(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5757905
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】グラデーションパターン作成プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 11/80 20060101AFI20150716BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20150716BHJP
B41J 2/52 20060101ALI20150716BHJP
【FI】
G06T11/80 A
G06F3/12
B41J2/52
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-78984(P2012-78984)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-210714(P2013-210714A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2014年10月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】307015301
【氏名又は名称】武藤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067758
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 綾雄
(72)【発明者】
【氏名】阿部 要一
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 智雄
【審査官】
千葉 久博
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−035802(JP,A)
【文献】
特開平07−264392(JP,A)
【文献】
特開平05−323124(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/101904(WO,A1)
【文献】
”EWS−UX ソフトウェア カラー画像処理システム Imageview II 利用の手引 第2版”,日本電気株式会社,1994年11月30日,第2版,p.247-248
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 11/80
B41J 2/52
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータの画面に設定したキャンパスの領域に印刷可能なグラデーションパターンを作成するためのグラデーションパターン作成プログラムであって、
コンピュータを、
グラデーションパターンを作成する領域を規定するキャンパス設定手段、
キャンパス面に縦横の印刷濃度制御線を網目状に表示する縦横印刷濃度制御線生成手段、
選択した縦の印刷濃度制御線の断面イメージを縦断面線として縦断面線表示画面に表示する縦断面線生成手段、
選択した横の印刷濃度制御線の断面イメージを横断面線として横断面線表示画面に表示する横断面線生成手段、
縦横の各断面線を編集するための印刷濃度制御点を縦横各断面線上に表示する印刷濃度制御点生成手段、
印刷濃度制御点の移動に伴って縦横の各断面線の基準ラインに対する高さを変化させる印刷濃度制御点移動手段
として機能させたことを特徴とするグラデーションパターン作成プログラム。
【請求項2】
前記縦横の各断面線の基準ラインに対する高さが対応する縦横印刷濃度制御線に沿ったグラデーションパターンの色の濃淡を規定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載のグラデーションパターン作成プログラム。
【請求項3】
前記印刷濃度制御点は、前記縦横の各断面線上に色の濃淡を指定できる基準点として機能するとともに基準ラインに対して上下方向に移動可能なハンドルを備えていることを特徴とする請求項1に記載のグラデーションパターン作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷可能なグラデーションパターンを作成するためのコンピュータ用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶TV(テレビジョン)などに使用される導光板をインクジェットプリンタにより印刷して作成することが従来知られている。
導光板は透明なアクリル板からなり、このアクリル板に光反射、乱反射用のカラー(白色)のグラデーションパターンを印刷して導光板を作成する。導光板の印刷面に印刷されるグラデーションパターンは、導光板に要求される輝度分布を参照して市販の作図ソフトを使用して作成される。
【発明の概要】
【0003】
望ましい輝度分布が得られるように導光板を作成するには、印刷のためのグラデーションパターンに複雑な色の濃度変化が要求される。そのため市販のソフトウエアを用いて、複雑なグラデーションパターンを作成するのは容易でなかった。
本発明は、複雑なグラデーションパターンを容易に作成できるようにしたグラデーションパターン作成プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明は、コンピュータの画面に設定したキャンパスの領域に印刷可能なグラデーションパターンを作成するためのグラデーションパターン作成プログラムであって、
コンピュータを、
グラデーションパターンを作成する領域を規定するキャンパス設定手段、
キャンパス面に縦横の印刷濃度制御線を網目状に表示する縦横印刷濃度制御線生成手段、
選択した縦の印刷濃度制御線の断面イメージを縦断面線として縦断面線表示画面に表示する縦断面線生成手段、
選択した横の印刷濃度制御線の断面イメージを横断面線として横断面線表示画面に表示する横断面線生成手段、
縦横の各断面線を編集するための印刷濃度制御点を縦横各断面線上に表示する印刷濃度制御点生成手段、
印刷濃度制御点の移動に伴って縦横の各断面線の基準ラインに対応する高さを変化させる印刷濃度制御点移動手段
として機能させたことを特徴とする。
また本発明は、前記縦横の各断面線の基準ラインに対する高さが対応する縦横印刷濃度制御線に沿ったグラデーションパターンの色の濃淡を規定するようにしたことを特徴とする。
また本発明は、前記印刷濃度制御点は、前記縦横の各断面線上に色の濃淡を指定できる基準点として機能するとともに基準ラインに対して上下方向に移動可能なハンドルを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、キャンパスに表示した縦横の各印刷濃度制御線に対応する縦断面線と横断面線をハンドル操作により任意の曲線とすることで簡単に所望の色の濃淡からなるグラデーションパターンを作成することができる。また細かい調整などの作業も容易に行う事ができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に本発明の構成を添付した図面を参照して詳細に説明する。
本発明にかかるプログラムは、グラデーションパターンを作成する領域を指定するキャンパス生成手段2と、印刷濃度制御点色設定ダイアログ4で選択した印刷濃度制御点の濃淡色を表示する印刷濃度制御点色設定手段6と、キャンパス8に縦の印刷濃度制御線10を表示する縦印刷濃度制御線生成手段12と、キャンパス8に横の印刷濃度制御線14を表示する横印刷濃度制御線生成手段16と、縦印刷濃度制御線10の断面線18を表示する縦印刷濃度制御線の断面線生成手段20と、横印刷濃度制御線14の断面線22を表示する横印刷濃度制御線の断面線生成手段24と、キャンパス画面8a及び断面線表示画面34,36で縦横の印刷濃度制御線10,14及び各断面線18,22を編集するための印刷濃度制御点26,50,52を表示する印刷濃度制御点生成手段28と、印刷濃度制御点の移動に伴って縦横の各断面線の基準ラインに対する高さを変化させる印刷濃度制御点移動手段42と、画像補間法に基づき計算するピクセルを限定する画像補間手段30と、データを画像出力可能なデータフォーマットに変換する画像出力対応フォーマット生成手段32と、キャンパス画面8a、断面線表示画面34,36にグリッド38を表示することができるようにしたグリッド表示手段40と、入出力インターフェイス部44と、キャンパス領域をプリンタ印刷する画像印刷手段46と、これらを制御する制御部48とから構成されている。
【0008】
本プログラムは、コンピュータにインストールされて使用される。
次に、コンピュータにインストールされた本プログラムの動作を
図1に示すフローチャートを参照して詳細に説明する。
本プログラムは、色の濃淡からなるグラデーションパターンを作成し画像出力・印刷するツールであり、グラデーションの濃淡の付け方を自在に編集することができるようにしたものである。ここでグラデーションとは、色の濃淡が少しづつ変わっていく様のことであり、グラデーションパターンとは色の濃淡からなる画像印字データのことである。グラデーションパターンにおいて、色の濃度はドットあるいはピクセルの印字密度に対応し、色の濃度は、0%から100%の間で変化させることができる。実際の印字ではプリンタの解像度により印字される場所に関しての指定がされ、その範囲内で0〜100%などの任意の範囲での印字が可能である。
図3に示すコンピュータの画面に表示された画像においてキャンパス8は、グラデーションパターンを作成する領域を示している。なお通常は0%〜100%の範囲内での指定であるが、同じ場所に2度印字を行うなどの場合には100%以上の設定でも可能になるため、上限の範囲は指定できるようにしてもよい。
【0009】
印刷濃度制御点26は、濃淡色を指定できる基準点のことであり、移動可能なハンドルを備えている。印刷濃度制御線10,14は、メッシュ画面の縦横印刷濃度制御線を示している。印刷濃度制御点色設定ダイアログ4は、選択している印刷濃度制御点26の色設定(CMYK何れか1つ指定)を行うものである。印刷濃度制御線10,14の断面線18,22は、選択している縦方向、横方向印刷濃度制御線10,14の断面イメージを示している。
図4に示すように、断面線22の基準ライン23に対する高さは、ピクセルの高さを示し、このピクセルの高さは、濃淡色を決定する。
【0010】
本実施形態では、CMYKのK(ブラック)が用いられ、ブラックの濃淡即ち濃度が、0%〜100%の間で、断面線の高さにより表示される。基準ライン23の左端は印字開始位置を示し、右端は印字終了位置を示している。断面線18も同様である。縦方向印刷濃度制御線10の断面線18は、キャンパス8の平面に対して垂直で、且つ印刷濃度制御線10に平行な面に対する印刷濃度制御線10の投影図であり、横方向印刷濃度制御線14の断面線22はキャンパス8の平面に対して垂直で、且つ印刷濃度制御線14に平行な面に対する印刷濃度制御線14の投影図である。断面線18,22の高さを変更することによりグラデーションが変化するように設定されている。
【0011】
本プログラムにおいて、グラデーションの色作成は、
図5に示すようにキャンパス8上にある面上のピクセルの高さHにより濃淡色を決定するように構成されている。グラデーション作成プロセスがスタートすると、まず、ステップS1で、キャンパス生成手段2は、操作者の指示に基づきキャンパス8のサイズを設定し、キャンパス8の領域を表示する (ステップ2)。このとき
図9に示すようにキャンパス8に縦横各1本の印刷濃度制御線10,14が表示される(ステップ3)。
【0012】
また、縦断面線表示画面34には、縦印刷濃度制御線10の断面線18、横断面線表示画面36には、横印刷濃度制御線14の断面線22が表示される(ステップS5)。各断面線18,22は初期時には、
図9に示すように0%位置に表示される。次に、操作者の指示により、
図10に示すように、印刷濃度制御点色設定手段6によって印刷濃度制御点26を選択し印刷濃度制御点色設定ダイアログ4で色を設定する。これにより印刷濃度制御点色設定ダイアログ4で設定した印刷濃度制御点26の濃淡色が表示される。
【0013】
更に、キャンパス画面8aにグラデーション画像(図示省略)が表示され(ステップS7)、縦印刷濃度制御線10の断面線18、横印刷濃度制御線14の断面線22が更新される(ステップS8,S9)。次に、
図11に示すように操作者の指示よりキャンパス8の任意の指定位置に印刷濃度制御線10,14が表示される(ステップS10)。次に、操作者の操作に基づき、縦印刷濃度制御線10の断面線18、横印刷濃度制御線14の断面線22の編集が行われる。
図12に示すようにキャンパス8の印刷濃度制御線10,14が選択されると、選択された印刷濃度制御線10,14の断面線18,22が表示され、断面線18,22には、印刷濃度制御点50,52が表示される。
【0014】
所望の印刷濃度制御点50,52のハンドルをドラッグして上下に移動すると、
図7(A)に示すように断面線18,22の高さが変更し、キャンパス8のグラデーションパターンが更新される(ステップ11,12)。また、
図7(B)に示すように、印刷濃度制御点52を追加/削除することができる。印刷濃度制御点50,26も同様である。
【0015】
次に
図13に示すように、キャンパス画面8aの中央、または各コーナーの印刷濃度制御点26をドラッグ移動して、印刷濃度制御線10,14を編集する。これによって印刷濃度制御線10,14とグラデーションパターンが更新される(ステップS13)。
図8に示すように、キャンパス画面8a、断面線表示画面34,36には、グリッド38を表示することができる。グリッド表示していると、各編集操作ではグリッド点にスナップする。
【0016】
ピクセル処理において、全ピクセルを計算するとレスポンスが遅くなる恐れがある。そこで、本プログラムでは、画像補間法を導入して、計算するピクセルを限定している。作成された画像データは、画像出力対応フォーマット生成手段32により、画像出力可能なデータフォーマットに変換される。作成された画像データは画像印刷手段46により印刷される(ステップS14)。
【0017】
上記の説明から明らかなように、縦横印刷濃度制御線生成手段12,16、縦横印刷濃度制御線の断面線生成手段20,24、印刷濃度制御点生成手段28、印刷濃度制御点移動手段42は、断面線編集手段を構成し、この断面線編集手段により、操作者は、印刷濃度制御点のポイントとハンドルを調整し、断面線18,22を自由な曲線とすることができる。
本件の説明で記載している色の指定は表示画面上での色を指定したものであり、実際に印刷される色はプリンタにて用意されている色であることは言うまでもない。導光板の印刷に用いられるときは主に白色の印刷が使用されるが、それに限定されるものでもなく、黄色などの反射を行う色であれば良い。
【符号の説明】
【0018】
2 キャンパス生成手段
4 印刷濃度制御点色設定ダイアログ
6 印刷濃度制御点色設定手段
8 キャンパス
8a キャンパス画面
10 縦印刷濃度制御線
12 縦印刷濃度制御線生成手段
14 横印刷濃度制御線
16 横印刷濃度制御線生成手段
18 断面線
20 断面線生成手段
22 断面線
24 断面線生成手段
26 印刷濃度制御点
28 印刷濃度制御点生成手段
30 画像補間手段
32 フォーマット生成手段
34 断面線表示画面
36 断面線表示画面
38 グリッド
40 グリッド表示手段
42 印刷濃度制御点移動手段
44 入出力インターフェイス部
46 画像印刷手段
48 制御部
50 印刷濃度制御点
52 印刷濃度制御点