特許第5757513号(P5757513)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5757513
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】密封容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/06 20060101AFI20150709BHJP
【FI】
   B65D43/06
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-43455(P2010-43455)
(22)【出願日】2010年2月26日
(65)【公開番号】特開2011-178427(P2011-178427A)
(43)【公開日】2011年9月15日
【審査請求日】2012年8月28日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和紀
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−205750(JP,A)
【文献】 実開平7−28046(JP,U)
【文献】 特開2005−313906(JP,A)
【文献】 実開昭54−14817(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形状の蓋体(1)の天板(2)周縁から外向きフランジ(4)を介して側板(5)を垂下して、該側板の上下方向中間部の内面に係合突部(7)を形成し、かつ容器本体の周壁(21)上端部外面に係合突条(22)を周設して、該係合突条下面へ前記蓋体の係合突部(7)を係合させてなり、
該側板の1つの角部の下端部に摘み部を設け、
かつ前記摘み部(9)を設けた角部(8)と該角部に隣接する1つの角部(11)との間の側板(5)部分および前記摘み部(9)を設けた角部(8)と該角部に隣接する他の角部(12との間の側板部分に、外方へ凸の弯曲状に形成された、弾性変形可能な薄肉部(13)を設け、
薄肉13は側板(5)の下部から側板(5)の上部に亘って上記係合突部(7)を断するように形成したことを特徴とする密封容器。
【請求項2】
前記薄肉部(13)と前記係合突部(7)とを交互に配置したことを特徴とする請求項1記載の密閉容器。
【請求項3】
前記薄肉部(13)は側方視三角形状に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の密閉容器。
【請求項4】
前記蓋体の天板(2)に外向きフランジ(4)と側板(5)とを備えた下面開口の嵌合溝部(6)を設けて、該嵌合溝部を前記容器本体の係合突条(22)へ嵌合させたことを特徴とする請求項1から3のいずれか記載の密閉容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は密封容器に関する。
【背景技術】
【0002】
蓋体と容器本体とのそれぞれに突部を設けて、これら突部を嵌合させることで密封嵌合を図った円形状の容器が従来技術として知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−59055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような突部から構成される嵌合手段を四角形状の容器に適用した場合、開蓋しようとすると、摘み部が設けられた蓋体の側壁の角部に隣接する角部に内方向への引張力が作用するため、蓋体の側壁内面に形成された突部が内方へ引寄せられて容器本体の突部下面へさらに食い込むため、蓋が開けにくいものとなっていた。そこで角部に丸みを付けることで開けにくさを解消しようとしているが、丸みが大になると四角形状としての形状による特性が失われてくるという課題が生じてくる。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、四角形状であっても開蓋が容易な密封容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、四角形状の蓋体1の天板2周縁から外向きフランジ4を介して側板5を垂下して、該側板の上下方向中間部の内面に係合突部7を形成し、かつ容器本体の周壁21上端部外面に係合突条22を周設して、該係合突条下面へ前記蓋体の係合突部7を係合させてなり、
該側板の1つの角部8の下端部に摘み部9を設け、
かつ前記摘み部9を設けた角部8と該角部に隣接する1つの角部11との間の側板5部分および前記摘み部9を設けた角部8と該角部に隣接する他の角部12との間の側板部分に、外方へ凸の弯曲状に形成された、弾性変形可能な薄肉部13を設け、
薄肉部13は側板5の下部から側板5の上部に亘って上記係合突部7を断するように形成した。
【0008】
また、本発明は、前記薄肉部13と前記係合突部7とを交互に配置したことを特徴する。
【0010】
さらに、本発明は、前記薄肉部13は側方視三角形状に形成されていることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記容器本体の周壁21上端部外面に係合突条22を周設して、該係合突条下面へ前記蓋体の係合突部7を係合させると共に、前記蓋体の天板2に外向きフランジ4と側板5とを備えた下面開口の嵌合溝部6を設けて、該嵌合溝部を前記容器本体の係合突条22へ嵌合させたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、蓋体の側板に弾性変形自在な薄肉13を設けたので、摘み部9をもって蓋体を上げると薄肉部が伸びるため、摘み部9を設けた角部に隣接する角部に対する引張力が緩和されて係合突部7が容器本体の係合突条22へ食い込むことが防止されるため四角形状の容器であっても開蓋が容易である。
【0013】
また、本発明は、摘み部9を設けた角部8と該角部に隣接する1つの角部との間の側板5部分および他の角部との間の側板部分に薄肉部13を設けたので、または薄肉部を外方へ凸の弯曲状に形成したので、開蓋がさらに容易となる。
【0014】
さらに、本発明は、蓋体の天板2周縁部に下面開口の嵌合溝部6を設けて、該嵌合溝部を容器本体の係合突条22へ嵌合させたので密封性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る密封容器の斜視図である。
図2図1のA−A線に沿う断面図である。
図3図1のB−B線に沿う断面図である。
図4】作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
1は容器を構成する蓋体で、四角形状の天板2の周縁から起立部3を起立させ、起立部3の上端から外向きフランジ4を介して側板5を垂下することにより起立部3と外向きフランジ4と側板5とで嵌合溝部6を形成する。嵌合溝部6は後述の容器本体の係合突条22へ嵌合させる。
【0018】
図3に示すように、側板5の上下方向中間部内面に係合突部7を所定の間隔をおいて周方向へ複数形成すると共に、側板5の1つの角部8の下端に板状の摘み部9を突設する。
【0019】
摘み部9を設けた1つの角部8と該角部に隣接する一方の角部11との間の側板5部分および1つの角部8と該角部に隣接する他方の角部12との間の側板5部分のそれぞれに弾性変形自在な薄肉部13を形成する。
【0020】
薄肉部13は断面形状が外方へ凸の弯曲形状で、かつ底辺が下方に位置する側方視三角形状であることが好ましい。各肉薄部13は、図1に示す如く、側板5の下部から側板5の上部に亘って形成されており、上記係合突部7を縦断している。薄肉部13の数には特に限定がないが、薄肉部13は蓋体1を開ける際に伸びることで開蓋を容易にするためのものであるから、この目的を達成し得る程度の数であればよく、また薄肉部13間の距離も同様の観点から決めることができる。さらに薄肉部13は摘み部9が設けられた1つの角部8とこれに隣接する角部との間の中央部かまたは摘み部9が設けられた1つの角部8に近い位置に設ける。また通常は薄肉部13と係合突部7とは交互に配置するが、必ずしも交互である必要はない。
【0021】
20は容器本体で、周壁21の上端部外面に係合突条22を周設して、該係合突条22が形成された周壁21上端部に蓋体1の嵌合溝部6を嵌合させると共に、蓋体1の係合突部7を係合突条22下面に係合させる。
【0022】
次に本実施形態の作用について説明する。
蓋体1を開けるには、摘み部9を上方へ上げればよく、すると蓋体1の天板2の角部部分が上方へ屈曲されるが、その際薄肉部13が図4に示すように伸びるため、摘み部9が設けられた1つの角部8と隣接する角部11、12に引張力が殆ど作用することがなく、したがって容器本体の係合突条22下面へ係合した蓋体1の係合突部7に内方向への力が作用することがなく、このため容易に開蓋することができる。
【0023】
なお、蓋体1の材質としてはポリエチレン等の柔軟な材料が、また容器本体20の材質としてはポリプロピレンが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、種々の内容物を収納するのに使用される密封容器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 蓋体
2 天板
4 外向きフランジ
5 側板
6 嵌合溝部
7 係合突部
8 角部
13 薄肉部
20 容器本体
21 周壁
22 係合突条
図1
図2
図3
図4