特許第5757623号(P5757623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5757623
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】端子金具及びバルブソケット
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/46 20060101AFI20150709BHJP
【FI】
   H01R33/46 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-173322(P2011-173322)
(22)【出願日】2011年8月8日
(65)【公開番号】特開2013-37906(P2013-37906A)
(43)【公開日】2013年2月21日
【審査請求日】2014年7月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098017
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 宏嗣
(72)【発明者】
【氏名】長澤 正憲
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−092538(JP,A)
【文献】 特開2005−243511(JP,A)
【文献】 特開平08−017535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 33/05−33/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入されたバルブの電極に押圧接触される金属板をジグザグに折り曲げて形成されたばね部と、該ばね部に連設され前記ばね部を支持する金属製の支持部を有し、前記バルブが挿入されるバルブソケット内に収容され前記バルブに給電する端子金具において、 前記ばね部の折り曲げ部は、前記金属板の幅が他の部分より広く形成された広幅部を内側に折り重ねた部位に形成されてなることを特徴とする端子金具。
【請求項2】
バルブが挿入される挿入部と、該挿入部に収容され前記バルブに給電する端子金具とを備え、 該端子金具は、金属板をジグザグに折り曲げて形成されたばね部と、該ばね部に連設され前記ばね部を支持する金属製の支持部を有し、前記端子金具の支持部を前記挿入部の底部に支持させ、前記バルブの電極に前記端子金具のばね部を押圧接触させるバルブソケットにおいて、 前記ばね部は、前記金属板の幅が他の部分より広く形成された広幅部を内側に折り重ねた部位に折り曲げ部が形成されてなることを特徴とするバルブソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子金具及びバルブソケットに係り、特に、バルブソケットに挿入されたバルブ(電球)の電極に電気的に接触させる端子金具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、金属板をジグザグに折り曲げたばね部と、ばね部を支持する支持部を金属板で一体に形成した端子金具が提案されている。同文献は、バルブが挿入されるバルブソケット内に端子金具を収容固定し、挿入されたバルブの電極に端子金具のばね部を押圧接触させてバルブに給電するようにしている。特に、同文献は、バルブの寸法公差などによって端子金具のばね部が塑性変形してヘタリが発生してばね部の弾性力が低下するから、ばね部の折り曲げ部を増やし各折り曲げ部に加わる応力を小さくして、ヘタリの発生を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−92538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、端子金具のばね部のヘタリをさらに抑制することが要望されている。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、バルブの電極に押圧接触させる端子金具のばね部のヘタリを従来よりも抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明は、挿入されたバルブの電極に押圧接触される金属板をジグザグに折り曲げて形成されたばね部と、ばね部に連設さればね部を支持する金属製の支持部を有し、バルブが挿入されるバルブソケット内に収容されバルブに給電する端子金具において、ばね部は、折り曲げ部の弾性率が他の部分よりも高く形成されていることを特徴とする。
【0007】
すなわち、バルブの電極に端子金具のばね部を押圧接触させたとき、ばね部の折り曲げ部に押圧力が集中して塑性変形しやすい。そこで、折り曲げ部の弾性率を高くして折り曲げ部の変形を抑制する。これにより、折り曲げ部の塑性変形を抑制でき、端子金具のばね部のヘタリを抑制できる。
【0008】
この場合において、折り曲げ部の弾性率を高くするには、折り曲げ部の板厚を他の部分よりも厚くするか、又は、折り曲げ部の幅を他の部分よりも広くするかなど、折り曲げ部の断面積を他の部分よりも大きくし弾性率を高くできる。
【0009】
また、一枚の金属板を折り曲げ加工して端子金具を製造することができる。この場合、金属板にばね部の折り曲げ部の幅を他の部分より広く形成することが好ましい。また、この場合、ばね部の折り曲げ部の広幅部を折り曲げてばね部の折り曲げ部に重ねることで、折り曲げ部の板厚を厚くできる。
【0010】
一方、本発明の端子金具を用いたバルブソケットは、バルブが挿入される挿入部と、挿入部に収容されバルブに給電する端子金具とを備え、端子金具は、金属板をジグザグに折り曲げて形成されたばね部と、ばね部に連設さればね部を支持する金属製の支持部を有し、端子金具の支持部を挿入部の底部に支持させ、バルブの電極に端子金具のばね部を押圧接触させるバルブソケットにおいて、ばね部は、折り曲げ部の弾性率が他の部分よりも高く形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、バルブの電極に押圧接触させる端子金具のばね部のヘタリを従来よりも抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態のバルブソケットの分解図である。
図2図1のバルブソケットにバルブを挿入した状態の断面図である。
図3図1の端子金具の斜視図である。
図4図1の端子金具の展開図である。
図5図1のバルブの電極に端子金具を押圧接触させた状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明する。図1、2に示すように本実施形態のバルブソケット1は、バルブ3が挿入される挿入部5と、バルブ3の口金7の外周面に接触される端子金具9と、バルブ3の挿入先端の電極10に接触される端子金具11を備えている。バルブ3は、ガラス球6と、ガラス球6の基部に設けられる円筒状の口金7を有している。口金7の外周面には、口金7の180°位相をずらした位置に2つの突起13(図示には1つしか表れていない)が設けられている。口金7の先端には、2つの電極10(図示には1つしか表れていない)が隣接して設けられている。これにより、口金7の外周面にアース用の端子金具9を接続し、2つの電極10に給電用の2つの端子金具11をそれぞれ接続し、バルブ3の照度を切り替え可能になっている。
【0014】
バルブソケット1の挿入部5は、バルブ3の口金7を挿入可能な円筒状に形成されている。挿入部5の内周面には、バルブ3の突起13が挿入されるL字形の溝15が形成されている。これにより、溝15にバルブ3の突起13を挿入してバルブ3を周方向に回転させることによって、突起13が溝15内に係止されるようになっている。また、挿入部5の内周面には、端子金具9が挿入支持される溝17が形成されている。
【0015】
端子金具9は、例えば、金属板の一部を切り起こして形成された舌片部19と、アース線が接続された図示してない相手方端子に接続される端子21を有している。端子金具9は、舌片部19を挿入部5の内側に向けて溝17に挿入され支持されるようになっている。これにより、挿入部5内にバルブ3を挿入したとき、バルブ3の口金7の外周面に舌片部19が弾性的に接触し端子21にアース線が接続されるようになっている。
【0016】
ここで、図3、4を用いて本実施形態の特徴構成である端子金具11を説明する。2つの端子金具11(11a、11b)は、同一形状に形成されている。端子金具11は、一枚の金属板を折り曲げ加工して形成されている。端子金具11は、挿入されたバルブ3の電極10に押圧接触されるばね部23と、ばね部23に連設さればね部23を支持する支持部25を有している。
【0017】
ばね部23は、金属板をジグザグ(本実施形態はS字状)に折り曲げて形成された板ばねである。ばね部23の折り曲げ部27は、他の部分より幅が広く形成された広幅部31を折り曲げ加工して形成されている。具体的には、ばね部23は、金属板をジグザグに折り曲げて板ばね状に形成するとともに、折り曲げ部27の広幅部31を内側(図3の矢印33方向)に折り曲げ、折り曲げ部27に広幅部31を重ねて形成されている。これにより、折り曲げ部27の板厚が他の部分である直線部35よりも厚く形成され、折り曲げ部27の弾性率が他の部分よりも高くなっている。
【0018】
支持部25は、バルブソケット1の挿入部5の底部の貫通穴から引き出される引出端子26と、バルブソケット1の挿入部5に係止される舌片28を有している。引出端子26は、電源に接続された相手方端子と電気的に接続されるようになっている。舌片28は、支持部25の一部を切り起こして形成されている。舌片28は、バルブソケット1の挿入部5に端子金具11を挿入したとき、挿入部5の内周面の図示していない係止部に係止され、端子金具11の抜けを防止するようになっている。
【0019】
ここで、本実施形態の作用を図5を用いて説明する。バルブソケット1の挿入部5に端子金具9、11を収容し、バルブ3を挿入部5に挿入する。このとき、バルブ3の突起13とバルブソケット1の溝15との位置を合わせ、突起13を溝15に挿入する。この状態で、バルブ3を矢印41方向に挿入すると、バルブ3の電極10に端子金具11のばね部23が当接し、さらに、矢印41方向に押し込むと、端子金具11のばね部23が弾性変形する。これにより、バルブ3の電極10に端子金具11のばね部23が押圧接触される。この状態でバルブ3を周方向に回転させ突起13が溝15内に係止する。これにより、バルブ3がバルブソケット1に装着される。この際、バルブ3の口金7の外周にアース用の端子金具9の舌片部19が押圧接触され電気的に接続される。
【0020】
このようにバルブ3をバルブソケット1に装着すると、端子金具11のばね部23の折り曲げ部27に押圧力による応力が集中する。そのため、例えば、バルブ3の寸法公差により寸法の大きなバルブ3が挿入されると、折り曲げ部27が塑性変形しやすく、ばね部23にヘタリが生じやすい。ヘタリが生じるとばね部23の弾性力が低下し所望の性能が発揮されない。そこで、ばね部23の折り曲げ部27の板厚を厚くし、他の部分よりも弾性率を高くする。これにより、折り曲げ部23の塑性変形を抑制できるから、ばね部23のヘタリを抑制できる。また、応力がほとんど加わっていなかったばね部23の直線部35に応力が分散されるので、ばね部23の折り曲げ部27に加わる応力を低減でき、ばね部23のヘタリを抑制できる。
【0021】
本実施形態によれば、バルブ3の電極10に押圧接触される端子金具11のばね部23のヘタリを抑制できるから、ばね部23の弾性力を確保でき、バルブ3と端子金具11を安定して電気的に接続できる。
【0022】
なお、本実施形態は、端子金具11のばね部23の折り曲げ部27の板厚を厚くするため、折り曲げ部27の側部に形成して広幅部31を折り重ねているが、例えば、折り曲げ部27に他の金属を溶接し板厚を厚くすることができる。
【0023】
また、本実施形態は、板厚を厚くして折り曲げ部27の弾性率を高くしているが、これに代えて折り曲げ部27の幅を他の部分よりも広くすることで、折り曲げ部27の弾性率を高くできる。つまり、折り曲げ部27の断面積を他の部分の断面積よりも大きくして弾性率を大きくできる。なお、小型のバルブソケット1など端子金具11の設置スペースが小さい場合、折り曲げ部27の板厚を厚くする方が設置スペースを小さくでき好ましい。
【0024】
また、本実施形態の端子金具11は、一枚の金属板を折り曲げばね部23と支持部25を一体に形成しているが、ばね部23と支持部25を別々に形成し溶接などで連設させることができる。
【0025】
また、本実施形態は、バルブ3の電極10に対応させて端子金具11を2つ設けているが、これに限定されものではなく、バルブ3の電極10に合わせて適宜増減できる。
【0026】
また、バルブソケット1へのバルブ3の装着は本実施形態に限定されず、例えば、バルブ3の口金7の外周面に雄ねじを形成し、バルブソケット1の挿入部5の内周面に雌ねじを形成し、バルブ3をねじ止めにより装着できる。
【0027】
また、本実施形態のバルブソケット1は、筒状の挿入部5にバルブ3を挿入するが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0028】
1 バルブソケット
3 バルブ
5 挿入部
7 口金
10 電極
11 端子金具
23 ばね部
25 支持部
27 折り曲げ部
図1
図2
図3
図4
図5