【実施例】
【0023】
以下、本発明の実施例を
図1〜
図5を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明の実施例において、キャップ装着装置100(以下、「装着装置100」という。)は、チューブラックTに着脱可能に保持されている複数の創薬用のチューブとしてのマイクロチューブ10(
図4。以下、「チューブ10」という。)の開口部12に、キャップラックCに着脱可能に保持されている複数のキャップ20(
図3,
図4)を、それぞれ装着する装置である。
キャップ20が装着される容器であるチューブ10には、すべて、収容物としての創薬用の試料が収容されている。キャップ20は、チューブ10の開放口を形成している開口部12に挿入されて、開口部12を密封する。
【0024】
図1〜
図4を参照すると、装着装置100は、ベースBと、複数である設定数のチューブ保持部Taを有するチューブラックTおよび前記設定数(すなわち、チューブ保持部Taと同数)のキャップ保持部Caを有するキャップラックCをX軸方向およびY軸方向での所定位置としての第1所定位置(
図1,
図2に示される位置である。)に位置決めされた状態で支持するテーブルとしてのターンテーブル112を有する支持部材110と、キャップ保持部Caに保持されているキャップ20をチューブ保持部Taに保持されているチューブ10の開口部12に装着する複数の押込みピンPを有するピン部材120と、ターンテーブル112(したがって、ターンテーブル112上でキャップ保持部Caに保持されているキャップ20)とピン部材120とのX軸方向での相対的な位置であるX軸位置を変更するX軸アクチュエータ130と、ターンテーブル112(したがって、ターンテーブル112上でキャップ保持部Caに保持されているキャップ20)とピン部材120とのY軸方向での相対的な位置であるY軸位置を変更するY軸アクチュエータ140と、ターンテーブル112(したがって、ターンテーブル112上でキャップ保持部Caに保持されているキャップ20)とピン部材120とのZ軸方向での相対的な位置であるZ軸位置を変更するZ軸アクチュエータ150と、ターンテーブル112および各アクチュエータ130,140,150を制御する制御装置160(
図2に模式的に示されている。)とを備える。
【0025】
装着装置100によるキャップ装着作業の開始前において、キャップ20は、第1所定位置にあるキャップラックCのすべてのキャップ保持部Caに保持されており、チューブ10は、第1所定位置にあるチューブラックTのすべてのチューブ保持部Taに保持されている。
なお、図の繁雑化を避けるために、
図1では、すべてのキャップ保持部Caに保持されているキャップ20およびキャップ保持部Caの一部は省略されており、
図4では、キャップ保持部Caの一部が省略され、キャップラックCの一部が破断されて示されるチューブ保持部Taに保持されているチューブ10は省略されている。
【0026】
ベースBは、X軸アクチュエータ130が取り付けられる主ベースB1と、主ベースB1に対して直交して設けられて、Z軸アクチュエータ150が取り付けられる副ベースB2とを有する。
X軸アクチュエータ130はターンテーブル112を駆動してX軸方向に移動させ、Y軸アクチュエータ140はピン部材120を駆動してY軸方向に移動させ、Z軸アクチュエータ150は、Y軸アクチュエータ140およびピン部材120を駆動してZ軸方向に移動させる。電動アクチュエータである各アクチュエータ130,140,150は、周知の電動スライダから構成され、電動機および該電動機により駆動されるボールネジ機構を備える駆動部(図示されず)により駆動されて直線往復運動を行うスライダ131,141,151を有する。
本実施例において、X軸方向およびY軸方向は、互いに直交する水平方向であり、Z軸方向は上下方向である。
【0027】
すべてのチューブ保持部Taにおいて、X軸方向ピッチおよびY軸方向ピッチは等しく、すべてのキャップ保持部Caにおいて、X軸方向ピッチおよびY軸方向ピッチは等しい。さらに、チューブ保持部Taおよびキャップ保持部Caに関して、X軸方向ピッチ同士は等しく、Y軸方向ピッチ同士も等しい。
そして、チューブラックTおよびキャップラックCは、第1所定位置に位置決めされた状態で、Z軸方向で互いに対向する1つのチューブ保持部Taおよび1つのキャップ保持部Ca毎に、キャップ保持部CaがZ軸方向でチューブ保持部Taの真上に位置し、かつチューブ保持部Taに保持されているチューブ10の開口部12の前記開放口の真上にキャップ保持部Caに保持されているキャップ20が位置する整合位置で、Z軸方向に重ねられて、Z軸方向で位置決めされている。
【0028】
支持部材110は、X軸アクチュエータ130のスライダ131に固定状態で設けられる支持台111と、支持台111に回転可能に支持されるターンテーブル112と、支持台111に内蔵されると共にターンテーブル112を回転駆動するテーブル用アクチュエータ118(例えば、電動機であり、
図2に模式的に示されている。)とを有する。支持台111およびターンテーブル112は、X軸アクチュエータ130に駆動されて、X軸方向に平行な直線往復運動を行う。
【0029】
ターンテーブル112は、両ラックT,Cが第1所定位置で載置される載置部材である載置テーブル113と、載置テーブル113に設けられて両ラックT,Cを整合状態で第1所定位置に位置決めする位置決め部材114,115と、載置テーブル113が固定される連結部116とを有する。位置決め部材114,115は、固定具としてのボルト117により、載置テーブル113に着脱可能に固定されている。連結部116は、アクチュエータ118により回転駆動されて、Z軸方向に平行な回転中心線L(
図3)を中心に載置テーブル113と一体に回転する。
【0030】
回転中心線Lを中心に回転可能なターンテーブル112は、設定回転角度(本実施例では90°である。)を形成する第1回転位置(
図4に実線で示される位置である。)と第2回転位置(
図4に二点鎖線で示される位置である。)との間で、位置決め部材114,115により位置決めされた両ラックT,Cを移動させる。そして、第1回転位置は第1所定位置を設定し、第2回転位置は、両ラックT,Cを、X軸方向およびY軸方向での、第1所定位置とは異なる別の所定位置に位置決めされた状態で支持する第2所定位置を設定する。
【0031】
図3,
図4,
図5を参照すると、第1所定位置にある両ラックT,Cにおいて、設定数のチューブ保持部Taは、X軸方向に配列されている第1所定数のチューブ保持部TaからなるX軸チューブ保持列Txが第2所定数の列数を形成して、そしてY軸方向に配列されている第2所定数のチューブ保持部TaからなるY軸チューブ保持列Tyが第1所定数の列数を形成して配置されている一方、設定数のキャップ保持部Caは、X軸方向に配列されている第1所定数のキャップ保持部CaからなるX軸キャップ保持列Cxが第2所定数の列数を形成して、そしてY軸方向に配列されている第2所定数のキャップ保持部CaからなるY軸キャップ保持列Cyが第1所定数の列数を形成して配置されている。
なお、
図5では、キャップ20が省略されている。
【0032】
複数である第1所定数は、複数である第2所定数よりも大きく、本実施例において、第1所定数は24であり、第2所定数は16であり、第1所定数は第2所定数よりも2以上大きい。そして、第2所定数は第1所定数の1/2以上の数である。別の例として、第1所定数が24以外の数であり、第2所定数が16以外の数であってもよい。
ターンテーブル112は、両ラックT,Cを、Y軸チューブ保持列TyおよびY軸キャップ保持列CyがX軸方向に並んでいる状態となる第1所定位置と、X軸チューブ保持列TxおよびX軸キャップ保持列CxがX軸方向に並んでいる状態となる第2所定位置で支持可能である。
【0033】
図1,
図2を参照すると、ピン部材120は、ピン部121と、該ピン部121を固定状態で支持するホルダ126とを有する。ピン部121は、X軸方向に1以上で第2所定数未満である所定列数、本実施例では1列のピン列122と、1つの押込みピンPからなる単独ピン123とを有する。ピン列122は、Y軸方向に配列された第2所定数以下の複数である第3所定数の押込みピンPからなる。本実施例では、第3所定数は第2所定数に等しい。
【0034】
Y軸アクチュエータ140のスライダ141に固定状態で設けられるホルダ126は、第1ピン部としてのピン列122を支持する第1ホルダ127と、第2ピン部としての単独ピン123を支持する第2ホルダ128とを一体に有する。両ホルダ127,128は、Y軸方向で離隔して配置されている。
ホルダ126およびピン部121は、Y軸アクチュエータ140に駆動されて、Y軸方向に平行な直線往復運動を行う。Y軸アクチュエータ140は、Z軸アクチュエータ150のスライダ151に固定状態で設けられ、Z軸アクチュエータ150に駆動されて、Z軸方向に平行な直線往復運動を行う。
【0035】
ピン列122のすべての押込みピンPおよび単独ピン123の押込みピンPは、X軸方向で同じ位置にあり、X軸方向に直交する1つの直交平面上にある(
図2)。単独ピン123の先端部は、ピン列122の各押込みピンPの先端部よりも下方に位置し、Z軸方向でテーブルおよび両ラックT,Cに近い位置にある。このため、単独ピン123でのキャップ装着動作時に、ピン列122の押込みピンPがキャップラックCに届かないので、単独ピン123を使用することで、すべてのチューブ保持部Taのうちの1以上の任意のチューブ保持部Taに保持されているチューブ10に、キャップ20を装着することができる。
【0036】
制御装置160は、予め入力された制御情報に基づいて、シーケンス制御により、X軸方向、Y軸方向またはZ軸方向でのターンテーブル112およびピン部121の位置(したがって、X軸位置、Y軸位置またはZ軸位置)を制御するために各アクチュエータ130,140,150の制御し、さらにターンテーブル112を第1,第2回転位置に制御するためにアクチュエータ118を制御する。
【0037】
前記制御情報には、ピン列122および単独ピン123が、装着装置100によるキャップ装着作業の開始および完了のために、第1,第2所定数およびチューブラックTにおいてキャップ20を装着すべきチューブ10の位置に応じたターンテーブル112のX軸方向での位置(すなわち、X軸位置)を設定するための情報と、第1,第2所定数、ピン列122を構成する押込みピンPの数に応じたピン部121のY軸方向での位置(すなわち、Y軸位置)を設定するための情報と、ピン列122および単独ピン123の初期位置(
図1,
図2に示される位置である。)およびチューブ10へのキャップ20の装着が完了する装着完了位置(すなわち、ストローク量)を設定するためのZ軸方向での位置(すなわち、Z軸位置)に関する情報とが含まれる。
【0038】
図1〜
図5を参照して、装着装置100の動作およびキャップ装着作業に含まれる各工程を説明する。
なお、
図5には、Z軸方向で対応する位置にあるチューブ保持部Taおよびキャップ保持部Caが1つのほぼ正方形状の枠で示される一方、各キャップ保持部Caに保持されているキャップ20は省略されている。
【0039】
先ず、
図1〜
図4を主に参照し、
図5を適宜参照して、チューブラックTのすべてのチューブ保持部Taに保持されているチューブ10に、キャップ20が装着される場合を説明する。
準備工程において、ターンテーブル112が、X軸方向で原点位置(
図2において、図示されている位置よりも左方の位置である。)を占めるときに、ターンテーブル112は制御装置160により制御されるアクチュエータ118の作動により第1回転位置にある。この状態の載置テーブル113上で、チューブラックTおよびキャップラックCは、位置決め部材114,115により、整合位置で重ねられた状態で、第1所定位置に位置決めされて載置される。この位置決めにより、両ラックT,Cにおいて、Y軸チューブ保持列TyおよびY軸キャップ保持列Cyが第1所定数の列を形成してX軸方向に並ぶ。
【0040】
準備工程に続く送り工程において、ターンテーブル112は、X軸アクチュエータ130により駆動されて、原点位置から、X軸方向での送り方向に移動して、Z軸アクチュエータ150が駆動するピン列122によるキャップ20の装着が行われるX軸方向での位置であるX軸作業位置に達する。
該X軸作業位置は、X軸方向に並んだ第1所定数のY軸チューブ保持列Ty(キャップラックCにおいてはY軸キャップ保持列Cy)に対して、X軸方向の送り方向で前端部の端部Y軸チューブ保持列Ty1(または、端部Y軸キャップ保持列Cy1)から、後端部の端部Y軸チューブ保持列Ty24(または、端部Y軸キャップ保持列Cy24)まで、1つのY軸チューブ保持列Ty(または、Y軸キャップ保持列Cy)毎に、ターンテーブル112がX軸方向に逐次移動した後に停止して占めるX軸方向での位置である。
図1〜
図3には、端部Y軸チューブ保持列Ty1(したがって、端部Y軸キャップ保持列Cy1)でのキャップ装着動作が行われるX軸作業位置でのターンテーブル112およびピン部材120が示されている。
【0041】
ここで、キャップ装着動作とは、各押込みピンPが、キャップ保持部Caに保持されているキャップ20を、キャップ保持部Caから下方に押し出して、チューブ保持部Taに保持されているチューブ10の開口部12に挿入した状態で押し込むことにより、該開口部12にキャップ20を装着する動作である。
【0042】
送り工程に続く装着工程において、X軸作業位置において、ピン列122は、Z軸アクチュエータ150により駆動されて、初期位置から装着完了位置まで下方に移動するキャップ装着動作により、Y軸キャップ保持列Cyのキャップ20をY軸チューブ保持列Tyのチューブ10に装着し、その後、上方に移動する戻り動作により、初期位置に戻る。ピン列122は、各Y軸チューブ保持列Tyおよび各Y軸キャップ保持列Cyに対してこの動作を繰り返して、すべてのチューブ10にキャップ20が装着される。この間、ピン列122および単独ピン123は、Y軸アクチュエータ140の作動により、1以上の、本実施例では1つのY軸方向での位置であるY軸作業位置を占めている。
【0043】
チューブラックTのすべてのチューブ10に対するキャップ20の装着が完了した後の戻り工程において、ターンテーブル112はX軸方向での戻り方向に移動して原点位置に戻り、両ラックT,Cが載置テーブル113から取り外されて、キャップ装着作業が完了する。次いで、キャップ装着作業の対象となる新たな両ラックT,Cに対して、キャップ装着作業が開始される。
なお、第1所定数のY軸チューブ保持列Tyのうちの一部である1以上の特定のY軸チューブ保持列の各チューブ10にキャップ20が装着されない場合、ターンテーブル112は、X軸アクチュエータ130により駆動されて、前記特定Y軸チューブ保持列でのキャップ装着動作が行われるX軸方向での位置に停止することなく、次のX軸作業位置まで移動する。
【0044】
次に、
図1〜
図5を参照して、第2所定数のX軸チューブ保持列TXのうちの一部である1以上の特定のX軸チューブ保持列Txsが、該特定X軸チューブ保持列Txsの各チューブ10にキャップ20が装着されないキャップ装着対象外チューブ保持列である場合について、ここでは、特定X軸チューブ保持列Txsが、第1所定位置でのY軸方向での両端部の一方の端部の端部X軸チューブ保持列Tx1である場合について、装着装置100の動作を説明する。
【0045】
準備工程において、ターンテーブル112は、原点位置で、アクチュエータ118の作動により回転して第2回転位置にある。この状態の載置テーブル113上で、両ラックT,Cは、位置決め部材114,115により、整合位置にある状態で第2所定位置(
図3に二点鎖線で示される位置である。)に位置決めされる。この位置決めにより、
図5に示されるように、X軸チューブ保持列TxおよびX軸キャップ保持列Cxが第2所定数の列を形成してX軸方向に並んでいる。
【0046】
送り工程において、ターンテーブル112が、X軸アクチュエータ130により駆動されて、原点位置から、Z軸アクチュエータ150が駆動するピン列122によるキャップ20の装着が行われるX軸方向での位置であるX軸作業位置に移動する。
該X軸作業位置は、X軸方向に並んだ第2所定数のX軸チューブ保持列Tx(または、X軸キャップ保持列Cx)に対して、前端部の端部X軸チューブ保持列Tx1がキャップ装着対象外チューブ保持列であることから、該X軸チューブ保持列Tx1に隣接する隣接X軸チューブ保持列Tx2(または、隣接X軸キャップ保持列Cx2)から、後端部の端部X軸チューブ保持列Tx16(または、端部X軸キャップ保持列Cx16)まで、1つのX軸チューブ保持列Tx(または、X軸キャップ保持列Cx)毎に、ターンテーブル112が逐次移動して占める位置である。
なお、
図3には、説明の便宜上、
図5とは異なり、端部X軸チューブ保持列Tx1でのキャップ装着動作が行われるX軸作業位置でのターンテーブル112およびピン列122が示されている。
【0047】
装着工程において、1つのX軸作業位置において、ピン列122は、複数の、本実施例では、2つのY軸方向での位置であるY軸作業位置を占める。
図5には、第1Y軸作業位置でのピン列122の各押込みピンPが実線の円で示されている。
第1Y軸作業位置(
図3にピン列122の押込みピンPの一部が二点鎖線で示される。)において、ピン列122は、先ず、装着作業開始チューブ保持列である隣接X軸チューブ保持列Tx2に対して、第1Y軸作業位置で、キャップ装着動作により、隣接X軸キャップ保持列Cx2のキャップ20を隣接X軸チューブ保持列Tx2のチューブ10に装着し、その後、戻り動作により初期位置に戻る。
【0048】
次いで、ピン列122は、Y軸アクチュエータ140の作動により、第1Y軸作業位置から第2Y軸作業位置に移動する。
図5には、第2Y軸作業位置でのピン列122の各押込みピンPが黒円で示されている。第2Y軸作業位置は、隣接X軸チューブ保持列Tx2において第1Y軸作業位置でのキャップ装着動作によりキャップ20が装着されなかったすべてのチューブ10にキャップ20が装着される位置であり、ピン列122の端部の押込みピンP16が端部Y軸キャップ保持列Cy24のチューブ10にキャップ20を装着する位置である。第2Y軸作業位置で、ピン列122は、キャップ装着動作によりキャップ20をチューブ10に装着し、その後、戻り動作により初期位置に戻る。このキャップ装着動作により、隣接X軸チューブ保持列Tx2の各チューブ10へのキャップ20の装着が完了する。
【0049】
ここで、X軸チューブ保持列Tx毎に、第1,第2Y軸作業位置のいずれにおいても、ピン列122の押込みピンPがキャップ20を押し出す位置まで挿入される位置にある1以上の、本実施例では8つのキャップ保持部Caである重複キャップ保持部Cadに対しては、2回目のキャップ装着動作(X軸チューブ保持列Tx2に関しては、第2Y軸作業位置でのキャップ装着動作)の際に、押込みピンPは、初期位置から装着完了位置まで移動するが、キャップ20の押出、および、重複キャップ保持部Cadに対応する重複チューブ保持部Tadのチューブ10に対してキャップ20を装着しない空動作を行う。
【0050】
次いで、ターンテーブル112は、次のX軸チューブ保持列Tx3でのキャップ装着動作が行われるX軸作業位置に移動して、先ず、第2Y軸作業位置でのキャップ装着動作が行われ、次いで第1Y軸作業位置でのキャップ装着動作が行われて、このX軸チューブ保持列Tx3でのキャップ装着動作が終了する。
その後、ピン列122は、残りの各X軸チューブ保持列Txおよび各X軸キャップ保持列Cxに対して同様の動作を繰り返して、端部X軸チューブ保持列Tx16の第1所定数のチューブ10以外の全チューブ10にキャップ20が装着される。
【0051】
所要のすべてのチューブ10に対するキャップ20の装着が完了した後の戻り工程において、ターンテーブル112は原点位置に戻り、両ラックT,Cが載置テーブル113から取り外されて、キャップ装着作業が完了する。次いで、キャップ装着作業の対象となる新たな両ラックT,Cに対して、キャップ装着作業が開始される。
【0052】
その後、キャップ装着作業が完了したチューブラックTにおいて、キャップ装着対象外チューブ保持列である端部X軸チューブ保持列Tx1のすべてのチューブ10または一部のチューブ10には、端部X軸チューブ保持列Tx以外のX軸チューブ保持列Txの各チューブ10に収容されている試料以外の物質、例えば試薬が、第2収容物として収容される。
【0053】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
装着装置100は、整合位置にあるチューブラックTおよびキャップラックCを第1,第2所定位置で支持するターンテーブルと、X軸作業位置において、キャップラックCに保持されているキャップ20をキャップ保持部Caから押し出して、チューブラックTに保持されているチューブ10の開口部12に押し込んで装着するキャップ装着動作を行うピン列122および単独ピン123とを有する。
これにより、ターンテーブル112上の両ラックT,ラックCに対して、X軸作業位置において、ピン列122および単独ピン123が行うキャップ装着動作により、キャップ保持部Caに保持されているキャップ20を、チューブ保持部Taに保持されているチューブ10の開口部12に装着することができる。
【0054】
第1所定位置の両ラックT,Cにおいて、設定数のチューブ保持部Taは、第2所定数の列数のX軸チューブ保持列TXと第1所定数の列数のY軸チューブ保持列TYとを形成して配置され、設定数のキャップ保持部Caは、第2所定数の列数のX軸キャップ保持列Cxと第1所定数の列数のY軸キャップ保持列Cyとを形成して配置されており、複数である第1所定数は、複数である第2所定数よりも大きく、ピン列122は、Y軸方向に配列された第2所定数以下の複数である第3所定数の押込みピンPからなるを有し、ターンテーブルは、両ラックT,Cを、Y軸チューブ保持列TyおよびY軸キャップ保持列CyがX軸方向に並んでいる状態の第1所定位置と、X軸チューブ保持列TxおよびX軸キャップ保持列CxがX軸方向に並んでいる状態の第2所定位置とで支持可能であり、ピン列122は、第1所定位置のキャップラックCにおけるY軸キャップ保持列CYのキャップ20に対して、唯一のY軸作業位置でキャップ装着動作を行い、第2所定位置のキャップラックCにおけるX軸キャップ保持列Cxのキャップ20に対して、複数のY軸作業位置でキャップ装着動作を行う。
これにより、複数の押込みピンPからなるピン列122は、第1所定位置の両ラックT,Cに対しては、Y軸チューブ保持列Ty毎およびY軸キャップ保持列Cy毎に、第2所定数のチューブ保持部Taに対して、Y軸作業位置を変更することなくキャップ装着動作を行い、第2所定位置の両ラックT,Cに対しては、X軸チューブ保持列Tx毎およびX軸キャップ保持列Cx毎に、第1所定数のチューブ保持部Taに対して、Y軸作業位置を変更して、キャップ装着動作を行う。このように、Y軸チューブ保持列Ty毎でのキャップ装着動作を行うピン列122が、X軸チューブ保持列Tx毎でのキャップ装着動作を行うピン列122を兼ねるので、Y軸チューブ保持列Ty毎でのキャップ装着動作とX軸チューブ保持列Tx毎でのキャップ装着動作とで異なるピン列が必要になる場合に比べて、ピン列122を備える装着装置100の利便性を向上させることができる。
【0055】
さらに、Y軸チューブ保持列Ty毎およびX軸チューブ保持列Tx毎でのキャップ装着動作は、複数の押込みピンPからなるピン列122により行われるので、1回のキャップ装着動作で複数のキャップ20が同数のチューブ10に装着されるため、1つのピンにより1回のキャップ装着動作で1つずつキャップ20がチューブ10に装着される場合に比べて、キャップ装着動作の回数が減少して、キャップ装着作業の効率を向上させることができる。
【0056】
しかも、第1所定位置の両ラックT,Cに対しては、X軸作業位置を変更することにより、Y軸チューブ保持列Ty毎のキャップ装着動作が可能であるので、第1所定数のY軸チューブ保持列Tyの一部である1以上の特定Y軸チューブ保持列を、キャップ装着動作が行われないキャップ装着対象外チューブ保持列とすることが容易にでき、同様に、第2所定位置の両ラックT,Cに対しては、X軸作業位置を変更することにより、X軸チューブ保持列Tx毎のキャップ装着動作が可能であるので、第2所定数のX軸チューブ保持列Txの一部である特定X軸チューブ保持列Txsを、キャップ装着動作が行われないキャップ装着対象外チューブ保持列とすることが容易にできる。このため、1つの装着装置100により、Y軸チューブ保持列TyおよびX軸チューブ保持列Txに、開口部12にキャップ20が装着されていない複数のチューブ10のみから構成されているチューブ列(以下、「無キャップチューブ列」という。)を形成することが可能になって、装着装置100の利便性を向上させることができ、さらに複数のキャップ装着装置が必要である場合に比べて、購入費用および設置スペースを削減することができる。
【0057】
両ラックT,Cが載置されるターンテーブル112は、第1所定位置を設定する第1回転位置と第2所定位置を設定する第2回転位置との間で、回転中心線Lを中心に回転可能であることにより、第1,第2所定位置に両ラックT,Cを位置決めするためには、テーブルの着脱を伴うことなく、ターンテーブル112を回転させればよいので、第1,第2所定位置への両ラックT,Cの位置決め作業が迅速化されて、キャップ装着作業の効率を向上させることができる。
【0058】
第2所定数は第1所定数の1/2以上であり、ピン列122は第2所定数の押込みピンPからなり、Y軸作業位置は、第1所定位置の両ラックT,Cの各Y軸キャップ保持列Cyのすべてのキャップ20に対して1つであり、第2所定位置のキャップラックCの各X軸キャップ保持列Cxでのすべてのキャップ20に対して2つである。
これにより、第1所定位置の両ラックT,Cに対しては、Y軸チューブ保持列Tyのすべてのチューブ10に対して1回のキャップ装着動作でキャップ20が装着され、第2所定位置の両ラックT,Cに対しては、X軸チューブ保持列Txのすべてのチューブ10に対して2回のキャップ装着動作でキャップ20が装着されるので、キャップ装着動作の回数が減少して、キャップ装着作業の効率を向上させることができる。
【0059】
ピン部121が、ピン列122と単独ピン123とを有し、ピン列122および単独ピン123のすべての押込みピンPが、X軸方向で同じ位置にあることにより、ピン列122および単独ピン123によるキャップ装着動作が行われる場合に、第1所定位置におけるY軸チューブ保持列Ty毎および第2所定位置におけるX軸チューブ保持列Tx毎でのX軸作業位置の変更が不要になるので、ピン列および単独ピンが、X軸方向で異なる位置に配置されているためにX軸作業位置の変更が必要になる装着装置に比べて、キャップ装着作業の効率を向上させることができる。
しかも、ピン列122および単独ピン123を有するピン部121は、ホルダ126を介して共通のY軸アクチュエータ140に設けられていることにより、ピン列122および単独ピン123の併用によるキャップ装着動作が行われる場合に、ピン列および単独ピンが別々のアクチュエータに設けられる装着装置に比べて、ピン列122によるキャップ装着動作と単独ピン123によるキャップ装着動作とを切り換えるためのピン列122および単独ピン123の移動時間の短縮が可能になるので、ピン列122および単独ピン123が併用されるときのキャップ装着作業の効率を向上させることができ、さらに、装着装置100の構造を簡単化および小型化することができて、装着装置100のコストを削減することができる。
【0060】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
第1所定数が第2所定数よりも1だけ大きい場合などに、装着装置100により、ピン列122および単独ピン123によるキャップ装着動作が行われてもよい。この場合に、ピン列122および単独ピン123のすべての押込みピンPは、X軸方向で同じ位置にあることにより、第3所定数が第2所定数未満であるときの第1所定位置におけるY軸チューブ保持列Ty毎、および、第2所定位置におけるX軸チューブ保持列Tx毎でのX軸作業位置の変更が不要になるので、ピン列および単独ピンがX軸方向で異なる位置に配置されているためにX軸作業位置の変更が必要になる場合に比べて、キャップ装着作業の効率を向上させることができる。
【0061】
第2所定数が第1所定数の1/2以上であり、ピン列122が、Y軸チューブ保持列Ty第2所定数のチューブ保持部Taに対して1つ置きに対応して配列された第2所定数の1/2の押込みピンPからなるものであってもよい。この場合には、前記空動作を含む動作により、第2所定位置の両ラックT,Cに対しても、X軸チューブ保持列Tx毎に、1つ置きにキャップ20が装着されたチューブ10が得られ、さらに、Y軸方向でY軸チューブ保持列Tyの1列置きに、キャップ装着対象外チューブ保持列であるY軸チューブ保持列Tyが形成され得る。
さらに、空動作を含むキャップ装着動作により、すべてのY軸チューブ保持列TyおよびすべてのX軸チューブ保持列Txのそれぞれの、すべてのチューブ10にキャップ20を装着することもできる。
【0062】
ターンテーブルは、前記実施例のように、駆動源を備える自動式のもの以外に、駆動源をもたないマニュアル式のものであってもよい。
ターンテーブルの位置決め部材は、バネやアクチュエータにより載置テーブル113に対して移動可能な可動部材から構成されてもよく、また、載置テーブル113に対して、その取付位置が変更可能に取り付けられてもよい。
ピン列を構成している押込みピンの数である第3所定数が第2所定数未満である場合には、第1所定位置におけるY軸チューブ保持列Tyでのキャップ装着動作の際に、該ピン列は、Y軸作業位置を変更して、複数のY軸作業位置でキャップ装着動作を行う。
【0063】
チューブラックTにおいて、一部のY軸チューブ保持列TyまたはX軸チューブ保持列TXは、それら保持部にチューブ10が保持されていないことにより、キャップ装着対象外チューブ保持列であってもよい。この場合には、すべてのチューブ保持部Taにチューブ10が保持されているチューブラックT以外に、チューブ10が保持されていないY軸チューブ保持列TyおよびX軸チューブ保持列Txを有するチューブラックTも、装着装置100によるキャップ装着作業の対象になることから、装着装置100の利便性を向上させることができる。
【0064】
第2所定位置での両ラックT,Cにおいて、キャップ装着対象外チューブ保持列は、両端部X軸チューブ保持列Tx1,Tx16でもよいし、第2所定位置でのX軸方向における両端部X軸チューブ保持列Tx1,Tx16の間のX軸チューブ保持列TXである1以上の任意の中間X軸チューブ保持列であってもよい。
そして、第1(第2)所定位置での両ラックT,Cにおいて、キャップ装着対象外チューブ列同士は、X軸方向で隣り合って位置していてもよいし、それらの間に1以上の別のY軸(X軸)チューブ保持列を挟んで位置していてもよい。