(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5757926
(24)【登録日】2015年6月12日
(45)【発行日】2015年8月5日
(54)【発明の名称】目地装置
(51)【国際特許分類】
E04B 1/68 20060101AFI20150716BHJP
【FI】
E04B1/68 100A
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-200717(P2012-200717)
(22)【出願日】2012年9月12日
(65)【公開番号】特開2014-55444(P2014-55444A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2014年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110365
【氏名又は名称】ドーエイ外装有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英夫
【審査官】
湊 和也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−238822(JP,A)
【文献】
特開2012−202089(JP,A)
【文献】
特開2012−207453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地部を介して設けられた左右の躯体の床目地部を覆う、床目地部が地震で狭くなるように揺れ動くと先端部が上方へ回動して、その揺れ動きを吸収する床用目地プレートを用いた床用目地装置と、前記左右の躯体の壁面間の目地部を覆う壁面用目地プレートを用いた壁面用目地装置とを備える目地装置において、前記壁面用目地装置を、下端部を除く壁面間の目地部を覆う壁面用目地プレート本体と、この壁面用目地プレート本体の下部の壁面間の目地部を覆い、かつ下端部が前記床用目地プレート上に位置する、該壁面用目地プレート本体にスライド移動可能に取付けられたスライドカバーと、このスライドカバーの前記床用目地プレートの先端部側の一端部が上方へ押し上げられると、他端部も同じように上方へ移動させることができるとともに、該一端部の押し上げがなくなると自重で降下させることができるように、前記壁面用目地プレート本体に取付けられた吊り上げ機構とで構成したことを特徴とする目地装置。
【請求項2】
吊り上げ機構は壁面用目地プレート本体の下部をスライド可能に覆うことができる箱状のスライドカバーの底面より外方に突出させて取付け片の両側部寄りの部位に垂直状態で固定された一対のガイド筒と、この一対のガイド筒にスライド移動可能に下端部が挿入された壁面用目地プレート本体の背面に上端部が取付けられた一対のガイド軸と、前記スライドカバーの一端部側の前記ガイド筒の上部に一端部が固定され、該固定部より下部位置の壁面用目地プレート本体の背面に取付けられた第1の滑車、この第1の滑車より上部位置の壁面用目地プレート本体の背面に取付けられた第2の滑車、この第2の滑車とほぼ平行でかつ前記スライドカバーの他端部側の前記ガイド筒の上部に取り付けられた第3の滑車を通過して、前記他端部側の前記ガイド筒に取付けられたワイヤーとで構成されていることを特徴とする請求項1記載の目地装置。
【請求項3】
吊り上げ機構の第1の滑車、第2の滑車、第3の滑車は壁面用目地プレート本体の背面に取付けられた取付け板に取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の目地装置。
【請求項4】
壁面用目地プレート本体は長方形状のフレームと、このフレームに取付けられたタイルや石材の壁面材とで構成されていることを特徴とする請求項1記載の目地装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた左右の躯体間の床目地部と壁目地部を覆う目地装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、左右の躯体の床目地部は地震で床目地部が狭くなるように揺れ動くと、先端部が上方へ回動しながらスライド移動して、その揺れ動きを吸収する床用目地プレートを用いた床目地装置が使用されている。
【0003】
このような床目地装置を設置する所に、左右の躯体の壁目地部を覆う壁面用目地装置を設置すると、床用目地プレートの先端部が上方へ回動しながらスライド移動すると、壁面用目地装置の壁面用目地プレートが床用目地プレートによって押し上げられ、損傷する。
このため、壁面用目地プレートの下端部を上方へスライド移動するスライドカバーを設置することも考えられている。
【0004】
しかし、このスライドカバーには平衡な押し上げ力が加わるのではなく、床用目地プレートの先端部側に押し上げ力が加わるため、大きな遊びを設けないとスムーズには上方へのスライド移動ができず、見苦しくなり、壁面用目地装置の価値を低減させてしまうという欠点があり、壁面用目地装置の価値を低減しないように遊びを小さく設定すると、床用目地プレートの上方への移動時にスライドカバーが壁面用目地プレートとかじって、スムーズに移動せず、損傷させるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3594906号公報
【特許文献2】特許第3228710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、床用目地プレートが傾斜状態で上方へ移動しても、壁面用目地装置が損傷するのを効率よく阻止することができるとともに、壁面用目地装置が見苦しくなることなく、壁面用目地プレートにスライドカバーを設置でき、かつスライドカバーの一端部に押し上げ力が加わっても、他端部も一端部と同様に上方へ移動させて、かじってスムーズに移動できなくなったりするのを阻止できる目地装置を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は目地部を介して設けられた左右の躯体の床目地部を覆う
、床目地部が地震で狭くなるように揺れ動くと先端部が上方へ回動して、その揺れ動きを吸収する床用目地プレートを用いた床用目地装置と、前記左右の躯体の壁面間の目地部を覆う壁面用目地プレートを用いた壁面用目地装置とを備える目地装置において、前記壁面用目地装置を、下端部を除く壁面間の目地部を覆う壁面用目地プレート本体と、この壁面用目地プレート本体の下部の壁面間の目地部を覆い、かつ下端部が前記床用目地プレート上に位置する、該壁面用目地プレート本体にスライド移動可能に取付けられたスライドカバーと、このスライドカバーの前記床用目地プレートの先端部側の一端部が上方へ押し上げられると、他端部も同じように上方へ移動させることができるとともに、該一端部の押し上げがなくなると自重で降下させることができるように、前記壁面用目地プレート本体に取付けられた吊り上げ機構とで目地装置を構成している。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、地震で床用目地装置の床用目地プレートの先端部が上方へ押し上げられても、壁面用目地装置のスライドカバーが吊り上げ機構によって、ほぼ平行状態で壁面用目地プレート本体を上方へスライド移動させることができる。
したがって、従来のようにかじったりすることなく、スムーズに移動させることができる。
(2)前記(1)によって、壁面用目地装置の壁面用目地プレート本体に対して、スライドカバーが吊り上げ機構でスムーズに上方へ押し上げることができるので、従来のように壁面用目地プレート本体とスライドカバーとの間に大きな遊びがなくてもスムーズに移動できるため、スマートの設置することができ、美観の向上を図ることができる。
(3)前記(1)により、設置されている床用目地装置がどんな構造のものであっても、壁面用目地装置を設置することができる。
したがって、設置を容易に行なうことができる。
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、一対のガイド筒、一対のガイド軸、滑車とワイヤーで構成された吊り上げ機構を用いているので、構造が簡単で、容易に設置することができる。
(5)請求項3、4も前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、タイルや石材の壁面材を用いた壁面用目地プレート本体を使用することができる。。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
【
図5】地震で目地部が狭くなる時の床用目地装置の説明図。
【
図6】地震で目地部が狭くなる時の壁面用目地装置の説明図。
【
図7】地震で目地部が広くなる時の床用目地装置の説明図。
【
図8】地震で目地部が広くなる時の壁面用目地装置の説明図。
【
図10】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【
図13】本発明を実施するための第3の形態の平面図。
【
図16】本発明を実施するための第4の形態の平面図。
【
図19】本発明を実施するための第5の形態の平面図。
【
図22】本発明を実施するための第6の形態の平面図。
【
図25】本発明を実施するための第7の形態の平面図。
【
図28】本発明を実施するための7形態の地震で目地部が狭くなる時の壁面用目地装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0012】
図1ないし
図9に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は床目地部2および壁目地部3を介して設けられた左右の躯体4、4間を覆う本発明の目地装置で、この目地装置1は前記床目地部2を覆う床用目地プレート10を用いた床用目地装置5と、前記壁目地部3を覆う壁面用目地プレート17を用いた壁面用目地装置6とで構成されている。
【0013】
前記床用目地装置5は前記左右の躯体4、4の目地部側の一方の床面4aに形成された目地プレート支持凹部7と、この目地プレート支持凹部7と対応する目地部側の他方の床面4aに形成された反目地部側が傾斜面8で、かつ前記床目地部2の幅寸法Lとほぼ同じ幅寸法に形成された目地プレートスライド支持凹部9と、この目地プレートスライド支持凹部9に先端部が支持され、後端部が前記目地プレート支持凹部7に支持された上面が、前記左右の躯体4、4の床面4a、4aと同一面となる床用目地プレート10と、この床用目地プレート10の先端部が上方へ回動しながら移動できるように、該床用目地プレート10の後端部を前記目地プレート支持凹部7に取付ける目地プレート取付具11、11と、前記床用目地プレート10の先端部にヒンジ部材12を介して取付けられたカバープレート13とで構成されている。
【0014】
前記壁面用目地装置6の壁面用目地プレート17は後端部がヒンジ部材16、16を介して前記一方の躯体4の開口端部の目地部側壁面4bに取付けられ、先端部が前記他方の躯体4の目地部側壁面4bと所定量重なり合う前記床用目地プレート10側の下部を除く部位の前記壁目地部3を覆う長方形状のフレーム20a、このフレーム20aに固定されたタイルや石材を用いた壁面材20bで構成された壁面用目地プレート本体20と、この壁面用目地プレート本体20の下部に上下方向にスライド移動可能に取付けられた、該壁面用目地プレート本体20の下部を覆う上部が開口した箱状のスライドカバー23と、このスライドカバー23の前記床用目地プレート10の先端部側の一端部が上方へ押し上げられると、他端部も同じように上方へ移動させることができるとともに、該一端部の押し上げがなくなると自重で降下させることができるように、前記壁面用目地プレート本体20に取付けられた吊り上げ機構24と、前記壁面用目地プレート本体20の先端部を常時前記他方の躯体4の目地部側壁面4bへ付勢する付勢スプリング25と、前記壁面用目地プレート本体20の先端部が内側へ侵入するのを阻止するストッパー25aとで構成されている。
【0015】
前記吊り上げ機構24はこのスライドカバー23の底面より外方に突出するように形成された取付け片23aと、この取付け片23aの両側の上面に垂直状態となるように下端部が固定された一対のガイド筒26、26と、この一対のガイド筒26、26にスライド移動可能に下端部が挿入され、前記壁面用目地プレート本体20の背面に前記スライドカバー23のスライド移動ができるように取付けられた取付け板41に上端部が取付けられた一対のガイド軸27、27と、前記スライドカバー23の一端部側の前記ガイド筒26の上部に固定されたワイヤー固定金具28と、このワイヤー固定金具28より下部位置の前記取付け板41に取付けられた第1の滑車29と、この第1の滑車29の上部位置の前記取付け板41に取付けられた第2の滑車30と、この第2の滑車30と同一高さで、かつ前記他端部側のガイド筒26の上部位置の前記取付け板41に取付けられた第3の滑車31と、一端部が前記ワイヤー固定金具28に取付けられ、前記第1の滑車29、前記第2の滑車30、前記第3の滑車31を介して、前記他端部側のガイド筒26の上部に取付けられた他方のワイヤー固定金具32に取付けられたワイヤー33とで構成されている。
【0016】
上記構成の目地装置1は、通常時には
図1および
図2に示すように左右の躯体4、4間の床目地部2は、床用目地装置5の床用目地プレート10で覆われるとともに、壁面4b、4b間の壁目地部3は壁面用目地装置6の壁面用目地プレート17で覆われた状態となっている。
【0017】
地震で左右の躯体4、4間の床目地部2と壁目地部3が、
図5および
図6に示すように狭くなるように揺れ動くと、床用目地装置5の床用目地プレート10の先端部が目地プレートスライド支持凹部9の傾斜面8に沿って上方へ回動しながらスライド移動する。
【0018】
このため、壁面用目地プレート17のスライドカバー23の一端部が床用目地プレート10の先端部によって、上方へ押し上げられるが、この時、吊り上げ機構24のワイヤー33が第1の滑車29、第2の滑車30、第3の滑車31を介して他端部のガイド筒26を持ち上げるように移動して、ほぼ水平状態でスライドカバー23が上方へ移動して、従来のようにかじったりして動作不良となるのを阻止でき、その揺れ動きを、壁面用目地装置6を損傷することなく吸収することができる。
【0019】
地震の揺れ動きが停止し、床目地部2、壁目地部3が元の状態に戻ると、スライドカバー23の自重によって、自動的に元の状態へ戻る。
【0020】
地震で左右の躯体4、4の床目地部2と壁目地部3が、
図7および
図8に示すように広くなるように揺れ動くと、床用目地装置5の床用目地プレート10の先端部側が目地プレートスライド支持凹部9上をスライド移動するとともに、壁面用目地装置6の壁面用目地プレート17の先端部が他方の躯体4の目地部側壁面4b上をスライド移動して、その揺れ動きを吸収する。
【0021】
なお、壁面用目地プレート17は付勢スプリング25とストッパー25aとで、先端部が必要以上に回動しないので、揺れ動きが停止すると、自動的に元の状態へ戻る。
【0022】
地震で左右の躯体4、4が異なる前後方向に揺れ動いた場合には、
図9に示すように壁面用目地装置6の壁面用目地プレート17の先端部が前方向に回動してその揺れ動きを吸収するが、その回動できる範囲はストッパー25aに当接するまでの範囲となる。
【0023】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、
図10ないし
図28に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0024】
図10ないし
図12に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、他方の目地部側壁面4bに反目地部側が傾斜面14に形成された壁面プレートスライド支持凹部15を形成し、該壁面プレートスライド支持凹部15を覆う先端部が傾斜面17aに形成した壁面用目地プレート本体20Aを用いるとともに、この、壁面用目地プレート本体20Aの下端部をスライド移動する傾斜面23aと第1の滑車29部分が入り込む切り欠き29aを有するスライドカバー23Aと、一対のガイド軸27、27、第1の滑車29、第2の滑車30、第3の滑車31を壁面用目地プレート本体20Aのフレーム20aに取り付けた吊り上げ機構24Aを取付けた壁面用目地プレート17Aを用いた壁面用目地装置6Aにした点で、このような壁面用目地装置6Aを用いて構成した、目地装置1Aにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0025】
図13ないし
図15に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、背面板18が複数本のビス19で取付けられた金属板を用いて箱状に形成した壁面用目地プレート本体20Bと、この壁面用目地プレート本体20Bの下部に上下方向にスライド移動可能に取付けられた、上部が開口した背面板21が複数本のビス22で取付けられた箱状のスライドカバー23Bと、このスライドカバー23Bの内底面に一対のガイド筒26、26を取付け、壁面用目地プレート本体20Bの内壁面に一対のガイド軸27、27、第1の滑車29、第2の滑車30、第3の滑車31を取付け吊り上げ機構24Bを取付けた壁面用目地プレート17Bを用いた壁面用目地装置6Bにした点で、このような壁面用目地装置6Bを用いて構成した目地装置1Bにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0026】
図16ないし
図18に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、底面が開口17aする壁面用目地プレート本体20Cと、この壁面用目地プレート本体20Cの底面開口17aより内部へスライド移動できるように取付けられた第1の滑車29部分が入り込む切り欠き29aが形成されたスライドカバー23Cを用いるとともに、壁面用目地プレート本体20Cの内壁面に一対のガイド軸27、27の上部を固定する取付け板41を用いた吊り上げ機構24Cを取付けた壁面用目地プレート17Cを用いた壁面用目地装置6Cにした点で、このような壁面用目地装置6Cを用いて構成した目地装置1Cにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0027】
図19ないし
図21に示す本発明を実施するための第5の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、壁目地部3側の壁面4b、4bを覆うことができる長方形状の壁面用目地プレート本体20Dとスライドカバー23Dとからなる壁面用目地プレート17Dを用いるとともに、該壁面用目地プレート17Dの壁面用目地プレート本体20D部位の背面中央部に中央枢支部35が枢支され、両端部が壁目地部側の壁面4b、4bにヒンジ部材36、36で取付けられた複数個の伸縮リンクを用いた中央維持機構37、37を用いて取付けた壁面用目地装置6Dを用いた点で、このような壁面用目地装置6Dを用いて構成した目地装置1Dにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0028】
図22ないし
図24に示す本発明を実施するための第6の形態において、前記本発明を実施するための第1の実施の形態と主に異なる点は、第1の滑車29と他方のワイヤー固定金具32の中間の上部位置になるように壁面用目地プレート本体20の内壁面に第2の滑車30を設けた吊り上げ機構24Dを用いた点で、このような吊り上げ機構24Dを用いた壁面用目地装置6Dを使用した目地装置1Eにしても、同様な作用効果が得られる。
【0029】
この実施例で、ガイド筒26、26を、よりスムーズにスライド移動させるために、ガイド筒26、26の先端部にガイド軸27、27と接触するローラを設けるとよい。
【0030】
なお、中央維持機構37、37の中央枢支部35、35に枢支される壁面用目地プレート本体20の中央部に固定された枢支ピン38、38は付勢スプリング39、39で中央維持機構37、37側へ付勢しておくことにより、左右の躯体4、4が異なる前後方向に揺れ動いても、損傷なく、その揺れ動きを吸収することができる。
【0031】
図25ないし
図28に示す本発明を実施するための第7の形態において、前記本発明を実施するための第5の形態と主に異なる点は、壁面用目地プレート本体20Dの背面に吊り上げ機構24を取付けた壁面用目地プレート17Eを用い、この吊り上げ機構24の外周部の壁面用目地プレート本体20Dに傾斜面のカバー40、40を取り付けて、該吊り上げ機構24を覆い、地震で壁目地部3が狭くなると
図27に示すようにカバー40、40で吊り上げ機構24の損傷を防止することができる壁面用目地装置6Eを用いた点で、このような壁面用目地装置6Eを用いて構成した目地装置1Fにしても、前記本発明を実施するための第5の形態と同様な作用効果が得られる。
【0032】
なお、前記本発明を実施するための各形態ではワイヤー33と第1の滑車29、第2の滑車30、第3の滑車31、あるいは第1の滑車29、第2の滑車30を用いた吊り上げ機構24、24A、24Bについて説明したが、本発明はこれに限らず、ワイヤー33の代わりにチエーンを用い、滑車の代わりにチエーンホイールを用いた吊り上げ機構を用いても同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は目地部を介して設けられた左右の躯体の床目地部と壁面間の目地部を覆う目地装置を製造する産業で利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1、1A、1B、1C、1D、1E、1F:目地装置、
2:床目地部、 3:壁目地部、
4:躯体、 5:床用目地装置、
6、6A、6B、6C、6D:壁面用目地装置、
7:目地プレート支持凹部、
8:傾斜面、 L:床目地部の幅寸法、
9:目地プレートスライド支持凹部、
10:床用目地プレート、 11:目地プレート取付具、
12:ヒンジ部材、 13:カバープレート、
14:傾斜面、
15:壁面プレートスライド支持凹部、
16:ヒンジ部材、
17、17A、17B、17C、17D:壁面用目地プレート、
18:背面板、 19:ビス、
20、20A、20B、20C、20D:壁面用目地プレート本体、
21:背面板、 22:ビス、
23、23A、23B、23C、23D:スライドカバー、
24、24A、24B、24C、24D:吊り上げ機構、
25:付勢スプリング、 25a:ストッパー、
26:ガイド筒、 27:ガイド軸、
28:ワイヤー固定金具、 29:第1の滑車、
30:第2の滑車、 31:第3の滑車、
32:他方のワイヤー固定金具、 33:ワイヤー、
34:幕板、 35:中央枢支部、
36:ヒンジ部材、 37:中央維持機構、
38:枢支ピン、 39:付勢スプリング、
40:カバー、 41:取付け板。