特許第5757776号(P5757776)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイハツ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5757776-シリンダヘッド構造 図000002
  • 特許5757776-シリンダヘッド構造 図000003
  • 特許5757776-シリンダヘッド構造 図000004
  • 特許5757776-シリンダヘッド構造 図000005
  • 特許5757776-シリンダヘッド構造 図000006
  • 特許5757776-シリンダヘッド構造 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5757776
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年7月29日
(54)【発明の名称】シリンダヘッド構造
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/00 20060101AFI20150709BHJP
   F01M 1/06 20060101ALI20150709BHJP
   F01M 13/04 20060101ALI20150709BHJP
   F02F 7/00 20060101ALI20150709BHJP
   F01M 9/10 20060101ALI20150709BHJP
【FI】
   F01M13/00 H
   F01M1/06 Q
   F01M13/04 E
   F02F7/00 K
   F01M9/10 M
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2011-91411(P2011-91411)
(22)【出願日】2011年4月15日
(65)【公開番号】特開2012-225198(P2012-225198A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2014年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118924
【弁理士】
【氏名又は名称】廣幸 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大江 雅之
【審査官】 津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−329823(JP,A)
【文献】 特開2010−203299(JP,A)
【文献】 特開2010−90802(JP,A)
【文献】 特開2002−242649(JP,A)
【文献】 特開平6−212941(JP,A)
【文献】 特開2003−35118(JP,A)
【文献】 特開2007−77893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/00
F01M 1/06
F01M 9/10
F01M 13/04
F02F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドカバー内にチェーンケースおよびカム室とを仕切るように設けたバッフルプレートにより、ブローバイガス室を形成し、ブローバイガス室、およびシリンダヘッドのカム室側にそれぞれオイル落とし穴を設けた内燃機関のシリンダヘッド構造であって、
前記バッフルプレートは、チェーンケースの上部に位置する上部面とカム室の上部に位置する下部面との間に前記上部面が前記下部面より高くなるように段差が設けられると共に下面側にチェーンケースとカム室側を跨ぐように突出部が設けられ、
前記突出部の一端をチェーン駆動方向の上流側に、他端を前記カム室に設けた前記オイル落とし穴の側に位置させたことを特徴とするシリンダヘッド構造。
【請求項2】
少なくとも前記突出部は前記一端側から前記他端側に向け傾斜させることを特徴とする請求項1に記載されたシリンダヘッド構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのシリンダヘッドの構造に関するものであり、特にチェーンケースとカム室とを仕切るようなバッフルプレートを有するヘッドカバーにおいて、回転するチェーンが巻き上げるオイルを無駄なく処理することのできるシリンダヘッド構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常内燃機関では、燃焼室の吸気バルブおよび排気バルブを開閉するためにカム機構を用い、そのカム機構を駆動するためにチェーンがエンジン側面に配置されている。そして、シリンダブロックの上方に配置されるシリンダヘッドには、チェーンとカム機構の係合機構が配置されている。より具体的には、シリンダヘッドでは、チェーンがカムシャフトの軸に固定されたスプロケットに係合して、クランク軸からの駆動をカムシャフトに伝える。
【0003】
ここで、クランク室から高速で走行してきたチェーンはスプロケットで方向を変更することとなる。そこで、クランク室から上昇してきた側のスプロケットからは、オイルの飛沫が飛び散ることとなる。このようにチェーンがオイルを飛散させることの課題としては、チェーンケース上に覆設されるロッカカバーにオイルが付着し、チェーンにオイルが供給されないという点が挙げられた。
【0004】
この点を改善するために、特許文献1では、ロッカーカバーの内側であって、チェーンの真上付近にリブを形成し、チェーンの水平部にオイルが落ちるようにする技術が開示されている。具体的には、図5に示すように、インテークカムシャフトの先端に設けられたスプロケット103aと、エキゾーストカムシャフトの先端に設けられたスプロケット104aの間に掛装されたチェーン105のチェーン水平部105aの上方にあるロッカーカバー106からチェーン上方リブ161を突設させる。
【0005】
このチェーン上方リブ161には、傾斜面161aが形成されている。したがって、スプロケット103aからロッカーカバー106の内壁に飛び散ったオイルは、傾斜面161aを伝ってチェーン上方リブ161の中央161Pに集められ、チェーン水平部105aに滴下する。
【0006】
また、図6を参照して、特許文献2では、カムシャフト212Aを駆動するチェーン216が掛装されたスプロケット214の上部のロッカカバー220に配設されるフィラポート220aを、駆動しているエンジンを点検する際に開くと、オイルが飛散するという課題に対して、スプロケット214上部のロッカカバー220内面に格子状のリブ220cを形成することで、オイルの飛散を防止する技術が開示されている。
【0007】
スプロケット214ではねあげられたオイルはリブ220cに当たって、再びチェーン216に滴下する。なお、図6中で符号210はシリンダヘッドであり、符号218はチェーンテンショナーである。
【0008】
また、シリンダヘッドの構造としては、ブローバイガスの処理の観点から、シリンダヘッド内に導入される新気とブローバイガスをできるだけ分離する目的で、チェーンケースとカム室を仕切る仕切板(以下「バッフルプレート」と呼ぶ。)を配設したものが提案されている(特許文献3)。特にチェーンケースをブローバイガスの流路としてチェーンケース上部にロッカーカバーとバッフルプレートでブローバイガス室を形成すると、ブローバイガスのオイル落としや、チェーンへの給油の観点からも好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−035118号公報
【特許文献2】特開2007−077893号公報
【特許文献3】特開2010−090802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1および2は、チェーンによるオイルの飛散を防止する目的であるが、防止したオイルをチェーンに再び返す方法を取っている。しかし、チェーンは高速回転しているため、チェーンに戻されたオイルはミスト状になり、ブローバイガス等と共に還流されオイル消費の原因となる。すなわち、オイル回収率が低減する。
【0011】
また、特許文献3のような構成でチェーンケースがブローバイガスの流路を兼ねるような場合は、チェーンがはねあげたオイルをチェーンに戻さなくても、チェーンやスプロケットがオイル切れになることはない。すなわち、従来技術では、オイルの回収率が低下するという課題だけが解決されずに残っている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記課題に鑑みて相当されたものであり、特にバッフルプレートによってブローバイガス室を形成しているシリンダヘッド構造において、チェーンに滴下したオイルがミスト化してブローバイガスと共に排出されるのを防止し、オイルの回収率を高めることを目的とするものである。
【0013】
より具体的に、本発明のシリンダヘッド構造は、
ヘッドカバー内にチェーンケースおよびカム室とを仕切るように設けたバッフルプレートにより、ブローバイガス室を形成し、ブローバイガス室、およびシリンダヘッドのカム室側にそれぞれオイル落とし穴を設けた内燃機関のシリンダヘッド構造であって、
前記バッフルプレートは、チェーンケースの上部に位置する上部面とカム室の上部に位置する下部面との間に前記上部面が前記下部面より高くなるように段差が設けられると共に下面側にチェーンケースとカム室側を跨ぐように突出部が設けられ、
前記突出部の一端をチェーン駆動方向の上流側に、他端を前記カム室に設けた前記オイル落とし穴の側に位置させたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明のシリンダヘッド構造は、
少なくとも前記突出部は前記一端側から前記他端側に向け傾斜させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、バッフルプレートの裏面にチェーン上流側からヘッドカバーのオイル落とし穴まで突出部(リブ)を設けたので、バッフルプレート裏に付着したオイルは、エンジンの振動および重力で突出部を伝って、カム室内側に向かって流れ、オイル落とし穴を通って、オイルパンに戻る。従って、チェーンがはねあげたオイルが駆動中のチェーンにあたり、ミスト状になってブローバイガス等と共に還流されることで生じるオイル消費を回避することができる。すなわち、オイル消費量が低減すると言う効果を奏する。
【0016】
また、バッフルプレートの裏面に飛散したオイルは再度チェーンに滴下しないので、オイル泡立ちによるオイル劣化も低減する。また、突出部を形成することでバッフルプレートの補強が可能となる。
【0017】
また、突出部は、チェーン側からオイル落とし穴に向かって傾斜を与えるようにすると、エンジン振動と重力によってオイルをオイル落とし穴に導き易くなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のシリンダヘッド構造を示す斜視図である。
図2】本発明のシリンダヘッド構造を示す断面図である。
図3】本発明のシリンダヘッド構造を示す平面図である。
図4】本発明のバッフルプレートの側面図である。
図5】従来のシリンダヘッドの構造を示す図である。
図6】従来の他のシリンダヘッドの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明を説明する。なお、以下の説明は本発明の一実施形態を例示するものであり、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、下記の実施形態を変形してもよい。
【0020】
図1は、本発明のシリンダヘッド構造の斜視図を示す。本発明のシリンダヘッド構造では、シリンダヘッド10とバッフルプレート12からなる。図1(a)はシリンダヘッド10を図1(b)はバッフルプレート12を示す。なお、図1(b)では、バッフルプレート12は裏向けに示した。
【0021】
図1(a)を参照して、シリンダヘッド10には、カムシャフト14、15を駆動するためのチェーン23と係合するスプロケット20、21が配置されている。スプロケット20、21が配設されている部分をチェーンケース22、カムシャフト14に固定されたカム16が配置されている部分をカム室24と呼ぶ。
【0022】
カム室24には、点火プラグを挿設するための点火プラグ用穴26a乃至26cが形成されている。なお、本実施の形態では気筒数(点火プラグの数)は3本の場合について説明するが、気筒数は3本に限定さいれるものではない。また、カム室24には、オイル落とし穴28a、28bが形成されている。オイル落とし穴28a、28bは、オイルパン(図示せず)まで連通しており、オイルをオイルパンに返す。なお、オイル落とし穴は2つ示したが、2つに限定されるものではなく、他にもあってよい。
【0023】
図1(b)を参照して、バッフルプレート12は、チェーンケース22の上部に当たる部分とカム室24の上部に当たる部分で高さの違う平面が連続して形成されている。スプロケット20、21は、シリンダヘッド10の上部結合面10fより高くなるからである。チェーンケース22の上部に当たる面を上部面32、カム室24の上部に当たる面を下部面34と呼ぶ。上部面32と下部面34を連結する面を連結面33と呼ぶ。連結面33は傾斜面であってもよいし、垂直面であってもよい。
【0024】
図2には、シリンダヘッド10にバッフルプレート12と、その上部にロッカーカバー9を装着した時の側面断面を示す。ロッカーカバー9の内面には、ブローバイガス室8を形成するための仕切壁9aが下方に延設されている。バッフルプレート12の上部面32と、仕切壁9aによってブローバイガス室8が形成される。ブローバイガス室8は、主としてチェーンケース22を経路として上昇してきたブローバイガス8gを蓄積し、オイル落としを行った後、還流口9bから吸気側(図示せず)に送りだす(還流する)。
【0025】
したがって、チェーンケース22とカム室24が明確に分かれている構造では、チェーン23に再滴下したオイルがミスト化すると、ブローバイガス8gと共に吸気側に送られ消費されることとなる。本発明ではチェーン23がはねあげたオイルは、オイル落とし穴28a、28bを通じてクランク室に返されるので、オイルを消費されない。なお、ブローバイガス室8ではブローバイガス8gのオイル落としが行われるので、上部面32にはオイル落とし穴が形成されていてもよい。
【0026】
図1を再び参照して、バッフルプレート12の裏面12bには、突出部36が形成される。突出部36は、上部面32から連結面33を経由して下部面34まで形成されている。チェーン23がはねあげたオイルをオイル落とし穴28a、28bまで導くためである。
【0027】
図3には、シリンダヘッド構造1の平面図を示す。これはバッフルプレート12をシリンダヘッド10に覆設した状態を示す。なお、説明および図面の視認性を高めるため、バッフルプレート12の裏面に形成された突出部36は太い点線で表す。
【0028】
図3(a)を参照して、スプロケット20はチェーン23の入り側であり、クランク室(図示せず)から上昇してきたチェーン23と係合するスプロケットである。スプロケット21は、チェーン23の出側であり、チェーン23はクランク室に戻る。従って、チェーン23が水平に走行する部分では、矢印23gの方向にチェーン23は走行する。これはチェーン23の駆動方向と呼ぶ。
【0029】
突出部36の一端36sは、スプロケット21より上流側つまり、(チェーン駆動の上流側)に配設する。特に望ましくはスプロケット20とスプロケット21の間に一端36sを配設するのが望ましい。スプロケット20はチェーン23の入り側であり、スプロケット20とスプロケット21の間からスプロケット20の回転軸20rの上部までにオイルは多く飛散するからである。
【0030】
また、突出部36の一端36sは、スプロケット20、21の外面20aおよび21aより、外側(カム室24と反対側)から設けられるのが好ましい。少なくともチェーン23に沿った線上にオイルは飛散するからである。つまり、突出部36の一端36sがスプロケット20、21の外面20aおよび21aより、内側(カム室24に近い側)から形成されていると、飛散するオイルであって、チェーン23上に戻るオイルが出てくるからである。
【0031】
再び図1(b)を参照して、バッフルプレート12は、チェーンケース22とカム室24を仕切るための仕切部12cが下部面34の裏面(カム室24側)に形成されている。突出部36は、この仕切部12cを超えて、カム室24側のオイル落とし穴28a、28bまで延設されなければならない。飛散したオイルをオイルパンに返すためである。
【0032】
そこで、突出部36は仕切部12cを乗り越える越境部38を有する。越境部38は、突出部36のオイル輸送を妨げることがなければ、特に限定されない。
【0033】
再び図3を参照して図3(c)は、バッフルプレート12のA−A断面(図3(b)に指示)を矢印39の方向から見た図である。仕切部12cは、チェーンケース22とカム室24を仕切るための仕切板が形成されていて、仕切板には、カムシャフト14、15が通るアーチ状の凹12d、12eが形成されている。
【0034】
越境部38は仕切部12cに形成された切欠き12hであり、突出部36の側面36mが切欠き12hの内面に触れないように形成されている。越境部38は、突出部36が、チェーンケース22とカム室24を跨ぐために設けられているといってもよい。
【0035】
突出部36の輸送するオイルに触れないようにするためである。なお、越境部38の構造は特にこの形状に限定されるものではない。また、チェーンケース22とカム室24の境界を上部面32と下部面34の段差だけで仕切る場合で、仕切板を用いない場合は、上記のような構造は用いなくてよい。
【0036】
図3(a)を参照して、突出部36は越境部38を超えてカム室24に入り、他端36tは、オイル落とし穴28a若しくは28bの上側まで延設する。オイル落とし穴28a、28bにオイルを導くためである。図3(a)では、突出部36がオイル落とし穴28bまで延設されている状態を示す。
【0037】
しかし、突出部36の他端36tは、オイル落とし穴28a若しくは28bの真上でなくてもよい。カム室24には潤滑用のオイルが多量に供給されており、それらのオイルは全てオイル落とし穴でオイルパンに帰るようになっているからである。従って、突出部36の他端36tは、少なくともカム室24内であって、他端36tから滴下したオイルが、オイル落とし穴28まで通じる箇所まで延設されることが必要である。
【0038】
このようにオイル落とし穴に流れる溝や傾斜が施してあるカム室24内の位置を「オイル落とし穴側の位置」と呼ぶ。図3(b)では、一例としてオイル落とし穴28aの近傍に形成されたオイル流し溝28cの一部まで突出部36の他端36tが延設されていることを示す。このような他端36tの位置は「オイル落とし穴側の位置」に含まれる。
【0039】
図3(a)、(b)には、2箇所のオイル落とし穴28a、28bへ、オイルを落とす場合を例示した。突出部36の他端36tは、いずれかの方向に延設されていればよい。これは例えば、エンジンが搭載される際に、傾斜が与えられる方向など、突出部36を伝って流れるオイルの流れやすい方を選択すればよい。
【0040】
また、図3(b)に示すようにオイル落とし穴28aの周囲に、オイル落とし穴28bに繋がるオイル流し溝28cが形成してある場合は、そのオイル流し溝28cの上部まで突出部36の他端36tが延設されていればよい。つまり、突出部36の他端36tは、「オイル落とし穴側の位置」まで延設されていればよい。
【0041】
図4には、バッフルプレート12の側面図を示す。図4(a)を参照して、突出部36は、バッフルプレート12の裏面12b側に突設されている、所謂リブである。幅は特に限定されるものではないが、1乃至2mm程度が好適である。厚すぎるとバッフルプレート12自体が不必要に重くなるからである。裏面12bからの高さ36hも特に限定されるものではなく、チェーンケース22およびカム室24に配設された他の部品と干渉しないように適宜決められる。
【0042】
特に、上部面32の裏面に配置される突出部36の一端36s付近はすぐ下方に高速に走行するチェーン23が配置されているので、チェーン23の動き幅に干渉しない程度であって、できるだけチェーン23に接近した高さ36hであるのが好ましい。チェーン23から飛散するオイルを捕獲するためである。
【0043】
図4(b)を参照して、突出部36は一端36sから他端36tにかけて、全体に傾斜を持たせるのが好適である。ここで、全体に傾斜を与えるというのは、突出部36の一端36sから他端36tに至るまで、どの点を見ても、傾斜を有することをいう。このようにすれば、一端36s付近で突出部36に付着したオイルは突出部36の下端36fに沿って、他端36tまでスムーズに流れることができるからである。また、図4(c)に示すように、連結面33が垂直面であっても、突出部36は全体に渡って傾斜を与えることができる。
【0044】
なお、突出部36の傾斜は全体に渡って与えるのが好適であるが、上部面32若しくは下部面34については、傾斜を与えない部分があってもよい。上部面32ではオイルの飛沫が多いので連結面33側にオイルは流れるし、また下部面34では、カム室24までオイルが来さえすれば、滴下する箇所はあまり問わないからである。
【0045】
図4(d)には、突出部36の他端36tに尾部36eを付けた場合を示す。尾部36eは、シリンダヘッド10のオイルが流れる近傍まで延びた延設部である。シリンダヘッド10内では、エンジンが始動すると多量のオイルが供給され、シリンダヘッドの縁周縁にはオイルの流れができる。そのオイルの流れの液面まで突出部36の尾部36eが延設されていると、流れるオイルは滴下する必要なく、シリンダヘッド10のオイル落とし穴28に導かれる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のシリンダヘッド構造は、内燃機関のシリンダヘッドに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 シリンダヘッド構造
8 ブローバイガス室
8g ブローバイガス
9 ロッカーカバー
9a 仕切壁
9b 還流口
10 シリンダヘッド
12 バッフルプレート
12b バッフルプレート裏面
12c 仕切部
14、15 カムシャフト
16 カム
20、21 スプロケット
22 チェーンケース
23 チェーン
24 カム室
26a、26b、26c 点火プラグ用穴
28、28a、28b オイル落とし穴
28c オイル流し溝
32 上部面
33 連結面
34 下部面
36 突出部
36s (突出部の)一端
36t (突出部の)他端
36f (突出部の)下端
36e (突出部の他端の)尾部
38 越境部
図1
図2
図3
図4
図5
図6