(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
制御ハンドルを含む手動操作外科手術デバイスをさらに備え、該制御ハンドルは、人物による該外科手術デバイスの手動操作を制御するように構成されており、該制御ハンドルは、前記機械的に固定されていないマスタツールグリップを操作する人物が、該手動操作外科手術デバイスの制御ハンドルもまた操作することにより、該外科手術デバイスの手動操作を制御するように、前記滅菌外科手術野内に位置付けられる、請求項1に記載の低侵襲外科手術システム。
前記安定化プラットホームは、複数の車輪を含み、該複数の車輪は、手術台の前記位置に対して該安定化プラットホームを移動させるように構成されている、請求項7に記載の低侵襲外科手術システム。
前記患者側外科医インターフェースは、前記制御システムに結合された少なくとも1つのペダルを有するフットトレイをさらに備えている、請求項1に記載の低侵襲外科手術システム。
前記機械的に固定されていないマスタツールグリップは、前記制御システムに結合された1つ以上のスイッチをさらに備えている、請求項1に記載の低侵襲外科手術システム。
前記1つ以上のスイッチのうちの少なくとも1つは、前記機械的に固定されていないマスタツールグリップを操作する前記人物の存在または不在を示す信号を前記制御システムに提供するように構成されている、請求項12に記載の低侵襲外科手術システム。
前記1つ以上のスイッチのうちの少なくとも1つは、前記制御システムにマスタクラッチ信号を提供するように構成されている、請求項12に記載の低侵襲外科手術システム。
前記1つ以上のスイッチのうちの少なくとも1つは、前記制御システムにカメラ制御信号を提供するように構成されている、請求項12に記載の低侵襲外科手術システム。
前記制御システムは、ラチェッティングシステムをさらに備えており、該ラチェッティングシステムは、前記マスタツールグリップが移動させられた際に、前記外科手術エンドエフェクタに対する該マスタツールグリップの配向を継続的に改善するように構成されている、請求項1に記載の低侵襲外科手術システム。
前記制御システムに結合された外科医のコンソールをさらに備え、該外科医のコンソールは、第2の表示デバイスおよびマスタツールマニピュレータを含む、請求項1に記載の低侵襲外科手術システム。
前記制御システムは、プロキシ視覚モジュールをさらに備え、該プロキシ視覚モジュールは、前記外科医のコンソールの前記第2の表示デバイスに結合され、かつ、前記患者側外科医インターフェースの前記表示デバイスに結合され、プロキシ視覚を提供し、該プロキシ視覚は、前記機械的に固定されていないマスタツールグリップおよび該外科医のコンソールの前記マスタツールマニピュレータのうちのいずれかを移動させることによって移動される、請求項18に記載の低侵襲外科手術システム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面中、図番号の1桁目は、その図番号を伴う要素が、最初に現れた図を示す。
【0017】
本明細書で使用される場合、滅菌外科手術野とは、外科手術手技のために準備された患者のすぐ周辺の領域を意味する。滅菌外科手術野は、適切な着衣を身に付け、洗浄を行ったチームメンバーおよびその領域内のすべての備品を含む。
【0018】
本明細書で使用される場合、機械的に固定されていないマスタツールグリップとは、広い作業範囲内において可能な位置および配向運動に対して制約されない、マスタツールグリップを意味する。本定義の目的から、広い作業範囲は、ユーザの腕の長さ内の位置運動の追跡およびすべての配向の追跡を可能にする範囲である。
【0019】
一般に、
図1Aおよび1Bを参照すると、本発明の態様は、低侵襲遠隔操作外科手術システム100を使用する際、高度な能力を提供する、患者側外科医インターフェース150を含む。従来の低侵襲遠隔操作外科手術システムと異なり、患者側外科医インターフェース150は、外科手術の滅菌外科手術野内に少なくとも1つの構成要素を有する。本構成要素によって、表示デバイス160の画像と組み合わせ、外科医101は、滅菌外科手術野内から、遠隔操作スレーブ外科手術器具110、111の制御が可能となる。したがって、患者側外科医インターフェース150によって、外科医101は、外科手術を受ける患者102に隣接する滅菌外科手術野内で作業が可能である。
【0020】
滅菌外科手術野内から、低侵襲スレーブ外科手術器具110、111を制御することによって、低侵襲外科手術が、患者102の直接的視覚化、カート105、任意の手動操作外科手術器具、外科手術において使用される他の機械および/または器具等と組み合わせて、外科医101によって、可能となる。患者102への近接性によって、外科医101は、腹腔鏡下器具またはステープラ等の1つ以上の手動制御器具115とともに、遠隔操作スレーブ外科手術器具110のエンドエフェクタの制御が可能となる。
【0021】
また、以下により完全に説明されるように、外科医101は、滅菌外科手術野内から、監督外科医195に対する少なくとも1つのプロキシ視覚を制御することができる(
図1B)。プロキシ視覚は、表示デバイス160と、滅菌外科手術野外に位置する、外科医のコンソール114において視認される表示デバイスの両方で可視である(
図1B)。マスタツールグリップ170を使用して、外科医101は、プロキシ視覚を操作し、遠隔操作スレーブ外科手術器具110、111の制御および使用を実演することができる。代替として、外科医195は、プロキシ視覚を制御し、外科医のコンソール114上のマスタツールマニピュレータを使用して、外科医101に指示することができる。
【0022】
患者側外科医インターフェース150は、低侵襲遠隔操作外科手術システム100のための手術室の床要件を低減させる。患者側外科医インターフェース150は、従来の低侵襲遠隔操作外科手術システムにおける外科医のコンソール114(
図1B)に対してより低コストの代替を提供する。
【0023】
一態様では、患者側外科医インターフェース150は、(i)表示デバイス160、(ii)少なくとも1つの機械的に固定されていない非動力付きマスタツールグリップ170、典型的には、2つの機械的に固定されていない非動力付きマスタツールグリップと、ハンド追跡送信機175とを含むマスタインターフェース、(iii)フットトレイ(
図4C参照)、および随意に、(iv)人間工学的支持180を含む。以下により完全に説明されるように、表示デバイス160は、例えば、スレーブ外科手術器具110および外科手術部位の2次元画像または3次元画像161のいずれかを提供することができる。
【0024】
一態様では、表示デバイス160は、スレーブ外科手術器具110のエンドエフェクタと外科手術部位との画像161を含む3次元画像として、外科医が知覚する出力を提供する。エンドエフェクタは、滅菌外科手術野内に位置する。3次元画像は、外科医101が、器具および患者生体構造の相対的奥行を評価可能となるように、3次元奥行の手がかりを提供する。3次元奥行の手がかりによって、外科医101は、視覚的フィードバックを使用して、マスタツールグリップ170を使用して、スレーブ外科手術器具110のエンドエフェクタを操向し、1ミリメートルの精度内において、特徴を精密に標的化することが可能となる。
【0025】
表示デバイス160は、外科医101が、滅菌外科手術野内で作業可能となる位置から、容易かつ快適に視認するために、表示デバイス160を特定することができるように搭載される。しかしながら、表示デバイス160の位置決めは、典型的には、(i)患者102を診断する外科医101の能力、(ii)マスタツールグリップ170による患者側の処置の性能、(iii)任意の他の外科手術器具の手動操作、(iv)他の表示の視認、または(v)外科手術において使用される他の器具類の機能性による干渉を防止するために限定される。また、表示デバイス160の移動は、マスタツールグリップ170の移動とスレーブ外科手術器具先端の移動との間の追従が開始される時、および追従が進行中である時は、阻止され得る。
【0026】
外科医101は、滅菌外科手術野内で作業する間、患者102の側に快適に着席または起立し、外科手術の際、表示デバイス160に目を向ける。外科医101は、少なくともマスタツールグリップ170を操縦することによって、医療手技を行う(
図1A)。一態様では、外科医101は、標的化および把持が、依然として、直感的指示および挟持運動を伴うように、親指と人指し指との間で、マスタツールグリップ170を把持する。マスタツールグリップ170は、マスタツールグリップ170が、安全に位置付けられ、外科手術のための滅菌外科手術野内で使用され得るように、滅菌または被覆のいずれかが行われる。一態様では、同様に、滅菌外科手術野内にあり得る、人間工学的前腕レスト180は、外科医101が、外科手術の際、マスタツールグリップ170を操縦するのに伴って、外科医の前腕または肘を支持するように提供される。
【0027】
滅菌外科手術野で作業する間、外科医がマスタツールグリップ170を移動させるのに伴って、一態様では、感知された空間情報および感知された配向情報が、マスタツールグリップ170の移動に基づいて、制御システム190に提供される。例えば、ハンド追跡送信機175は、場、例えば、電磁場、光場(例えば、光ビーム)等を生成し、この場におけるマスタツールグリップ170の移動は、3次元座標系として、感知された空間位置および配向情報を提供する。
【0028】
以下により完全に説明されるように、制御システム190は、感知された空間運動データおよび感知された配向データを共通基準フレームにマッピングする。制御システム190は、マッピングされたデータを処理し、マスタツールグリップ170の移動に基づいて、時として、先端と称される、遠隔操作スレーブ外科手術器具110のエンドエフェクタを適切に位置付けるためのコマンドを生成する。
【0029】
制御システム190は、遠隔操作サーボ制御システムを使用して、外科医101が、スレーブ外科手術器具110の先端を効果的に操縦することができるように、マスタツールグリップ170の感知された運動を変換し、制御コマンドを通して、関連付けられたロボットアームに転送する。したがって、滅菌外科手術野内で作用する外科医101は、滅菌外科手術野内にある、マスタツールグリップ170を使用して、スレーブ外科手術器具110のエンドエフェクタを遠隔操作する。
【0030】
1度に使用される遠隔操作スレーブ外科手術ツールの数、その結果、システム100において使用されるロボットアームの数は、概して、他の要因の中でもとりわけ、行われる医療手技および手術室内の空間制約に依存する。手技の際に使用されるスレーブ外科手術器具のうちの1つ以上を変更する必要がある場合、アシスタント103は、もはや使用されないスレーブ外科手術器具をそのロボットアームから除去し、そのスレーブ外科手術器具を手術室内のトレーからの別のスレーブ外科手術器具と交換し得る。外科手術の際、少なくとも1つのロボットスレーブ外科手術器具の遠位端は、滅菌外科手術野内に位置付けられる。
【0031】
外科手術テレプレゼンスを提供する遠隔操作ロボット外科手術システムは、従来の観血外科手術および手動で行われる低侵襲外科手術に勝る多くの利点をもたらすが、外科手術滅菌外科手術野内から作業する間、そのような遠隔ロボット外科手術を行う能力を外科医に提供すすることは、さらなる効果をもたらす。例えば、患者側外科医インターフェース150は、手術を行っている外科医101が、スレーブ外科手術器具110、111を操縦しながら、患者102およびロボット患者側カート105を直接観察することを可能になることによって、安全性を向上させる。
【0032】
また、患者側外科医インターフェース150によって、単独外科医101が、滅菌外科手術野内で操作し、外科手術器具115等の手動外科手術器具および1つ以上の遠隔操作スレーブ外科手術器具110、111の連携使用を要求する、手技を行うことが可能となる。これは、外科医が、外科手術野から遠隔で操作し、滅菌外科手術野内で作業するアシスタントが、典型的には、ステープラ等の手動操作低侵襲外科手術器具を制御する、従来の遠隔操作外科手術システムに勝る利点を有する。従来、遠隔外科医は、アシスタントと口頭で連携し、適切に手動器具を定置し、器具間の作用を調整しなければならない(例えば、遠隔操作器具を使用して、組織を手動操作器具に供給する)。
【0033】
しかしながら、本明細書に説明されるように、単独外科医101が、同時に、有利には、スレーブ外科手術器具110および手動操作外科手術器具115(例えば、ステープラ器具)の両方をともに使用し得るため、外科手術の作業フローは、向上される。例えば、手動操作外科手術器具115は、滅菌外科手術野内に位置する制御ハンドルを含む。外科医101は、制御ハンドルを使用して、手動操作外科手術器具115を制御する。
【0034】
また、インターフェース150によって、外科医101は、患者102の体内および体外の両方から、撮像プローブ、操縦可能針等を制御可能となる。したがって、インターフェース150によって、外科医101は、手動操作低侵襲ツールを使用する際、自己補助可能となる。さらに、例えば、経口、耳、鼻、喉手技において、インターフェース150によって、外科医101は、遠隔操作スレーブ外科手術器具110、111とともに、従来の観血的外科手術器具を使用する際、自己補助することが可能となる。
【0035】
インターフェース150は、遠隔操作外科手術システム100のための付加的大型の独立型外科手術コンソールを必要とすることなく、共同手技を促進する。また、アシスタント103は、インターフェース150を共有し、他の外科手術器具を操作し得る。加えて、複数の外科医が、共通表示デバイス160を使用して、協力し得る。
【0036】
前述の態様に加えて、また、患者側外科医インターフェース150によって、外科医101は、付加的外科医コンソールを必要とすることなく、外科医195(
図1B)を指導または外科医195と協力することが可能となる。外科医101は、外科医195が従来の外科医のコンソール114によって見ている表示デバイス160上の同一情報を見ることになる。しかしながら、外科医101は、滅菌外科手術野内で作業しているため、外科医101は、外科医195に容易に利用可能ではない患者の全体的外観等、付加的情報へのアクセスを有し得る。
【0037】
外科医101および195は、同一情報を視認するため、外科医101は、インターフェース150を使用して、適切な技法および遠隔操作スレーブ外科手術器具の使用を実演することができる。例えば、外科医101は、インターフェース150を使用して、少なくとも1つのプロキシ視覚を操縦させ、組織を把持すべき場所を視覚的に示したり、器具によって組織を後退させるべき方向を視覚的に示したりし得る。同様に、遠隔に位置する外科医195は、実際またはプロキシ視覚のいずれかを使用して、滅菌外科手術野外科医101に技法を実演し得、外科医101は、実際またはプロキシ視覚のいずれかを使用して追従し得る。ここでは、実際の視覚とは、遠隔操作スレーブ外科手術器具のエンドエフェクタの画像を指す。
【0038】
加えて、2人の外科医は、表示160を視認し、それぞれ、少なくとも1つのマスタツールグリップを有する可能性がある。一方の外科医は、プロキシ視覚を制御する一方、他方の外科医は、スレーブ外科手術器具のエンドエフェクタを制御する可能性がある。
【0039】
前述のように、患者側外科医インターフェース150は、少なくとも、マスタツールグリップおよび追跡システム、表示、随意に、人間工学的支持を含む。また、従来の制御システムへの種々のマッピングおよび修正が実装される。これらの態様はそれぞれ、以下に詳細に説明される。
【0040】
(マスタインターフェース)
本実施例では、
図2Aに示されるように、患者側外科医インターフェース150は、第1のマスタツールグリップ170Aおよび第2のマスタツールグリップ170Bを含む。マスタツールグリップ170Aおよび170Bは、例証にすぎず、マスタツールグリップを本具体的構成に限定することを意図するものではない。本開示に照らして、種々のマスタツールグリップは、滅菌外科手術野内から、器具110、111(
図1Aおよび1B)等の遠隔操作スレーブ外科手術器具を制御するために使用することができる。
【0041】
選択されるマスタツールグリップ技術は、外科医101の手に固着される。各マスタツールグリップ170A、170Bはまた、プレゼンス検出を含む。例えば、静電容量スイッチ、圧力スイッチ、赤外線ビームベースのプレゼンススイッチ、またはある他の種類のプレゼンス検出機構は、外科医101が、マスタツールグリップと適切に接触し、したがって、それを制御しているかどうかを決定するために提供される。本プレゼンス検出機構は、外科医が、マスタツールグリップを落とした場合、マスタツールグリップを別の外科医に手渡した場合、滅菌トレーに置いてある間、マスタツールグリップを動かした場合、または何らかの他の措置を講じ、したがって、マスタツールグリップの制御を失った場合等、別様に生じる場合がある、偶発的スレーブツールの移動を防止する、安全特徴である。
【0042】
一態様では、マスタツールグリップ170A、170Bは、少なくとも1つのモード制御ボタン201A、201Bを含む。モード制御ボタン201A、201Bは、追従(マスタツールグリップの運動と関連付けられた遠隔操作スレーブ外科手術器具との間の追従を開始する)、マスタクラッチ起動(スレーブ器具のマスタ制御を分断する)、内視鏡下カメラ制御(マスタが、内視鏡の移動あるいはフォーカスまたは電子的ズーム等の特徴の制御が可能となる)、ロボットアームスワップ(2つのスレーブ器具間の特定のマスタ制御をスワップさせる)、およびTileProスワップ、(外科医の表示上の補助ビデオウィンドウの表示をトグルする)のうちの少なくとも1つと併用される。マスタツールグリップ170A、170B上に実装されたモード制御ボタンの数および機能は、以下により完全に説明されるフットトレイ内のフットペダルと機能的に関連付けられたものに相補的である。
【0043】
システム100内に、2つのみのマスタツールグリップ170A、170Bが存在し、外科医101が、2つのマスタツールグリップに連結された2つのスレーブ外科手術器具以外のスレーブ外科手術器具の移動の制御を所望する時、外科医101は、2つのスレーブ外科手術器具の一方または両方を定位置にロックし得る。次いで、外科医101は、マスタツールグリップの一方または両方を、本実装では、別のスレーブ外科手術器具へのマスタツールグリップのスワップ関連付けを提供する、マスタツールグリップ上のボタンをタップすることによって、ロボットアームの他方によって保持される他方のスレーブ外科手術器具と関連付ける。
【0044】
一態様では、各マスタツールグリップ170A、170Bは、一方のマスタツールグリップが外科医101の左手用であって、別のマスタツールグリップが外科医101の右手用であるように、硬さの触知感覚を提供する(例えば、左手または右手のいずれかに適応される特定の形状)。加えて、マスタツールグリップの特定のグリップ型は、マスタツールグリップを使用して、外科医の選好に対応するようにカスタマイズすることができる。
【0045】
図2Aの実施例では、各マスタツールグリップ170A、170Bは、外科医101(
図1Aおよび1B)が、典型的には、親指と人指し指との間で対のレバーを把持することができるように、それぞれ、フィンガループ233A、233B、234A、234Bを伴う、2つのレバー231A、231B、232A、232Bを含む。パームレスト235、236は、本実施例では、外科医の手のひらに適合し、手のひらから手の甲まで延在する。マスタツールグリップの他の実施例として、グローブデバイスおよび指ぬきデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。また、マスタツールグリップは、ピストル形グリップデバイスまたは鉛筆形グリップデバイスとして実装される可能性もある。また、以下に説明される、
図2Bおよび2Cも参照されたい。
【0046】
マスタツールグリップ170、170A、170Bは、手術室内の全機器に対して、機械的に制限されていない。ケーブル241、242は、マスタツールグリップ170A、170Bを制御システム190に接続する。一態様では、ケーブル241、242は、マスタツールグリップ170A、170B内のセンサからの位置および配向情報を制御システム190に搬送し、ならびにグリップ閉合のためのセンサデータおよびマスタツールグリップ170A、170B上のボタン入力のための状態データを搬送する。
【0047】
感知された位置および配向データを制御システム190に伝送するためのケーブルの使用は、例証にすぎず、本具体的態様に限定することを意図するものではない。本開示に照らして、当業者は、感知された位置および配向データをマスタツールグリップまたはマスタツールグリップから制御システム190に伝送する(例えば、無線接続の使用によって)ための機構を選択することができる。
【0048】
ケーブル241、242は、マスタツールグリップ170A、170Bの運動を阻害しない。各マスタツールグリップ170A、170Bは、機械的に固定されていないので、各マスタツールグリップは、外科医の到達可能な作業空間およびハンド追跡送信機の作業空間(例えば、デカルト座標系における動揺、水平傾斜移動、急上昇、ピッチ、ヨー、およびロール)内の位置および配向運動の両方に対して、効果的に制約されない。各マスタツールグリップ170A、170Bはまた、ペンチ形グリップ機構を含むため、各マスタツールグリップ170A、170Bは、少なくとも7自由度を有する。
【0049】
ハンド追跡送信機175は、例えば、電磁空間追跡システム、慣性空間追跡システム、光学空間追跡システム、または音波空間追跡システムであることができる。感知された情報を提供するデバイスは、特定の空間追跡システムまたは使用されるシステムの組み合わせに応じて、可変であり得る。各実装では、マスタツールグリップのための少なくとも感知された位置および配向情報は、制御システムに提供される。
【0050】
いくつかの態様では、電磁空間追跡システムおよび慣性空間追跡システムの組み合わせ、または光学空間追跡システムおよび慣性空間追跡システムの組み合わせが使用され得る。慣性空間追跡システムは、高更新頻度および高解像度を有するが、統合されると、絶対的位置ドリフトの影響を受けやすい、差動追跡情報のみを提供する。慣性空間追跡からの差動追跡情報は、機械的に固定されていないマスタツールグリップのために、ドリフトの無い絶対的位置追跡に高更新頻度および高解像度を提供するように相補的様式において、他の空間追跡システムからの絶対的追跡情報と融合することができる。
【0051】
一態様では、空間および配向追跡の特定の実装に関係なく、追跡システムは、信頼性があって、かつ継続的な入力データを制御システム190に提供する。高解像度位置および配向感知は、少なくとも、1ミリメートルを超える位置解像度および1度未満の回転解像度を提供する。制御システム190に提供されるデータは、低待ち時間および高更新頻度、例えば、最大でも15ミリ秒の待ち時間および少なくとも40Hertzの更新率を有する。
【0052】
図2Bは、マスタツールグリップ220の別の実施形態を例証する。マスタツールグリップ220は、ストラップ227を伴うカフ225、シャフト243、および本体242を含む。
【0053】
カフ225は、内側表面225Bが外科医の手の甲を覆って、反対の内側表面225Aが外科医の手のひらを覆うように、外科医101の手を中心として適合する。一態様では、Velcro(登録商標)ストラップである、ストラップ226は、カフ225を外科医の手に固着する。
【0054】
カフ225は、外科医の手の外周の周囲に快適に適合するように定寸される。一態様では、カフ225は、6インチ(15.3cm)の外周を有し、ストラップ227は、カフ225が約6.8から約9.1インチ(17.3cmから23.1cm)の外周を伴う手で使用することができるように定寸される。
【0055】
一態様では、ストラップ226が定位置に置かれ、カフ225の両方の部品に固着されると、プレゼンス検出スイッチが起動されるが、前述のプレゼンス検出技法のいずれかかが使用され得る。
【0056】
モード制御ボタン226は、カフ225の外側表面上に位置付けられる。モード制御ボタン226は、親指と人指し指との間でレバー241Aおよびレバー241Bを把持している時、外科医の他の指のうちの1つが、モード制御ボタン226に到達し、押下することができるように、位置付けられる。
【0057】
マスタツールグリップ220の本体242は、シャフト243上に摺動可能に搭載される。シャフト243は、カフ225に添着される。一態様では、本体242は、カフ225から離れるように、最大1.8インチ(4.6cm)、シャフト243に沿って移動する。本体242はまた、シャフト243を中心として回転する。
【0058】
2つのレバー241A、241Bは、一端で本体242上に搭載される。レバー241A、241Bの構成は、類似しており、したがって、レバー241Aのみ詳細に検討される。
【0059】
レバー241Aは、本体242上に搭載された端部の反対のレバーの端部に搭載される、接触板246Aを有する。外科医101(
図1Aおよび1B)は、典型的には、親指と人指し指との間で接触板246Aおよび246Bを把持し、接触板246Aおよび246Bを本体242に向かって押圧し、遠隔操作スレーブ外科手術器具エンドエフェクタの把持を向上させることができる。したがって、レバー241A、241Bは、エンドエフェクタの把持または他の動作を模倣するように、本体242に搭載される。例えば、可変抵抗バネは、接触板246A、246Bが本体242に接近するのに伴って、接触板246A、246Bを移動させる抵抗がその方向にさらに増加するように使用され得る。
【0060】
接触板246Aと本体242への取着点との間のレバー241上に搭載されるのは、磁石およびホール効果センサを含む、閉合センサ244Aである。閉合センサ244Aは、レバー241Aが本体242に向かって、またはそこから離れるように移動するのに伴って、把持閉合情報を提供し、制御システム190は、遠隔操作スレーブ外科手術器具のエンドエフェクタの閉合を制御する際、把持閉合情報を使用する。
【0061】
カフ225の遠位の本体242の端部に搭載されるのは、電磁センサ245であり、電磁センサ245は、ハンド追跡送信機175からの視野と組み合わせて使用され、マスタツール追跡装置220がハンド追跡送信機175からの視野内で移動するのに伴って、感知された位置情報および感知された配向情報を生成する。
【0062】
図2Cは、さらに別のマスタツールグリップ260の例証である。本実施形態では、機器化されたフィンガを伴うグローブの代わりに、フィンガループ261A、261Bが、外科医の親指および人指し指上に定置される。
【0063】
各フィンガループ261A、261Bは、その上に搭載された小型電磁センサ262A、262Bを有する。部材262は、フィンガループ261Aと261Bとの間に延在する。一態様では、部材262は、スレーブ外科手術ツールエンドエフェクタの閉合を模倣し、グリップ閉合情報を提供する。
【0064】
フィンガループ261A、261Bが離れるのに伴って、エンドエフェクタが開放される。フィンガループ261A、261Bが相互に向かって移動されるのに伴って、部材262は、エンドエフェクタの閉合および把持(適切である場合)をシミュレートする抵抗を提供する。回転軸を作動させるために、外科医101は、単に、指と親指をともに擦り合わせると、相互に対するセンサ262A、262Bの配向変化は、回転量に対応する。
【0065】
マスタツールグリップの本明細書に説明される種々の実施形態は、例証にすぎず、限定することを意図するものではない。一態様では、各マスタツールグリップは、種々のグリップ選好に対応させながら、外科医の手にマスタツールグリップを保持する安全な方法を含む。マスタグリップによって、外科医は、全体的と微細な運動の両方を容易に行うことが可能となる。
【0066】
一態様では、マスタツールグリップは、少なくとも1つのモード制御ボタンを組み込む。マスタツールグリップによって、外科医は、マスタツールグリップから指と親指を容易に除去することが可能となる。一態様では、マスタグリップは、別個に感知された回転軸を組み込む。マスタグリップは、外科医のプレゼンスを検出し、3次元追跡センサに対応する。マスタツールグリップはまた、マスタグリップが滅菌できない時、滅菌カバーにも対応する。いくつかの態様では、マスタツールグリップは、外科手術器具への同等の重量および質量分散を維持する。
【0067】
(表示デバイス)
図3Aは、例えば、液晶表示(LCD)デバイスである、表示デバイス160上に画像を提供する、システムの一態様のより詳細なブロック図である。従来の立体的内視鏡112は、患者102の組織ならびに立体的内視鏡112の視野内の外科手術器具110および111の任意のエンドエフェクタの左右チャネル画像を提供する。
【0068】
立体的内視鏡112は、組織から光を伝達するための2つのチャネル(例えば、左右画像のためのチャネル)を含む。各チャネル内で伝達される光は、組織の異なる視点を表す。光は、1つ以上の画像を含むことができる。光は、電荷結合素子−カメラによって捕捉される。電荷結合素子からの情報は、制御システム190内のビデオコントローラ391によって処理され、適切な更新情報が、ビデオコントローラ391によって、表示デバイス160に提供される。ビデオコントローラ391によって表示デバイス160に提供される特定の情報は、以下により完全に論じられるように、表示デバイス160の特色に依存する。
【0069】
前述のように、表示デバイス160は、いくつかの態様では、2次元画像として、外科医101によって知覚されてもよく、他の態様では、3次元画像として、外科医101によって知覚され得る、画像を提供することができる。3次元で見て、生体構造および器具の相対的奥行を知覚する能力は、従来の手動で行われる腹腔鏡下手技で提供される、典型的2次元画像と比較して、有利である。正確な立体的奥行の手がかりは、認知的負荷を低減させ、動作の効率性を向上させることができる。しかしながら、正確な立体的手がかりは、眼間隔および作業距離比の確保を要求する。
【0070】
一態様では、表示デバイス160は、ブーム310上に搭載され、患者102および少なくとも外科医101に対して、表示デバイス160の便利な定置および再配向を可能にする。表示デバイス160および/またはブームは、表示デバイス160が、前述のように移動することができるように、ハンドル311、312を含む。
【0071】
一態様では、ハンドル311、312は、ハンドル311、312が滅菌外科手術野内に含まれるように、被覆される。これによって、滅菌外科手術野内で作業している人物によって、表示デバイス160を移動させることが可能となる。
【0072】
ブーム310は、一態様では、システム100がスレーブ外科手術器具がマスタツールグリップの移動に追従するモード(追従モード)にある間、表示デバイス160が移動できないように、ブレーキを含む。代替として、一態様では、いずれの移動表示デバイス160も、システム100が追従モードにある間、追従モードを遮断する。ある場合には、マスタツールグリップ運動は、表示デバイス160に対して感知され、したがって、表示デバイス160は、システムが追従モードにある間、移動可能ではない。実装に関係なく、一態様では、表示デバイス160は、制御システム190に連結された表示モーションインターロックを含み、本インターロックは、そのような移動が外科医101に不適切および/または方向感覚を失わせるであろう、あるシステム動作モードにおける表示移動を防止する。
【0073】
加えて、表示デバイス160は、外科医プレゼンススイッチを含む。外科医101が、表示デバイス160に対向し、外科医プレゼンススイッチの範囲内にいる時、スイッチは、制御システム190が追従モードに入り、かつ留まることを可能にする信号を制御システム190に提供する。外科医101が、表示デバイス160に対向していない、またはスイッチの範囲内にないのいずれかである時、外科医プレゼンススイッチは、制御システム190が追従モードに入ることを阻害する信号を制御システム190に提供する。一態様では、1つ以上の赤外線(IR)範囲センサが、表示160から、または代替として、外科医のビューア361から、外科医101の近距離を感知するように使用される。
【0074】
外科医プレゼンススイッチは、外科医101が3次元画像内の視覚的奥行の手がかりを適切に評価するための位置にいない場合に、外科医101が、スレーブ外科手術器具を操作するのを防止する、安全特徴である。外科医プレゼンススイッチは、制御システム190に連結された表示ベースのプレゼンスインターロックの実施例である。
【0075】
前述のように、表示コントローラ391によって、表示デバイス160に提供される情報は、利用される表示の種類に依存する。表示デバイス160上の3次元画像の場合、いくつかの異なる実装を利用することができる。
【0076】
第1の実装では、表示デバイス160は、一対の偏光画像を提供し、外科医101は、特殊眼鏡361を装着する。外科医101は、特殊眼鏡361によって、対の偏光画像を視認すると、3次元画像が見える。偏光画像は、複数の方法で生成することができる。第1の態様では、表示は、自動的に、対の偏光画像を生成する、特徴を含む。第2の態様では、対の偏光画像を生成するフィルムが、液晶表示の画面に適用される。両場合において、偏光レンズを伴う受動的眼鏡が、3次元画像を視認するために要求される。
【0077】
これらのアプローチのいずれにおいても、一態様では、LCD表示上の画像の偏光は、ライン毎ベースで変更される。例えば、表示された画像内の偶数番号ラインは、一方向に偏光され、表示された画像内の奇数番号ラインは、別の方向に偏光される。典型的には、偶数番号ラインに対する偏光は、奇数番号ラインに対する偏光に垂直である。左眼画像は、偶数番号ラインからの偏光画像であり、本実施例の場合、右眼画像は、奇数番号ラインにからの偏光画像となるであろう。本態様は、制御システム190が、表示デバイス160に、ライン毎ベースで左右両方の眼情報を含む合成画像を提供することを要求する。本アプローチは、受動的偏光眼鏡361の使用を要求する。
【0078】
本アプローチは、高解像度画像を提供し、広い視野によって、複数ユーザに対応可能である。リフレッシュ速度への依存およびちらつきもない。また、表示は、0.7mから3mの範囲内の距離で視認することができるため、外科医101は、特定の場所に限定されない。しかしながら、本アプローチは、ゴーストアーチファクトおよび側方頭部運動からの混乱させる歪を被る可能性がある。
【0079】
前述の特色を伴う表示の実施例は、Pavonnine Korea、Inc.((406−130)Pavonne R & D Center #7−42、Songdo、Yeonsu−gu、Incheon、Korea)によって提供されるMiracube G240Mである。そのような特色を伴う表示の別の実施例は、JVC U.S.A.(1700 Valley Road、Wayne、NJ 07470)によって提供されるGD−463D10である。加えて、これらの特色を伴う偏光フィルムは、市販されている。
【0080】
別の実装では、立体的内視鏡112からの二重画像を、制御システム190によって、表示デバイス160上に提示することができ、立体ビューア361は、立体ビューア361が表示デバイス160からの固定された距離にあるように、ブーム上に搭載される。立体ビューア361は、表示デバイス160からの立体画像対を外科医101の眼に反射させる調節可能ミラーを含み、外科医の脳は、画像を単一の鮮明な3次元場面に融合する。一実施例では、立体ビューア361は、Wheatstone反射式立体鏡である。
【0081】
図3Bは、表示デバイス160Aを伴う、Wheatstone反射式立体鏡ビューア361Aのより詳細な例証である。本態様では、表示デバイス160Aは、ハンドル311A、311Bを提供する、搭載ブラケット321内に搭載される。搭載ブラケット321は、一態様では、ブーム310に取着される。
【0082】
立体的内視鏡112からの左右画像315、316は、ビデオコントローラ391によって、表示デバイス160A上に表示される。ビューア361Aは、拡張ブーム320によって、搭載ブラケット321に取着される。拡張ブーム320は、表示デバイス160Aからビューア361Aまでの距離の調節と、ビューア361Aの垂直高の調節を可能にする。また、拡張ブーム320は、ビューア361Aが、表示デバイス160Aを視認する方向からずれて、直接回転することができるように回転する。
【0083】
図3Bの態様では、搭載ブラケット321に取着されるのは、ハンド追跡送信機175のための支持アセンブリ330である。支持アセンブリ330は、その上に、ハンド追跡送信機175が搭載される、回転台331を含む。一態様では、回転台331は、回転盆装置として実装される。
【0084】
立体ビューア361、361Aの本実装は、ミラーを使用するため、フルカラーに対応する。3次元画像は、ゴースト像に悩まされることはなく、画面のちらつきから完全に解放され、容易な視認が可能となる。画像は、正確な立体奥行の手がかりを提供する。立体ビューア361、361Aの位置は、表示デバイスからの良好な視認距離に位置する。また、立体ビューア361は、外科医プレゼンス検出のための頭部センサを支持し、運動マッピングのための適切な頭部整合を維持する。表示デバイス160の解像度は、立体画像解像度を決定する。
【0085】
ビューアの正面に直接位置する立体画像を視認可能な立体ビューアは、Berezin Stereo Photography Products(21686 Abedul、Mission Viejo、CA 92691 USA)のScreenScope LCD Adjustableである。しかしながら、いくつかの態様では、手運動作業空間と併置される、立体画像を視認可能であることが有利である。これは、そのような立体ビューアを伴う潜望鏡のようなミラーアセンブリを使用して達成される。眼に対するミラーアセンブリ内の入射ミラーは、表示デバイス160からの画像を反射させるミラーと異なるピッチ角度を有することができる。一態様では、眼に対する入射ミラーの角度は、これらのミラーが搭載されるビューア接眼部を介して、調節可能である。水平から60度の降下は、併置のための良好な作業角度であることが分かっている。
【0086】
立体ビューアは、患者側位置の選択に対して、外科医が利用可能な選択肢を限定する。しかしながら、立体ビューアは、前述の種々のロックの実装を促進し、外科医101によって所望される作業位置の多くに到達するために、患者カートブーム上に搭載することができる。本実装は、複数のユーザが、表示デバイス160を使用して、同時に、同一3次元画像を視認することを可能にしない。
【0087】
なおも別の態様では、能動的眼鏡361が、表示デバイス160上の画像を視認するために使用される。能動的眼鏡361は、時として、シャッタ眼鏡と称される。能動的眼鏡361は、表示デバイス160のリフレッシュ速度と併せて、各眼を「閉じる」。能動的眼鏡361内の各レンズは、効果的に、どちらの眼が表示デバイス160上に表示される画像を見るべきかに応じて、オフ(黒色)またはオン(透明)に切り替えられる、1画素のLCD画面である。
【0088】
表示デバイス160が、120Hz LCDデバイスである場合、1秒あたり、各眼に対して、60フレームが表示されるように、映像1秒あたり、120フレームが表示される。これは、時として、ページめくりと称される。
【0089】
無線接続または赤外線接続は、能動的眼鏡361を表示デバイス160と同期させるために使用される。左眼フレームが、表示デバイス160上に示されている場合、左レンズは、完全に開放し、その時間中に、画面は、右眼のための次のフレームによってリフレッシュし、能動的眼鏡361も、レンズの不透過率を切り替えなければならない。表示デバイス160が120Hz LCDデバイスである場合、1秒あたり、各眼に対して、60フレームが、制御システム190によって提供されるように、映像1秒あたり、120フレームが表示される。使用することができる120Hz LCD表示は、Samsungから利用可能である。
【0090】
本態様では、赤外線(IR)シャッタ信号は、外科医プレゼンス信号として使用され得る。外科医は、能動的シャッタ眼鏡361によって検出されるために、表示デバイス160によって放出されたIRシャッタ信号に対し、表示デバイス160に対向しなければならない。本検出は、安全インターロックの一部として、プレゼンスを確認するために、制御システムに中継され得る。能動的シャッタ眼鏡361の使用は、良好な画質および大型の視点を包み込むような表示を提供するが、外科医101は、表示デバイス160の視程内に留まり、側方頭部運動を回避し、混乱させる歪を最小限にしなければならない。
【0091】
なおも別の態様では、表示デバイス160は、ブーム上に搭載されず、代わりに、頭部搭載表示ユニットである。頭部搭載表示ユニットは、左右眼のための独立画像を表示するビューア接眼部を伴う、2つの小型形状因子LCD表示を含む。接眼部は、瞳孔間距離および注視方向の調節を含む、ユーザの眼との最適な整合のために調節可能である。接眼部内の光学は、画像がアームの長さ内において、ビューアの正面に浮遊している印象を与える。頭部搭載表示は、正確な立体的奥行の手がかりを提供し、良好な視認距離を有する。頭部搭載表示はまた、視覚併置およびプレゼンスセンサとしての頭部センサを支持する。使用のために好適な頭部搭載表示の1つは、Vision Systems Group、A Divisio of Viking Systems(134 Flanders Rd.、Westborough、MA)によって提供される3D−HD Personal Head Displayである。
【0092】
別の態様では、頭部搭載表示技術はまた、コンパクト型ブーム搭載表示形状因子としても利用可能である。
図3Cを参照されたい。本態様では、表示デバイス160Bは、ロボット患者側カート305または独立型カートに直接取着される、ブーム310A上に搭載される。本技術は、患者側カートにおいて、外科医によって所望される作業位置の大部分に対応し、頭部センサ371およびヘッドレスト372を支持する。加えて、接眼部の角度は、ハンド追跡作業空間との視覚の理想的併置を可能にする。矢印373は、一実施形態では、60度だけ水平から下方に角度付けられる、表示デバイス160Bを使用する外科医の視線を表す。また、本態様では、ハンド追跡送信機175は、ブーム310Aによって支持される。
【0093】
別の態様では、表示デバイス160は、特殊眼鏡または立体ビューアを必要としない、自動立体表示であって、したがって、外科医のビューア361は使用されない。自動立体的表示は、視認眼鏡を使用する必要なく、各眼に対して、別個の画像を配信する。自動立体表示を生成するために使用される2つの主要技術がある。すなわち、反対側の眼を対象とする光を遮断するためのバリアの使用、または選択された眼に光を向けるためのレンチキュラーレンズの使用である。
【0094】
視差バリアは、不透明媒体に微細な垂直スリットを有する。バリアは、垂直スリットに提示される左右画像とともに、表示デバイス160上の画像の正面に定置される。画像スリットとバリアスリットの頻度が、整合し、外科医101が、バリアから要求された距離にいる場合、左右画像は、それぞれ、外科医101の左眼と右眼によって見ることができる。偏光眼鏡の必要はない。しかしながら、視認位置の数は限定されており、これは、外科医101による患者側位置の選択の自由が限定されることになる。
【0095】
(モード制御)
患者側外科医インターフェース150は、追従モード(スレーブ外科手術器具が、マスタツールグリップの移動に追従する)、マスタクラッチモード(マスタ移動からスレーブ作動を係脱する)、カメラ制御モード(内視鏡の移動を有効化する)、エネルギーツールモード(外科手術エネルギーツール制御を有効化する(例えば、電気焼灼ツール))、カメラフォーカスモード(カメラフォーカス制御を有効化する)、アームスワッピング(種々のマスタおよびスレーブアーム制御の組み合わせを可能にする)、ならびにTileProスワッピングモード(外科医の表示内の種々の写真表示の制御を有効化する、例えば、フル画面表示と、外科医が2つ以上の別個の画像またはデータ画面を視認する表示との間のスワッピング)等のシステムモードを制御するためのインターフェースを含む。システムモードを制御するためのインターフェースは、外科医101によって、容易にアクセス可能であって、種々の動作モードのオン/オフ作動およびトリガされた起動の両方に対応する。
【0096】
システムモードを制御するためのインターフェースは、モード制御入力が、相互排他的様式において、複数のユーザによって、マッピングおよび制御されることを可能にする。インターフェースはまた、ユーザ独立マスタクラッチを有効にする。一態様では、インターフェースは、滅菌可能である。システムモードを制御するためのインターフェースは、学習および記憶が容易である。システムモードを制御するためのインターフェースは、意図されないモード起動を最小限にするように構成される。
【0097】
システムモードを制御するためのインターフェースは、単独であることも、または1つ以上のボタン、センサ、およびフットペダルと組み合わせることもできる。例えば、前述のように、押下されると、マスタクラッチおよびカメラ制御を起動するボタンを、マスタツールグリップ上に含めることができる。同一ボタンのクイックタップは、アームスワップまたはTileProスワップをトリガする。通常タップに対する特定の機能性およびクイックタップの特定の機能性が、各ボタンに割り当てられる。
【0098】
一態様では、システムモードを制御するためのインターフェースは、少なくとも1つのフットペダル431を含むフットペダルトレイ430(
図4C)を含む。一態様では、フットペダルトレイ430は、da Vinci(登録商標) Surgical System Model IS3000(米国特許出願第12/400,726号(2009年3月9日出願)参照、参照することによって本明細書に組み込まれる)において、エネルギー起動を制御するための従来のフットペダルトレイの右半分に類似する、小型ポッドである。しかしながら、いくつかの態様では、従来のフットペダルトレイのすべてが使用され得る。
【0099】
(人間工学的支持)
図1Aおよび1Bに例証されるように、患者側外科医インターフェース150は、外科医101の前腕または肘のためのベンチアームとして機能する、可動人間工学的前腕支持180を含む。前腕支持180は、マスタツールグリップ170、170A、170Bの微細な運動のための安定性を提供する。前腕支持180はまた、連携タスクのために、ハンド間の固有感覚関係を維持する。
【0100】
図4Aの実施例では、前腕/肘支持180Aは、手術台405に取着される。本明細書で使用される場合、前腕/肘支持とは、支持が前腕または肘のいずれかに提供されることができることを意味する。前腕/肘支持180Aは、例えば、矢印404によって示されるように、手術台405の長さに沿って、矢印401によって示されるように、手術台に接近または離間して、および矢印402によって示されるように、手術台405の表面に対して上下に、複数の次元において可動である。また、本実施例では、前腕/肘180A支持は、矢印403によって示されるように、その中心の周りを旋回することができる。前腕/肘支持180Aは、外科医101が起立または着席のいずれかの間、使用することができる。代替として、前腕/肘支持180Aは、手術台405にではなく、ブレーキとともに、可動ブームに取着され得る。可動ブームは、立位または座位使用のために調節することができ、可動ブーム構造は、ブームに対してもたれる外科医の力に耐えられるほど十分に強力である。
【0101】
別の実施例では、前腕/肘支持180Bは、サドルスツール410等の可動プラットホーム上に搭載される。
図4Bに示されるように、サドルスツール410は、複数のキャスタ415を含み、移動を促進する。そのような支持を伴うサドルスツールの1つは、Salli Saddle Stool with Elbow Rest from Back Designs, Inc.(Novato、CA、USA)として利用可能である。サドルスツールの使用は、可動プラットホームの例証にすぎず、本具体的スツールに限定されることを意図するものではない。本開示に照らして、好適な前腕/肘支持は、外科医101が快適に着席または別様に支持されることができる、種々の可動プラットホーム上に搭載することができる。
【0102】
そのような可動プラットホームによって、外科医101は、作業の間、そのプラットホーム上に身を任せ、それによって、体幹筋肉を弛緩させ、人間工学的背骨の整合を保持する。可動プラットホームは、科医の前腕のための中立作業位置と、マスタクラッチモードにおいて人間工学的姿勢に戻るための物理的基準を提供する。本物理的基準は、マスタクラッチモードを使用する際、認知的負荷を低減し、人間工学的姿勢を保持するのに有用である。
【0103】
(制御システム)
前述のように、制御システム190、190A(
図1A、1B、3A、および7)は、種々の機能を果たす。制御システム190A(
図7)は、動作モードのうちの1つにおける動作と関連付けられた情報と、動作すべきモードを示す情報の両方を受信する。例えば、マスタインターフェース入力/出力モジュール702を使用して、制御システム190Aは、感知された空間情報721、感知された配向情報722、およびグリップ閉合情報723、ならびに制御スイッチ724(例えば、表示およびマスタツールグリッププレゼンススイッチ)の状態に関する情報を受信する。制御システム190Aはまた、患者側外科医インターフェース(PSSI)150からモード制御コマンド725を受信する。種々の制御スイッチからの状態情報およびモード制御コマンドに応答して、制御システム190Aによって講じられる措置は、前述されており、したがって、ここでは反復されない。
【0104】
制御システム190Aは、プロセッサモジュール701内のプロセッサ上で遠隔操作サーボ制御ループモジュール760における命令を実行する、遠隔操作サーボ制御システムを使用して、外科医601が、スレーブ外科手術器具110の先端を効果的に操縦することができるように、制御コマンドを通して、関連付けられたロボットアームに、マスタツールグリップ670の運動を変換し、転送する。一態様では、制御コマンドは、配向運動コマンド731および空間運動コマンド732を含む。遠隔操作サーボ制御システムによって行われる機能は、制御システム190Aに関して以下により完全に説明される特徴と併せて検討される場合、従来の機能に匹敵する。
【0105】
図6Aでは、立体的内視鏡612のための従来の内視鏡下視認座標フレーム610が例証される。
図6Bでは、種々の座標フレーム610、620、および630が、一態様において使用される。以下により完全に説明されるように、座標フレーム610、620、および630は、一態様では、マスタツールグリップ670の運動を遠隔操作スレーブ外科手術器具の運動に変換するために使用される。
【0106】
制御システム190Aは、感知された空間情報721、感知された配向情報722を、配向運動コマンド731および空間運動コマンド732に変換する際、一意のマッピングおよび処理を実装し、遠隔操作スレーブ外科手術器具の先端を移動させる。特に、制御システム190Aは、以下により完全に説明されるように、実行に応じて、スレーブ外科手術器具の自立的または意図しない運動を防止する、ラチェッティングシステムモジュール730を含む。制御システム190Aはまた、以下により完全に説明されるように、メモリ780内に記憶され、プロセッサモジュール701内のプロセッサ上で実行される、プロキシ視覚モジュール750を含むことができる。
【0107】
制御システム190Aの実装の以下の説明は、例証にすぎず、限定されることを意図するものではない。本説明に照らして、当業者は、説明された特徴の任意の所望の組み合わせを選択および実装し、患者側外科医インターフェース150を含む、低侵襲遠隔操作外科手術システムの要件に対応することができる。
【0108】
滅菌外科手術野内で機械的に固定されていないマスタツールグリップ670と3次元表示デバイス660の組み合わせは、遠隔操作スレーブ外科手術器具の患者側制御を可能にする際、新しい能力を提供する。前述のように、一態様では、可動3次元表示660は、滅菌外科手術野内で作業する外科医601によって動かすことができる。制御システム190Aによって、3次元表示デバイス660で見られるように、マスタツールグリップ670の運動をスレーブ外科手術器具エンドエフェクタ661の移動にマッピングするために使用される技法は、従来の低侵襲遠隔操作ロボット外科手術システムから直接転換可能ではない。
【0109】
解決すべき問題をより理解するために、滅菌外科手術野内にない、外科医のコンソール114(
図1B)に対して、従来の低侵襲遠隔操作ロボット外科手術システムによって使用される従来のマッピング方法を検討することが有用である。外科医のコンソール114のための運動マッピング方法は、直感的および人間工学的の両方であるように設計されている。このため、運動マッピングは、視覚とハンド作業空間との併置を利用する。例えば、米国特許第7,155,315号(2005年12月12日出願「Camera Referenced Control in a Minimally Invasive Surgical Apparatus」)(参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0110】
外科医195(
図1B)は、外科医のコンソール114に向かって着席し、立体ビューアに目を向け、立体内視鏡112から3次元画像を見る。3次元画像は、外科医195が自身の眼によって直接外科手術野を見ているように現れるように、外科医195に視点を包み込むような方法で提示される。立体視覚は、外科医自身の手と眼の作業空間に知覚的に整合するようにスケーリングされる。さらに、立体視覚は、光景が外科医の頭部の主視方向に沿って、奥行に延在するように配向され、頭部は、60度だけ下方に角度付けられる。
【0111】
本設定の結果、外科医の視覚的空間は、外科医がマスタツールマニピュレータを移動させる空間と知覚的に重複する。本構造は、最終的には、遠隔操作スレーブ外科手術器具が外科医自身の手である印象を与える。
【0112】
したがって、従来のシステムは、遠隔操作スレーブ外科手術器具を制御するための手と眼の空間の理想的マッピングに対応する。直上で述べたように、内視鏡下ビューで器具をみる時、外科医は、器具が実際に自身の手であるように知覚するのが一般的である。
【0113】
(制御システム−体心マッピング)
前述のように、患者側外科医インターフェース150によって、表示デバイス660は、外科医601に対して、可変方向に位置付けおよび配向可能となる。前述の従来の併置マッピングは、外科医601が、立体的表示660を見る方向に沿って自身の手を移動させて、内視鏡下ビュー方向Z
sに沿って、器具を移動させる必要があることを示唆する。このアプローチは、外科医が表示デバイス160Bを覗き込む、
図3Cに例証されるもの等の立体的表示デバイスにとっては容認可能である場合があるが、外科医のビューがより水平である表示デバイスの場合、容認可能ではない。
【0114】
加えて、外科医601は、表示に対して上方および平行に自身の手を移動させて、内視鏡下ビュー内の方向Y
sに器具を上方に移動させるであろう。しかしながら、これは、表示デバイス660が外科医601の正面に直接ない時は、ぎこちなく、非人間工学的運動をもたらす可能性がある。継続的に腕を持ち上げ、表示デバイス660に対して上方および内方へ手を移動させる必要があることは、外科医601に疲労を与えることになるであろう。
【0115】
従来の視覚的空間の使用の試みと関連付けられたこれらの問題を克服するために、外科医601が自身の姿勢に対して移動を合わせることを可能にする体心マッピングが適用される。
図6Bの実施例では、体心座標フレーム610は、体心z−座標軸Z
bc、体心x−座標軸X
bc、および体心y−座標軸Y
bcを含む。
【0116】
図6Bでは、体心z−座標軸Z
bcは、それに沿って、マスタツールグリップ670の運動が、外科医601の胴体601Tから離れる、およびそこに向かう、軸である。体心x−座標軸X
bcは、それに沿って、マスタツールグリップ670の運動が、外科医601の胴体601Tに対して、左から右となる、軸である。体心y−座標軸Y
bcは、それに沿って、マスタツールグリップ670の運動が、外科医601の胴体601Tに対して、上下となる、軸である。
【0117】
表示デバイス660上の画像では、内視鏡下ビューz−座標軸Z
sは、表示660上の画像に向かって、およびそこからの内視鏡下ビュー方向に沿った軸である。内視鏡ビューx−座標軸X
sは、表示660上の画像の右から左に延在する軸である。内視鏡ビューy−座標軸Y
sは、表示660上の画像内の上下に延在する軸である。座標フレーム610は、議論を容易にするために、表示660上に例証されるが、通常、表示660上の画像内に含まれない。一態様では、表示660上の画像に対する表示座標フレームは、内視鏡下ビュー座標フレーム610と同一である。
【0118】
また、表示デバイス660上の画像内にあるのは、それに対して、先端座標フレーム630が規定される、遠隔操作スレーブ外科手術器具のエンドエフェクタ661である。エンドエフェクタ661の先端z−座標軸Z
tは、表示660上の遠隔操作スレーブ外科手術器具の画像の縦軸に沿った軸である。先端x−座標軸X
tおよび先端座標軸Y
tは、軸Z
tに垂直な平面を規定する。
【0119】
便宜上、これが、外科医がその動きを見ている対象であるため、時として、スレーブ外科手術器具先端661と称される、スレーブ外科手術器具エンドエフェクタ661の画像が、本説明では使用されることに留意されたい。本画像の移動は、遠隔操作スレーブ外科手術器具先端自体の移動に直接対応する。当業者は、本明細書に説明されるように、画像の移動が、制御システム190Aからの制御コマンドに応答した、ロボットアームによる先端自体の移動の直接的結果であることを理解する。
【0120】
制御システム190Aは、体心座標フレーム620におけるデータおよび外科手術器具先端座標フレーム630におけるデータの両方を、時として、共通座標フレームと称される、内視鏡下ビュー座標フレーム610にマッピングすることに留意されたい。本マッピングは、マスタツール追跡装置660の移動を表示座標フレーム内の外科手術器具先端661の移動に変換する際に使用される。
【0121】
例えば、着席または起立している時、外科医601は、体心z−座標軸Z
bcに沿って、自身の胴体601Tから離れるようにマスタツールグリップ670を移動させ得る。マスタツールグリップ670は、本態様では、3次元座標フレーム610における運動を感知し、感知された空間情報721および感知された配向情報722を制御システム190Aに提供する。
【0122】
制御システム190では、ハンド追跡コントローラ704は、感知された情報、例えば、感知された空間情報721および感知された配向情報722の一方または両方を受信し、新しい空間位置データ(x
bc、y
bc、z
bc)および新しい配向データ(ピッチ、ヨー、ロール)を出力する。一態様では、ハンド追跡コントローラ704はまた、ハンド追跡送信機175に連結され、送信機175によって伝送される視野を制御する。
【0123】
空間位置データ(x
bc、y
bc、z
bc)および配向データ(ピッチ、ヨー、ロール)は、内視鏡下ビュー座標フレーム610にマッピングされる。新しいマッピングデータおよび内視鏡ビュー座標フレーム610内のエンドエフェクタ661の現在の位置を使用して、エンドエフェクタ661を内視鏡ビュー座標フレーム610内の新しい位置に移動させるために必要とされる情報が決定される。本情報は、制御コマンドとして、スレーブ器具に送信される。制御コマンドに応答して、遠隔操作スレーブ外科手術器具は、視鏡下ビュー方向に沿って、先端を移動させ、体心z−座標軸Z
bcに沿うマスタツールグリップ670の運動に対応させる。その結果、表示デバイス660内のスレーブ器具先端画像661は、z−座標Z
sに沿って移動する。
【0124】
同様に、体心y−座標軸Y
bcに沿って、マスタツールグリップ670を上方に移動させることによって、表示デバイス660内のスレーブ器具先端画像661が、内視鏡ビューy−座標軸Y
sに沿って、上方に移動し、すなわち、画像が、表示デバイス660上の上方に移動するように、スレーブ器具を移動させる。マスタツールグリップ670を体心x−座標軸X
bcに沿って左に移動させることによって、表示デバイス660内のスレーブ器具先端画像661が、内視鏡ビューx−座標軸X
sに沿って、表示を横断して、左に移動するように、スレーブ器具を移動させる。
【0125】
このマッピング方法は、外科医601の頭部、身体、および腕がすべて、表示座標フレームと整合されているという前提を緩和させる。体心座標フレームの配向は、外科医601によって直接管理することができる。これによって、外科医601は、マッピングの人間工学を管理するだけではなく、外科医、患者、内視鏡、および内視鏡下表示の配置におけるさらなる柔軟性に対応することが可能となる。
【0126】
オプションの1つは、外科医に、ハンド追跡システムによって使用される送信機175を配向させる、例えば、回転台331(
図3B)を使用して、送信機175を回転させることを可能にするものである。別の関連オプションは、測定される運動が、常時、外科医の胴体に相対的となるように、装着式様式として、軽量送信機175を外科医に取着するものである。代替は、外科医に、指向または運動ジェスチャーを行わせ、配向フレームを規定することを可能にするものである。
【0127】
本発明の一実施形態で使用するために好適な磁気ハンド追跡コントローラ、マスタツールグリップ内で使用するためのセンサ、およびハンド追跡送信機は、Ascension Technology Corporation(Burlington、Vermont、USA)から、3D guidance trakSTAR
TM System with a Mid−Range Transmissterとして利用可能である(trakSTAR
TMは、Ascension Technology Corporationの商標である)。送信機は、78センチメートル(31インチ)として規定される、中距離にわたる高精度追跡のためのパルスDC磁場を発生する。本システムは、各センサに対して240から420更新/秒を伴う動的追跡を提供する。小型受動センサ出力は、電力線雑音源によって影響を受けない。送信機とセンサとの間の明確な視程は、要求されない。あらゆる姿勢追跡が存在し、慣性ドリフトまたは光学干渉はない。高金属耐性があって、非磁気金属からの歪はない。
【0128】
(制御システム−−人間工学的手首配向マッピング)
患者側外科医インターフェース150については、表示デバイス160は、常時、コンソール立体ビューアのように60度だけ下方に角度付けられていない。表示デバイス160が、3次元画像とマスタツールグリップとの間の従来の構成を再現するように、垂直に配向されすぎる(すなわち、外科医のビューが、表示画面に垂直であって、本質的に、水平である)場合、外科医101は、
図5Aに描写されるように、快適ではない姿勢へと、自身の手首515A、515Bを後方に屈曲させるか、または別様に前腕を快適ではない姿勢に保持する必要があるであろう。そのような位置において、スレーブ外科手術器具を操作することは可能であるが、外科医101は、人間工学的に望ましくない不自然な位置を見つけることになるであろう。
【0129】
その結果、一態様では、固定された回転オフセットが、体心座標フレームにおける手首配向運動をマッピングするために使用される。具体的には、制御システム190A(
図7)内のサーボ制御ループによって受信されるマスタツールグリップ170A、170Bから感知された配向データは、固定されたオフセットによって回転される。これは、座標フレーム620Rによって、
図6Bに表される。−45度から−30度の範囲内に固定されたオフセットは、この人間工学的問題を緩和する際、依然として、直感的制御を保持しながら、良好に作用するように示されている。この固定された回転オフセットの使用によって可能となる、改善された人間工学的姿勢515A1、515B1は、
図5Bに例証される。
【0130】
本マッピング態様の擬人化性質は、手首制御が、システム設計の機械的および視覚的構成要素だけに基づく、絶対的1対1のマッピングに、もはやマッピングされないことである。マッピングは、代わりに、ヒトユーザのより快適な手首の運動範囲に対応するように修正される。
【0131】
(制御システム−ラチェッティングシステム)
従来の低侵襲遠隔操作外科手術システムは、突然の望ましくないスレーブ運動を生じさせることなく、追従モードに入ることができるように、マスタツールグリップおよびスレーブ外科手術器具エンドエフェクタの配向が位置付けられるまで、外科医が待機することを要求していた。しかしながら、制御システム190Aでは、遠隔操作サーボ制御ループモジュール760内のラチェッティングシステムモジュール730(
図7)が、外科医101がマスタツールグリップ170の移動を開始すると、起動され、例えば、プロセッサモジュール701上で実行される。ラチェッティングシステムモジュール730ならびにモジュール760は、メモリ780内に格納される。マスタツールグリップ170とスレーブ外科手術器具110のエンドエフェクタとの間の配向誤差に関係なく、遠隔操作サーボ制御ループシステムは、マスタツールグリップ170と、外科手術器具エンドエフェクタ(時として、スレーブ外科手術器具先端661と呼ばれる)との間の追従モードに入る。
【0132】
ラチェッティングシステムモジュール730は、マスタツールグリップ170が移動されるのに伴って、スレーブ外科手術器具先端に対するマスタツールグリップ170の配向をシームレスかつ継続的に改善する。ラチェッティングシステムモジュール730は、スレーブ外科手術器具先端の配向をラチェッティングし、スレーブ外科手術器具先端とマスタツールグリップ170との間のいかなる配向誤差も継続的かつシームレスに低減させる。スレーブ配向に向かうマスタツールグリップ移動は、マスタ/スレーブマッピングを改善するために使用されるが、スレーブ配向から離れるマスタツールグリップ移動は、使用されず、したがって、マスタ/スレーブ整合は、外科医が経験する可能性がある適切な直感的関係に向かって継続的にラチェッティングされる。ラチェッティングシステムモジュール730の実行は、マスタツールグリップ170、スレーブ外科手術器具先端のいずれの自律運動も伴わずに、配向整合を達成する。
【0133】
ラチェッティングシステムモジュール730の実行は、表示デバイス160内で外科医101によって視認される、マスタツールグリップ170とスレーブ外科手術器具先端との間の直感的配向整合をもたらす。また、ラチェッティングシステムモジュール730は、外科医101が行っていること(マスタツールグリップ170の操縦)と外科医101が表示デバイス160上で見ているもの(表示デバイス160内のスレーブ外科手術器具先端の移動)との間の直接的関連付けを提供する。そのようなラチェッティングの一実施例は、同時係属中の共有に係る米国特許出願第12/495,213号(2009年6月30日出願「Ratcheting for Master Alignment of a Teleoperated Minimally−Invasive Surgical Instrument」)により詳細に説明されており、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
【0134】
(制御システム−プロキシ視覚システム)
前述のように、プロキシ視覚は、外科医によって、別の外科医を監督するために使用することができる。本実施例では、外科医195(
図1B)は、患者側外科医インターフェース150を使用して、外科医101によって監督される。しかしながら、本構成は、例証にすぎない。例えば、外科医101は、マスタツールグリップ170A(
図2)を使用して、プロキシ視覚を制御する一方、外科医195は、マスタツールグリップ170Bを使用して、遠隔操作スレーブ外科手術器具110を制御し得る。任意のマスタツールグリップがプロキシ視覚に割り当てられることができ、外科医は、そのマスタツールグリップを使用して、異なるマスタツールグリップを使用する別の外科医を監督することができる。患者側外科医インターフェース150は、第2の外科医のコンソールまたは第1の外科医のコンソールさえ必要とすることなく、そのような監督を促進する。
【0135】
監督を促進するために、プロキシ視覚モジュール750は、一態様では、視覚処理サブシステムの一部として処理される。モジュールは、マスタツールグリップの位置および配向を受信し、内視鏡下カメラ画像と合成された立体画像をリアルタイムにレンダリングし、外科医コンソール、アシスタント表示、および患者側外科医インターフェース表示160上に表示する。外科医101が、所定の措置を講じることによって、監督を開始すると、プロキシ視覚システムループが起動され、例えば、モジュール750が、プロセッサモジュール701上で実行される。所定の措置として使用される特定の措置は、制御システム190Aがその措置を認識するように構成される限り、必須ではない。
【0136】
一態様では、プロキシ視覚は、マスタツールグリップ170によって制御される仮想ゴースト器具811(
図8)である一方、遠隔操作スレーブ外科手術器具810は、外科医のコンソール114のマスタツールマニピュレータのうちの1つによって制御される。外科医101は、表示デバイス160内で器具810および811を見る一方、外科医195は、外科医のコンソール114の立体的表示内で810および811を見る。プロキシ視覚としての仮想ゴースト器具811の使用は、例証にすぎず、本特定の画像に限定されることを意図するものではない。本開示に照らして、他の画像は、プロキシ視覚を表す画像と遠隔操作スレーブ外科手術器具の実際のエンドエフェクタの画像との間の区別を促進する、プロキシ視覚のために使用することができる。
【0137】
仮想ゴースト器具811は、実際の器具810に類似して見えるが、仮想ゴースト器具811は、仮想ゴースト器具811を実際の器具810と明確に区別するように表示される(例えば、透明または半透明ゴースト状画像、別個に着色された画像等)。仮想ゴースト器具811の制御および操作は、実際の遠隔操作外科手術器具に対して前述のものと同一である。したがって、外科医101は、マスタツールグリップ170を使用して、仮想ゴースト器具811を操縦し、遠隔操作スレーブ外科手術器具810の適切な使用を実演することができる。外科医195は、器具810によって、仮想ゴースト器具811の運動を模倣することができる。
【0138】
仮想ゴースト器具は、共有に係る米国特許出願公開第US2009/0192523 A1号(2009年3月31日出願の「Synthetic Representation of a Surgical Instrument」)により完全に説明されており、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
【0139】
(制御システム−プロセスフロー)
図9は、可動表示デバイス160、マスタツールグリップ170、ハンド追跡送信機175、および遠隔操作スレーブ外科手術器具110を含む、低侵襲外科手術システム100において、制御システム190、190Aに実装される方法900の一態様のためのプロセスフロー図である。新しく感知されたマスタ運動データの受信動作901では、新しく感知された空間データ、新しく感知された配向データ、または両方が、制御システム190によって受信される。動作901は、処理を安全インターロックチェック動作902に移行する。
【0140】
安全インターロックチェック動作902は、安全インターロックの状態が、少なくとも1つのマスタツールグリップとスレーブ外科手術器具との間の追従モード動作が許可されていることを示すかどうかを決定する。前述の種々のインターロックに加え、別の安全インターロックは、外科医が、追従モードを開始する前に、制御される器具先端の知覚された配向にほぼ整合するように、マスタグリップを配向しなければならないことである。45度の全体的配向不整合許容誤差が、良好に作用することが分かっている。本許容誤差設定は、追従が開始する際、依然として、直感的整合をもたらしながら、外科医が確実に整合させるために十分に緩いものである。ラチェッティングシステムモジュール730を使用した追従にある間、残留不整合は、低減される。グリップ閉合もまた、追従モードに入る前に、マスタとスレーブ器具先端との間の許容誤差内で整合されなければならない。
【0141】
例えば、前述のプレゼンススイッチのうちのいずれか1つが、プレゼンスを示さないか、表示デバイス160が移動されていることの指標が受信されるか、または可能性として、追従モードインターロックが正しくない場合、安全インターロックチェック動作902は失敗し、追従モードが許可されていないことを意味する。したがって、チェック動作902は、受信した新しいデータを保存する、感知されたマスタツールグリップデータの保存動作903に移行され、処理は、本実施例では、動作901に戻る。
【0142】
安全インターロックの状態が、外科医101を含む、システム100が、追従モード動作のために必要とされる状態にあることを示す場合、安全インターロックチェック動作902は、処理をシステム追従モードチェック動作904に移行する。システム100が、追従モードに入る場合、または追従モードにある場合、チェック動作904は、共通基準フレームへのマッピング動作905か、そうでなければ感知されたマスタツールグリップデータの保存動作903に移行する。
【0143】
共通基準フレームへのマッピング動作905は、受信した新しく感知されたデータを共通基準フレームにマッピングする。例えば、体心座標フレームが使用される場合、体心座標フレームで感知されたデータは、前述のように、内視鏡下ビュー座標フレームにマッピングされる。また、体心座標フレームに対する固定された回転オフセットは、一態様では、マッピングに先立って、動作905で実装される。加えて、一態様では、4:1のスケール係数が、体心座標フレーム620内の運動と内視鏡ビュー座標フレーム610内の運動との間で使用される。
【0144】
動作905が完了すると、ラッチェッティング動作906が、新しい配向データを処理し、新しいスレーブ空間位置の生成動作910が、新しい位置データを処理する。ラッチェッティング動作906は、メモリ780内のスレーブ配向記憶素子770内に格納された現在のスレーブ配向である、保存されたスレーブ配向907と、新しい配向データとを使用して、新しい相対的回転行列を生成し、次いで、新しいスレーブ配向の生成動作908に移行する。
【0145】
新しいスレーブ配向の生成動作908は、新しい相対的回転行列を使用して、新しいスレーブ配向を生成し、処理をスレーブ配向コマンド送信動作909に移行する。新しいスレーブ配向を使用して、動作909は、スレーブ入力/出力(I/O)モジュール703を介して、スレーブ配向およびコマンド化された角速度を含むコマンドを、基準共通フレームにおいて送信し、そのコマンドによって指示されるようなスレーブ外科手術器具先端の移動をもたらす。動作909が完了すると、本実施例では、動作901に戻る。
【0146】
外科医101が、マスタツールグリップ170とスレーブ外科手術器具110の先端との間の配向誤差を低減させるように、マスタツールグリップ170を移動させる時、配向ラチェッティングプロセスは、外科医がどのようにマスタツールグリップ170を把持したか、ロール継手限界に達したかどうかを考慮しながら、マスタツールグリップ170とスレーブ外科手術器具110の先端との間の追従において、低減された配向誤差を使用する。反対に、外科医101が、マスタツールグリップ170とスレーブ外科手術器具110の先端との間の配向誤差を増加させるように、マスタツールグリップ170を移動させる時、配向ラチェッティングプロセスは、マスタツールグリップ170とスレーブ外科手術器具先端110の先端との間の追従モードにおいて、増加した配向誤差ではなく、現在の配向誤差を使用する。
【0147】
動作906から909は、同時係属中の共有に係る米国特許出願第12/495,213号により完全に説明されており、参照することによって本明細書の前述に組み込まれている。
【0148】
配向ラチェッティングプロセスは、スレーブ外科手術器具110の先端に対して、マスタツールグリップ170の絶対的配向をシームレスかつ継続的に改善する。配向ラチェッティングプロセスは、マスタツールグリップ170、スレーブ外科手術器具110の先端のいずれの自律運動も伴わずに、絶対的配向における継続的改善を達成する。
【0149】
新しいスレーブ空間位置の生成動作910は、動作905からの共通座標フレームにおけるマスタツールグリップ670の新しい空間位置データと、共通座標フレームにおいて保存された現在のスレーブ外科手術器具空間位置911を使用して、共通基準フレームにおけるエンドエフェクタ661のための新しいスレーブ空間位置を決定する。新しいスレーブ空間位置を使用して、スレーブ空間位置コマンド送信動作912は、スレーブ空間位置およびコマンド化された速度を含むコマンドを、基準共通フレームにおいて、スレーブ入力/出力(I/O)モジュール703を介して送信し、そのコマンドによって指示されるスレーブ外科手術器具先端の移動をもたらす。
【0150】
制御システム190、190Aとして説明されるが、制御システム190、190Aは、実際は、ハードウェア、プロセッサ上で実行されるソフトウェア、およびファームウェアの任意の組み合わせによって実装され得ることを理解されたい。また、本明細書に説明されるその機能は、1つのユニットによって行われても、または異なる構成要素間で分割されてもよく、そのそれぞれは、順に、ハードウェア、プロセッサ上で実行されるソフトウェア、およびファームウェアの任意の組み合わせによって実装され得る。異なる構成要素間で分割される場合、構成要素は、1つの場所に集約されてもよく、または分散処理目的のために、システム100にわたって分散され得る。
【0151】
本発明の態様および実施形態を例示する前述の説明および添付の図面は、限定として見なされるべきではなく、請求項は保護された発明を定義する。様々な機械的、構成的、構造的、電気的、および操作上の変更は、本説明の精神および範囲ならびに請求項から逸脱することなく、行い得る。いくつかの例において、よく知られている回路、構造、および技術は、本発明を曖昧にするのを避けるため、詳細に図示または説明されなかった。
【0152】
さらに、本説明の用語は、本発明を限定することを意図しない。例えば、空間的に関連する用語、例えば、「beneath(下)」、「below(下)」、「lower(下位)」、「above(上)」、「upper(上位)」、「proximal(近位)」、「distal(遠位)」等を使用して、図面に例示されるように、1つの素子または特徴に対する別の素子または特徴の関係を説明し得る。これらの空間的に関連する用語は、図面に示される位置および配向に加えて、使用または操作しているデバイスの異なる位置および配向を包含する。例えば、図面のデバイスが回転される場合、他の素子または特徴の「下(belowまたはbeneath)」にあるとして記述される素子は、他の素子または特徴の「上(aboveまたはover)」にある。したがって、典型的な用語「below」は、上および下の両方の位置および配向を包含することができる。デバイスは、その他に配向されてもよく(90度回転されるか、または他の配向)、本明細書に使用される空間的に関連する記述子は、それに従って解釈される。同様に、様々な軸に沿っておよび軸を中心とする運動の記述は、様々な特別のデバイス位置および配向を含む。
【0153】
「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈上他に指定のない限り、複数形も同様に含むことを意図する。「含む(comprises、comprising、includes等)」という用語は、規定された特徴、ステップ、操作、プロセス、素子、および/または構成要素を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、操作、プロセス、素子、構成要素、および/または群の存在または追加を除外しない。
【0154】
すべての実施例および例示的参照は、非限定であり、本明細書に記載される特定の実装および実施形態ならびにそれらに相当するものに請求項を限定するために使用されてはならない。見出しは単に書式設定のためであり、1つの見出し下のテキストは、1つまたは複数の見出し下のテキストを相互参照または適用し得るため、いかなる方法においても対象の事項を限定するために使用されてはならない。最後に、本開示に照らして、一態様または実施形態に関連して説明される特定の特徴は、具体的に図面に示されないか、またはテキストに記載されない場合であっても、本発明の他の開示される態様または実施形態に適用され得る。
【0155】
メモリ780は、統合構造として例証されるが、これは、すべてのメモリが同一物理的場所にあることを要求するものとして解釈されるべきではない。メモリの全部また一部は、プロセッサと異なる物理的場所にあることができる。メモリは、揮発性メモリ、非揮発性メモリ、またはその2つの任意の組み合わせを指す。
【0156】
プロセッサは、プロセッサによって実行される命令を含有するメモリに連結される。これは、コンピュータシステム内において、あるいは代替として、モデムおよびアナログ回線またはデジタルインターフェースおよびデジタル搬送ラインを経由して、別のコンピュータへの接続を介して、達成され得る。
【0157】
ここでは、コンピュータプログラム製品は、方法900の任意の部分または全部のために必要されるコンピュータ可読モードを格納するように構成される、またはその中に、方法900の任意の部分または全部のためのコンピュータ可読コードが格納される、コンピュータ可読媒体を備える。コンピュータプログラム製品のいくつかの実施例は、CD−ROMディスク、DVDディスク、フラッシュメモリ、ROMカード、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、コンピュータハードドライブ、ネットワーク上のサーバ、およびコンピュータ可読プログラムコードを表すネットワークを介して伝送される信号である。有形コンピュータプログラム製品は、方法900の任意の部分または全部のためのコンピュータ可読命令を格納するように構成される、またはその中に、方法900の任意の部分または全部のためのコンピュータ可読命令が格納される、有形コンピュータ可読媒体を備える。有形コンピュータプログラム製品は、CD−ROMディスク、DVDディスク、フラッシュメモリ、ROMカード、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、コンピュータハードドライブ、および他の物理的記憶媒体である。
【0158】
本開示に照らして、方法900の任意の部分または全部において使用される命令は、ユーザに関心のあるオペレーティングシステムおよびコンピュータプログラミング言語を使用して、種々のコンピュータシステム構成において実装することができる。
【0159】
さらに、種々の異なる低侵襲システムおよび方法は、本開示に照らして実装することができる。
【0160】
一態様では、低侵襲外科手術システムは、
患者側外科医インターフェースであって、
a)手術室内に搭載された表示デバイスと、
b)マスタインターフェースであって、
手術室内に位置付けられた機械的に固定されていないマスタツールグリップと、
機械的に固定されていないマスタツールグリップから分離および隔てられたハンド追跡送信機であって、機械的に固定されていないマスタツールグリップは、ハンド追跡送信機と共同して、機械的に固定されていないマスタツールグリップを操作する人物と関連付けられた基準フレームで感知された位置および配向情報を提供する、ハンド追跡送信機と、
を含む、マスタインターフェースと
を備えている患者側外科医インターフェースと、
外科手術エンドエフェクタを備えている、遠隔操作スレーブ外科手術器具と、
機械的に固定されていないマスタツールグリップ、ハンド追跡送信機、表示デバイス、および遠隔操作スレーブ外科手術器具に連結された制御システムと、
を含み、前記制御システムは、基準フレーム内で感知された位置および配向情報を受信し、感知された位置および配向情報を使用して、制御コマンドを生成し、制御コマンドを送信し、表示デバイス上に表示された画像と関連付けられた基準フレームに対して、外科手術エンドエフェクタを移動させる。
【0161】
本低侵襲外科手術システムはまた、制御ハンドルを含む、手動操作外科手術デバイスを含み、制御ハンドルは、機械的に固定されていないマスタツールグリップを操作する人物がまた、手動操作外科手術デバイスの制御ハンドルも操作するように、位置付けられる。
【0162】
別の態様では、本低侵襲外科手術システムを使用する方法は、
機械的に固定されていないマスタツールグリップを移動させることによって、感知された位置および配向情報を生成することであって、
感知された位置および配向情報は、機械的に固定されていないマスタツールグリップを操作する人物と関連付けられた基準フレームにおけるものである、ことと、
感知された位置および配向情報に基づいて、低侵襲遠隔操作スレーブ外科手術器具のエンドエフェクタの移動を制御することと、
を含む。