(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5757453
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】オイルシール
(51)【国際特許分類】
F16J 15/32 20060101AFI20150709BHJP
【FI】
F16J15/32 311U
F16J15/32 311T
F16J15/32 311S
F16J15/32 311M
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2010-229482(P2010-229482)
(22)【出願日】2010年10月12日
(65)【公開番号】特開2012-82898(P2012-82898A)
(43)【公開日】2012年4月26日
【審査請求日】2013年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071205
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 陽一
(72)【発明者】
【氏名】濱本 耕吉
【審査官】
塚原 一久
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−089487(JP,A)
【文献】
実公昭48−031158(JP,Y1)
【文献】
登録実用新案第3138507(JP,U)
【文献】
特開2008−255979(JP,A)
【文献】
実開平04−074773(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸を挿通したハウジングの軸孔内周に装着される第1シール部材と、前記軸孔の開口周縁部であって前記ハウジングの端面部に装着される第2シール部材とを有し、
前記第1シール部材は、前記ハウジングの軸孔内周面に嵌合される固定部と、前記軸の周面に摺動自在に密接して機内側の密封流体をシールする主リップと、前記軸の周面に摺動自在に密接して機外側の泥水等の異物をシールする第1ダストリップとを一体に有し、
前記第2シール部材は、前記ハウジングの端面部を被覆する端面被覆部と、前記ハウジングの外周面に軸方向一方から差し込まれるとともに前記ハウジングの外周面に設けた段差状の係合部に係合して当該第2シール部材を前記ハウジングから抜け止めする外周差し込み部と、前記ハウジングの軸孔内周面に軸方向一方から差し込まれる内周差し込み部と、前記第1ダストリップの機外側で前記軸の周面に摺動自在に密接して機外側の泥水等の異物をシールする第2ダストリップとを一体に有し、
前記第2シール部材における前記外周差し込み部の外周面に、前記軸に固定したダストカバーの内周面に摺動自在に密接して機外側の泥水等の異物をシールする第3ダストリップが一体に設けられ、
前記軸は縦軸であり、前記第3ダストリップは、前記ダストカバーおよび前記ハウジング間の隙間が当該第3ダストリップよりも下方に設定されているのに伴って、前記第1および第2ダストリップとは反対に、そのリップ先端を下方へ向けて形成されていることを特徴とするオイルシール。
【請求項2】
請求項1記載のオイルシールにおいて、
前記第2シール部材は、ゴム状弾性体の一体成形品よりなるとともに前記内周差し込み部には金属環が埋設されていることを特徴とするオイルシール。
【請求項3】
請求項1記載のオイルシールにおいて、
前記第2シール部材は、ゴム状弾性体の一体成形品のみよりなることを特徴とするオイルシール。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れかに記載のオイルシールにおいて、
前記軸はステアリングシャフトであり、当該オイルシールはステアリング用オイルシールとして用いられることを特徴とするオイルシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密封装置の一種であるオイルシールに関する。本発明のオイルシールは例えば、自動車等車両のパワーステアリング部に軸シールとして用いられ、またはその他の一般産業機械などに用いられる。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等車両のパワーステアリング部に軸シールとして用いられるオイルシールとして、
図3に示すオイルシール51が知られており、このオイルシール51は、装着状態において機内側Aに向け配置されてオイル等の密封流体をシールする主リップ52と、機外側Bに向け配置されて泥水等の異物をシールするダストリップ53とを有している(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、このオイルシール51を実機に装着すると、軸は縦軸であるので、ダストリップ53はそのリップ先端を上方へ向けて配置される。
【0004】
一方、海外など道路整備が十分でない地域では、ダスト環境が苛酷であり、一時的にパワーステアリング部が水没状態で走行するケースもあり、このような場合、上記オイルシール51では、ダストリップ53上部に泥水が堆積する。これにより、ダストリップ53から浸入した泥水が主リップ52へ噛み込み、オイル漏れを発生させる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−22028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の点に鑑みて、機外側に配置されるダストリップ上部に泥水が堆積するのを抑制することができ、もってシール性、特に耐泥水性を高めることができるオイルシールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1によるオイルシールは、軸を挿通したハウジングの軸孔内周に装着される第1シール部材と、前記軸孔の開口周縁部であって前記ハウジングの端面部に装着される第2シール部材とを有し、前記第1シール部材は、前記ハウジングの軸孔内周面に嵌合される固定部と、前記軸の周面に摺動自在に密接して機内側の密封流体をシールする主リップと、前記軸の周面に摺動自在に密接して機外側の泥水等の異物をシールする第1ダストリップとを一体に有し、前記第2シール部材は、前記ハウジングの端面部を被覆する端面被覆部と、前記ハウジングの外周面に軸方向一方から差し込まれるとともに前記ハウジングの外周面に設けた段差状の係合部に係合して当該第2シール部材を前記ハウジングから抜け止めする外周差し込み部と、前記ハウジングの軸孔内周面に軸方向一方から差し込まれる内周差し込み部と、前記第1ダストリップの機外側で前記軸の周面に摺動自在に密接して機外側の泥水等の異物をシールする第2ダストリップとを一体に
有し、前記第2シール部材における前記外周差し込み部の外周面に、前記軸に固定したダストカバーの内周面に摺動自在に密接して機外側の泥水等の異物をシールする第3ダストリップが一体に設けられ、前記軸は縦軸であり、前記第3ダストリップは、前記ダストカバーおよび前記ハウジング間の隙間が当該第3ダストリップよりも下方に設定されているのに伴って、前記第1および第2ダストリップとは反対に、そのリップ先端を下方へ向けて形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の
請求項2によるオイルシールは、上記した
請求項1記載のオイルシールにおいて、前記第2シール部材は、ゴム状弾性体の一体成形品よりなるとともに前記内周差し込み部には金属環が埋設されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の
請求項3によるオイルシールは、上記した
請求項1記載のオイルシールにおいて、前記第2シール部材は、ゴム状弾性体の一体成形品のみよりなることを特徴とする。
【0011】
更にまた、本発明の
請求項4によるオイルシールは、上記した
請求項1ないし3の何れかに記載のオイルシールにおいて、前記軸はステアリングシャフトであり、当該オイルシールはステアリング用オイルシールとして用いられることを特徴とする。
【0012】
上記構成を備える本発明のオイルシールにおいては、固定部、主リップおよび第1ダストリップを有する第1シール部材の機外側に第2シール部材が設けられ、この第2シール部材は、ハウジングの端面部を被覆する端面被覆部と、ハウジングの外周面に軸方向一方から差し込まれるとともにハウジングの外周面に設けた段差状の係合部に係合して当該第2シール部材をハウジングから抜け止めする外周差し込み部と、ハウジングの軸孔内周面に軸方向一方から差し込まれる内周差し込み部と、第1ダストリップの機外側で軸の周面に摺動自在に密接して機外側の泥水等の異物をシールする第2ダストリップとを一体に有するものとされている。したがってこのような構造の第2シール部材が第1シール部材の機外側でハウジングの端面部および軸孔開口部を覆うように装着されるため、この第2シール部材によって泥水等の異物をシールすることが可能となり、泥水等の異物が第1ダストリップ上に堆積するのを抑制することが可能となる。
【0013】
また、この第2シール部材における外周差し込み部の外周面に、軸に固定したダストカバーの内周面に摺動自在に密接して機外側の泥水等の異物をシールする第3ダストリップを一体に設けることにより、第2ダストリップに達する泥水等の異物が減少し、シール性が一層向上する。
【0014】
第2シール部材としては、これをゴム状弾性体の一体成形品とするとともに内周差し込み部にハウジングの軸孔内周面に嵌合するための金属環を埋設するのが好適であって、これによれば、ハウジングに対して第2シール部材が強固に固定され外れにくい。但し金属環はこれを省略しても良く、この場合には、製作コストの低減と装着作業の容易化を実現することが可能となる。
【0015】
本発明において、軸は例えばステアリングシャフトであり、この場合、オイルシールはステアリング用オイルシールとして用いられる。したがってこのステアリング部の軸シールに係る技術分野において、本発明の諸効果を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0017】
すなわち、本発明においては上記したように、固定部、主リップおよび第1ダストリップを有する第1シール部材の機外側に、端面被覆部、外周差し込み部、内周差し込み部および第2ダストリップを一体に有する第2シール部材が装着されるため、この第2シール部材によって泥水等の異物をシールすることが可能とされ、泥水等の異物が第1ダストリップ上に堆積するのを抑制することが可能とされる。したがって第1ダストリップ上に泥水等が堆積し、第1ダストリップから浸入した泥水が主リップへ噛み込み、オイル漏れが発生するのを抑制することができる。
【0018】
また、第2シール部材における外周差し込み部の外周面にダストカバーに密接する第3ダストリップを一体に設ける場合には、第2ダストリップに達する泥水等の異物が減少するため、シール性を一層向上させることができる。
【0019】
第2シール部材をゴム状弾性体の一体成形品とするとともに内周差し込み部に金属環を埋設する場合には、ハウジングに対する固定性を安定化させることができ、金属環を省略してゴム状弾性体の一体成形品のみとする場合には、この第2シール部材につき低コスト化および装着作業の容易化を実現することができる。
【0020】
また、本発明のオイルシールがステアリング用オイルシールとして用いられる場合には、このステアリング部軸シールに係る技術分野において、本発明の効果を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施例に係るオイルシールの要部断面図
【
図2】本発明の第2実施例に係るオイルシールの要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明には、以下の実施形態が含まれる。
(1)
本発明は、パワーステアリング用オイルシールに関する。
(2)
(2−1)従来技術において、オイルシールは、ハウジングに嵌合されており、内部オイルの密封と外部ダストの侵入を防止する役割を持つ。軸はハンドルの動きに伴い揺動作動し、オイルシール大気側にはダストカバーが軸に固定されている。
(2−2)オイルシールは、金属環、ゴム、スプリングから構成され、オイルを密封する主リップと外部ダストの侵入を防止するダストリップ、ハウジングにオイルシールを固定する嵌合部で構成される。
(2−3)海外など道路整備が十分でない地域では、ダスト環境が苛酷であり、一時的にパワーステアリング部が水没状態で走行するケースもあり、従来技術では、ダストカバーとハウジング間の隙間から浸入した泥水が主リップ部へ噛み込み、オイル漏れを発生させる問題がある。
【0023】
(3)
(3−1)そこで、本発明では、以下の構成とする。
(3−2)すなわち従来技術では、泥水環境が苛酷な場合、ダストカバーとハウジング間の隙間からオイルシール部に泥水が流れ込み、ダストリップ大気側のハウジング凹み部に泥水が堆積する。これによりダストリップの耐泥水性不足によって泥水が主リップ部へ浸入し、主リップがダストを噛み込むことにより油漏れが発生している。
(3−3)これに対し、本発明は、オイルシール大気側のハウジング凹み部へ泥水が堆積することがないよう、ハウジング大気側面にダストシールを覆い被せるように設定したものである。また、更なる耐泥水性向上のため、ダストカバーとハウジング間からの泥水浸入を抑制すべく、ダストシールの外周側にダストカバーとしめしろを有する外周リップを設けたものである。
(3−4)本発明
図1のオイルシールは、ハウジング内周側とダストシール金属環で固定し、また外周側はハウジング外周溝部へ嵌め込むタイプであり、ダストシール固定性に優れる。
(3−5)本発明
図2のオイルシールは、コスト削減案として、ハウジング外周溝部へ嵌め込むラバーオンリータイプとし、低コスト化と同時にダストシールの装着性を容易にしたものである。
(4)
本発明技術により、耐ダスト(泥水)性が向上し、ダスト(泥水)環境が苛酷な場合でも主リップ部への泥水浸入が抑制され、ダスト噛み込みによるオイル漏れが解決できる。これにより、車両の長寿命化が図れる効果が得られる。
【実施例】
【0024】
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
【0025】
第1実施例・・・
図1は、本発明の第1実施例に係るオイルシール1の要部断面を示している。当該実施例に係るオイルシール1は、ハウジング31の軸孔32内周に装着される第1シール部材(オイルシール本体とも称する)11と、軸孔32の開口周縁部であってハウジング31の端面部に装着される第2シール部材(ダストシールとも称する)21との組み合わせよりなるものであって、以下のように構成されている。尚、軸孔32に挿通される軸33は、縦軸であり、具体的には自動車等車両のパワーステアリング部におけるステアリングシャフトである。図の下方が機内側A、上方が機外側Bである。ハウジング31の機外側端部であって軸孔開口周縁部には内向き(径方向内方向き)のフランジ部34が一体に設けられ、第1シール部材11はこのフランジ部34に対し機内側Aから端面突き当ての状態で装着される。一方、第2シール部材21はフランジ部34の端面部(上面部)すなわちハウジング31の端面部(上面部)に覆い被さるように機外側Bからキャップ状に装着される。フランジ部34の更に機外側Bに位置して軸33の外周面にはダストカバー35が取り付けられている。
【0026】
第1シール部材11は、前記フランジ部34の機内側Aにおいてハウジング31の軸孔32内周面に固定(嵌着)される筒状の固定部12を有しており、この固定部12の機外側端部から径方向内方へ向けてフランジ状のリップ保持部13が一体に設けられ、このリップ保持部13の内周端部に複数のシールリップ14,15が一体に設けられ、このシールリップとして、機内側Aのオイルをシールする主リップ14と、機外側Bの泥水等外部ダストをシールする第1ダストリップ15とが一体に設けられている。これらシールリップ14,15は何れも軸33の周面に摺動自在に密接することによりオイルまたはダストなどをシールする。
【0027】
また、第1シール部材11は、その部品構成として、筒状部16aの機外側端部に内向きフランジ部16bを一体成形した金属環16にゴム状弾性体17を被着(加硫接着)したものであって、このゴム状弾性体17によって、金属環16およびハウジング31間をシールする外周シール部18とともに前記複数のシールリップ14,15が一体に成形されている。主リップ14には第3の部品として、しめしろ調整用のガータースプリング19が嵌着されている。
【0028】
一方、第2シール部材21は、ハウジング31の端面部(上面部)31aをその上方(機外側B)から被覆する平板環状の端面被覆部22を有しており、この端面被覆部22の外周縁部に、ハウジング31の外周面31bに上方から差し込まれる環状の外周差し込み部23が一体に設けられている。ハウジング31の外周面31bには段差状の係合部36が環状溝37の一部として設けられている。外周差し込み部23の内周面には、段差状の係合部36に係合して当該第2シール部材21をハウジング31から抜け止めするための突起部24が一体に設けられている。また端面被覆部22の内周縁部には、ハウジング31の軸孔32内周面に上方から差し込まれる環状の内周差し込み部25が一体に設けられている。また同じく端面被覆部22の内周縁部であって内周差し込み部25の機外側Bには、第1ダストリップ15の機外側Bに位置して軸33の周面に摺動自在に密接して機外側Bの泥水等の異物をシールする第2ダストリップ26が一体に設けられている。
【0029】
外周差し込み部23の外周面には、ダストカバー35におけるスカート部の内周面に摺動自在に密接して機外側Bの泥水等の異物をシールする第3ダストリップ27が一体に設けられている。この第3ダストリップ27は、ダストカバー35およびハウジング31間の隙間38が当該第3ダストリップ27よりも下方に設定されてこの隙間38から泥水等が浸入してくる関係上、第1および第2ダストリップ15,26とは反対に、そのリップ先端を下方へ向けて形成されている。
【0030】
第2シール部材21は、ゴム状弾性体28の一体成形品よりなるが、端面被覆部22から内周差し込み部25へかけての部位には金属環29が埋設されてその強度が高められている。金属環29は筒状部29aの機外側端部に外向きフランジ部29bを一体成形したものであって、内周差し込み部25の外周面に位置する筒状部29aが所定のしめしろをもって軸孔32内周面に嵌合されている。
【0031】
上記構成のオイルシール1において、機外側Bに存在する泥水等外部ダストは先ず、ハウジング31の上方にダストカバー35が装着されることによって機内側Aへ浸入しにくくされている。ダストカバー35およびハウジング31間の隙間38から浸入した泥水等は第3ダストリップ27でシールされ、更に第2ダストリップ26でシールされ、両ダストリップ27,26を通過しなければ第1ダストリップ15に到達しないように構成されている。第2ダストリップ26で遮断された泥水等は、第2シール部材21上に堆積しようとしても、外周差し込み部23の外周面に沿って流れ落ち、第3ダストリップ27を経て隙間38から外部へ流出することもある。したがって泥水等は第1ダストリップ15に到達しにくく、よって第1ダストリップ15上に泥水等が堆積して、第1ダストリップ15から浸入した泥水が主リップ14へ噛み込み、オイル漏れが発生するのを抑制することができる。
【0032】
また、第2シール部材21がゴム状弾性体28の一体成形品よりなるとともに内周差し込み部25に金属環29が埋設され、この金属環29が軸孔32内周面に嵌合する構成とされているために、ハウジング31に対する第2シール部材21の固定性を安定化させることができ、すなわちハウジング31に対して第2シール部材21を強固にしっかりと固定することができる。また外周差し込み部23の内周面に設けられた突起部24がハウジング31の外周面に設けられた段差状の係合部36に係合するため、第2シール部材21はハウジング31から脱落しにくいものである。尚、図示する装着状態において、内周差し込み部25はその下端部を下方へ延長し第1シール部材11に密接させて該部シール性を確保するようにしても良い。また端面被覆部22はその上面をテーパー状として泥水等が外周側へ流れやすいようにしても良い。
【0033】
第2実施例・・・
上記第1実施例において、第2シール部材21はゴム状弾性体28の一体成形品よりなるとともに端面被覆部22から内周差し込み部25へかけての部位に金属環29が埋設されてその強度が高められているが、第2実施例として
図2に示すように、金属環29はこれを省略しても良く、この場合、第2シール部材21はゴム状弾性体28の一体成形品のみによって成形される。この場合、強度は若干低下するものの第2シール部材21について製作コストを低減化させることができ、また部品のフレキシブル性が高められることから装着作業を容易化することができる。当該第2実施例のその他の構成および作用効果は上記第1実施例と同様である。また、内周差し込み部25の下端部を第1シール部材11に密接させて該部シール性を確保するようにしても良いこと、および端面被覆部22の上面をテーパー状として泥水等が外周側へ流れやすいようにしても良いことも第1実施例と同じである。
【符号の説明】
【0034】
1 オイルシール
11 第1シール部材
12 固定部
13 リップ保持部
14 主リップ
15 第1ダストリップ
16,29 金属環
16a,29a 筒状部
16b,29b,34 フランジ部
17,28 ゴム状弾性体
18 外周シール部
19 ガータースプリング
21 第2シール部材
22 端面被覆部
23 外周差し込み部
24 突起部
25 内周差し込み部
26 第2ダストリップ
27 第3ダストリップ
31 ハウジング
31a 端面部
31b 外周面
32 軸孔
33 軸
35 ダストカバー
36 係合部
37 環状溝
38 隙間
A 機内側
B 機外側