(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5757410
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】車両用表示装置及びその表示方法
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20150709BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20150709BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
B60R16/02 640K
B60K35/00 Z
B60K35/00 A
G09F9/00 362
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-109977(P2011-109977)
(22)【出願日】2011年5月17日
(65)【公開番号】特開2012-240467(P2012-240467A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】太田 聡
(72)【発明者】
【氏名】山添 真樹
(72)【発明者】
【氏名】丸山 陽輔
(72)【発明者】
【氏名】竹部 実
【審査官】
前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/055699(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
B60K 35/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも車両情報を含む所定の画像を表示可能な複数の表示手段を備える車両用表示装置であって、
所定の開始信号の入力に応じて、前記各表示手段は、それぞれ少なくとも1以上のイベントからなる演出アニメーションを互いに連動するように表示し、
前記表示手段として、前記開始信号の入力後に原点検出動作を行う駆動部材を備えない第一の表示手段と、前記駆動部材を備える第二の表示手段と、を備え、
前記第一の表示手段は、前記駆動部材が前記原点検出動作を行う前あるいは前記原点検出動作を行っている間に前記演出アニメーションとして第一の演出アニメーションを開始し、
前記第二の表示手段は、前記原点検出動作の終了後であって、前記第一の演出アニメーションの実行中あるいは実行後に前記演出アニメーションとして前記第一の演出アニメーションと関連性のある第二の演出アニメーションを開始することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記第一の演出アニメーションは所定のシンボルマークを描画する第一のイベントを少なくとも含み、前記第二の演出アニメーションは前記第一のイベントが終了してから所定時間経過後に前記シンボルマークあるいは前記シンボルマークと関連性のある他のシンボルマークを描画する第二のイベントを少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記第二の表示手段は、表示光を反射させる反射鏡と、前記駆動部材である前記反射鏡の回転駆動部材と、を備えてなるヘッドアップディスプレイ装置であることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記第一の表示手段の第一の画像表示領域と、前記第二の表示手段の第二の画像表示領域と、が運転者から見て上下、左右あるいは斜め方向に並置されてなることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
少なくとも車両情報を含む所定の画像を表示可能な複数の表示手段を備える車両用表示装置の表示方法であって、
所定の開始信号の入力に応じて、前記各表示手段は、それぞれ少なくとも1以上のイベントからなる演出アニメーションを互いに連動するように表示し、
前記表示手段として、前記開始信号の入力後に原点検出動作を行う駆動部材を備えない第一の表示手段と、前記駆動部材を備える第二の表示手段と、を備え、
前記第一の表示手段は、前記駆動部材が前記原点検出動作を行う前あるいは前記原点検出動作を行っている間に前記演出アニメーションとして第一の演出アニメーションを開始し、
前記第二の表示手段は、前記原点検出動作の終了後であって、前記第一の演出アニメーションの実行中あるいは実行後に前記演出アニメーションとして前記第一の演出アニメーションと関連性のある第二の演出アニメーションを開始することを特徴とする車両用表示装置の表示方法。
【請求項6】
前記第一の演出アニメーションは所定のシンボルマークを描画する第一のイベントを少なくとも含み、前記第二の演出アニメーションは前記第一のイベントが終了してから所定時間経過後に前記シンボルマークあるいは前記シンボルマークと関連性のある他のシンボルマークを描画する第二のイベントを少なくとも含むことを特徴とする請求項5に記載の車両用表示装置の表示方法。
【請求項7】
前記第二の表示手段は、表示光を反射させる反射鏡と、前記駆動部材である前記反射鏡の回転駆動部材と、を備えてなるヘッドアップディスプレイ装置であることを特徴とする請求項5に記載の車両用表示装置の表示方法。
【請求項8】
前記第一の表示手段の第一の画像表示領域と、前記第二の表示手段の第二の画像表示領域と、が運転者から見て上下、左右あるいは斜め方向に並置されてなることを特徴とする請求項5に記載の車両用表示装置の表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも車両情報を含む所定の画像を表示可能な複数の表示手段を備える車両用表示装置及びその表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車速、エンジン回転数、水温、残燃料、走行距離や地図情報、誘導情報、車両周辺画像さらにはオーディオ情報等の車両に関する種々の情報(以下、車両情報とも言う)を画像で表示可能な表示手段を複数備える車両用表示装置が知られている。
【0003】
また、従来技術では、車両のイグニッションスイッチのオン信号やドアオープン信号などの所定の開始信号の入力に応じて通常動作である前記車両情報の表示とは異なる演出動作を行うものが知られている(例えば特許文献1参照)。前述の表示手段にあっては、前記演出動作として所定のメッセージやマークなどを描画する演出アニメーションを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−290284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、表示手段が複数備えられる場合においては各表示手段が個々に演出動作を行うため、演出動作に統一性がなく、表示手段を用いた演出表現としては商品性を向上させるために更なる改良の余地があった。特に、表示手段には直視型のディスプレイ装置や投影型のディスプレイ装置あるいはヘッドアップディスプレイ装置など種々様々な構成のものが知られているが、例えばヘッドアップディスプレイ装置においては表示光を反射させる反射鏡を回転させるステッピングモータなどの回転駆動部材が備えられており、電源投入後に回転駆動部材を基準となる所定の原点位置に復帰させる原点検出動作を必要とする。したがって、このような表示手段においては他の原点検出動作を要しない表示手段よりも演出動作の開始時期が遅れ、運転者が個々に行われる演出動作にズレを感じて違和感を覚えるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題に着目してなされたものであり、複数の表示手段を備える車両用表示装置において、演出動作における表現に斬新さを与え、商品性、デザイン性を向上させることが可能な車両用表示装置及びその表示方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題を解決するために、少なくとも車両情報を含む所定の画像を表示可能な複数の表示手段を備える車両用表示装置であって、
所定の開始信号の入力に応じて、前記各表示手段は、それぞれ少なくとも1以上のイベントからなる演出アニメーションを互いに連動するように表示
し、
前記表示手段として、前記開始信号の入力後に原点検出動作を行う駆動部材を備えない第一の表示手段と、前記駆動部材を備える第二の表示手段と、を備え、
前記第一の表示手段は、前記駆動部材が前記原点検出動作を行う前あるいは前記原点検出動作を行っている間に前記演出アニメーションとして第一の演出アニメーションを開始し、
前記第二の表示手段は、前記原点検出動作の終了後であって、前記第一の演出アニメーションの実行中あるいは実行後に前記演出アニメーションとして前記第一の演出アニメーションと関連性のある第二の演出アニメーションを開始することを特徴とする。
【0009】
本発明は、前述の課題を解決するために、少なくとも車両情報を含む所定の画像を表示可能な複数の表示手段を備える車両用表示装置の表示方法であって、
所定の開始信号の入力に応じて、前記各表示手段は、それぞれ少なくとも1以上のイベントからなる演出アニメーションを互いに連動するように表示
し、
前記表示手段として、前記開始信号の入力後に原点検出動作を行う駆動部材を備えない第一の表示手段と、前記駆動部材を備える第二の表示手段と、を備え、
前記第一の表示手段は、前記駆動部材が前記原点検出動作を行う前あるいは前記原点検出動作を行っている間に前記演出アニメーションとして第一の演出アニメーションを開始し、
前記第二の表示手段は、前記原点検出動作の終了後であって、前記第一の演出アニメーションの実行中あるいは実行後に前記演出アニメーションとして前記第一の演出アニメーションと関連性のある第二の演出アニメーションを開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、複数の表示手段を備える車両用表示装置において、より演出動作における表現に斬新さを与え、商品性、デザイン性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態である車両用表示装置の概観を示す図。
【
図2】同上車両用表示装置における背面投影型のディスプレイ装置を概観を示す図。
【
図3】同上車両用表示装置におけるヘッドアップディスプレイ装置を示す要部断面図。
【
図5】同上車両用表示装置の演出アニメーション機能における制御方法を示すタイムチャート図。
【
図6】同上車両用表示装置の演出アニメーション機能における表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1を用いて本実施形態である車両用表示装置Aの全体構成を説明する。車両用表示装置Aは、表示手段として背面投影型のディスプレイ装置(第一の表示手段)100と、ヘッドアップディスプレイ装置(第二の表示手段)200と、を備える。
【0015】
背面投影型のディスプレイ装置100は、車両CのインパネC1内部に配設され、後述するプロジェクタ110が発した表示光L1をインパネC1に設けられる開口部に配置される後述するスクリーン140に投影して表示画像V1を表示するものである。
【0016】
図2に示すように、ディスプレイ装置100は、プロジェクタ(投射表示器)110と、第1のミラー120と、第2のミラー130と、スクリーン(被投影部材)140と、から主に構成されている。なお各部材110〜140はハウジング(図示しない)に収容される。
【0017】
プロジェクタ110は、表示画像V1を示す表示光L1をスクリーン140に向けて出射するものであり、例えば光源からの光を液晶パネルを透過させて表示光を形成する液晶プロジェクタからなる。
【0018】
第1、第2のミラー120、130は、例えばポリカーボネートなどの樹脂材料に例えばアルミニウムなどの金属を蒸着させて反射面を形成してなる反射部材である。プロジェクタ110から出射された表示光L1は、第1、第2のミラー120、130を反射し、スクリーン140に投影される。
【0019】
スクリーン140は、プロジェクタ110から出射された表示光L1が投影されて表示画像V1を表示する(映し出す)ものである。スクリーン140は、表示光L1を透過して表示画像V1を表示する透過スクリーンである。なお、ディスプレイ装置100を反射型とし、スクリーン140として表示光L1を反射して表示画像V1を表示する反射スクリーンを適用してもよい。
【0020】
図1に戻って、ヘッドアップディスプレイ装置200は、車両CのインパネC1内部に配設され、後述する液晶表示器210が発する表示光L2をフロントガラス(投射部材)C2を介して反射させて運転者(観察者)Dのアイボックスに導いて表示画像V2を虚像として表示するものである。運転者Dは表示光L2による表示画像V2を風景に重畳させて視認することができる。
【0021】
図3に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置200は、液晶表示器210と、この液晶表示器210が発した表示光L2を反射させる反射鏡220と、この反射鏡220を回動させるステッピングモータ(回転駆動部材)230とをハウジング240に収容してなる。ステッピングモータ230の回動軸には歯車250が取付けられており、この歯車250は、反射鏡220を保持する保持部材260に固定された歯車部270に噛み合わされている。
【0022】
次に、
図4を用いて車両用表示装置Aの電気的構成について説明する。
図4は車両用表示装置Aの電気的構成を示すブロック図である。車両用表示装置Aは、ディスプレイ装置100と、ヘッドアップディスプレイ装置200と、車両情報取得手段300と、IGN(イグニッション)検出手段400と、制御手段500と、から主に構成されている。
【0023】
車両情報取得手段300は、外部から各種の車両情報を取得するものであり、車速パルスあるいはTA(エンジン回転)パルスや、水温、残燃料を検出する各種センサあるいはECU、さらにはナビゲーション装置、車両周辺撮像カメラ、オーディオ装置などの外部機器から車速、エンジン回転数、水温、残燃料、走行距離や地図情報、誘導情報、車両周辺画像さらにはオーディオ情報等の種々の車両情報を取得する。
【0024】
IGN検出手段400は、車両300のIGNスイッチ600のオフ状態からオン状態への移行及びオン状態からオフ状態への移行を検出するもので、IGNスイッチ600のオン状態への移行あるいはオフ状態への移行を検出すると、制御手段500へそれぞれ検出信号を出力する。なお、IGNスイッチ600のオン状態への移行とは、IGNスイッチ600のオフ状態からアクセサリー電源のオン状態への移行、あるいはIGNスイッチ600のオフ状態からエンジンスタートのオン状態への移行、あるいはアクセサリー電源のオン状態からエンジンスタートのオン状態への移行の何れの状態への移行であってもよい。なお、IGNスイッチ600は、一端が車両Cのバッテリー電源700へ、他端がIGN検出手段400へ接続されている。
【0025】
制御手段500は、CPU,ROM,RAM及び入出力インターフェイス等を備えたマイクロコンピュータから構成される。制御手段500は、車両情報取得手段300から車両情報データを取得し、前記車両情報データに応じた駆動信号を所定周期でディスプレイ装置100のプロジェクタ110及びヘッドアップディスプレイ装置200の液晶表示器210へ出力し、それぞれ表示画像V1を示す表示光L1及び表示画像V2を示す表示光L2を出射させるべく発光表示駆動制御をするものである。また、制御手段500は、所定の開始信号としてIGN検出手段400からのIGNスイッチ600のオンなる検出信号(オン信号)を入力した場合に、ディスプレイ装置100及びヘッドアップディスプレイ装置200に通常動作である前記車両情報の表示とは異なる演出アニメーションとして、それぞれ後述する第一、第二の演出アニメーションを連動して表示させるための後で詳述する演出アニメーション機能を有している。また、制御手段500は、IGN検出手段400からのIGNスイッチ600のオン信号を入力した場合、即ち電源が投入された場合に、ヘッドアップディスプレイ装置200のステッピングモータ230に所定の駆動信号を出力し、ステッピングモータ230を所定の原点位置に復帰させる原点検出動作をさせる原点検出機能を有する。なお、制御手段500は単一の制御手段に限定されず、複数の制御手段からなる構成であってもよい。
【0026】
以上の各部によって車両用表示装置Aが構成されている。次に、
図5及び
図6を用いて車両用表示装置Aにおける演出アニメーション機能について説明する。
【0027】
図5は、前記演出アニメーション機能におけるディスプレイ装置100及びヘッドアップディスプレイ装置200の制御方法を示すタイミングチャート図であり、
図6は、演出アニメーションにおけるディスプレイ装置100及びヘッドアップディスプレイ装置200の表示例を示すものである。ディスプレイ装置100の第一の画像表示領域R1とヘッドアップディスプレイ装置200の第二の画像表示領域R2とは、運転者Dから見て上下方向に並置されている。なお、第一、第二の画像表示領域R1、R2は、運転者Dから見て左右あるいは斜め方向に並置されてもよい。
【0028】
制御手段500は、IGN検出手段400からのIGNスイッチ600のオン信号を入力すると、ヘッドアップディスプレイ装置200のステッピングモータ230に駆動信号を出力し、原点検出動作Gを開始させる。なお、本実施形態においてはステッピングモータ230はIGNスイッチ600がオフ状態に移行した場合、即ち電源がオフとなったときに、反射鏡220を太陽光が液晶表示器210方向へ反射されない角度に向ける角度位置(以下、電源オフ位置とも言う)に回転駆動し、原点検出動作Gとして電源オフ位置から反射鏡220を表示光L2を運転者Dのアイボックスに向けて反射可能な基準角度に向ける角度位置である前記原点位置に復帰するように回転駆動する。なお、電源オフ時の回転駆動は行わなくても良い。
【0029】
また、制御手段500は、ヘッドアップディスプレイ装置200のステッピングモータ230が原点検出動作Gを開始するのと同時に、ディスプレイ装置100のプロジェクタ110に前記第一の演出アニメーションを開始させる。なお前記第一の演出アニメーションの開始は、ステッピングモータ230が原点検出動作Gを行う前であってもよい。前記第一の演出アニメーションは、所定の文字やマークの描画からなる少なくとも1以上のイベントを含むものであり、本実施形態においては後述する第一、第三のイベントE1、E3を含む。なお、本実施形態においては最初のイベントにおける文字等の描画を開始した時点を「演出アニメーションの開始」とし、最後のイベントにおいて描画された文字等が消された時点を「演出アニメーションの終了」とする。プロジェクタ110は、前記第一の演出アニメーションにおいて、まず第一のイベントE1の描画を開始する(第一の演出アニメーションの開始)。第一のイベントE1において、プロジェクタ110は、「NS」の文字からなるシンボルマークS1を徐々に所定サイズまで縮小するように描画し(
図6(a)から(b))、その後画像領域R1の上方向すなわちヘッドアップディスプレイ装置200の画像領域R2方向に瞬時にスライドアウトさせて消去する(
図6(b)から(c))。シンボルマークS1が消去されると第一のイベントE1が終了する。なお、シンボルマークS1は、メーカーの標章であるものとする。
【0030】
図5に戻って、制御手段500は、ヘッドアップディスプレイ装置200のステッピングモータ230が原点検出動作Gの終了した後であって、第一のイベントE1の終了から時間T1が経過した後に、ヘッドアップディスプレイ装置200の液晶表示器210に前記第二の演出アニメーションを開始させる。なお、前記第二の演出アニメーションの開始は前記第一の演出アニメーションの終了後でもよい。前記第二の演出アニメーションは、前記第一の演出アニメーションと関連性を有する演出アニメーションであって、所定の文字やマークの描画からなる少なくとも1以上のイベントを含み、本実施形態においては後述する第二のイベントE2を含む。液晶表示器210は、前記第二の演出アニメーションにおいて、第二のイベントE2の描画を開始する(第二の演出アニメーションの開始)。第二のイベントにおいて、液晶表示器210は、プロジェクタ110に第一のイベントとして描画されたと同様の「NS」の文字からなるシンボルマークS1を徐々に拡大するように描画し(
図6(d)から(e))、その後徐々に消去する(
図6(e)から(f))。シンボルマークS1が消去されると第二のイベントE2が終了する(第二の演出アニメーションの終了)。ディスプレイ装置100の第一の画像表示領域R1に描画されたシンボルマークS1を、第一の画像表示領域R1から第二の画像表示領域R2に向けて消去し、所定時間T1経過後にヘッドアップディスプレイ装置200の第二の画像表示領域R2に表示させることで、シンボルマークS1が第一の表示領域R1から空間を隔てて並置される第二の画像表示領域R2に瞬間移動したような斬新は表現が得られる。なお、「第一の演出アニメーションと関連性を有する演出アニメーション」としては、運転者Dが前記第一の演出アニメーションと合わせて見た場合に1つの統一された表現がなされてると感じられるものであり、具体的には前記第一の演出アニメーションにおいて先に描画される第一のイベントE1におけるシンボルマークS1と同一のシンボルマークあるいは関連性のある他のシンボルマークを描画するイベントを含むものである。本実施形態においては、前記第二の演出アニメーションは、第二のイベントE2において第一のイベントE1と同一のシンボルマークS1を描画することで前記第一の演出アニメーションと関連性を有している。「同一のシンボルマーク」とはサイズや色が異なる場合や同一と認識できる程度の部分的な変形がなされたシンボルマークも含む。また、「シンボルマークと関連性のある他のシンボルマーク」とは、先に描画されるシンボルマークと合わせて1つの表現を構成するものであり、例えば先に描画されるシンボルマークとして「Welcome」なる文字が描画される場合は、「Today is Your Birthday!」なる文字などの1つの表現(挨拶)を構成するシンボルマークがこれに該当する。また、先に描画されるシンボルマークがメーカーや車種を表す標章である場合は、そのメーカーのブランドコンセプトや企業理念を表す文字などの1つの表現(ブランドイメージ)を構成するシンボルマークがこれに該当する。
【0031】
また、
図5に戻って、ディスプレイ装置100のプロジェクタ110は、第一のイベントE1の終了から時間T2(T2>T1)が経過した後に、前記第1の演出アニメーションにおいて、第3のイベントE3の描画を開始する。第三のイベントE3において、プロジェクタ110は、「Your safety, Our delight」の文字からなるシンボルマークS2を徐々に描画し、その後徐々に消去する(
図6(e)から(f))。シンボルマークS2が消去されると第三のイベントE3が終了する(第一の演出アニメーションの終了)。第三のイベントE3の終了(第一の演出アニメーションの終了)は、第二のイベントE2の終了と同時である。なお、シンボルマークS2は、メーカーの企業理念であるとする。ディスプレイ装置100とヘッドアップディスプレイ装置200とで、同一のシンボルマークS1あるいは関連性を有するシンボルマークS2を交互に描画することで、演出の統一感を更に増すことができる。また、前記第一、第二の演出アニメーションの終了を同期させることで、演出の統一感を更に増すことができる。
【0032】
制御手段500は、第一、第二の演出アニメーションが終了すると、ディスプレイ装置100のプロジェクタ110とヘッドアップディスプレイ装置200の液晶表示器210とに通常動作である前記車両情報の表示をさせる。
【0033】
かかる車両用表示装置A及びその表示方法は、少なくとも前記車両情報を含む所定の画像を表示可能な複数の表示手段としてディスプレイ装置100及びヘッドアップディスプレイ装置200を備え、所定の開始信号の入力に応じて、ディスプレイ装置100及びヘッドアップディスプレイ装置200が、それぞれ少なくとも1以上のイベントからなる前記第一、第二の演出アニメーションを互いに連動するように表示するものである。従来は個々に行われていた演出アニメーションの各イベントを連動して表示することによって、複数の画像表示領域R1、R2を用いた統一感のある演出表現を実現することができ、演出表現に斬新さを与え、商品性、デザイン性を向上させることが可能となる。
【0034】
また、車両用表示装置A及びその表示方法において、ディスプレイ装置100は、ヘッドアップディスプレイ装置200のステッピングモータ230が原点検出動作Gを行う前あるいは原点検出動作Gを行っている間に前記第一の演出アニメーションを開始し、ヘッドアップディスプレイ装置200は、原点検出動作Gの終了後であって、前記第一の演出アニメーションの実行中あるいは実行後に前記第一の演出アニメーションと関連性のある前記第二の演出アニメーションを開始するものである。表示可能時期が早いディスプレイ装置100に先に前記第一の演出アニメーションを開始させ、その後原点検出動作Gによって表示可能時期が遅いヘッドアップディスプレイ装置200に先に描画される前記第一の演出アニメーションと関連性のある前記第二の演出アニメーションを開始させることによって、複数の画像表示領域R1、R2を用いた統一感のある演出表現を実現するとともに、表示可能時期の差を統一感のある演出表現に違和感なく取り込むことができ、商品性、デザイン性を向上させることが可能となる。
【0035】
また、前記第一の演出アニメーションは所定のシンボルマークS1を描画する第一のイベントE1を少なくとも含み、前記第二の演出アニメーションは第一のイベントE1が終了してから所定時間T1経過後にシンボルマークS1あるいはシンボルマークS1と関連性のある他のシンボルマークを描画する第二のイベントを少なくとも含む。これにより、同一あるいは関連するシンボルマークを時列的に描画することで前記第一の演出アニメーションと前記第二の演出アニメーションとが関連性を有することができ、運転者に演出動作に違和感を感じさせることがなく、商品性、デザイン性を向上させることが可能となる。
【0036】
また、ディスプレイ装置100の第一の画像表示領域R1と、ヘッドアップディスプレイ装置200の第二の画像表示領域R2と、は、運転者Dから見て上下、左右あるいは斜め方向に並置されてなる。これにより、運転者Dは互いに連動した前記第一、第二の演出アニメーションを行う第一、第二の画像表示領域R1、R2を同時に視野に入れることで統一感のある演出動作を十分に視認することができ、商品性、デザイン性を向上させることができる。
【0037】
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲内において種々の変更が可能であることは言うまでもなく、例えば表示手段は背面投影型のディスプレイ装置100及びヘッドアップディスプレイ装置200に限られず、液晶ディスプレイ装置や有機ELディスプレイ装置など直視型のディスプレイ装置も適用可能である。また表示手段は3つ以上備えられても良い。また、開始信号の入力後に原点検出動作を行う駆動部材を備える第二の表示手段は、ヘッドアップディスプレイ装置200には限定されず、表示器を上下にスライド移動させる駆動部材を備え、駆動部材が開始信号の入力後に表示器が所定の位置となるような原点位置に復帰する原点検出動作を行う直視型のディスプレイ装置や表示器の角度を調整する駆動部材を備え、駆動部材が開始信号の入力後に表示器が所定の角度位置となるような原点位置に復帰する原点検出動作を行う直視型のディスプレイ装置などであってもよい。また、開始信号として、ドアオープン信号の入力やIGNスイッチ600のオフなる信号(オフ信号)の入力に応じて演出アニメーションを表示するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、複数の表示手段を備える車両用表示装置及びその表示方法に好適である。
【符号の説明】
【0039】
A 車両用表示装置
E1 第一のイベント
E2 第二のイベント
E3 第三のイベント
G 原点検出動作
S1 シンボルマーク
S2 シンボルマーク
100 ディスプレイ装置(第一の表示手段)
110 プロジェクタ
120 第1のミラー
130 第2のミラー
140 スクリーン
200 ヘッドアップディスプレイ装置(第二の表示手段)
210 液晶表示器
220 反射鏡
230 ステッピングモータ(回転駆動部材)
300 車両情報取得手段
400 IGN検出手段
500 制御手段