理を終了する。
【0060】
本発明では、ビットマップフォントを例に説明したが、ベクターフォントでも同様である。特に、ベクターフォントのラスタライズ負荷は、初回の初期化時に限定することができる。
【0061】
本発明は、ITRONベースまたは非OS搭載のすべての組み込み機器製品、例えば、フィールド製品、通信・測定器、PLCなどに有効に適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
101 フラッシュメモリ
102 システムメモリ
103 外部記憶インタフェース
104 外部通信インタフェース
105 グラフィックコントローラ
106 ディスプレー
107 VRAM
108 CPU
109 フォント管理ユニット
110 文字列コードテーブル
111 文字列インデックステーブル
112 文字列インデックステーブル管理テーブル
113 多言語ビットマップフォントテーブル
114 多言語マスターフォントデータ保持手段
115 文字コード・インデックス対応テーブル