(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5757607
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】内燃機関における吸気装置
(51)【国際特許分類】
F02M 35/10 20060101AFI20150709BHJP
F02M 35/104 20060101ALI20150709BHJP
F01M 13/00 20060101ALI20150709BHJP
F02F 1/24 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
F02M35/10 301T
F02M35/104 B
F01M13/00 E
F01M13/00 J
F02F1/24 G
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-255661(P2010-255661)
(22)【出願日】2010年11月16日
(65)【公開番号】特開2012-107543(P2012-107543A)
(43)【公開日】2012年6月7日
【審査請求日】2013年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】新井 篤典
(72)【発明者】
【氏名】大江 雅之
【審査官】
赤間 充
(56)【参考文献】
【文献】
特許第3668445(JP,B2)
【文献】
特開2010−121537(JP,A)
【文献】
特許第4260264(JP,B2)
【文献】
実公平06−048093(JP,Y2)
【文献】
実公平07−052324(JP,Y2)
【文献】
実用新案登録第2592095(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/10〜35/116
F01M 13/00〜13/06
F02F 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッドにおける側面のうち各気筒への吸気ポートが開口する吸気側面に,吸気マニホールドを複数本のボルトで取付けて成る内燃機関において,
前記シリンダヘッドに,ブローバイガスの入口と出口とを有するブローバイガス排出ポートが,入口が前記シリンダヘッドの上面に開口して出口が前記シリンダヘッドの吸気側面に開口するように形成されており,
前記吸気マニホールドに,前記ブローバイガス排出ポートの出口に連通するブローバイガス吸入ポートを設けている一方,
前記シリンダヘッドの上面に取り付けられたヘッドカバーに,ブローバイガスの気液分離室と,前記気液分離室を通過したブローバイガスが流入するポケット部とが形成されており,前記ポケット部は,前記シリンダヘッドに設けたブローバイガス排出ポートに連通するように配置されている,
内燃機関における吸気装置。
【請求項2】
前記請求項1の記載において,前記気液分離室とブローバイガス排出ポートとは前記ヘッドカバーに形成した通路を介して連通している,
内燃機関における吸気装置。
【請求項3】
前記請求項1の記載において,前記ヘッドカバーに,前記気液分離室に対するPCV弁を取付け,前記PCV弁と前記ポケット部とが,前記ヘッドカバーの外側に配設されたブローバイガス抽出用ホースを介して連通している,
内燃機関における吸気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,複数の気筒を備えた多気筒内燃機関において,ブローバイガスの導入機能を備えた吸気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,この種の吸気装置においては,例えば特許文献1
は,内燃機関におけるシリンダヘッドのうち各気筒への吸気ポートが開口する吸気側面に,吸気マニホールドを,複数本のボルト締結によるフランジ接合にて取付け,この吸気マニホールドへのブローバイガス吸入ポートと,前記内燃機関におけるヘッドカバーに設けられている気液分離室からのブローバイガス排出ポートとの間を,ブローバイガス抽出用ホースを介して接続するという構成であった。
【0003】
これに対し
,特許文献2は,吸気マニホールドを内燃機関
にフランジ接合にて取付けるときと同時に,当該吸気マニホールドにおけるブローバイガス吸入ポートを,内燃機関におけるブローバイガス排出ポート
に接続することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−137709号公報
【特許文献2】特願2008−106627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし,前記特許文献2の構成によると,吸気マニホールドには,そのブローバイガス吸入ポートに対するフランジ部を,内燃機関には,そのブローバイガス排出ポートに対するフランジ部を各々一体に設けなければなら
ないから,スペース及び重量のアップを招来するばかりか,フランジ接合のために組み立て手数が余分にかかるという問題があった。
【0006】
本発明は,この問題を解消することを技術的課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を達成するため請求項1は,
「
シリンダヘッドにおける側面のうち各気筒への吸気ポートが開口する吸気側面に,吸気マニホールド
を複数本のボル
トで取付けて成る
内燃機関において,
前記シリンダヘッドに,
ブローバイガスの入口と出口とを有するブローバイガス排出ポートが,入口が前記シリンダヘッドの上面に開口して出口が前記シリンダヘッドの吸気側面に開口するように形成されており,
前記吸気マニホールドに,
前記ブローバイガス排出ポートの出口に連通するブローバイガス吸入ポートを設け
ている一方,
前記シリンダヘッドの上面に取り付けられたヘッドカバーに,ブローバイガスの気液分離室と,前記気液分離室を通過したブローバイガスが流入するポケット部とが形成されており,前記ポケット部は,前記シリンダヘッドに設けたブローバイガス排出ポートに連通するように配置されている」
ことを特徴としている。
【0008】
また,請求項2は,
「前記請求項1の記載において,「
前記気液分離室とブローバイガス排出ポートとは前記ヘッドカバーに形成した通路を介して連通している」
ことを特徴としている。
【0009】
また,請求項3は,
「
前記ヘッドカバーに,前記気液分離室に対するPCV弁を取付け,前記PCV弁と前記ポケット部とが,前記ヘッドカバーの外側に配設されたブローバイガス抽出用ホースを介して連通している」
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1によると,内燃機関に吸気マニホールド
を取付けるのと同時に,前記吸気マニホールドにおけるブローバイガス吸入ポートを,
シリンダヘッドにおけるブローバイガス排出ポートに連通・接続することができる。
【0011】
これにより,前記ブローバイガス吸入ポートをブローバイガス排出ポートに接続するために別個のフランジ部を設ける必要がないから,その連通・接続に要するスペースを大幅に縮小することができるばかりか,軽量化を図ることができ,しかも,接続組み立てに要する手数を低減できる。
【0012】
また,請求項2によると,前記特許文献1に記載されているブローバイガス抽出用ホースを省略することができる。
【0013】
更にまた,請求項3
はブローバイガス抽出用ホースを必要とするが,このブローバイガス抽出用ホースの長さを,前記特許文献1
の場合よりも大幅に短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施の形態における内燃機関の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下,本発明の実施の形態を図面について説明する。
【0016】
図1〜
図4は,第1の実施の形態を示す。
【0017】
これらの図において,符号1
は内燃機関を示し,この内燃機関1は,シリンダブロック2と,このシリンダブロック2の上面にシール用ガスケット(図示せず)を挟んで着脱可能に締結したシリンダヘッド3と,このシリンダヘッド3の上面にシール用ガスケット5を挟んで動弁機構室3aを密封するように着脱可能に締結した合成樹脂製のヘッドカバー4とによって構成され,クランク軸線6に沿って一列に並ぶ三つの気筒7を備えている。
【0018】
前記シリンダヘッド3における各側面のうち
,前記クランク軸線6と平行な左右両長手側面のうち一方の長手側面(吸気側面)8には,前記気筒7への吸気ポート9が開口している。
【0019】
なお,前記左右両長手側面のうち他方の長手側面には,図示しない排気マニホールドが接合されている。
【0020】
符号10は,前記内燃機関1に対する吸気マニホールドを示し,この吸気マニホールド10は,図示しないエアクリーナからの吸気管11を接続したサージタンク12と,このサージタンク12から前記各気筒7ごとに延びる三本のブランチ管13とによって構成されている。
【0021】
なお,本実施の形態の場合,前記各ブランチ管13は,前記クランク軸線6の方向から見て,前記サージタンク12を外側
から囲うような形状に曲げられている。
【0022】
前記吸気マニホールド10には,前記各ブランチ管13の先
端の相互間を連結する構成にしたフランジ部14
が一体に設け
られており,このフランジ部14を,前記一方の長手側面(吸気側面)8に対して,その間にシール用ガスケット15を挟んだ状態で,複数本のボルト16にて締結している。
すなわち,吸気マニホールド10はシリンダヘッド3にフランジ接合にて着脱可能に取付けられており,このフランジ接合によって,前記各ブランチ管13
が前記各気筒7への吸気ポート9に連通・接続
されている。
【0023】
前記シリンダヘッド3のうち前記各吸気ポート9間の部分で,且つ,前記一方の長手側面(吸気側面)8に隣接する部分には,
入口と出口とを有するブローバイガス排出ポート17が,
入口が前記シリンダヘッド3の上面に
開口し出口がシリンダヘッド3の一方の長手側面(吸気側面)8との両方に開口するように形成されている。
【0024】
なお,前記ブローバイガス排出ポート17は,前記したように,前記吸気ポート9間の部分に開口することに限らず,一つの吸気ポート9に隣接する部分に開口するという構成にしても良く,また,前記ブローバイガス排出ポート17は,前記シリンダヘッド3の上面及び前記一方の長手側面(吸気側面)8から型抜きにて形成されるように,前記シリンダヘッド3の上面及び前記一方の長手側面(吸気側面)8と略直角の構成である。
【0025】
一方,前記吸気マニホールド10のうち前記ブローバイガス排出ポート17に該当する部分には
,サージタンク12
に連通したブローバイガス吸入ポート18
を,前記フランジ部14の接合面に開口するように形成することにより,前記吸気マニホールド10を
シリンダヘッド3に対してフランジ接合にて取付けるのと同時に,前記ブローバイガス吸入ポート18
とブローバイガス排出ポート17
とを連通・接続するという構成にしている。
【0026】
この場合,前記吸気マニホールド10のフランジ部14と前記一方の長手側面(吸気側面)8との間に挟んだガスケット15が,前記ブローバイガス吸入ポート18と前記ブローバイガス排出ポート17とを連通・接続する場合におけるシール用ガスケットを兼ねている。
【0027】
また,前記ブローバイガス吸入ポート18は,前記ブローバイガス排出ポート17と同様に,前記一方の長手側面(吸気側面)8と略直角
の方向に開口している。
【0028】
そして,前記ヘッドカバー4には,ブローバイガスに対する気液分離室19を形成して,この気液分離室19を,前記ヘッドカバー4の内部に形成したポケット部20と通路21とを介して前記ブローバイガス排出ポート17に連通
させている。
【0029】
この連通は,前記ヘッドカバー4を前記シリンダヘッド3に締結
することによって行われている。
【0030】
この構成において,前記内燃機関1のシリンダヘッド3における動弁機構室3a内に集められたブローバイガスは,ここでオイルが除かれるように気液分離されたのち
,通路21及びポケット部20を介して前記ブローバイガス排出ポート17に至り,このブローバイガス排出ポート17から前記吸気マニホールド10におけるブローバイガス吸入ポート18を通って,サージタンク12に吸引される。
【0031】
この場合において,前記シリンダヘッド3のうち前記ブローバイガス排出ポート17の内側の部分には,
図3に示すように,冷却水ジャケット22を設けることによって,前記吸気マニホールド10に吸入されるブローバイガスの温度をできるだけ低くするように構成している。
【0033】
この別の実施の形態は,前記合成樹脂製のヘッドカバー4に,前記気液分離室19に対するPCV弁23を設ける一方
,ポケット部20と気液分離室19
とはヘッドカバー4の内部では非連通に構成して,前記PCV弁23
と前記ポケット部20
とをブローバイガス抽出用ホース24
によって接続するという構成にしている。
【0034】
なお,前記PCV弁23は,従来から良く知られているように,前記吸気マニホールド10に大気圧よりも低いが負圧が発生したときに,当該吸気マニホールド10への方向にみの開くという構成である。また,前記ブローバイガス抽出用ホース24は,前記ヘッドカバー4に前記気液分離室19から突出するように一体に設けたホース口24aと,前記ポケット部20から突出するように一体に設けたホース口24bとに,両端を差し込み接続するという構成であり,図示したように,前記気液分離室19側のホース口24aから前記ポケット部20のホース口24bに向かって斜め下向きに傾斜している。
【0035】
この別の実施の形態によると,前記PCV弁23
の開閉作動を,前記ブローバイガス抽出用ホース24を握ったり握りを緩めたりすることによっ
て点検することができるものでありながら,前記ブローバイガス抽出用ホース24の長さを,当該ブローバイガス抽出用ホースによって気液分離室19と吸気マニホールド10とを接続する場合よりも短くできる。
【符号の説明】
【0036】
1 内燃機関
3 シリンダヘッド
4 ヘッドカバー
7 気筒
8 吸気側面
9 吸気ポート
10 吸気マニホールド
12 サージタンク
13 ブランチ管
14 フランジ部
15 ガスケット
17 ブローバイガス排出ポート
18 ブローバイガス吸入ポート
19 気液分離室
20 ポケット部
23 PCV弁
24 ブローバイガス抽出用ホース