(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シートの撓み量が所定の撓み量になったとき、又は、前記検知体を用いてシート有りが検知されたとき、前記排出ローラーは前記上流側ローラーと同じシート搬送速度で回転することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
前記排出ローラーは前記上流側ローラーよりもシート搬送速度を遅らせることにより、又は、前記排出ローラーにシートが突き当たってから回転を開始することによりシートを撓ませることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を
図1〜
図9を用いて説明する。尚、本実施形態では、後処理装置1(シート搬送装置)を含む複合機100(画像形成装置に相当)を例に挙げ説明する。具体的に、以下の説明では、後処理装置1がシート搬送装置に相当する。但し、本実施の形態に記載される構成、配置等の各要素は発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0019】
(複合機100の本体)
まず、
図1に基づき、実施形態に係る複合機100の概略を説明する。
図1は、複合機100の正面断面図である。
【0020】
図1に示すように、複合機100の左側面には後処理装置1が取り付けられる(
図1では後処理装置1の一部を破線で図示)。そして、複合機100は上部に、原稿搬送部2aと画像読取部2bが設けられる。原稿搬送部2aは原稿トレイ21に積載された原稿を1枚ずつ画像読取部2bの読取位置(送り読取用コンタクトガラス22)に向けて搬送する。原稿トレイ21には、コピーやスキャンを行う原稿が複数載置される。又、原稿搬送部2aは紙面奥側に設けられた支点(不図示)により、上方に持ち上げ、書籍等の原稿を載置読取用コンタクトガラス23に載せることができる。
【0021】
画像読取部2bは原稿を読み取り画像データを生成する。画像読取部2bの内部には、水平方向(
図1で言えば、左右方向)に移動する移動枠(露光ランプ、ミラー等を具備)、レンズ、イメージセンサー(例えば、CCD)等の光学系部材(いずれも不図示)が設けられる。そして、画像読取部2bは送り読取用コンタクトガラス22を通過する原稿や載置読取用コンタクトガラス23に載置された原稿に光を照射し、その原稿の反射光を受けたイメージセンサーの各画素の出力値をA/D変換し、画像データを生成する。そして、複合機100は読取られた画像データに基づく印刷(コピー機能)や、得られた画像データの送信等(スキャン機能、FAX機能)を行う。
【0022】
次に、
図1に破線で示すように、正面上方に(画像読取部2bの前面に)、コピー等の設定入力を受け付け、各種情報を表示する操作パネル3(入力部に相当)が設けられる。そして、操作パネル3はタッチパネル部31や液晶表示部32を含む。液晶表示部32は複合機100の状態表示や、実行するジョブの機能設定用のキー、ボタンなどを含む各種設定用の画面を表示する。タッチパネル部31により押されたキーやボタンが、操作パネル3で認識される。又、操作パネル3には、数字等の入力用のテンキー部33や、ジョブの実行開始を指示するスタートキー34のようなハードキーも設けられる。
【0023】
そして、複合機100の筐体内に、シート供給部4a、搬送部4b、画像形成部5a、定着部5b等が設けられる。
【0024】
シート供給部4aは印刷に用いるシートTを収容、供給するカセット41を複数含む。カセット41は垂直方向に積まれる(41a、41b、41c、41dの計4つ)。各カセット41は各種(普通紙、コピーシート、再生紙など)、各サイズ(A4のようなA型シートやレターサイズなど)のシートTを複数(500〜1000枚程度)収容する。各カセット41a〜41dには、回転駆動し、シートTを1枚ずつ搬送部4bに送り出すピックアップローラー42がそれぞれ設けられる。
【0025】
搬送部4bは装置内でシートTを搬送する通路を含む。そして、搬送部4bには、シートTの搬送時に回転駆動する複数の搬送ローラー対43(
図1では、上流側から43a〜43hを図示)や、搬送されるシートTを画像形成部5aの手前で待機させ、トナー像形成に合わせてシートTを送り出すレジストローラー対44等が設けられる。
【0026】
画像形成部5aは画像データに応じたトナー像を形成し、搬送されるシートTに形成したトナー像を転写する。尚、画像データには、画像読取部2bで取得された原稿の画像データや、複合機100に接続されるコンピューター200(
図3参照)等から送信された画像データが利用される。
【0027】
そして、画像形成部5aは回転駆動可能に支持された感光体ドラム51や、その周囲に配設された帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写ローラー55、クリーニング装置56等を含む。
【0028】
感光体ドラム51は画像形成部5aの略中心に設けられ、所定方向に回転駆動する。帯電装置52は感光体ドラム51を所定電位に帯電させる。露光装置53は画像データに基づき、レーザ光Lを出力し、感光体ドラム51表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。又、現像装置54は感光体ドラム51に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。転写ローラー55は感光体ドラム51に圧接し、ニップを形成する。そして、レジストローラー対44がタイミングを図りシートTをニップに進入させる。シートTとトナー像のニップ進入時、転写ローラー55には所定の電圧が印加される。これにより、シートTに感光体ドラム51上のトナー像が転写される。クリーニング装置56は転写後に感光体ドラム51に残留するトナー等を除去する。
【0029】
定着部5bはシートTに転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着部5bは主として発熱体を内蔵する加熱ローラー57と加圧ローラー58で構成される。加熱ローラー57と加圧ローラー58は圧接しニップを形成する。そして、シートTがこのニップを通過すると、トナーが溶融・加熱され、トナー像がシートTに定着する。トナー定着後のシートT(印刷後のシートT)は後処理装置1に向けて送られる。
【0030】
(後処理装置1)
次に、
図2を用いて実施形態に係る後処理装置1を説明する。
図2は後処理装置1の断面図である。
【0031】
まず、後処理装置1の右側面上部には、複合機100の左側面から排出されるシートTを受け、後処理装置1内にシートTを搬入する搬入口1aが設けられる。搬入口1aの近傍には、後処理装置1へのシートTの搬入を検知する搬入センサー11が設けられる。搬入センサー11はアクチュエーターと透過型の光センサーを含み、シートTが存在しているとき(到達し、通過しているとき)の出力とシートTが無いときの出力が異なる。この搬入センサー11を用いて、後処理装置1へのシートTの搬入が認識される。
【0032】
そして、後処理装置1には、シートTの搬送経路に沿って、搬入口1aから順に、パンチ部12、第1搬送ローラー対13、第2搬送ローラー対14(上流側ローラーに相当)、処理トレイ15、排出ローラー対16(排出ローラーに相当)、排出トレイ17が設けられる。
【0033】
パンチ部12はシートTに対し、穿孔処理を行うための部分である。操作パネル3でパンチ処理を行う設定がなされた印刷ジョブでは、パンチ部12は各シートTに対し穿孔処理を行う。
【0034】
パンチ部12の下流側には、第1搬送ローラー対13と第2搬送ローラー対14が設けられる。第1搬送ローラー対13と第2搬送ローラー対14は回転駆動し、搬入されたシートTを処理トレイ15や排出ローラー対16方向に搬送する。
【0035】
処理トレイ15はステープルを行うシートTを一時的に束として積載(スタック)する。言い換えると、処理トレイ15のシートTの載置面には、シートTを排出トレイ17に排出する前に一旦(一時的に)シートTを載置することができる。又、処理トレイ15はシートTの搬送方向下流側が上流側よりも持ち上げられるように傾けられる。
【0036】
又、排出ローラー対16が処理トレイ15のシートTの搬送方向下流端に設けられる。排出ローラー対16は上部ローラー161と下部ローラー162を含む。上部ローラー161と下部ローラー162は正方向(シートTを排出トレイ17に排出する方向)に加え、逆方向(シートTを処理トレイ15下方に押しやる方向)にも回転でき、処理トレイ15へのスタックや、シートTの排出トレイ17への排出を行う(詳細は後述)。
【0037】
尚、処理トレイ15のシートTの搬送方向下流側の上部であって、排出ローラー対16の近傍にシートTの排出を検知するための排出センサー151(検知体に相当)が設けられる。排出センサー151は反射型の光センサーである。排出センサー151はシートTが存在しているとき(到達し、通過しているとき)の出力とシートTが無いときの出力が異なる。この排出センサー151を用いて、排出センサー151の設置位置へのシートTの到達やシートTの排出が認識される。
【0038】
又、処理トレイ15の下方(上流側下部)には、処理トレイ15に蓄積されたシートTに対してステープル処理を行うステープル部152が設けられる。操作パネル3でステープル処理を行う設定がなされた印刷ジョブでは、ステープル部152によりシートTの束に対しステープル処理がなされる。
【0039】
又、処理トレイ15には、シートTを幅方向(後処理装置1の正面視前後方向)で規制する一対の規制ガイド153が設けられる。規制ガイド153はモーターやギア等の整合部19(
図3参照)により、揺動される。整合部19は後処理装置1の正面視前後方向(シートTの束の排出方向に対して垂直な方向)規制ガイド153を揺動させる。これにより、処理トレイ15上のシートTは幅方向で整合される。
【0040】
排出トレイ17は上下方向に移動可能である。排出トレイ17に載置されたシートTが重くなるに従い、排出トレイ17は下方に移動する。これにより、排出トレイ17上の排出済みのシートTによって排出ローラー対16からのシートTの排出が妨げられることなく、排出トレイ17に大量のシートTを載置することができる。
【0041】
(複合機100のハードウェア構成)
次に、
図3に基づき、後処理装置1を含む複合機100のハードウェア構成を説明する。
図3は複合機100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0042】
図3に示すように、本実施形態に係る複合機100は各種素子、回路等を組み合わせて構成される主制御部6(制御基板)を有する。主制御部6はHDD64、通信部7(入力部に相当)、原稿搬送部2a、画像読取部2b、操作パネル3、印刷エンジン部40などと通信可能に接続される。そして、主制御部6は各部と通信を行い、各部の動作を制御し、又、情報を得る。
【0043】
主制御部6はメインCPU61、記憶部62、画像処理部63などを有する。メインCPU61は主制御部6の演算処理装置であり、記憶部62に記憶されるデータ、プログラムに基づき、処理、制御を行う。記憶部62は不揮発性の記憶装置(フラッシュROM)と、揮発性の記憶装置(例えば、RAM)との組み合わせである。記憶部62はジョブ実行等、各種制御に要するデータ、プログラムを記憶する。尚、主制御部6には、大容量の記憶装置としてHDD64を接続でき、主制御部6は、HDD64を記憶装置の1つとして利用できる。HDD64は、各種制御に要するデータ、プログラムのほか、画像データなどを記憶する。
【0044】
画像処理部63は画像読取部2bで生成された画像データや、外部から入力された画像データに対し画像処理を施す。画像処理部63は画像処理専用のASICや画像処理用のメモリーや回路などを含む。画像処理部63は画像処理後の画像データを印刷のため露光装置53に送ることもできるし(コピー機能、プリンター機能)HDD64に記憶することもできるし(スキャナ機能)、後述の通信部7から外部(コンピューター200、FAX装置300等)に送信することもできる(スキャナ機能、FAX機能)。尚、メインCPU61と記憶部62で、機能的に画像処理部63が実現されてもよい。又、画像処理部63が行える画像処理は、拡大・縮小処理や、濃度変更等、多岐にわたるので、公知の画像処理を実行できるものとして詳細は割愛する。
【0045】
主制御部6は通信部7と接続される。通信部7はネットワーク、回線、ケーブル等を通じて外部のコンピューター200(例えば、パーソナルコンピューターやサーバー)やFAX装置300と通信を行うためのインターフェイスである。そのため、通信部7は各種コネクタや通信用の回路、素子、コントローラー、変復調回路等を含む。主制御部6はこの通信部7を介した通信により、コンピューター200やFAX装置300から印刷用データ(画像データや設定データ)を受信でき、外部のコンピューター200やFAX装置300に画像データを送信できる。
【0046】
複合機100への設定入力や表示に関し、操作パネル3が設けられる。この操作パネル3内には、主制御部6の指示を受け、実際に操作パネル3の動作を制御する表示制御部35が設けられる。表示制御部35は、CPUやメモリーや各種回路などで構成される。そして、表示制御部35は、液晶表示部32での表示制御や、タッチパネル部31で押された位置の座標と押されたキーの認識や、テンキー部33やスタートキー34等の各種ハードキーへの操作等、操作パネル3に対する操作の認識や操作に対する表示の制御を行う。
【0047】
次に、複合機100には、印刷を行う部分として印刷エンジン部40が設けられる。印刷エンジン部40には、上述したシート供給部4a、搬送部4b、画像形成部5a、定着部5b等が含まれる。そして、印刷エンジン部40内には、主制御部6の指示を受け、実際に印刷エンジン部40内の各部の動作を制御するエンジン制御部50が設けられる。エンジン制御部50は、CPUやメモリーなどを含む。そして、エンジン制御部50は給紙、搬送、トナー像形成、定着部5bの温度制御など、印刷エンジン部40に含まれる部材の制御を行う。
【0048】
又、主制御部6は印刷エンジン部40のエンジン制御部50に動作指示を中継させて、後処理装置1に対する動作指示を与える。又、印刷エンジン部40のエンジン制御部50も、後処理装置1への動作指示を与え得る。エンジン制御部50は印刷に関する制御を統括し、後処理装置1は印刷エンジン部40(エンジン制御部50)に従属するものとして扱われる。
【0049】
そして、後処理装置1内には、エンジン制御部50の指示を受けて、実際に後処理装置1の動作を制御する後処理制御部10(認識部に相当)が設けられる。後処理制御部10はCPU101やメモリー102などを含む。そして、後処理制御部10は、搬入センサー11の出力を受けて、後処理装置1へのシートTの搬入や搬入センサー11の設置位置からのシートTの通過を検知する。
【0050】
又、排出センサー151の出力は後処理制御部10に入力される。後処理制御部10は排出センサー151の出力を受け、出力の大きさ(出力レベル)に基づき、排出センサー151の設置位置にシートTが存在しているか否かを検知する。
【0051】
又、後処理制御部10は第1搬送ローラー対13や第2搬送ローラー対14を回転させる第1搬送モーター14mの回転を制御する。搬入センサー11でシートTの搬入が検知されると、後処理制御部10は少なくとも、第2搬送ローラー対14をシートTの後端が抜けるまでは(第2搬送ローラー対14がシートTを搬送しきるまでは)、第1搬送モーター14mを駆動させて第1搬送ローラー対13や第2搬送ローラー対14を回転させる。
【0052】
又、後処理制御部10はパンチ部12、ステープル部152の動作を制御する。操作パネル3でパンチを行う設定がなされた印刷ジョブでは、後処理制御部10は各シートTに対してパンチ部12に穿孔処理を行わせる。又、操作パネル3でステープルを行う設定がなされた印刷ジョブでは、後処理制御部10は処理トレイ15に積載された1部のシートTの束に対してステープル部152にステープル処理を行わせる。又、ステープル処理を行うため、処理トレイ15にシートTを積載するとき、後処理制御部10は整合部19を動作させ、シートTの束の整合処理を行わせる。又、後処理制御部10は排出ローラー対16を回転させる第2搬送モーター16mの動作を制御して排出ローラー対16の制御を行う。
【0053】
(後処理装置1に関する設定)
次に、
図4に基づき、実施形態に係る後処理装置1の設定を説明する。
図4は操作パネル3での後処理装置1の利用に関する設定画面81を示す説明図である。
【0054】
上述のように、本実施形態の複合機100では、後処理装置1にステープル処理やパンチ処理を行わせることができる。具体的には、使用者は操作パネル3を操作し、液晶表示部32にステープル処理やパンチ処理の設定のための設定画面81を表示させ得る。設定画面81では、後処理装置1にステープル処理を行わせるか(部ごとに処理トレイ15にシートTを積載させたうえで排出するか否か)やパンチ処理を行うか否かを設定することができる。
【0055】
使用者はステープル処理を後処理装置1に行わせるとき、ステープル実行キーK1(「設定する」と記されたキー)を押す。又、使用者は、ステープル処理を行わないとき、ステープル不実行キーK2(「設定しない」と記載されたキー)を押す。
【0056】
ステープル実行キーK1が押された状態でOKキーK3が押されると、操作パネル3から主制御部6に向けてステープルを行う旨が通知される。そして、ステープル処理を行う旨が設定されたうえで印刷ジョブが開始されると、主制御部6はエンジン制御部50を介し、後処理制御部10に向けて印刷のときステープル処理を実行すべき旨を伝える。これにより、後処理制御部10は処理トレイ15にシートTを積載し、ステープル処理をすべきことを認識する。
【0057】
一方、ステープル不実行キーK2が押された状態でOKキーK3が押されると、操作パネル3から主制御部6に向けてステープルを行わない(処理トレイ15にシートTを蓄積、積載しない)旨が通知される。尚、デフォルトでは、ステープルを実行しない設定とされる。ステープル処理を実行しない設定で印刷ジョブが開始されると、主制御部6はエンジン制御部50を介し、後処理制御部10に向けて印刷のときステープル処理は必要無い旨を伝える。これにより、後処理制御部10は処理トレイ15にシートTを積載せずに、シートTを通常排出で排出トレイ17に排出する。
【0058】
(通常排出)
次に、
図5に基づき、本実施形態の後処理装置1でのシートTの通常排出を説明する。
図5は上部ローラー161と下部ローラー162とが接している状態を示す断面図である。尚、
図5は
図2の破線囲部分を拡大した図である。
【0059】
まず、本実施形態の後処理装置1では、アーム部18が上下方向に移動可能となっている。アーム部18には、排出ローラー対16の上部ローラー161などが取り付けられている(詳細は後述)。
図5に示すように、通常排出のとき、アーム部18は上部ローラー161と下部ローラー162が接する(ニップする)位置で固定される。
【0060】
上述のように、ステープル処理を行わないとき、シートTは処理トレイ15に積載(蓄積)されることなく排出トレイ17に通常排出される。具体的には、パンチ処理やステープル処理を行わない印刷ジョブや、パンチ処理を行うもののステープル処理を行わない印刷ジョブでは、シートTが排出トレイ17に通常排出される。
【0061】
通常排出時、後処理制御部10は第2搬送モーター16mを回転させ、排出ローラー対16(上部ローラー161と下部ローラー162)を正方向(排出トレイ17にシートTを排出する方向)に回転駆動させる。これにより、排出ローラー対16は第2搬送ローラー対14から排出ローラー対16に到達したシートTを排出トレイ17に向けて排出する。言い換えると、処理トレイ15を用いたステープル処理を行わないとき、排出ローラー対16の各ローラーは連続的にシートTを排出トレイ17に排出する。
【0062】
(ステープル処理時の動作)
次に、
図5、
図6を用いて、ステープル処理時の動作を説明する。
図6は上部ローラー161と下部ローラー162とを離間させた状態を示す断面図である。尚、
図6も
図2の破線囲部分を拡大した図である。
【0063】
ステープル処理のため、処理トレイ15にシートTを載置、積載するとき、後処理制御部10はステープル処理が完了するまでアーム部18を上方向に移動させ、上部ローラー161と下部ローラー162を離した状態とする(上部ローラー161と下部ローラー162によるニップの形成を解除する)。
【0064】
アーム部18の左端部に上部ローラー161が取り付けられる。又、アーム部18を上下方向で移動させるため、アーム部18の上側にギア部19が設けられる。ギア部19には歯面が設けられている。そして、ギア部19に噛み合うように、ギア部19やアーム部18の上方にギア軸190が設けられる。ギア軸190が回転することで、第2搬送ローラー対14の上側のローラーを支点として、アーム部18を上方向に移動させたり、下方向に移動させ、上部ローラー161と下部ローラー162を離したり、接するようにしたりすることができる。
【0065】
アーム部18を上下方向に移動させるためのモーターが設けられてもよいし、第2搬送モーター16mの駆動がギア軸190に伝達されてもよい。第2搬送モーター16mを正方向(上部ローラー161や下部ローラー162がシートTを排出トレイ17に排出する回転方向)に駆動させると、ギア軸190は上部ローラー161と下部ローラー162が接する方向に回転する(アーム部18が下降する)。一方、第2搬送モーター16mを逆方向(上部ローラー161や下部ローラー162がシートTを排出トレイ17に排出する回転方向と逆方向)に駆動させると、ギア軸190は上部ローラー161が下部ローラー162から離れる方向に回転する(アーム部18が上昇する)。
【0066】
そして、ステープル処理を行うシートTの束(部)の1ページ目から最後のページが第2搬送ローラー対14を抜けるまで、後処理制御部10はアーム部18を上昇させ、上部ローラー161と下部ローラー162の間は離され、アーム部18は持ち上げられた状態を保つ。
【0067】
上部ローラー161と下部ローラー162の間は空いているので、第2搬送ローラー対14により搬送されるシートTの先端は、上部ローラー161と下部ローラー162の間を抜ける。そして、アーム部18内に設けられた送り部材(不図示)によって、シートTは処理トレイ15の下方にむけて送られる。例えば、送り部材はシートTを処理トレイ15の下(斜め右下)に送る方向に回転し、最上位のシートTと接するパドル、コロや、シートTを処理トレイ15の下(斜め右下)に向けてはたき落とす方向に動くガイド板などである。
【0068】
シートTは自重や送り部材によって処理トレイ15の下方向(斜め右下)方向に送られる。そして、処理トレイ15にはシートTの後端(斜め右下側の端部)を受け止めるストッパー154が設けられる。シートTの下方端はストッパー154に突き当たることになる。送り部材とストッパー154により、シートTは長さ方向(シートTの搬送方向)で整合されつつ、積載される。尚、各シートTの先端側(排出トレイ17側)の一部は上部ローラー161と下部ローラー162との間よりも排出トレイ17側に突き出た状態で処理トレイ15にシートTの束が積載されていく。
【0069】
そして、処理トレイ15にステープル処理を行うのに必要な枚数(1部)のシートTが積載されると、後処理制御部10はステープル部152にステープルを行わせる。
【0070】
ステープル処理後のシートTの束を排出トレイ17に排出するため、後処理制御部10は排出ローラー対16の上部ローラー161が下部ローラー162に接する方向(下方向)にアーム部18を移動させる。具体的には、後処理制御部10は第2搬送モーター16mを正回転させ、ギア軸190を回転させ、アーム部18を処理トレイ15に近づく方向(上部ローラー161が下部ローラー162に近づく方向)に移動させる。
【0071】
これにより、排出ローラー対16(上部ローラー161と下部ローラー162)がステープル処理されたシートTの束を挟む状態となる。そして、後処理制御部10はシートTの束を排出トレイ17に排出する方向(正方向)に第2搬送モーター16mを回転させつづける。言い換えると、後処理制御部10はシートTの束が排出トレイ17に搬送される方向に排出ローラー対16を回転させる。その後、まだ、ステープル処理を行うのであれば、後処理制御部10はアーム部18を上方向に移動させ、上部ローラー161と下部ローラー162を離れさせる。
【0072】
(排出センサー151とシートTの排出方向)
次に、
図7、
図8を用いて、排出センサー151によるシートTの検知とシートTの排出方向について説明する。
図7はシートTの排出方向を説明するための説明図である。
図8は排出センサー151の検知特性を示すグラフである。
【0073】
まず、本実施形態の後処理装置1では、排出ローラー対16と第2搬送ローラー対14の間に排出センサー151が設けられる。具体的には、排出センサー151は処理トレイ15のシート載置面15aに設けられる。排出センサー151はシートTの到達やシートTの排出トレイ17への排出を検知するためのセンサーである。そのため、排出センサー151は排出ローラー対16(下部ローラー162)の近傍に設けられる。
【0074】
排出センサー151は反射型の光センサーである。排出センサー151の設置位置ではできるだけ排出ローラー対16に近い方が好ましいので、排出センサー151の設置位置はアーム部18と処理トレイ15の間が狭い位置となる。そのため、回転するアクチュエーターの設置スペースをとり難いなどの構成上の理由により、排出センサー151には透過型の光センサーではなく、反射型の光センサーが用いられる。
【0075】
排出センサー151は発光部151L(LEDなどの発光素子)と受光部151R(フォトトランジスタやフォトダイオードなどの受光素子)を含む(
図3参照)。排出センサー151は検知面151aから発光し、シートTによって反射された光を受光し、受光量によって出力が異なる。そして、排出センサー151の出力は後処理制御部10に入力される。後処理制御部10は排出センサー151の出力に基づき、排出センサー151の検知領域(設置点)でのシートTの有無を検知(認識)する。後処理制御部10は排出センサー151の出力レベルがHighかLowか(排出センサー151の受光部151Rの出力が閾値以上であるか否か)に基づき、シートTの有無を検知する。
【0076】
図7に示すように、処理トレイ15は斜めに傾いている。そのため、排出センサー151(の検知面151a)も傾く。そのため、
図7に実線矢印で示すように、排出センサー151は正面からみて右斜め上方向に光を照射する(光軸が斜め右上に傾いている)。
【0077】
そして、
図7では、白抜矢印により、従来の通常排出時のシートTの搬送経路(搬送姿勢、搬送方向)を示している。一方、網掛矢印により、ステープル処理時の処理トレイ15からのシートTの搬送経路(搬送姿勢、搬送方向)を示している。
【0078】
ここで、
図8を用いて、本実施形態の排出センサー151(反射型光センサー)の検知の特性を説明する。
図8のグラフの横軸は排出センサー151の光軸の垂直方向に対するシートTの傾き(角度)の大きさを示す(光軸に対する角度が90度の場合が、グラフでの0度にあたる)。本実施形態の排出センサー151は検知面151aに対し、90度の角度で光を発するので、検知面151aとシートTが平行であれば0度である。又、
図8のグラフの縦軸は排出センサー151がシートTの存在を検知できる排出センサー151(検知面151a)からシートTまでの距離(検知距離)を示す。
【0079】
そして、
図8のグラフでは、OHPのシートTを検知するときのシートTの排出センサー151に対する傾きと検知距離との関係を実線でプロットしている。
図8に示すように、水平方向からみて、排出センサー151の光軸に対するシートTの角度が90度の状態からずれるほど、OHPのシートTを検知できる距離は短くなる。
図8の例では、排出センサー151の光軸に対し、シートTの搬送経路(搬送姿勢、搬送方向)の角度が90度の状態から±12〜13度程度ずれると、検知できる距離が短くなり、誤検知が生じやすくなる。
【0080】
例えば、ずれが大きくなるほど(90度からのシートTの傾斜が大きくなるほど)、後処理制御部10は排出センサー151の検知領域にシートTが存在しているのにシートTが無いと検知しやすくなる。又、シートTの傾斜が受光部151Rの出力が閾値近辺をさまよう程度のとき、後処理制御部10はシートTが有るという検知(認識)と無いという検知(認識)を、短時間の間に断続的(連続的)に繰り返すことになる。尚、
図8では、OHPのシートTの場合を例に挙げているが、反射型光センサーはシートTの反射光を受光するので、排出センサー151の光軸に対し、シートTの搬送経路(搬送姿勢、搬送方向)が90度の状態からずれるほど、誤検知が生じやすくなる。
【0081】
そうすると、排出センサー151の光軸の垂直方向に対しシートTが傾斜していると、後処理制御部10はシートTが排出されていないのに(シートTの後端が排出センサー151を抜けていないのに)、シートTが排出されたと誤検知する場合がある。あるいは、シートTが排出センサー151の設置位置に到達しているのに、後処理制御部10はシートTが未到達と誤検知する場合も考えられる。誤検知があれば、適切にシートTの搬送制御を行えなくなる可能性がある。
【0082】
例えば、本実施形態の後処理制御部10は排出センサー151を用いてジャム発生を認識する。搬入センサー11によりシートTを検知してから、シートTの到達を検知すべき時間内に排出センサー151によりシートTの到達を検知できないときや、シートTの通過(シートTの排出)を検知すべき時間内に排出センサー151によりシートTの排出を検知できないとき、後処理制御部10はシートTの詰まり(ジャム)発生と認識する。そして、ジャム発生を認識すると、後処理制御部10は各モーターを停止させ、シートTの搬送を停止させる。そのため、誤検知によって、シートTの搬送が無駄に停止する。
【0083】
図7に示すように、ステープル処理の場合、シートTは処理トレイ15に載置されるので、シートTと排出センサー151の距離は近い。又、排出センサー151の光軸に対してシートTの搬送経路(搬送姿勢、搬送方向)はほぼ90度となる。従って、OHPのシートTを処理トレイ15に載置する場合には、排出センサー151によるシートTの有無の誤検知は基本的に無い。
【0084】
しかし、OHPのシートTに対してはステープル処理を通常行わない。そのため、OHPのシートTは通常排出される。従来、
図7に示すように、通常排出の搬送経路(搬送姿勢、
図7の白抜矢印)は排出センサー151の光軸の垂直方向に対し、傾いている。そのため、従来のように、単にOHPのシートTを通常排出すると、OHPのシートTの有無の誤検知をしてしまう場合がある。
【0085】
そこで、本実施形態の後処理装置1では、通常排出のとき、排出ローラー対16を用いてシートTを撓ませつつシートTの排出を行う。
【0086】
(シートTの搬送)
次に、
図9を用いて、本実施形態の後処理装置1での通常排出時のシートTの搬送を説明する。
図9は通常排出時のシートTの搬送を説明するための説明図である。尚、
図9は
図5の破線部分を拡大した断面図である。又、
図9では太線でシートTを示している。
【0087】
上述のように、後処理制御部10は通常排出のとき、第2搬送ローラー対14と排出ローラー対16の間でシートTが排出センサー151に近づく、又は、シートTが前記検知体の光軸に対して垂直に近づくようにシートTを撓ませてシートTの搬送を排出ローラー対16に行わせる。言い換えると、後処理制御部10は排出ローラー対16を用いて撓みを形成させる。
【0088】
具体的には、撓み形成のため、後処理制御部10は第2搬送ローラー対14よりも排出ローラー対16のシート搬送速度を遅らせてもよい。言い換えると、後処理制御部10は第2搬送ローラー対14のローラーの周速度よりも、排出ローラー対16のローラーの周速度が遅くなるように、第1搬送モーター14mや第2搬送モーター16mを回転させる。
【0089】
あるいは、撓み形成のため、後処理制御部10は排出ローラー対16にシートTが突き当たってから撓み形成時間経過後に(シートTの撓み量が所定の撓み量になったとき)、排出ローラー対16の回転を開始させてもよい。言い換えると、後処理制御部10は排出ローラー対16にシートTが突き当たってから撓み形成時間経過後、第2搬送モーター16mを正方向に回転させる。ここで、第1搬送ローラー対13や第2搬送ローラー対14のシート搬送速度は一定とされる。そこで、後処理制御部10は搬入センサー11でシートTの先端到達を検知してから、シートTが排出ローラー対16に突き当たるまでの時間にシートTを必要なだけ撓ませるための時間(撓み形成時間)を加えた時間経過したとき、排出ローラー対16の回転を開始させる。この場合、撓み量が一定となり、必要以上にシートTを撓ませずにすむ。あるいは、後処理制御部10は排出センサー151によりシート有りが検知されたとき(後処理制御部10が排出センサー151の出力に基づきシートTの存在を認識したとき)、第2搬送モーター16mを正方向に回転させてもよい。
【0090】
そして、排出ローラー対16は撓んだシートTが排出センサー151の検知面151aに接するようにシートTを撓ませつつ搬送する。排出ローラー対16と第2搬送ローラー対14の位置関係や設置角度やアーム部18が上側の押さえとして撓み方向を規制し、シートTは排出センサー151の検知面151aに近づく、又は、シートTが前記検知体の光軸に対して垂直に近づくように撓む。これにより、シートTがOHPのシートTであっても、後処理制御部10は排出センサー151を用いてOHPのシートTの存在や先端到達や後端通過を正確に認識できる。
【0091】
尚、排出センサー151の検知面151aに接するようにシートTを撓ませるため、シートTの撓み方向をガイドする撓みガイド16aを設けてもよい。撓みガイド16aは上部ローラー161の近傍で排出センサー151の上方位置に設けられ、下方向に湾曲した形状とする。これにより、確実にOHPのシートTなどのシートTを排出センサー151の検知面151aに接するように撓ませることができる。
【0092】
(通常排出時の流れ)
次に、
図10、
図11を用いて、通常排出時の流れを説明する。
図10は通常排出時の流れを示すフローチャートである。
図11は用いるシートTの種類を設定するための設定画面82を示す説明図である。
【0093】
まず、
図10のスタートは通常排出を行う設定で実行された印刷ジョブの1枚目のシートTが後処理装置1の搬入口1aに到達した時点である。言い換えると、ステープル処理を行わない設定で実行されたジョブの1枚目のシートTが後処理装置1の搬入口1aに到達したことを、後処理制御部10が搬入センサー11を用いて検知した時点である。尚、処理トレイ15にシートTを載置してから(ステープル処理を行ってから)排出トレイ17にシートTを排出するとき、後処理制御部10は第2搬送ローラー対14と排出ローラー対16の間でシートTを撓ませないで、排出ローラー対16にシートTの搬送を行わせる。
【0094】
搬入口1aから後処理装置1内にシートTが搬入されると、後処理制御部10は第1搬送モーター14mを回転させる(ステップ♯1)。これにより、第1搬送ローラー対13や第2搬送ローラー対14が回転し、第1搬送ローラー対13や第2搬送ローラー対14により、排出ローラー対16に向けてのシートTの搬送が行われる。尚、印刷ジョブでの全てのシートTが排出されるまで、第1搬送モーター14mは回転させ続けていればよい。又、パンチ処理を行う設定がなされていれば、後処理制御部10は通過してゆくシートTに対してパンチ部12に穿孔処理を行わせる。
【0095】
やがて、シートTの先端は排出ローラー対16に到達する(ステップ♯2)。後処理制御部10は搬入センサー11を用いてシートTの先端到達を検知してから第1搬送ローラー対13や第2搬送ローラー対14を用いて排出ローラー対16までシートTを搬送するのに要する時間が経過したとき、シートTの先端が排出ローラー対16に到達したと認識すればよい。
【0096】
そして、後処理制御部10は排出ローラー対16と第2搬送ローラー対14の回転速度に差を設け、シートTを撓ませてシートTを搬送させる(ステップ♯3)。この場合、上述のように、シートTが撓んでから排出ローラー対16の回転を開始させてもよいし、排出ローラー対16のシート搬送速度を第2搬送ローラー対14よりも遅くしてもよい。
【0097】
ここで、OHPのシートTのように光を透過させない白色のシートT(普通紙やコピー用紙など)の場合、シートTを撓ませなくても、後処理制御部10は排出センサー151の出力に基づき、シートTの有無を正確に検知できる場合がある。そこで、後処理制御部10は操作パネル3に対してシートTの種類がOHPのシートTであることを受け付けたとき、第2搬送ローラー対14と排出ローラー対16の間でシートTを撓ませつつ、排出ローラー対16にシートTの搬送を行わせてもよい。この場合、操作パネル3は後処理装置1の動作の設定を行うための入力部として機能する。尚、後処理装置1に入力用のボタンやパネルが別途設けられてもよい。
【0098】
ここで、
図11を用いて、複合機100の各カセット41内のシートTに関する設定を説明する。
図11に示すように、使用者は操作パネル3を操作することにより、
図11に示すようなシート設定画面82を表示させることができる。
【0099】
シート設定画面82では、各カセット41に収容されるシートTに係る設定を行うことができる。各カセット41について、現在設定されているシートTのサイズと、シートTの種類が表示される。そして、現在のシートTの種類の設定値(
図11の例では普通紙やOHPのシートTなど)の表示欄に対し、変更キーK4が設けられる。変更キーの表示位置をタッチすることで、別途、シートTの種類を設定するためのキーが複数表示される。そして、シートTの種類を示すキーの表示位置をタッチすることで、シートTの種類を設定できる。設定可能なシートTの種類としては、普通紙、OHPのシートTの他、薄紙、厚紙、ラベル紙、はがき、加工紙などがある。このように、操作パネル3はOHPのシートTを含めシートTの種類を設定する入力を受け付ける。
【0100】
尚、このようなシートTの種類の設定は複合機100に通信可能に接続されたコンピューター200で行えてもよい。コンピューター200にシート設定画面82を表示させ、コンピューター200で使用者によりシートTの種類の設定がなされると、コンピューター200は複合機100(の通信部7)に設定内容を送信する。これにより、コンピューター200を用いたシートTの種類の設定が受け付けられる。この場合、通信部7が各カセット41のシートTの種類を設定する入力を受け付ける入力部として機能する。
【0101】
そして、上述のように、後処理制御部10はシートTの種類がOHPのシートTであるとき、第2搬送ローラー対14と排出ローラー対16の間でシートTを撓ませつつ、排出ローラー対16にシートTの搬送を行わせる。
【0102】
次に、後処理制御部10は撓み量が所定の撓み量となったか否か、又は、排出センサー151を用いてシートが有るかどうかを確認する(ステップ♯4)。あまりに撓み量が多いと、排出ローラー対16の部分でシートTの詰まり(ジャム)が生じてしまう可能性があるためである。
【0103】
具体的には、シートTが排出センサー151の検知面151aに接し、かつ、ジャムが生じない範囲の撓み量を所定の撓み量と定めてもよい。ここで、シートTの先端が排出ローラー対16に到達した時点(到達したと認められる時点)から現時点までの第2搬送ローラー対14の搬送量(搬送距離)と、シートTの先端が排出ローラー対16に到達した時点(到達したと認められる時点)から現時点までの排出ローラー対16によるシートTの搬送量(搬送距離)との差を撓み量として扱ってもよい。
【0104】
シートTの先端が排出ローラー対16に到達したときに排出ローラー対16を停止させておくのであれば、後処理制御部10はシートTの先端が排出ローラー対16に到達した時点(到達したと認められる時点)から所定の撓み量分の距離を第2搬送ローラー対14がシートTを搬送した時点に撓み量が所定の撓み量となったと判断する。
【0105】
一方、排出ローラー対16は回転させるが搬送速度を第2搬送ローラー対14よりも遅らせるのであれば、後処理制御部10はシートTの先端が排出ローラー対16に到達した時点(到達したと認められる時点)からの第2搬送ローラー対14の搬送量と排出ローラー対16の搬送量の差が所定の撓み量となったとき、撓み量が所定の撓み量となったと判断する。
【0106】
所定の撓み量となったときや、又は、シートTを撓ませることにより、排出センサー151の出力に基づき後処理制御部10がシート有りを検知すれば、それ以上シートTを撓ませる必要はない。そこで、所定の撓み量となっていれば(ステップ♯4のYes)、後処理制御部10は排出ローラー対16の搬送速度を変化させ、排出ローラー対16と第2搬送ローラー対14のシート搬送速度を同じとする(ステップ♯5、止まっている状態からの回転開始を含む)。言い換えると、2つのローラー対の単位時間あたりの搬送距離を同じにする。これにより、撓み量は一定に維持されたまま、シートTは搬送される。一方、所定の撓み量となっていなければ(ステップ♯4のNo)、シートTの十分な撓みを確保するため、フローはステップ♯3に戻る。
【0107】
やがて、後処理制御部10は排出センサー151の出力変化により(シートTが無いときの出力値への変化により)、排出ローラー対16からシートTが排出されたことを検知する(ステップ♯6)。
【0108】
次に、後処理制御部10はいったん排出ローラー対16の回転を停止させる(ステップ♯7)。
そして、後処理制御部10は印刷ジョブでの全てのシートTの排出が完了したか否か(まだ通常排出するシートTが残っているか否か)を確認する(ステップ♯8)。もし、まだ通常排出すべきシートTが残っていれば(ステップ♯8のNo)、フローはステップ♯1に戻る。
【0109】
一方、全てのシートTの排出が完了したのであれば(ステップ♯8のYes)、後処理制御部10は第1搬送モーター14mや第2搬送モーター16mの回転停止や、排出センサー151停止など(発光をやめさせ)により、後処理装置1でのシートTの搬送動作を停止させる(ステップ♯9→エンド)。
【0110】
このようにして、本実施形態の後処理装置1(シート搬送装置)はシートTを搬送する上流側ローラー(第2搬送ローラー対14)と、上流側ローラーよりもシートの搬送方向下流側に設けられ、排出トレイ17に向けてシートTを排出する排出ローラー(排出ローラー対16)と、排出ローラーと上流側ローラーの間に設けられ、発光し、シートTで反射した光を受光する光学反射型の検知体(排出センサー151)と、検知体の出力に基づき、検知体の検知領域でのシートTの有無を検知する認識部(後処理制御部10)と、を含み、検知体に向けてのシートTの搬送経路が複数種設けられ、前記検知体は複数種の搬送経路のうち、少なくとも1つの搬送経路に対して検知面151aが傾けられて設置され、排出ローラーは上流側ローラーと排出ローラーの間で、シートTが検知体に近づく、又は、シートTが検知体の光軸に対して垂直に近づくようにシートTを撓ませてシートの搬送を行う。
【0111】
これにより、シートTと検知体(排出センサー151)の距離が近くなり、検知体はシートTの反射光を受光しやすくなる。又、シートTと検知体の距離を近づけつつシートTを撓ませるので、水平方向からみた検知体の光軸に対するシートTの角度を90度に近付けることができる。従って、シートTを検知体に近づけつつ、検知体で検知する上でシートTの姿勢を理想的に角度とするので、OHPのシートTのような光を透過するシートTでも反射型の検知体を用いてシートTの有無を正確に検知することができる。
【0112】
又、上流側ローラー(第2搬送ローラー対14)と排出ローラー(排出ローラー対16)対の間に、排出トレイ17に排出する前にシートTを載置し、シート載置面15aに検知体(排出センサー151)が設けられる処理トレイ15が設けられ、排出ローラーは処理トレイ15にシートTを載置せずに排出トレイ17にシートTを排出するときに、上流側ローラーと排出ローラーの間でシートTを撓ませつつ、シートTの搬送を行い、処理トレイ15にシートTを載置してから排出トレイ17にシートTを排出するとき、シートTを撓ませないでシートTの搬送を行う。これにより、処理トレイ15にシートTを載置せずに排出トレイ17に直接シートTを排出するとき、排出ローラーはシートTを撓ませるので、光を透過するシートTでも反射型の検知体を用いて正確に検知することができる。一方、処理トレイ15にシートTが載置される場合、検知体の直上にシートTは存在しているので(光軸に対するシートTの角度ほぼ90度であり、シートTと検知体の距離はほぼゼロであるので)、処理トレイ15上のシートTがOHPのシートTであっても、反射型の検知体を用いて正確に処理トレイ15上のシートTの有無を検知することができる。又、処理トレイ15にシートTが載置される場合、シートTを撓ませないでシートTを排出するので、スムーズに排出できる。
【0113】
又、排出ローラー(排出ローラー対16)は検知体(排出センサー151)の検知面151aに接するようにシートTを撓ませつつ搬送する。これにより、検知体の光軸に対するシートTの角度はほぼ90度となるとともに、検知体とシートTの距離は極めて近づけることができる。従って、OHPのシートTような光を透過するシートTでも反射型の検知体を用いて正確にシートTの有無を検知することができる。
【0114】
又、シートTの撓み量が所定の撓み量になったとき、又は、前記検知体を用いてシート有りが検知されたとき、排出ローラー(排出ローラー対16)は上流側ローラー(第2搬送ローラー対14)と同じシート搬送速度で回転する。シートTの撓み量が検知体(排出センサー151)でシートTの存在を検知できる程度以上に撓められるとジャムを生じさせる可能性がある。しかし、シートTの撓み量に一定の制限がかけられる。これにより、シートTが撓みすぎないようにすることができ(撓み量が一定に抑えられ)、シートTのジャム(詰まり)を生じないようにすることができる。
【0115】
又、排出ローラー(排出ローラー対16)は上流側ローラー(第2搬送ローラー対14)よりもシート搬送速度を遅らせることにより、又は、排出ローラーにシートTが突き当たってから回転を開始する。これにより、確実にシートTを撓ませることができる。
【0116】
又、本実施形態の後処理装置1(シート搬送装置)は搬送するシートTの種類を選択する入力を受け付ける入力部(操作パネル3、通信部7)を有し、入力部がシートTの種類がOHPのシートTであることを受け付けたとき、排出ローラー(排出ローラー対16)は上流側ローラー(第2搬送ローラー対14)と排出ローラーの間でシートTを撓ませつつ、シートTの搬送を行う。これにより、検知体(排出センサー151)に対するシートTの角度など、正確な検知にするための条件が厳しいOHPのシートTを搬送するときにシートTを撓ませる。従って、OHPのシートTの有無を反射型の検知体を用いて正確に検知することができる。又、OHPのシートTのように光を透過させないシートTの場合、シートTを撓ませないようにしてシートTの搬送を迅速に滑らかに行われるようにする。
【0117】
又、画像形成装置(複合機100)は上述の後処理装置1(シート搬送装置)を含む。これにより、反射型光センサーを用いてシートT(特にOHPのシートT)を正確に検知できるシート搬送装置を含む。従って、OHPのシートTを用いて印刷を行っても、誤検知がなく、シートTの搬送の制御が適切に行われる画像形成装置(を提供することができる。
【0118】
又、他の実施形態を説明する。上記の実施形態では、操作パネル3でステープル処理を行うか否かの設定を行える例を説明した。しかし、コンピューター200から画像データなどを送信して印刷ジョブを複合機100に行わせるとき(複合機100をプリンターとして用いるとき)、コンピューター200でステープル処理を行うか否かの設定を行えるようにしておいてもよい。複合機100の通信部7はコンピューター200から画像データとともに、ステープル処理を行うか否かを示す設定データを受ける。そして、主制御部6は後処理装置1にプリンタージョブで通常排紙を行うかステープル処理を行うかを指示する。
【0119】
又、上記の説明では、後処理装置1の排出ローラー対16の回転を制御してシートTを撓ませる例を説明した。しかし、後処理装置1ではなく複合機100本体側の排出を行うローラー部分で、シートTの搬送経路(搬送姿勢、搬送方向)が複数有る場合、排出を行うローラーの回転を遅らせてシートTを撓ませてからシートTを排出するようにしてもよい。従って、実施形態に係るシート搬送装置は後処理装置1ではなく複合機100本体に含まれるようにしてもよい。
【0120】
以上、実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。