【実施例】
【0075】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。しかし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。すなわち、ここには、天然物由来の高分子ゲル分子としてヒアルロン酸またはセリシンを使用した事例のみを示しているが、アニオン性官能基と1個または2個以上の水酸基を分子内に有し収縮性と膨潤性とを兼ね備えた高分子ゲル分子であれば、特に制限なく使用することができる。また、周辺環境の変化因子の一つである「溶液組成の変化」に基づいて、無機酸化物粒子の表面を前記高分子ゲル分子で完全に修飾する方法を記載しているが、その他の手法(例えば、温度変化やpH変化など)を採用してもよい。
【0076】
[実施例1]
カチオン表面電荷を持つ無機酸化物粒子(I)の調製
3リットルのチタン製タンクにシリカ粒子[日揮触媒化成(株)製 SILICA MICROBEADS(登録商標) P−1500、前記測定法Aで測定した平均粒子径8.40μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径26.37μm]を68g入れ、固形分含有量が約9重量%となるように純水670gを加えた。次に、前記チタン製タンクにpHメーターおよび温度センサーを設置し、チタン製平羽根を用いて回転速度350rpmで2時間撹拌して前記シリカ粒子のスラリーを得た。
【0077】
次に、得られたスラリーを70℃の温度まで加熱したのち、このスラリーを撹拌しながら10%濃度の塩酸水溶液を添加してスラリーのpHを6.00に調整した。さらに、前記スラリーのpHを6.00に維持しながら、Al
2O
3換算基準で約5重量%の高塩基性塩化アルミニウム水溶液(多木化学(株)製 PAC#1000)27gを、2時間かけて添加した。その後、撹拌しながらスラリーの温度を70℃に保って7時間放置した。これにより、シリカ粒子の表面をアルミナ成分で被覆した。
【0078】
次いで、前記スラリーの温度を室温まで冷却したのち、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過を行った。さらに、シリカの重量に対して20倍量の純水1400gで洗浄した。次に、得られたケーキ状物質を110℃の温度で18時間乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためサンプルミルで解砕して、アルミナで被覆されたシリカ粒子(以下、「アルミナ被覆シリカ粒子(I)」という。)の乾燥粉体69gを得た。このようにして得られたアルミナ被覆シリカ粒子(I)を前記測定法Aで測定した平均粒子径は8.60μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径23.17μmであった。
【0079】
有機無機複合粒子(A)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.0012g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約0.01重量%になるように純水12gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.003重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。この時のアセトン添加量は36gであった。
【0080】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(I)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのアルミナ被覆シリカ粒子(I)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記アルミナ被覆シリカ粒子(I)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水60gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(アルミナ被覆シリカ粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0081】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(A)」という。)11.88gを得た。
【0082】
このようにして得られた有機無機複合粒子(A)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、8.53μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(A)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
【0083】
[実施例2]
有機無機複合粒子(B)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.0048g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約0.01重量%になるように純水48gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.003重量%濃度になるよう撹拌しながら加え、さらに室温にて撹拌した。この時のアセトンの添加量は144gであった。
【0084】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(I)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのアルミナ被覆シリカ粒子(I)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記アルミナ被覆シリカ粒子(I)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水60gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次いで、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(アルミナ被覆シリカ粒子(I)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0085】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(B)」という)11.96gを得た。
【0086】
このようにして得られた有機無機複合粒子(B)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、8.59μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機化合物分子(B)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
【0087】
[実施例3]
カチオン表面電荷を持つ無機酸化物粒子(II)の調製
3リットルのチタン製タンクにシリカ粒子[日揮触媒化成(株)製 SILICA MICROBEADS(登録商標) P−1500、前記測定法Aで測定した平均粒子径8.40μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径26.37μm]を68g入れ、固形分含有量が約9重量%となるように純水670gを加えた。次に、前記チタン製タンクにpHメーターおよび温度センサーを設置し、チタン製平羽根を用いて回転速度350rpmで2時間撹拌して前記シリカ粒子のスラリーを得た。
【0088】
次に、得られたスラリーを70℃の温度まで加熱したのち、このスラリーを撹拌しながら10%濃度の塩酸水溶液を添加してスラリーのpHを6.00に調整した。さらに、前記スラリーのpHを6.00に維持しながら、Al
2O
3換算基準で約2重量%の高塩基性塩化アルミニウム水溶液(多木化学(株)製 PAC#1000)11gを、2時間かけて添加した。その後、撹拌しながらスラリーの温度を70℃に保って7時間放置した。これにより、シリカ粒子の表面をアルミナ成分で被覆した。
【0089】
次いで、前記スラリーの温度を室温まで冷却したのち、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過を行った。さらに、シリカの重量に対して20倍量の純水1400gで洗浄した。次に、得られたケーキ状物質を110℃の温度で18時間乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためサンプルミルで解砕して、アルミナで被覆されたシリカ粒子(以下、「アルミナ被覆シリカ粒子(II)」という。)の乾燥粉体69gを得た。このようにして得られたアルミナ被覆シリカ粒子(II)の前記測定法Aで測定した平均粒子径は10.42μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径26.37μmであった。
【0090】
有機無機複合粒子(C)の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.120g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水12gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は35gであった。
【0091】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(II)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのアルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記アルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水60gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(アルミナ被覆シリカ粒子(II)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0092】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(C)」という。)12.26gを得た。
【0093】
このようにして得られた有機無機複合粒子(C)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、11.23μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(C)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
【0094】
[実施例4]
有機無機複合粒子(D)の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.480g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水48gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は145gであった。
【0095】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(II)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのアルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記アルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水204gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌をとめて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(アルミナ被覆シリカ粒子(II)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0096】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(D)」という。)12.51gを得た。
【0097】
このようにして得られた有機無機複合粒子(D)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、10.33μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(D)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
【0098】
[実施例5]
有機無機複合粒子(E)の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(資生堂(株)製 バイオヒアルロン酸ナトリウム 平均分子量:110〜160万)を0.480g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水48gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は144gであった。
【0099】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(II)12gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのアルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記アルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水205gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(アルミナ被覆シリカ粒子(II)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0100】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(E)」という。)12.51gを得た。
【0101】
このようにして得られた有機無機複合粒子(E)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、10.50μmであった。
ついで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(E)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材では検出しない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
【0102】
[実施例6]
カチオン表面電荷を持つ無機酸化物粒子(III)の調製
5リットルのチタン製タンクにシリカ粒子[日揮触媒化成(株)製 SILICA MICROBEADS(登録商標) P−1500、前記測定法Aで測定した平均粒子径8.40μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径26.37μm]を53g入れ、固形分含有量が約9重量%となるように純水470gを加えた。次に、前記チタン製タンクにpHメーターおよび温度センサーを設置し、チタン製平羽根を用いて回転速度200rpmで2時間撹拌して前記シリカ粒子のスラリーを得た。
【0103】
次に、得られたスラリーを70℃の温度まで加熱したのち、このスラリーを撹拌しながら15%濃度のアンモニア水溶液を添加してスラリーのpHを9.35に調整した。さらに、前記スラリーのpHを9.35に維持しながら、MgO換算基準で約10重量%の塩化マグネシウム(関東化学(株)製)5gを、6時間かけて添加した。その後、撹拌しながらスラリーの温度を70℃に保って13時間放置した。これにより、シリカ粒子の表面を酸化マグネシウム成分で被覆した。
【0104】
次いで、前記スラリーの温度を室温まで冷却したのち、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過を行った。さらに、シリカの重量に対して20倍量の純水1100gで洗浄した。次に、得られたケーキ状物質を110℃の温度で18時間乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためサンプルミルで解砕して、酸化マグネシウムで被覆されたシリカ粒子(以下、「酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)」という。)の乾燥粉体53gを得た。このようにして得られた酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の前記測定法Aで測定した平均粒子径は8.26μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径28.67μmであった。
【0105】
有機無機複合粒子(F)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.120g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水12gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は36gであった。
【0106】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製した酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこの酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水60gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0107】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させた酸化マグネシウム被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(F)」という。)12.26gを得た。
【0108】
このようにして得られた有機無機複合粒子(F)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、9.38μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(F)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III))の表面からは、検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
【0109】
[実施例7]
有機無機複合粒子(G)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.480g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水48gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は144gであった。
【0110】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製した酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこの酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水205gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0111】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させた酸化マグネシウム被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(G)」という。)12.51gを得た。
【0112】
このようにして得られた有機無機複合粒子(G)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、9.42μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(G)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III))の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
【0113】
[実施例8]
有機無機複合粒子(H)の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(資生堂(株)製 バイオヒアルロン酸ナトリウム 平均分子量:110〜160万)を0.480g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水48gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は144gであった。
【0114】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製した酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこの酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水205gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0115】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させた酸化マグネシウム被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(H)」という。)12.51gを得た。
【0116】
このようにして得られた有機無機複合粒子(H)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、9.58μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(H)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。またヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
【0117】
[実施例9]
有機無機複合粒子(I)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアロオリゴ(登録商標) 平均分子量:1万以下)を0.20g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水20gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。この時のアセトン添加量は60gであった。
【0118】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製した酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)5gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこの酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水80gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水100g(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質(ヒアルロン酸結合酸化マグネシウム被覆シリカ粒子)を洗浄した。
【0119】
さらに、マグネティック撹拌子を入れた1リットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.20g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水20gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。この時のアセトン添加量は60gであった。
【0120】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したヒアルロン酸結合酸化マグネシウム被覆シリカ粒子5gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのヒアルロン酸結合酸化マグネシウム被覆シリカ粒子の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記ヒアルロン酸結合酸化マグネシウム被覆シリカ粒子の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水80gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水100g(ヒアルロン酸結合酸化マグネシウム被覆シリカ粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0121】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させた酸化マグネシウム被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(I)」という。)5.11gを得た。
【0122】
このようにして得られた有機無機複合粒子(I)の分散性を評価したところ、9.59μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(I)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
【0123】
[実施例10]
有機無機複合粒子(J)の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.120g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%濃度になるように純水12gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は35gであった。
【0124】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(II)を12g撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのアルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合させた。
次いで、前記スラリー中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、アセトン240g(アルミナ被覆シリカ粒子(II)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0125】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(J)」という。)12.18gを得た。
【0126】
このようにして得られた有機無機複合粒子(J)の分散性を評価したところ、7.44μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(J)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
【0127】
[実施例11]
有機無機複合粒子(K)の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.480g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%濃度になるように純水48gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は145gであった。
【0128】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(II)を12g撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのアルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合させた。
次いで、前記スラリー中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、アセトン240g(アルミナ被覆シリカ粒子(II)重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0129】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(K)」という。)11.96gを得た。
【0130】
このようにして得られた有機無機複合粒子(K)の分散性を評価したところ、8.59μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(K)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
【0131】
[実施例12]
有機無機複合粒子(L)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにセリシン(一丸ファルコス(株)製 SILKGEN(登録商標) G SOLUBLES−E 5.5重量%、平均分子量:5,500〜40,000)を0.91g入れ、セリシンの含有量が約1重量%になるようにエタノール4gを加えた。次いで、セリシンの分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、セリシンの含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。この時のアセトン添加量は12gであった。
【0132】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のセリシンを含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(II)5gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記セリシンをこのアルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記アルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合したセリシンを膨潤させるための純水30gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水100g(アルミナ被覆シリカ粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0133】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にセリシンを静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(L)」という。)4.78gを得た。
【0134】
このようにして得られた有機無機複合粒子(L)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、8.63μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(L)を測定したところ、その表面(セリシンの静電的結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。
【0135】
[実施例13]
有機無機複合粒子(M)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにセリシン(一丸ファルコス(株)製 SILKGEN(登録商標) G SOLUBLES−E 5.5重量%、平均分子量:5,500〜40,000)を3.64g入れ、セリシンの含有量が約1重量%になるようにエタノール16gを加えた。次いで、セリシンの分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、セリシンの含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。この時のアセトン添加量は46gであった。
【0136】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のセリシンを含む。)に、上記で調製したアルミナ被覆シリカ粒子(II)5gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記セリシンをこのアルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記アルミナ被覆シリカ粒子(II)の表面に静電的結合したセリシンを膨潤させるための純水60gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水100g(アルミナ被覆シリカ粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0137】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にセリシンを静電的結合させたアルミナ被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(M)」という。)4.80gを得た。
【0138】
このようにして得られた有機無機複合粒子(M)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、9.95μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(M)を測定したところ、その表面(セリシンの静電的結合部分)に、基材(アルミナ被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。
【0139】
[実施例14]
有機無機複合粒子(N)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.05g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水5gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。この時のアセトン添加量は12gであった。
【0140】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、チタニア粒子(石原産業(株)製、TIPAQUE WHITE(登録商標)CR−50、前記測定法Aで測定した平均粒子径0.62μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径13.37μm)5gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのチタニア粒子の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記チタニア粒子の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水25gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水100g(チタニア粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0141】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたチタニア粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(N)」という。)4.76gを得た。
【0142】
このようにして得られた有機無機複合粒子(N)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、11.41μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(N)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の静電的結合部分)に、基材(チタニア粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
【0143】
[実施例15]
有機無機複合粒子(O)の調製
マグネティック撹拌子を入れた300ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.2g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水20gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。この時のアセトン添加量は46gであった。
【0144】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、チタニア粒子(石原産業(株)製、TIPAQUE WHITE(登録商標)CR−50、前記測定法Aで測定した平均粒子径0.62μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径13.37μm)5gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのチタニア粒子の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記チタニア粒子の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水60gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水100g(チタニア粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0145】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたチタニア粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(O)」という。)4.76gを得た。
【0146】
このようにして得られた有機無機複合粒子(O)の分散性を、上記の分散性評価法で評価したところ、12.47μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(O)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の静電的結合部分)に、基材(チタニア粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認した。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できた。
【0147】
[比較例1]
カチオン表面電荷を持つ無機酸化物粒子の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにシリカ粒子[日揮触媒化成(株)製 SILICA MICRO BEADS(登録商標) P−1500、前記測定法Aで測定した平均粒子径8.40μm、前記測定法Bで測定した平均粒子径26.37μm]を20g入れ、固形分含有量が約9重量%となるように純水220gを加えた。次に、前記ガラス製ビーカーにpHメーターを設置し、マグネティック撹拌子を用いて回転速度300rpmで2時間撹拌して前記シリカ粒子のスラリーを得た。
【0148】
次に、得られたスラリーを室温にて撹拌しながら15%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を添加してスラリーのpHを約12.0に調整し、4時間撹拌した後スラリーを18時間放置し、シリカ粒子の表面にナトリウム成分を静電的結合させた。
【0149】
次いで前記スラリー中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過を行った。さらに、シリカの重量に対して20倍量の純水400gで洗浄した。次に、得られたケーキ状物質を110℃の温度で18時間乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためサンプルミルで解砕して、ナトリウムで被覆されたシリカ粒子(以下、「ナトリウム被覆シリカ粒子」という。)(IV)の乾燥粉体20gを得た。このようにして得られたナトリウム被覆シリカ粒子の前記測定法Aで測定した平均粒子径は9.68μmであった。
【0150】
有機無機複合粒子(a)の調製
マグネティック撹拌子を入れた500ミリリットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアルロンサン HA−LQ 平均分子量:85〜160万)を0.480g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%濃度になるように純水48gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。このときのアセトン添加量は144gであった。
【0151】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製したナトリウム被覆シリカ粒子(IV)12gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこのナトリウム被覆シリカ粒子(IV)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記ナトリウム被覆シリカ粒子(IV)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水60gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水240g(ナトリウム被覆シリカ粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0152】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させたナトリウム被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(a)」という。)12.51gを得た。
【0153】
このようにして得られた有機無機複合粒子(a)の分散性を評価したところ、20.06μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(a)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(ナトリウム被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認できなかった。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できなかった。
【0154】
[比較例2]
有機無機複合粒子(b)の調製
マグネティック撹拌子を入れた1リットルのガラス製ビーカーにヒアルロン酸(キューピー(株)製 ヒアロオリゴ(登録商標) 平均分子量:1万以下)を0.20g入れ、ヒアルロン酸の含有量が約1重量%になるように純水20gを加えた。さらに、室温にて4時間撹拌して、ヒアルロン酸を純水中に溶解させた。次いで、ヒアルロン酸の分子収縮を起こさせる溶媒としてのアセトンを、ヒアルロン酸の含有量が約0.3重量%になるように撹拌しながら加え、さらに室温にて4時間撹拌した。このときのアセトン添加量は60gであった。
【0155】
次に、このようにして得られた溶液(収縮状態のヒアルロン酸を含む。)に、上記で調製した酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)5gを撹拌しながら徐々に加え、さらに室温にて2時間撹拌した。これにより、前記ヒアルロン酸をこの酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合させた。
次いで、この溶液中に、前記酸化マグネシウム被覆シリカ粒子(III)の表面に静電的結合したヒアルロン酸を膨潤させるための純水80gを撹拌しながら加え、さらに室温にて2時間撹拌した。その後、この撹拌を止めて、室温にて18時間静置した。
次に、このようにして得られた静置液中に含まれる固形分を、ブフナー漏斗を用いて減圧濾過して、ケーキ状物質を得た。さらに、純水100g(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子重量の約20倍量)で前記ケーキ状物質を洗浄した。
【0156】
次いで、得られたケーキ状物質を60℃の温度に保たれた乾燥機に入れて4時間乾燥した後、室温に保たれたデシケーター内で減圧乾燥した。さらに、乾燥時に生じた粒子同士の凝集を解すためにサンプルミルに入れて解砕した。これにより、粒子表面にヒアルロン酸を静電的結合させた酸化マグネシウム被覆シリカ粒子の乾燥粉体(以下、「有機無機複合粒子(b)」という。)5.3gを得た。
【0157】
このようにして得られた有機無機複合粒子(b)の分散性を評価したところ、19.36μmであった。
次いで、上記の示差熱天秤法(TG−DTA法)で前記有機無機複合粒子(b)を測定したところ、その表面(ヒアルロン酸の結合部分)に、基材(酸化マグネシウム被覆シリカ粒子)の表面からは検出されない大量の水成分のピークを確認できなかった。さらに、ヒアルロン酸由来の400℃付近に弱いながら熱重量変化が確認できなかった。
なお、比較を容易にするため、上記で得られた有機無機複合粒子、すなわち実施例複合粒子A〜Kおよび比較例複合粒子a〜bの概要を以下の表1に示す。
【0158】
表1において、被覆率については、各粒子の調製における原料の仕込み量によって定義する。すなわち、調製対象となる無機金属酸化物粒子の重量基準に対して、カチオン電荷付与剤および高分子ゲル分子を処理する割合によって定義する。
尚、比較例1においては、シリカ粒子表面がナトリウムで修飾された粒子について便宜上「ナトリウム被覆シリカ粒子」と称したが、他の例と同様の被覆率については算出していない。
そして、比較例1および比較例2では、得られた粒子aおよび粒子bの表面からは示差熱天秤法(TG−DTA法)評価による水成分のピークは確認されず、また、ヒアルロン酸由来の熱重量変化が確認されていない。したがって、高分子ゲル分子欄の該当する成分欄は空欄とした。
【0159】
【表1】
【0160】
[実施例16および比較例3]
有機無機複合粒子の感触特性
実施例1〜2および比較例1〜2で得られた有機無機複合粒子の粉体について、専門パネラーによる官能テスト(感触特性評価試験)を行い、しっとり感、均一な延び広がり性、柔らかさの3つの評価項目に関して聞き取り調査を行った。その結果を以下の評価点基準に基づき評価した。この評価試験から得られた結果を表2に示す。
【0161】
表中のSILICA MICROBEADS(登録商標)とは、高分子ゲル処理を行っていない試料を用いたものを比較例として示す。
評価点基準
◎:非常に優れている。
○:優れている。
△:普通。
×:劣る。
【0162】
【表2】
【0163】
[実施例17および比較例4]
パウダーファンデーションの調製
表3に示す配合比率(重量%)となるように、実施例3〜5で得られた実施例粒子C〜E並びに比較例1および比較例2で得られた比較例粒子aおよびbである成分(1)(表3では各種ビーズと記す)と、表3中の成分(2)〜(9)とをそれぞれミキサーに入れて撹拌し、均一に混合した。次に、下記化粧料成分(10)〜(12)をこのミキサーに入れて撹拌し、さらに均一に混合した。
次いで、得られたケーキ状物質を解砕処理した後、その中から約12gを取り出し、46mm×54mm×4mmの角金皿に入れてプレス成型した。
これにより、実施例粒子C〜Eを配合した実施例化粧料C〜E、並びに比較例粒子aおよびbを配合した比較例化粧料aおよびbを得た。
【0164】
【表3】
【0165】
パウダーファンデーションの使用感
有機無機複合粒子の粉体を配合したパウダーファンデーションについて、専門パネラーによる官能テスト(感触特性評価試験)を行い、肌に塗布後の均一な延び、しっとり感、柔らかさ、の3つの評価項目に関して聞き取り調査を行った。その結果を以下の評価点基準に基づき評価した。この評価試験から得られた結果を表4に示す。
【0166】
表中のSILICA MICROBEADS(登録商標)とは、高分子ゲル処理を行っていない試料を用いたものを比較例として示す。
評価点基準
◎:非常に優れている。
○:優れている。
△:普通。
×:劣る。
【0167】
【表4】