(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5757277
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】軒下の壁際化粧構造
(51)【国際特許分類】
E04B 9/02 20060101AFI20150709BHJP
E04B 9/00 20060101ALI20150709BHJP
E04F 19/02 20060101ALI20150709BHJP
E04F 19/04 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
E04B5/60 F
E04B5/52 U
E04F19/02 B
E04F19/04 A
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-170178(P2012-170178)
(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公開番号】特開2014-29079(P2014-29079A)
(43)【公開日】2014年2月13日
【審査請求日】2014年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142572
【弁理士】
【氏名又は名称】水内 龍介
(74)【代理人】
【識別番号】100084629
【弁理士】
【氏名又は名称】西森 正博
(72)【発明者】
【氏名】木村 昇平
(72)【発明者】
【氏名】永原 左知子
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大
【審査官】
星野 聡志
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭62−112029(JP,U)
【文献】
特開平09−302907(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0166529(US,A1)
【文献】
特開平07−189474(JP,A)
【文献】
特開平10−183912(JP,A)
【文献】
実開平03−128148(JP,U)
【文献】
実開昭59−022848(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/02
E04B 9/00
E04F 19/02
E04F 19/04
E04D 13/152
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軒下における外壁面(1)と軒天井面(2)との間の壁際コーナー部(3)に、外壁面(1)と軒天井面(2)との境界部分に配設した通気機能を有する見切り部材(10)を覆い隠す化粧用部材(20)が設けられた軒下の壁際化粧構造であって、前記化粧用部材(20)は、前記外壁面(1)に横方向に間隔をあけて取り付けられた複数の支持材(21)と、これら支持材(21)を覆い隠すようにして、これら支持材(21)に跨って横並びに取り付けられた複数の化粧材(22)とを備え、前記支持材(21)は、前記外壁面(1)に固定された固定体(25)と、この固定体(25)の上端部付近から前記軒天井面(2)に沿って張り出した張出体(26)とを備え、前記張出体(26)の先端部に、前記軒天井面(2)に対して隙間をあけて上側係止部(28)が設けられ、前記固定体(25)の下端部に、前記外壁面(1)に対して隙間をあけて下側係止部(29)が設けられて、前記化粧材(22)の上端部(50)を前記上側係止部(28)に係止させることで、前記軒天井面(2)と前記化粧材(22)の上端部(50)との間に、前記化粧材(22)の裏側空間(S2)へ外気を取り込むための第1の通気用隙間(80)が確保され、前記化粧材(22)の下端部(51)を前記下側係止部(29)に係止させることで、前記外壁面(1)と前記化粧材(22)の下端部(51)との間に、前記化粧材(22)の裏側空間(S2)へ外気を取り込むための第2の通気用隙間(81)が確保されたことを特徴とする軒下の壁際化粧構造。
【請求項2】
前記固定体(25)の上端部に、前記張出体(26)よりも上方へ突出した位置出し部(27)が設けられ、この位置出し部(27)を前記見切り部材(10)に当接させることで、前記支持材(21)が前記外壁面(1)の所定高さ位置に位置決めされた請求項1記載の軒下の壁際化粧構造。
【請求項3】
前記上側係止部(28)は、前記化粧材(22)の上端部(50)を仮置きする仮置き部位(44)と、この仮置き部位(44)に仮置きされた前記化粧材(22)の上端部(50)を水平方向へ押し込むことで、前記化粧材(22)の上端部(50)を仮置き状態から係止状態へ移行させるガイド部位(45)とを備えた請求項1又は2記載の軒下の壁際化粧構造。
【請求項4】
前記上側係止部(28)と前記化粧材(22)の上端部(50)との間、及び、前記下側係止部(29)と前記化粧材(22)の下端部(51)との間に、緩衝材(38)が介在された請求項1乃至3のいずれかに記載の軒下の壁際化粧構造。
【請求項5】
前記化粧材(22)の一方の側端部(53)に、側方へ張り出したジョイント部(54)が設けられ、隣接する前記化粧材(22)の他方の側端部(53)を前記ジョイント部(54)に重ね合わせた状態で、前記化粧材(22)の側端部(53)同士が接続された請求項1乃至4のいずれかに記載の軒下の壁際化粧構造。
【請求項6】
前記化粧材(22)における上端部(50)と下端部(51)との間の中間部(52)は、前記外壁面(1)と軒天井面(2)との境界部分へ向けて凹むように湾曲され、この中間部(52)の下端部分に、下方へ突出した水切り片(65)が形成された請求項1乃至5のいずれかに記載の軒下の壁際化粧構造。
【請求項7】
前記化粧材(22)における上端部(50)に、下方へ突出した水切り片(60)が形成された請求項6記載の軒下の壁際化粧構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として住宅の軒下における外壁面と軒天井面との間の壁際コーナー部を装飾するための軒下の壁際化粧構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、住宅の軒下における外壁面と軒天井面との間の壁際コーナー部に、モールディング(廻り縁)と称される化粧材を横方向に連続して設けることで、水平ラインを強調した洋風の外観とすることが行われている。
【0003】
このような化粧材の施工に際して、外壁面と軒天井面との境界部分に見切り材が配設されていると、この見切り材を覆い隠すようにして化粧材を取り付けるようにしている。
【0004】
ところが、見切り材としては、軒裏換気のため(軒裏空間へ外気を取り込むため)の通気口が形成されたものがあり、このような通気機能を有する見切り材を単なる化粧材によって覆い隠してしまうと、通気効率が悪くなって、軒裏換気に支障をきたすことがあった。
【0005】
化粧材としては、通気口が形成されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この種の化粧材を使用することで、通気機能を有する見切り材を覆い隠しても、軒裏空間へ外気を導く通気経路が確保されて、軒裏換気を支障なく行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−125588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、化粧材に通気口を形成する場合には、化粧材の形状の自由度が制限されて、化粧材のデザイン性が損なわれるとともに、場合によっては外部から通気口が見えてしまって、見栄えが悪くなることもあった。
【0008】
かといって、通気口の開口面積を極力小さくしたり、通気口の個数を極力減らすようにすると、通気効率が悪くなって、軒裏換気に支障をきたすといった不具合があった。
【0009】
一方、化粧材を外壁面から僅かに離間させた状態で、軒天井面に取り付けることで、外壁面と化粧材との間に通気用隙間を確保したり、化粧材を軒天井面から僅かに離間させた状態で、外壁面に取り付けることで、軒天井面と化粧材との間に通気用隙間を確保することもある。
【0010】
この場合には、化粧材に通気口を形成しなくても済むことになり、しかも通気用隙間は横方向に連続して配されるので、外部から見えることがあっても違和感を与えることはないが、通気用隙間を良好に確保しながらの化粧材の取付作業は煩雑であって、化粧材の新設だけでなく、化粧材の付け直しを伴う交換やメンテナンスも面倒になっていた。さらに、化粧材は片持ち支持された不安定な状態で取り付けられることから、化粧材に揺れやガタ付きが生じ易くなるといった不具合もあった。
【0011】
この発明は、上記の不具合を解消して、デザイン性に優れた化粧材を簡単且つ安定して取り付けることができ、見栄えを良好に維持しながら軒裏換気を実現することができる軒下の壁際化粧構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、この発明の軒下の壁際化粧構造は、軒下における外壁面1と軒天井面2との間の壁際コーナー部3に、外壁面1と軒天井面2との境界部分に配設した通気機能を有する見切り部材10を覆い隠す化粧用部材20が設けられたものであって、前記化粧用部材20は、前記外壁面1に横方向に間隔をあけて取り付けられた複数の支持材21と、これら支持材21を覆い隠すようにして、これら支持材21に跨って横並びに取り付けられた複数の化粧材22とを備え、前記支持材21は、前記外壁面1に固定された固定体25と、この固定体25の上端部付近から前記軒天井面2に沿って張り出した張出体26とを備え、前記張出体26の先端部に、前記軒天井面2に対して隙間をあけて上側係止部28が設けられ、前記固定体25の下端部に、前記外壁面1に対して隙間をあけて下側係止部29が設けられて、前記化粧材22の上端部50を前記上側係止部28に係止させることで、前記軒天井面2と前記化粧材22の上端部50との間に、前記化粧材22の裏側空間S2へ外気を取り込むための第1の通気用隙間80が確保され、前記化粧材22の下端部51を前記下側係止部29に係止させることで、前記外壁面1と前記化粧材22の下端部51との間に、前記化粧材22の裏側空間S2へ外気を取り込むための第2の通気用隙間81が確保されたことを特徴とする。
【0013】
そして、前記固定体25の上端部に、前記張出体26よりも上方へ突出した位置出し部27が設けられ、この位置出し部27を前記見切り部材10に当接させることで、前記支持材21が前記外壁面1の所定高さ位置に位置決めされている。
【0014】
また、前記上側係止部28は、前記化粧材22の上端部50を仮置きする仮置き部位44と、この仮置き部位44に仮置きされた前記化粧材22の上端部50を水平方向へ押し込むことで、前記化粧材22の上端部50を仮置き状態から係止状態へ移行させるガイド部位45とを備えている。
【0015】
さらに、前記上側係止部28と前記化粧材22の上端部50との間、及び、前記下側係止部29と前記化粧材22の下端部51との間に、緩衝材38が介在されている。
【0016】
また、前記化粧材22の一方の側端部53に、側方へ張り出したジョイント部54が設けられ、隣接する前記化粧材22の他方の側端部53を前記ジョイント部54に重ね合わせた状態で、前記化粧材22の側端部53同士が接続されている。
【0017】
さらにまた、前記化粧材22における上端部50と下端部51との間の中間部52は、前記外壁面1と軒天井面2との境界部分へ向けて凹むように湾曲され、この中間部52の下端部分に、下方へ突出した水切り片65が形成されている。さらに、前記化粧材22における上端部50に、下方へ突出した水切り片60が形成されている。
【発明の効果】
【0018】
この発明においては、住宅等の軒下における外壁面と軒天井面との間の壁際コーナー部に設けた化粧用部材によって、水平ラインを強調した洋風の外観とすることができる。しかも、軒天井面と化粧材の上端部との間に第1の通気用隙間が確保され、外壁面と化粧材の下端部との間に第2の通気用隙間が確保されているので、第1、第2の通気用隙間から化粧材の裏側空間、通気機能を有する見切り部材を通って軒裏空間へ至る通気経路が形成され、この通気経路を通じて外気を軒裏空間へ導くことができ、軒裏換気も良好に行うことができる。
【0019】
さらに、第1、第2の通気用隙間は、化粧材の上端部や下端部に沿って横方向に連続して配されることから、外部から見えることがあっても違和感を与えることはなく、見栄えを良好に維持することができる。さらにまた、化粧材に通気口を形成しなくても済むことから、化粧材の形状の自由度が制限されず、化粧材のデザイン性を高めることができる。
【0020】
加えて、外壁面に先付けした支持材に化粧材を取り付けることで、第1、第2の通気用隙間が自ずと良好に確保され、しかも化粧材の取付状態においては、化粧材の上端部及び下端部が支持材に係止されていることから、化粧材を簡単且つ安定して取り付けることができ、化粧材の付け直しを伴う交換やメンテナンスも容易に行うことができる。
【0021】
また、位置出し部を利用して、支持材を外壁面の所定高さ位置に位置決めすることで、化粧材を精度良く取り付けることができ、見栄えが良好になるとともに、施工性の向上も図ることができる。
【0022】
さらに、仮置き部位及びガイド部位を利用して、化粧材の上端部を支持材の上側係止部に係止させることで、施工性のより一層の向上を図ることことができ、しかも仮置き部位及びガイド部位は、化粧材の上端部の脱落防止にも寄与することから、安全性の向上も図ることができる。
【0023】
また、支持材と化粧材との係止部位に緩衝材を介在させることで、風雨等による化粧材のガタ付きに伴う音鳴りを防止することができる。さらに、隣接する化粧材の側端部同士の接続に際して、ジョイント部を裏支えとして用いることで、これら側端部間に生じる目地隙間をジョイント部によって塞いで見栄えを向上することができ、しかも側端部同士が強固に接続されて、化粧材をより一層安定して取り付けることができる。さらにまた、化粧材における湾曲状の中間部の下端部分、さらには化粧材における上端部に、下方へ突出した水切り片を適宜形成することで、化粧材の下端部や裏側空間への雨水の回り込みを防止して、防水性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】この発明の一実施形態に係る軒下の壁際化粧構造を示す斜視図である。
【
図7】化粧材の上端部の仮置き状態を説明する図である。
【
図8】化粧材の上端部の仮置き状態から係止状態への移行を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この発明の一実施形態に係る軒下の壁際化粧構造においては、
図1乃至
図4に示すように、住宅の軒下における外壁面1と軒天井面2との間の壁際コーナー部3に、外壁面1と軒天井面2との境界部分に配設した通気機能を有する見切り部材10を覆い隠すようにして、化粧用部材20を水平ライン状に設けている。
【0026】
図4において、4は外壁板、5は軒天井板、6は軒裏野縁、7は野縁受プレートである。そして、外壁面1は、外壁板4の垂直な外面であり、軒天井面2は、軒天井板5の水平な下面である。外壁面1と軒天井面2との間の境界部分には、隙間が設けられている。なお、軒天井面2は、勾配を有していても良い。
【0027】
見切り部材10は、例えば金属製であって、
図4に示すように、外壁面1と軒天井面2との境界部分(隙間)に沿って横方向に間隔をあけて配された複数の短尺の固定材11と、これら固定材11に跨って横並びに取り付けられた複数の長尺の見切り材12とを備えている。
【0028】
固定材11は、上側横片13と、下側横片14と、これら横片13、14同士を連結する縦片15とによって略コ字状に形成され、上側横片13と縦片15とのコーナー部には、係止爪16が突設されている。そして、この固定材11においては、上側横片13が軒裏野縁6の下面に固定されて、横向きの溝部に軒天井板5の壁際端部が差し入れられている。
【0029】
見切り材12は、縦片18と、この縦片18の下端部から軒天井面2に沿って張り出した横片19とによって略L字状に形成され、横片19には、複数のスリット状の通気口12aが形成されている。そして、この見切り材12は、縦片18の上端部が固定材11の係止爪16に係合され、横片19の先端部が固定材11の下側横片14の先端部に係合されて、固定材11の縦片15及び下側横片14に下方から被さるようにして取り付けられている。
【0030】
上記の見切り部材10においては、壁面1と軒天井面2との境界部分(隙間)を見切り材12の横片19によって塞いでいるが、横片19には複数の通気口12aが形成されているので、軒天井板5の上側の空間(軒裏空間)S1と軒天井板5の下側の空間(後述する化粧材の裏側空間)S2とは通気口12aを介して連通状態となっている。
【0031】
化粧用部材20は、例えば金属製であって、
図2乃至
図4に示すように、外壁面1に横方向に間隔をあけて取り付けられた複数の短尺の支持材21と、これら支持材21を覆い隠すようにして、これら支持材21に跨って横並びに取り付けられた複数の長尺の化粧材22とを備えている。
【0032】
支持材21は、
図3及び
図4に示すように、外壁面1に固定された固定体25と、この固定体25の上端部付近から軒天井面2に沿って張り出した張出体26とを備えている。そして、固定体25の上端部には、張出体26よりも上方へ突出した位置出し部27が設けられ、この位置出し部27を見切り材12の下面に当接させることで、支持材21が外壁面1の所定高さ位置に位置決めされるようになっている。また、張出体26の先端部には、化粧材22の上端部50が係止される上側係止部28が設けられ、固定体25の下端部には、化粧材22の下端部51が係止される下側係止部29が設けられている。
【0033】
具体的に、固定体25は、
図5に示すように、垂直基片30と、この垂直基片30の下端部から外壁面1に対して離間する方向へ向けて延出した第1水平片31と、この第1水平片31の先端部から下方へ向けて延出した垂直片32と、この垂直片32の下端部から外壁面1に対して離間する方向へ向けて延出した後、下方へ向けて延出したL形片33と、このL形片33の下端部から外壁面1に対して離間する方向へ向けて延出した第2水平片34と、この第2水平片34の先端部から上方へ向けて延出した立ち上がり片35とを備えている。
【0034】
そして、垂直基片30の張出体26よりも上方へ突出した上端部によって上記の位置出し部27が構成され、L形片33及び第2水平片34及び立ち上がり片35によって上記の下側係止部29が構成されている。また、垂直基片30には、複数の縦長のビス挿通孔36が形成されている。さらに、立ち上がり片35には、その幅方向中央付近においてビス孔37が形成されていて、幅方向の略全長に亘って例えば弾発性を有する発泡樹脂等からなる緩衝材38が貼り付けられている。
【0035】
張出体26は、
図5に示すように、水平基片40と、この水平基片40の先端部から上方へ向けて延出した垂直片41と、この垂直片41の上端部から外壁面1に対して離間する方向へ向けて延出した湾曲片42と、この湾曲片42の下端部から上方へ向けて延出した立ち上がり片43とを備えている。
【0036】
そして、垂直片41及び湾曲片42及び立ち上がり片43によって上記の上側係止部28が構成されている。この上側係止部28は、化粧材22の上端部50を仮置きする仮置き部位44と、この仮置き部位44に仮置きされた化粧材22の上端部50を水平方向(外壁面1に対して近接する方向)へ押し込むことで、化粧材22の上端部50を仮置き状態から係止状態へ移行させるガイド部位45とを備えている。仮置き部位44は、湾曲片42と立ち上がり片43との間に形成された略V字状の係合溝によって構成され、ガイド部位45は、湾曲片42の上面によって構成されている。また、立ち上がり片43には、その幅方向の略全長に亘って例えば弾発性を有する発泡樹脂等からなる緩衝材38が貼り付けられている。
【0037】
化粧材22は、
図3及び
図4に示すように、上端部50と下端部51との間の中間部52が、外壁面1と軒天井面2との境界部分へ向けて凹むように湾曲されていて、一方の側端部53には、隣接する化粧材22の他方の側端部53を重ね合わせるジョイント部54が側方へ張り出すようにして設けられている。
【0038】
具体的に、化粧材22の上端部50は、
図6に示すように、中間部52の上端部分から上方へ向けて延出した第1垂直片55と、この第1垂直片55の上端部から外壁面1に対して離間する方向へ向けて延出した第1水平片56と、この第1水平片56の先端部から上方へ向けて延出した第2垂直片57と、この第2垂直片57の上端部から外壁面1に対して近接する方向へ向けて延出した第2水平片58と、この第2水平片58の先端部から下方へ向けて延出した垂下片59とを備えている。なお、第2垂直片57の下端部は、第1水平片56よりも下方へ僅かに突出しており、この突出部分が水切り片60とされている。
【0039】
化粧材22の下端部51は、中間部52の下端部分から外壁面1に対して近接する方向へ向けて延出した第1水平片61と、この第1水平片61の先端部から下方へ向けて延出した垂直片62と、この垂直片62の下端部から外壁面1に対して近接する方向へ向けて延出した第2水平片63と、この第2水平片63の先端部から外壁面1に対して離間する方向へ向けて折り返されるように延出した屈曲片64とを備えている。
【0040】
また、化粧材22の中間部52の下端部分は、下端部51の第1水平片61よりも下方へ僅かに突出しており、この突出部分が水切り片65とされている。さらに、
図3に示すように、ジョイント部54の下端部分には、支持材21のビス孔37に対応した横長のビス挿通孔66が形成され、また化粧材22の他方の側端部53の下端部分(下端部51の垂直片62)には、支持材21のビス孔37に対応したビス挿通孔67が形成されている。
【0041】
次に、上記構成の化粧用部材20の壁際コーナー部3への施工について説明する。まず、複数の支持材21を、外壁面1に横方向に間隔をあけて取り付ける。支持材21の取り付けに際しては、位置出し部27を見切り材12の下面に当接させることで、外壁面1の所定高さ位置に位置決めして、この位置決め状態から、ビス挿通孔36に挿通させた複数のビス70を外壁板4にねじ込むことで、固定体25の垂直基片30を外壁面1に重ね合わせるようにして、外壁面1に取り付けている。なお、ビス70のねじ込み位置は、縦長のビス挿通孔36の範囲内において上下方向に調整可能となっていて、外壁板4に凹凸柄が刻設されている場合、その凹凸を適宜回避しながらビス70をねじ込むことができる。
【0042】
この支持材21の取付状態において、上側係止部28は軒天井面2に対して隙間をあけて配され、下側係止部29は外壁面1に対して隙間をあけて配されている。
【0043】
続いて、複数の化粧材22を、支持材21に跨って横並びに取り付ける。化粧材22の取り付けに際しては、まず化粧材22の上端部50の垂下片59を、隣接する支持材21の上側係止部28の仮置き部位44に跨るように引っ掛けて、化粧材22の上端部50を仮置きする(
図7参照)。
【0044】
次に、この仮置き状態から、化粧材22の上端部50を水平方向(外壁面1に対して近接する方向)へ押し込むと、化粧材22の上端部50の垂下片59が、支持材21の上側係止部28のガイド部位45に沿ってスライドして、支持材21の上側係止部28の垂直片41裏側に落し込まれ、これによって化粧材22の上端部50が支持材21の上側係止部28に係止した係止状態となる(
図8参照)。このとき、支持材21の上側係止部28の緩衝材38に、化粧材22の上端部50の第1垂直片55が当接して、支持材21の上側係止部28と化粧材22の上端部50との間に緩衝材38が介在された状態となる。
【0045】
なお、仮置き部位44は、化粧材22の上端部50の脱落を防止する機能も有している。すなわち、化粧材22の垂下片59が支持材21の垂直片41から外れてしまっても、化粧材22の垂下片59が仮置き部位44に引っ掛かることで、化粧材22の上端部50が脱落しないようになっている。
【0046】
そして、化粧材22の上端部50の係止状態から、化粧材22の下端部51を水平方向(外壁面1に対して近接する方向)へ押し込むと、化粧材22の下端部51の屈曲片64が支持材21の下側係止部29のL形片33に嵌合して、これによって化粧材22の下端部51が支持材21の下側係止部29に係止した係止状態となる(
図4参照)。このとき、支持材21の下側係止部29の緩衝材38に、化粧材22の下端部51の垂直片62が当接して、支持材21の下側係止部29と化粧材22の下端部51との間に緩衝材38が介在された状態となる。
【0047】
このようにして、化粧材22を支持材21に跨って係止した状態において、化粧材22の他方の側端部53は、先付けした化粧材22のジョイント部54に重ね合わされる。このとき、支持材21のビス孔37、ジョイント部54のビス挿通孔66、他方の側端部53のビス挿通孔67が互いに重なり合っていて、正面側からビス挿通孔66、67に挿通させたビス71をビス孔37にねじ込むことで、化粧材22の他方の側端部53を、支持材21にビス止めするとともに、先付けした化粧材22の一方の側端部53に接続する(
図3参照)。また、化粧材22の一方の側端部53においては、そのジョイント部54に後付けした化粧材22の他方の側端部53が重ね合わされる。このときも上記と同様に、支持材21のビス孔37、ジョイント部54のビス挿通孔66、他方の側端部53のビス挿通孔67が互いに重なり合っていて、ビス挿通孔66、67に挿通させたビス71をビス孔37にねじ込むことで、化粧材22の一方の側端部53を、支持材21にビス止めするとともに、後付した化粧材22の他方の側端部53に接続する(
図3参照)。なお、ジョイント部54のビス挿通孔66が横長に形成されていることから、化粧材22の熱伸縮をビス挿通孔66の範囲内において吸収することができ、また多少の寸法誤差や施工誤差が生じていても、ビス孔37、ビス挿通孔66、ビス挿通孔67を互いに重ね合わせることができる。
【0048】
この化粧材22の取付状態において、支持材21の上側係止部28に係止した上端部50と軒天井面2との間には、化粧材22の裏側空間S2へ外気を取り込むための第1の通気用隙間80が確保され、支持材21の下側係止部29に係止した下端部51と外壁面1との間には、化粧材22の裏側空間S2へ外気を取り込むための第2の通気用隙間81が確保されている。
【0049】
上記のようにして、住宅の軒下における外壁面1と軒天井面2との間の壁際コーナー部3に化粧用部材20を設けることで、水平ラインを強調した洋風の外観とすることができ、また第1の通気用隙間80及び第2の通気用隙間81から化粧材22の裏側空間S2、見切り材12の通気口12aを通って軒裏空間S1へ至る通気経路が形成され、この通気経路を通じて外気を軒裏空間S1へ導くことができることから、軒裏換気も良好に行うことができる。
【0050】
以上に、この発明の実施形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1・・外壁面、2・・軒天井面、3・・壁際コーナー部、10・・見切り部材、20・・化粧用部材、21・・支持材、22・・化粧材、25・・固定体、26・・張出体、27・・位置出し部、28・・上側係止部、29・・下側係止部、38・・緩衝材、44・・仮置き部位、45・・ガイド部位、50・・化粧材の上端部、51・・化粧材の下端部、52・・化粧材の中間部、53・・化粧材の側端部、54・・ジョイント部、60、65・・水切り片、80・・第1の通気用隙間、81・・第2の通気用隙間、S2・・裏側空間