(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バットレス材料を前記少なくとも一方のジョーの上に位置決めするステップは、ジョー接触表面が前記少なくとも一方のジョーに当接するように、組織接触表面とジョー接触表面とを含むバットレス材料を前記少なくとも一方のジョーの上に位置決めすることをさらに含む、請求項6に記載の方法。
前記複数の保持装置を挿入するステップは、前記バットレス材料の組織接触表面を横切って前記複数の保持装置を延ばすことにより、前記少なくとも一方のジョーの上に前記バットレス材料を着脱可能に保持することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
前記複数の保持装置を挿入するステップは、前記少なくとも一方のジョーの上に前記バットレス材料を着脱可能に保持するように、前記複数の保持装置のそれぞれを前記少なくとも一方のジョーの前記凹部のうちの選択された1つの内に位置決めすることをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
バットレス材料を外科用ステープラーのジョーの上に位置決めする際、バットレス材料をジョーに対して着脱可能に保持することが望ましい。したがって、バットレス材料を外科用機器のジョーに対して着脱可能に保持するための保持装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(要旨)
ステープルラインバットレス材料を外科用ステープル留め機器のジョーに着脱可能に接続するシステムが提供される。このシステムは、組織をステープル留めする前に、バットレス材料を係合し、そして、外科用ステープル留め機器のジョーの上にバットレス材料を着脱可能に保持するように構成された保持装置を備える。特定の実施形態において、保持装置は、組織をステープル留めした後に、機器のジョーと共に残る。代替的な実施形態においては、保持装置は、組織にステープル留めされた後に、バットレス材料と共に残る。
【0007】
組織においてステープルを配備するための外科用ステープラーが開示され、この外科用ステープラーは、組織を係合するための一対のジョーを有し、この一対のジョーは、ステープルカートリッジおよびアンビルを備え、このジョーのうちの少なくとも一方は複数の凹部を規定する。ステープルバットレス材料が、ジョーのうちの一方の上に位置決めされ、そして、複数の保持装置が、ステープルラインバットレス材料を通過する。保持装置の各々は、ステープルラインバットレス材料をジョーのうちの少なくとも一方の上に着脱可能に保持するように、凹部のうちの一つの内部に配置される。
【0008】
1つの実施形態において、保持装置は、バックスパンとバックスパンから延びる一対の脚部とを有するステープルであり、そして、ジョーのうちの少なくとも一方における凹部が一対のホールを規定し、ステープルの脚部の先端がステープルラインバットレス材料を覆ってクリンプされるように、脚部がホールを通過する。
【0009】
別の実施形態において、ステープルの脚部は、部分的に凹部内に位置決めされ、ステープルのバックスパンがステープルラインバットレス材料をジョーのうちの少なくとも一方に固定するように、ステープルの脚部がステープルラインバットレス材料を通して挿入される。より具体的な実施形態において、ステープルの脚部は、凹部内にクリンプされる。
【0010】
特定の実施形態において、ステープルラインバットレス材料は複数のスロットを備え、そして、凹部もまた、スロットとして形成される。保持装置は、ステープルラインバットレス材料およびジョーにおけるスロットを通過するクリップである。1つの実施形態において、保持装置は、プレートとこのプレートから延びる角度の付いたリップとを有するクリップであり、この角度の付いたリップは、ステープルラインバットレス材料を係合する。クリップは、片側に沿って角度の付いたエッジを有し、この角度の付いたエッジは、外科用ステープラーの駆動装置と係合可能である。
【0011】
さらなる実施形態において、クリップは中央部分を有するI型梁であり、この中央部分の端部から上梁および下梁が延びる。上梁の下側は、ステープルラインバットレス材料を係合し、そして、下梁の端部が凹部を規定する表面を摩擦により係合する。
【0012】
特定の実施形態において、保持装置は、患者の体内に吸着可能である。
【0013】
また、外科用ステープルラインにステープルラインバットレス材料を適用する方法も開示される。この方法は、ステープル格納カートリッジおよびアンビルを備える一対のジョーを有する外科用ステープラーを提供する工程を包含し、この外科用ステープラーは、ジョーのうちの少なくとも一方の上に着脱可能に配置されたバットレス材料を有し、そして、複数の保持装置が、ステープルラインバットレス材料を通って、ジョーのうちの少なくとも一方の内部に形成された凹部内へと通過する。
【0014】
開示される方法において、外科用ステープラーが作動され、バットレス材料を組織に対してステープル留めするように、ステープル格納カートリッジ内に収容されるステープルを、バットレス材料と、ジョーの間に捕捉される組織とを通して、そして、アンビル内へと駆動する。この方法の1つの実施形態において、保持装置は、バットレス材料が組織に対してステープル留めされた後に、ジョーのうちの少なくとも一方の内部に保持される。開示される方法の1つの代替的な実施形態において、保持装置は、バットレス材料が組織に対してステープル留めされた後に、バットレス材料の上に保持される。
【0015】
開示される方法の1つの実施形態において、保持装置は、凹部内に摩擦により保持される逆ステープルであり、一方で、開示される方法の代替的な実施形態において、保持装置は、バットレス材料を通過するクリップである。クリップの表面はバットレス材料と係合する。
【0016】
本発明は、上記課題を解決するために、例えば、以下を提供する:
(項目1) 組織においてステープルを配備するための外科用ステープラーであって、該外科用ステープラーは、以下:
組織を係合するための一対のジョーであって、該一対のジョーは、ステープルカートリッジおよびアンビルを備え、該ジョーのうちの少なくとも一方は複数の凹部を規定する、一対のジョー;
該ジョーのうちの一方の上に位置決めされたステープルラインバットレス材料;ならびに
該ステープルラインバットレス材料を通過する複数の保持装置であって、該保持装置の各々は、該ステープルラインバットレス材料を該ジョーのうちの少なくとも一方の上に着脱可能に保持するように、該凹部のうちの一つの内部に配置される、保持装置
を備える、外科用ステープラー。
(項目2) 前記保持装置が、バックスパンと該バックスパンから延びる一対の脚部とを有するステープルである項目1に記載の外科用ステープラー。
(項目3) 前記ジョーのうちの少なくとも一方における前記凹部が、一対のホールを規定し、前記ステープルの前記脚部の先端が前記ステープルラインバットレス材料を覆ってクリンプされるように、該脚部が該ホールを通過する、項目2に記載の外科用ステープラー。
(項目4) 項目2に記載の外科用ステープラーであって、前記ステープルの前記脚部が、部分的に前記凹部内に位置決めされ、該ステープルの前記バックスパンが前記ステープルラインバットレス材料を前記ジョーのうちの少なくとも一方に固定するように、該ステープルの該脚部が、該ステープルラインバットレス材料を通して挿入される、外科用ステープラー。
(項目5) 前記ステープルの前記脚部が、前記凹部内にクリンプされる、項目4に記載の外科用ステープラー。
(項目6) 前記ステープルラインバットレス材料が複数のスロットを備え、そして、前記凹部が、スロットとして形成される、項目1に記載の外科用ステープラー。
(項目7) 前記保持装置が、前記ステープルラインバットレス材料内の前記スロットと、前記ジョーのうちの少なくとも一方内の前記スロットとを通過するクリップである、項目6に記載の外科用ステープラー。
(項目8) 前記保持装置が、プレートと該プレートから延びる角度の付いたリップとを有するクリップであり、該角度の付いたリップが前記ステープルラインバットレス材料を係合する、項目7に記載の外科用ステープル。
(項目9) 項目8に記載の外科用ステープラーであって、前記クリップが、片側に沿って角度の付いたエッジを有し、該角度の付いたエッジは、該外科用ステープラーの駆動装置と係合可能である、外科用ステープラー。
(項目10) 前記クリップが中央部分を有するI型梁であり、該中央部分から、上梁および下梁が延びる、項目7に記載の外科用ステープラー。
(項目11) 前記上梁の下側が、前記ステープルラインバットレス材料を係合する、項目10に記載の外科用ステープラー。
(項目12) 前記下梁の端部が、前記凹部を規定する表面を摩擦により係合する、項目10に記載の外科用ステープラー。
(項目13) 前記保持装置が、患者の体内に吸着可能である、項目1に記載の外科用ステープラー。
【0017】
ステープルラインバットレス材料を外科用ステープル留め機器に取り付けるための本開示のシステムの種々の実施形態が、添付の図面を参照して本明細書中に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、アンビルおよびステープルカートリッジにステープルラインバットレス材料を取り付けるための保持システムの実施形態を組み込んだ、外科用ステープル留め機器の斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の外科用ステープル留め機器の遠位端部の拡大した斜視図である。
【
図3】
図3は、アンビルおよびバットレス材料保持システムの1つの実施形態の部品をばらばらにした斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2の線4−4に沿ってとった、部分的に断面で示される斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3の線5−5に沿ってとった、部分的に断面で示される側面図であって、アンビルバットレス保持システムの最初のアセンブリを示す。
【
図6】
図6はアンビルバットレス保持システムの保持クリップの部分的なクリンピングを示す、部分的に断面で示される側面図である。
【
図7】
図7は、ステープルカートリッジおよびバットレス材料保持システムの1つの実施形態の部品をばらばらにした斜視図である。
【
図8】
図8は、部分的に組み立てられたステープルカートリッジバットレス保持システムを示す、ステープルカートリッジアセンブリの斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8の線9−9に沿ってとった、部分的に断面で示される側面図である。
【
図10】
図10は、
図9と同様の部分的に断面で示される側面図であり、ステープルカートリッジバットレス保持システムの逆ステープルの打ち曲げを示す。
【
図11】
図11は、組織部分の周りに位置決めされた、
図1の外科用ステープル留め機器の遠位端の斜視図である。
【
図12】
図12は、
図1の外科用ステープル留め機器のアンビルアセンブリとカートリッジアセンブリとの間に位置決めされた組織部分の断面図である。
【
図14】
図14は、外科用ステープル留め機器を作動して組織部分をステープル留めする間の、
図13と同様の断面図である。
【
図15】
図15は、作動後の、
図14と同様の断面図であり、ステープル留めされた組織部分の解放を示す。
【
図16】
図16は、バットレス材料が取り付けられたステープル留めされた組織の斜視図である。
【
図18】
図18は、ステープルラインバットレス材料をアンビルおよびステープルカートリッジに取り付けるための保持システムの代替的な実施形態を組み込んだ、
図1の外科用ステープル留め機器の遠位端部の拡大した斜視図である。
【
図19】
図19は、
図18にしたがうアンビルおよびバットレス材料保持システムの別の実施形態の部品をばらばらにした斜視図である。
【
図21】
図21は、
図18の線21−21に沿ってとった、部分的に断面で示される斜視図である。
【
図22】
図22は、
図18のアンビルバットレス保持システムにおいて使用するための代替的な保持クリップの斜視図である。
【
図23】
図23は、
図18のアンビルバットレス保持システムにおいて使用するためのさらなる代替的な保持クリップの斜視図である。
【
図24】
図24は、
図18にしたがうステープルカートリッジおよびバットレス材料保持システムの別の実施形態の部品をばらばらにした斜視図である。
【
図25】
図25は、
図24の部分的に組み立てられたステープルカートリッジバットレス保持システムを示すステープルの斜視図である。
【
図26】
図26は、ステープルポケット内に挿入される逆ステープルの挿入を示す、部分的に断面で示される側面図である。
【
図27】
図27は、ステープルポケット内に摩擦により保持される逆ステープルを示す、部分的に断面で示される側面図である。
【
図28】
図28は、組織部分の周りに位置決めされた、
図18に示される外科用ステープル留め機器の遠位端部の斜視図である。
【
図31】
図31は、作動して組織部分をステープル留めする間の、
図30と同様の断面図である。
【
図32】
図32は、作動後の、
図31と同様の断面図であり、ステープル留めされた組織の解放を示す。
【
図33】
図33は、バットレス材料が取り付けられたステープル留めされた組織の斜視図である。
【
図34】
図34は、
図33の線34−34に沿ってとった、部分的に断面で示される側面図である。
【
図35】
図35は、ステープルラインバットレス材料をアンビルおよびステープルカートリッジに取り付けるための保持システムのさらなる代替的な実施形態を組み込んだ、
図1の外科用ステープル留め機器の遠位端部の拡大した斜視図である。
【
図36】
図36は、
図35にしたがうステープルカートリッジバットレス保持システムの部品をばらばらにした斜視図である。
【
図37】
図37は、
図36のステープルカートリッジバットレス保持システムのI型梁保持クリップの斜視図である。
【
図38】
図38は、ステープルカートリッジ内に摩擦により保持されたI型梁保持クリップの、部分的に断面で示される側面図である。
【
図39】
図39は、
図35のアンビルとカートリッジアセンブリとの間に位置決めされた組織部分の断面図である。
【
図41】
図41は、作動し、組織部分をステープル留めする間の、
図40と同様の断面図である。
【
図42】
図42は、作動後の、
図41と同様の断面図であり、ステープル留めされた組織部分の解放を示す。
【
図43】
図43は、ステープル留めされた組織部分の斜視図である。
【
図44】
図44は、
図43の線44−44に沿ってとった、ステープル留めされた組織部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態の詳細な説明)
外科用ステープル留め機器と共に使用するための、本開示の着脱式バットレス材料保持システムの実施形態が、ここで、添付の図面(同様の数字は、いくつかの図面の各々において、同一であるか、または、対応する要素を示す)を参照して詳細に記載される。当該分野で一般的であるように、用語「近位」とは、使用者または操作者(すなわち、外科医または医師)により近い側の部分または構成要素をいい、一方で、用語「遠位」とは、使用者から離れた側の部分または構成要素をいう。
【0020】
ここで
図1を参照して、組織をステープル留めし、そして、ステープルと下にある組織との間にバットレス材料の層を適用する際に使用するための、直線状の外科用ステープル留め機器すなわち外科用ステープラー10が開示される。この型の外科用ステープル留め機器の代表的な例は、米国特許第7,128,253号(この特許の全開示は、本明細書中に参考として援用される)に開示される。外科用ステープラー10は、一般に、ハンドル12を備え、このハンドル12は、ハンドル12から遠位に延びる細長の管状部材14を有する。ジョーアセンブリ16は、細長の管状部材14の遠位端部18に設置される。ジョーアセンブリ16は、ステープル打ち曲げアンビル20と、ステープル格納カートリッジすなわちステープルカートリッジ22とを備える。ステープルカートリッジ22は、細長の管状部材14に固定的に固定されていても、取り外し可能であり、したがって、新しいステープルカートリッジ22と交換可能であってもよい。ステープル打ち曲げアンビル20は、細長の管状部材14の遠位端部18に可動式に設置され、そして、ステープルカートリッジ22から間隔を空けられた開位置と、実質的にステープルカートリッジ22に隣接する閉位置との間で可動である。
【0021】
本明細書において以下により詳細に記載される様式で、ステープル打ち曲げアンビル20が、アンビルバットレス材料24の層を提供され、そして、ステープルカートリッジ22が、カートリッジバットレス材料26の層を提供される。クリップまたは逆ステープル28の形状の複数のアンビルバットレス保持装置が、アンビルバットレス材料をステープル打ち曲げアンビル20に着脱可能に固定するために提供される。同様に、着脱可能なクリップまたは逆ステープル30の形状の複数のカートリッジバットレス保持装置が、カートリッジバットレス材料26をステープルカートリッジ22に着脱可能に固定するために提供される。アンビルバットレス材料24およびカートリッジバットレス材料26は、外科用ステープラー10によって組織に適用されるステープルラインを補強し、そして、密閉するために提供される。
【0022】
外科用ステープラー10は、ハンドル12の上に可動式に設置されたトリガ32を備える。トリガ32を作動すると、最初に、アンビル20をステープルカートリッジ22に関して開位置から閉位置へと動かすように作動し、その後、外科用ステープラー10を作動して、ステープルのラインを組織に適用する。ジョーアセンブリ16を、ステープル留めされる組織に関して適切に配向するために、外科用ステープラー10には、さらに、ハンドル12の上に設置された回転ノブ34が提供される。回転ノブ34のハンドル12に関する回転は、細長の管状部材14およびジョーアセンブリ16をハンドル12に関して回転させ、ジョーアセンブリ16を、ステープル留めされる予定の組織に関して適切に配向する。
【0023】
図2を参照すると、アンビル20を、ステープルカートリッジ22に関して開位置と閉位置との間で動かすために、駆動装置36が提供される。駆動装置36は、アンビル20内に形成された長手方向のスロット38の間を動く。ナイフブレード(図示されず)は、駆動装置36に実装され、駆動装置36がスロット38を通過するときに、アンビル20とステープルカートリッジ22との間に捕捉される組織を切断する。
【0024】
アンビル20、アンビルバットレス材料24およびアンビルバットレス保持装置すなわち逆ステープル28は、組み合わさってアンビルバットレス取り付けシステム40を形成し、アンビルバットレス材料24がアンビル20上に支持され、そして、アンビル20に対して着脱可能に固定されることを可能にする。同様に、ステープルカートリッジ22、カートリッジバットレス材料26およびカートリッジバットレス保持装置すなわち逆ステープル30は、組み合わさってカートリッジバットレス取り付けシステム42を形成し、カートリッジバットレス材料26がステープルカートリッジ22上に支持され、そして、ステープルカートリッジ22に対して着脱可能に固定されることを可能にする。アンビルバットレス取り付けシステム40およびカートリッジバットレス取り付けシステム42は、特に、外科用ステープラー10が患者の体内に挿入され、そして操作されるときに、それぞれのバットレス材料の裂けまたはしわの危険性を伴わずに、患者の体内への外科用ステープラー10の通過を容易にするために、それぞれのバットレス材料を、アンビル20およびステープルカートリッジ22の内に面する表面上に位置を定められるように構成される。
【0025】
図3を参照すると、アンビル20を開位置と閉位置との間で動かすために、アンビル20は、アンビル20を閉位置へとカム作用するために駆動装置36によって係合されるように構成された、近位の、角度を付けられた、すなわち傾斜したエッジ44を備える。スロット38は、傾斜したエッジ40から遠位に延び、そして、横スロット46内で端をなす。この横スロット46は、外科用ステープラー10の任意のさらなる作動を防ぐために、外科用ステープラー10の作動が完了すると、駆動装置36を捕捉するように構成される。ステープルカートリッジ22によって提供されるステープルを組織およびバットレス材料の周りに固定するために、アンビル20は、長手方向のスロット38のいずれかの側に位置を定められた、ステープル打ち曲げポケット48の長手方向に延びる列が提供される。スロット38の両側には、ステープル打ち曲げポケット48の単一の列のみが示されるが、ステープル打ち曲げポケット48の、複数の、および/または、互い違いに配列された列が、アンビル20の上に提供され得ることが企図される。
【0026】
なお
図3を参照して、ここで、アンビル20、アンビルバットレス材料24およびアンビルバットレス保持装置すなわち逆ステープル28を備えるアンビルバットレス取り付けシステム40が記載される。アンビルバットレス材料24ならびにカートリッジバットレス材料26。ステープルカートリッジ22および/またはアンビル20のためのバットレス材料は、あらゆる生体適合性の天然材料または合成材料から作製され得る。バットレス材料が形成される材料は、生体被吸収性であっても非生体被吸収性であってもよい。当然のことながら、あらゆる組み合わせの天然材料、合成材料、生体被吸収性材料および非生体被吸収性材料が、バットレス材料を形成するために使用され得ることが理解されるべきである。
【0027】
バットレス材料が作製され得る材料のいくつかの非限定的な例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ホスファジン)(poly(phosphazine))、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアセテート、ポリカプロラクトン、ポリプロピレン、脂肪族ポリエステル、グリセロール、ポリ(アミノ酸)、コポリ(エーテル−エステル)、シュウ酸ポリアルキレン、ポリアミド、ポリ(イミノカーボネート)、シュウ酸ポリアルキレン、ポリオキサエステル、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ならびにこれらのコポリマー、ブロックコポリマー、ホモポリマー、ブレンドおよび組み合わせ。
【0028】
ある実施形態においては、天然の生体ポリマーが、バットレス材料を形成する際に使用される。適切な天然の生体ポリマーとしては、コラーゲン、ゼラチン、フィブリン、フィブリノーゲン、エラスチン、ケラチン、アルブミン、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロース、キチン(chitan)、キトサン、およびこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。さらに、天然の生体ポリマーは、バットレス材料を生成するために、本明細書中に記載される他のポリマー材料のいずれかと組み合わされ得る。
【0029】
バットレス材料は、有孔であっても、非有孔であっても、有孔の層と非有孔の層との組み合わせであってもよい。バットレス材料が非有孔である場合、バットレス材料は、周囲の組織からの組織の内方増殖を遅延または防止し得、それによって、癒着に対するバリアとして機能し、そして、望ましくない瘢痕組織の形成を防止する。したがって、ある実施形態においては、バットレス材料は、抗癒着特性を有する。このような材料から非有孔層を形成するための技術は、当業者の知識の範囲内であり、そして例えば、鋳造、成型などが挙げられる。
【0030】
ある実施形態においては、バットレス材料は、有孔であり、そして、止血特性を有する。バットレス材料が有孔である場合、バットレス材料は、その表面の少なくとも一部にわたって開口または孔を有する。有孔層を形成するための適切な材料としては、発泡体(例えば、連続気泡発泡体または独立気泡発泡体)が挙げられるがこれらに限定されない。ある実施形態においては、孔は、有孔層の厚み全体にわたって相互に連絡するように、十分な数および大きさであり得る。他の実施形態においては、孔は、有孔層の厚み全体にわたって相互に連絡しない。なお他の実施形態においては、孔は、有孔層の厚み全体にわたって広がるのではなく、その表面の一部に存在する。ある実施形態においては、開口または孔は、有孔層の表面の一部に位置を定められ、有孔層の他の部分は、非有孔の構造を有する。本開示を読む当業者は、有孔層について、他の孔の分布パターンおよび構成を想定する。
【0031】
バットレス材料が有孔である場合、孔は、発泡体またはスポンジを形成するのに適した任意の方法(組成物の凍結乾燥またはフリーズドライが挙げられるがこれらに限定されない)を用いて形成され得る。発泡体を作製するための適切な技術は、当業者の知識の範囲内である。有孔のバットレス材料は、厚さ少なくとも0.2cmであり得、そして、ある実施形態においては、厚さ約0.3cm〜約1.5cmであり得る。有孔のバットレス材料は、多くて約75mg/cm
2の密度を有し得、そして、ある実施形態においては、約20mg/cm
2を下回る密度を有し得る。有孔バットレス材料における孔の大きさは、約20μm〜約300μmであり得、ある実施形態においては、約100μm〜約200μmであり得る。
【0032】
バットレス材料はまた、補強部材を備え得る。補強部材は、有孔層または非有孔層に実装されても、バットレス材料の非有孔層と有孔層との間に位置決めされてもよい。あるいは、補強部材は、完全にバットレス材料の1以上の個々の層内に位置決めされてもよい(すなわち、有孔層、非有孔層、またはその両方の内部に埋め込まれてもよい)。また、補強部材は、バットレス材料を構成する層のうちの1つの表面に位置決めされてもよく、ある実施形態においては、バットレス材料の外側表面に位置決めされてもよいことが想定される。
【0033】
補強部材のいくつかの適切な非限定的な例としては、織物、メッシュ、モノフィラメント、マルチフィラメントの組紐、チョップドファイバー(当該分野では、時折、ステープル繊維と呼ばれる)およびこれらの組み合わせが挙げられる。補強部材がメッシュである場合、補強部材は、編み、織り、タッチング、ニップリング(knipling)などのような、当業者に公知のあらゆる技術を用いて調製され得る。モノフィラメントまたはマルチフィラメントの組紐が補強部材として使用される場合、モノフィラメントまたはマルチフィラメントの組紐は、任意の所望される様式で配向され得る。例えば、モノフィラメントまたはマルチフィラメントの組紐は、バットレス材料内で互いに関して不規則に位置決めされ得る。別の例として、モノフィラメントまたはマルチフィラメントの組紐は、バットレス材料内で共通する方向に配向され得る。チョップドファイバーが補強部材として使用される場合、チョップドファイバーは、任意の所望される様式で配向され得る。例えば、チョップドファイバーは、不規則に配向されても、共通する方向に配向されてもよい。したがって、チョップドファイバーは、マットまたはフェルトのような不織材料を形成し得る。チョップドファイバーは、(例えば、熱溶融によって)一緒に結合されても、互いに付着されていないくてもよい。チョップドファイバーは、任意の適切な長さであり得る。例えば、チョップドファイバーは、0.1mm〜100mmの長さであり得、ある実施形態においては、0.4mm〜50mmの長さであり得る。代表的な実施形態において、バットレス材料は、予め一緒に溶融され、バットレス材料内に埋め込まれた、不規則な配向のチョップドファイバーを有する。
【0034】
補強部材は、本明細書中で前述したあらゆる生体被吸収性材料、非生体被吸収性材料、天然材料、または合成材料およびこれらの組み合わせから形成され得ることが想定される。モノフィラメントまたはマルチフィラメントの組紐が補強部材として使用される場合、あらゆる市販の縫合糸材料が有利に補強部材として用いられ得る。
【0035】
ある実施形態においては、少なくとも1種の生物活性因子が、バットレス材料、および/または、バットレス材料を構築するために使用された個々の構成要素(有孔層、非有孔層および/または補強部材)と組み合わされ得る。これらの実施形態において、バットレス材料はまた、生物活性因子を送達するためのビヒクルとしても機能し得る。用語「生物活性因子」とは、本明細書において使用される場合、その最も広い意味において使用され、そして、臨床上の用途を有するあらゆる物質または物質の混合物を包含する。したがって、生物活性因子は、それ自体が薬理学的活性を有していても有していなくてもよい(例えば、色素または香料)。あるいは、生物活性因子は、治療上または予防上の効果を提供するあらゆる因子、組織増殖、細胞増殖、細胞分化に影響するかまたはこれらに関与する化合物、抗癒着化合物、免疫応答性のような生物学的な活動を惹起し得る化合物、または、1以上の生物学的プロセスにおいてあらゆる他の役割を果たし得る化合物であり得る。
【0036】
本開示にしたがって利用され得る生物活性因子の分類の例としては、抗癒着物質、抗菌物質、鎮痛薬、解熱薬、麻酔薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、心血管系の薬物、診断剤、交感神経作用薬、コリン作用薬、抗ムスカリン作用薬、鎮痙薬、ホルモン剤、増殖因子、筋弛緩薬、アドレナリン作動性ニューロン遮断薬、抗腫瘍薬、免疫原性因子、免疫抑制薬、消化管系の薬物、利尿薬、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類および酵素が挙げられる。また、生物活性因子の組み合わせが使用され得ることも意図される。
【0037】
抗癒着性因子または抗癒着因子は、バットレス材料と、標的組織の反対側の周囲組織との間に癒着が形成することを防止するために使用され得る。これらの因子のいくつかの例としては、ポリ(ビニルピロリドン)、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0038】
本開示のバットレス材料中に生物活性因子として含められ得る適切な抗菌剤としては、トリクロサン(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしても公知)、クロルヘキシジンおよびその塩(酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジンおよび硫酸クロルヘキシジンを含む)、銀およびその塩(酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリル酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、銀タンパク質および銀スルファジアジンを含む)、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン)、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン(例えば、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン(pefloxacin)、エノキサシンおよびシプロフロキサシン)、ペニシリン(例えば、オキサシリンおよびピプラシル(pipracil))、ノンオキシノール9(nonoxynol 9)、フシジン酸、セファロスポリン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシンBのような抗菌性のタンパク質およびペプチドが、本開示のバットレス材料中の生物活性因子として含められ得る。
【0039】
本開示にしたがうバットレス材料中の生物活性因子として含められ得る他の生物活性因子としては、以下が挙げられる:局所麻酔薬;非ステロイド性避妊剤;副交感神経作用剤;精神療法剤(psychotherapeutic agent);精神安定薬;うっ血除去薬;沈静催眠薬;ステロイド;スルホンアミド;交感神経作用剤;ワクチン;ビタミン;抗マラリア薬;抗片頭痛剤(anti−migraine agent);抗パーキンソン剤(例えば、L−ドパ);鎮痙薬;抗コリン作用剤(例えば、オキシブチニン);鎮咳薬;気管支拡張薬;心血管系の薬剤(例えば、冠動脈拡張薬およびニトログリセリン);アルカロイド;鎮痛薬;麻酔薬(例えば、コデイン、ジヒドロコデイン、メペリジン、モルヒネなど);非麻酔薬(例えば、サリチル酸、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなど);オピオイド受容体アンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナロキソン);抗癌剤;鎮痙薬;制吐薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤(例えば、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど);プロスタグランジンおよび細胞傷害性薬物;エストロゲン;抗菌薬;抗生物質;抗真菌薬;抗ウイルス薬;抗凝固薬;鎮痙薬;抗うつ薬;抗ヒスタミン薬;および免疫学的因子。
【0040】
バットレス材料中に含められ得る適切な生物活性因子の他の例としては、以下が挙げられる:ウイルスおよび細胞、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、ならびにこれらのアナログ、ムテイン、および活性フラグメント(例えば、免疫グロブリン、抗体)、サイトカイン(例えば、リンホカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子、造血因子、インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6)、インターフェロン(β−IFN、α−IFNおよびγ−IFN)、エリスロポエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍因子および腫瘍抑制遺伝子(tumor suppressor)、血液タンパク質、ゴナドトロピン(例えば、FSH、LH、CGなど)、ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン)、ワクチン(例えば、腫瘍抗原、細菌抗原、およびウイルス抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;増殖因子(例えば、神経増殖因子、インスリン様増殖因子);タンパク質インヒビター、タンパク質アンタゴニストおよびタンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンス分子、DNAおよびRNA);オリゴヌクレオチド;ポリヌクレオチド;ならびにリボザイム。
【0041】
ここで、
図3〜6を参照し、そして、最初に
図3および5に関して、アンビルバットレス保持システム40の詳細がここで記載される。上述のように、アンビルバットレス保持システム40は、アンビルバットレス材料24をアンビル20に固定するためのクリップすなわち逆ステープル28を備える。逆ステープル28は、スパンまたはバックスパン50を有し、このバックスパン50は、バックスパン50から延びる一対の脚部52および54を有する。脚部52および54は、それぞれ、鋭利な先端56および58において端を成し、これらの鋭利な先端56および58は、アンビルバットレス保持システム40が組み立てられたときに、アンビルバットレス材料24を貫通するために提供される。
【0042】
上述のように、アンビル20には、ステープル打ち曲げポケット48の列が提供される。この実施形態において、ホール対60が、アンビル20内にドリルで穴を開けられて、逆ステープル28の脚部52および54が中を通って通過することを可能にする。ホール対60は、ステープル打ち曲げポケット48の列と一致して位置決めされ、そして、示される列内のステープル打ち曲げポケット48の1セット以上と置き換わる。特定の実施形態において、ホール対60は、その外縁に沿ってアンビルバットレス材料24を固定するために、ステープル打ち曲げポケット48の最外列に位置を定められる。
【0043】
ここで、
図3〜6を参照すると、アンビルバットレス保持システム40を組み立てるために、逆ステープル28の脚部52および54が、アンビル20内のホール対60を通して挿入され、その結果、先端56および58がアンビルバットレス材料24を貫通する(
図5)。あるいは、アンビルバットレス材料24には、脚部52および54に適合するために予め形成されたホールが提供され得る。いったん脚部52および54がアンビル20およびアンビルバットレス材料24を通して位置決めされると、脚部52および54は、内向きに曲がった脚部62および64を形成するために屈曲またはクリンプされ(
図6を参照のこと)、アンビルバットレス材料24をアンビル20に対して固定する。示されるように、逆ステープル28のバックスパン50は、アンビル20の上側66に隣接し、一方で、アンビルバットレス材料24は、内向きに曲がった脚部62および64によってアンビル20の下側68に対して固定される(
図4および6)。内向きに曲がった脚部62および64の長さは十分に短く、その結果、いったんアンビルバットレス材料24が組織にステープル留めされると、アンビルバットレス材料24はアンビル20から離れ得る。
【0044】
ここで、
図7〜10を参照して、カートリッジバットレス保持システム42の詳細および組み立てがここで記載される。最初に
図7を参照すると、そして、上述のように、カートリッジバットレス保持システム42は一般に、ステープルカートリッジ22、カートリッジバットレス材料26、および、カートリッジバットレス材料26をステープルカートリッジ22に着脱可能に固定する、着脱可能なクリップすなわち逆ステープル30を備える。逆ステープル30は、以下に記載される、組織をステープル留めするために使用されるステープルと同様である。上記のアンビルバットレス保持システム40に関連する逆ステープル28とは対照的に、逆ステープル30は、カートリッジバットレス材料26が身体にステープル留めされるときに、ステープルカートリッジ22から外れて、カートリッジバットレス材料26と共に移動することが意図される。逆ステープル30は、生体適合性材料から形成され、そして、経時的に体内で劣化するように、被吸収性材料または吸収性材料から形成され得る。上記のアンビルバットレス保持システム40に関連する逆ステープル28とは対照的に、逆ステープル30は、カートリッジバットレス材料26が身体にステープル留めされるときに、ステープルカートリッジ22から外れて、カートリッジバットレス材料26と共に移動することが意図される。
【0045】
ステープルカートリッジ22は一般に、可塑性の本体部分70と外側チャネル72とを備える。ステープルカートリッジ22は、外側チャネル72によって細長の管状部材14の上に支持される。本体部分70は、以下に記載されるように、組織をステープル留めするために使用されるステープルを収容するために提供される、ステープル格納ポケットの複数の列74を備える。ナイフチャネル76は、カートリッジバットレス材料26に沿ってステープル留めされる組織を切断するために使用されるナイフを通過させるために、ステープル格納ポケットの列74の間に位置決めされる。
【0046】
ステープル格納ポケットの列74は、カートリッジバットレス材料26をステープルカートリッジ22に固定するために、逆ステープル30を受容するための長手方向に間隔を空けられた空またはダミーのポケット78を備える。
【0047】
図8に示されるように、カートリッジバットレス保持システム42を組み立てるために、カートリッジバットレス材料26は、ステープルカートリッジ22の本体部分70の上に位置決めされ、逆ステープル30は、カートリッジバットレス材料26を通して、そして、ダミーポケット78内へと挿入される(
図9)。
図9および10を参照すると、クリンピングダイ80が、ダミーポケット78内に逆ステープル30を摩擦により固定するために提供される。具体的には、逆ステープル30は、バックスパン82と、バックスパン82から突出する一対の脚部84および86とを備える。脚部84および86は、それぞれ、点または先端88および90において端を成す。
【0048】
図9および10を参照すると、いったん脚部84および86がカートリッジバットレス材料26を通して、ダミーポケット78内へと挿入されると、クリンピングダイ80が、ダミーポケット78内で上向きに押し進められ、その結果、クリンピングダイ80の上のクリンピングポケット92および94は、先端88および90を係合し、そして、これらを屈曲またはクリンプして、クリンプされた端部96および98を形成する(
図10)。逆ステープル30がダミーポケット78内でクリンプされるとき、脚部84および86は、ダミーポケット78の壁100を摩擦により係合するように、外向きに押し付け、または、広げられ、それによって、逆ステープル30をダミーポケット78内に摩擦により保持する。
【0049】
ここで、
図11〜17を参照し、そして、最初に
図11および12に関して、管状組織部分Tをステープル留めおよび分割するための外科用ステープラー10の使用がここで記載される。最初に、アンビル20およびステープル格納カートリッジ22を備えるジョーアセンブリ16が、ステープル留めされる組織Tの周りに位置決めされる。駆動装置36は、アンビルスロット38に関して近位の位置にある。
図11に最もよく示されるように、ステープルを含む挿入物すなわち可塑性の本体部分70は、ステープルポケットの列74の個々のステープルポケット104内に位置決めされたステープル102を備える。ステープル102は、従来のタイプのものであり、そして、バックスパン106を備え、このバックスパン106は、バックスパン106から延びる一対の脚部108および110を有する。脚部108および110は、組織貫通先端112および114において端を成す。プッシャー116が、ステープルポケット104内に位置を定められ、そして、ステープル102と、駆動棒118の経路との間に位置決めされる。
【0050】
ここで、
図13を参照すると、外科用ステープラー10は、最初に、ハンドル12に関するトリガ32の動きによって作動され(
図1)、駆動装置36を、矢印Bの方向に、そして、アンビル20の傾斜したエッジ44に逆らって動かし、それによって、アンビル20を、ステープルカートリッジ22に関して閉位置へと動かす。
図14に最もよく示されるように、駆動棒118が可塑性の本体部分70内を遠位に進むとき、駆動棒118は、ステープル102のバックスパン106に向かってプッシャー116を上向きに押し進め、ステープル102を、カートリッジバットレス材料26、組織T、アンビルバットレス材料24を通して、そして、アンビル20内のステープル打ち曲げポケット48へ向けて駆動する。組織貫通先端112および114は、アンビル20内のステープル打ち曲げポケット48内で屈曲され、それによって、アンビルバットレス材料24を組織Tに対して固定し、その間、バックスパン106は、カートリッジバットレス材料26を組織Tに対して固定する。
【0051】
具体的には示されないが、外科用ステープラー10を完全に作動した際、外科用ステープラー10に実装され、そして、駆動装置36によって運ばれるナイフブレードが、たった今打ち曲げられたステープル102の列の間で、組織T、ならびに、アンビルバットレス材料24およびカートリッジバットレス材料26を切断する。
【0052】
図15に示されるように、1つの実施形態において、アンビル20がステープルカートリッジ22から間隔を空けられた開位置へと移動する際、アンビルバットレス材料24は、アンビル20およびアンビルバットレス保持装置28から離れる。具体的には、アンビルバットレス材料24は、アンビルバットレス保持装置28の内向きに屈曲した脚部62および64から完全に離れ、アンビルバットレス保持装置28をアンビル20に付着したままにする。さらに、アンビル20が開位置へと移動する際、カートリッジバットレス材料26は、ステープル格納カートリッジ22から分離する。上述のように、カートリッジバットレス保持装置30は、ダミーポケット78内に摩擦により保持される。カートリッジバットレス材料26がステープル格納カートリッジ22から離れるとき、カートリッジバットレス保持装置30は、ダミーポケット78から完全に離れ、そして、ステープル留めされた組織Tおよびカートリッジバットレス材料26と共に残る。上述のように、カートリッジバットレス保持装置30は、被吸収性材料または吸収性材料から形成され得、これらの材料は、体内で経時的に分解する。
【0053】
分割され、かつステープル102によりステープル留めされて閉鎖された、得られた組織Tは、
図16および17に最もよく示される。具体的には、カートリッジバットレス材料26は、ステープル102のバックスパン106によって組織Tに対して固定され、そして、アンビルバットレス材料24は、ステープル102のたった今打ち曲げられた組織貫通先端112および114によって組織Tに対して固定される。この様式において、アンビルバットレス材料24およびカートリッジバットレス材料26は、組織Tにステープル留めされ、それによって、ステープル102によって生成されたこれらのステープルラインを密閉および補強する。
【0054】
ここで、
図18〜34を参照して、外科用ステープル留め機器10において使用するためのアンビルバットレス保持システム120およびカートリッジバットレス保持システム122の代替的な実施形態が開示される。最初に
図18および19を参照すると、アンビルバットレス保持システム120は、組織をステープル留めする前に、アンビルバットレス材料24をアンビル124に対して保持するために提供される。アンビル124は、本明細書において上記されたアンビル20と同様であり、そして、アンビル124をステープル格納カートリッジ22に関して開位置と閉位置との間で動かすために、駆動装置36と係合するための傾斜した近位エッジ126を備える。アンビル124はさらに、外科用ステープル留め機器10に実装されたナイフを通過させるためのスロット128を備える。アンビルバットレス保持システム120は、アンビルバットレス材料24をアンビル124上に保持するのを補助するために、複数の新規の保持装置すなわちクリップ130を備える。アンビル124には、クリップ130を受容するために、一連のクリップスロット132が提供され、これらのクリップスロット132は、アンビル124内に形成されたステープル打ち曲げポケット134に沿って間隔を空けられる。アンビルバットレス材料24はまた、内部を通してクリップ130を通過させるための、バットレス材料スロット136を含む。
【0055】
図20の場合を参照すると、クリップ130は、一般に、プレート138の第一の側142に沿って傾斜したエッジ140と、プレート138の第二の側146からほぼ直角に突出するフランジまたはリップ144とを有するプレート138として形成される。傾斜したエッジ140は、クリップ130をアンビル124の外に押し出すために、駆動装置36によって係合されるように構成され、一方で、リップ144は、ステープル留めの前に、アンビルバットレス材料24をアンビル124に対して保持するために提供される。
図20および21に最もよく示されるように、クリップ130は、アンビル124のクリップスロット132内に摩擦により保持され、そして、リップ144の下面148は、アンビルバットレス材料24をアンビル124に対して保持する。
【0056】
図22に示される代替的な実施形態において、代替的なクリップ150が提供され得、このクリップ150は、クリップ150のプレート156からほぼ直角に突出する一対の間隔を空けられたリップ152および154を有する。リップ152および154は、クリップ130の様式に類似する様式で、アンビルバットレス材料24をアンビル124に対して保持するように構成される。クリップ150はまた、クリップ150とアンビルバットレス材料24とをアンビル124から分離するために、外科用ステープル留め機器10の駆動装置36により係合されるための、角度の付いたエッジ158を備える。
【0057】
保持クリップ160のなおさらなる実施形態が
図23に示される。クリップ160はまた、外科用ステープル留め機器10の駆動装置30との係合のために角度の付いたエッジ164を有するプレート162として形成される。クリップ160には、アンビルバットレス材料24をアンビル124に固定するために提供される表面の量を増加させるために、プレート162からほぼ直角に延びる一対の反対向きのリップ166および168が提供される。
【0058】
ここで、
図24〜27を参照し、そして、最初に
図24に関して、カートリッジバットレス保持システム122は、本明細書において上記したカートリッジバットレス保持システム42と同様であり、これは、可塑性の本体部分70および外側チャネル72を有するステープル格納カートリッジ22と、カートリッジバットレス材料26とを備える。本明細書中に上記されるように、可塑性の本体部分70は、ナイフチャネル76によって隔てられた、ステープルポケットの列74を備える。しかし、逆ステープル30の代わりに、カートリッジバットレス保持システム122は、可塑性の本体部分70においてダミーポケット78内にクリンプされることは意図されていない、クリップまたは逆ステープル182を利用する。むしろ、
図26および27に最もよく示されるように、逆ステープル182の脚部184および186は、ダミーポケット78の内側表面100を摩擦により係合し、一方で、逆ステープル182のバックスパン188は、カートリッジバットレス材料26を、ステープル格納カートリッジ22に対して保持する。
【0059】
図28および29を参照すると、使用時に、ジョーアセンブリ16は、最初に、アンビル124がステープル格納カートリッジ22から間隔を空けられた開位置にある状態で、組織部分Tの周りに位置決めされる。駆動装置36は、アンビル124の傾斜した近位エッジ126に関して近位の位置にある。クリップ130は、アンビル124内のスロット136を通して位置決めされ、アンビルバットレス材料24をアンビル124に対して保持する。本明細書において考察されたように、可塑性の本体部分70は、ステープルポケット104内に位置決めされたステープル102を含む。逆ステープル182は、ダミーポケット78内に位置決めされ、ステープルバットレス材料26をステープル格納カートリッジ22に対して保持する。
【0060】
ここで
図30を参照すると、外科用ステープラー10の作動の際、駆動装置36は、矢印Bの方向に遠位へと、そして、アンビル124の傾斜したエッジ126に逆らって移動し、アンビル124をステープル格納カートリッジ22に関して閉位置へと移動させ、アンビル124とカートリッジ22との間で組織Tを圧縮する。
【0061】
図31に最もよく示されるように、駆動装置36がアンビル124に沿って遠位へと移動し続けると、駆動装置36は、クリップ130の傾斜したエッジ140を係合して、クリップ130をアンビル124内のスロット132内で下向きに押し付ける。これにより、アンビル124からのアンビルバットレス材料24の解放が始まる。本明細書において上記されたものと同様に、駆動棒118が外科用ステープラー10の作動に応答して遠位に進むとき、駆動棒118は、プッシャー116を上向きに押し進め、ステープル102の組織貫通先端112および114を、カートリッジバットレス材料26、組織T、アンビルバットレス材料24を通して、そして、アンビル124内のステープル打ち曲げポケット134内へと駆動する。先端112および114は、ステープル打ち曲げポケット134内で屈曲され、それによって、アンビルバットレス材料24を組織Tに対して固定する。ステープル102のバックスパン106は、カートリッジバットレス材料26を組織Tに対して固定する。上で考察したように、外科用ステープラー10に実装されたナイフは、たった今打ち曲げられたステープル102の列の間で、組織T、ならびに、アンビルバットレス材料24およびカートリッジバットレス材料26を分割する。
【0062】
図32の場合を参照すると、アンビル124が開位置へと移動する際、アンビルバットレス材料24は、クリップ130をアンビル124内のクリップスロット132の外に引っ張り、その結果、アンビルバットレス材料24は、アンビル124から分離する。逆ステープル182は、ダミーポケット78から完全に離れ(
図31)、カートリッジバットレス材料26をステープルカートリッジ22から自由にする。このようにして、逆ステープル182およびクリップ130の両方が、ステープル留めされた組織Tと共に残り、そして、上述のように、これらの両方は、体内で経時的に溶解する分解可能な材料から形成される。
【0063】
得られるステープル留めされた組織部分Tは、
図33および34に最もよく示される。カートリッジバットレス材料26およびアンビルバットレス材料24は、ステープル102によって組織Tへとステープル留めされ、それによって、ステープル102により形成されるステープルラインを補強し、そして、組織Tのステープル留めされ、かつ切断された端部を密閉する。
【0064】
ここで
図35〜44を参照して、本明細書において上記した外科用ステープラー10およびアンビルバットレス保持システム40と共に使用するためのカートリッジバットレス保持システム190のさらなる代替的な実施形態が開示される。カートリッジバットレス保持システム190は一般に、ステープル格納カートリッジ22およびカートリッジバットレス材料26を備える。複数のカートリッジバットレス保持装置すなわちI型梁保持装置192が、ステープル格納カートリッジ22を摩擦により係合し、そして、カートリッジバットレス材料26をステープル格納カートリッジ22へと一時的に固定するために提供される。
【0065】
図37の場合を参照すると、I型梁保持装置192は、一般に、矩形の中央部分194を備え、この矩形の中央部分194には、矩形の上梁196と下梁198とが結合されている。本明細書において上記した保持デバイスと同様に、保持装置192は、体内で経時的に分解する材料から形成され得る。カートリッジバットレス材料26は、複数のスロット200を備え、これらのスロット200は、ステープル格納カートリッジ22内のダミーポケット78と整列され、そして、スロット200を通ってI型梁保持装置192が部分的に通過することを可能にする(
図36)。
【0066】
引き続き
図37を参照し、そしてまた、
図38を参照すると、I型梁保持装置192の上梁196の下面202は、カートリッジバットレス材料26をステープル格納カートリッジ22に対して固定する。I型梁保持装置192の下梁198の両端部204および206は、ダミーポケット78の内面100を摩擦により係合し、I型梁保持装置192を、部分的にステープル格納カートリッジ22内に摩擦により保持する。
【0067】
図39〜42を参照すると、カートリッジバットレス保持システム190の動作は、本明細書において上記したカートリッジバットレス保持システム42および122のものと同様に機能する。最初に、ジョーアセンブリ16が、組織Tの周りに位置決めされ、アンビル20は、ステープル格納カートリッジ22から間隔を空けられた開位置にある。外科用ステープラー10を作動すると、駆動装置36は遠位へと進んで、アンビル20を閉位置へと移動させる(
図40)。駆動棒118は遠位へと進んで、プッシャー116を係合し、そして、ステープル102を、カートリッジバットレス材料26、組織T、アンビルバットレス材料24を通して、そして、ステープル打ち曲げポケット48内へと駆動し、アンビルバットレス材料24の上でステープル102の先端112および114を打ち曲げる(
図41)。アンビル20が開位置へと移動すると、アンビルバットレス材料24は、逆ステープル28から完全に離れる。下梁198は、I型梁保持装置192がダミーポケット78から完全に離れ、そして、カートリッジバットレス材料26へと固定されたままにすることを可能にするために十分に可撓性である(
図42)。
【0068】
得られる分割およびステープル102によりステープル留めされて閉鎖された組織Tは、
図43および44に最もよく示される。示されるように、アンビルバットレス材料24およびカートリッジバットレス材料26は、組織Tへとステープル留めされ、それによって、ステープル102により形成されるステープルラインを補強し、そして、組織部分Tを密閉する。この様式において、カートリッジバットレス保持システム190は、カートリッジバットレス材料がステープル格納カートリッジ22の上に取り外し可能に保持され、そして、組織へとステープル留めされたときに解放されることを可能にする。
【0069】
本明細書において開示される実施形態に対して種々の改変がなされ得ることが理解される。例えば、開示される保持装置および方法は、ステープル格納カートリッジまたはアンビルのいずれかにおいて使用するために置き換えることが可能である。さらに、開示される方法および保持システムは、ステープル留め装置に限定されないが、材料が外科用機器の表面上に着脱可能に保持されることを必要とする他の機器および状況において用途を見出し得る。さらに、開示される保持装置は、同時に、バットレス材料保持デバイスおよび組織連結デバイス(すなわち、「組織ステープラー」)の両方として機能し得る。それゆえ、上記の明細書は、限定的なものとしてみなされるべきではなく、単に、特定の実施形態を例示するものとしてみなされるべきである。当業者は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内で他の改変を想定する。