(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真プロセスを用いた複合機等に搭載される画像読取装置には、シート状の原稿を読み取るために順次原稿載置台(ガラス板)へ送り込み、読み取り終了後に原稿載置台上から排出するような原稿搬送装置(Automatic Document Feeder)を備えたものがある。このような画像読取装置においては、原稿押さえを閉じたままで原稿搬送装置によって原稿を自動的に搬送して読み取るシートスルー方式と、読み取る毎に原稿押さえを開閉して原稿載置台上の原稿を1枚ずつ取り替えてスキャナーユニットを移動させて原稿を読み取る原稿固定方式の2種類の読み取り方式が可能である。なお、前者のシートスルー方式では、画像読取装置内のスキャナーユニットが走査移動することなく所定の画像読取位置に保持されたまま原稿の読取動作が行われ、他方、後者の原稿固定方式では、そのスキャナーユニットが走査移動しながら読取動作が行われる。
【0003】
図13は、シートスルー方式および原稿固定方式の2種類の読み取り方式が可能な従来の画像読取装置の一例を示した断面図である。従来の画像読取装置の一例は
図13に示すように、原稿が載置される手置き原稿用ガラス(第1ガラス板)101aおよび自動搬送された原稿が通過する自動読取用ガラス(第2ガラス板)101bからなるコンタクトガラス101と、2枚のガラス板(手置き原稿用ガラス101aおよび自動読取用ガラス101b)の間に設けられた樹脂部材102と、コンタクトガラス101の下方に配置され、原稿の画像を読み取る読取センサー103aを有するスキャナーユニット103と、スキャナーユニット103を保持するとともに、副走査方向(矢印A、B方向)に沿って2枚のガラス板の下方を往復移動可能に設けられたキャリッジ104と、スキャナーユニット103およびキャリッジ104を収納するフレーム105とを備えている。
【0004】
樹脂部材102には、自動読取用ガラス101bの上面よりも上方に突出する上側突出部102aが設けられている。この上側突出部102aは、自動搬送されて通過する原稿を掬い上げるように案内するための傾斜面を有する。また、樹脂部材102には、自動読取用ガラス101b下に突出する下側突出部102bが設けられている。この下側突出部102bは、自動読取用ガラス101bと樹脂部材102との隙間から原稿の紙粉やゴミがスキャナーユニット103上に落下するのを防止する。
【0005】
ところで、スキャナーユニットの画像読取方式として、CCD(Charge Coupled Devices)センサーと呼ばれる電荷結合素子(読取センサー)を使用したCCDセンサー方式と、CMOS(Complementary MOS)センサーと呼ばれる光電変換素子(読取センサー)を使用したCISセンサー方式とがある。
【0006】
CCDセンサー方式は、被写界深度が大きく奥行きのある原稿でもピントが合いやすいため、ブック原稿や凹凸のある原稿がコンタクトガラスに密着していなくても均一な読み取りが可能であり、読み取り(スキャン)速度も速いというメリットを有する。その反面、CCDセンサーを搭載するスキャナーユニットの構造が複雑で大型化し、コストも高くなるというデメリットを有する。
【0007】
一方、CISセンサー方式は、CCDセンサー方式で必要なミラーが不要であるため、CISセンサーを搭載するスキャナーユニットを薄型化することができ、構造が簡単であるため低コストであるというメリットを有する。その反面、CISセンサーはCCDセンサーに比べて被写界深度が非常に小さく狭いため、ブック原稿や凹凸のある原稿を均一に読み取れないというデメリットを有する。このため、CISセンサー方式ではその被写界深度の狭さから原稿との距離を高精度で維持する必要がある。
【0008】
そこで、
図13に示した従来の画像読取装置では、CISセンサー方式のスキャナーユニット103をコンタクトガラス101の下面に密着させていた。具体的には、スキャナーユニット103を上方に付勢するバネ106を設けるとともに、スキャナーユニット103の上面にコンタクトガラス101と接触して摺動する摺動部材107を設けていた。これにより、スキャナーユニット103と原稿との距離を一定に保っていた。
【0009】
しかしながら、従来の画像読取装置では、副走査方向に沿って手置き原稿用ガラス101aの下方および自動読取用ガラス101bの下方をスキャナーユニット103が往復移動する際に、手置き原稿用ガラス101a、樹脂部材102および自動読取用ガラス101bの各部材間での段差により、摺動部材107および樹脂部材102が摩耗したり、スキャナーユニット103が振動して原稿画像の読み取りに悪影響を及ぼす場合があった。
【0010】
そこで、例えば特許文献1には、コンタクトガラス(手置き原稿用ガラス)の下方から流し読みガラス(自動読取用ガラス)の下方まで配置され、下方に向かって山形状に突出する下面を有するガイド部材を設けるとともに、ガイド部材の下面に接触しながら転がるコロ(回転部材)を密着型イメージセンサー(スキャナーユニット)に設けた画像読取装置が開示されている。
【0011】
この画像読取装置では、副走査方向に沿って2枚のガラス板の下方を密着型イメージセンサーが往復移動する際に、コロ(回転部材)がガイド部材の下面に接触しながら転がることにより、密着型イメージセンサーはガラス板から遠ざかる。これにより、密着型イメージセンサーおよび密着型イメージセンサー上に設けられたスペーサ―(摺動部材)とステー(樹脂部材)とが接触しなくなるので、密着型イメージセンサーが損傷したり、スペーサ―やステーが摩耗するのを抑制することができる。また、ガイド部材がコンタクトガラスの下方から流し読みガラスの下方まで設けられているので、ガイド部材の下面の傾斜角度を緩やかにすることができる。これにより、密着型イメージセンサーが2枚のガラス板の下方を往復移動する際に振動するのを抑制することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記特許文献1のように、ガイド部材およびコロ(回転部材)を別途設けると、部品点数が増加するとともに、装置の組立作業性が悪くなるという問題点がある。
【0014】
部品点数の増加を抑制するためにガイド部材をステー(樹脂部材)と一体的に設けることも考えられるが、この場合、ステーはコンタクトガラス(手置き原稿用ガラス)を上下方向から挟み込む構造になるので、装置の組立作業性が特に悪くなるという問題点がある。
【0015】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、部品点数の増加および組立作業性の悪化を抑制しながら、樹脂部材の摩耗およびスキャナーユニットの振動を抑制することが可能な画像読取装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明の画像読取装置は、原稿が載置される第1ガラス板と、自動搬送された原稿が通過する第2ガラス板と、第1ガラス板および第2ガラス板の間に配置される樹脂部材と、副走査方向に沿って第1ガラス板の下方および第2ガラス板の下方を往復移動可能に設けられ、原稿の画像を読み取る読取センサーを有するスキャナーユニットと、スキャナーユニットを保持するキャリッジと、キャリッジに設けられ、スキャナーユニットを上方に付勢する付勢部材と、スキャナーユニット、キャリッジおよび付勢部材を収納するフレームと、を備え、スキャナーユニットの上面の副走査方向と直交する主走査方向の両側には、第1ガラス板の下面および第2ガラス板の下面に接触して摺動する摺動部材が設けられており、フレームには、第1ガラス板の下方から第2ガラス板の下方まで配置され、下方に向かって山形状に突出する摺動面を有する架橋部が一体的に形成されており、スキャナーユニットが第1ガラス板の下方および第2ガラス板の下方を往復移動する際に、摺動部材は架橋部の摺動面に接触しながら摺動する。
【0017】
この画像読取装置では、上記のように、スキャナーユニットの上面には、第1ガラス板の下面および第2ガラス板の下面に接触して摺動する摺動部材が設けられており、フレームには、下方に向かって山形状に突出する摺動面を有する架橋部が形成されており、スキャナーユニットが第1ガラス板の下方および第2ガラス板の下方を往復移動する際に、摺動部材は架橋部の摺動面に接触しながら摺動する。これにより、摺動部材は架橋部の摺動面に接触しながら摺動することにより第1ガラス板および第2ガラス板から離間するので、第1ガラス板、樹脂部材および第2ガラス板の各部材間での段差にスキャナーユニットや摺動部材が接触するのを抑制することができる。このため、スキャナーユニットが損傷したり、樹脂部材が摩耗するのを抑制することができる。
【0018】
また、上記のように、架橋部を、第1ガラス板の下方から第2ガラス板の下方まで設けることによって、架橋部の摺動面の傾斜角度を緩やかにすることができる。これにより、スキャナーユニットが2枚のガラス板の下方を往復移動する際に振動するのを抑制することができる。
【0019】
また、上記のように、フレームに架橋部が一体的に形成されているとともに、摺動部材は架橋部の摺動面に接触しながら摺動する。これにより、架橋部と、架橋部の摺動面を通過する部材とを別途設ける場合に比べて、部品点数を削減することができるとともに、装置の組立作業性を向上させることができる。すなわち、上記特許文献1のようにガイド部材およびコロ(回転部材)を別途設ける場合に比べて、部品点数を削減することができるとともに、装置の組立作業性を向上させることができる。
【0020】
上記画像読取装置において、好ましくは、樹脂部材には、第2ガラス板の下面よりも下方に突出する突出部が設けられており、主走査方向から見て、架橋部の摺動面は、突出部の下面と同じ高さ位置又は突出部の下面よりも下方に配置されている。このように構成すれば、スキャナーユニットが樹脂部材の突出部に接触するのを容易に抑制することができる。
【0021】
上記画像読取装置において、好ましくは、樹脂部材には、第2ガラス板の下面よりも下方に突出する突出部が設けられており、摺動部材は、突出部に対して主走査方向の両外側に設けられている。このように構成すれば、摺動部材が突出部に接触するのを容易に防止することができるとともに、架橋部を容易にフレームに一体的に設けることができる。
【0022】
上記画像読取装置において、好ましくは、スキャナーユニットの上面は矩形状に形成されており、摺動部材は、スキャナーユニットの上面の少なくとも4つのコーナー部に設けられている。このように構成すれば、スキャナーユニットが架橋部に接触する前に、確実に摺動部材を架橋部に接触させることができる。また、スキャナーユニットの上面の例えば2つの短辺の中央部のみに摺動部材を設ける場合に比べて、摺動部材をガラス板に押圧した際のスキャナーユニットの安定性を向上させることができる。これにより、スキャナーユニットの振動をより抑制することができる。
【0023】
この場合、好ましくは、スキャナーユニットの上面は、副走査方向に延びる2つの短辺と、短辺と直交する2つの長辺とを含み、摺動部材は、2つの短辺に沿って延びるように形成されている。このように構成すれば、摺動部材の突出高さを小さくしても、スキャナーユニットの上面の副走査方向の中央部が架橋部や樹脂部材に接触するのを確実に防止することができる。これにより、摺動部材の突出高さをより小さくして、スキャナーユニットと原稿との距離をより小さくすることも可能である。
【0024】
本発明の画像形成装置は、上記の構成の画像読取装置を備える。このように構成すれば、部品点数の増加および組立作業性の悪化を抑制しながら、樹脂部材の摩耗およびスキャナーユニットの振動を抑制することが可能な画像形成装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によれば、部品点数の増加および組立作業性の悪化を抑制しながら、樹脂部材の摩耗およびスキャナーユニットの振動を抑制することが可能な画像読取装置及びそれを備えた画像形成装置を容易に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0028】
図1〜
図10を参照して、本発明の一実施形態による画像読取装置6を備えた画像形成装置100の構造について説明する。
図1において、画像形成装置100(ここでは一例としてデジタル複合機を示す)では、コピー動作を行う場合、後述する画像読取装置6において原稿の画像データを読み取り画像信号に変換する。一方、複合機本体2内の画像形成部3において、帯電ユニット4により図中時計回り方向に回転する感光体ドラム5が一様に帯電され、画像読取装置6で読み取られた原稿画像データに基づく露光ユニット(レーザー走査ユニット等)7からのレーザービームにより感光体ドラム5上に静電潜像が形成され、現像ユニット8により静電潜像に現像剤(以下、トナーという)が付着されてトナー像が形成される。この現像ユニット8へのトナーの供給はトナーコンテナ9から行われる。
【0029】
上記のようにトナー像が形成された感光体ドラム5に向けて、用紙が給紙機構10から用紙搬送路11及びレジストローラー対12を経由して画像形成部3に搬送され、この画像形成部3において転写ローラー13(画像転写部)により感光体ドラム5の表面におけるトナー像が用紙に転写される。そして、トナー像が転写された用紙は感光体ドラム5から分離され、定着ローラー対14aを有する定着部14に搬送されてトナー像が定着される。定着部14を通過した用紙は、複数方向に分岐した用紙搬送路15に送られて、用紙搬送路15の分岐点に設けられた複数の経路切換ガイドを有する経路切換機構21、22によって用紙の搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、用紙搬送路16に送られて両面コピーされた後に)排出ローラー対20a又は排出ローラー対20bを介して、第1排出トレイ17a、第2排出トレイ17bから成る用紙排出部に排出される。
【0030】
また、図示しないが、感光体ドラム5の表面の残留電荷を除去する除電装置がクリーニング装置18の下流側に設けられている。さらに、給紙機構10は、複合機本体2に着脱自在に取り付けられ、用紙を収納する複数の給紙カセット10a、10bと、その上方に設けられるスタックバイパス(手差しトレイ)10cと、を備えてなり、これらは用紙搬送路11によって感光体ドラム5及び現像ユニット8等からなる画像形成部3に繋がっている。
【0031】
複合機本体2の上部には、画像読取装置6が配置されており、複合機本体2の上面には画像読取装置6のコンタクトガラス25(
図3参照)上に載置される原稿を押さえて保持するプラテン(原稿押さえ)24が開閉可能に設けられており、プラテン24上には画像読取装置6に原稿を自動搬送する原稿搬送装置27が付設されている。
【0032】
用紙搬送路15は、具体的には、定着ローラー対14aの下流側において、まず左右二股に分岐し、一方の経路(
図1では右方向に分岐する経路)は第1排出トレイ17aに連通するように構成されている。そして、他方の経路(
図1では左方向に分岐する経路)は搬送ローラー対19を経由して二股に分岐し、一方の経路(
図1では左方向に分岐する経路)は第2排出トレイ17bに連通するように構成されている。これに対し、他方の経路(
図1では下方向に分岐する経路)は用紙搬送路16に連通するように構成されている。
【0033】
図2に示すように、原稿搬送装置27のカバー部材31内には、原稿給紙トレイ29から原稿排出トレイ32に至る原稿搬送路dが形成されており、原稿搬送路dに沿ってピックアップローラー33、給紙ベルト34及び分離ローラー35、レジストローラー対36、搬送ローラー対37、38、39、及び40、CISローラー41、反転ローラー対42、排出ローラー対43等から成る原稿搬送部材が設けられている。
【0034】
給紙ベルト34は駆動ローラー44aと従動ローラー44bに掛け回されており、下方から分離ローラー35が所定の圧力で接触している。分離ローラー35にはトルクリミッターが内蔵されており、回転負荷が所定トルクを下回る場合のみ給紙ベルト34と逆方向に回転し、回転負荷が所定トルクを上回る場合には給紙ベルト34と従動回転するようになっている。ピックアップローラー33の上方には原稿の上面位置を検知する上面検知センサー50が配置されている。
【0035】
コンタクトガラス25は、自動読取用ガラス(第2ガラス板)25aと手置き原稿用ガラス(第1ガラス板)25bから成り、自動読取用ガラス25aに対向して配置されたシェーディング補正用の白基準板と、白基準板の上部にあって白基準板を自動読取用ガラス25aに向けて押圧するための原稿押圧部(いずれも図示せず)とが設けられている。なお、原稿搬送路dはレジストローラー対36から自動読取用ガラス25aに至る間において反転するように湾曲している。また、原稿搬送路dには、原稿の存否或いは通過を検知するための給紙センサーS1、排出センサーS2を含む複数の用紙検知センサーが適所に設けられている。
【0036】
次に、原稿搬送装置27を用いたシートスルー方式の原稿搬送動作について説明する。シートスルー方式においては、原稿給紙トレイ29に画像面を上向きにして複数枚の原稿をセットした後、画像形成装置100の操作パネル55(
図1参照)のコピー開始ボタンがオンされると、昇降機構(図示せず)により上昇したリフト板45が原稿を介してピックアップローラー33を押し上げ、ピックアップローラー33を含む枠体(図示せず)の重さがリフト板45に加わることにより、原稿の上面が所定の圧力(給紙圧)でピックアップローラー33に押しつけられる。
【0037】
ここで、ピックアップローラー33、駆動ローラー44a、従動ローラー44b及び給紙ベルト34は、図示しない枠体に配置されている。また、ピックアップローラー33は駆動ローラー44aと不図示のギアで連結されており、ローラー駆動モーター(図示せず)により駆動ローラー44aが回転すると、駆動ローラー44aと従動ローラー44bとにより張架された給紙ベルト34が回転駆動されると共に、ピックアップローラー33も回転駆動される。
【0038】
原稿給紙トレイ29にセットされた原稿は、ピックアップローラー33によって通常上段の複数枚が給紙ベルト34と分離ローラー35のニップ部に送られる。そして、複数枚の原稿のうち分離ローラー35により最上の1枚のみが分離されてレジストローラー対36に向けて搬送される。その際、原稿の先端が給紙センサーS1によって検出されてから所定の距離だけその原稿が搬送された後、ローラー駆動モーターの作動停止によってピックアップローラー33及び給紙ベルト34の回転駆動が停止され一次給紙が終了する。一次給紙された原稿は、その先端がレジストローラー対36のニップ部に撓みが形成された状態で停止させられる。
【0039】
一次給紙が終了してから所定時間経過後、二次給紙が開始される。つまり、二次給紙駆動モーター(図示せず)の作動によりレジストローラー対36が回転駆動される。原稿は、レジストローラー対36、搬送ローラー対37〜39、CISローラー41により、自動読取用ガラス25aを経て排出ローラー対43に向けて搬送された後、最終的には排出ローラー対43によって原稿排出トレイ32上に排出される。その際、排出センサーS2により原稿の後端通過を検知したことによって、原稿1枚の画像読み取りの完了を検出するようになっている。
【0040】
ここで排出センサーS2は、原稿の搬送完了毎に原稿枚数を計数するカウント機能を有しており、給紙センサーS1が後続の原稿を検知していれば、2枚目以降の原稿搬送が上記と同様に続行される。なお、原稿は、自動読取用ガラス25aを通過する際に、搬送ガイド53と当接することによって上方からその原稿の画像が自動読取用ガラス25aを通じて画像読取装置6(
図1参照)により読み取られるようになっている。
【0041】
また、両面原稿を読み取る場合は、CISローラー41に対向して設けられたコンタクトイメージセンサー51で原稿裏面の画像を読み取り、自動読取用ガラス25aで原稿表面の画像を読み取る一段階読み取り法と、自動読取用ガラス25aで原稿表面の画像を読み取った後、分岐爪47a、47b、及び47cにより原稿を反転トレイ30に振り分け、反転ローラー対42を逆転させて、原稿の裏面を上にした状態で再びレジストローラー対36の上流側に搬送し、自動読取用ガラス25aで原稿裏面の画像を読み取る二段階読み取り法とがある。
【0042】
コンタクトイメージセンサー51による読み取りは読み取り時間が短縮できる反面、自動読取用ガラス25aでの読み取りに比べて画質の面で劣る。そのため、文字原稿などの場合はコンタクトイメージセンサー51を用いた一段階読み取り法を用い、写真原稿など高画質、高精細な読み取りが要求される場合は反転トレイ30を用いた二段階読み取り法を用いることが好ましい。
【0043】
なお、二段階読み取り法を用いる場合、読み取り終了後の原稿をそのまま原稿排出トレイ32に順次排出すると、排出された原稿は原稿給紙トレイ29にセットした状態と表裏が逆になって積載されることになる。そこで、自動読取用ガラス25aで原稿裏面の画像を読み取った後、分岐爪47a〜47cを揺動させて原稿を再び反転トレイ30上へ導入し、搬送ローラー対40及び排出ローラー対43を介して原稿排出トレイ32へ排出する。これにより、各原稿の表裏が排出前にもう一度反転されるため、原稿給紙トレイ29にセットした状態を保持したまま原稿排出トレイ32上へ積載することができる。
【0044】
続いて、原稿の画像を電気信号として読み取るための画像読取装置6の構成について説明する。
【0045】
画像読取装置6は
図3〜
図5に示すように、原稿が載置される手置き原稿用ガラス25bおよび自動搬送された原稿が上面上を通過する自動読取用ガラス25aからなるコンタクトガラス25と、手置き原稿用ガラス25bおよび自動読取用ガラス25aの間に配置される樹脂部材61と、原稿の画像を読み取るスキャナーユニット62と、スキャナーユニット62を保持するとともに副走査方向(矢印A、B方向)に往復移動可能に設けられたキャリッジ63と、スキャナーユニット62およびキャリッジ63等を収納する下フレーム64aおよび上フレーム64bからなる樹脂製の筐体(フレーム)64とを含んでいる。
【0046】
図4に示すように、スキャナーユニット62の主走査方向(矢印C方向)に対し下フレーム64aの略中央部には、キャリッジ63の主走査方向(矢印C方向)の位置を規制するガイド軸65と、キャリッジ63が固定される無端状の駆動ベルト66とがスキャナーユニット62の副走査方向(矢印A、B方向)に沿って配置されている。また、ガイド軸65を中心として下フレーム64aの主走査方向の両端部には、キャリッジ63を摺動可能に支持するレール部64cが形成されている。パルスモーター等のモーター(図示せず)からの駆動力が駆動ベルト66に伝達されると、駆動ベルト66が回動し、キャリッジ63と共にスキャナーユニット62がガイド軸65及びレール部64cに沿って矢印A、B方向に往復移動する。
【0047】
手置き原稿用ガラス25b、自動読取用ガラス25aおよび樹脂部材61の下面の縁部は、下フレーム64aの壁部64d上に載置されている。この壁部64dは、下フレーム64aの主走査方向の両側に一体的に形成されている。また、手置き原稿用ガラス25b、自動読取用ガラス25aおよび樹脂部材61の上面の縁部は、図示しない接着層により上フレーム64bに接着されている。
【0048】
自動読取用ガラス25aおよび樹脂部材61は、主走査方向に延びる細長形状に形成されている。樹脂部材61には
図5および
図6に示すように、自動読取用ガラス25aの上面よりも上方に突出する上側突出部61aが設けられている。この上側突出部61aは、自動搬送されて通過する原稿を掬い上げるように案内するための傾斜面を有する。なお、樹脂部材61の手置き原稿用ガラス25b上の部分は、原稿を手置きする際の原稿の突き当て基準面として機能するとともに、原稿位置・サイズを示す表示が施されている。
【0049】
また、樹脂部材61には、自動読取用ガラス25a下に突出する下側突出部(突出部)61bが設けられている。この下側突出部(突出部)61bは、自動読取用ガラス25aと樹脂部材61との隙間から原稿の紙粉やゴミがスキャナーユニット62上に落下するのを防止する。下側突出部61bは、壁部64dから所定距離を隔てて配置されているとともに、主走査方向に延びるように形成されている。
【0050】
スキャナーユニット62は
図5に示すように、図示しない光源と、CISセンサー(読取センサー)62aとを含んでいる。光源から出射した光は、原稿により反射され、CISセンサー62aに受光される。また、スキャナーユニット62は、白基準板(不図示)の直下をホームポジションとしている。なお、CISセンサー方式のスキャナーユニット62では、CCDセンサー方式のスキャナーユニットと異なり、ミラーが設けられていない。
【0051】
スキャナーユニット62の上面62bは
図7に示すように、矩形状に形成されており、副走査方向に延びる2つの短辺62cと、短辺62cと直交する2つの長辺62dとを含んでいる。スキャナーユニット62の上面62bの主走査方向の両側には、コンタクトガラス25の下面に接触して摺動する摺動部材67が設けられている。
【0052】
本実施形態では、摺動部材67はスキャナーユニット62の上面62bの4つのコーナー部のみに設けられている。また、摺動部材67は
図5に示すように、下側突出部61bの厚み(コンタクトガラス25の下面から下方への突出量)および後述する架橋部64eの厚みよりも少しだけ大きい突出高さ(スキャナーユニット62の上面62bから上方への突出量)を有するように形成されていてもよい。
【0053】
キャリッジ63には、スキャナーユニット62が配置される凹部63aが形成されており、凹部63aの底面とスキャナーユニット62の下面との間には、スキャナーユニット62の主走査方向の両端部近傍に圧縮コイルバネ(付勢部材)68が設けられている。そして、スキャナーユニット62は圧縮コイルバネ68により上方に付勢され、摺動部材67はコンタクトガラス25の下面に押圧されている。これにより、被写界深度が小さいCISセンサー方式のスキャナーユニット62と原稿画像面との距離が一定に保たれるので、原稿画像を均一に読み取ることが可能である。
【0054】
下フレーム64aの壁部64dには
図5および
図6に示すように、下方に向かって山形状に突出する摺動面(下面)を有する架橋部64eが一体的に形成されている。この架橋部64eは、手置き原稿用ガラス25bの下方から自動読取用ガラス25aの下方まで形成されている。また、架橋部64eおよび摺動部材67は、下側突出部61bに対して矢印C方向(主走査方向)の両外側に設けられている。
【0055】
架橋部64eの摺動面は
図5に示すように、主走査方向から見て、下側突出部61bの下面と略同じ高さ位置又は下側突出部61bの下面よりも下方に配置されている。すなわち、主走査方向から見て、架橋部64e内に下側突出部61bが収まっている。また、架橋部64eの最下面は下側突出部61bの最下面と略同じ高さ位置に配置されている。なお、架橋部64eの最下面は、スキャナーユニット62の上面62bが架橋部64eおよび樹脂部材61に接触しない範囲内であれば、下側突出部61bの最下面よりも上方に配置されていてもよい。
【0056】
上記構成においては、原稿固定方式で原稿画像を読み取る場合、先ず、原稿(図示せず)を手置き原稿用ガラス25b上に画像面を下向きにして載置する。そして、光源からの光により原稿の画像面を照射しながら、スキャナーユニット62をスキャナーホーム側(
図5の左側)からスキャナーリターン側(
図5の右側)へ、所定の速度で矢印A方向に移動させる。その結果、画像面で反射された光は画像光となってCISセンサー62a上に結像される。結像された画像光はCISセンサー62aにおいて画素分解され、各画素の濃度に応じた電気信号に変換されて画像の読み取りが行われる。
【0057】
一方、シートスルー方式で原稿画像を読み取る場合は、スキャナーユニット62を自動読取用ガラス25aの画像読取領域(画像読取位置)の直下(
図5の位置)に移動させる。そして、原稿搬送装置27によって自動読取用ガラス25aに向けて軽く押圧されながら順次搬送される原稿の画像面を光源からの光で照射しながら、画像面で反射された画像光をCISセンサー62a上に結像させて画像の読み取りが行われる。
【0058】
上記のようにスキャナーユニット62が副走査方向に沿って自動読取用ガラス25aの下方および手置き原稿用ガラス25bの下方を往復移動する際には、摺動部材67は架橋部64eの摺動面に接触しながら摺動する。具体的には、スキャナーユニット62が手置き原稿用ガラス25bの下方の位置(
図8の位置)から矢印B方向に移動すると、
図9に示すように矢印B方向側の摺動部材67が架橋部64eの摺動面に乗り上げて、スキャナーユニット62の矢印B方向側の部分がコンタクトガラス25から遠ざかる。スキャナーユニット62がさらに矢印B方向に移動すると、
図10に示すように矢印B方向側の摺動部材67はコンタクトガラス25の下面に接触する。そして、矢印A方向側の摺動部材67が架橋部64eの摺動面に乗り上げて、スキャナーユニット62の矢印A方向側の部分がコンタクトガラス25から遠ざかる。このため、スキャナーユニット62および摺動部材67は、樹脂部材61の下側突出部61bに接触しない。
【0059】
本実施形態では、上記のように、スキャナーユニット62の上面62bには、手置き原稿用ガラス25bの下面および自動読取用ガラス25aの下面に接触して摺動する摺動部材67が設けられており、筐体64の壁部64dには、下方に向かって山形状に突出する摺動面(下面)を有する架橋部64eが形成されており、スキャナーユニット62が手置き原稿用ガラス25bの下方および自動読取用ガラス25aの下方を往復移動する際に、摺動部材67は架橋部64eの摺動面に接触しながら摺動する。これにより、摺動部材67は架橋部64eの摺動面に接触しながら摺動することによりコンタクトガラス25から離間するので、手置き原稿用ガラス25b、樹脂部材61および自動読取用ガラス25aの各部材間での段差にスキャナーユニット62や摺動部材67が接触するのを抑制することができる。このため、スキャナーユニット62が損傷したり、樹脂部材61が摩耗するのを抑制することができる。
【0060】
また、上記のように、架橋部64eを、手置き原稿用ガラス25bの下方から自動読取用ガラス25aの下方まで設けることによって、架橋部64eの摺動面の傾斜角度を緩やかにすることができる。これにより、スキャナーユニット62が手置き原稿用ガラス25bの下方および自動読取用ガラス25aの下方を往復移動する際に振動するのを抑制することができる。
【0061】
また、上記のように、筐体64の壁部64dに架橋部64eが一体的に形成されているとともに、摺動部材67は架橋部64eの摺動面に接触しながら摺動する。これにより、架橋部64eと、架橋部64eの摺動面を通過する部材とを別途設ける場合に比べて、部品点数を削減することができるとともに、装置の組立作業性を向上させることができる。すなわち、上記特許文献1のようにガイド部材およびコロ(回転部材)を別途設ける場合に比べて、部品点数を削減することができるとともに、装置の組立作業性を向上させることができる。
【0062】
また、上記のように、主走査方向から見て、架橋部64eの摺動面は、下側突出部61bの下面と同じ高さ位置又は下側突出部61bの下面よりも下方に配置されている。これにより、スキャナーユニット62が樹脂部材61の下側突出部61bに接触するのを容易に抑制することができる。なお、架橋部64eの最下面が下側突出部61bの最下面よりも必要以上に下方に配置されていると、スキャナーユニット62の上下方向の移動量が大きくなる。この場合、スキャナーユニット62が振動しやすくなるとともに、スキャナーユニット62に加わる付勢力の増大に起因してCISセンサー62aの特性が悪化する場合があるので、架橋部64eの最下面は下側突出部61bの最下面と略同じ高さ位置であることが好ましい。
【0063】
また、上記のように、摺動部材67は、下側突出部61bに対して主走査方向の両外側に設けられている。これにより、摺動部材67が下側突出部61bに接触するのを容易に防止することができるとともに、架橋部64eを容易に下フレーム64aの壁部64dに一体的に設けることができる。
【0064】
また、上記のように、スキャナーユニット62の上面62bは矩形状に形成されており、摺動部材67は、スキャナーユニット62の上面62bの4つのコーナー部に設けられている。これにより、スキャナーユニット62が架橋部64eに接触する前に、確実に摺動部材67を架橋部64eに接触させることができる。また、スキャナーユニット62の上面62bの例えば2つの短辺62cの中央部のみに摺動部材67を設ける場合に比べて、摺動部材67をコンタクトガラス25に押圧した際のスキャナーユニット62の安定性を向上させることができる。これにより、スキャナーユニット62の振動をより抑制することができる。
【0065】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0066】
例えば、上記実施形態では、本発明の画像読取装置として、画像形成装置に搭載される画像読取装置を例に挙げて説明したが、画像形成装置と別体で用いられるイメージスキャナー等にも適用可能である。
【0067】
また、上記実施形態では、摺動部材をスキャナーユニットの上面の4つのコーナー部のみに設けた例について示したが、本発明はこれに限らない。例えば
図11に示した本発明の変形例のように、摺動部材67を、スキャナーユニット62の上面62bの2つの短辺62cに沿って延びるように形成してもよい。この場合、
図12に示すように、摺動部材67の突出高さを小さくしても、スキャナーユニット62の上面62bの副走査方向の中央部が架橋部64eや下側突出部61bに接触するのを確実に防止することができる。これにより、摺動部材67の突出高さをより小さくして、スキャナーユニット62と原稿との距離をより小さくすることも可能である。
【0068】
また、上記実施形態では、樹脂部材に自動読取用ガラスの下面よりも下方に突出する下側突出部が設けられている例について示したが、本発明はこれに限らず、樹脂部材に下側突出部が設けられていなくもよい。この場合にも、手置き原稿用ガラス、樹脂部材および自動読取用ガラスの各部材間には小さな段差が生じるので、本発明を適用することは有効である。