【実施例1】
【0020】
以下に、本発明の第1実施例であるスパウト収納型容器100の構成および動作について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施例であるスパウト収納型容器100の内容物が充填された使用前の状態を示し、容器本体110、キャップ130および中栓150を有している。
容器本体110は、外装容器112と、該外装容器112内に収容される内挿容器111とからなる。外装容器112の開口側に口筒部120が設けられ、内挿容器111にスパウト160が設けられ、口筒部120内にスパウト160が固定される。
【0021】
キャップ130は、キャップ本体131と上蓋133とからなり、キャップ本体131は、円形状の頂壁144と頂壁144の周縁から垂下し、口筒部120に外嵌する中空円筒状のスカート壁部140とからなり、上蓋133は、頂壁144の上部を覆い、キャップ本体131のスカート壁部140の上端にヒンジ部147により連結された側壁149と側壁149の上端を覆う天面壁132とからなる。
口筒部120に外嵌して容器本体110を密封するとともに、中栓150およびスパウト160の先端フランジ部161を内挿し、内挿容器111内の内容物を注ぎ出し可能、かつ、内挿容器111と外装容器112の間に空気を導入可能に構成されている。
外装容器112は、
図1においては口筒部120近傍のみを図示したが、図示より下方では、スクイズ動作が可能なよう、すなわち押圧に対して変形し、押圧力を解除すると弾性により元の形状に復帰可能なように、材料、形状および厚み等が適宜選択される。
図1に図示された外装容器112の口筒部120近傍では、外装容器112は、キャップ130を固定し後述する逆止弁機構を円滑に機能させるために、形状が変化しないように、材料、形状および厚み等が適宜選択される。
【0022】
内挿容器111は、スパウト160と密着固定されて外装容器112の内部空間に収容され、自由に変形可能で内容物の減少にともなって外装容器112との間の空間の容積が自由に変化可能なパウチ等であり、材料、形状および厚み等が適宜選択される。
なお、外装容器112および内挿容器111は、それぞれ、単一の材料で一体的に形成されても良く、複数の材料で多層に形成されても良いし、または、複数の部分に分割され適宜の手段で密着固定されて容器としての機能を持つように構成されても良い。
外装容器112の口筒部120には、先端近傍の外周にキャップ130がスナップ嵌合する
突起部である係止部122が設けられている。
【0023】
キャップ130は、
図2に示すように、口筒部120に外嵌する中空円筒状のスカート壁部140
を有するキャップ本体131と、スカート壁部140の上部を開閉可能な
上蓋133とを有している。スカート壁部140の下端側には、口筒部120の
突起部である係止部122とスナップ嵌合する突起部143が設けられている。突起部143はスカート壁部140の内周を一周するように設けられ、少なくともひとつの切欠溝部145が設けられており、キャップ130が嵌合した際に外部の空気が自由に通過可能な空間を形成している。
【0024】
キャップ本体131は、スカート壁部140の頂部に形成された頂壁144
を有し、ヒンジ147で接続された上蓋133により、頂壁144の開口部を開閉可能に覆
われる。スカート壁部140の頂壁144側の内周面には、空気弁体162が弾性的に当接して逆止弁機構を構成する空気弁座146が設けられている。頂壁144の中央には、弱化部135により切り取り可能に形成された切取部134を有する
口壁が設けられ、未使用時の気密性を確保するバージンシールを構成している。
口壁の切取部134より外側の下方には、中栓150を保持する上部保持凸部141が設けられている。切取部134の下方には、後述する中央弁体152をスパウト160の開口部165に向かって押圧する押圧凸部139が形成されている。本実施例では、切取部134の中央を厚みが一定で下方に膨出する形状として押圧凸部139を形成しているが、中央の厚みを大きくするようにして押圧凸部139を形成しても良い。
【0025】
切取部134の上方には支柱を介してプルリング138が形成されており、使用開始時にプルリング138を上方に引き上げることで切取部134が弱化部135で
口壁から破断して切取部134が切り取られ、
口壁の中央に切取部134の形状の開口が形成される。頂壁144の上部の弱化部135が形成された
口壁の外周側には、上方に向かって内容物を円滑に注ぎ出すための注出筒部136が形成されている。
【0026】
上蓋133は、側壁149の下端がスカート壁部140の上端とヒンジ部147により開閉可能に連結されており、頂壁144の上端の注出筒部136の外周側に設けられた上蓋係止部148にスナップ嵌合することで閉状態を維持可能に構成されている。
上蓋133の下面側には、閉状態の時に注出筒部136の内周側と密着する封止壁部137が設けられており、上蓋133が閉状態の時の密封性を向上している。なお、ヒンジ部147による結合を省略して、上蓋133を独立した部材としても良く、その場合、上蓋係止部148と上蓋133とを、周方向のスナップ嵌合、ネジ嵌合等の他の嵌合手段を用いても良い。
【0027】
中栓150は、
図3、
図4に示すように、中空円筒状の保持外枠151と、保持外枠151の内側に間隔を開けて保持されてスパウト160の開口部165に離隔可能に密接して内容物の排出方向のみの流れを許容するよう構成された中央弁体152を有している。
中央弁体152は、スパウト160の開口部165に向かって凸の半球状に形成されるとともに保持外枠151の内周の複数箇所と接続する弾性腕部155によって一体的に形成されている。また、中央弁体152の上方には、前述した切取部134の押圧凸部139によって
図1に示すように口筒部120の開口部に向かって押圧される被押圧部156が形成されている。
【0028】
弾性腕部155は、両端が保持外枠151と中央弁体152の周方向の異なる位置で接続され中央部が周方向に伸びるように構成され、この弾性腕部155を周方向に複数(本実施例では4個)設けている。この構造で、中央弁体152が軸方向にのみ弾性的に移動可能とされ、スパウト160の開口部165に密着することで逆止弁として動作する。なお、弾性腕部155の数、周方向長さ、断面積等は、必要とする弾性力に応じて適宜設計して良く、逆止弁として動作する構造であれば、本実施例のような弾性腕部155によらない構造で保持外枠151の内周部に支持しても良い。
【0029】
スパウト160は、
図5に示すように、下方に設けられた固定部166と、上方に設けられた先端フランジ部161とを有している。先端フランジ部161は、その外径が外装容器112の口筒部120開口より大径に形成され、固定部166は、内挿容器111に密着固定されて内容物を上方の開口からのみ注ぎ出し可能に構成されている。該先端フランジ部161の上部外周側には、外装容器112と内挿容器111との間に導入される空気の一方向のみの流れを許容するための逆止弁機構を構成する空気弁体162が設けられている。
【0030】
先端フランジ部161の上部内周側には、中栓150をキャップ130との間に挟んで固定する固定壁部164が設けられている。先端フランジ部161の空気弁体162と固定壁部164との間には、上下方向に貫通する貫通孔163が設けられている。また、固定壁部164より内周側の開口部165が、内挿容器111内の内容物の一方向のみの流れを許容するための逆止弁機構を構成し、本実施例では該開口部165はテーパ状に形成されている。
なお、先端フランジ部161の貫通孔163は、一箇所のみ図示されているが、円周方向のどのような位置にいくつ設けるかは、必要に応じて適宜選択して良い。
【0031】
スパウト160の先端フランジ部161の空気弁体162は、弾性変形により弁として作用するように一体に形成されて、キャップ130の空気弁座146に押し付けられることで逆止弁として動作する。このことで、各構成部材の形状や位置の精度が低くても、スパウト160の空気弁体162がキャップ130の空気弁座146の内周面に弾性的に嵌合することで両者が芯合わせされシール性能が確保される。また、空気弁体162は、キャップ130の上下方向の位置が多少ずれてもシールが可能であるため、外力や振動にともなう経時的なシール性能の劣化を防止することができる。
【0032】
中栓150の保持外枠151は、スパウト160の先端フランジ部161の固定壁部164の内周面に密着嵌合するとともに、保持外枠151の上方外周側には、先端フランジ部161の固定壁部164と前述したキャップ130の上部保持凸部141に挟まれる係合顎部154が設けられている。この構成により、外装容器112の口筒部120にキャップ130を嵌合することで、スパウト160と中栓150がキャップ130内に内装固定される。このことで、スパウト160と中栓150をキャップ130のスカート壁部140の内部に保持させるための組立作業が容易となる。
【0033】
以上のように構成された本発明の第1実施例であるスパウト収納型容器100の作用および動作について、
図1、
図6、
図7に基づいて説明する。
まず、外装容器112内に内挿容器111収容され、内挿容器111内に内容物が充填された状態で、中栓150がスパウト160の先端フランジ部161の固定壁部164の内周面に密着嵌合され、
図1に示すように、切取部134が切り取られていない状態のキャップ130が口筒部120に嵌合され、口筒部120の上端と、キャップ130の上部保持凸部141の間に、スパウト160の先端フランジ部161と中栓160の係合顎部154が挟まれて固定される。この時、スパウト160の開口部165が中栓150の中央弁体152をわずかに上方に押し上げるように設計することで、中央弁体152が常に弾性腕部155の弾性によりスパウト160の開口部165に押し付けられ、逆止弁として確実に作用することが可能となる。
【0034】
また、切取部134の下方に設けられた押圧凸部139が、中央弁体152の被押圧部156を押圧するように形成されているため、未使用時に圧力によって中央弁体152が開くことを防止でき、輸送時や保管時に外部から圧力がかかったり、温度変化等によって内圧が上昇したりしても、逆止弁が作動せず内容物が中央弁体152の上部に漏洩することを防止できる。また、当該押し上げにより、中栓150の係合顎部154が、キャップ130に設けられた上部保持凸部141に押し付けられる。このことで、保持外枠151の上端部から上方への空気の流れが阻止される。
【0035】
切取部134が切り取られた開口から内容物を注ぎ出す際は、
図6に示すように、上蓋133が開放された状態で、例えば外装容器112を強く握る等の動作で、外部から変形させて内部に圧力を加える。この時、外装容器112と内挿容器111の間に存在する空気が加圧され、スパウト160の貫通孔163を通じて、スパウト160の先端フランジ部161、キャップ130および中栓150の係合顎部154で囲まれた空間の空気も加圧される。
【0036】
この際、スパウト160の先端フランジ部161と中栓150の係合顎部154および中栓150の係合顎部154とキャップ130の上部保持凸部141はそれぞれ密封されており、スパウト160の先端フランジ部161とキャップ130は、先端フランジ部161上部外周側に設けられた空気弁体162がキャップ130の空気弁座146に押し付けられて逆止弁として働いて密封されている。
このため、上記加圧された空気は流出することなく、その圧力は内挿容器111内の内容物を押し出す力としてのみ作用する。圧力を受けた内挿容器111内の内容物は、黒矢印で図示するように、開口部165を閉塞している中栓150の中央弁体152を弾性腕部155の弾性に抗して押し上げて外部に注ぎ出される。
【0037】
注ぎ出しを停止する際は、外装容器112の外部からの変形を解除する。この時、外装容器112は弾性により元の形状に復帰しようとするため、外装容器112と内挿容器111の間に存在する空気が負圧となり、貫通孔163を通じて、外装容器112の口筒部120、スパウト160の先端フランジ部161、キャップ130および中栓150の係合顎部154で囲まれた空間の空気も負圧となる。
【0038】
この際、
図7に示すように、白矢印で図示するように、スパウト160の先端フランジ部161とキャップ130を密封していた先端フランジ部161上部外周側に設けられた空気弁体162が、負圧によりキャップ130の空気弁座146から離れ、スカート壁部140内に設けられた切欠溝145を通過した空気が導入され、貫通孔163を通過して外装容器112と内挿容器11の間の空間に空気が流入する。また、内挿容器111の内容物も負圧となるが、当該負圧によって中栓150の中央弁体152が弾性腕部155の弾性に抗して押し上げる力が解除され、中央弁体152が開口部165を閉塞して逆止弁として働くため、内挿容器111内に空気が流入することはない。
なお、
図7では、説明のため空気弁体162が空気弁座146から大きく離れるように図示しているが、負圧により空気が通過すればよく、わずかな隙間が生じる変形であっても良い。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明の第2実施例であるスパウト収納型容器200の構成および動作について、図面に基づいて説明する。
本発明の第2実施例であるスパウト収納型容器200は、
図8、
図10に示すように、容器本体210、キャップ230および中栓250を有している。
な
お、以下の説明は第2実施例であるスパウト収納型容器200特有の部分のみとする(同様の構成、動作および作用の部分は、第1実施例であるスパウト収納型容器100の説明の符号に100を加えて読み替える。)。
【0040】
キャップ230は、
図9に示すように、口筒部220に外嵌する中空円筒状のスカート壁部240とスカート壁部240の上端から内方に延びる環状の頂壁244からなるキャップ本体231とスカート壁部240の上端に開閉可能に連結された上蓋233とから構成されている。
上蓋233は、天面壁
232と天面壁
232の周縁から垂下する側壁
249とからなり、側壁249の下端とスカート壁部240の上端とがヒンジ部247により連結されている。
キャップ本体231の頂壁244の内側端には内容物の取り出し用の開口が形成されている。
スカート壁部240の頂壁244側の内周面には、空気弁体262が弾性的に当接して逆止弁機構を構成する空気弁座246が設けられている。頂壁244の中央には、内容物を注ぎ出す開口が形成され、開口の外周側には、上方に向かって内容物を円滑に注ぎ出すための注出筒部236が形成されている。
【0041】
頂壁244の上面から上方に延びる注出筒部236の内周面は、上蓋233の天面壁232の内面から垂下する封止壁部237の外周面に密接され、密封されている。さらに、上蓋233の下面の中央には、中央弁体252を口筒部220に向かって押圧する押圧突起239が形成されている。
【0042】
以上のように構成された本発明の第2実施例であるスパウト収納型容器200の特有の作用および動作についてのみ説明する。
【0043】
第2実施例であるスパウト収納型容器200は、上蓋233の下面の中央に設けられた押圧突起239が、中央弁体252の被押圧部256を押圧するように形成されているため、未使用時、使用開始後にかかわらず上蓋233を閉塞した状態とすることで、圧力によって中央弁体252が開くことを防止できる。
したがって、使用開始後であっても輸送時や保管時に外部から圧力がかかったり、温度変化等によって内圧が上昇したりしても、逆止弁が作動せず内容物が中央弁体252の上部に漏洩することを防止できる。