【実施例1】
【0018】
図1〜10に示す実施例は、2つのロータリー刃を有するものである。図において、符号10は本体部であり、ここには駆動電気モータ、電池、制御回路などが収容されている。この本体部10の上部には髭剃りヘッド12が設けられ、この髭剃りヘッド12の上部はロータリー刃16の外刃を保持する外刃ケース14となっている。
【0019】
外刃ケース14には、2つのロータリー刃16が収容される。すなわち各ロータリー刃16は、円盤状の外刃16Aと、その下面に下方から弾接しつつ回転する内刃(図示せず)とを持ち、外刃16Aは外刃ケース14に設けた2つの外刃収容孔18、18(
図10)に下方から装填されている。すなわちこの外刃ケース14は、2つの外刃収容孔18、18を囲むように平面視で略長円形に形成されている(
図2参照)。これらロータリ刃16の内刃は、本体部10にある電気モータにより回転駆動される。
【0020】
例えば
図10に示すように、電気モータ20の出力軸20Aに固定された駆動歯車22を挟んで両側に被動歯車24、24が係合し、これら被動歯車24、24により前記内刃が回転駆動される。なお前記外刃16Aは外刃ケース14の外刃収容孔18、18に下方から係入される一方、被動歯車24、24の軸はコイルばねにより内刃に上向きの復帰習性を付与する。このため内刃は外刃16Aを外刃ケース14に下方から押し上げつつ外刃16Aの下面に摺接しながら回転する。
【0021】
外刃ケース14には、2つの外刃16A、16Aの配列方向と平行となる
面の一方(正面)に沿ってフォイル刃進入孔26が一体に形成されている。フォイル刃進入孔26は平面視長四角形であり、ここには下方からフォイル刃28が進入する。このフォイル刃28は、薄く柔軟なメッシュスクリーンあるいは穴あきフォイルを弧状に湾曲させた外刃と、この外刃の内面に摺接して左右に往復動する内刃とを有する。これら外刃と内刃を組み合わせたフォイル刃28は、外刃ケース14のフォイル刃進入孔26に下方から上下動可能に挿入される。内刃は、この内刃と一体の駆動体28A(
図10)を後記するバイブレーター38により往復駆動される。
【0022】
このフォイル刃28の前面には
図10に示す突起30が設けられ、この突起30は本体部10の前面に設けた上下動可能なスライド部材32の裏面に係合している。このためスライド部材32を上下動させることによってフォイル刃28の上下位置を変更可能である。すなわちフォイル刃28は、このスライド部材32を使用者の指で上下させることにより、
図1〜3に示すロータリー刃16の髭剃り面Xと実質的に同一高さと、
図4〜5に示すロータリー刃16の髭剃り面Xよりも高い突出位置Yと、
図6、7図に示すロータリー刃16の髭剃り面Xより低い収納位置Zとに固定可能である。
【0023】
外刃ケース14には、外刃16A、16Aの配列方向と平行となる
面の他方、すなわちフォイル刃28と反対(背面)側の
面に、キワゾリ刃34が上下動可能に臨んでいる。すなわち本体部10の背面には、キワゾリ刃34を保持するホルダー36が上下動可能に保持され、その上縁に設けたキワゾリ刃34が外刃ケース14の背面に臨んでいる。ホルダー36はこの背面(後面)に形成した操作子36A(
図3(C)、
図5(C)、
図7(C)、
図9(C)など参照)により上下動可能であり、
図8に示すようにロータリ刃16の髭剃り面Xよりも上方に突出したキワゾリ位置Pと、
図1〜7に示すようにロータリー刃の髭剃り面よりも下方に収納した収納状態(
図1〜7)とに固定可能である。
【0024】
ここにキワゾリ刃34は、ホルダー36に固定された鋸歯状の固定刃と、これに密着して左右に往復動する鋸歯状の可動刃とを持ち、可動刃を往復振動させることによって鋸歯状の刃の間に入った髭をカットするものである。
【0025】
次にフォイル刃28とキワゾリ刃34の駆動機構について説明する。
図10において、38は樹脂製のバイブレーターであり、本体部10に固定した一対の固定部38Aの間に薄肉で柔軟な連結部38Bによって可動部38Cを保持したものである。可動部38Cには本体部10の前後方向に長い長穴38Dが形成されている。この長穴38Dには、前記電気モータの回転軸20Aに固定したカム39が係入し、回転軸20Aの回転により可動部38Cが往復動する。なおこの回転軸20A刃、カム40を貫通して前記駆動歯車22に固定されている。
【0026】
可動部38Cにはその前面と背面に駆動ピン40、42が突設されこれらがフォイル刃28の内刃と、キワゾリ刃34の可動刃に係合してこれらを往復動させる。すなわちフォイル刃28の内刃には前記駆動体28Aが設けられ、この駆動体28Aには前記駆動ピン40が係入する係合溝44が形成され、駆動ピン40の往復動(振動)が内刃に伝達可能である。この係合溝44の下部は狭く駆動ピン40の幅にほぼ一致する幅であり、その上部が広がっている。このためフォイル刃28を
図1〜3の高さXにした時と、
図4〜5の突出位置Yにした時には、駆動ピン40が係合溝44の下部(幅が狭い部分)に係合し、フォイル刃28の内刃を往復動可能である。しかしフォイル刃28を
図6〜7の収納位置Zにした時には、駆動ピン40は係合溝44の上部にある幅広部分に位置し、駆動ピン40の往復動は内刃に伝わらない。
【0027】
可動部38Cの背面にある駆動ピン42は、キワゾリ刃34のホルダー36内面にピン46で揺動可能に保持された揺動レバー48の下部に係入している。すなわちこの揺動レバー48の下部には、下方が狭く上方が広がった係合溝50が形成され、この係合溝50に駆動ピン42が係入している。ここにキワゾリ刃34が下降した収納位置(
図8〜9)では、駆動ピン42は係合溝50の上部の幅広部分に位置し、突出したキワゾリ位置Pでは係合溝50の下部の幅狭部分に位置する。このためキワゾリ位置P(
図9)ではキワゾリ刃34は作動するが、収納位置では作動せずに静止している。
【0028】
この実施例によれば、キワゾリ刃34を収納してフォイル刃28をロータリー刃16の髭剃り面位置Xにした状態(
図1〜3)では、フォイル刃28とロータリー刃16の両方を協働させて髭を剃ることができる。この際ロータリー刃16は髭剃り方向の制約が無く、フォイル刃28も髭剃り方向の制約がないから、使用者は前後左右に自由に移動させながら剃ることができる。このため使用感が良い。また、髭剃り刃を皮膚表面に当てて移動させる時には、外刃ケース14の縁にあるフォイル刃28の接触圧が大きくなるが、フォイル刃28は髭を導入する穴が小さいので皮膚を傷める恐れがない。また外刃ケース14の中央付近にあるロータリー刃16の接触圧が小さくなるので、ロータリー刃16のスリットに皮膚が進入しにくくなり皮膚を傷める恐れがない。このため使用者は深剃りを気にすることなく好みに応じた自由な髭剃りが可能になる。
【0029】
またフォイル刃28を突出位置Yにした時(
図4〜5)には、フォイル刃28だけを使って仕上げ剃りを行うことができる。さらにフォイル刃28を収納位置Z(
図6、7)にすれば、ロータリー刃16だけを使って通常のロータリ電気かみそりのように髭を剃ることができ、髭の濃い皮膚や、髭が硬い皮膚に対してしっかりと髭を剃ることができる。ロータリー刃16だけで剃った後でフォイル刃28を突出させれば(
図4〜5)、荒剃りと仕上げ剃りを別々に行うことができ、一層丁寧な髭剃りが可能になる。
【0030】
またキワゾリ刃34を使用する時には、フォイル刃28を収納位置Z(
図6、7)にしてキワゾリ刃34を突出位置Pにする(
図8、9)。キワゾリ刃34は通常皮膚に対して直角に当てるように使用するからこの状態ではロータリー刃やフォイル刃28は障害になることがない。