(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
家庭または工場等に設置されている一般的な消火器は、大形かつ大重量で消火操作に腕力を要し、概して使用し辛いという問題があった。
このため、前記問題を解決するものとして、小形軽量で簡便に使用できる簡易消火具が種々提案されている。
【0003】
例えば、前記簡易消火具のなかに、カバーを被着したパイプ体の内部にガスボンベを収容し、その下端に噴射孔を形成した皿状のノズルを取り付け、前記パイプ体の上端部にプッシャーガイド体を取り付け、該ガイド体に撃針を装着したプッシャーを摺動可能に装着し、前記プッシャーガイド体の内部にボンベレシーバーを取り付け、該レシーバーにガスボンベの口元ネジを螺着し、常時はプッシャーにセーフティプレートを差し込んで、その移動を阻止するようにしている。
【0004】
そして、消火時にセーフティプレートを抜き取り、プッシャーの外部を手で叩いて内側へ押し込み、撃針をガスボンベ側へ移動して封板を破封し、噴出した充填ガスをパイプ体の内部から軸本体の内部へ導き、これを破封位置と反対側の噴射孔から噴射するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかし、前記消火具は、不使用時の破封防止にセーフティプレートを要するとともに、消火時の咄嗟の際にセーフティプレートの操作が分かり辛く、また把持部が小さいためセーフティプレートを引き抜き辛く、破封に手間取る一方、破封後、噴出ガスをパイプ体とガスボンベとの隙間に導いて、破封位置と反対側の噴射孔から噴射しているため、噴出圧力や噴射速度が減衰し、消火作用が低下する等して初期消火の実効を期し難く、しかも破封後の噴出ガスがパイプ体の内部に残留し、充填ガスの全量を使用することができなかった。
【0006】
また、他の簡易消火具として、上方カバー体にガスボンベを収納する筒体を上下動可能に螺着し、前記筒体の上部に上方カバー体の下端に係合可能なストッパを設け、常時は筒体の上動操作を阻止する一方、上方カバー体に撃針を取付けた貫挿部を下方に突設するとともに、前記筒体の上端部にガスボンベをねじ込み可能なボンベ嵌着体を取付け、ガスボンベの封板の直上に撃針の尖端を位置付け、消火時はストッパを押圧しながら筒体を上方へ回動して破封し、消火ガスを噴射孔から外部へ噴出するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
しかし、前記消火具は不使用時の破封防止にストッパを要するとともに、破封時に筒体の多くの回動操作を要して、破封操作が煩雑な上に手間が掛かって速やかに消火できず、しかも破封後は消火ガスが瞬時に噴出するため、消火ガスを火元に向けて正確に噴出することが難しく、初期消火の実効を得られない等の問題があった。
【0008】
このような問題を解決するものとして、出願人は、上下側ケースの内側にガスボンベを保持するボンベホルダと、針管を突設した破封ホルダとを近接離反動可能に配置し、前記破封ホルダ内の連通路に常時は閉弁可能な制御弁を取付け、破封後の消火ガスをボンベホルダの通孔と破封ホルダの通路に滞留させ、操作レバーを操作し制御弁を開弁した際、消火ガスを噴口から噴出し、火元に確実かつ有効に噴射するようにした消火具を開発している(例えば、特許文献3参照)。
【0009】
しかし、前記消火具は破封後の消火ガスを確実かつ有効に火元に噴射し得るが、上下側ケースの間に不使用時の破封防止用の安全リングを要し、部品点数の増加とその着脱操作が煩雑である等の問題があった。
【0010】
一方、簡易消火具は、家庭または事務所等に設置する他に自動車に装備し、自動車火災に対応できるものが望まれている。
その場合の車載用簡易消火具としては、消火機能以外に自動車からの脱出機能を具備させ、衝突事故等の非常時に車室から脱出を図れるものが望まれていた。
【0011】
出願人は、このような要請に応じられるものとして、ガスボンベを保持可能なボンベホルダに破封杆を上下動可能に装着するともに、ボンベホルダの外側に外筒を装着し、該外筒の一側にシートベルト導入溝とカッターを設け、また外部に表出するガスボンベの底部にハンマー部材を設け、消火時にガスボンベを破封して消火ガスを噴射し、車両火災に対応させるとともに、衝突事故等の非常時に消火具を保持し、シートベルト導入溝にシートベルトを挿入してカッターで切断し、上肢の拘束を解除するとともに、ウィンドガラスに前記ハンマー部材を殴打して破砕し、車室からの脱出を図れる消火具を開発している(例えば、特許文献4参照)。
【0012】
前記消火具は車載用として、車両火災等の非常時に車室からの脱出機能を備え、非常事態に対応し得るが、そのようなトラブルが夜間に発生した場合、トラブルの発生を他者に速やかに告知する手段を有しないため、交通事故を誘発する懸念があり、予てよりその解決が望まれていた。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明をカートリッジ式ガスボンベを使用した車載用の消火ガス噴射器に適用した図示の実施形態について説明すると、
図1乃至
図20において1は、内部に消火ガスとして二酸化炭素を充填した小形のガスボンベで、該ガスボンベ1の口元部にネジ部3を形成し、該ネジ部3を破封装置2の下部にねじ込んで取り付けている。
実施形態のガスボンベ1は、外径約40mm、長さ約130mm、風袋約90mlで、内部に約4MPaの二酸化炭素を充填し、充填後の重量が約300gのものを用い、前記ガスの充填後、口元部に封板4をシールし、底部に後述するハンマー部材を取り付けている。
【0031】
前記破封装置2は、外殻を形成する合成樹脂製のハウジング5と、該ハウジング5の周面に上下に回動可能に取り付けた合成樹脂製の操作レバー6と、ハウジング5の内部に収容する合成樹脂製の照明筒7と、該照明筒7の内部に収容する破封ホルダ8と、ガスボンベ1を保持可能なボンベホルダ9とで、構成されている。
【0032】
このうち、前記ハウジング5は透明または半透明の透光性の合成樹脂で筒体に形成され、該筒体は縦方向に二つ割りした一対のハウジングピース5a,5bを接着して構成され、該ハウジングピ−ス5a,5bの接合部に、係合溝10a,10bと11a,11b、および凹状湾曲溝12a,12bが形成され、係合溝11a,11bの上端部にピン孔12を形成している。
図中、12c,12dは前記凹状湾曲溝12a,12bの下端部内面に設けた係合壁で、操作レバー6の下端部に係合可能に配置されている。
【0033】
また、ハウジングピース5a,5bの内側面に、照明筒7の外周面と係合可能な係合溝13と、照明筒7に取り付けた複数の警告灯と係合可能な係合溝14が形成され、該係合溝14の内面に多数の凹部(図示略)が散点模様状に成形され、若しくはシボ加工されて、警告灯の光を乱反射可能にしている。
【0034】
前記操作レバー6は透明または半透明の透光性の合成樹脂を略L字形状に成形し、その上端部に略半円柱状の凸部6aを突設し、該凸部6aにピン15を突設している。
前記操作レバー6は、前記成形溝10a,10bと11a,11bの間に回動かつ摺動可能に配置され、前記ピン15をピン孔12に挿入し、ピン15を中心に回動可能に取り付けられていて、常時は後述するバネ受けの弾性によって前方へ回動可能に付勢され、操作部である下端部を凹状湾曲溝12a,12bに配置している。
【0035】
図中、16は操作レバー6の中間部に形成した縦長の通孔で、照明筒7に突設した後述の噴射筒を挿入可能にしており、17はハウジングピ−ス5a,5bの後部側に設けたシートベルト導入溝で、その近接位置に一対のピン18が突設され、該ピン18にカッター19が取付けられ、その刃先19aをシ−トベルト導入溝17に臨ませて斜状に配置している。
【0036】
前記シートベルト導入溝17の奥部に、奥部側へ幅員を漸増する逆三角形のベルト逃がし部ピース20a,20bが突設され、これらをハウジングピース5a,5bの接着時に接合して、略逆三角形状のベルト逃がし部20を形成している。
この他、図中、21は操作レバー6の上部下面に突設した凸部で、後述のバネ受けと係合可能に配置されている。
【0037】
前記照明筒7は内部に中空室22を有する略八角柱状に形成され、その上半部外周の等角度位置に縦長矩形の4つのランプ取付溝23が形成され、該ランプ取付溝23の中間部に基板取付溝24が形成され、該基板取付溝24に、灯具である二つの警告灯25を取り付けた基板26を抜き差し可能に装着している。
実施形態では警告灯25として、消費電力が小さく光の指向性に優れ、かつ注意を喚起する赤色のLEDを用い、このLEDを基板26の上下に2個配置し、その配線27を基板26の裏面に配置している。
【0038】
図中、28は照明筒7の前面下方に配置した接点パネルで、配線29を介して前記基板26に接続され、操作レバー6の内側下端部に設けたコイルバネ製または板バネ製の接点35と接触して、後述の電源と導通し、前記警告灯25をONして点灯また点滅させている。実施形態の場合は、各LEDを適当な周期で点滅するようにしている。
【0039】
前記接点35の一端は操作レバー6の内面に取付けられ、他端は自由端に構成されていて、操作レバー6に同動して接点パネル28との接触形態に自由度が得られ、かつその他端部を常時は接点パネル28から離間して、警告灯25をOFF可能にしている。
そして、操作レバー6を握持してピン15を中心に回動し、接点35を接点パネル28に接触させて、警告灯25をON可能にしている。実施形態の接点35は、接点パネル28に接触後に離間し、再度接触させた際、OFF可能にされている。
【0040】
前記照明筒7の中高部の対称位置に、ヘリカル状の同形のカム溝30a,30bが形成され、該カム溝30a,30bの長さは、中空室22ないしボンベホルダ9の中心から略90°の範囲に形成され、該カム溝30a,30bにスプリングピン等のカムピン31,31の先端部が係合かつ滑動可能に挿入されている。
この場合、カム溝30a,30bの最上位置にカムピン31,31と係合可能な凹部を設け、破封後のカムピン31,31の移動を防止させることが望ましい。
【0041】
前記カムピン31はボンベホルダ9の直径方向に突設され、ガスボンベ1の破封前はカム溝30a,30bの下端部に配置されている。前記カム溝30a,30bの下端部に係止片32,32が下方に突設され、該係止片32,32はカムピン31,31に係合可能に配置され、その基部の一側若しくは両側、または基部の近傍の一側若しくは両側位置に切欠溝33,34が形成されていて、係止片32,32の折曲ないし折損を容易にさせている。
実施形態では前記係止片32,32を折損させ、これをカム溝30a,30bに落下しているが、係止片32,32を折曲して切欠溝34の内側に収納するようにしても良い。
【0042】
前記照明筒7の前面上部に噴射筒36が突設され、該噴射筒36を操作レバー6の通孔16に挿入し、操作レバー6の回動作動を許容する一方、その先端面の上下位置に後述するノズル孔に連通する噴射孔37と、後述の係止ピンを差し込み可能なピン孔38を開口している。
【0043】
前記破封ホルダ8はアルミニウムによって略円筒状に形成され、その内部に互いに連通する大小異径のバネ室39と連通孔40とを形成し、上側のバネ室39にバネ受41を上下に摺動かつ係合可能に挿入し、その軸部41aを照明筒7の天井部の透孔7aに差し込んで突出し、該突出部に前記凸部21に係合可能に配置している。
【0044】
前記バネ室39の内部にOリング42とバネ43とが配置され、該バネ43の弾性を介してバネ受41を上動可能に付勢する一方、バネ受41の下端部が後述する制御弁のプッシュロッドの直上に係合可能に配置され、操作レバー6の噴射作動時に前記プッシュロッドを押し下げ、制御弁を開弁可能にしている。
前記バネ室39の下部に、前記噴射孔37に連通するノズル孔44が形成され、前記制御弁の開弁時にノズル孔44から消火ガスを噴出可能にしている。
【0045】
前記連通孔40の中間部にネジ孔(図示略)が形成され、該ネジ孔に前記制御弁45の中間部周面に設けたネジ部(図示略)をねじ込み、該制御弁45を気密に取付けている。
前記制御弁45は、内部を貫通する前記プッシュロッド46と、該プッシュロッド46に同動可能な内弁47とを備え、これらを内部に設けたバルブスプリング(図示略)によって上方へ付勢し、内弁47を制御弁本体に押し付けて常時は閉弁可能にされている。
【0046】
図中、48は破封ホルダ8の周面に開口した噴射ガイドで、その奥部にノズル孔44が開口され、49,49は破封ホルダ8の周面の直径方向位置に形成したピン孔で、該ピン孔49に係止ピン50が突設され、その外端部を照明筒7の定位置に掛け止めている。
【0047】
前記破封ホルダ8の下端部に小径のガイドロッド51が突設され、該ガイドロッド51がボンベホルダ9の貫通孔52に摺動可能に挿入されている。前記ガイドロッド51の内部に連通孔40に連通する導孔53が形成され、該導孔53に針管54の基部が差し込まれ、その尖端部54aを封板4の直上に配置している。
図中、55は破封ホルダ8とボンベホルダ9の間に介挿したスプリング、56はガイドロッド51の下端部周面に装着したOリングである。
【0048】
前記ボンベホルダ9は破封ホルダ8と同径の円筒体に形成され、その中間部の直径方向位置に前記ピン31を挿入可能なピン孔9aが形成されている
また、前記ボンベホルダ9の下端部に前記貫通孔52に連通するネジ孔57が形成され、該ネジ孔57にガスボンベ1のネジ部3をねじ込み可能にしている。図中、58は貫通孔52の下端と封板4との間に介挿したOリングである。
【0049】
この他、図中、59はハウジングピ−ス5a,5bの後部内側に形成したポケットで、内部に警告灯25の電源である複数の電池60が収容され、その開口部をカバー61を介して開閉可能に設けている。62はガスボンベ1の外面に被着した断熱フィルム製の被覆シートで、表面に本発明消火器の使用法が絵入りで印刷されている。
実施形態では、被覆シート62として合成樹脂製フィルムを使用し、該フィルムを二酸化炭素充填後のガスボンベ1の表面に、所定温度でシュリンク成形して取付けている。
【0050】
前記ガスボンベ1の底面に尖端部を有するハンマー部材63が取り付けられ、該ハンマー部材63は、鋼製の保持リング64と、鋼製の硬質部材を焼入れ処理したハンマー軸65とで構成している。
前記保持リング64は略皿状に形成され、その中央に通孔66を形成し、保持リング64をガスボンベ1の底部に溶接後、前記通孔66に止め具であるCリング67と一緒にハンマー軸65を挿入し、挿入後、Cリング67を通孔66の内側口縁部のテーパ面68に係合して、ハンマー軸65を緊密に取付けている。
【0051】
前記ハンマー軸65は、保持リング64の高さより長尺の軸状に形成され、その基部に頸部である環状溝69を形成し、先端部に尖端部65aを形成し、該尖端部65aを保持リング64の外側に突出している。
前記保持リング64の溶接は、ガスボンベ1に所定圧の二酸化炭素を充填し、口元部に封板4をシールした後に行ない、該保持リング64の溶接後にガスボンベ1と保持リング64を同時にメッキするようにしている。
【0052】
この後、焼き入れとメッキ処理したハンマー軸65を用意し、該ハンマー軸65の周面に接着剤を塗布し、その環状溝69に円形断面の弾性を有するCリング67を押し縮めて装着し、この弾圧状態を保持してハンマー軸65を通孔66に挿入している。
前記挿入後、弾性によってCリング67の球面を通孔66の内側口縁部のテーパ面68に係合し、該テーパ面68にCリング67を圧接し、その楔効果を形成するともに、ガスボンベ1とCリング67およびハンマー軸65の隙間に前記接着剤を浸入して固化し、ハンマー軸65を強固かつ緊密に取付けている。
【0053】
この場合、保持リング64をガスボンベ1に溶接し、該保持リング64にハンマー軸65を掛け止めることによって、ハンマー軸65をガスボンベ1に溶接してメッキする工程を回避している。
したがって、ハンマー軸65をガスボンベ1に溶接し、それらをメッキする際、ハンマー軸65の尖端部65aがガスボンベ1の周面を損傷する事態を未然に防止している。
【0054】
この他、図中、70は破封後に外部に噴出した消火ガス、71は自動車のウィンドガラス、72は車室に装備したシートベルト、73は使用者の手である。
なお、警告灯25の点滅または点灯時には、消火ガス噴射器を保持して告知することとなるが、その際、例えばハウジング5の適宜位置にマグネット(図示略)を取付け、該マグネットを自動車の外周の適所に吸着保持させれば、前記告知操作の労力の負担を軽減し得る。
【0055】
このように構成した消火ガス噴射器は、小形ガスボンベ1の上部に破封装置2を取り付けて構成され、小形ガスボンベ1は底部に非常脱出用のハンマー部材63を備え、破封装置2は、透明または半透明の透光性を有する合成樹脂製のハウジング5と、該ハウジング5の周面に回動可能に取付けた操作レバー6と、ハウジング5の内部に収容する照明筒7と、該照明筒7の内部に収容する破封ホルダ8と、ガスボンベ1を保持するボンベホルダ9と、で構成され、破封装置2の前部に噴射筒36を配置し、後部にシ−トベルト導入溝17とカッター19を備えている。
【0056】
前記ハンマー部材63の取り付けは、前述のようにガスボンベ1に所定圧の二酸化炭素を充填し、口元部に封板4をシールした後、ガスボンベ1の底部に保持リング64を溶接し、これらをメッキした後、ハンマー軸65の周面に接着剤を塗布し、その環状溝69にCリング67を装着し、この弾圧状態を保持してハンマー軸65を通孔66に挿入する。
前記挿入後、Cリング67の球面を通孔66の内側口縁部のテーパ面68に係合し、該テーパ面68にCリング67を圧接し、ガスボンベ1とCリング67およびハンマー軸65の隙間に接着剤を浸入して固化し、ハンマー軸65を緊密に取り付ける。
【0057】
ハンマー部材47の取り付け後、ガスボンベ1の中間部周面に被覆シート62をガスボンベ1の周面に被せて所定温度下の加熱炉へ移動し、該加熱炉で前記フィルムを熱収縮し、ガスボンベ1の中間部周面にシュリンク成形して被着する。
【0058】
次に、破封装置2を製作する場合は、透明または半透明の合成樹脂を縦方向に二つ割に成形して左右一対のハウジングピース5a,5bを形成し、それらの接合部に係合溝10a,10bと11a,11b、および凹状湾曲溝12a,12bを形成し、係合溝11a,11bの上端部にピン孔12を形成する。
また、ハウジングピース5a,5bの内側に照明筒7の外周面と係合可能な係合溝13と、複数の警告灯25と係合可能な係合溝14を形成し、該係合溝14の内面に多数の凹部を散点模様状に成形し、若しくはシボ加工し、更に後部にシートベルト導入溝17と シートベルト逃がし部20a,20bを成形する。
【0059】
前記操作レバー6をハウジング5と同質の合成樹脂で略L字形状に成形し、その上端部にピン15を突設し、中間部に縦長の通孔16を形成し、下端部内面にコイルバネ製の接点35の基部を取付ける。
また、ハウジング5と同質の合成樹脂で略八角柱状の照明筒7を成形し、その周面の4箇所にランプ取付溝23と基板取付溝24を形成し、その中高部周面の対称位置にヘリカル状のカム溝30a,30bを形成し、その下側端部に係止片32,32を下向きに突設し、該係止片32,32の上側基部の左右両側に切欠溝33,34を形成し、前部に噴射筒36を突出成形する
【0060】
そして、警告灯25である赤色のLEDと、その取付け用基板24と、配線27用のリード線を用意し、基板24の表面に警告灯25を上下に二個配置するとともに、裏面にリード線27を配線し、この基板24を基板取付溝24に差し込み、かつ配線27を裏面に収容して給電線29を導出し、これを接点パネル28に接続する。
【0061】
また、破封ホルダ8とボンベホルダ9をアルミニウム材で同径に加工し、破封ホルダ8の内部に連通孔40を軸方向に形成するとともに、連通孔40に連通するノズル孔44を側方に開口する。
そして、前記連通孔40の上部にバネ受41を配置し、その軸部41aを照明筒7の天井部の透孔7aに差し込んで突出し、フランジの下側にOリング42とバネ43を配置して、バネ受41を上方へ気密に付勢するとともに、連通孔40の内部に制御弁45をねじ込んで取付ける。
【0062】
前記破封ホルダ8の下端部に小径のガイドロッド51を突出成形し、その内部に連通孔40と連通する導孔53を形成し、該導孔53に針管54を差し込み、その尖端部54aを下向きに配置するとともに、前記ボンベホルダ9の内部に貫通孔52と大径のネジ孔57を設ける。
【0063】
そして、破封ホルダ8とボンベホルダ9を照明筒7の中空室22に挿入し、それらの間にスプリング55を介挿し、ピン孔38からピン50を差し込み、これを破封ホルダ8に差し込んで、破封ホルダ8を照明筒7内の上部に固定する。
一方、照明筒7のカム溝30a,30bの下側端部にピン31,31を差し込み、これをボンベホルダ9のピン孔9aに差し込んで、照明筒7内の下部にボンベホルダ9をヘリカル移動可能に取付ける。
【0064】
次に、ハウジングピース5a,5bの間に操作レバー6を配置し、その通孔16に照明筒7の噴射筒36を挿入し、上端部のカムピン31をピン孔12に差し込んで、該カムピン31を中心に回動可能に取り付け、かつその上部下面を軸部41aに係合して、前方へ回動可能に付勢する。
また、ハウジングピース5a,5bの後部のピン18,18にカッター19を取付け、その刃先19aをシートベルト導入溝17に臨ませて配置し、その接合部を接着してハウジングピース5a,5bを接合する。
【0065】
こうして組み立てた破封装置2は、高さ約90mm、前後方向の長さ約60mm、外径約50mmに構成され、ハウジング5の内部に警告灯25を取付けた照明筒7が配置され、照明筒7の内側に破封ホルダ8が配置される。
また、電池60はハウジング5の下部内側に収容され、接点35は操作レバー6の下部内側に配置され、接点パネル28は周囲をハウジング5で保護され、前面を操作レバー6の下部で遮蔽されて、風雨を回避されているから、断線や短絡、配線トラブルの発生を防止し、使用上の安全性を確保し得る この状況は
図4および
図6のようである。
【0066】
次に、前記破封装置2を消火ガス噴射器に使用する場合は、消火ガスを充填したガスボンベ1のネジ部3を、破封装置2のボンベホルダ9のネジ孔57にねじ込めば良い。
前記ガスボンベ1を装填した消火ガス噴射器は
図1乃至
図3のようで、高さ約183mm、重さ460gの小形軽量に構成され、従来のようにガスボンベ1の外側を覆うケースや、不使用時の破封を防止する安全部材を要しないから、その分部品点数が低減し構成が簡潔になって軽量化を図れ、これを容易かつ安価に製作できる。
【0067】
前記消火ガス噴射器は、シートベルト72の切断用カッター19と、ハンマー部材63を、消火ガス噴射器に不可欠なガスボンベ1と破封装置2に設け、専用の脱出装置を要しないから、消火機構と脱出機構を合理的に構成し、これらを容易に使用できる。
しかも、前記消火ガス噴射器は、破封装置2の内部に警告灯25を備えた照明筒7を備え、夜間での車両トラブルや緊急時に対応させているから、車両トラブル等に対する安全性が増進する。
【0068】
前記組み付けた消火ガス噴射器は、不使用時は破封ホルダ8がボンベホルダ9の上方に位置し、針管54の尖端部54aがガスボンベ1の封板4の直上に位置し、封板4を破封していない。また、破封ホルダ8の内部に設けた制御弁45は閉弁され、連通孔40とノズル孔44との導通が遮断されている。
【0069】
また、前記不使用時は
図12(a)のように、カムピン31,31がカム溝30a,30bの下側端部に位置して静止し、その近接位置に破封防止手段である係止片32,32が位置してカムピン31,31の上動を阻止し、ガスボンベ1の上動ないし封板4の破封を阻止している。
【0070】
一方、操作レバー6はバネ受41の弾性によって前方へ回動可能に付勢され、その下端部がハウジング5の前方下部の凹状湾曲部12a,12b上に位置し、コイルバネ製の接点35が接点パネル28から離間し、警告灯25の電源回路を開成して、警告灯25をOFFしている。
【0071】
前記組み付けた消火ガス噴射器を自動車に搭載する場合は、車室内の運転席若しくは補助席または他の座席周辺、例えばドアの内側のポケットやシフトレバー周辺の小物入れ等に横置き若しくは縦置きに収納して置く。
この場合、消火ガス噴射器は、破封装置2の横断面が前後方向に長径の略楕円形に形成されているから、横置きした場合の転動や異音の発生若しくは損傷を防止し得る。なお、消火ガス噴射器を容易に出し入れ可能な保護ケ−スに収容すれば、体裁が良く安全性が増大する。
【0072】
その際、本発明の消火ガス噴射器は、不使用時における破封防止手段、つまり係止片32を破封装置2の内部に設け、消火ガス噴射器の設置状態や転倒に左右されず安全防止機能を維持する。したがって、従来の破封防止手段が消火ガス噴射器の外面に取り付けられ、これが消火ガス噴射器の設置状態や転倒等により外れて安全防止機能を喪失する、等の惧れがない。
【0073】
前記消火ガス噴射器を自動車に搭載時、交通事故等によってシートベルト72が外れなくなったり、自動車のドアが開かなくなった場合に、運転者や同乗者が車外へ避難する際はシートベルト72を切断し、および/またはウィンドガラス71を割る必要がある。
【0074】
このうち、シートベルト72を切断する場合は、破封装置2のシートベルト導入溝17を側方または斜め前向きにして消火ガス噴射器を握持し、他方の手でシートベルト72を保持してシートベルト導入溝17に挿入する。
この場合、シートベルト導入溝17は、破封装置2の軸方向に対し斜め下向きに開口しているから、これが垂直下向きに開口するものに比べ、シートベルト導入溝17直下の山形部を介してシートベルト72を円滑に挿入できる。
この後、シートベルト72の端部をカッター19の刃先19aに接触させ、破封装置2を素早く引き下げて、シートベルト72を切断する。
【0075】
その際、カッター19の刃先19aが、シートベルト72の導入方向に対し略鋭角に配置されているから、カッター19の刃先19aがベルト導入溝17に対し略直角に配置されているものに比べ、カッター19の刃先19aがシートベルト72の側端部に鋭角に切り込まれ、その切断を促して円滑かつ速やかに切断できる。
【0076】
この状況は
図16のようで、先ずシートベルト72の端部がカッター19の刃先19aで切り裂かれ、その切り裂き部がカッター19の両側面に分かれてシートベルト導入溝17の奥部へ移動する。
そして、前記切り裂き部がカッター19の後方へ移動すると、カッター19の切り込み圧力から解放され、その内部応力を解かれて繊維組織が原状を回復し、ベルト逃がし部20の尖端部へ移動する。
【0077】
この後、前記切り裂き部は前記尖端部が進入して左右に押し開かれ、ベルト逃がし部20の両側のテーパ面55に沿って奥部へ移動し、前記切り裂き部の拡開作用がシートベルト72の他側端部、つまり切断部側へ伝搬する。
このため、カッター19の両側面に対するシートベルト72の密着ないし纏わりが防止され、シートベルト72の奥部側への円滑な移動を促して、カッター19による円滑かつ速やかな切断が行なわれる。
【0078】
この場合、カッター19とベルト逃がし部20を密接して配置すると、それらの微小な空隙部にシートベルト17が挟み込まれた際、シートベルト72の移動が停滞して切断不能に陥るため、前記空隙部は前記事態を未然に防止し得ることになる。
【0079】
一方、ウィンドガラス71を割る場合は、シートベルト72の切断時と略同様に消火ガス噴射器を握持し、その底部をサイドまたはフロントウィンドガラス71に向けて、ハンマー部材63の尖端部65aをウィンドガラス71に勢い良く突き、または叩いて割る。この状況は
図17のようである。
【0080】
この場合、シートベルト72の切断後にウィンドガラス71を割る場合は、消火ガス噴射器を持ち替えることなく連続動作でウィンドガラス71を割れ、同様にウィンドガラス71を割った後にシートベルト72を切断する際も、消火ガス噴射器具を持ち替えることなく連続動作でシートベルト72を切断できる。
【0081】
したがって、シートベルト導入溝17とハンマー部材63を同側かつ異相位置に配置するものに比べ、迅速かつ安全に前記動作を行なえる。
しかも、ハンマー部材63はシートベルト導入溝17から離間して配置されているから、ウィンドガラス71を勢い良く確実に割れ、ガラスの破片で怪我をする心配がない。
このようにシートベルト72を切断し、ウィンドガラス71を割っても、それらの動作や衝撃では前述した破封防止手段32は折損または折曲しないから、誤って破封される心配はない。
【0082】
こうして消火ガス噴射器を保持して車外へ脱出後、例えば夜間には警告灯25を点滅し、非常事態を他者に知らせて安全を確保するとともに、救急処置ないし救助を要請する。
その場合、消火ガス噴射器を
図18のように保持し、操作レバー6の下部を押圧する。
このようにすると、操作レバー6がバネ受41の弾性に抗して、ピン15を中心に下向きに回動し、その下端部が内側の係合片12cに当接して静止し、バネ製の接点35が接点パネル28に接触して警告灯25の給電回路を閉成し、各警告灯25がONして赤色光を点滅する。
【0083】
この場合、前記接点35はコイルバネで構成されているから、操作レバー6の回動変位のずれや動揺、または接点パネル28の多少の位置ずれを許容し、給電回路のON・OFF動作に融通性を得られる。
こうして、警告灯25が点滅すると、その光が透明または半透明のハウジングを透過して外部に放射され、これに他者が注意を喚起されて前記事態を確認し、避難者および他者の急場の安全を確保するとともに、所要の救急処置ないし救助を講じられる。
この場合、避難者は車外で前記消火ガス噴射器を保持して告知操作するが、その際、例えばハウジング5の適宜位置にマグネット(図示略)を取付け、該マグネットを自動車の外周の適所に吸着保持させれば、前記操作の労力の負担を軽減し得る。
【0084】
なお、操作レバー6を前記のように回動すると、バネ受41が押圧され、直下のプッシュロッド46が押し下げられて制御弁45が開弁し、連通孔40とボンベホルダ9の貫通孔52が導通するが、ガスボンベ1の封板4は破封されていないから、消火ガスがノズル孔44から噴出することはない。
【0085】
この後、警告灯25を消灯する場合は、操作レバー6を一旦手放し、接点35を接点パネル28から離間させた後、操作レバー6を再度下向きに回動し、前記接点35を接点パネル28に接触させれば、警告灯25の給電回路が開成され、警告灯25が消灯する。
【0086】
一方、消火ガス噴射器を搭載した自動車に火災が発生し、これを消火する場合は消火ガス噴射器を使用する。
前記消火に際しては、片手で破封装置2を握持し、他方の手でガスボンベ1を握持し、これらを互いに反対方向へ回動する。
このようにすると、ガスボンベ1と、ガスボンベ1をねじ込んだボンベホルダ9とが一体に回動し、ボンベホルダ9に突設したカムピン31,31が照明筒7のカム溝30a,30bに導かれて上動する。
【0087】
そして、前記上動直後、カムピン31,31が係止片32,32に係合して折曲ないし折損する。この場合、係止片32,32は、突設基部の両側に切欠溝33,34が形成されているから、係止片32,32が容易に折曲ないし折損され、その後にガスボンベ1とカムピン31,31の上動が再開され、封板4の直上に針管54の尖端部54aが位置する。この状況は
図12(a),(b)および
図13(a),(b)のようである。
【0088】
このように係止片32,32はカムピン31,31に係合して上動を阻止し、破封操作を一旦阻止するから、破封阻止手段として機能し、しかも該係止片32,32を照明筒7と一体成形しているから、従来のように別部品構成を避け、それだけ部品点数を低減し、構成の簡潔化と安価かつ容易な製造を図れる。
【0089】
しかも、係止片32,32の折損後、これが切欠溝34,34側に退避してカムピン31,31の上動路を解放し、該カムピン31,31をカム溝30a,30bに沿って再び上動ないし破封操作を再開し、破封防止とその再開操作をガスボンベ1の一連の回動操作で連続して行えるから、従来の別部品による破封操作に比べ、容易かつ速やかに行なえる。
この状況は
図12(c),(d)のようである。
折損後、係止片32,32は
図12(d)のように、カム溝30a,30bに落下するが、これによってカムピン31,31の上動ないし破封操作が障害になることはない。
【0090】
こうして、ガスボンベ1を回動開始位置から約90°回動させたところで、封板4に針管54の尖端部54aが突き刺さって破封される。この状況は
図13(c)のようである。
したがって、ガスボンベ1を複数回転する従来のものに比べ、前記破封を容易かつ速やかに行なえる。
【0091】
前記破封後、ガスボンベ1の充填ガスが破封部から針管54に導かれ、破封ホルダ8の連通孔40に噴出する。その際、プッシュロッド46は原位置を維持し、制御弁45が閉弁状態を維持しているから、前記噴出ガスは前記連通孔40の下半部とボンベホルダ9の貫通孔52に滞留する。
【0092】
そこで、前記破封後に消火ガス噴射器を
図18のように握持し、操作レバー6をバネ受41の弾性に抗して、ピン15を中心に下向きに回動すると、凸部21が軸部41aの上端に係合してバネ受41を押圧し、直下のプッシュロッド46を押し下げて制御弁45が開弁し、連通孔40とボンベホルダ9の貫通孔52がノズル孔44に連通する。
このため、連通孔40と貫通孔52に滞留した消火ガスがノズル孔44から噴出し、火元に噴射される。この状況は
図20のようである。
【0093】
このように前記ガス噴射器は、破封後の消火ガスを一旦破封装置2の内部に滞留し、噴射筒36を火元に正確に向けてから消火ガスを噴射するから、消火ガスの空費を防止し、消火ガスを確実かつ有効に使用して初期消火の実効を高められる。
【0094】
その際、操作レバー6の回動操作に伴い、その下端部が内側の係合片12cに当接して静止し、バネ製の接点35が接点パネル28に接触して警告灯25の給電回路を閉成し、各警告灯25をONして赤色に点滅する。したがって、車両火災を警告灯25の点滅で告知し得るとともに、消火後は避難灯として利用でき、避難の安全を確保し得る。
【0095】
この場合、前記噴射した消火ガスである二酸化炭素の一部は、噴出後に断熱膨張してドライアイス化し、これが気体状の二酸化炭素と混合して火元へ噴射される。
このため、火元周辺の温度が下がるとともに、火元周辺の酸素の供給を遮断して、消火作用が効率良く行なわれ速やかな消火を促す。
そして、消火ガスの費消後、ガスボンベ1をボンベホルダ9から取り外せば、空状態のガスボンベ1を回収できる。
【0096】
図21乃至
図23は本発明の他の実施形態を示し、前述の実施形態と対応する構成に同一の符号を用いている。
この実施形態は、前述の係止片32,32が、カム溝30a,30bに臨ませて照明筒7に一体成形され、スプリングピン製のカムピン31に係合後は折損または折曲する代わりに、照明筒7の中高部周面にカム溝30a,30bに臨ませてガイド溝74,74を形成し、該ガイド溝74,74に係止片75,75を上下に摺動可能に収容している。
前記係止片75,75は合成樹脂板によって略鉤形に形成され、その下端の一側にテ−パ面75aが形成され、この他側に頸部75b,75bが形成され、該頸部75b,75bをガイド溝74,74の下部に突設した係止突起76,76に係合可能に位置付けている。
【0097】
前記ガイド溝74と係止片75との間にスプリング77が介挿され、該スプリング77の弾性によって係止片75,75を下方へ移動可能に付勢している。
図中、78は前述のOリング58の代わりに設けたウレタンゴム製のシ−ルリングで、その板厚をOリング58の直径よりも厚く形成し、その収容溝をOリングの場合よりも深く形成し、その嵌合を向上して脱落や捩れ等の変形を防止可能にしている。79は操作レバー6の下部に設けた通孔で、該通孔79にロックピン80が抜き差し可能に挿入している。
【0098】
前記ロックピン80は鋼線等の金属棒で形成され、その先端に小径部80aが形成され、該小径部80をカムピン31内に抜き差し可能に挿入し、ガスボンベ1の交換時に該ガスボンベ1とボンベホルダ9との共回りを防止し、ガスボンベ1の交換時における破封を防止可能にしている。前記ロックピン80は、例えば紐等によって破封装置2に吊下げて保管される。
【0099】
すなわち、この実施形態では常時は係止片75がスプリング77に押下げられ、その下端がカム溝30a,30bに突出し、その側端部がカムピン31,31に係合可能に位置して、カムピン31,31の上動を阻止している
この状況は
図22(a)のようである。
次に、消火ガス噴射器に使用に際して、前述と同様に片手で破封装置2を握持し、他方の手でガスボンベ1を握持し、これらを互いに反対方向へ回動すると、ガスボンベ1と、ガスボンベ1をねじ込んだボンベホルダ9とが一体に回動し、ボンベホルダ9に突設したカムピン31,31がカム溝30a,30bに導かれて上動する。この状況は
図22(b)のようである。
【0100】
前記上動直後、カムピン31,31が係止片75,75に係合し、該係止片75,75がスプリング77,77の弾性に抗して押上げられ、最高位置に押上げられ後、カムピン31,31が係止片75,75の下端を擦り抜け、テーパ面75a,75aがカムピン31,31に係合して徐々に押下げられ、破封直前に係止片75,75が原位置に復帰する。この状況は
図22(c)のようである。
この後、ガスボンベ1が同方向へ更にねじ込まれ、略90°回動したところで破封され、破封後、消火ガスが火元に噴出して消火され消費される。この状況は
図22(d)のようである。
【0101】
こうして消火ガスの消費後、新規なガスボンベ1に交換する場合は、前述と同様な要領でガスボンベ1を前述と反対方向に回動し、ガスボンベ1とボンベホルダ9を同動させ、カムピン31,31をカム溝30a,30bに導いて下動し、係止片75,75のテーパ面75a,75aに係合する。
【0102】
このため、係止片75,75がスプリング77,77の弾性に抗して押上げられ、最高位置に押上げられ後、カムピン31,31との係合を解除してスプリング77,77に押下げられ、原位置に復帰する。
この後、カムピン31,31がカム溝30a,30bの終端部に移動して静止し、該ピン31,31に係止片75,75が係合可能に位置する。この状況は
図22(e)のようである。この後、ガスボンベ1を更に同方向に回動してボンベホルダ9から取り外す。
【0103】
このような状況の下で、ロックピン80を操作ハンドル6に設けた通孔79に差し込み、先端の小径部80aを一方のカムピン31の内部に挿入して、当該状態を保持する。
このようにすると、ロックピン80によってボンベホルダ9の回動が阻止され、該ボンベホルダ9に突設したカムピン31,31の移動が阻止される
このような状況の下で、ボンベホルダ9のネジ孔57に新規なガスボンベ1のネジ部3をねじ込むと、該ガスボンベ1が前記ネジ孔57にねじ込まれて進入する。
【0104】
その際、ロックピン80によって、ボンベホルダ9はガスボンベ1との共回りを防止され、カムピン31,31が係止片75,75に係合した状態で静止する。
したがって、ガスボンベ1の交換時にボンベホルダ9が回動し、これにカムピン31,31が同動して係止片75,75を押上げ、カム溝30a,30bに沿って移動することがなく、針管54の尖端部54aと封板4とは所期の離間位置を保持するから、封板4が針管54で破封されることはなく、ガスボンベ1の交換時における安全性を確保する。
こうして、ガスボンベ1を交換後、ロックピン80を通孔79から引き抜き、適宜位置に保管する。したがって、係止片75,75を繰り返し使用可能になり、破封装置2の利便性が向上する。
【0105】
また、シールリング78の厚さをOリング58の直径よりも厚く形成し、その収容溝を深く形成しているから、Oリング58に比べてシールリング78を強固かつ確実に収容し、その安定したシ−ル作用を得られる。
したがって、従来のようにガスボンベ1の取外し時にOリング58が脱落したり、ガスボンベ1の交換時に封板4と接触してOリング58がめくれ、若しくは変形してシ−ル作用が低下し、破封後に貯留ガスが漏洩する事態を防止し得る。