(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記応力緩和部は、前記本体部より狭い幅を備え、前記本体部に対してほぼ直交するように前方に向けて延出した後、曲げられて、その先端が後方に向っている請求項4に記載の多極コネクタ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の実施の形態における第1コネクタの斜視図、
図2は本発明の実施の形態における第1コネクタの第1の二面図、
図3は本発明の実施の形態における第1コネクタの第2の二面図である。なお、
図2において、(a)は上面図、(b)は第1の側面図であり、
図3において、(a)は第2の側面図、(b)は下面図である。
【0019】
図において、10は本実施の形態における一対の多極コネクタの一方としての第1コネクタであり、図示されない第1基板の表面に実装される表面実装型のコネクタである。そして、前記第1コネクタ10は、相手方コネクタである後述される第2コネクタ101に嵌(かん)合される。なお、該第2コネクタ101は、本実施の形態における一対の多極コネクタの他方としての第2コネクタであり、図示されない第2基板の表面に実装される表面実装型のコネクタである。本実施の形態における多極コネクタは、前記第1コネクタ10及び第2コネクタ101を含み、一対の回路基板としての第1基板及び第2基板を電気的に接続する。なお、前記第1基板及び第2基板は、例えば、電子機器等に使用されるプリント回路基板、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)、フレキシブル回路基板(FPC:Flexible Printed Circuit)等であるが、いかなる種類の基板であってもよい。
【0020】
また、本実施の形態において、多極コネクタの各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記多極コネクタの各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0021】
この場合、前記第1コネクタ10は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成されたハウジングとしての第1ハウジング11を有する。該第1ハウジング11は、
図1〜3に示されるように、概略長方形の厚板状の形状を備え、第2コネクタ101が嵌入される側、すなわち、嵌合面側(
図1における上側)には、底面が底板部16の上面16aによって画定され、周囲が側壁部14によって囲まれた概略長方形の凹部12が形成されている。
【0022】
なお、前記第1コネクタ10は、典型的には、極数が百以上乃至千以上の多極コネクタであり、平面形状が細長いものとなるので、
図1〜3には、説明の都合上、長手方向(
図1における右上と左下を結ぶ方向、
図2(a)における上下方向、
図3(b)における左右方向)における中心部分を切断して除去した状態が示されている。
【0023】
そして、前記凹部12内には、複数の凸条部13が前記第1ハウジング11と一体的に形成されている。この場合、前記凸条部13は、底板部16の上面16aから上方に向けて突出し、第1ハウジング11の長手方向に延在する。これにより、前記凸条部13の両側には、第1ハウジング11の長手方向に延在する細長い溝部12aが形成される。なお、図示される例において、前記凸条部13は5本であるが、その数は、単数であっても複数であってもよく、いくつであってもよい。
【0024】
ここで、前記凸条部13の両側の側壁には、端子としての第1端子61を収容する端子収容キャビティとしての第1端子収容キャビティ15が形成されている。該第1端子収容キャビティ15は、各凸条部13の両側の側壁の各々に、例えば、約1〔mm〕のピッチで複数個形成されている。そして、第1端子収容キャビティ15の各々に第1端子61が1個ずつ収容される。なお、前記第1端子収容キャビティ15及び第1端子61のピッチ及び数は適宜設定することができる。
【0025】
また、前記第1ハウジング11の長手方向両端には第1嵌合ガイド部としての第1膨出部14aが配設されている。該第1膨出部14aは、側壁部14の一部が外方へ膨出するような形状を備える。なお、図に示される例では、第1ハウジング11の長手方向の一端に1つ、他端に2つ形成されているが、第1膨出部14aの数及び配置は、適宜設定することができる。そして、前記第1膨出部14aには、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が嵌合された状態において、該第2コネクタ101が備える後述される第2膨出部114aが挿入される。
【0026】
さらに、前記第1ハウジング11の底板部16の下面16bにおける周囲部の複数箇所には、下方に向けて突出する第1ハウジング脚17が形成されている。該第1ハウジング脚17は、その下面が第1基板の表面に当接し、これにより、第1基板の表面と底板部16の下面16bとの間に所定の距離を維持するスペーサとして機能する。
【0027】
また、前記第1端子収容キャビティ15は、凸条部13の上面から底板部16の下面16bにまで連通するように形成され、前記底板部16の下面16bからは、
図2及び3に示されるように、第1端子61のテール部62が下方に延出した状態となっている。各第1端子61のテール部62は、いわゆるソルダーテールであって、第1基板上の導電トレースに連結された端子接続パッドにはんだ付等によって接続される。
【0028】
次に、前記第1端子61の構成について説明する。
【0029】
図4は本発明の実施の形態における第1端子の斜視図である。なお、図において、(a)は左上方から観た前方斜視図、(b)は右上方から観た後方斜視図、(c)は左下方から観た前方斜視図、(d)は右下方から観た後方斜視図である。
【0030】
図に示されるように、第1端子61は、テール部62、本体部63、被保持部64及び接触部65を備え、導電性の金属板を打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成されている。
【0031】
ここで、前記本体部63は、概略矩(く)形の平板状の部分である。また、前記接触部65は、相手方端子である後述される第2端子161と接触する部分であり、本体部63と同程度の幅を備え、本体部63の上端に接続された湾曲部65aと、該湾曲部65aの上端に接続された基部65bと、該基部65bの上端に接続され、分離スリット65cによって左右に分離された接触腕部65dと、該接触腕部65dの途中を屈曲することにより形成された接触凸部65eと、前記接触腕部65dの上端部であって前記接触凸部65eよりも先端側に位置する先端部65fとを含んでいる。
【0032】
そして、前記湾曲部65aは、緩やかなS字状の側面を備え、本体部63から緩やかな傾斜角度で前方斜め上に向けて延出する。また、前記基部65bは、湾曲部65aよりやや広い幅を備えた平板状の部分であり、本体部63に対して緩やかな傾斜角度で前方斜め上に向けて延出し、弾性的に変形可能であり、ばねとして機能する。さらに、前記接触腕部65dも、本体部63に対して緩やかな傾斜角度で前方斜め上に向けて延出し、弾性的に変形可能であり、ばねとして機能する。なお、前記接触腕部65dは、基部65bと同程度の幅を備える細長い板状の部分であるが、先端から長手方向に延在するように形成された分離スリット65cによって左右に分離されている。これにより、左右の接触腕部65dが各々独立に弾性的に変形可能となり、第2端子161との相対的位置関係が変化した場合であっても、第2端子161との接触を確実に維持することができる。また、先端部65fは、接触凸部65eから後方斜め上に向けて延出するので、その先端が接触凸部65eよりも後方に位置する。これにより、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが嵌合される際に、第2端子161との接触がスムーズに行われる。
【0033】
また、前記テール部62は、本体部63の下端に接続された応力緩和部62aと、該応力緩和部62aの下端に接続された接続部62bとを含んでいる。前記応力緩和部62aは、本体部63より狭い幅を備えた細長い部分であり、略U字状又はJ字状の側面形状を備え、本体部63の下端に曲げて接続され、本体部63に対してほぼ直交するように前方に向けて延出した後、ほぼ180度曲げられて、その先端が後方に向っている。また、前記接続部62bは、円板状の部分であり、前記応力緩和部62aの下端、すなわち、先端に接続され、本体部63に対して、ほぼ直交する方向に延在する。
【0034】
前記接続部62bは、その下面が第1基板上の端子接続パッドの上面に対向した状態で、はんだ付等によって前記端子接続パッドに接続される部分であるが、円板状の形状を備え、かつ、応力緩和部62aが柔軟に変形可能なので、第1端子61の本体部63と前記端子接続パッドとの相対的位置関係が変化した場合であっても、はんだへの応力の集中を回避することができ、はんだにクラックが生じたり、前記端子接続パッドから分離したりしてしまうことがない。また、応力緩和部62aを通っての接続部62bから本体部63までの距離が長くなるので、はんだ上がり、フラックス上がり等の現象を防止することができる。
【0035】
さらに、前記被保持部64は、本体部63と面一となるように形成された平板状の部分であり、本体部63の両側端から幅方向外方に向けて各々延出する。そして、各被保持部64は、その上端から上方に向けて延出する上方延出部64aと、その下端から下方に向けて延出する下方延出部64bとを含んでいる。前記上方延出部64aは、その上端が本体部63の上端よりも上方に位置し、前記下方延出部64bは、その下端が本体部63の下端よりも下方に位置する。したがって、上方延出部64aの上端から下方延出部64bの下端までの距離、つまり、被保持部64の上下方向の寸法は、本体部63の上端から下端までの距離、つまり、本体部63の上下方向の寸法よりも大きい。
【0036】
そして、各被保持部64の側端縁には、外方に向けて突出する突起状のアンカー部64cと、上下方向に延在する平滑なスタビライザ部64dとが形成されている。具体的には、被保持部64の上部の側端縁にはアンカー部64cが形成され、被保持部64の下部の側端縁にはスタビライザ部64dが形成されている。本実施の形態において、第1端子61は第1端子収容キャビティ15内に圧入されて収容されるが、前記アンカー部64cは、第1端子収容キャビティ15の後述される保持側壁15dに食込む部分であり、前記スタビライザ部64dは保持側壁15dに当接する部分である。そして、本実施の形態においては、被保持部64の上下方向の寸法が大きく、少なくとも本体部63の上下方向の寸法よりも大きいので、アンカー部64cとスタビライザ部64dとの間隔を大きくすることができ、その結果、第1端子収容キャビティ15内における第1端子61の姿勢が安定する。なお、前記アンカー部64c及びスタビライザ部64dの位置は、適宜変更することができ、例えば、アンカー部64cを図に示される例よりも上方に形成し、スタビライザ部64dを図に示される例よりも下方に形成することもできる。
【0037】
次に、前記第1ハウジング11に装填(てん)された状態の第1端子61を説明する。
【0038】
図5は本発明の実施の形態における第1端子と第1端子収容キャビティとの関係を説明する図である。なお、図において、(a)は第1端子収容キャビティの正面図、(b)は第1端子収容キャビティの側断面図、(c)は第1端子を収容した第1端子収容キャビティの正面図、(d)は第1端子を収容した第1端子収容キャビティの側断面図である。
【0039】
なお、図においては、説明の都合上、第1ハウジング11における一つの第1端子収容キャビティ15とその周囲の部分のみが描画されており、その他の部分の図示が省略されている。
【0040】
図に示されるように、第1端子収容キャビティ15は、上下方向に延在する幅の狭い溝状の空間である幅狭部15aと、該幅狭部15aの下端に接続され、幅狭部15aよりも幅が広く、上下に延在する空間である幅広部15bと、該幅広部15bとほぼ同一の幅を備え、底板部16をその上面16aから下面16bまで貫通する底板貫通部15cとを含んでいる。なお、前記幅狭部15aと幅広部15bの上側の部分とは凸条部13の側壁に凹入するように形成され、前記底板貫通部15cと幅広部15bの下側の部分とは一体化されて、底板部16を上下に貫通するように形成されている。
【0041】
そして、第1端子61は、第1ハウジング11の下方から、すなわち、底板部16の下面16bの側から、第1端子収容キャビティ15内に圧入される。具体的には、
図5(c)及び(d)に示されるように、本体部63の後面(テール部62が延出する方向と反対側の面)が、第1端子収容キャビティ15の背面15eに当接するような姿勢で、第1端子61は第1端子収容キャビティ15内に圧入されて収容される。この場合、幅広部15bの両側に形成された保持側壁15d同士の間隔よりも、第1端子61の左右のアンカー部64cの先端同士の間隔のほうが広くなるように設定されているので、アンカー部64cが保持側壁15dに食込んで掛止される。これにより、被保持部64が幅広部15bの保持側壁15dによって保持された状態となり、第1端子61は第1端子収容キャビティ15内に収容されて保持される。
【0042】
また、左右のスタビライザ部64d同士の間隔も、アンカー部64cの先端同士の間隔とほぼ同様に設定されているので、スタビライザ部64dが保持側壁15dに当接して押付けられる。そのため、被保持部64は、上下方向の広い範囲に亘(わた)って幅広部15bの保持側壁15dによって挟み込まれて保持された状態となり、第1端子61は第1端子収容キャビティ15内における保持が確実となり、第1端子61が第1端子収容キャビティ15から外れることが防止される。また、被保持部64の上部にアンカー部64cが形成され、被保持部64の下部にスタビライザ部64dが形成されているので、上下方向に関して、アンカー部64cとスタビライザ部64dとの間隔が大きいため、被保持部64は、上下方向の非常に広い範囲に亘って幅広部15bの保持側壁15dによって保持された状態となり、姿勢が安定する。そのため、第1端子61は、第1端子収容キャビティ15に対して、
図5(c)における左右方向に傾斜することがない。
【0043】
なお、第1端子61の第1端子収容キャビティ15内への収容が完了した状態では、接触部65の基部65b及び接触腕部65d、すなわち、接触部65の少なくとも上部は、幅狭部15a内に収容され、接触部65の湾曲部65a、本体部63及び被保持部64は幅広部15b内に収容される。もっとも、前述のように、接触部65の湾曲部65a及び基部65bは、本体部63に対して緩やかな傾斜角度で前方斜め上に向けて延出するので、側方から観ると、
図5(d)に示されるように、第1端子収容キャビティ15の背面15eから離間し、凸条部13の側壁に近付いている。そして、接触腕部65dは、本体部63に対して緩やかな傾斜角度で前方斜め上に向けて基部65bの上端から延出するので、接触凸部65eの周囲の部分は、背面15eから離間して幅狭部15aの外方へ突出している。つまり、凸条部13の側壁の外側に突出している。さらに、基部65b及び接触腕部65dの幅は、幅狭部15aの幅よりも狭くなっている。そのため、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが嵌合される際に、第2端子161と当接して該第2端子161によって押圧されても、幅狭部15aが後方に弾性的に変位することができるので、第2端子161との接触を確実に維持することができる。
【0044】
なお、先端部65fの先端は、接触凸部65eよりも背面15e寄りに位置し、幅狭部15aの内方に留まり、凸条部13の側壁の外側に出ていない。そのため、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが嵌合される際に、第2コネクタ101の部材が先端部65fの先端に引っ掛かってしまうことがない。また、異物の当接等の原因によって接触凸部65eが幅方向(
図5(c)における左右方向)の力を受けても、接触腕部65dが幅方向に変位して隣接する第1端子61の接触腕部65dと接触したり、対応する第2端子161に隣接する第2端子161と接触したりして、短絡が発生することがない。
【0045】
そして、テール部62の接続部62bは、底板貫通部15cよりも下方に位置し、底板部16の下面16bから下方に突出している。つまり、前記接続部62bは、第1端子収容キャビティ15の下端より下方に突出している。また、応力緩和部62aは、本体部63の下端から前方に向けて延出しているが、その前端部は、底板貫通部15c内に位置し、該底板貫通部15cにおける背面15eと反対側の面に当接しない。さらに、応力緩和部62aの幅は、幅広部15b及び底板貫通部15cの幅よりも十分に狭いので、幅広部15b及び底板貫通部15cの側面に当接することもない。したがって、第1端子61の本体部63と、はんだ付等によって接続部62bが接続されている第1基板上の端子接続パッドとの相対的位置関係が変化した場合であっても、応力緩和部62aが幅広部15b及び底板貫通部15cの面と干渉することがなく、柔軟に変形可能なので、はんだにクラックが生じたり、前記端子接続パッドから分離したりしてしまうことがない。
【0046】
次に、第2コネクタ101について説明する。
【0047】
図6は本発明の実施の形態における第2コネクタの斜視図、
図7は本発明の実施の形態における第2コネクタの第1の二面図、
図8は本発明の実施の形態における第2コネクタの第2の二面図である。なお、
図7において、(a)は上面図、(b)は第1の側面図であり、
図8において、(a)は第2の側面図、(b)は下面図である。
【0048】
前記第2コネクタ101は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成されたハウジングとしての第2ハウジング111を有する。該第2ハウジング111は、
図6〜8に示されるように、概略長方形の厚板状の形状を備え、第1コネクタ10が嵌入される側、すなわち、嵌合面側(
図6における上側)には、複数の凹条部113が形成されている。この場合、該凹条部113は、上面から下方に向けて凹入し、底面が底板部116の上面116aによって画定され、第2ハウジング111の長手方向に延在する。これにより、前記凹条部113の両側には、第2ハウジング111の長手方向に延在する細長い峰部112が形成される。なお、該峰部112には、複数個の凹部112aが形成されているが、該凹部112aは適宜省略することもできる。そして、図に示される例において、前記凹条部113は5本であるが、その数は、単数であっても複数であってもよく、いくつであってもよい。
【0049】
なお、第2コネクタ101は、前記第1コネクタ10と同様に、典型的には、極数が百以上乃至千以上の多極コネクタであり、平面形状が細長いものとなるので、
図6〜8には、説明の都合上、長手方向(
図6における右上と左下を結ぶ方向、
図7(a)における上下方向、
図8(b)における左右方向)における中心部分を切断して除去した状態が示されている。
【0050】
ここで、前記凹条部113の両側の側壁、すなわち、峰部112の側壁には、端子としての第2端子161を収容する端子収容キャビティとしての第2端子収容キャビティ115が形成されている。該第2端子収容キャビティ115は、各凹条部113の各側壁に、すなわち、峰部112の各側壁に、例えば、約1〔mm〕のピッチで複数個形成されている。そして、第2端子収容キャビティ115の各々に第2端子161が1個ずつ収容される。なお、前記第2端子収容キャビティ115及び第2端子161のピッチ及び数は適宜設定することができる。
【0051】
また、前記第2ハウジング111の長手方向両端には第2嵌合ガイド部としての第2膨出部114aが配設されている。該第2膨出部114aは、側壁部114の一部が外方へ膨出するような形状を備える。なお、図に示される例では、第2ハウジング111の長手方向の一端に1つ、他端に2つ形成されているが、第2膨出部114aの数及び配置は、適宜設定することができる。そして、前記第2膨出部114aは、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が嵌合された状態において、第1コネクタ10が備える第1膨出部14a内に挿入される。
【0052】
さらに、前記第2ハウジング111の底板部116の下面116bにおける周囲部の複数箇所には、下方に向けて突出する第2ハウジング脚117が形成されている。該第2ハウジング脚117は、その下面が第2基板の表面に当接し、これにより、第2基板の表面と底板部116の下面116bとの間に所定の距離を維持するスペーサとして機能する。
【0053】
また、前記第2端子収容キャビティ115は、凹条部113の側面から底板部116の下面116bにまで連通するように形成され、前記底板部116の下面116bからは、
図7及び8に示されるように、第2端子161のテール部162が下方に延出した状態となっている。各第2端子161のテール部162は、いわゆるソルダーテールであって、第2基板上の導電トレースに連結された端子接続パッドにはんだ付等によって接続される。
【0054】
次に、前記第2端子161の構成について説明する。
【0055】
図9は本発明の実施の形態における第2端子の斜視図である。なお、図において、(a)は左上方から観た前方斜視図、(b)は右上方から観た後方斜視図、(c)は左下方から観た前方斜視図、(d)は右下方から観た後方斜視図である。
【0056】
図に示されるように、第2端子161は、テール部162、本体部163、被保持部164及び接触部165を備え、導電性の金属板を打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成されている。
【0057】
ここで、前記本体部163は、概略矩形の平板状の部分である。また、前記接触部165は、相手方端子である第1端子61と接触する部分であり、本体部163と同程度の幅を備え、本体部163の上端に接続された湾曲部165aと、該湾曲部165aの上端に接続された湾曲部165aより幅の広い接触腕部165bとを含んでいる。
【0058】
そして、前記湾曲部165aは、S字状又はクランク状の側面を備え、本体部163の上端に曲げて接続され、本体部163に対してほぼ直交するように前方に向けて延出した後、接触腕部165bの下端に曲げて接続されている。また、前記接触腕部165bは、矩形の平板状の部分であり、本体部163と平行に上下方向に延在する。
【0059】
また、前記テール部162は、本体部163の下端に接続された応力緩和部162aと、該応力緩和部162aの下端に接続された接続部162bとを含んでいる。なお、前記テール部162並びに該テール部162が含む応力緩和部162a及び接続部162bの構成は、前記第1端子61のテール部62並びに該テール部62が含む応力緩和部62a及び接続部62bの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0060】
さらに、前記被保持部164は、本体部163と面一となるように形成された平板状の部分であり、本体部163の両側端から幅方向外方に向けて各々延出する。そして、各被保持部164は、その上端から上方に向けて延出する上方延出部164aと、その下端から下方に向けて延出する下方延出部164bとを含んでいる。そして、各被保持部164の側端縁には、外方に向けて突出する突起状のアンカー部164cと、上下方向に延在する平滑なスタビライザ部164dとが形成されている。なお、前記被保持部164並びに該被保持部164が含む上方延出部164a、下方延出部164b、アンカー部164c及びスタビライザ部164dの構成は、前記第1端子61の被保持部64並びに該被保持部64が含む上方延出部64a、下方延出部64b、アンカー部64c及びスタビライザ部64dの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0061】
次に、前記第2ハウジング111に装填された状態の第2端子161を説明する。
【0062】
図10は本発明の実施の形態における第2端子と第2端子収容キャビティとの関係を説明する図である。なお、図において、(a)は第2端子収容キャビティの正面図、(b)は第2端子収容キャビティの側断面図、(c)は第2端子を収容した第2端子収容キャビティの正面図、(d)は第2端子を収容した第2端子収容キャビティの側断面図である。
【0063】
なお、図においては、説明の都合上、第2ハウジング111における一つの第2端子収容キャビティ115とその周囲の部分のみが描画されており、その他の部分の図示が省略されている。
【0064】
図に示されるように、第2端子収容キャビティ115は、上下方向に延在する幅の狭い溝状の空間である幅狭部115aと、該幅狭部115aの下端に接続され、幅狭部115aよりも幅が広く、上下に延在する空間である幅広部115bと、該幅広部115bとほぼ同一の幅を備え、底板部116をその上面116aから下面116bまで貫通する底板貫通部115cとを含んでいる。なお、前記幅狭部115aと幅広部115bの上側の部分とは峰部112の側壁に凹入するように形成され、前記底板貫通部115cと幅広部115bの下側の部分とは一体化されて、底板部116を上下に貫通するように形成されている。
【0065】
ところで、前記第1端子収容キャビティ15が底板部16の下面16bから凸条部13の上面にまで連通するように形成されているのに対して、第2端子収容キャビティ115は、峰部112の上面にまでは連通していない。そのため、第2端子収容キャビティ115の上端、すなわち、幅狭部115aの上端は、峰部112の側壁上端部112bによって画定されている。また、前記第1端子収容キャビティ15の背面15eが上端から下端までほぼ平坦(たん)な面であるのに対して、第2端子収容キャビティ115の背面115eには段差が存在し、幅狭部115aの背面である上側背面115e1と幅広部115bの背面である下側背面115e2とに大別される。上側背面115e1及び下側背面115e2は互いに平行であるが、幅狭部115aが幅広部115bよりも浅く形成されているので、上側背面115e1は下側背面115e2よりも前方(
図10(b)における左方)、すなわち、峰部112の側壁面により近接した位置にある。
【0066】
そして、第2端子161は、第2ハウジング111の下方から、すなわち、底板部116の下面116bの側から、第2端子収容キャビティ115内に圧入される。具体的には、
図10(c)及び(d)に示されるように、本体部163の後面(テール部162が延出する方向と反対側の面)が、第2端子収容キャビティ115の下側背面115e2に当接するような姿勢で、第2端子161は第2端子収容キャビティ115内に圧入されて収容される。この場合、幅広部115bの両側に形成された保持側壁115d同士の間隔よりも、第2端子161の左右のアンカー部164cの先端同士の間隔のほうが広くなるように設定されているので、アンカー部164cが保持側壁115dに食込んで掛止される。これにより、被保持部164が幅広部115bの保持側壁115dによって保持された状態となり、第2端子161は第2端子収容キャビティ115内に収容されて保持される。
【0067】
また、左右のスタビライザ部164d同士の間隔も、アンカー部164cの先端同士の間隔とほぼ同様に設定されているので、スタビライザ部164dが保持側壁115dに当接して押付けられる。そのため、被保持部164は、上下方向の広い範囲に亘って幅広部115bの保持側壁115dによって挟み込まれて保持された状態となり、第2端子161は第2端子収容キャビティ115内における保持が確実となり、第2端子161が第2端子収容キャビティ115から外れることが防止される。また、被保持部164の上部にアンカー部164cが形成され、被保持部164の下部にスタビライザ部164dが形成されているので、上下方向に関して、アンカー部164cとスタビライザ部164dとの間隔が大きいため、被保持部164は、上下方向の非常に広い範囲に亘って幅広部115bの保持側壁115dによって保持された状態となり、姿勢が安定する。そのため、第2端子161は、第2端子収容キャビティ115に対して、
図10(c)における左右方向に傾斜することがない。
【0068】
なお、第2端子161の第2端子収容キャビティ115内への収容が完了した状態では、接触部165の接触腕部165b、すなわち、接触部165の少なくとも上部は、幅狭部115a内に収容され、接触部165の湾曲部165a、本体部163及び被保持部164は幅広部115b内に収容される。そして、湾曲部165aが本体部163から前方に向けて延出するので、本体部163と平行に延在する接触腕部165bは、
図10(d)に示されるように、上側背面115e1に近接又は当接する。そして、接触腕部165bの前面は、峰部112の側壁上端部112bとほぼ面一となるか、又は、側壁上端部112bよりわずかに前方に位置する状態となる。そのため、第1コネクタ10と第2コネクタ101とが嵌合される際に、第1端子61が接触腕部165bの上端、すなわち、先端に引っ掛かってしまうことがない。第1端子61と当接して該第1端子61によって押圧されても、接触腕部165bが後方に変位しないので、第1端子61との接触を確実に維持することができる。
【0069】
そして、テール部162の接続部162bは、底板貫通部115cよりも下方に位置し、底板部116の下面116bから下方に突出している。つまり、前記接続部162bは、第2端子収容キャビティ115の下端より下方に突出している。また、応力緩和部162aは、本体部163の下端から前方に向けて延出しているが、その前端部は、底板貫通部115c内に位置し、該底板貫通部115cにおける下側背面115e2と反対側の面に当接しない。さらに、応力緩和部162aの幅は、幅広部115b及び底板貫通部115cの幅よりも十分に狭いので、幅広部115b及び底板貫通部115cの側面に当接することもない。したがって、第2端子161の本体部163と、はんだ付等によって接続部162bが接続されている第2基板上の端子接続パッドとの相対的位置関係が変化した場合であっても、応力緩和部162aが幅広部115b及び底板貫通部115cの面と干渉することがなく、柔軟に変形可能なので、はんだにクラックが生じたり、前記端子接続パッドから分離したりしてしまうことがない。
【0070】
次に、第1コネクタ10と第2コネクタ101とを嵌合する動作について説明する。
【0071】
図11は本発明の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとを嵌合する動作を説明する図である。なお、図において、(a)は第1コネクタと第2コネクタとを嵌合する前の状態を示す断面図、(b)は第1コネクタと第2コネクタとを嵌合した状態を示す断面図である。
【0072】
ここで、第1コネクタ10は、第1端子61のテール部62の接続部62bが図示されない第1基板上の導電トレースに連結された端子接続パッドにはんだ付等によって接続されることにより、第1基板に表面実装されているものとする。また、第2コネクタ101も、同様に、第2端子161のテール部162の接続部162bが図示されない第2基板上の導電トレースに連結された端子接続パッドにはんだ付等によって接続されることにより、第2基板に表面実装されているものとする。
【0073】
そして、オペレータは、
図11(a)に示されるように、第1コネクタ10の嵌合面と第2コネクタ101の嵌合面とを対向させた状態とし、第1コネクタ10の凸条部13の位置と第2コネクタ101の凹条部113の位置とが合致すると、第1コネクタ10と第2コネクタ101との位置合せが完了する。
【0074】
この状態で、第1コネクタ10及び/又は第2コネクタ101を相手側に接近する方向に移動させ、
図11(b)に示されるように、嵌合させる。そして、第1コネクタ10と第2コネクタ101とが嵌合された状態においては、第1コネクタ10の凸条部13の各々が第2コネクタ101の対応する凹条部113内に挿入され、各第1端子61の接触腕部65dが対応する第2端子161の接触腕部165bに接触し、各第1端子61と各第2端子161とが電気的に導通する。
【0075】
このように、本実施の形態において、一対の多極コネクタとしての第1コネクタ10及び第2コネクタ101は、それぞれ、一体的に形成された第1ハウジング11及び第2ハウジング111と、第1ハウジング11及び第2ハウジング111に取付けられた複数の第1端子61及び第2端子161とを有し、第1端子61及び第2端子161は、第1ハウジング11及び第2ハウジング111の第1端子収容キャビティ15及び第2端子収容キャビティ115内に収容される本体部63及び163と、本体部63及び163の下端に接続され、第1基板及び第2基板に表面実装されるテール部62及び162と、本体部63及び163の上端に接続され、相手方端子と接触する接触部65及び165と、本体部63及び163の両側端に接続され、第1端子収容キャビティ15及び第2端子収容キャビティ115の両側に形成された保持側壁15d及び115dに保持される被保持部64及び164とを含み、被保持部64及び164は、上下方向に延在し、かつ、その上下方向の寸法が本体部63及び163の上下方向の寸法より大きく、被保持部64及び164の上部の側端縁には、保持側壁15d及び115dに食込むアンカー部64c及び164cが形成され、被保持部64及び164の下部の側端縁には、保持側壁15d及び115dに当接するスタビライザ部64d及び164dが形成されている。
【0076】
これにより、被保持部64及び164の上下方向の寸法を大きくすることができ、第1コネクタ10及び第2コネクタ101全体を低背化しても、アンカー部64c及び164cとスタビライザ部64d及び164dとの距離を長くすることができるので、第1端子61及び第2端子161の安定性を維持することができる。したがって、第1ハウジング11及び第2ハウジング111が第1基板及び第2基板に対して熱膨張し、特に長手方向に膨張し、第1基板及び第2基板に表面実装されるテール部62及び162が力を受けた場合でも、第1端子61及び第2端子161の姿勢が崩れることがない。そのため、多極化が可能で、製造並びに第1基板及び第2基板への実装が容易で、信頼性の高い第1コネクタ10及び第2コネクタ101を得ることができる。
【0077】
また、第1端子収容キャビティ15及び第2端子収容キャビティ115は、上下方向に延在する幅狭部15a及び115aと、幅狭部15a及び115aの下端に接続され、幅狭部15a及び115aよりも幅が広く、上下方向に延在する幅広部15b及び115bとを含み、接触部65及び165の少なくとも上部は幅狭部15a及び115a内に収容され、本体部63及び163並びに被保持部64及び164は幅広部15b及び115b内に収容され、本体部63及び163の後面は幅広部15b及び115bにおいて第1端子収容キャビティ15及び第2端子収容キャビティ115の背面15e及び115eに当接し、被保持部64及び164は幅広部15b及び115bにおいて第1端子収容キャビティ15及び第2端子収容キャビティ115の保持側壁15d及び115dに保持される。
【0078】
これにより、左右のアンカー部64c及び164c同士、並びに、スタビライザ部64d及び164d同士の間隔を長くすることができるので、第1端子61及び第2端子161の安定性をより高めることができる。
【0079】
さらに、テール部62及び162は、本体部63及び163の下端に接続された応力緩和部62a及び162aと、応力緩和部62a及び162aの下端に接続された接続部62b及び162bとを含み、接続部62b及び162bは、第1端子収容キャビティ15及び第2端子収容キャビティ115の下端より下方に突出し、第1基板及び第2基板の表面の端子接続パッドに接続される。これにより、接続部62b及び162bは、柔軟に変位することができ、第1端子61及び第2端子161と第1基板及び第2基板の表面の端子接続パッドとの位置関係が変化した場合であっても、接続部62b及び162bと端子接続パッドとの接続を維持することができる。
【0080】
さらに、接続部62b及び162bは、円板状の形状を備え、本体部63及び163の前面よりも前方に位置する。これにより、接続部62b及び162bを端子接続パッドに接続しているはんだ等の接続部材に応力が集中することがなく、接続部材にクラックが生じることがない。
【0081】
さらに、応力緩和部62a及び162aは、本体部63及び163より狭い幅を備え、本体部63及び163に対してほぼ直交するように前方に向けて延出した後、曲げられて、その先端が後方に向っている。これにより、応力緩和部62a及び162aが柔軟に変形することが可能となり、第1端子61及び第2端子161と第1基板及び第2基板の表面の端子接続パッドとの位置関係が変化した場合であっても、本体部63及び163に力が加えられることがない。また、接続部62b及び162bから本体部63及び163までの応力緩和部62a及び162aに沿った距離が長くなるので、はんだ上がり、フラックス上がり等の現象が発生することがない。
【0082】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。