(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
室内側に設けられる第1のサッシ(200)と、室外側に設けられ、ブラインド(400)を備えた第2のサッシ(300)とからなるサッシ組に設けられて、前記ブラインドを駆動するためのブラインドの駆動装置(100)であって、
前記第1のサッシに設けられる操作部(110)と、
前記第1のサッシに設けられて、前記操作部の操作により駆動される駆動部(120)と、
前記第2のサッシに設けられて、前記サッシ組の閉鎖状態において、前記第1のサッシの前記駆動部と連結されることにより動力が伝達されて前記ブラインドを駆動し、前記サッシ組の開放状態において、前記連結が解除される従動部(130)と、
を備えたことを特徴とするブラインドの駆動装置。
前記駆動軸と前記従動軸とは、互いの係合部が係合していないときは一方の軸が他方の軸を互いに係合することができない位置まで軸方向に押圧することを特徴とする請求項2記載のブラインドの駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなサッシ枠に設けられる駆動装置は、遮蔽材が配設されているサッシのサッシ枠に設けられている。このため、室外側のサッシに設けられている遮蔽材を開閉するためのチルト操作ダイヤルは、サッシを閉鎖した際に、室内側のサッシ枠と重複配置されない部分に設けられる必要がある。よって、チルト操作ダイヤルは室内側のサッシ枠と重複配置されない位置に設けられなければならないため、サッシの開口部方向に張り出して設けられることになる。このため、室外側のサッシの開口部の幅が狭くなり、その結果、開口部の面積が狭くなってしまうという問題があった。
【0005】
ところで、仮に、遮蔽材の開閉を操作するチルト操作ダイヤルなどの操作部を遮蔽材が配設されているサッシに設けず、ブラインドに対して着脱自在に設けるようにすると(特許文献2参照)、開口部の面積を広くすることができる。このような構成によっても、操作部と遮蔽材を開閉するための機構とが連結されることによって、操作部の操作が機構に伝達され、遮蔽材が開閉することになる。この場合、操作部をブラインドから一旦取外し、再び取付けたときに、操作部の動作位置と、機構の動作位置とが取り外したときの状態を維持していないと、操作部を再び取付けたときに、互いの動作位置がずれた状態のまま動力が伝達されることになる。しかし、ブラインドから取り外された操作部は、何かに触れるなどして動作位置が変わってしまう可能性がある。したがって、操作部と機構とは、必ずしも取外したときの状態で連結されるとは限らない。このため、操作部の動作位置と機構の動作位置とがずれた状態のまま動力が伝達されてしまい、ブラインドを正常に駆動させることができない可能性があるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、操作部とブラインドを駆動する機構とが着脱自在であっても、ブラインドを正常に駆動させることができ、さらに、操作部とブラインドを駆動する機構とが着脱自在な構成をサッシに適用することにより、遮蔽材を支持するサッシの開口部の面積を広くとることができるブラインドの駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明によれば、室内側に設けられる第1のサッシと、室外側に設けられ、ブラインドを備えた第2のサッシとからなるサッシ組に設けられて、前記ブラインドを駆動するためのブラインドの駆動装置であって、第1のサッシに設けられる操作部と、第1のサッシに設けられて、操作部の操作により駆動される駆動部と、第2のサッシに設けられて、サッシ組の閉鎖状態において、第1のサッシの駆動部と連結されることにより動力が伝達されてブラインドを駆動する従動部と、を備えたことを特徴とするブラインドの駆動装置が提供される。
【0008】
かかる発明によれば、ブラインドを駆動する駆動装置を、ブラインドを備えた室外側の第2のサッシと、室内側の第1のサッシとに分割して設け、室内側の第1のサッシに操作部を設けたことにより、サッシ組の開閉状態にかかわらず操作部を室内側に露出させることができて、第2のサッシの開口部を狭める必要がなくなる。よって、第1、第2のサッシの開口部の面積を広くとることができる。
【0009】
また、駆動部は駆動軸を、従動部は従動軸をそれぞれ備え、駆動軸と従動軸のうちの少なくともどちらか一方が、付勢手段によって第1のサッシと第2のサッシの互いに対向する面よりも突出しているとともに軸方向に摺動自在であり、かつ駆動軸と従動軸の両方が軸の周りに回転自在であり、駆動軸と従動軸には、互いに係合する係合部がそれぞれ設けられており、駆動軸と従動軸とは、互いの係合部が係合することにより一体に回転するようにしてもよい。このように、駆動軸と従動軸は係合部同士の係合によって一体に回転するため、駆動軸の回転を従動軸に確実に伝達することができる。これにより、ブラインドを駆動する駆動装置を、ブラインドを備えた室外側の第2のサッシと、室内側の第1のサッシとに分割して設けても、室内側の第1のサッシに設けられた操作部の操作を室外側の第2のサッシに設けられたブラインドに確実に伝達することができる。
【0010】
さらに、駆動軸と従動軸とは、互いの係合部が係合していないときは一方の軸が他方の軸を互いに係合することができない位置まで軸方向に押圧するようにしてもよい。これにより、例えば、サッシ組が開放されているときに、操作部が誤操作されて駆動軸が回転し、駆動軸と従動軸の係合部同士の位置がずれてしまった状態で、サッシ組を閉鎖した場合、一方の軸が他方の軸を互いに係合することができない状態のまま押圧することになる。このため、駆動軸と従動部の係合部同士が係合しないため、操作部を操作しても、駆動軸から従動軸に動力が伝達されず、誤操作を防止することができる。これにより、ブラインドを駆動する駆動装置を、ブラインドを備えた室外側の第2のサッシと、室内側の第1のサッシとに分割して設けても、室内側の第1のサッシに設けられた操作部の操作によって発生する動力が室外側の第2のサッシに設けられたブラインドに誤った位置関係にある状態のまま伝達されることが防止される。
【0011】
また、駆動軸と従動軸とは、互いの係合部が係合するまでは相対的に回転するようにしてもよい。このため、駆動軸の係合部が正常な位置に戻るまでは、従動軸の係合部と係合しないため、操作部の位置がリセットされ、駆動軸と従動軸とを正常な位置関係に戻すことができる。これにより、ブラインドを駆動する駆動装置を、ブラインドを備えた室外側の第2のサッシと、室内側の第1のサッシとに分割して設けても、室内側の第1のサッシに設けられた操作部及び駆動部と、室外側の第2のサッシに設けられた従動部とを常時正常な位置関係で動作させることができる。
【0012】
ここで、駆動軸は第1付勢手段によって常時付勢されており、従動軸は、第2付勢手段によって従動軸の先端が第2のサッシの室内側の面と面一となるように常時付勢されており、第2付勢手段の付勢力が第1付勢手段の付勢力よりも小さく設定されているようにしてもよい。これにより、サッシ組が開放されているときなどのように、駆動軸と従動軸とが離間しているときに、第2のサッシの室内側の面が従動軸の先端によって塞がれるため、第2のサッシ内に異物が侵入することを防止することができる。これにより、ブラインドを駆動する駆動装置を、ブラインドを備えた室外側の第2のサッシと、室内側の第1のサッシとに分割して設けても、異物の侵入などによる駆動装置の故障を防止することができる。
【0013】
また、本発明によれば、窓枠に取付けられたブラインドを駆動するためのブラインドの駆動装置であって、ブラインドに着脱自在に取付けられ、ブラインドの駆動を操作する操作部と、ブラインドに着脱自在に取付けられ、操作部の操作により駆動される駆動部と、ブラインドに設けられて、駆動部と連結することにより動力が伝達されてブラインドを駆動する従動部と、を備え、前記駆動部と前記従動部とは、互いに係合する係合部をそれぞれ備え、互いの係合部が係合することにより動力が伝達されることを特徴とするブラインドの駆動装置が提供される。
【0014】
かかる発明によれば、例えば、ブラインドの左右で操作位置を変更するために、操作部及び駆動部をブラインドから一旦取外した後に、駆動部の係合部の位置が変わったとしても、駆動部と従動部とは、互いの係合部同士が係合することによって動力が伝達される構成であるため、駆動部は、必ず、取外したときの係合部の位置で従動部と係合することになる。このため、駆動部と従動部の位置がずれた状態のまま動力が伝達されることを防止することができる。これにより、ブラインドを駆動する駆動装置をブラインドと、ブラインドとは別体の部分とに分割しても、常時ブラインドを正常に駆動させることができる。
【0015】
また、例えば、操作部及び駆動部に操作プーリを用い、従動部に回転軸を用いた場合、操作プーリの回転位置と回転軸の回転位置との関係が変わると、操作チェーンのコネクタが操作プーリに引っ掛ってしまい操作できなくなるなどの操作不良が起こる場合がある。しかし、上述の機構によれば、操作プーリの回転位置と回転軸の回転位置とが変わることなく連結されるため、操作不良を防止することができる。
【0016】
また、電動ブラインドの場合、駆動部となるモータの軸と従動部となる回転軸に互いに係合する係合部を設けることにより、これらの位置決めにも利用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ブラインドを駆動する駆動装置を、ブラインドを備えた室外側の第2のサッシと、室内側の第1のサッシとに分割して設け、室内側の第1のサッシに操作部を設けたことにより、操作部を室内側に露出させるために、第2のサッシの開口部を狭める必要がない。よって、第1、第2のサッシの開口部の面積を広くとることができる。
本発明のその他の効果については、以下の発明を実施するための形態の項でも説明する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るブラインドの駆動装置について、
図1〜
図4を参照しながら説明する。
まず、本実施形態に係るブラインドの駆動装置の構成を説明する。駆動装置100は、
図1に示すように、図示していない建物の窓用開口の室内側に設けられる第1のサッシ200と、同じく窓用開口の室外側に配置される第2のサッシ300とからなるサッシ組に設けられ、第2のサッシ300に設けられるブラインド400を駆動する。なお、本実施形態においては、第1のサッシ200と第2のサッシ300によって片開き窓を構成するものとする。以下、各構成について詳細に説明する。
【0021】
(第1のサッシ200)
第1のサッシ200は、
図1及び
図2に示したように、ガラス等がはめ込まれていない枠のみで構成されており、図示していない建物の窓用開口に固定されている。第1のサッシ200の下枠210内に駆動装置100の後述する操作部110及び駆動部120が配設されている。下枠210の室内側の面には長手方向に延びる第1開口部211が形成されており、この第1開口部211を介して駆動装置100の後述する操作つまみ113が室内に突出している。また、下枠210の室外側の面には、略逆U字状の第2開口部212が形成されており、この第2開口部212を介して駆動装置100の後述する駆動部ケース121の円筒状支持部121aの先端が突出している。
【0022】
(第2のサッシ300)
第2のサッシ300は、
図1及び
図2に示したように、方形状の枠体310の室内側と屋外側にガラス320、330が離間してそれぞれ設けられている。そして、枠体310と、室内側のガラス320と、室外側のガラス330とによって密閉空間340が形成されている。また、第2のサッシ300は、これの
図2中右側の側枠311が第1のサッシ200の側枠に連結されており、右側の側枠311を軸として室外方向に揺動するようになっている。第2のサッシ300の密閉空間340内にブラインド400及び駆動装置100の後述する従動部130が設けられている。第2のサッシ300の下枠312には、円筒形の第3開口部312aが形成されており、駆動装置100の後述の従動部ケース131の先端部が嵌め合わされている。
【0023】
第1のサッシ200と第2のサッシ300は、これらを閉じた際に、互いの下枠210、下枠312同士が重なり合うように構成されている。
【0024】
(ブラインド400)
ブラインド400は、
図1に示したように、第2のサッシ300の密閉空間340に設けられている。ブラインド400は、ラダーコード410によって整列状態に支持される多数のスラット420と、第2のサッシ300の上枠313内に配設されるヘッドボックス内においてラダーコード410の上端を巻取り及び巻解き可能に支持する回転ドラム430(なお、回転ドラム430は
図1中1か所にしか現れていない)と、ヘッドボックスの長手方向全長にわたって延び、回転ドラム430を一体に回転するように貫通する回転軸440と、を備えて構成される。
【0025】
ブラインド400は、回転軸440の回転により、回転ドラム430が一体に回転し、回転ドラム430が、スラット420の前後に垂下するラダーコード410のうちの一方を巻き取るとともに、他方を巻き解くことにより、スラット420を回転させる。これにより、スラット420が開閉する。
【0026】
(駆動装置100)
駆動装置100は、
図1及び
図2に示したように、第1のサッシ200に設けられる操作部110と、第1のサッシ200に設けられる駆動部120と、第2のサッシ300に設けられる従動部130と、を備えて構成される。駆動部120は、操作部110の操作により駆動される。従動部130は、第1のサッシ200と第2のサッシ300とが閉鎖されている状態において、第1のサッシ200の駆動部120と連結されることにより動力が伝達されてスラット420を開閉する。以下、駆動装置100の各構成について詳細に説明する。
【0027】
(操作部110)
操作部110は、
図3及び
図4に示したように、第1のサッシ200の下枠210内に長手方向に摺動するように設けられ、下枠210の長手方向に延びる底部111aと側部111bとによりなる断面略L字状の摺動部111と、底部111aの上面に長手方向に延びるように設けられるラック112と、側部111bより突出する操作つまみ113と、を備えて構成される。摺動部111は、底部111aが下枠210の底面側に、側部111bが下枠210の室内側の側面側に位置するように配置される。また、操作つまみ113は、前述のように、下枠210の室内側の面に設けられている第1開口部211を介して室内に突出している。これにより、室内の操作者が操作つまみ113を下枠210の長手方向に摺動させることにより、操作つまみ113と一体に摺動部111が下枠210の長手方向に摺動する。
【0028】
(駆動部120)
駆動部120は、
図3及び
図4に示したように、第1のサッシ200の下枠210内に固定される駆動部ケース121と、駆動部ケース121に回転可能に支持され、先端が下枠210から室外に突出する駆動軸122と、駆動軸122を室外に突出する方向に常時付勢する第1バネ(第1付勢手段)123と、を備えて構成される。以下、駆動部120の各構成について詳細に説明する。
【0029】
(駆動部ケース121)
駆動部ケース121は、
図3及び
図4に示したように、下枠210内に固定されており、下枠210の第2開口部212を介して室外に突出する円筒状支持部121aを備えている。円筒状支持部121aは、下枠210内に配置されている部分である後部121a−1よりも室外に突出している部分である前部121a−2の方が肩部121a−3を形成して小径に形成されている。円筒状支持部121a内には、駆動軸122が回転可能かつ軸方向に摺動可能に挿入されている。
【0030】
(駆動軸122)
駆動軸122は、
図3及び
図4に示したように、円筒状支持部121aに軸方向に摺動自在であるとともに回転自在に支持されている回転摺動部122aと、円筒状支持部121aに回転自在に支持されている回転部122bと、を備えて構成されている。回転摺動部122aと回転部122bとは、一体に回転し、かつ軸方向には相対移動するように構成されている。
【0031】
図2に示したように、回転摺動部122aの先端には、径方向に突出する第1係合部122a−1が円周方向の一部に形成されており、後端には、径方向に突出するつば部122a−2が円周方向全周に形成されている。このつば部122a−2は、回転摺動部122aが摺動した際に、駆動部ケース121の肩部121a−3に当接することにより、回転摺動部122aの円筒状支持部121aから突出する方向へのそれ以上の摺動を規制するものである。回転摺動部122aの先端は平面となっている。
【0032】
回転部122bの後端には円筒状支持部121aの後部121a−1よりも大径のピニオン122b−1が形成されており、ピニオン122b−1は円筒状支持部121aの後端部と操作部110の側部111bとの間に位置し、これらの間で軸方向の移動が拘束されている。ピニオン122b−1は、操作部110のラック112と噛み合っており、操作部110と一体にラック112が摺動することにより、ピニオン122b−1が回転し、駆動軸122が回転駆動するようになっている。
【0033】
(第1バネ123)
第1バネ123は、
図3及び
図4に示したように、回転摺動部122aのつば部122a−2と回転部122bのピニオン122b−1との間に配設されており、一端がつば部122a−2に、他端がピニオン122b−1にそれぞれ連結されている。これにより、回転摺動部122aは円筒状支持部121aの先端から突出する方向に常時付勢されている。
【0034】
(従動部130)
従動部130は、
図3及び
図4に示したように、第2のサッシ300に固定される従動部ケース131と、従動部ケース131に軸方向に摺動自在であるとともに回転自在に支持される従動軸132と、従動軸132を従動部ケース131の開口端方向に常時押圧する第2バネ(第2付勢手段)133と、従動軸132の駆動を回転軸440に伝達する伝達部134と、を備えて構成される。
【0035】
(従動部ケース131)
従動部ケース131は、
図3及び
図4に示したように、第2のサッシ300の下枠312に固定されており、密閉空間340内に配置される大径部131aと、下枠312の第3開口部312aに嵌め合わされる小径部131bと、を備えて構成されている。従動部ケース131の小径部131bには、第1のサッシ200と第2のサッシ300が閉鎖し、互いの下枠210と下枠312同士が重なり合った際に、駆動部120の回転摺動部122aが挿入されるようになっている。
【0036】
(従動軸132)
従動軸132は、従動部ケース131に回転自在に支持された底付き円筒状の回転部132aと、回転部132a内に軸方向に摺動自在に支持される摺動部132bと、を備えて構成されている。
【0037】
回転部132aは、
図2に示したように、室内側に位置する開口端部の円周方向の一部が切り欠かれて、第2係合部132a−1が形成されている。第2係合部132a−1には前述の駆動軸122の第1係合部122a−1が係合して、駆動軸122と従動軸132とが一体に回転する。また、回転部132aの室外側の端部には、第1プーリ132a−2が形成されている。
【0038】
摺動部132bも底付き円筒状の形状を有しており、回転部132a内に軸方向に摺動自在に挿入されている。摺動部132bの底部が回転部132aの開口端部側に位置するように配置されており、これにより、回転部132aの開口端部が摺動部132bの底部によって閉塞されるようになっている。摺動部132bの先端は平面となっており、駆動軸122の回転摺動部122aの先端の平面と当接した際に、互いが係合することなく相対回転するようになっている。
【0039】
(第2バネ133)
第2バネ133は、回転部132aと摺動部132bとによって画成される空間に設けられており、第2バネ133の一端は回転部132aの底部に、他端は摺動部132bの底部にそれぞれ連結されている。第2バネ133が自然長のときに、摺動部132bの底部は、回転部132aの開口端部に位置するようになっている。この第2バネ133の押圧力は、駆動部120の第1バネ123の押圧力よりも小さく設定されている。
【0040】
(伝達部134)
伝達部134は、
図1及び
図4に示したように、回転軸440の端部に設けられる第2プーリ134aと、この第2プーリ134aと従動部130の第1プーリ132a−2とにそれぞれ巻き掛けられた無端状のワイヤ134bと、を備えて構成される。ワイヤ134bは、第2プーリ134aに巻き掛けられた後、第2のサッシ300の左側の側枠314内を下降し、側枠314の下端で折り曲げられ、下枠312内を配回されて第1プーリ132a−2に巻き掛けられる。これにより、従動部130の第1プーリ132a−2が回転すると、ワイヤ134bを介して第2プーリ134aが回転し、第2プーリ134aと一体に回転軸440が回転するようになっている。
【0041】
次に、本実施形態の動作について、
図5A〜
図5D及び
図6A〜
図6Cを参照しながら説明する。
第1のサッシ200と第2のサッシ300とが開放されているときには、
図5A(a)及び
図6Aに示したように、第1のサッシ200の下枠210と第2のサッシ300の下枠312とが離隔している。これにより、駆動部120と従動部130とが離隔しており、駆動部120の動力が従動部130に伝達されることはない。また、駆動部120の駆動軸122の第1係合部122a−1と、従動部130の従動軸132の第2係合部132a−1とは、
図5Aの(b)と(c)に示したように、ともに離隔したときの状態のまま上方に位置している。
【0042】
この状態において、駆動部120は、駆動軸122の回転摺動部122aが、第1バネ123の弾性力により第1のサッシ200から室外方向に押圧されて、つば部122a−2が肩部121a−3に当接した最も突出した状態となっている。
【0043】
一方、従動部130は、第2バネ133が自然長の長さになっており、従動軸132の摺動部132bが最も突出した状態となっている。このため、回転部132aの開口端部が摺動部132bの底部によって閉塞されている。このように、第1のサッシ200と第2のサッシ300とが開放されているときに、回転部132aの開口端部が摺動部132bの底部によって閉塞されるため、従動部ケース131内にゴミなどの異物が侵入することが防止されている。
【0044】
次に、第1のサッシ200と第2のサッシ300とを閉鎖すると、
図5B(a)及び
図6Bに示したように、第1のサッシ200の下枠210と第2のサッシ300の下枠312とが重なり合う。これにより、駆動軸122の回転摺動部122aの位置と、従動軸132の摺動部132bの位置とが一致する。このとき、
図5B(b)に示したように、回転摺動部122aの第1係合部122a−1の位置と、回転部132aの第2係合部132a−1の位置とが一致していると、摺動部132bを押圧している第2バネ133の押圧力が、回転摺動部122aを押圧している第1バネ123の押圧力よりも小さいため、回転摺動部122aは、摺動部132bを回転部132a内に押し込みながら、従動部ケース131及び回転部132a内に挿入される。これにより、回転摺動部122aの第1係合部122a−1と回転部132aの第2係合部132a−1とが係合するため、駆動軸122の回転摺動部122aの回転が従動軸132の回転部132aに伝達される状態になる。
【0045】
以上のように、第1係合部122a−1と第2係合部132a−1とが係合し、回転摺動部122aの回転が回転部132aに伝達される状態において、ブラインド400を駆動することができる。
【0047】
図6B及び
図7Aに示したように、スラット420が水平状態のときには、操作つまみ113が下枠210の第1開口部211の長手方向中央に位置し、ピニオン122b−1がラック112の長手方向中央位置で噛み合う状態となっている。このとき、回転摺動部122aの第1係合部122a−1と回転部132aの第2係合部132a−1とは、
図5B(b)に示したように、上部に位置している。
【0048】
次に、室内から操作者が操作つまみ113を第1開口部211の
図6C及び
図7B中矢印Aで示す右方向に摺動させる。これにより、摺動部111が下枠210内を図中右方向に摺動するため、ラック112が摺動し、ラック112と噛み合っているピニオン122b−1によって回転部122bが
図7B中矢印B方向に回転する。この回転部122bの回転は、回転摺動部122a、及び回転摺動部122aと係合している回転部132aを介して第1プーリ132a−2に伝達される。これにより、第1プーリ132a−2が
図7B中矢印C方向に回転するため、ワイヤ134bを介して第2プーリ134aとともに回転軸440が回転駆動する。よって、前述のように、ラダーコード410の一方が回転ドラム430に巻き取られるとともに他方が巻き解かれて、
図5C(a)及び
図7Bに示すようにスラット420が回転し、閉じる。このとき、回転摺動部122aの第1係合部122a−1と回転部132aの第2係合部132a−1とは、
図5C(b)に示したように、斜め下方に位置している。
【0049】
なお、スラット420を再び水平状態にするには、操作者が操作つまみ113を第1開口部211の
図6C及び
図7B中左方向に摺動させて、
図6Bに示したように、第1開口部211の長手方向中央に位置させる。これにより、
図6B及び
図7Aに示したように、ピニオン122b−1がラック112の長手方向中央位置で噛み合った状態となり、スラット420が水平状態となる。
【0050】
次に、
図5Dを参照しながら、第1のサッシ200と第2のサッシ300とが開放されているときに、操作つまみ113を操作してしまい、回転摺動部122aが回転してしまった状態で、第1のサッシ200と第2のサッシ300とを閉鎖する場合について説明する。
【0051】
このような状態では、操作つまみ113は、第1開口部211の長手方向中央からずれた位置に有り、ピニオン122b−1もラック112の長手方向中央からずれた位置で噛み合っている。
【0052】
このような状態で、第1のサッシ200と第2のサッシ300とを閉鎖すると、
図5D(a)に示したように、下枠210と下枠312とが重なり合い、回転摺動部122aの位置と、摺動部132bの位置とが一致する。しかし、
図5D(b)に示したように、回転摺動部122aの第1係合部122a−1の位置と、回転部132aの第2係合部132a−1の位置とが一致していないため、
図5D(a)に示したように、回転摺動部122aが回転部132aの端部に当接する。これにより、回転摺動部122aが第1バネ123の弾性力に抗して後退方向に摺動し、円筒状支持部121a内に収容される。
【0053】
このように、第1係合部122a−1と第2係合部132a−1の位置がずれている状態では、第1のサッシ200と第2のサッシ300とを閉鎖しても、第1係合部122a−1と第2係合部132a−1とが係合しないため、回転摺動部122aの回転が回転部132aに伝達されない状態となっている。また、上述のように、操作部110も操作つまみ113の位置やラック112とピニオン122b−1の位置がずれてしまっている。
【0054】
そこで、第1のサッシ200と第2のサッシ300とを閉鎖した状態で、室内から操作者が操作つまみ113を第1開口部211の長手方向中央位置まで摺動させる。これにより、摺動部111が下枠210内を長手方向に摺動するため、これと一体にラック112が摺動し、ピニオン122b−1によって回転部122b及び回転摺動部122aが一体に回転する。そして、第1係合部122a−1が第2係合部132a−1と一致する位置まで回転すると、回転摺動部122aが第1バネ123の押圧力により、円筒状支持部121aから突出する方向に摺動する。これにより、第1係合部122a−1と第2係合部132a−1とが係合して、回転摺動部122aの回転が回転部132aに伝達される状態になる。このときの操作つまみ113の位置は、上述のように、第1開口部211の長手方向中央にあり、ピニオン122b−1はラック112の長手方向中央位置で噛み合う状態となっており、操作部110は正常な位置に戻っている。
【0055】
このように、回転摺動部122aと回転部132aとは、互いの係合部122a−1、132a−1が係合するまでは相対的に回転し、回転摺動部122aの第1係合部122a−1が正常な位置に戻ると、回転部132aの第2係合部132a−1と係合するため、操作部110の位置がリセットされ、駆動軸122と従動軸132とを正常な位置関係に戻すことができる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態によれば、室外側に配置される第2のサッシ300に備えられるブラインド400の駆動を操作する操作部110が、室内側に配置される第1のサッシ200に設けられており、第2のサッシ300の下枠312と第1のサッシ200の下枠210が重なり合うことにより、操作部110の操作がブラインド400に伝達されるようにした。このため、第1のサッシ200と第2のサッシ300を閉鎖した状態で、操作部110を室内側に露出させるために、第2のサッシ300の第1のサッシ200と重なり合わない部分に操作部110を配置する必要がない。したがって、第2のサッシ300の開口を狭める必要がないので、第2のサッシ300の開口部の面積を広くとることができる。
【0057】
また、駆動軸122と従動軸132との動力の伝達は、互いの係合部122a−1、132a−1同士が係合することによって行われるため、確実に動力を伝達することができる。
【0058】
さらに、例えば、第1のサッシ200と第2のサッシ300が開放されているときに、操作つまみ113が誤操作されて駆動軸122が回転し、駆動軸122と回転部132aの係合部122a−1、132a−1同士の位置がずれてしまった場合、第1のサッシ200と第2のサッシ300を閉鎖しても、回転摺動部122aの第1係合部122a−1が回転部132aに当接して、円筒状支持部121a内に収容された状態となる。このため、駆動軸122と回転部132aの係合部122a−1、132a−1同士が係合することがない。これにより、操作つまみ113を操作しても、駆動軸122から従動軸132に動力が伝達されないので、誤操作を防止することができる。
【0059】
また、駆動軸122の第1係合部122a−1が正常な位置に戻るまでは、従動軸132の第2係合部132a−1と係合しないため、操作部110の位置がリセットされ、駆動軸122と従動軸132とを正常な位置関係に戻すことができる。
【0060】
さらに、第1のサッシ200と第2のサッシ300とが開放されているときなどのように、駆動部120と従動部130とが離間しているときに、回転部132aの開口端部が第2バネ133によって押圧される摺動部132bの底部によって塞がれる。このため、従動部ケース131内にゴミやほこりなどの異物が侵入することを防止することができる。
【0061】
なお、本実施形態においては、駆動装置100を第1のサッシ200の下枠210と第2のサッシ300の下枠312に設けたが、それぞれのサッシ110、120の側枠に設けてもよい。
【0062】
また、第1のサッシ200と第2のサッシ300を引違いのサッシとし、両サッシ200、300にブラインド400をそれぞれ配置したものとしてもよい。これにより、第1のサッシ200と第2のサッシ300の重なり合う枠に本実施形態の駆動装置100を設けて、室外側の第2のサッシ300のブラインド400の駆動を室内側の第1のサッシ200に設けた操作部110で操作するようにしてもよい。
【0063】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る駆動装置100について、
図8を参照しながら説明する。本実施形態に係る駆動装置100は、第1の実施形態のように、サッシに設けられるブラインドを駆動するものではなく、窓枠に取付けられる通常のブラインドを駆動するものである。すなわち、本実施形態に係る駆動装置100は、窓枠に固定される図示していないヘッドボックスに設けられて、このヘッドボックスに支持されるスラットを駆動するためのものである。以下に、本実施形態に係る駆動装置100の詳細を説明するが、第1の実施形態と同様の部分については重複説明を省略する。
【0064】
駆動装置100は、第1の実施形態と同様に、操作部110と、操作部110の操作により駆動される駆動部120と、駆動部120に連結されることにより動力が伝達されてブラインドを駆動する従動部130と、を備えて構成される。しかし、第1の実施形態とは異なり、伝達部134は備えておらず、従動部130が回転軸440に直接設けられている構成である。以下、操作装置100の各構成について詳細に説明する。
【0065】
(操作部110)
操作部110は、第1の実施形態の摺動部111及びラック112に相当する操作プーリ115と、操作プーリ115に巻き掛けられる、第1の実施形態の操作つまみ113に相当する操作チェーン116と、により構成される。操作チェーン116を操作することにより操作プーリ115が回転駆動される。
【0066】
(駆動部120)
駆動部120は、駆動ケース121が操作プーリ115の一方の面から回転軸方向に突出する構成であり、駆動軸122の図示していない回転部122bが操作プーリ115に一体回転するように連結されている。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0067】
(従動部130)
従動部130は、前述のようにヘッドボックス内に配設された回転軸440の一端に直接取付けられている構成であり、
図8に示したように、円筒状の形状を有する従動部ケース131と、従動軸132の回転部132aとが回転軸440と一体に回転するように連結されている。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0068】
駆動部120と従動部130は、第1の実施形態と同様に、第1係合部122a−1の位置と第2係合部132a−1の位置とが一致していないときには、駆動軸122と従動軸132とが相対回転して連結されないため、駆動軸122の回転が従動軸132に伝達されない。一方、第1係合部122a−1の位置と第2係合部132a−1の位置とが一致した状態でのみ駆動軸122と従動軸132は連結されて、駆動部120から従動部130に動力が伝達される。これにより、駆動部120の駆動軸122の回転位置を従動部132の従動軸132の回転位置に一致させて連結することができる。よって、駆動軸122の回転位置と従動軸132の回転位置とが変わることによって生じる、操作プーリ115に巻き掛けられた操作チェーン116のコネクタが操作プーリ115に引っ掛ってしまい操作できなくなる、ということを防止することができる。
【0069】
また、駆動部120と従動部130とを常に適正な状態で連結することができるため、駆動部120を一旦取外して、再び従動部130に取付けたり、駆動部120や操作部110が故障した際に、新しいものに付け替えたりすることが容易になる。さらに、ヘッドボックスの左右両端部に、従動部130を設けておくことにより、駆動部120及び操作部110をヘッドボックスの両端部のどちらにでも任意に取付けることができる。
【0070】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る駆動装置100について、
図9を参照しながら説明する。本実施形態に係る駆動装置100は、第2の実施形態の駆動装置100の操作部110全体を電動モータ117にし、駆動部ケース121の形状を変更したものであり、その他の部分については第2の実施形態と同様である。以下に、本実施形態に係る駆動装置100の詳細を説明するが、第2の実施形態と同様の部分については重複説明を省略する。
【0071】
電動モータ117の図示していない出力軸が駆動部120の駆動軸122を構成する図示していない回転部122bに一体回転するように連結されており、これにより電動モータ117の駆動により駆動軸122が回転する。
【0072】
本実施形態の駆動部120と従動部130の連結も第2の実施形態と同様に行われ、第1係合部122a−1の位置と第2係合部132a−1の位置とが一致した状態でのみ連結が行われるようになっているため、駆動軸122の回転位置と従動軸132の回転位置を一致させた状態で連結することができる。
【0073】
また、本実施形態の駆動部120も従動部130に対して着脱自在であるため、第2の実施形態と同様に、駆動部120及びモータ117を付け替えたり、ヘッドボックスの両端部のどちらにでも任意に取付けることができる。
【0074】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものである。
【0075】
なお、上記各実施形態においては、駆動装置100をスラット420の回転を行うものとしたが、スラット420の昇降や、回転及び昇降の両方を行うものとしてもよい。また、ブラインド400としてベネシャンブラインドを例示したが、これ以外にも、バーチカルブラインド、ロールスクリーン、プリーツスクリーン、たくし上げカーテン等に適用できることは言うまでもなく、スラット420の代わりにルーバー、スクリーン、カーテン等の遮蔽材の開閉を行うものとしてもよい。